JP3504795B2 - 水中油型乳化食品 - Google Patents

水中油型乳化食品

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な水中油型乳
化食品に関する。
【0002】
【従来の技術】マヨネーズ類のような乳化食品において
は、風味やコク味の向上を目的として辛子を配合する場
合がある。一方、低カロリー化のニーズに対応するた
め、油脂代替物として澱粉が用いられることも多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、辛子中には澱
粉分解酵素であるアミラーゼが含まれており、これが配
合原料の澱粉を分解してしまい、マヨネーズ類の製品粘
度を著しく低下させ、好ましい品位のものが得られてい
ない。本発明の目的は、澱粉と辛子とが併存しても、保
存中にほとんど粘度低下を起こすことがなく、低カロリ
ーでコク味のある新規な水中油型乳化食品を提供するこ
とである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成しようと、いろいろ検討し、ようやく本発明に到達
した。すなわち本発明の水中油型乳化食品は、油相が4
0%以下で、水相中に澱粉及びアミラーゼ酵素が失活し
た辛子及び/又はコショウを含有してあることを特徴と
する。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明の説明において、以下「%」と表示するの
は全て「重量%」を意味する。本発明において油相が4
0%以下とは、配合されるサラダ油や各種の油性香辛料
といった油性原料の総和が水中油型乳化食品全体の40
%以下であることをいう。
【0006】澱粉とは、コーンスターチ、小麦澱粉、馬
鈴薯澱粉、タピオカ澱粉等の天然澱粉又はリン酸架橋澱
粉、アジピン酸架橋澱粉等の化工澱粉があげられ、これ
らのいづれか単品又は二種類以上の混合品を用いてもよ
い。乳化状態をはじめ全般的な品位の安定性といった点
から、化工澱粉の使用がより好ましい。澱粉の配合量は
全体の1%〜10%の範囲が好ましい。10%を越える
と、乳化食品の粘度値が高くなりすぎて流動性に欠けて
くると共に、食感も糊っぽくなる。一方、1%未満では
乳化食品の粘度値が思うように高くならず、特にマヨネ
ーズ類の性状である適度な粘度値が得られない。
【0007】アミラーゼ酵素が失活した辛子とは、辛子
をホールのまま、又は細かく粉砕した状態で加熱処理す
ることで得られたものである。加熱方法は特に限定され
ないが、最も現実的な方法としては、辛子粉を他の原
料、例えば澱粉、各種の調味料、酸性剤及び清水等と混
ぜた混合液の状態で加熱処理する方法があげられる。な
お、本発明品である水中油型乳化食品を最終的に加熱処
理することで、辛子中のアミラーゼ酵素を失活させる方
法をとってもよい。アミラーゼ酵素の失活程度の調査は
容易であり、例えば、簡便な方法として適量の澱粉糊と
辛子とを均一に混合したものを室温に放置する。そし
て、放置開始時と所定時間後の各粘度値を比較すればよ
い。辛子にアミラーゼ活性があれば、澱粉糊の粘度値は
顕著な低下を示すし、反対に活性が無ければ、粘度値の
目立った変化は起こらない。
【0008】アミラーゼ酵素が失活したコショウとは、
上記した辛子の場合と同様に加熱処理することで得られ
たものであり、アミラーゼ酵素の失活程度も同様に確認
できる。
【0009】なお、水相中には、本発明の目的を損なわ
ない範囲で、油相原料以外の任意の原料を含めることが
できる。例えばガム質(キサンタンガム、タマリンドガ
ム、グアーガム等)、乳化材(全卵、カゼインソーダ
等)、香辛料、調味料(食塩、砂糖、グルタミン酸ソー
ダ、醤油、味噌等)、着色料等が挙げられる。
【0010】卵黄とは、一般市場に流通している液卵
黄、加塩卵黄、冷凍卵黄、乾燥卵黄、又はこれらの卵黄
を適宜二次加工したもの等であっても良い。更に、こう
した卵黄原料の二種類以上を適宜に混合したものであっ
ても良い。
【0011】PH値が3乃至5とは、酢酸、クエン酸、
