JP3504524B2 - 検査方法及び診断キット - Google Patents

検査方法及び診断キット

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JP3504524B2
JP3504524B2 JP01892599A JP1892599A JP3504524B2 JP 3504524 B2 JP3504524 B2 JP 3504524B2 JP 01892599 A JP01892599 A JP 01892599A JP 1892599 A JP1892599 A JP 1892599A JP 3504524 B2 JP3504524 B2 JP 3504524B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、涙腺、唾液腺等の
アクアポリン5(以下「AQP5」)が存在する器官の
外分泌物中においてAQP5又はAQP5由来のペプチ
ドを検知することにより該器官を検査する方法、及び、
これを適用し、該器官の病態を診断するための診断方法
に使用する診断キットに関する。AQP5は、水チャン
ネルタンパク質の1種として、既に公知の膜タンパク質
である。
【0002】
【従来の技術】ある種の細胞において、近年、細胞膜を
通した早い水の移動が行われることがわかり、更に、こ
の現象には水を通過させる膜タンパク質が関与している
ことが確認され、各種のこのような膜タンパク質が水チ
ャンネルタンパク質として単離されるに至った。
【0003】このような水チャンネルタンパク質として
は、アクアポリンとして知られているいくつかのタンパ
ク質が単離されている。現在までのところ、哺乳類では
5種類のアクアポリンが知られており、それぞれ、特異
的な器官局在性を示している。
【0004】AQP5は、このような水チャンネルタン
パク質の一つとして、哺乳類の眼(涙腺、角膜上皮組
織)、唾液腺、気管支等に存在していることが知られて
いる(「医学のあゆみ」、173巻、9号、745−7
48頁(1995年);Am.J.Physiol.,
270,C12−C30(1996))。
【0005】AQP5は、リーらによって、ヒト及びラ
ットについて、その遺伝子配列及びアミノ酸配列が報告
されている(J.Biol.Chem.,271巻,8
599−8604頁(1996年))。AQP5は、細
胞膜を貫通する6つのドメインを有し、これらのドメイ
ンを結ぶループ、N末端及びC末端が細胞内に露出して
いると考えられており、そのアミノ酸配列上に、A−キ
ナーゼ、C−キナーゼによるリン酸化部位が存在してお
り、交感神経系−cAMPによる調節を受けている可能
性のあることが報告されている(J.Biol.Che
m.,270巻,1908−1912頁(1995
年))。
【0006】AQP5は、眼の涙腺組織においては、涙
腺腺房細胞及び管腔上皮細胞の頂端細胞膜(apica
l membrane)に特異的に局在することが知ら
れており、涙液の分泌に関与していると考えられている
(Ishida et al.,Biochem.Bi
ophys.Res.Comn.,224巻,1−4頁
(1996年))。
【0007】涙液は、涙腺から分泌され、角結膜上皮を
覆ってこれを湿潤化するとともに涙液中の成分が作用
し、角結膜の機能を維持し障害を防止する役割を果たし
ている。また、唾液は、唾液腺から分泌され、口腔内粘
膜を湿潤化するとともに、含有する消化酵素を食物中に
混合せしめて食物を消化する機能を果たしている。
【0008】このような涙腺や唾液腺は、細菌感染やウ
イルス感染により、感染性の炎症を起こす。また、他の
原因から、腫瘍が生じたり何らかの機能障害が発生す
る。
【0009】例えば、シェーグレン症候群として知られ
ている自己免疫型病態やその他の自己免疫疾患症等によ
り、涙腺組織に障害が発生し、機能障害が起こる。この
ような障害が生じると、多くの場合、リンパ球の浸潤等
の組織異常が発生し、正常な機能を果たすことができな
い状態となる。パソロジー インターナショナル(Pa
thology International,44
巻,559−568頁(1994年))には、シェーグ
レン症候群を呈する病態マウスの唾液腺組織中における
インターロイキンやTNF等のサイトカインの発現昂進
が報告されている。サイエンス(Science,27
6巻,604−607頁(1997年))には、シェー
グレン症候群を呈する病態マウスの唾液腺組織中にα−
ホドリンが特異的に発現することが報告されている。プ
ロシーディングス オブ ナショナルアカデミー オブ
サイエンス USA(Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA,94巻,5767−5771頁
(1997年))には、シェーグレン症候群を呈する病
態マウスの唾液腺組織中においてシステインプロテアー
ゼ活性が上昇することが報告されている。
【0010】しかしながら、涙腺や唾液腺の障害の有無
及びその障害の程度については、これまで検査する適切
な方法がなく、涙液や唾液の分泌に異常を感じた患者が
