JP3506264B2 - 水処理剤 - Google Patents

水処理剤

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JP3506264B2 JP26380593A JP26380593A JP3506264B2 JP 3506264 B2 JP3506264 B2 JP 3506264B2 JP 26380593 A JP26380593 A JP 26380593A JP 26380593 A JP26380593 A JP 26380593A JP 3506264 B2 JP3506264 B2 JP 3506264B2
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    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
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    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

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  • Biological Treatment Of Waste Water (AREA)
  • Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば汚水や下水、或
いは各種排水や廃水等を好気性条件下で処理する際に供
される水処理剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、好気性微生物を用いて例えば
汚水や下水、或いは各種排水や廃水等(以下、単に汚水
と称する)を処理する水処理方法として、処理すべき汚
水中に好気性微生物を含む汚泥を浮遊させ、この浮遊微
生物を増殖させることにより汚水に含まれている有機物
を酸化分解して処理水とする活性汚泥法や散水濾床法、
回転円盤法等が知られている。これら水処理方法は大量
の汚水を処理するために行われるのが一般的であり、従
って、上記のような水処理を行う前に、好気性微生物を
予め培養液中で培養して増殖させ、必要な量の好気性微
生物を確保する作業を行わなければならない。
【0003】ところが、一般に、微生物はその生物学的
特性として、高等生物に見られない代謝能の強さと、細
胞組織の非常な不安定さとを備えており、また、周囲の
環境に強く影響される。それゆえ、微生物をその活性を
維持したまま、長期間(例えば数カ月間)にわたって培
養液中で保存すること、および、上記培養液を運搬する
ことは困難となっている。このため、上記のような水処
理を行う直前に、その都度、好気性微生物を増殖させな
ければならないので、その作業が非常に面倒で、しかも
時間がかかるものとなっている。
【0004】そこで、近年、上記作業を省略するため
に、好気性条件下での水処理に供される水処理剤が種々
検討されている。例えば、特公平 1-30476号公報には、
微生物を分散させた水分散液と吸水性樹脂とを攪拌混合
して吸水性樹脂に微生物を含む上記水分散液を吸収させ
た後、この吸水性樹脂を多価金属塩溶液と接触させ、水
の放出および架橋反応を行わせることにより得られる水
処理剤(上記公報においては固定化微生物と称されてい
る)が示されている。上記の水処理剤は、吸水性樹脂内
部の細孔に好気性微生物を閉じ込めることにより固定化
しているので、好気性微生物を保存して水処理に供する
ことが可能となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、好気性
微生物を閉じ込める吸水性樹脂内部の細孔の大きさは、
通常1ミクロン程度であり、このため、上記従来の水処
理剤は、保存可能な好気性微生物の大きさが1ミクロン
以下に限定される。一方、上述した水処理において特に
好適に使用されるアシネトバクター属やカンジダ属等の
好気性微生物は、その大きさが1ミクロン以上となって
いる。従って、上記従来の水処理剤は、これらアシネト
バクター属やカンジダ属等の好気性微生物を保存して水
処理に供することが不可能となっている。
【0006】また、上記従来の水処理剤は、吸水性樹脂
