JP3259768B2 - 腎疾患の検査方法 - Google Patents

腎疾患の検査方法

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JP3259768B2
JP3259768B2 JP33182898A JP33182898A JP3259768B2 JP 3259768 B2 JP3259768 B2 JP 3259768B2 JP 33182898 A JP33182898 A JP 33182898A JP 33182898 A JP33182898 A JP 33182898A JP 3259768 B2 JP3259768 B2 JP 3259768B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、腎疾患の予後診断
等のための検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】慢性腎炎などの腎疾患は一般に複雑で多
様な病態を呈するが、早く適切な処置を行い、人工透析
が必要となる慢性腎不全への移行を回避するか、できる
だけ移行を遅らせることが重要な課題となる。腎疾患の
初期症状から慢性腎不全へと移行する場合、臨床的に
は、持続的高度蛋白尿や高血圧などが、組織学的には、
糸球体硬化と並んで最近では間質の線維化などが、予後
不良を規定する所見として重要であるといわれている。
しかしながら、腎疾患の予後を的確に診断するための決
定的な方法は未だ確立されていないのが現状であり、有
用な診断及び検査方法が望まれている。
【0003】一方、脂肪酸結合蛋白質(FABP:fatt
y acid binding protein)は、サイトゾルに存在して脂
肪酸と結合する能力を有する分子量約15キロダルトン
前後の蛋白質群である。それらの生理機能については、
脂肪酸の細胞内転送や蓄積によって代謝酵素系の調節に
関与していると考えられているが詳細は不明である。F
ABPとしては、肝型(L−FABP)、腸型(I−FABP)、
心筋型(H−FABP)、脳型(B−FABP)、皮膚型(C−FAB
P/E−FABP)、脂肪細胞型(aP2)、末梢神経細胞型(ミ
エリンP2)等少なくとも7つの分子種が知られており、
その一次構造が決定されている。これらはいずれも脂肪
酸結合能を有し、一部に配列がよく保存された領域が認
められること等から共通の祖先遺伝子から進化したファ
ミリーであると考えられているが、全体としては互いに
異なる一次構造を有し、各々特異的な組識分布を示す。
FABPの命名は、初めにどの組織から見出されたかを
意味し、その組織にしか存在しないことを必ずしも意味
するものではない。
【0004】FABPに着目した診断方法としては以下
のようなものが知られている。特開平4−31762に
は、心筋梗塞の診断のために、ヒト心筋組織由来のH−
FABPの血清中や尿中レベルを、抗体を用いた免疫測
定法で定量することが記載されている。また、WO 93/08
276およびKandaらの報告(Gastroenterology 第110巻、
第339-343頁、1996年)には、小腸虚血時などに血清中
のI−FABPレベルが著しく高くなることからI−F
ABPが腸疾患の診断マーカーとして有用であることが
記載されている。しかし、これらは腎疾患とは関連しな
いし、虚血時の組織傷害に伴って漏出するFABPを指
標として検出するものであって組織における発現に着目
したものではない。
【0005】最近、山崎らは、大腸癌及びその転移巣に
おけるL−FABPの発現が癌の悪性度や予後と関連性
があり、L−FABPの発現量が高いほど予後良好であ
ることを報告している(第47回大腸癌研究会要旨集、第
42頁、1997年)。しかし、これは大腸癌という特異な組
織に関する知見である。
【0006】さらに、雄性ラットの腎臓に存在する腎型
FABPはα2U−グロブリンに由来することが知られて
いるが、特開平5−33025には、化学物質の投与に
より雄性ラットに誘発されるα2U−グロブリン腎症の診
断のために、尿中のα2U−グロブリンの増加を測定する
ことが記載されている。しかし、これはα2U−グロブリ
ンが著しく蓄積することが知られている特定の腎症モデ
ルのための方法にすぎない。
【0007】このように、腎組織におけるFABPと腎
疾患との関連及びこれに着目した診断や検査方法は知ら
れていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、腎疾
患の診断のために有用な検査方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、腎組織に
由来する脂肪酸結合蛋白質に着目した研究の結果、腎組
織中における脂肪酸結合蛋白質の発現と腎疾患の予後と
の間に関連性があることを独自に見出し、本発明を完成
するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、ゲッ歯類以外の哺乳
動物から採取した被検試料中に存在する、腎臓組織由来
の脂肪酸結合蛋白質を検出することを特徴とする、腎疾
患の検査方法である。
【0011】また、本発明は、ラット及びマウスから選
択されるゲッ歯類から採取した被検試料中の、α2U−グ
ロブリン(Major Urinary Proteinとも称される)もし
くは腎臓組織由来の脂肪酸結合蛋白質を検出し、正常動
物から採取した被検試料と比較した場合の減少の度合い
を決定することからなる、α2U−グロブリン腎症以外の
ゲッ歯類の腎疾患の検査方法である。
【0012】また、これら検査方法に使用するための検
査用試薬又はキットである。
【0013】本発明の検査方法が適用されるゲッ歯類以
外の哺乳動物としては、例えば、ヒトの他、ウサギ、サ
ル、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ等が
挙げられる。その中でも好ましくはヒト、ウサギ、ブタ
に適用され、とりわけ、ヒトに好適に適用される。
【0014】腎臓組織中では少なくとも二種類の脂肪酸