来診した場合においても、その異常の事実は診断可能で
あるものの、当該事実と涙腺や唾液腺の障害とを直接関
連づける有効な手段は限られており、例えば、生検(b
iopsy)によって組織の一部を採取して検査する方
法が用いられている。しかし、生検は組織の一部を傷つ
けるため、障害をかえって増悪させる危険を伴い、必ず
しも汎用しうる検査方法ではなかった。
【0011】更に、このような唾液腺や涙腺の障害の存
在が判明した後、例えば、抗炎症剤の投与等の治療措置
を講じる上で、当該障害が昂進しているのか治癒に向か
っているのかを知ることは極めて重要であるが、その知
見を得る必要が生じるたびごとに上述のような生検を行
うことは、患者の負担が大きすぎて現実的ではない。し
かしながら、これに代わる有効な検査手段が事実上無
く、従って、当該障害の進行程度を簡便かつ的確に検査
するための手段がなかった。
【0012】上述の報告においても、シェーグレン症候
群を呈する病態に特徴的な代謝上の知見を明らかにする
ものではあるが、唾液腺や涙腺の障害を直接に組織の検
査をすることなく検知する方法を示唆するところは全く
ない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の現状
に鑑みて、涙腺や唾液腺等の障害を的確かつ簡易に検査
し、しかも、被験者に肉体的負担をかけることなく繰り
返し行うことができる検査方法、及び、これを利用した
涙腺や唾液腺等の病態の診断を行うための診断キットを
提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、AQP5が存
在する器官の検査方法であって、上記器官から分泌され
る外分泌物を採取する工程、及び、上記外分泌物中から
AQP5又はAQP5由来のペプチドを検知する工程か
らなる検査方法である。本発明はまた、上記検査方法に
必要な試薬及び器具からなる検査キットでもある。本発
明は更に、涙腺又は唾液腺の病態を診断するための診断
キットであって、涙腺又は唾液腺から分泌された検体を
採取するための器具と、アクアポリン5又はアクアポリ
ン5由来のペプチドを検出するための検出試薬及びその
格納容器と、上記検体と上記検出試薬とを接触させて反
応させるための容器とからなる診断キットでもある。以
下に本発明を詳述する。
【0015】
【発明の実施の形態】検査方法 本発明の検査方法の対象となる器官は、AQP5が存在
する器官である。上記器官の典型的なものとしては、涙
腺及び唾液腺を挙げることができる。上記器官以外であ
っても、外分泌物を採取可能であるかぎり本発明の方法
の対象とすることを妨げるものではない。
【0016】本明細書中、上記「外分泌物」は、対象と
なる器官から体の内外表面に分泌される物質をいうもの
とする。従って、所謂外分泌腺から分泌される物質のみ
ならず、例えば、気管等の粘膜を構成する細胞が排出す
る粘液状物質をも含むものとする。換言すれば、本明細
書中、外分泌物とは、対象となる器官に由来する物質で
あって、外科的手段によることなしに採取することがで
きる物質をいうものである。例えば、対象となる器官が
涙腺である場合は、涙液であり、唾液腺である場合は、
唾液である。また、例えば、気管支等であっても、その
分泌物を非外科的手段で採取可能であれば本発明の方法
を適用することができる。
【0017】上記第一の工程においては、検査対象器官
からの外分泌物を採取する。この採取方法としては特に
限定されず、検査対象器官に応じて適宜の方法を採用す
ることができ、例えば、涙液は、濾紙、脱脂綿、綿糸等
の吸収材に吸収させる方法、涙液を細管に吸引する方法
等を採用することができる。唾液は、例えば、口腔中に
脱脂綿等の吸収材を含ませて吸収する方法等により採取
することができる。
【0018】上記第二の工程においては、採取した上記
外分泌物中からAQP5又はAQP5由来のペプチドを
検知する。本明細書中、「AQP5由来のペプチド」と
は、涙腺、唾液腺等のAQP5が存在する器官や組織の
細胞膜に存在するAQP5から切断されて生じるペプチ
ドであって、抗体と結合して抗原抗体反応を生じること
ができるものをいう。AQP5由来のペプチドとして
は、例えば、細胞膜に埋め込まれていないAQP5の構
造、例えば、ループや末端部分等が切断されて生じるペ
プチド等であって、抗体と結合して抗原抗体反応を生じ
ることができるもの等であってよい。本明細書中、AQ
P5及びAQP5由来のペプチドを纏めて「AQP5タ
ンパク質」と称する。上記AQP5は、膜タンパク質で
あって本来は細胞膜に固定されており、細胞外に出現す
ることはない。しかしながら、AQP5が存在する器官
において、AQP5タンパク質が、上記器官の組織に障
害が発生した場合に、後に詳述するように、外分泌物中
に出現するに到る。上記器官の組織の障害によってAQ
P5タンパク質が漏出する機作は必ずしも明らかではな
いが、単核球の浸潤にともなって、細胞膜の正常な構造
に変化が生じ、膜に固定されていたAQP5が脱離した
り、また、AQP5が切断されたりして出現するものと
考えられる。アクアポリンについては、アクアポリン2
の尿中排泄と腎臓障害との関連が報告されている(J.