内部の細孔に好気性微生物を閉じ込めているので、処理
すべき汚水と好気性微生物とが接触可能となるには、汚
水が吸水性樹脂内部に浸透しなければならない。従っ
て、水処理効率が低いという問題点を有している。
【0007】さらに、上記従来の水処理剤は、好気性微
生物を吸水性樹脂内部の細孔に閉じ込める際に、吸水性
樹脂を多価金属塩溶液と接触させ、水の放出および架橋
反応を行わなければならず、また、反応後に多価金属塩
を除去するために吸水性樹脂を水洗する必要があるの
で、製造工程および操作が煩雑となると共に、製造に時
間がかかるという問題点も有している。
【0008】本発明の目的は、上述した問題点を解決
し、簡単な操作でしかも時間をかけずに低コストで製造
することができ、水処理において好適に使用される好気
性微生物をその活性を維持したまま、常温で簡便にかつ
多量に保存することにより、好気性微生物を培養して増
殖させる作業を省略することが可能となり、かつ、高効
率で水処理を行うことができる水処理剤を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、好気性
条件下での水処理において好適に使用される好気性微生
物をその活性を維持したまま、常温で簡便にかつ多量に
保存することが可能な水処理剤について鋭意検討した結
果、ゲル化した複数の吸水性樹脂粒子の表面に好気性微
生物を保持し、これら吸水性樹脂粒子を互いに密着させ
ることにより、好気性微生物が長期間にわたって保存さ
れることを見い出すと共に、上記好気性微生物を培養し
て増殖させる作業を行わなくても高効率で水処理を行う
ことができることを確認した。さらに、水処理において
特に好適に使用される好気性微生物であるアシネトバク
ター属およびカンジダ属を或る特定の重量比で混合する
ことにより、これら好気性微生物を各々単独で使用する
場合と比較して、広範囲のpHにわたって高効率で水処理
を行うことが可能となるという知見を得て、本発明を完
成させるに至った。
【0010】即ち、本発明は、好気性条件下での水処理
に供される水処理剤であって、ゲル化した複数の吸水性
樹脂粒子の表面にアシネトバクター属およびカンジダ属
からなる好気性微生物が保持され、かつ、上記吸水性樹
脂粒子が互いに密着状態とされていることを特徴として
いる。また、アシネトバクター属とカンジダ属との重量
比が 1/9以上、 9/1以下であることを特徴としている。
また、本発明の水処理剤は、上記好気性微生物を1ml
当たり10 3 個以上含む水分散液を調製し、該水分散液
に上記吸水性樹脂粒子を混合して製造されることを特徴
としている。
【0011】以下に本発明を詳しく説明する。
【0012】本発明において用いられる吸水性樹脂は、
自重の10〜1000倍の純水を吸収する吸水能(=最大に吸
水したときの水の重量/吸水性樹脂の重量)を有するも
のであれば、特に限定されるものではない。従って、本
発明においては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性
等の親水性官能基を有する親水性架橋重合体を使用する
ことができる。具体的には、例えば、カルボキシメチル
セルロースの架橋物、澱粉−アクリロニトリルグラフト
共重合体の加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフト共重
合体の中和物、ポリ(メタ)アクリル酸塩重合体の架橋
物、ポリアクリル酸の部分中和物の架橋物、イソブチレ
ン−無水マレイン酸共重合体の架橋物、酢酸ビニル−ア
クリル酸エステル共重合体の鹸化物、アクリロニトリル
共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物
またはこれらの架橋物、スルホン基含有重合体の架橋
物、ポリエチレンオキサイドやポリエチレンイミンの架
橋物等を挙げることができる。これら吸水性樹脂のう
ち、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体の中和物、ポリ
アクリル酸の部分中和物の架橋物、およびスルホン基含
有重合体の架橋物が好ましい。勿論、上記吸水性樹脂の
市販品を使用することも可能である。上記吸水性樹脂
は、吸水することによりゲル化して膨潤する。