結合蛋白質が発現しており、一つは肝臓型であり、もう
一つは心筋型であることが、ヒト腎臓について報告され
ている(Maatmanら、Biochemical Journal、第288巻、
第285-290頁、1992年)。また、これらのうち肝臓型は
近位尿細管に分布し、心筋型は主として遠位尿細管に分
布していることが知られている(Maatmanら、Biochemic
al Journal、第273巻、第759-766頁、1991年)。また、
発明者らは、後記実施例6で示した通り、ウサギ腎臓に
おいても、これら二種類の脂肪酸結合蛋白質が存在して
いることを見出している。
【0015】上記のことから、ゲッ歯類以外の哺乳動物
において、腎臓組織由来の脂肪酸結合蛋白質(以下、F
ABP)としては、肝臓型脂肪酸結合蛋白質(以下、L
−FABP)及び心筋型脂肪酸結合蛋白質(以下、H−
FABP)が挙げられる。
【0016】これらのうち、L−FABPは近位尿細管
に分布しているが、発明者らの知見によれば、このL−
FABPの発現は、腎疾患の予後と密接に関連してお
り、その発現量が多いほど予後は良好であると判断され
る。
【0017】一方、ラットの腎臓においても複数種のF
ABPが存在し、一つはH−FABPで遠位尿細管に分
布している。しかし、腎型FABP(K−FABP)と
称されるもう一つのFABPは、雄性ラットに特異的な
尿中主要蛋白質として知られていたα2U−グロブリンの
少なくともN末端側9アミノ酸残基が欠失したものであ
ることが明らかにされている(Kimuraら、FEBS Letter
s、第246巻、第101-104頁、1989年)。α2U−グロブリ
ンは、肝臓で合成されて血中に放出された後、腎臓を経
由して尿中に排出されるが、興味深いことに、その一部
は腎臓の尿細管細胞内に再吸収され、細胞内でプロセッ
シングを受けて腎型FABPに変換されると考えられて
いる(Kimuraら、1989年)。発明者らは、雄性マウスに
おいても、K−FABPが近位尿細管に分布しているこ
とを見出している。この他、ラット腎臓には、ごく少量
L−FABPも存在することが知られているが、ヒトと
は異なって近位尿細管より遠位尿細管に多く分布してい
るとされている(Maatmanら、Biochemical Journal、第
288巻、第285-290頁、1992年)。
【0018】上記のことから、ゲッ歯類(ラットおよび
マウス)の腎臓組織に由来するFABPとしては、H−
FABP、L−FABP、及びK−FABPが挙げられ
る。これらのうちα2U−グロブリンもしくはこれに由来
するK−FABPについて、発明者らは、その発現量が
腎疾患の予後と密接に関連していることを見出してお
り、発現量が多いほど予後は良好であると判断される。
従って、本発明の検査方法をゲッ歯類(ラット及びマウ
ス)に適用する場合には、α2U−グロブリンもしくはK
−FABPを検出する方法を用いることができる。
【0019】本発明に適用される被検試料としては、腎
組織のほか、尿、血液(血漿又は血清)、腎組織からの
抽出液等が挙げられる。これらのうち、特に腎組織、尿
が好適な被検試料である。腎組織としては、より具体的
には、腎生検等により採取された腎臓組織の切片等が挙
げられる。
【0020】
【発明の実施の形態】被検試料中のFABP(もしくは
α2U−グロブリン)の検出は、これと特異的に結合する
抗体を用いる免疫化学的方法により好適に実施できる。
【0021】抗体は、免疫抗原として、例えば精製した
FABP(もしくはα2U−グロブリン)を用いて調製で
きる。
【0022】FABPの各分子種については、すでにそ
の臓器分布、分子量、一次構造などが報告されている
(藤井ら、動脈硬化、第24巻、第353-361頁、1996年;
Veerkamp and Maatman、Prog.Lipid Res.、第34巻、第
17-52頁、1995年)。また、α2U−グロブリンについて
も知られている(Drickamerら、J.Biol.Chem.、第256
巻、第3634-3636頁、1981年; UntermanらProc.Natl.A
cad.Sci.USA、第78巻、第3478-3482頁、1981年)。従っ
て精製は、これらの情報をもとに実施できる。
【0023】FABPは、目的とする分子種のFABP
が分布していると考えられる臓器組織から精製できる。
例えば、L−FABPであれば、肝臓又は腎臓などか
ら、またH−FABPであれば、心臓又は腎臓などから
精製できる。ラット又はマウスのα2U−グロブリンは、
肝臓、血液、尿から、またK−FABPは、腎臓から精
製できる。精製は、Kelvinらの文献(J.Biol.Chem.、第
263巻、第15762-15768頁、1988年)記載の方法などに準
じて実施できる。すなわち、摘出した臓器をホモジナイ
ズした後、超遠心して得られる細胞質画分を、ゲルろ過
および陰イオン交換クロマトグラフィーなどにより分画
し、分子量や脂肪酸結合活性を指標としてFABPを含
有する画分を選択して精製する。さらに、SDS−ポリア
クリルアミド電気泳動を行い、精製を加えるか、または
単一バンドとなっていること確認することができる。精
製蛋白質について、アミノ酸組成やN末端側アミノ酸配
列を決定し、報告された組成や配列と比較することによ
り、目的とする分子種であることを確認できる。
【0024】FABP(もしくはα2U−グロブリン)の
脂肪酸結合活性は、例えば、ANS(1-anilinonaphtha
lene-8-sulfonic acid)(Polysciences 社製)等の蛍
光プローブを用いて容易に測定できる。これら蛍光プロ
ーブはFABPの脂質結合部位など疎水性の高い領域と
結合することにより蛍光強度が上昇する。例えば、FA
BPを含む溶液にANSを添加混合した後、蛍光強度
(励起波長372nm;蛍光波長480nm)を測定すればよい。
その他、RI標識した脂肪酸を用いることによってもF
ABP(もしくはα2U−グロブリン)の脂肪酸結合活性
を測定することができる(Kimuraら、FEBS Letters、第
246巻、第101-104頁、1989年)。