Clin.Endocrinol Eetab(UNI
TED STATES),Jun 1997年,82
(6)巻,1823−7頁)。しかしながら、器官局在
性が異なるAQP5については、本発明者らによって始
めて上述の事実が確認された。本発明は、この新規発見
を一つの端緒として完成されたものである。
【0019】AQP5タンパク質の検知方法としては特
に限定されず、微量のタンパク質を検出する周知の方法
に適宜に公知の変形を加えて応用することができる。例
えば、検体をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
にかけ、含有するタンパク質やペプチドを展開、分離し
た後、抗原抗体反応を利用するならば、特定のタンパク
質やペプチドの存在を検知することができる。この場
合、電気泳動されたタンパク質やペプチドをニトロセル
ロース膜上に転写し、転写されたタンパク質やペプチド
に、抗AQP5抗体を作用させ、標識したプロテインA
や抗IgG抗体等を用いて検出するウェスタンブロット
法を好適に使用することができる。
【0020】上記標識としては、例えば、放射性同位
体、蛍光物質、紫外線又は可視光線吸収物質、フェリチ
ン、酵素、これらの組み合わせ等であってよい。これら
のうち、蛍光物質、酵素又はこれらの組み合わせが好ま
しい。上記蛍光物質としては特に限定されず、例えば、
フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、テキ
サスレッド、ルシファーイエロー、カスケードブルー、
フィコエリスリン、エオシン、ビオチン等を挙げること
ができる。
【0021】上記酵素としては特に限定されないが、容
易に検出可能な信号を発する反応系を構築することがで
きるペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、チロ
シナーゼ、酸性ホスファターゼ、アルカリ性ホスファタ
ーゼ等を挙げることができる。上記信号は、反応系に応
じて、又は、蛍光物質との組み合わせに応じて、電気
的、光学的、化学的形態を取りうる。
【0022】上記酵素がペルオキシダーゼである場合
は、 H22 +AH2 →2H2 O+A の反応を触媒する。但し、AH2 は、還元型の化合物を
表し、Aは酸化型の化合物を表す。この化合物として、
例えば、酸化により化学発光する、ルミノール等の物質
を使用するならば、上記反応による発光を検出する適当
な手段、例えば、感光性フィルム等により検知すること
ができる。このような化学発光を利用する方法によれ
ば、1pg程度の抗AQP5抗体検出感度を達成するこ
とができる。
【0023】また、テトラメチルベンチジン等の、酸化
により発色若しくは変色する物質を使用するか、又は、
オルトフェニレンジアミンジイドクロリド等を使用して
上記反応と発色若しくは変色反応とを組み合わせたなら
ば、発色又は変色を観察することにより、目的物質を検
出することができる。
【0024】上記抗AQP5抗体は、AQP5タンパク
質を抗原として得られるものである。上記AQP5タン
パク質としては、AQP5自体であってもよく、その一
部であるペプチドであってもよい。この場合、タンパク
質の疎水性領域は、一般的にはタンパク質の三次元構造
の内部に位置するので、抗体が認識する部位としては好
ましくないと考えられる。従って、疎水性領域を含まな
いアミノ酸配列部分を使用することが好ましい。このよ
うな疎水性領域を含まないアミノ酸配列部分は、既知の
AQP5のアミノ酸配列から、タンパク質化学の知見に
基づいて容易に知ることができる。上記AQP5タンパ
ク質としてAQP5の一部であるペプチドを使用して得
られた抗AQP5抗体は、AQP5と特異的に結合する
のみならず、抗原として使用したペプチドとも特異的に
結合することができる。AQP5由来のペプチドの検出
を目的とする場合には、目的とするペプチドを抗原とし
て得られた抗AQP5抗体を使用することが好ましい。
【0025】上記ペプチドの調製方法としては特に限定
されず、例えば、ペプチド合成装置等により固相上でペ
プチドを合成する方法、担体を用いない液相法によって
合成する方法等の従来公知のペプチド合成方法等を使用
することができる。また、このペプチドをコードするc
DNAをベクターに組み込み、その形質転換体を発現さ
せてペプチドを得る方法等の遺伝子工学的手法を利用し
たり、AQP5タンパク質を適当なプロテアーゼによっ
て加水分解して得ることも可能である。
【0026】上記方法によって調製したペプチドは、逆
相カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー等の公知
の精製方法によって精製することができ、更に、エドマ
ン法を利用したアミノ酸配列分析装置等によってそのア
ミノ酸配列を確認することができる。
【0027】このようなAQP5タンパク質を、適当な
哺乳動物、例えば、ウサギ等に接種して免疫した後、抗
血清を採取し、IgG分画を取得することにより、目的
の抗AQP5抗体を得ることができる。この場合、ヒト
由来AQP5タンパク質を免疫源として使用すれば、抗
ヒトAQP5抗体が生成される。ヒトの器官の検査用に
は、抗ヒトAQP5抗体を使用することが好ましいが、
他の動物のAQP5であっても、アミノ酸配列が同一又
は近似である部位のペプチドを免疫源として使用するな
らば、ヒトの器官からの検体の検査に使用可能である場
合があり、ヒトの器官の検査用であっても、このような
免疫源の使用を排除するものではない。
【0028】本検査方法は、上記各工程の実行を妨げ
ず、かつ、本発明の目的を阻害しないかぎり他の工程を
含んでいてもよい。上記検査方法に必要な上述の試薬及
