JP2003096100A - 抗アシアロ糖タンパク質レセプター抗体 - Google Patents

抗アシアロ糖タンパク質レセプター抗体

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JP2003096100A
JP2003096100A JP2001296133A JP2001296133A JP2003096100A JP 2003096100 A JP2003096100 A JP 2003096100A JP 2001296133 A JP2001296133 A JP 2001296133A JP 2001296133 A JP2001296133 A JP 2001296133A JP 2003096100 A JP2003096100 A JP 2003096100A
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asialoglycoprotein receptor
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hepatocytes
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Shinichi Hirose
慎一 広瀬
Hirohiko Ise
裕彦 伊勢
Toshihiro Akaike
敏宏 赤池
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BIOELASTICS JAPAN KK
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AMUSAITO KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 肝炎、肝硬変等の各種肝疾患、又はこれらに
伴う外科手術後の経過観察のための試薬等を提供する。 【解決手段】 肝細胞から精製したアシアロ糖タンパク
質レセプター、または既知の遺伝子配列より遺伝子工学
的に作製した抗原タンパク質を動物に免疫して、抗アシ
アロ糖タンパク質レセプター抗体を調製した。この抗体
を用いて、血液サンプル中のアシアロ糖タンパク質レセ
プターを測定する試験方法である。またこの測定キット
を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肝炎、肝硬変等の
各種肝疾患、又はこれらに伴う外科手術後の経過観察の
ための抗アシアロ糖タンパク質レセプター抗体、採取し
た血液中のアシアロ糖タンパク質レセプターを測定する
ための試験方法及びこの測定に用いるキットに関する。
【0002】
【従来の技術】肝炎、肝硬変等の各種肝疾患、又はこれ
に伴う外科手術後の経過観察のための方法としては、ア
シアロ糖タンパク質レセプターのリガンドを用いるアシ
アロシンチグラフィー、超音波や磁気を用いる診断、臨
床検査等が知られている。
【0003】アシアロ糖タンパク質は、シアル酸を含む
糖タンパク質からシアル酸を取り除いたものをいう。血
清中の糖タンパク質が血流中に安定に存在するためには
シアル酸を必要とするため、シアル酸を欠いた血清中の
糖タンパク質は、肝細胞表面のガラクトースに特異的な
レクチンに結合したのち、エンドサイトーシスによって
細胞内に取り込まれ、リソソーム顆粒内で分解されるこ
とが知られている(Sawamura T. et al. (1984) Gasten
terology 87, 1217-1221)。
【0004】肝細胞表面には、アシアロ糖タンパク質に
対する受容体(アシアロ糖タンパク質レセプター)が存
在し、リガンドであるアシアロ糖タンパク質のガラクト
ース残基を認識して肝細胞内に取り込む。そこで、アシ
アロ糖タンパク質と生理的に同じ挙動を示す人工糖タン
パク質であるガラクトシルヒト血清アルブミンを99m
cで標識して体内に投与すると、肝細胞量を反映する情
報(機能診断)と肝細胞の分布を反映した肝臓の形態に
関する情報(形態診断)が得られる。このシンチグラフ
ィーをアシアロシンチグラフィーと呼び、肝炎、肝硬変
等の各種肝疾患の経過観察に利用されている(Kudo M e
t al. (1990) Am. J. Gastroenterol. 85, 1142-1148、
Kudo M. et al. (1991) J. Nucl. Med. 32, 1177-118
2)。
【0005】アシアロシンチグラフィーの問題点として
は、患者に放射性物質を投与する必要があることから、
使用可能な施設が特定されること、また得られる情報が
明瞭でないこと、さらに病状によっては、肝臓における
薬剤の取り込みが低下することがある。
【0006】超音波診断、CTスキャン、MRI(核磁
気共鳴画像法)は、超音波や磁気を用いることによって
非侵襲的な診断が可能であり、CTスキャンやMRIで
は、明瞭な像が得られるが、直接肝臓の状態を判断する
ことができるデータを得ることはできない。また、疾患
によっては、造影剤の投与を必要とし、軽微であれども
副作用の心配がある。
【0007】臨床検査による肝機能測定は、患者の血液
を採取し、基質と反応させることによって肝臓に特異的
とされている酵素、例えば、GPT、GOT、LDHを
定量する方法である。しかし、これらの指標は、肝臓と
いう臓器の障害度の指標とはなるものの、原疾患の直接
の判定には不向きである。
【0008】発明者は、既に肝実質細胞に対する人工培
養基質であるPVLA(ポリ−p−ビニルベンジル−O
−b−D−ガラクトピラノシル−〔1・4〕−D−グル
コンアミド)を開発している(Watanabe Y et al. (200
0) J. Biomaterial Sci. Polymer Edn., 11, 833-84