【0025】また、L−FABPおよびH−FABPに
ついては、ヒト、マウス、ブタ、ウシ、ラット間でホモ
ロジーが高く、アミノ酸レベルで90%以上であること
が知られているので、ヒトのL−FABPと結合する抗
体を得るために、例えばマウスL−FABPを抗原とし
て用いることもできる。この場合、抗原の調製が容易で
あるという利点がある。
【0026】抗原として用いるFABP(もしくはα2U
−グロブリン)は、天然(例:肝臓、腎臓等の各組織)
由来のものでもよいが、遺伝子工学的手法によって製造
された組換え型蛋白質であってもよい。FABPのアミ
ノ酸配列や遺伝子配列は既に報告されている(Veerkamp
and Maatman、Prog.Lipid Res.、第34巻、第17-52頁、
1995年)ので、例えば、それらをもとにプライマーを設
計し、PCR(polymerase chain reaction)法により
適当なcDNAライブラリ等からcDNAをクローニン
グし、これを用いて遺伝子組換え技術より、組換えFA
BPを調製することができる。
【0027】また、抗原として、FABPの断片、また
はその部分配列を有する合成ペプチド等を、必要に応じ
てキャリア高分子物質(牛血清アルブミン、ヘモシアニ
ン等)と結合させて用いることもできる。
【0028】FABPもしくはα2U−グロブリンと特異
的に結合する抗体は、抗血清、ポリクローナル抗体、モ
ノクローナル抗体等いずれであってもよい。
【0029】抗体は、高い特異性を有するものが好まし
く、例えば、抗L−FABP抗体であれば、H−FAB
Pとは実質的に交差反応しないことが望ましい。より特
異性の高い抗体を取得するためには、より高度に精製さ
れ純度の高い抗原を用いることが望ましい。
【0030】抗体の調製に際しては、温血動物に、前記
のごとく調製した精製抗原(例えば精製FABP等)を
接種して免疫する。免疫する温血動物としては、哺乳動
物(ウサギ、ヒツジ、ラット、マウス、モルモット、ウ
マ、ブタなど)、鳥類(ニワトリ、アヒル、ガチョウな
ど)が挙げられる。ウサギの場合、例えば、抗原100μg
〜1mg程度を約1mlの生理食塩水及びフロイントの完全
アジュバント中に乳化したものを、背部又は後肢掌皮下
に接種し、2回目以降はアジュバントをフロイントの不
完全アジュバントにかえて、これを2〜4週間おきに3
〜8回接種して免疫し、最終接種の約7〜12日後に使用
する。マウスの場合、1回あたり10〜30μg/匹の抗原
を、通常、皮下、腹腔内、静脈内に、約2週間隔で3〜
8回接種して免疫し、最終接種の約2〜4日後に使用す
る。
【0031】ポリクローナル抗体は、前記のように免疫
した動物から採血し、血清(抗血清)を分取して、得ら
れた抗血清からIg画分を回収して調製できる。例え
ば、抗血清からProtein Gカラムを用いるアフィニティ
ークロマトグラフィーなどによりIgG画分を回収して
ポリクローナルIgGを得ることができる。
【0032】モノクローナル抗体は、免疫動物から採取
した抗体産生細胞を、不死化細胞と融合させて得られる
ハイブリドーマにより産生される。モノクローナル抗体
のための免疫動物としてはマウス及びラットが好適に用
いられる。ハイブリドーマの作製は、ケーラーおよびミ
ルシュタインの方法(Kohler & Milstein、Nature、第2
56巻、第495〜897頁、1975年)に準じて以下のように実
施できる。前記のように免疫した動物から抗体産生細胞
(例えば脾細胞又はリンパ節細胞など)を採取し、これ
を適当な不死化細胞と細胞融合させる。不死化細胞とし
ては、例えば骨髄腫細胞の細胞株(NSI-Ag4/1、Sp2/O-A
gl4など)が好適に用いられる。骨髄腫細胞は、それ自
身が抗体又は免疫グロブリンのH鎖又はL鎖を産生しな
い非分泌型であることが好ましい。また、未融合の骨髄
腫細胞と融合したハイブリドーマとを選択培地中で選別
し得るような選択マーカーを有していることが好まし
い。例えば選択マーカーとして、8−アザグアニン耐性
(ヒポキサンチン−グアニン−ホスホリボシルトランス
フェラーゼ欠損)、チミジンキナーゼ欠損等を有する細
胞株がよく使用される。
【0033】細胞融合は、ポリエチレングリコールなど
適当な融合促進剤を添加して行う。細胞融合は、不死化
細胞当たり約10の抗体産生細胞の比率で行うことが好
ましく、またおよそ抗体産生細胞106個/mlの細胞密
度で好適に実施できる。
【0034】融合処理した細胞を、適当に希釈した後、
選択培地中で1〜2週間培養する。例えば、8−アザグ
アニンに耐性の骨髄腫細胞を用いる場合、HAT(ヒポ
キサンチン、アミノプテリン、チミジン)培地中で培養
すると、未融合骨髄腫細胞は死滅し、また未融合の抗体
産生細胞も分裂サイクルが限られているため死滅する
が、融合細胞だけは選択培地中で分裂を続け生存でき
る。
【0035】選択培地中での培養後、その上清について
例えばエンザイムイムノアッセイを行って目的とする抗
体の有無を検出し、限界希釈法によってクローニングす
ることにより、目的抗原を認識するモノクローナル抗体
を産生するハイブリドーマを選択できる。選択に際して
は、抗体価、抗体のクラス、サブクラス、抗原との親和
性、特異性、エピトープなど好適な性質を有するハイブ
リドーマ(モノクローナル抗体)を選択できる。モノク
ローナル抗体のクラスとしては一般にIgGが好まし
い。
【0036】モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ
は、例えば免疫に使用した動物の腹腔内に移植し、一定
期間後腹水を採取し、それから目的のモノクローナル抗
体を単離することができる。あるいは、ハイブリドーマ
を適当な動物細胞培養用の培地中で培養し、その培養液
からモノクローナル抗体を単離することもできる。ま
た、一旦目的のハイブリドーマを得たら、これからモノ
クローナル抗体をコードする遺伝子を取得し、通常の遺
伝子組換え技術により適当な宿主中で目的のモノクロー
ナル抗体を発現させ産生させることができる。
【0037】抗体の分離・精製は、例えば、硫酸アンモ
ニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロ
マトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等
を必要に応じて組合せた通常の精製法に従って行うこと
ができる。
【0038】上記のようにして得られた抗体を用いて、
免疫化学的方法により、被検試料中のFABP(もしく
はα2U−グロブリン)(抗原)を検出できる。
【0039】被検試料が組織切片の場合、抗原(FAB
Pもしくはα2U−グロブリン)の検出は、公知の免疫組
織染色法により実施できる。例えば、採取した腎組織か
ら、パラフィン包埋切片を作製した後、脱パラフィン
し、固定した後、一次抗体と反応させる。これを洗浄
後、ペルオキシダーゼなどの酵素で標識した二次抗体と
反応させた後、発色基質などを加えて反応させた後洗浄
する。或いはビオチン標識した二次抗体を用い、二次反
応後ビオチン標識した酵素をストレプトアビジンととも
に加え、発色基質などを加えて反応させてもよい。
【0040】また、被検試料が、尿、血液(血漿又は血
清)、腎組織からの抽出液などの場合、検出・定量は、
公知のラジオイムノアッセイ(RIA)、エンザイムイム
ノアッセイ(EIA)、ケミルミネッセントイムノアッセ
イ、フルオロイムノアッセイ等の方法を採用して実施で
きる。より具体的には、例えば、抗体と標識抗原を用い
る競合法、抗原に対する認識部位が異なる二種類のモノ
クローナル抗体又はポリクローナル抗体(もしくはモノ
クローナル抗体とポリクローナル抗体)を組合せて用い
るサンドイッチEIA法等が挙げられる。これらアッセイ
法においては、必要に応じて、抗原又は抗体を適当な担
体(ゲル粒子、セルロース粒子、ポリアクリルアミドゲ
ル、物理的吸着剤(ガラス、スチレン系樹脂)など)上
に保持する。例えば抗原又は抗体をポリスチレン製のプ
レートやビーズ等の固相に吸着させて用いる固相法がよ
く採用される。また、検出のためには、例えばウエスタ
ンブロッティング法を採用することもできる。
【0041】上記のような免疫化学的方法において、抗
体や抗原は必要に応じて標識したものが使用される。こ
のような標識としては、放射性同位元素(124I、
14C、3H)の他、酵素(ぺルオキシダーゼ、アルカリ
ホスファターゼ等)、発光物質(アクリジニウムエステ
ル、イソルミノール、ルシフェリン等)、蛍光物質(フ
ルオレッセインイソチオシアネート等)等が挙げられ
る。このほか、ビオチン標識とストレプトアビジンを組
合せて用いる方法も採用できる。
【0042】上記のような免疫化学的方法のほか、被検
試料中のFABP(もしくはα2U−グロブリン)を検出
するためのより簡便法として、例えば、前記のようにA
NS(1-anilinonaphthalene-8-sulfonic acid)等の蛍
光プローブを用い、脂肪酸結合活性を指標として検出す
ることも可能である。ただし、ANSは生体試料中に非
常に多量に存在するアルブミンと強く結合するため、被
検試料によっては前処理によりアルブミンを除去した後
で用いる必要がある。
【0043】本発明の検査方法のための検査用試薬とし
ては、例えば、抗FABP抗体(FABPと特異的に結
合する抗体)及びその標識物などが挙げられる。抗FA
BP抗体としては、抗L−FABP抗体、抗H−FAB
P抗体、抗K−FABP抗体が挙げられ、とりわけ抗L
−FABP抗体が好適である。抗体の標識物としては、
ペルオキシダーゼ等の酵素が結合された抗体(酵素標識
抗体)、ビオチン化された抗体(ビオチン標識抗体)な
どが挙げられる。
【0044】検査用キットとしては、例えば、ビーズや
プレート(96穴マイクロプレート等)等の担体上に抗F
ABP抗体を、吸着/結合させたものが挙げられる。ま
た、キットには、その他EIA等に必要となる試薬(酵
素標識した二次抗体や発色基質など)が組合されて、含
まれていてもよい。
【0045】本検査方法の結果の解析方法については以
下の通りである。
【0046】ヒトなどゲッシ類以外の場合、腎組織の試
料中におけるL−FABPの発現が正常腎と比較して低
ければ、その度合いに応じて、予後不良であるリスクが
高いと判断できる。また、L−FABPは近位尿細管に
局在しているので、特に近位尿細管における発現に着目
することが望ましいと考えられる。
【0047】一方、尿中、血液中のFABPの検査結果
を解析する場合、腎疾患に起因する腎組織傷害に伴って
尿中に腎組織由来の蛋白質が漏出するため、これを考慮
する必要がある。すなわち、腎組織傷害とパラレルな関
係にあると考えられる適当な対照マーカーを設定し、尿
中の対照マーカーの量に対するL−FABP量の比(L
−FABPの相対量)を指標とすることができる。L−
FABPの相対量が、例えば予後良好であった症例と比
較して低ければ、その度合いに応じて、予後不良である
リスクが高いと判断できる。
【0048】ラットやマウスの場合は、腎組織における
K−FABPの発現が正常腎と比較して低ければ、その
度合いに応じて、予後不良であるリスクが高いと判断で
きる。K−FABPもまた、ヒトにおけるL−FABP
と同様、近位尿細管に局在しているので、特に近位尿細
管における発現に着目することが望ましいと考えられ
る。また、雄では、尿中のα2U−グロブリンの量が、正
常固体の尿と比較して低ければ、その度合いに応じて、
予後不良であるリスクが高いと判断できる。
【0049】本発明の検査方法を実施する際には、被検
試料における検査結果を、対照試料における検出結果と
比較することにより、より正確に腎疾患の予後等の診断
を行うことができる。対照試料としては、正常な腎臓組
織を有する動物から採取した試料、例えば正常な腎組
織、尿などが挙げられる。
【0050】あるいはまた、同じ腎疾患であっても他の
症状又は経過を示す症例、同じ症状であってもステージ
の異なる症例などを対照としてとり、これらから採取し
た試料を対照試料として、被検試料における検査結果と
比較することができる。
【0051】また、同じ症例であっても試料採取の時期
の異なる被検試料における検査結果を比較して、経時的
変化を調べて今後の経過を予測したり、薬物等の治療効
