JP3506263B2 - 微生物保存剤 - Google Patents

微生物保存剤

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  • Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物をその活性を維
持したままで保存する微生物保存剤に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、微生物の保存方法として、例
えば凍結乾燥、冷凍保存、冷蔵保存等の低温で保存する
方法が知られている。ところが、これら方法は、少量の
微生物を保存するには適しているものの、多量の微生物
を保存するには低温にするためのエネルギーコストが嵩
むと共に、その工程および操作が煩雑となる。また、常
時、低温状態で取り扱わなければならないため、例えば
運搬等が不便である。従って、上記の保存方法は、工業
的並びに商業的規模で実施するのに適した方法ではな
い。
【0003】そこで、近年、多量の微生物を常温で保存
するための微生物保存剤が種々検討されている。例え
ば、特公平 1-30476号公報には、微生物を分散させた水
分散液と吸水性樹脂とを攪拌混合して吸水性樹脂に微生
物を含む上記水分散液を吸収させた後、この吸水性樹脂
を多価金属塩溶液と接触させ、水の放出および架橋反応
を行わせることにより得られる微生物保存剤(上記公報
においては固定化微生物と称されている)が示されてい
る。上記の微生物保存剤は、吸水性樹脂内部の細孔に微
生物を閉じ込めることにより固定化しているので、微生
物を常温で保存することが可能となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、微生物
を閉じ込める吸水性樹脂内部の細孔の大きさは、通常1
ミクロン程度であり、従って、上記従来の微生物保存剤
は、保存可能な微生物の大きさが1ミクロン以下に限定
されるという問題点を有している。また、上記従来の微
生物保存剤は、微生物を吸水性樹脂内部の細孔に閉じ込
める際に、吸水性樹脂を多価金属塩溶液と接触させ、水
の放出および架橋反応を行わなければならず、また、反
応後に多価金属塩を除去するために吸水性樹脂を水洗す
る必要があるので、製造工程および操作が煩雑となると
共に、製造に時間がかかるという問題点も有している。
【0005】本発明の目的は、上述した問題点を解決
し、簡単な操作でしかも時間をかけずに低コストで製造
することができ、微生物をその活性を維持したまま、常
温で簡便にかつ多量に保存することが可能な微生物保存
剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、微生物
をその活性を維持したまま、常温で簡便にかつ多量に保
存することが可能な微生物保存剤について鋭意検討した
結果、ゲル化した複数の吸水性樹脂粒子の表面に微生物
を保持し、これら吸水性樹脂粒子を互いに密着させるこ
とにより、微生物が長期間にわたって保存されることを
見い出すと共に、上記吸水性樹脂粒子全体を遮断材で酸
素から遮断することにより、より一層安定的に微生物が
保存されることを確認して、本発明を完成させるに至っ
た。
【0007】即ち、本発明は、ゲル化した複数の吸水性
樹脂粒子の表面に微生物が保持され、かつ、上記吸水性
樹脂粒子が互いに密着状態とされ、さらに、上記吸水性
樹脂粒子全体を酸素から遮断する遮断材を備えているこ
とを特徴としている。また、上記微生物の大きさが1ミ
クロン以上であることを特徴としている。また、本発明
の微生物保存剤は、上記微生物を1ml当たり10 3
以上含む水分散液を調製し、該水分散液に上記吸水性樹
脂粒子を混合して製造されることを特徴としている。
【0008】以下に本発明を詳しく説明する。
【0009】本発明において用いられる吸水性樹脂は、
自重の10〜1000倍の純水を吸収する吸水能(=最大に吸
水したときの水の重量/吸水性樹脂の重量)を有するも
のであれば、特に限定されるものではない。従って、本
発明においては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性