【0013】吸水性樹脂は、通常入手可能な形状、例え
ば、球状、フレーク状、顆粒状、塊状、フィルム状、繊
維状、ウエブ状、シート状等の何れの形状でも任意に使
用できる。また、その大きさも特に限定されるものでは
ない。さらに、前記吸水性樹脂が一体的に固着された不
織布等を使用してもよい。尚、説明の便宜上、本発明に
おいては、上記の形状を一括して「粒子」と称し、以
下、必要に応じて吸水性樹脂粒子と記すこととする。
【0014】本発明において使用される好気性微生物
は、従来より水処理の分野で用いられている好気性微生
物であれば、特に限定されるものではない。具体的に
は、例えば、アシネトバクター属 (Acinetobacter)、カ
ンジダ属 (Candida)、ノカルジア属(Nocardia)、ストレ
プトミセス属(Streptomyces)、ニトロソモナス属(Nitro
somonas)、アルトロバクター属(Arthrobacter)、アスペ
ルギルス属 (Aspergillus)、スポロトリチウム属(Sporo
trichum)、ロドコッカス属 (Rhodococcus)、フザリウム
属(Fusarium)、アクロモバクター属 (Achromobacter)、
クロモバクテリウム属 (Chromobacterium)、マイコバク
テリウム属 (Mycobacterium)等の好気性微生物を挙げる
ことができる。これら好気性微生物は単独で用いてもよ
く、勿論、2種類以上の好気性微生物を混合した混合微
生物を用いてもよい。
【0015】そして、上記の好気性微生物のうち、処理
すべき汚水や下水、或いは各種排水や廃水等(以下、単
に汚水と称する)が油分を含有している場合、即ち、酸
化分解する対象が油分である場合には、アシネトバクタ
ー属およびカンジダ属からなる群より選ばれる少なくと
も一種の好気性微生物が好ましく、また、アシネトバク
ター属およびカンジダ属からなる好気性微生物がより好
ましい。さらに、アシネトバクター属とカンジダ属との
重量比を 1/9以上、 9/1以下とすることにより、これら
好気性微生物を各々単独で使用する場合と比較して、広
範囲のpHにわたって水処理を行うことが可能となるの
で、より一層好ましい。
【0016】尚、好気性微生物の大きさは、特に限定さ
れるものではないが、後述のように吸水性樹脂粒子の表
面に好気性微生物が保持されるように、1ミクロン以上
が好ましい。
【0017】一般に、好気性微生物においては、常温で
酸素や多量の水が存在すると生長したり活動が活発とな
るものの、栄養分がないと短時間で死滅する。このた
め、好気性微生物をその活性を維持したままで長期間
(例えば数カ月間)にわたって常温で保存するには、空
気中の酸素や、乾燥から保護するために必要な水以外の
過剰な水を除去することが必要となっている。そこで、
上記の好気性微生物を保存する際に、吸水性樹脂粒子全
体を空気中の酸素から遮断する遮断材を用いてもよい。
この遮断材としては、具体的には、例えば、酸素を通さ
ない各種合成樹脂製の容器や袋、フィルム等、および、
各種金属製の容器等を挙げることができるが、特に限定
されるものではない。そして、遮断性をさらに向上させ
るために、これら容器や袋等の内部の空気を窒素等の不
活性ガスで置換して密閉してもよく、また、いわゆる脱
酸素剤を吸水性樹脂と一緒に封入してもよい。さらに、
容器等に充填した吸水性樹脂の上部を、好気性微生物に
対して毒性を全く及ぼさない例えば流動パラフィン等の
有機物で覆ってもよい。勿論、これら3つの手段を併用
することも可能である。
【0018】以下に、本発明にかかる水処理剤を製造す
る製造方法の一例を示すこととする。
【0019】先ず、好気性条件下での水処理に使用され
る好気性微生物を水に分散させることにより、水分散液
を調製する。この水分散液は、従来から行われているい
わゆる液体培養法を用いて得ることができる。尚、この
ように液体培養法を用いて水分散液を得た場合には、水
分散液に好気性微生物を培養する際に用いた各種成分が
残留するが、これら各種成分は吸水性樹脂が吸水する際
に樹脂内部に取り込まれるので、好気性微生物の保存に
悪影響を及ぼすおそれはない。
【0020】上記水分散液の単位体積当たりの好気性微
生物の個体数は、特に限定されるものではないが、1ml
当たり103 個以上が好ましい。さらに、水分散液1ml当