果を調べることもできる。
【0052】
【実施例】実施例1 ヒト腎組織のFABPと結合する
抗体の調製(I) (抗マウスFABP抗体の調製) (1)抗マウスL−FABPポリクローナル抗体 ヒトの近位尿細管に存在するFABPは、主として肝臓
型FABP(L−FABP)であることが知られてい
る。ヒトとマウスのL−FABPではホモロジーが高い
ので、ヒト腎組織中のL−FABPと結合する抗体とし
て、抗マウスL−FABP抗体を用いることができる。
【0053】そこで、抗マウスL−FABPポリクロー
ナル抗体を調製した。抗原とするマウスL−FABP
は、Takahashiらの文献(Eur.J.Biochem.、第136巻、第
589-601頁、1983年)記載の方法に準じて以下のように
調製した。すなわち、脱血死させたマウスから摘出した
肝臓に4倍量の30mM Tris-HCl 緩衝液(pH8)を加え、
ポリトロン型ホモジナイザーで処理した。これを遠心分
離(8000rpm、15分)し、上清をさらに超遠心(100,000
xg、90分)して、細胞質画分を得た。これをゲルろ
過カラム(Sephacryl S-100HR、ファルマシア社製)を
用いて分画し、ANS(1-anilinonaphthalene-8-sulfo
nic acid)(Polysciences社製)との結合活性を指標と
して、脂肪酸結合活性を示す画分を回収した。 得られ
た分子量10〜20 キロダルトンの画分を、10mM Tris-Hcl
緩衝液(pH8.5)で透析した後、陰イオン交換カラム(H
iTrap Q、ファルマシア社製)を用いて500mM NaClまで
の直線的濃度勾配で溶出し、ANS結合活性を示す画分
を回収した。さらに再度前記と同様にしてゲルろ過カラ
ム(Sephacryl S-100HR、ファルマシア社製)を用いて
分画して、得られた各画分についてSDS−ポリアクリル
アミド電気泳動を行い、約14キロダルトンの単一のバ
ンドが認められた画分を回収して、精製マウスL−FA
BPを得た。
【0054】前記で得られた精製マウスL−FABPを
抗原として用い、以下のようにしてウサギを免疫し、抗
マウスL−FABP抗体を得た。すなわち、精製マウス
L−FABP(200μg/430μl)にフロイント完全ア
ジュバンド(470μl)を加えてエマルジョンを調製
し、これをウサギの背部皮下5カ所及び大腿部4カ所に
100μlずつ注射した。4週間後にアジュバンドをフロ
イント不完全アジュバンドに変えて同量の追加免疫を行
い、以後2週間後に100μg、さらにその2週間後に50
μgと合計4回免疫を行った。最終免疫の1週間後に心
臓採血にて血液を採取し、血清を分離して抗血清を得
た。得られた抗血清から、HiTrap proteinGカラム(フ
ァルマシア社製)を用いてIgG画分を精製し、抗マウ
スL−FABPポリクローナル抗体(IgG)を得た。
得られた抗マウスL−FABPポリクローナル抗体を用
いてウエスタンブロッティングを行った結果、この抗マ
ウスL−FABPポリクローナル抗体は、後記実施例2
と同様にして調製した組換えヒトL−FABPと結合す
ることが確認できた。また、この抗マウスL−FABP
ポリクローナル抗体は、精製マウスH−FABPと交差
反応しなかった。
【0055】(2)抗マウスH−FABPポリクローナ
ル抗体 ヒトの遠位尿細管では、心臓型FABP(H−FAB
P)が存在していることが知られている。H−FABP
もまたヒトとマウスとの間のホモロジーが高いので、ヒ
ト腎組織中のH−FABPと結合する抗体として、抗マ
ウスH−FABP抗体を用いることとし、前項(1)記
載の方法に準じて、マウス心臓からH−FABPを精製
し、抗マウスH−FABPポリクローナル抗体(Ig
G)を取得した。
【0056】得られた抗マウスH−FABPポリクロー
ナル抗体を用いてウエスタンブロッティングを行った結
果、この抗マウスH−FABPポリクローナル抗体は、
マウスH−FABPとは結合したが、精製マウスL−F
ABP及び組換えヒトL−FABPとは交差反応しなか
った。
【0057】実施例2 ヒト腎組織のFABPと結合す
る抗体の調製(II) (抗ヒトL−FABP抗体の調製) (1)組換えヒトL−FABPの精製 ヒトL−FABPのcDNAを、ヒト肝臓由来のcDNAラ
イブラリー(クロンテック社製、Cat#HL1115b LOT#562
1)からPCR(polymerase chain reaction)法によっ
て取得した。プライマーはDNA合成機で合成した23
〜27マーのオリゴヌクレオチドを用いた。プライマー
の塩基配列は、Loweらの文献(J.Biol.Chem.、第260
巻、第3413-3417頁、1985年)及び遺伝子データベース
(Genbankの登録番号M10617)に記載されたヒトL−F
ABPの遺伝子配列を元にし、プライマーの末端には発
現ベクターに挿入するための制限酵素認識部位を付加さ
れるように設計した。得られたDNA断片(約420塩基
対)は、開始コドンの前にBamHI認識部位、終止コドン
の後にBamHI認識部位を有しており、目的とする完全長
のヒトL−FABPをコードしていた。
【0058】前記で得られたヒトL−FABPをコード
するDNA断片を制限酵素BamHIで消化し、融合蛋白質
発現用ベクタープラスミドpMAL−cRI(New Engl
andBiolabs社製)のBamHI切断部位に挿入して、組換え
ヒトL−FABP融合蛋白質発現のためのプラスミドp
MAL/L−FABPを得た。pMAL/L−FABP
は、ベクターに由来するMBP(maltose binding prot
ein)のコーディング配列とジャンクション配列に続い
て、ヒトL−FABPcDNAが正方向に挿入されてお
り、MBP、ジャンクション配列及びヒトL−FABP
からなる融合蛋白質をコードしている。
【0059】このプラスミドpMAL/L−FABPを
市販の形質転換用宿主大腸菌JM109株(Yanisch-Pe
rron.C.ら、Gene、第33巻、第103-119頁、1985年)(東
洋紡績(株)社製)に導入し、アンピシリン耐性となっ