リンゴ酸等の有機酸、より具体的には食酢や果汁等が水
相中に一定量添加してあり、それを用いた水中油型乳化
食品のPH値が3乃至5の範囲にあることをいう。PH
値が5を越えると、保存性が顕著に劣るようになり、反
対にPH値が3を下回ると、酸味が強くなりすぎて好ま
しくない。
【0012】本発明の水中油型乳化食品を製造するに
は、一般的には、澱粉と辛子粉とを含む水相原料を、予
め80〜95℃に上げて澱粉を糊化させると共に、辛子
粉中のアミラーゼ酵素を失活させた後に冷却し、これと
油相原料とを水中油型に乳化させればよい。乳化の方法
としては、例えば、ミキサーによる粗乳化の後、コロイ
ドミルで仕上げ乳化する等、公知の任意の方法が採用し
得る。
【0013】
【実施例】以下に実施例及び試験例を示すことで、本発
明を更に詳しく説明する。 実施例1 下記の配合に従って調合した辛子粉入り糊状ベースを、
93℃まで昇温して辛子粉中のアミラーゼ酵素を失活さ
せ、次にこれを室温まで冷却した後、同じく下記の総配
合に従って、ミキサーで乳化し、更にコロイドミルを通
して水中油型乳化食品を製造した。なお、水中油型乳化
食品のPH値は4.3であった。 〈*糊状ベースの配合〉 〈総 配 合〉 (原 料) (割合%) (原 料) (割合%) 化工澱粉 2.8 卵 黄 10.0 食 酢 6.0 食 油 35.0 ガム質 0.2 *糊状ベース 55.0 食 塩 3.0 総合計 100.0% グルタミン 0.5 酸ソーダ 辛子粉 0.1 砂 糖 4.0 清 水 残 量 合 計 55.0%
【0014】実施例2 等量の清水で練った辛子粉を70℃に加熱することでア
ミラーゼ酵素を失活させ、辛子原料とした。一方、配合
から辛子粉と一部の清水を除いた状態で93℃まで昇温
した糊状ベースをつくり、これを冷却した後、前記の辛
子原料を混合して一体化させる。次に実施例1と同様に
乳化処理を行い、水中油型乳化食品を製造した。なお、
各原料の最終的な配合割合はすべて実施例1と同じにし
た。
【0015】試験例1 食酢の配合量を加減させた以外は、全て実施例1の配合
及び製法に従って、5種類の本発明品を製造し、容量約
300mlの可撓性容器に充填して、25℃の環境下で
3カ月間の保存試験に供した。この時、食酢の加減は清
水で代替し、本発明品の最終PH値を2.8乃至5.2
の範囲とした。一方、糊状ベースの加熱及び冷却工程が
済んだ後に辛子粉を添加する手順を踏んだ他は、全て実
施例1の配合及び製法に準じて製した糊状ベースを用い
て水中油型乳化食品を4種類つくり比較品とした。この
時、食酢の加減や卵黄の代替としては清水を用いた。な
お、本発明品の場合と同様に容量約300mlの可撓性
容器に充填して25℃による3カ月間の保存試験に供し
た。結果を下の〔表1〕に示す。なお、風味試験は専門
パネーラー10名による評価の平均である。
【0016】
【表1】
【0017】上表の試験結果から明らかなように、本発
明の水中油型乳化食品は、保存中における粘度の目立っ
た低下現象がみられず、日持ちや風味の点でも優れてい
ることが理解できる。
【0018】
【発明の効果】以上の本発明により、澱粉と辛子とが併
存していても、保存中にほとんど粘度低下を起こすこと
が無く、低カロリーでコク味のある水中油型乳化食品が
提供される。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油相が40%以下で、水相中に澱粉及び
    アミラーゼ酵素が失活した辛子及び/又はコショウを含
    有してある水中油型乳化食品。
  2. 【請求項2】 水相中に卵黄を含む請求項1記載の水中
    油型乳化食品。
  3. 【請求項3】 PH値が3乃至5である請求項1又は請
    求項2記載の水中油型乳化食品。
JP02375196A 1996-02-09 1996-02-09 水中油型乳化食品 Expired - Fee Related JP3504795B2 (ja)

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