たりの好気性微生物の個体数を103 個以上にすると、好
気性微生物が吸水性樹脂粒子の表面に高密度で保持され
るのでより好ましい。一方、水分散液1ml当たりの好気
性微生物の個体数が103 個未満の場合には、吸水性樹脂
粒子の表面に保持される単位面積当たりの好気性微生物
の個体数が少なくなり、水処理剤の使用時においてその
水処理効率が低下するので好ましくない。
【0021】次に、このように調製された水分散液に吸
水性樹脂粒子を混合する。この際、水分散液1重量部に
対する吸水性樹脂の重量部は、好気性微生物の保存安定
性を考慮すれば、吸水性樹脂粒子がゲル化して膨潤し、
かつ、膨潤した吸水性樹脂粒子が互いに密着するよう
に、水分散液と吸水性樹脂との重量比を、1/1 以上、10
0/1 未満、好ましくは、9/1 以上、100/1 未満とするの
が好適である。
【0022】以上のように、好気性微生物を分散させた
水分散液を調製し、この水分散液に吸水性樹脂粒子を混
合するという簡単な操作を行うだけで、時間をかけずに
低コストで水処理剤が得られる。そして、吸水性樹脂粒
子の表面に保持された好気性微生物は、吸水することに
よりゲル化して膨潤した吸水性樹脂粒子が互いに密着状
態となるので、その周囲がこれら吸水性樹脂粒子により
取り囲まれる。このため、好気性微生物は、空気中の酸
素から遮断されると共に乾燥から保護され、例えば仮死
状態となって保存される。
【0023】そして、上記構成の水処理剤を使用した水
処理は、従来から行われている活性汚泥法や散水濾床
法、回転円盤法等の水処理方法と同様に、好気性条件下
で行われる。即ち、例えば、一般に行われているよう
に、処理すべき汚水に空気を通気する通気処理を施して
上記汚水を好気性条件下に保った後、所定量の水処理剤
を汚水に投入するだけで、簡単に水処理を行うことがで
きる。尚、汚水を好気性条件下に保つ方法は、特に限定
されるものではない。
【0024】本発明の水処理剤においては、好気性微生
物をその活性を維持したまま、常温で簡便にかつ多量に
保存することにより、好気性微生物を培養して増殖させ
る作業を省略することが可能となる。そして、上記水処
理剤は、吸水性樹脂粒子の表面に好気性微生物が保持さ
れているので、好気性微生物と処理すべき汚水との接触
性が良好となる。また、上記表面に保持される単位面積
当たりの好気性微生物の個体数を多くすることができる
ので、高効率で水処理を行うことができる。
【0025】このように、本発明の水処理剤は、好気性
微生物を予備培養しなくとも直ちに使用することがで
き、また、その水処理効率を従来よりも向上させること
ができる。さらに、本発明の水処理剤を用いることによ
り、多量の好気性微生物を容易に運搬することができ
る。
【0026】また、本発明の水処理剤においては、吸水
性樹脂粒子の表面に好気性微生物を保持するため、好気
性条件下での水処理において特に好適に使用されるアシ
ネトバクター属およびカンジダ属からなる群より選ばれ
る少なくとも一種の好気性微生物を含有することができ
るので、一層高効率で水処理を行うことができる。さら
に、好気性微生物がアシネトバクター属およびカンジダ
属からなっているので、一層高効率で水処理を行うこと
ができる。その上、アシネトバクター属およびカンジダ
属をその重量比が 1/9以上、 9/1以下となるように混合
することにより、これら好気性微生物を各々単独で使用
する場合と比較して、広範囲のpHにわたって高効率で水
処理を行うことが可能となる。
【0027】
【作用】上記の構成によれば、吸水性樹脂粒子の表面に
保持された好気性微生物は、吸水することによりゲル化
して膨潤した吸水性樹脂粒子が互いに密着状態となるの
で、その周囲がこれら吸水性樹脂粒子により取り囲まれ
る。このため、好気性条件下での水処理において好適に
使用される好気性微生物は、空気中の酸素から遮断され
ると共に乾燥から保護される。従って、好気性微生物を
その活性を維持したまま、長期間(例えば数カ月間)に
わたって常温で簡便にかつ多量に保存することにより、
好気性微生物を培養して増殖させる作業を省略すること
が可能となり、かつ、高効率で水処理を行うことができ
る。
【0028】これにより、本発明の水処理剤は、好気性
微生物を予備培養しなくとも直ちに使用することがで