た形質転換株を、IPTG(isopropyl-β-D-thiogalalctos
ide)を途中添加したLB培地中にて培養した。
【0060】得られた菌体を超音波破砕し、菌体抽出液
を5mM Tris-HCl pH8.5で透析した。これを陰イオン交換
カラム(RESOURCE Q 6ml、ファルマシア社製)を用い
て、300mM NaClまでの直線的濃度勾配で溶出して分画
し、ANS結合活性を示す画分を回収した。これをセン
トリプレップ(アミコン社製)で限外ろ過して濃縮した
後、ゲルろ過カラム(Superdex75pg、ファルマシア社
製)を用いて分画し、ANS結合活性を示す画分を、ヒ
トL−FABP融合蛋白質として回収した。このヒトL
−FABP融合蛋白質に、Factor Xa(New England Bio
labs社製)を重量比で1/100量加え、室温で一晩反
応させて、酵素的に限定分解した。酵素処理後の反応液
を再度ゲルろ過で分離し、ANS結合活性を示す約14キ
ロダルトンの画分を、組換えヒトL−FABPとして回
収した。得られた精製蛋白質をSDS−ポリアクリルアミ
ド電気泳動に供し、シルバー染色したところ、単一バン
ドとなっていた。
【0061】かくして得られた精製組換えヒトL−FA
BPについて、アミノ酸シークエンサーでアミノ酸配列
を調べた。その結果、そのN末端アミノ酸配列には、ベ
クターのジャンクション配列に由来する6アミノ酸残基
(Ile Ser Glu Phe Gly Ser)の配列に続いて、既報の
ヒトL−FABPのN末端領域と一致する14アミノ酸
残基の配列が存在することが確認できた。
【0062】(2)抗ヒトL−FABPポリクローナル
抗体の調製 前項(1)で得られた精製組換えヒトL−FABPを抗
原として用い、前記実施例1の(1)項記載の方法と同
様にしてウサギを免疫し、抗ヒトL−FABP抗血清か
ら抗ヒトL−FABPポリクローナル抗体(IgG)を
得る。
【0063】実施例3 ヒト腎組織(正常腎組織)にお
けるFABPの局在 正常なヒト腎臓組織について、FABPの免疫組織染色
を行った。ヒト腎臓組織は、腎癌患者から摘出された腎
臓の中の正常な組織部位を用いた。L−FABPの染色
のための一次抗体としては、前記実施例1の(1)と同
様にして調製した抗マウスL−FABPポリクローナル
抗体(IgG)を用い、H−FABPの染色のための一
次抗体としては、前記実施例1の(2)と同様にして調
製した抗マウスH−FABPポリクローナル抗体(Ig
G)を用いた。免疫染色は、ベクタステインABC キット
(ベクターラボラトリー社製)を用いて行い、二次抗体
はビオチン標識抗ウサギIgGを用い、酵素はビオチン
標識ワサビペルオキシダーゼを、発色基質はDAB
(3,3’−ジアミノベンシジン四塩酸塩 )を各々用
いた。
【0064】その結果、図1に示したように、抗L−F
ABP抗体を用いた場合、近位尿細管が染色された。一
方、抗H−FABP抗体を用いた場合、主に遠位尿細管
が染色され、近位尿細管においても弱い染色が認められ
た。糸球体はいずれの抗体を用いても染色されなかっ
た。
【0065】これらのことから、正常腎組織において、
L−FABPは近位尿細管に存在し、H−FABPは主
として遠位尿細管に存在することが確認できた。
【0066】実施例4 腎疾患患者の腎組織におけるF
ABPの検出 IgA腎症と診断され、ステロイド治療に対し抵抗性を
示した2名の患者(患者1及び患者2)から腎生検によ
り採取された腎組織サンプルについて、L−FABPの
免疫組織染色を行った。患者1は予後不良であり、腎生
検から5年後に腎不全に陥り人工透析が必要となった症
例である。一方、患者2は予後良好であり、腎生検後寛
解した症例である。
【0067】免疫組織染色は、前記実施例3と同様にし
て、一次抗体として抗マウスL−FABPポリクローナ
ル抗体(IgG)を用いて行った。その結果、図2に示
したように、患者2の腎組織では近位尿細管が全体的に
染色されており、L−FABPの発現が明確に認められ
た。これに対し、患者1の腎組織では染色性が顕著に落
ちており、L−FABPの発現がほとんど認められなか
った。
【0068】これらの結果から、腎組織におけるL−F
ABPの発現量と腎疾患の予後の良好性とは相関関係が
あり、腎組織中のL−FABPを検出することにより、
腎疾患の予後不良のリスクを診断することが可能である
ことがわかる。
【0069】実施例5 腎疾患患者の尿中のFABPの
検出 腎疾患患者(34例)から採取した尿サンプルについ
て、尿中に漏出しているL−FABP量をサンドイッチ
ELISA法により以下のように測定した。すなわち、
予め抗マウスL−FABPポリクローナル抗体(Ig
G)をプレートに固相化し、尿サンプルを加え、一定時
間静置後洗浄した。これに、ビオチンで標識した抗マウ
スL−FABPポリクローナル抗体(IgG)を加え、
洗浄後、市販のアビジン−ビオチン検出キット(フナコ
シ社製、 ABC-PO kit )を用いて検出を行い吸光度を測
定した。
【0070】また、同尿サンプルについて、漏出NAG
(N−アセチル−β−D−グルコサミニダーゼ)の量も
測定した。NAGは腎組織細胞中に存在するマーカー酵
素であり、尿中に漏出したNAG量は一般的に腎組織の
傷害の指標とされている。尿中のNAG量は、文献(日
本臨床、第43巻、秋季臨時増刊号、第234-236頁、1985
年)記載の方法に準じて測定した。
【0071】各サンプルの測定結果について解析するた
め、縦横各座標軸に各々L−FABP量及びNAG量を
とってグラフにプロットした。その結果、一般的な症例
では、漏出NAG量と漏出L−FABP量の値には正の
相関が見られた。しかし、いくつかの症例(典型例約5
例)を含むグループでは、漏出NAG量が高い(すなわ
ち組織傷害は大きい)のにもかかわらず、漏出L−FA
BP量は低値を示していた。このグループでは、腎組織
中におけるL−FABPの発現量が低いと考えられ、従
ってこのグループは予後不良のリスクの高いグループで
あることが考えられる。
【0072】実施例6 ウサギ腎組織由来のFABPの
精製 ウサギを脱血死させた後摘出した腎臓から、前記実施例