び器具を組み合わせることにより、AQP5を有する器
官の検査キットとすることができる。
【0029】診断キット 本発明の検査方法を利用して、AQP5をその組織細胞
膜中に有する涙腺や唾液腺等の器官や組織の病状を診断
するための診断方法に使用することができる診断キット
を作製することができる。上記診断キットは、上述の本
発明の検査方法を実行するために必要な試薬を、好まし
くは予め所要量だけ分包しておき、不溶性支持体や専用
容器等に検体とともに添加することにより、容易かつ簡
便に特別に習熟を要することなく正確な結果を得ること
ができるように、複数の要素を組み合わせてなるもので
ある。
【0030】上記要素としては、検体中のAQP5タン
パク質を検出する方法によって異なるが、一般には、試
薬及び検体を採取するための器具、上記試薬を格納する
ための容器、上記試薬を反応させるための容器を含む。
上記試薬は、AQP5タンパク質の存在を検出し、か
つ、AQP5タンパク質が存在しないときにはAQP5
タンパク質が存在するときの指標を発しない反応系を構
築することができるものである。換言すれば、AQP5
タンパク質の存在又は非存在に対応して区別可能な信号
を検出することができる試薬である。好ましくはAQP
5タンパク質を特異的に認識するための一つ又は複数の
物質を含む試薬である。このような試薬としては、例え
ば、抗AQP5抗体と、上記抗AQP5抗体とAQP5
タンパク質との結合体を検出することができる標識とか
らなる試薬であってよい。上記標識は、目的物を検知す
るために、物理的又は化学的手段で検出可能な信号を発
することができるような適当な標識手段であってよい
が、検出が簡便に行えるので、蛍光物質、酵素が好まし
い。上記蛍光物質、酵素としては特に限定されず、いず
れも上述のものを好適に使用することができる。
【0031】上記酵素がペルオキシダーゼである場合
は、酸化により発色若しくは変色する物質を使用する
か、又は、上記反応と発色若しくは変色反応とを組み合
わせて、発色又は変色を観察することにより、目的物質
を検出することができる。
【0032】上記AQP5タンパク質と抗AQP5抗体
との結合体を検出するにあたっては、検体中に極微量存
在するAQP5タンパク質の検出を的確かつ効率よく行
う必要があることに留意すべきであって、そのために
は、AQP5タンパク質と抗AQP5抗体との結合体を
局在化させて検出することが好ましい。この局在化のた
めには、(1)抗AQP5抗体との反応に先立って予め
検体中のAQP5タンパク質を適当な不溶性支持体上に
非拡散的に吸着させること、(2)抗AQP5抗体との
反応に先立って予め検体中のAQP5タンパク質を適当
な方法で不溶性支持体上に分離濃縮すること、が好まし
い。
【0033】上記(1)の方法としては、例えば、涙液
や唾液等をろ紙、綿糸、セルロース膜等の不溶性支持体
上に直接採取する方法であってよい。その際、支持体上
で毛管現象により分離濃縮される効果を期待することも
可能である。上記(2)の方法としては、涙液等を採取
した後、SDS−ゲル電気泳動法等の適当な手段によっ
てゲル上に検体を展開し、ゲルの特定部分にAQP5タ
ンパク質を局在化させてもよい。上記(1)の方法は、
装置及び操作の簡便性に優れるので、簡易な方法を提供
することができる利点がある。
【0034】上記(1)の方法を採用した場合、不溶性
支持体上のAQP5タンパク質を検出するには、多糖類
ゲル等の適当な不溶性支持担体上に固定した抗AQP5
抗体を、AQP5タンパク質を吸着した上記支持体と密
着させてAQP5タンパク質と結合させ、上記支持担体
上にAQP5タンパク質を移行させ、その後、上記支持
担体上のAQP5タンパク質を、標識を持つ第二の抗A
QP5抗体によって検出することができる。
【0035】例えば、先ず、上記標識を持つ第二の抗A
QP5抗体を予め、例えば、セルロース膜等の適当な不
溶性担体上に均一に塗布しておき、これをAQP5タン
パク質を結合した上記支持担体と密着させることによ
り、局在するAQP5タンパク質と上記標識を持つ第二
の抗AQP5抗体とをその局在部位において結合させ
る。この方法の有利な点は、AQP5タンパク質に結合
した第二の抗AQP5抗体と、AQP5タンパク質に結
合していない第二の抗AQP5抗体とを、密着させた両
方の担体を離すことにより、容易に分離することができ
る点にある。また、検出対象であるAQP5タンパク質
が、予めある程度局在化され、濃縮されている効果を利
用できることにもある。従って、標識の検出において
も、実質的に溶媒を使用しないことが、この効果を有利
に利用する点で好ましい。例えば、呈色反応系を構成す
る化合物であって、標識酵素の基質となるものを少量の
緩衝液とともに吸収性の不溶性支持体に含ませたもの
と、上記標識酵素を持つ第二の抗AQP5抗体を担持す
る支持担体とを密着させ、AQP5タンパク質の局在部
位において呈色させる方法を採用することができる。
【0036】上記第二の抗AQP5抗体は、上記第一の
抗体と同一の抗体を酵素標識したものであってもよく、
上記第一の抗体と異なる抗体であってもよい。一般的に
は、AQP5の異なる部位のペプチドを認識する抗体で
あることが好ましい。
【0037】なお、上述の標識を持つ第二の抗AQP5
抗体を利用する検出方法は、検体を固相上に固定する上
記(1)の方法との組み合わせのみならず、涙液や唾液
等をろ紙、綿糸、脱脂綿、セルロース膜等に採取した
後、適当な緩衝液にAQP5タンパク質を溶出した検体
に適用することができることは言うまでもない。この場
合は、上記AQP5タンパク質を溶解した緩衝液を、抗
AQP5抗体を固定したマイクロプレート等に注入し、
AQP5タンパク質をいったん抗AQP5抗体上に結合