き、また、その水処理効率を従来よりも向上させること
ができる。さらに、本発明の水処理剤を用いることによ
り、多量の好気性微生物を容易に運搬することができ
る。
【0029】また、本発明の水処理剤においては、吸水
性樹脂粒子の表面に好気性微生物を保持するため、好気
性条件下での水処理において特に好適に使用されるアシ
ネトバクター属およびカンジダ属からなる群より選ばれ
る少なくとも一種の好気性微生物を含有することができ
るので、一層高効率で水処理を行うことができる。さら
に、好気性微生物がアシネトバクター属およびカンジダ
属からなっているので、一層高効率で水処理を行うこと
ができる。その上、アシネトバクター属およびカンジダ
属をその重量比が 1/9以上、 9/1以下となるように混合
することにより、これら好気性微生物を各々単独で使用
する場合と比較して、広範囲のpHにわたって高効率で水
処理を行うことが可能となる。
【0030】尚、上記構成の水処理剤は、例えば、好気
性微生物を分散させた水分散液を調製し、この水分散液
に吸水性樹脂粒子を混合するという簡単な操作を行うだ
けで、時間をかけずに低コストで得られる。
【0031】以下、参考例、実施例および比較例によ
り、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれ
らにより何ら限定されるものではない。尚、以下の説明
においては、特に断りのない限り、部は重量部を、%は
重量%をそれぞれ表すものとする。
【0032】
【実施例】〔参考例1〕 液体培養法を用い、下記に示す成分を含有する水溶液に
好気性微生物としてアシネトバクターカルコアセチカス
菌 (Acinetobacter calcoaceticus)を分散させることに
より、1ml当たり3×107 個の菌数を有する水分散液を
調製した。上記の成分は、オリーブ油 2.0%、硫酸アン
モニウム 0.6%、リン酸二ナトリウム12水和物 0.6%、
リン酸一カリウム 0.4%、硫酸マグネシウム7水和物
0.001%、硫酸第一鉄 0.001%、塩化カルシウム2水和
物 0.001%、モルツ浸出液 0.1%、および酵母抽出液
0.1%であり、水溶液のpHは 6.8であった。
【0033】上記のようにして調製した水分散液 100部
に対し、吸水性樹脂(商品名:アクアリックCA、株式
会社日本触媒製)3部を混合することにより、水処理剤
を得た。
【0034】得られた水処理剤をポリプロピレン製の容
器内に密閉し、常温で4カ月間保存した。その後、保存
したアシネトバクターカルコアセチカス菌を用いて、下
記に示す人工汚水を処理する油脂分解試験を行った。上
記の人工汚水は、ペプトン 6.0g、肉エキス 4.0g、尿
素 1.0g、塩化ナトリウム 1.0g、リン酸二ナトリウム
1.0g、塩化カリウム0.14g、および硫酸マグネシウム
7水和物 0.1gに純水を加えて1Lとすることにより調
製した水溶液 400mlに、オリーブ油 0.5gを添加するこ
とにより調製した。また、緩衝液を添加することにより
人工汚水のpHを8,6,および4に調整した。
【0035】このようにして調製した3種類の人工汚水
にそれぞれ上記の水処理剤 1.0gを投入し、37℃で攪拌
しながら24時間通気(3.0 vvm (volume/volume ・ minut
e))するという好気性条件下で油脂分解試験を行い、試
験後、JIS K−0102(1 986)「工場排水試験方
法」に準じてヘキサン抽出物質を測定することにより、
ブランクに対する油脂分解率を求めた。
【0036】その結果、上記保存菌の油脂分解率は、人
工汚水のpHが8の場合で71%、pHが6の場合で58%、pH
が4の場合で20%であり、保存前の同菌の油脂分解率と
同等の値を示した。また、結果を表1にも記載した。
【0037】〔参考例2〕 液体培養法を用い、下記に示す成分を含有する水溶液に
好気性微生物としてトユロプシスカンジダ菌 (Toyulopu
sis candida)を分散させることにより、1ml当たり3×
107 個の菌数を有する水分散液を調製した。上記の成分
は、オリーブ油2.0%、硫酸アンモニウム 0.6%、リン
酸二ナトリウム12水和物0.03%、リン酸一カリウム0.47
%、硫酸マグネシウム7水和物 0.1%、硫酸第一鉄 0.0