等の親水性官能基を有する親水性架橋重合体を使用する
ことができる。具体的には、例えば、カルボキシメチル
セルロースの架橋物、澱粉−アクリロニトリルグラフト
共重合体の加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフト共重
合体の中和物、ポリ(メタ)アクリル酸塩重合体の架橋
物、ポリアクリル酸の部分中和物の架橋物、イソブチレ
ン−無水マレイン酸共重合体の架橋物、酢酸ビニル−ア
クリル酸エステル共重合体の鹸化物、アクリロニトリル
共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物
またはこれらの架橋物、スルホン基含有重合体の架橋
物、ポリエチレンオキサイドやポリエチレンイミンの架
橋物等を挙げることができる。これら吸水性樹脂のう
ち、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体の中和物、ポリ
アクリル酸の部分中和物の架橋物、およびスルホン基含
有重合体の架橋物が好ましい。勿論、上記吸水性樹脂の
市販品を使用することも可能である。上記吸水性樹脂
は、吸水することによりゲル化して膨潤する。
【0010】吸水性樹脂は、通常入手可能な形状、例え
ば、球状、フレーク状、顆粒状、塊状、フィルム状、繊
維状、ウエブ状、シート状等の何れの形状でも任意に使
用できる。また、その大きさも特に限定されるものでは
ない。さらに、前記吸水性樹脂が一体的に固着された不
織布等を使用してもよい。尚、説明の便宜上、本発明に
おいては、上記の形状を一括して「粒子」と称し、以
下、必要に応じて吸水性樹脂粒子と記すこととする。
【0011】本発明において保存可能な微生物は、特に
限定されるものではないが、例えば、有用産物生産能を
有する各種好気性微生物、および、従来より水処理等の
種々の分野で広範囲に用いられている各種好気性菌が好
ましい。具体的には、例えば、アシネトバクター属 (Ac
inetobacter)、カンジダ属 (Candida)、ノカルジア属(N
ocardia)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、ニトロ
ソモナス属(Nitrosomonas)、アルトロバクター属(Arthr
obacter)、アスペルギルス属 (Aspergillus)、スポロト
リチウム属(Sporotrichum)、ロドコッカス属 (Rhodococ
cus)、フザリウム属(Fusarium)、アクロモバクター属
(Achromobacter)、クロモバクテリウム属(Chromobacter
ium)、マイコバクテリウム属 (Mycobacterium)等の好気
性微生物を挙げることができる。これら微生物は単独で
用いてもよく、勿論、2種類以上の微生物を混合した混
合微生物を用いてもよい。また、保存可能な微生物の大
きさは、特に限定されるものではないが、後述のように
吸水性樹脂粒子の表面に微生物が保持されるように、1
ミクロン以上が好ましい。
【0012】尚、一般に、微生物はその生物学的特性と
して、高等生物に見られない代謝能の強さと、細胞組織
の非常な不安定さとを備えており、また、周囲の環境に
強く影響される。例えば好気性微生物においては、常温
で酸素や多量の水が存在すると生長したり活動が活発と
なるものの、栄養分がないと短時間で死滅する。このた
め、好気性微生物をその活性を維持したままで長期間
(例えば数カ月間)にわたって常温で保存するには、空
気中の酸素や、乾燥から保護するために必要な水以外の
過剰な水を除去することが必要となっている。
【0013】本発明において用いられる遮断材は、吸水
性樹脂粒子全体を空気中の酸素から遮断することが可能
なものであれば、特に限定されるものではない。具体的
には、例えば、酸素を通さない各種合成樹脂製の容器や
袋、フィルム等、および、各種金属製の容器等を挙げる
ことができる。そして、遮断性をさらに向上させるため
に、これら容器や袋等の内部の空気を窒素等の不活性ガ
スで置換して密閉してもよく、また、いわゆる脱酸素剤
を吸水性樹脂と一緒に封入してもよい。さらに、容器等