させ、その後、上記標識を持つ第二の抗AQP5抗体を
注入してAQP5タンパク質に結合させ、標識を検知す
ればよい。
【0038】上述の方法は、検知対象であるAQP5タ
ンパク質に対して第二の抗AQP5抗体を使用するもの
である。一方、抗AQP5抗体に対する抗体を第二の抗
体として使用することもできる。この場合は、検知対象
であるAQP5タンパク質を、ポリアクリルアミドゲル
やセルロース膜等の適当な不溶性支持体上に、好ましく
は局在的に、担持させ、第一の抗体として抗AQP5抗
体を結合させ、この抗AQP5抗体を上記抗AQP5抗
体に対する第二の抗体によって検出する。上記第二の抗
体は、上記第一の抗体がIgGサブクラスであるから、
IgGに対する抗体であってよい。この方法は、抗AQ
P5抗体の使用量を少なくすることができる利点を持
つ。
【0039】検知対象であるAQP5タンパク質を支持
体上に担持させるには、上述したろ紙、綿糸、脱脂綿、
セルロース膜等の吸着性支持体上に直接採取する方法で
あってよいが、上記(2)の方法を好適に適用すること
ができる。この場合、SDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動法等の適当な手段によってゲル上に検体を展開
した後、AQP5タンパク質が局在する部分をニトロセ
ルロース膜等に転写させたものが好ましい。上記転写膜
に抗AQP5抗体を反応させて膜上に存在するAQP5
タンパク質と結合させ、次に、好ましくは標識された、
上記抗AQP5抗体に対する抗体を第二の抗体として結
合させる。この手法は、ウェスタンブロティング法とし
て周知である。
【0040】上記診断キットは、上記試薬に加えて、上
述の検体採取器具、上述の支持体、担体等、及び、上記
試薬の格納や、反応操作を行うための専用容器等を含
む。
【0041】
【実施例】以下に実験例、実施例等を掲げて本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれらのみに限定される
ものではない。
【0042】実験例1 抗ラットAQP5ウサギ抗体
(IgG分画)の調製 AQP5タンパクC末端を認識する抗体を以下の方法で
調製した。 (1)抗AQP5ペプチド抗血清の調製 ラットAQP5タンパク質アミノ酸配列のC末端領域の
うち、アミノ酸配列番号241〜256番目に相当する
アミノ酸配列を有するペプチドをペプチド合成装置によ
り固相法で合成した。このペプチドのアミノ酸配列を配
列表のアミノ酸配列番号1に示した。このアミノ酸配列
番号1のうち、1〜15番目は、ラットAQP5タンパ
ク質アミノ酸配列番号241〜256番目に相当する。
【0043】得られたペプチドは、ヘモシアニン(KL
H;Keyhole LimpetHemocyani
n)とコンジュゲートさせた。アミノ酸分析の結果か
ら、コンジュゲート1.0mgあたり173〜186n
molのペプチドが含まれていることが判明した。ウサ
ギには、このコンジュゲートをアジュバントと混合後に
接種し、免疫した。抗体価の上昇をELISA法で確認
した後、全採血し抗血清を分離した。
【0044】(2)IgG分画の調製 IgG分画の精製は、MAbTrapGIIキット(商
品名)(ファルマシア社製)を使用した。上述により得
られたウサギ抗血清をポアサイズ0.45μmのメンブ
ランフィルターで濾過後、HiTrap Protei
n G column(商品名)(ファルマシア社製)
で処理しIgG分画を得た。得られたIgGはりん酸緩
衝液で中和後、−20℃で保存した。なお、分離したI
gGの一部は、SDS−PAGEによって、以下のとお
り、精製の成否の確認に用いた。
【0045】(3)SDS−PAGEの実行 電気泳動は、カセット電気泳動槽(Model DPE
−2201、第一化学薬品社製)を使用した。ゲルプレ
ートは、マルチゲル10/20(商品名)(10−20
%ポリアクリルアミドグラジエントゲル、第一化学薬品
社製)を使用した。通電は、電気泳動用電源装置(フナ
コシ社製)を用い、定電流(max.40mA/プレー
ト)条件下で行った。試料は全てサンプルバッファー
(0.0625Mトリス塩酸、2%SDS、10%グリ
セロール、5%2−メルカプトエタノール及び0.01
%BPB混合溶液)に溶解し、5分間煮沸後、ゲルに1
0μl注入した。泳動用緩衝液は、0.025Mトリス
塩酸、0.192Mグリシン及び0.1%SDSの混合
溶液を使用した。なお、泳動に際して分子量マーカー
(Prestained SDS−PAGE Stan
dard Low range(商品名)、BioRa
d社製)も同時に泳動させた。泳動終了後、ゲルをクマ
シーブルー染色してタンパク質を検出した。その結果、
52kDa付近に単一バンドを認めるのみであり、Ig
G分画は充分に精製されていることが確認された。
【0046】実施例1 マウス涙液中のAQP5タンパ
ク質の検出 涙腺組織の障害に伴ってAQP5タンパク質が涙液中に
漏出するか否かを、シェーグレン症候群様の自己免疫性
涙腺組織障害を惹起する病態マウスを用いて以下のとお
り検証した。 (1)刺激分泌涙液の採取 病態マウスとしては、シェーグレン症候群様の自己免疫
性涙腺組織障害を惹起することが知られているMRL/
lprマウス(24週齢雌性)、NFS/S−TXマウ
ス(生後3日目に胸腺を摘出し涙腺障害を惹起している
マウス;10週齢雌性)を使用した。TX群の対照とし
ては、胸腺を摘出していないNFS/S−nonTXマ
ウス(10週齢雌性)を使用した。また、正常マウスと
してBALB/cマウス(7週齢雌性)を使用した。
【0047】これらの各マウスから、ネンブタール麻酔
下(ペントバルビタール65mg/kg、i.p.)