01%、塩化カルシウム2水和物 0.001%、モルツ浸出液
0.1%、酵母抽出液 0.1%、ポリペプトン 0.1%、およ
び硫酸マンガン4水和物 0.001%であり、水溶液のpHは
5.5であった。
【0038】上記のようにして調製した水分散液 100部
に対し、吸水性樹脂(商品名:アクアリックCA、株式
会社日本触媒製)3部を混合することにより、微生物保
存剤を得た。
【0039】得られた水処理剤をポリプロピレン製の容
器内に密閉し、常温で4カ月間保存した。その後、保存
したトユロプシスカンジダ菌を用いて、参考例1と同様
にして油脂分解試験を行い、ブランクに対する油脂分解
率を求めた。
【0040】その結果、上記保存菌の油脂分解率は、人
工汚水のpHが8の場合で13%、pHが6の場合で52%、pH
が4の場合で78%であり、保存前の同菌の油脂分解率と
同等の値を示した。また、結果を表1にも記載した。
【0041】〔実施例参考 例1にて調製した水分散液25部と、参考例2にて調
製した水分散液75部とを混合して得られた混合液 100部
に対し、吸水性樹脂(商品名:アクアリックCA、株式
会社日本触媒製)3部を混合することにより、水処理剤
を得た。
【0042】得られた水処理剤をポリプロピレン製の容
器内に密閉し、常温で4カ月間保存した。その後、保存
したアシネトバクターカルコアセチカス菌およびトユロ
プシスカンジダ菌の混合菌を用いて、参考例1と同様に
して油脂分解試験を行い、ブランクに対する油脂分解率
を求めた。
【0043】その結果、上記保存混合菌の油脂分解率
は、人工汚水のpHが8の場合で96%、pHが6の場合で 1
00%、pHが4の場合で94%であり、保存前の同混合菌の
油脂分解率と同等の値を示した。また、アシネトバクタ
ーカルコアセチカス菌やトユロプシスカンジダ菌を各々
単独で使用した参考例1および参考例2と比較して、広
範囲のpHにわたって高効率で油脂が分解されることがわ
かった。また、結果を表1にも記載した。
【0044】〔実施例参考 例1にて調製した水分散液50部と、参考例2にて調
製した水分散液50部とを混合して得られた混合液 100部
に対し、吸水性樹脂(商品名:アクアリックCA、株式
会社日本触媒製)3部を混合することにより、水処理剤
を得た。
【0045】得られた水処理剤をポリプロピレン製の容
器内に密閉し、常温で4カ月間保存した。その後、保存
したアシネトバクターカルコアセチカス菌およびトユロ
プシスカンジダ菌の混合菌を用いて、参考例1と同様に
して油脂分解試験を行い、ブランクに対する油脂分解率
を求めた。
【0046】その結果、上記保存混合菌の油脂分解率
は、人工汚水のpHが8の場合で58%、pHが6の場合で83
%、pHが4の場合で76%であり、保存前の同混合菌の油
脂分解率と同等の値を示した。また、結果を表1にも記
載した。
【0047】〔実施例参考 例1にて調製した水分散液75部と、参考例2にて調
製した水分散液25部とを混合して得られた混合液 100部
に対し、吸水性樹脂(商品名:アクアリックCA、株式
会社日本触媒製)3部を混合することにより、水処理剤
を得た。
【0048】得られた水処理剤をポリプロピレン製の容
器内に密閉し、常温で4カ月間保存した。その後、保存
したアシネトバクターカルコアセチカス菌およびトユロ
プシスカンジダ菌の混合菌を用いて、参考例1と同様に
して油脂分解試験を行い、ブランクに対する油脂分解率
を求めた。
【0049】その結果、上記保存混合菌の油脂分解率
は、人工汚水のpHが8の場合で67%、pHが6の場合で90
%、pHが4の場合で22%であり、保存前の同混合菌の油
脂分解率と同等の値を示した。また、結果を表1にも記
載した。
【0050】
【表1】
【0051】〔比較例1〕参考 例1にて調製した水分散液、および、参考例2にて
調製した水分散液を、それぞれポリプロピレン製の容器
内に密閉し、常温で保存したところ、保存開始後2日目
に微生物の死骸と思われる沈殿物がこれら容器の底に生
成し、アシネトバクターカルコアセチカス菌、および、
トユロプシスカンジダ菌は死滅した。
【0052】〔比較例2〕参考 例1にて調製した水分散液、および、参考例2にて
調製した水分散液を、それぞれポリプロピレン製の容器
内に入れ、内部の空気を窒素置換して密閉し、常温で保
存したところ、保存開始後4日目に微生物の死骸と思わ