に充填した吸水性樹脂の上部を、好気性微生物に対して
毒性を全く及ぼさない例えば流動パラフィン等の有機物
で覆ってもよい。勿論、これら3つの手段を併用するこ
とも可能である。
【0014】以下に、本発明にかかる微生物保存剤を製
造する製造方法の一例を示すこととする。
【0015】先ず、保存を所望する例えば好気性微生物
を水に分散させることにより、水分散液を調製する。こ
の水分散液は、従来から行われているいわゆる液体培養
法を用いて得ることができる。尚、このように液体培養
法を用いて水分散液を得た場合には、水分散液に微生物
を培養する際に用いた各種成分が残留するが、これら各
種成分は吸水性樹脂が吸水する際に樹脂内部に取り込ま
れるので、微生物の保存に悪影響を及ぼすおそれはな
い。
【0016】上記水分散液の単位体積当たりの微生物の
個体数は、特に限定されるものではないが、1ml当たり
103 個以上が好ましい。水分散液1ml当たりの微生物の
個体数が103 個未満の場合には、吸水性樹脂粒子の表面
に保持される単位面積当たりの微生物の個体数が少なく
なり、保存効率が低下するので好ましくない。さらに、
水分散液1ml当たりの微生物の個体数を103 個以上にす
ると、微生物が吸水性樹脂粒子の表面に高密度で保持さ
れるので、保存後、微生物の使用時において微生物を予
備培養しなくとも直ちに使用することができ、好適であ
る。
【0017】次に、このように調製された水分散液に吸
水性樹脂粒子を混合する。この際、水分散液1重量部に
対する吸水性樹脂の重量部は、微生物の保存安定性を考
慮すれば、吸水性樹脂粒子がゲル化して膨潤し、かつ、
膨潤した吸水性樹脂粒子が互いに密着するように、水分
散液と吸水性樹脂との重量比を、1/1 以上、100/1 未
満、好ましくは、9/1 以上、100/1 未満とするのが好適
である。
【0018】以上のように、微生物を分散させた水分散
液を調製し、この水分散液に吸水性樹脂粒子を混合する
という簡単な操作を行うだけで、時間をかけずに低コス
トで微生物保存剤が得られる。そして、吸水性樹脂粒子
の表面に保持された微生物は、吸水することによりゲル
化して膨潤した吸水性樹脂粒子が互いに密着状態となる
ので、その周囲がこれら吸水性樹脂粒子により取り囲ま
れる。このため、微生物は、空気中の酸素から遮断され
ると共に乾燥から保護され、例えば仮死状態となって保
存される。
【0019】尚、微生物は吸水性樹脂粒子の表面に保持
されているので、例えば微生物を微生物保存剤から取り
出すときには、微生物保存剤を水洗するだけで微生物と
吸水性樹脂粒子とを分離することができる。
【0020】本発明の微生物保存剤により、例えば油分
解や水処理、脱臭等の環境対策、アルコール醗酵やアミ
ノ酸醗酵等の食品工業、クエン酸醗酵やイタコン酸醗酵
等の化学工業等、各種用途に用いられる微生物をその活
性を維持したまま、常温で簡便にかつ多量に保存するこ
とが可能となる。また、本発明の微生物保存剤を用いる
ことにより、多量の微生物を容易に運搬することができ
る。
【0021】
【作用】上記の構成によれば、吸水性樹脂粒子の表面に
保持された微生物は、吸水することによりゲル化して膨
潤した吸水性樹脂粒子が互いに密着状態となるので、そ
の周囲がこれら吸水性樹脂粒子により取り囲まれる。こ
のため、微生物は、空気中の酸素から遮断されると共に
乾燥から保護される。従って、微生物をその活性を維持
したまま、長期間(例えば数カ月間)にわたって常温で
簡便にかつ多量に保存することが可能となる。また、多
量の微生物を容易に運搬することが可能となる。
【0022】また、上記の構成によれば、吸水性樹脂粒
子全体を酸素から遮断する遮断材を備えているので、よ
り一層安定的に微生物を保存することが可能となる。
【0023】また、上記の構成によれば、1ミクロン以
上の大きさの微生物をその活性を維持したまま、長期間
にわたって常温で簡便にかつ多量に保存することが可能
となる。
【0024】尚、上記構成の微生物保存剤は、例えば、
微生物を分散させた水分散液を調製し、この水分散液に
吸水性樹脂粒子を混合するという簡単な操作を行うだけ
で、時間をかけずに低コストで得られる。