に、以下の方法で涙液を採取した。すなわち、正向反射
消失確認後、0.005%ピロカルピン−saline
溶液を体重10gあたり0.1mg皮下投与し、その
後、10分間隔で3回、両眼下眼瞼にフェノールレッド
綿糸(ゾーンクイック(商品名)、昭和薬品化工社製)
を1分間挿入し、涙液を綿糸に吸着させた。涙液の吸着
により赤色に呈色した綿糸部分を切り取り、その長さを
計測後、各綿糸を各固体別に1.5mlマイクロチュー
ブ内に入れ、−20℃で保存した。
【0048】(2)AQP5タンパク質の検出 採取した綿糸の入ったマイクロチューブに、SDS−P
AGE用サンプルバッファー(0.0625Mトリス塩
酸、2%SDS、10%グリセロール、5%2−メルカ
プトエタノール及び0.01%BPB混合溶液)を綿糸
1mmあたり1μl添加し、95℃で5分間熱処理する
ことにより、涙液タンパク質を溶出させた。この溶出液
10μlをマルチゲル10/20(商品名)(10−2
0%ポリアクリルアミドグラジエントゲル、第一化学薬
品社製)に注入し、常法によりSDS−PAGEを実行
した。電気泳動終了後、PVDF膜(Immobilo
n−P(商品名)、ミリポア社製)に涙液タンパク質を
転写後、実験例1で調製したウサギ抗ラットAQP5抗
体を一次抗体とし、二次抗体として西洋わさびペルオキ
シダーゼ(Horseradish Peroxida
se(HRP))標識抗ウサギIgG抗体(ファルマシ
ア社製)を使用してウエスタンブロット法にてAQP5
タンパク質の検出を行った。検出は、ECL dete
ction Kit(商品名)(ファルマシア社製)を
使用し、enhanced chemilumines
cence(ECL)法を用いた。結果を図1に示し
た。
【0049】(3)マウス涙腺病理標本の作製 MRL/lprマウス及びBALB/cマウスについて
は、涙液採取後、眼窩外涙腺を摘出した。摘出した涙腺
は、常法によりパラフィン包埋後、ミクロトームにて薄
切片を作製し、ヘマトキシリン−エオシン(H.E.)
染色を施し、組織障害の有無を観察した。
【0050】(4)結果 図2に示すように、MRL/lprマウス(24週齢雌
性)、NFS/S−TXマウス(10週齢雌性)の涙液
中には、28kDa付近にAQP5タンパク質を検出し
た。一方、NFS/S−nonTXマウス(10週齢雌
性)は、胸腺摘出を行っていないマウスであるが、その
涙液中にはAQP5タンパク質を検出しない。また、正
常マウスであるBALB/cマウスの涙液中には、AQ
P5タンパク質を検出しなかった。
【0051】図1Aに示すように、涙腺病理標本から、
MRL/lprマウス(24週齢雌性)涙腺において
は、単核細胞の浸潤部位が広範囲に観察され、涙腺組織
障害を受けていることが明らかであった。一方、BAL
B/cマウス涙腺においては、単核細胞の浸潤は見られ
ず、涙腺組織の異常に関する所見は認められなかった
(図1B)。
【0052】実施例2 マウス涙液中のAQP5タンパ
ク質の検出 涙腺組織の障害の発現に伴ってAQP5タンパク質の涙
液中への漏出が生じるか否かを、加齢によりシェーグレ
ン症候群様の自己免疫性涙腺組織障害を惹起するモデル
マウスを用いて以下のとおり検証した。 (1)刺激分泌涙液の採取 モデルマウスとしては、シェーグレン症候群様の自己免
疫性涙腺組織障害を加齢に伴って発症することが知られ
ている(例えば、Clinical and Expe
rimental Rheumatology,199
7,15,515−521)雄のNOD/Shi Jc
lマウスを使用した。
【0053】雄のNOD/Shi Jclマウスの4週
齢のものを入手して飼育した。NOD/Shi Jcl
マウスの雄は、5週齢より以前ではシェーグレン症候群
様の自己免疫性涙腺組織障害の発症を組織学的には確認
できず、事実上発症していないが、5週齢を超えると障
害の発現を組織学的に確認できることを、NOD/Sh
i Jclマウスの雄の涙腺のリンパ球浸潤の広がりを
H.E染色により病理学的検査することによって予め確
認した。また、涙液分泌量は、加齢により有意には低下
しないことも確認した。
【0054】5週齢、8週齢、10週齢に達した雄性N
OD/Shi Jclマウスの個体から、ネンブタール
麻酔下(投与量:体重10gあたり0.2ml(60m
g/kg))に、以下の方法で涙液を採取した。すなわ
ち、正向反射消失確認後、0.001%塩酸ピロカルピ
ンを体重10gあたり0.1mg皮下投与し、その後、
10分間隔で2回、両眼下眼瞼にフェノールレッド綿糸
(ゾーンクイック(商品名)、昭和薬品化工社製)を1
分間挿入し、涙液を綿糸に吸着させた。涙液の吸着によ
り赤色に呈色した綿糸部分を切り取り、その長さを計測
後、各綿糸を各固体別に1.5mlマイクロチューブ内
に入れ、−80℃で保存した。