1の(1)項記載の方法に準じてFABP を精製し
た。すなわち、腎臓をホモジナイズした後、遠心分離及
び超遠心により得られた細胞質分画について、ゲル濾過
カラム(Superdex75pg、ファルマシア社製)を用いて分
画し、ANS結合活性を指標として分子量10〜20キロダ
ルトンのフラクションを回収した。これを30mM Tris-HC
l(pH 7.5)で透析した後、陰イオン交換カラム(RESOU
RCE Q、ファルマシア社製)を用いて300mM NaClまでの
直線的濃度勾配で溶出し、ANS結合活性を示す画分を
FABPとして回収した。NaCl濃度0mMおよび60mMにA
NS結合活性を示すピークが見られた。
【0073】前記実施例1で得られた抗マウスL−FA
BP抗体ならびに抗マウスH−FABP抗体を用いて、
ウエスタンブロッティングを行った。その結果、NaCl濃
度0mMのピークに含まれる蛋白質は、抗マウスL−FA
BP抗体と交差反応し、ウサギL−FABPであると考
えられた。また、NaCl濃度60mMのピークに含まれる蛋白
質は抗マウスH−FABP抗体と交差反応し、ウサギH
−FABPであると考えられた。また、これらのことか
ら、ウサギ腎臓組織には、ヒト腎臓組織と同様に、L−
FABPとH−FABPの少なくとも二種類のFABP
が存在することがわかった。
【0074】実施例7 腎炎モデルマウスにおける解析 (1) 腎炎モデルマウスの作製 加速型抗GBM腎炎モデルマウスの作製を、Nagaiらの
文献(Jpn.J.Pharmacol.、第32巻、第1117-1124頁、198
2年)記載の方法に準じ、以下のようにして行った。マ
ウスの糸球体基底膜(GBM:glomular basal membran
e)を抗原としてウサギを免疫し、抗血清(NTS:nep
hrotoxic serum)を調製した。得られたNTSを、マウ
スに投与し、抗GBM腎炎モデルマウスを作製した。G
BMの調製は、Nagaiらの文献(Jpn.J.Pharmacol.、第3
2巻、第1117-1124頁、1982年)記載の方法に準じて行っ
た。
【0075】(2)腎炎モデルマウスの尿中蛋白質の解
析 上記(1)項にて作製した加速型抗GBM腎炎モデルマ
ウス及び正常マウスの尿について、SDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動を行いシルバー染色して、尿中蛋
白質を比較した。その結果は図3に示す通りであり、腎
炎モデルマウスでは、NTS投与後7日目で既に、分子
量67キロダルトン付近のメインバンド(アルブミンと
考えられる)を含む多数の濃い蛋白質バンドが見られ、
いわゆる高度蛋白尿の症状が認められた。また、正常マ
ウスにおいては、約17キロダルトンの明瞭なバンドが
見られたのに対して、腎炎モデルマウスでは、これが著
名に減少しているのが観察された。
【0076】尿中蛋白質のほとんどは、血清中の蛋白質
が糸球体基底膜のバリアーを越えて漏出してきたもので
ある。しかし、この蛋白質のように、高度蛋白質尿の状
態で逆に正常状態での尿中存在量より存在量が減少する
ということは、この蛋白質が、単なる漏出蛋白ではな
く、腎機能異常との関係において何か特別な役割を担っ
ていると考えられる。
【0077】次に、以下のようにして、この約17キロ
ダルトンの蛋白質を精製した。すなわち、SDS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動を行いクマシーブリリアン
トブルーで染色したゲルから、約17キロダルトンのバ
ンドを切り出し、そのゲル片を透析膜に入れた。水平型
電気泳動装置を用いて、染色されたバンドがゲルから完
全に抜けるまで泳動し、溶出液を回収し、限外濾過にて
濃縮した。
【0078】得られた精製蛋白質について、アミノ酸シ
ークエンサーを用いて、N末端側アミノ酸配列の決定を
行った。決定した15残基の配列をもとに、既知蛋白質
のアミノ酸配列とのホモロジー検索を行ったところ、こ
の蛋白質はα2U−グロブリン(Major Urinary Protein
とも称される)(データベース名:SWISS-PROT、登録番
号:P02762)と相同であった。
【0079】α2U−グロブリンは、雄性ラット、マウス
に特異的な主要尿中蛋白質として知られている。α2U
グロブリンは、肝臓で合成されて血中に放出された後、
腎臓を経由して尿中に排出されるが、その際一部が腎臓
の尿細管細胞内に再吸収され、細胞内でプロセッシング
を受けて腎型FABP(K−FABP)に変換されると
考えられている。
【0080】(3)腎炎モデルマウスの腎組織における
FABP(K−FABP)の検出 加速型抗GBM腎炎モデルマウスについて、腎組織での
K−FABPの増減と腎組織傷害との関係を、免疫組織
染色を用いて解析した。
【0081】ラットにおいて、α2U−グロブリン(180
アミノ酸残基、約20キロダルトン)の少なくともN末端
側9アミノ酸残基が欠失してK−FABP(約15キロダ
ルトン)となることが知られている。
【0082】そこで、K−FABPの免疫染色に用いる
抗体としては、市販のヤギ抗マウスα2U−グロブリン抗
血清(ノルディック社製、Anti Major Urinary Protein
Ab)を用いた。
【0083】腎組織におけるK−FABPの免疫組織染
色は、ベクタステインABC キット(ベクターラボラトリ
ー社製)を用い、以下のように行った。すなわち、マウ
ス腎臓から厚さ3μmの腎臓パラフィン切片を調製した
後、脱パラフィン操作を行った。これを、0.05%Tw
een20を含む生理的リン酸緩衝液(pH7.4)(以下、P
BST)にて軽く洗浄した後、0.5% 過酸化水素 を含む
メタノール中にて30分間固定し、PBSTで軽く洗浄
した後、マーキングを行った。これをPBSTで洗浄
(5分x2回)した後、正常ヤギ血清を含むPBS中6
0分間ブロッキングを行い、さらに、一次抗体として抗
マウスα2U−グロブリン抗血清を含むPBS中にて一夜
反応させた。これをPBSTで洗浄(5分x3回、以下
同様)した後、二次抗体として ビオチン標識した抗ウ