【0025】以下、実施例および比較例により、本発明
をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何
ら限定されるものではない。尚、以下の説明において
は、特に断りのない限り、部は重量部を、%は重量%を
それぞれ表すものとする。
【0026】
【実施例】
〔実施例1〕液体培養法を用い、下記に示す成分を含有
する水溶液に保存を所望する微生物としてアシネトバク
ターカルコアセチカス菌 (Acinetobacter calcoaceticu
s)を分散させることにより、1ml当たり3×107 個の菌
数を有する水分散液を調製した。上記の成分は、オリー
ブ油 2.0%、硫酸アンモニウム 0.6%、リン酸二ナトリ
ウム12水和物 0.6%、リン酸一カリウム 0.4%、硫酸マ
グネシウム7水和物 0.001%、硫酸第一鉄 0.001%、塩
化カルシウム2水和物 0.001%、モルツ浸出液0.1%、
および酵母抽出液 0.1%であり、水溶液のpHは 6.8であ
った。
【0027】上記のようにして調製した水分散液 100部
に対し、吸水性樹脂(商品名:アクアリックCA、株式
会社日本触媒製)3部を混合することにより、微生物保
存剤を得た。
【0028】得られた微生物保存剤をポリプロピレン製
の容器内に密閉し、常温で2カ月間保存した。その後、
保存したアシネトバクターカルコアセチカス菌を用いて
油脂分解試験を行ったところ、上記保存菌の油脂分解率
は、保存前の同菌の油脂分解率と同等の値を示した。
【0029】また、得られた微生物保存剤をポリプロピ
レン製の容器内に入れ、内部の空気を窒素置換して密閉
し、常温で4カ月間保存した。その後、保存したアシネ
トバクターカルコアセチカス菌を用いて油脂分解試験を
行ったところ、上記保存菌の油脂分解率は、保存前の同
菌の油脂分解率と同等の値を示した。
【0030】〔実施例2〕液体培養法を用い、下記に示
す成分を含有する水溶液に保存を所望する微生物として
トユロプシスカンジダ菌 (Toyulopusis candida)を分散
させることにより、1ml当たり3×107 個の菌数を有す
る水分散液を調製した。上記の成分は、オリーブ油 2.0
%、硫酸アンモニウム 0.6%、リン酸二ナトリウム12水
和物0.03%、リン酸一カリウム0.47%、硫酸マグネシウ
ム7水和物 0.1%、硫酸第一鉄 0.001%、塩化カルシウ
ム2水和物 0.001%、モルツ浸出液 0.1%、酵母抽出液
0.1%、ポリペプトン 0.1%、および硫酸マンガン4水
和物 0.001%であり、水溶液のpHは 5.5であった。
【0031】上記のようにして調製した水分散液 100部
に対し、吸水性樹脂(商品名:アクアリックCA、株式
会社日本触媒製)3部を混合することにより、微生物保
存剤を得た。
【0032】得られた微生物保存剤をポリプロピレン製
の容器内に密閉し、常温で2カ月間保存した。その後、
保存したトユロプシスカンジダ菌を用いて油脂分解試験
を行ったところ、上記保存菌の油脂分解率は、保存前の
同菌の油脂分解率と同等の値を示した。
【0033】また、得られた微生物保存剤をポリプロピ
レン製の容器内に入れ、内部の空気を窒素置換して密閉
し、常温で4カ月間保存した。その後、保存したトユロ
プシスカンジダ菌を用いて油脂分解試験を行ったとこ
ろ、上記保存菌の油脂分解率は、保存前の同菌の油脂分
解率と同等の値を示した。
【0034】〔実施例3〕実施例1にて調製した水分散
液25部と、実施例2にて調製した水分散液75部とを混合
して得られた混合液 100部に対し、吸水性樹脂(商品
名:アクアリックCA、株式会社日本触媒製)3部を混
合することにより、微生物保存剤を得た。
【0035】得られた微生物保存剤をポリプロピレン製
の容器内に密閉し、常温で2カ月間保存した。その後、
保存したアシネトバクターカルコアセチカス菌およびト
ユロプシスカンジダ菌の混合菌を用いて油脂分解試験を
行ったところ、上記保存混合菌の油脂分解率は、保存前
の同混合菌の油脂分解率と同等の値を示した。
【0036】また、得られた微生物保存剤をポリプロピ
レン製の容器内に入れ、内部の空気を窒素置換して密閉
し、常温で4カ月間保存した。その後、保存したアシネ