【0055】(2)AQP5タンパク質の検出 採取した綿糸の入ったマイクロチューブに、SDSサン
プルバッファー(laemmliサンプルバッファーに
0.5%の2−メルカプトエタノールを加えたもの)を
綿糸10mmあたり40μl添加し、10分間攪拌し、
サンプルを調製した。このサンプルを95℃にて5分間
熱処理を施した後、サンプル液10μlをマルチゲル1
0/20(商品名)(10−20%ポリアクリルアミド
グラジエントゲル、第一化学薬品社製)に注入し、常法
によりSDS−PAGEを実行した。電気泳動終了後、
60分間ブロッティングを行い涙液タンパク質を転写
後、実験例1で調製したウサギ抗AQP5抗体を一次抗
体とし、これにHRP標識抗ウサギIgG抗体とHRP
標識ストレプトアビジン−ビオチンの混合液を使用して
ウエスタンブロット法にてAQP5タンパク質の検出を
行った。検出は、ECL検出試薬(アマシャム社製)を
使用し、enhanced chemilumines
cence(ECL)法を用いた。28kDa付近にバ
ンドがあられることをもってAQP5タンパク質を検出
した。
【0056】(3)涙腺病理標本の作製 各マウスから涙液採取後、直ちに眼窩外涙腺を摘出し
た。摘出した涙腺は、常法によりパラフィン包埋後、ミ
クロトームにて薄切片を作製し、同一箇所の2枚の薄片
につき、一つはH.E.染色を施し、他は、抗AQP5
抗体を使用した免疫染色(IHC)を施して、組織障害
の有無を観察した。結果を図3に示した。また、涙腺障
害部位面積を測定した。
【0057】(4)結果 図3aH.E.に示すように、涙腺病理標本から、雄の
NOD/Shi Jclマウス(5週齢)涙腺において
は、単核細胞の浸潤は見られず、涙腺組織の異常に関す
る所見は認められなかった。しかし、8週齢(図3b
H.E.)、10週齢(図3cH.E.)と加齢するに
つれて単核細胞の浸潤部位が広範囲に観察され、涙腺組
織障害を受けていることが明らかであった。また、免疫
染色の結果から、5週齢、8週齢及び10週齢のサンプ
ルはいずれもAQP5を発現していることを示してい
る。
【0058】表1に示すように、雄のNOD/Shi
Jclマウス(5週齢)サンプルは、涙液中にAQP5
タンパク質を検出しなかった。涙腺病理標本の観察から
このサンプルには涙腺組織の異常に関する所見は認めら
れず、また、AQP5を発現していることも確認された
ことから、正常涙腺組織では涙液中にAQP5タンパク
質を出現させないことが確かめられた。一方、8週齢、
10週齢サンプルは、涙液中にAQP5タンパク質を検
出した。涙腺病理標本の観察からこれらのサンプルには
涙腺組織の異常所見が認められた。従って、涙腺組織の
障害の発現に伴ってAQP5タンパク質の涙液中への漏
出が生じることが確かめられた。なお、表1中、+は陽
性を、−は陰性を表す。
【0059】
【表1】
【0060】以上の事実から、涙腺組織障害に伴い、涙
腺腺房細胞又は管腔細胞のアピカル側膜タンパク質の一
つであるAQP5タンパク質が、涙液中に漏出すること
が明らかに示された。また、正常組織ではこのような漏
出が生じないことも明らかに示された。
【0061】上記知見に従えば、第一に、涙液中のAQ
P5タンパク質を検知することにより、涙腺組織のバイ
オプシーを実施することなく、簡便かつ被験者に負担を
かけることなく、涙腺組織障害を検知することが可能で
ある。また、第二に、涙液中のAQP5タンパク質を、
イムノアッセイ法等により定量することにより、涙液中
へのAQP5タンパク質の漏出量又はその経時変化を知
ることが可能である。病理組織学的知見の蓄積による涙
腺障害の程度又は進行の度合いとAQP5タンパク質の
漏出量との関係等を利用することにより、本発明の方法
を用いて涙腺障害の程度又は進行の度合いに関する知見
を得ることが可能となる。
【0062】実施例3 診断キット 以下の抗体及び試薬を使用し、AQP5タンパク質の検
出に利用する診断キットを作製した。 一次抗体:抗AQP5抗体A(IgG分画) 二次抗体:抗AQP5抗体B(IgG分画) 検出試薬:オルトフェニレンジアミンジイドクロリド過
酸化水素水溶液 検体採取器具:綿糸又はガラス製毛細管 不溶性担体:96穴プレート タンパク質検出器具:プラスチック製 標準液:精製AQP5タンパク質水溶液
【0063】
【発明の効果】本発明の検査方法は、上述の構成よりな
るので、涙腺や唾液腺等の障害を的確かつ簡易に検査
し、しかも、被験者に肉体的負担をかけることなく繰り
返し行うことができる。また、これを利用した本発明の
診断キットは、外科的手段によることなく、簡便かつ正
確に、涙腺や唾液腺等の病状の診断を行うことができ
る。