れる沈殿物がこれら容器の底に生成し、アシネトバクタ
ーカルコアセチカス菌、および、トユロプシスカンジダ
菌は死滅した。
【0053】上記の参考例1・2、実施例1ないし実施
、および、比較例1・2の結果から明らかなよう
に、本発明にかかる水処理剤は、好気性微生物をその活
性を維持したまま、長期間にわたって常温で簡便に保存
することにより、好気性微生物を培養して増殖させる作
業を省略することができ、かつ、高効率で水処理を行う
ことが可能であることがわかる。
【0054】
【発明の効果】上記の構成によれば、吸水性樹脂粒子の
表面に保持された好気性微生物は、吸水することにより
ゲル化して膨潤した吸水性樹脂粒子が互いに密着状態と
なるので、その周囲がこれら吸水性樹脂粒子により取り
囲まれる。このため、好気性条件下での水処理において
好適に使用される好気性微生物は、空気中の酸素から遮
断されると共に乾燥から保護される。従って、好気性微
生物をその活性を維持したまま、長期間(例えば数カ月
間)にわたって常温で簡便にかつ多量に保存することに
より、好気性微生物を培養して増殖させる作業を省略す
ることが可能となり、かつ、高効率で水処理を行うこと
ができる。
【0055】これにより、本発明の水処理剤は、好気性
微生物を予備培養しなくとも直ちに使用することがで
き、また、その水処理効率を従来よりも向上させること
ができる。さらに、本発明の水処理剤を用いることによ
り、多量の好気性微生物を容易に運搬することができ
る。
【0056】らに、本発明の水処理剤においては、
気性微生物がアシネトバクター属およびカンジダ属から
なっているので、一層高効率で水処理を行うことができ
る。その上、アシネトバクター属およびカンジダ属をそ
の重量比が 1/9以上、 9/1以下となるように混合するこ
とにより、これら好気性微生物を各々単独で使用する場
合と比較して、広範囲のpHにわたって高効率で水処理を
行うことが可能となる。
【0057】尚、上記構成の水処理剤は、例えば、好気
性微生物を分散させた水分散液を調製し、この水分散液
に吸水性樹脂粒子を混合するという簡単な操作を行うだ
けで、時間をかけずに低コストで得られる。さらに、水
分散液1ml当たりの好気性微生物の個体数を10 3
以上にすると、好気性微生物を吸水性樹脂粒子の表面に
高密度で保持することができる。
【0058】従って、上記構成の水処理剤は、好気性微
生物の活性を維持したままで長期間にわたって常温で多
量に保存することができると共に、好気性条件下での水
処理に好適に利用されるという効果を奏する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:01) C12R 1:72 (C12N 1/20 C12R 1:72) (72)発明者 阪野 公一 東京都千代田区内幸町1丁目2番2号 株式会社日本触媒内 (56)参考文献 特開 平2−203785(JP,A) 特開 平4−135481(JP,A) 特開 昭61−158786(JP,A) 特開 平3−229695(JP,A) 特開 平4−229174(JP,A) 特開 平4−171098(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 11/08 C02F 3/00 C02F 3/10 C12N 1/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】好気性条件下での水処理に供される水処理
    剤であって、 ゲル化した複数の吸水性樹脂粒子の表面にアシネトバク
    ター属およびカンジダ属からなる好気性微生物が保持さ
    れ、かつ、上記吸水性樹脂粒子が互いに密着状態とされ
    ていることを特徴とする水処理剤。
  2. 【請求項2】アシネトバクター属とカンジダ属との重量
    比が 1/9以上、 9/1以下であることを特徴とする請求項
    1記載の水処理剤。
  3. 【請求項3】上記好気性微生物を1ml当たり10 3
    以上含む水分散液を調製し、該水分散液に上記吸水性樹
    脂粒子を混合して製造されることを特徴とする請求項1
    または2記載の水処理剤。
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