トバクターカルコアセチカス菌およびトユロプシスカン
ジダ菌の混合菌を用いて油脂分解試験を行ったところ、
上記保存混合菌の油脂分解率は、保存前の同混合菌の油
脂分解率と同等の値を示した。
【0037】〔比較例1〕実施例1にて調製した水分散
液、および、実施例2にて調製した水分散液を、それぞ
れポリプロピレン製の容器内に密閉し、常温で保存した
ところ、保存開始後2日目に微生物の死骸と思われる沈
殿物がこれら容器の底に生成し、アシネトバクターカル
コアセチカス菌、および、トユロプシスカンジダ菌は死
滅した。
【0038】〔比較例2〕実施例1にて調製した水分散
液、および、実施例2にて調製した水分散液を、それぞ
れポリプロピレン製の容器内に入れ、内部の空気を窒素
置換して密閉し、常温で保存したところ、保存開始後4
日目に微生物の死骸と思われる沈殿物がこれら容器の底
に生成し、アシネトバクターカルコアセチカス菌、およ
び、トユロプシスカンジダ菌は死滅した。
【0039】上記実施例1・2・3および比較例1・2
の結果から明らかなように、本発明にかかる微生物保存
剤は、微生物をその活性を維持したまま、長期間にわた
って常温で簡便に保存可能であることがわかる。
【0040】
【発明の効果】上記の構成によれば、吸水性樹脂粒子の
表面に保持された微生物は、吸水することによりゲル化
して膨潤した吸水性樹脂粒子が互いに密着状態となるの
で、その周囲がこれら吸水性樹脂粒子により取り囲まれ
る。このため、微生物は、空気中の酸素から遮断される
と共に乾燥から保護される。従って、微生物をその活性
を維持したまま、長期間(例えば数カ月間)にわたって
常温で簡便にかつ多量に保存することが可能となる。ま
た、多量の微生物を容易に運搬することが可能となる。
【0041】また、上記の構成によれば、吸水性樹脂粒
子全体を酸素から遮断する遮断材を備えているので、よ
り一層安定的に微生物を保存することが可能となる。
【0042】また、上記の構成によれば、1ミクロン以
上の大きさの微生物をその活性を維持したまま、長期間
にわたって常温で簡便にかつ多量に保存することが可能
となる。
【0043】尚、上記構成の微生物保存剤は、例えば、
微生物を分散させた水分散液を調製し、この水分散液に
吸水性樹脂粒子を混合するという簡単な操作を行うだけ
で、時間をかけずに低コストで得られる。さらに、水分
散液1ml当たりの微生物の個体数を10 3 個以上にす
ると、微生物が吸水性樹脂粒子の表面に高密度で保持さ
れるので、保存後、微生物の使用時において微生物を予
備培養しなくとも直ちに使用することができる。
【0044】従って、上記構成の微生物保存剤は、微生
物の活性を維持したままで長期間にわたって常温で多量
に保存するために好適に利用されるという効果を奏す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阪野 公一 東京都千代田区内幸町1丁目2番2号 株式会社日本触媒内 (56)参考文献 特開 平2−203785(JP,A) 特開 平4−229174(JP,A) 特開 平4−171098(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/04 C12N 11/06 C02F 3/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゲル化した複数の吸水性樹脂粒子の表面に
    微生物が保持され、かつ、上記吸水性樹脂粒子が互いに
    密着状態とされ、さらに、上記吸水性樹脂粒子全体を酸
    素から遮断する遮断材を備えていることを特徴とする微
    生物保存剤。
  2. 【請求項2】上記微生物の大きさが1ミクロン以上であ
    ことを特徴とする請求項1記載の微生物保存剤。
  3. 【請求項3】上記微生物を1ml当たり10 3 個以上含
    む水分散液を調製し、該水分散液に上記吸水性樹脂粒子
    を混合して製造されることを特徴とする請求項1または
    2記載の微生物保存剤。
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