【0064】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> 参天製薬株式会社 (SANTEN PHARMACEUTICAL CO., LTD.) <120> 検査方法及び診断キット <130> 99J05Z <150> JP HEI 10-206989 <151> 1998-07-22 <160> 1 <210> 1 <211> 16 <212> PRT <213> Artificial sequence <220> <223> ラットAQP5タンパク質アミノ酸配列のC末端領域のうち、アミノ酸配 列番号241〜256番目に相当するアミノ酸配列 <400> 1 Gly Thr Tyr Glu Pro Glu Glu Asp Trp Glu Asp His Arg Glu Glu Arg 1 5 10 15
【図面の簡単な説明】
【図1】涙腺病理標本の写真。Aは、MRL/lpr
(24週齢)マウスである。Bは、BALB/c(7週
齢雌性)マウスである。
【図2】実施例1で行ったAQP5の検出結果を表す
図。レーン1は、MRL/lpr(24週齢雌性)マウ
スである。レーン2は、NSF/S−TX(10週齢雌
性)マウスである。レーン3は、NSF/non−TX
(10週齢)マウスである。レーン4は、BALB/c
(7週齢雌性)マウスである。
【図3】雄のNOD/Shi Jclマウス(5週齢、
8週齢、10週齢)の涙腺病理標本の写真。IHCは、
免疫染色のものを表す。H.E.は、ヘマトキシリン−
エオシン染色のものを表す。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−271996(JP,A) 特開 平10−160735(JP,A) 特開 平6−130063(JP,A) 特開 平5−41997(JP,A) 特表2000−501931(JP,A) American Journal of Physiology,1998年, vol.275, no.4,p.C1151 −C1157 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/53 G01N 33/50 G01N 33/543 575

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクアポリン5が存在する器官の検査方
    法であって、前記器官から分泌される外分泌物を採取す
    る工程、及び、前記外分泌物中からアクアポリン5又は
    アクアポリン5由来のペプチドを検知する工程からなる
    ことを特徴とする検査方法。
  2. 【請求項2】 アクアポリン5が存在する器官は、涙腺
    又は唾液腺であり、外分泌物は、涙液又は唾液である請
    求項1記載の検査方法。
  3. 【請求項3】 アクアポリン5又はアクアポリン5由来
    のペプチドを検知する方法は、免疫測定法である請求項
    1又は2記載の検査方法。
  4. 【請求項4】 免疫測定法は、標識酵素及び/又は標識
    蛍光物質を使用するものである請求項3記載の検査方
    法。
  5. 【請求項5】 涙腺又は唾液腺の病態を診断するための
    診断キットであって、涙腺又は唾液腺から外分泌された
    検体を採取するための器具と、アクアポリン5又はアク
    アポリン5由来のペプチドを検出するための検出試薬及
    びその格納容器と、前記検体と前記検出試薬とを接触さ
    せて反応させるための容器とからなることを特徴とする
    診断キット。
  6. 【請求項6】 検出試薬は、不溶性担体に担持された抗
    アクアポリン5抗体及び前記抗アクアポリン5抗体に結
    合したアクアポリン5又はアクアポリン5由来のペプチ
    ドに結合することができる標識された第二の抗アクアポ
    リン5抗体を含むものである請求項記載の診断キッ
    ト。
  7. 【請求項7】 検出試薬は、抗アクアポリン5抗体及び
    前記抗アクアポリン5抗体に特異的に結合することがで
    きる標識された第二の抗体を含むものである請求項
    載の診断キット。
  8. 【請求項8】 標識は、酵素標識及び/又は標識蛍光物
    質である請求項6又は7記載の診断キット。
  9. 【請求項9】 標識酵素は、ペルオキシダーゼ、グルコ
    ースオキシダーゼ、チロシナーゼ、酸性ホスファターゼ
    及びアルカリ性ホスファターゼからなる群から選択され
    た酵素である請求項記載の診断キット。
  10. 【請求項10】 標識蛍光物質は、フルオレセインイソ
    チオシアネート、ローダミン、テキサスレッド、ルシフ
    ァーイエロー、カスケードブルー、フィコエリスリン、
    エオシン及びビオチンからなる群から選択された物質で
    ある請求項記載の診断キット。
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