サギIgG抗体(ベクターラボラトリー社製)を含むPB
S中にて45分間反応させた。これをPBSTで洗浄し
た後、ストレプトアビジンとビオチン標識ペルオキシダ
ーゼを含む溶液(ベクターラボラトリー社製)中45分
間反応させ、再度PBSTで洗浄した後、発色基質DA
BとH22を含むPBST中で発色させた。これを適
宜、検鏡し、蒸留水による水洗にて反応を停止した。
【0084】前記のようにして免疫染色した組織切片を
さらに、ヘマトキシリン染色して、核を染色した。蒸留
水で洗浄後、常法により脱水、透徹および封入を行っ
た。
【0085】膠原線維を染色するアザン染色は、前記と
同様にして調製したマウス腎臓パラフィン切片につい
て、Ishikawaらの文献(Medical Technology、第19巻、
第176-177頁、1991年)記載の方法に準じ、以下のよう
にして行った。すなわち、パラフィン切片の脱パラフィ
ン操作を行った後、10%重クロム酸カリウム/10%トリク
ロル酢酸等量混合液中にて、20分間媒染し 蒸留水水
洗(5分間)した後、0.8%オレンジG水溶液中10
分間浸漬した。蒸留水水洗(約10秒間、以下同様)の
後、アゾカルミンG液中60分間浸漬し、蒸留水水洗の
後、アニリン・アルコール中で3秒間浸漬して分別し
た。蒸留水水洗した後、酢酸アルコール中で1分間処理
し、蒸留水水洗した後、さらに2.5%リンタングステ
ン酸溶液中20分間処理した。これを蒸留水水洗した
後、アニリン青/オレンジG混合液中で20〜60分
間、鏡検しながら染色した。染色後水洗し、脱水、透徹
および封入を行った。
【0086】前項(1)及び(2)と同様にして作製
し、尿中蛋白質を解析した加速型抗GBM腎炎モデルマ
ウス及び正常マウスの腎臓組織切片について、K−FA
BPの免疫染色を行った。その結果、図4に示した通
り、正常マウスの腎組織の近位尿細管において、抗α2U
−グロブリン抗体によって認識される蛋白質の存在が明
確に認められ、これはα2U−グロブリンから生成された
K−FABPであると考えられた。一方、尿中でα2U
グロブリンが減少しているNTS投与後42日目のマウ
スでは、この腎組織近位尿細管のK−FABPも正常マ
ウスと比べて顕著に減少していた。
【0087】また、間質線維化の進行度をみるために同
様の腎組織切片についてアザン染色を行ったところ、近
位尿細管のK−FABP減少が確認されたNTS投与後
42日目のマウスでは、線維化部位はわずかに見られる
だけであったが、84日目では線維化部位が著明に増大
していた。
【0088】これらの結果から、尿中α2U−グロブリン
の減少、及び腎組織中のK−FABPの減少は、間質線
維化に先行して起こり、腎障害の予後を予知するための
指標となることがわかった。
【0089】また、尿中でα2U−グロブリンが減少して
いる腎炎マウスでK−FABPも減少していたことか
ら、尿中のα2U−グロブリンの減少は、近位尿細管での
再吸収の亢進によるものではなく、肝臓でのα2U−グロ
ブリン産生が抑制されているのではないかと考えられ
た。
【0090】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来困難であっ
た腎疾患の予後等の診断のために、非常に有用な情報と
なる検査結果を得ることができる。従って本発明の方法
によって得られる検査結果をもとに、予後に関するリス
クに応じた適切な治療方法を選択することも可能とな
る。また、本発明の方法は、腎組織サンプルの他、尿サ
ンプルにも適用することが可能なので、簡便で効率よく
検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 正常ヒト腎組織におけるFABPの免疫染色
結果を示した組織切片の写真。
【図2】 IgA腎症患者の腎組織におけるL−FAB
Pの免疫染色結果を示した組織切片の写真。
【図3】 正常及び腎炎マウスにおける尿中蛋白質の解
析結果を示したSDS−ポリアクリルアミド電気泳動の
写真。
【図4】 正常及び腎炎マウスの腎組織におけるK−F
ABPの免疫染色結果を示した組織切片の写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅谷 健 兵庫県伊丹市北本町1丁目110−1−3 −601 (72)発明者 木村 健二郎 東京都練馬区谷原5−15−4 (56)参考文献 特開 平2−275359(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/50 G01N 33/53 G01N 33/68

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトから採取した被検試料中に存在する
    肝型脂肪酸結合蛋白質を検出することを特徴とする、腎
    疾患の検査方法。
  2. 【請求項2】 肝型脂肪酸結合蛋白質が、腎臓の近位細
    尿管の組織に由来する肝型脂肪酸結合蛋白質である請求
    項1記載の検査方法。
  3. 【請求項3】 被検試料が、腎組織又は尿である請求項
    1記載の検査方法。
  4. 【請求項4】 正常な腎臓組織を有するヒトから採取し
    た対照試料における検出結果と被検試料における検出結
    果とを比較する工程を含む請求項1記載の検査方法。
  5. 【請求項5】 肝型脂肪酸結合蛋白質の検出を肝型脂肪
    酸結合蛋白質に特異的に結合する抗体を用いて行う請求
    項1記載の検査方法。
  6. 【請求項6】 肝型脂肪酸結合蛋白質に特異的に結合す
    る抗体が、心筋型脂肪酸結合蛋白質と実質的に交差反応
    しないものである請求項記載の検査方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜記載の検査方法に使用する
    ための検査用試薬又はキット。
  8. 【請求項8】 肝型脂肪酸結合蛋白質に特異的に結合す
    る抗体を含有してなる請求項記載の検査用試薬又はキ
    ット。
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