8)。実験室レベルでは、このPVLAを用いることに
よって、肝実質細胞は、本来の肝機能を維持できること
が知られている。PVLAと肝実質細胞との相互作用
は、上記のアシアロ糖タンパク質レセプターを介したも
のであり、この基質に接着することができる細胞は、非
接着細胞に比べると分化能が高いと考えられる(Kobaya
shi A et al. (1994) J. Biomaterial Sci. Polymer Ed
n. 6, 325-342、Takei R et al. (1997) Tissue Engine
ering, 3, 281-288、Ise H. and Akaike T. (1999) Hep
atology 30, 258A、Kobayashi K et al.(1985) Polymer
J. 17, 567-575)。
【0009】この点に関して、増殖性を有する細胞は、
PVLAに対する接着性が低下することに注目して、動
物個体を用いて血中のアシアロ糖タンパク質レセプター
の検出を試みた。その結果、アシアロ糖タンパク質レセ
プターの血中濃度は、正常状態においては、極めて低い
が、部分肝切除後の肝再生状態や四塩化炭素を投与した
モデル肝障害においては、顕著に増加していること、特
に、部分肝切除後の血液中のアシアロ糖タンパク質レセ
プターの濃度については、肝再生の状態に伴って変化す
ることを発見し、本発明を完成した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、肝炎、肝硬
変等の各種肝疾患、又はこれらに伴う外科手術後の経過
観察のための抗アシアロ糖タンパク質レセプター抗体、
採取した血液中の血漿中アシアロ糖タンパク質レセプタ
ー濃度の測定方法及びこの測定に用いるキットを提供す
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】したがって、本発明は、
肝炎、肝硬変等の各種肝疾患、又はこれらに伴う外科手
術後の経過観察のための抗アシアロ糖タンパク質レセプ
ター抗体に関する。
【0012】抗アシアロ糖タンパク質レセプター抗体
は、肝細胞から分離、精製したアシアロ糖タンパク質レ
セプター、または既知の遺伝子配列より遺伝子工学的に
作成した抗原タンパク質をヤギ、ウサギ等の動物に免疫
し、血清を採取(抗血清)し、IgGの精製(ポリクロー
ナル抗体)を行ったもの、あるいは免疫動物から胸腺、
脾臓、リンパ節を摘出し、ミエローマ細胞との融合から
抗原特異的な抗体を産出しうるハイブリドーマの培養上
清を精製したもの(モノクローナル抗体)をさす。
【0013】また本発明は、採取した血液と抗アシアロ
糖タンパク質レセプター抗体とを接触させることを含
む、採取した血液中のアシアロ糖タンパク質レセプター
を測定するための試験方法にも関する。
【0014】血液中のアシアロ糖タンパク質レセプター
を、抗アシアロ糖タンパク質レセプター抗体を用いる抗
原抗体反応を利用して検出する方法としては、ウェスタ
ンブロット、ELISA等の方法が挙げられる。
【0015】ウェスタンブロット法は、例えば、遺伝子
・タンパク質 実験操作方法ブロッティング法(ソフト
サイエンス社(1987年) 236−241)に記載
されているような周知の方法を用いることができる。要
約すると一般的に用いる場合は、ポリアクリルアミド電
気泳動(SDSを含むものと含まないものがある)を行
い、ニトロセルロース膜等に転写する。転写終了後酵素
免疫学的なタンパク質の検出を行う。5%BSA−PB
S pH7.2で転写膜をブロッキング(2時間〜一晩
インキュベート)し、5%BSA−PBSで希釈一次抗
体をマウント(30分〜2時間インキュベート)したの
ち、0.1%Tween20−PBSで洗浄する。5%
BSA−PBSで希釈したペルオキシターゼ標識二次抗
体を同操作方法でマウント(60分程度インキュベー
ト)し、0.1%Tween20−PBSで洗浄。最後
に、ペルオキシターゼ用発色液に転写膜を浸漬させ発色
させる(5分程度)。発色バンドの検出はX線フィルム
や蛍光イメージアナライザ等により像として結果を得る
ことが可能である。
【0016】ELISA法は、例えば、酵素免疫測定法
(蛋白質・核酸・酵素 別冊3)(共立出版(1987
年)74−79)に記載されているような周知の方法を
用いることができる。要約すると一般的には、ELIS
A用96穴イムノプレートの各穴に、標的となる試料蛋
白質溶液(50μg/ml)を50μl/穴ずつ分注し、4
℃にて一晩放置する。0.05%Tween20添加P
BS(TPBS)にて洗浄した後、5%ウシ血清アルブ
ミン(BSA)溶液を100μl/穴ずつ加えて、室温
で1時間ブロッキングを行う。TPBSで洗浄した後、
適宜希釈したモノクローナル抗体を50μl/穴ずつ加
え、室温にて45分間反応させる。再び、TPBSにて
洗浄した後、ペルオキシターゼ標識された特異的抗体を
50μl/穴ずつ分注し、室温にて30分〜2時間反応
させる。さらに、TPBSにて洗浄した後、0.4mg/m
lo−フェニレンジアミンを基質として用い発色させ、
マイクロプレートリーダーにより、492nmの波長で吸
光度を測定する。
【0017】さらに、本発明は、上記の抗体を含む、採
取した血液中のアシアロ糖タンパク質レセプターを測定
するためのキットにも関する。このキットには、例え
ば、ウェスタンブロット法を用いる場合には、SDS−
ポリアクリルアミド電気泳動用(SDS−PAGE)用
装置、PAGEからニトロセルロース膜等に転写する装
置、泳動用ガラス板1ないし2組、ニトロセルロース膜
等、緩衝液(1リットル中にTris 3g、グリシン
14.4g、メタノール 200mlを含む。PH8.
3)、マイクロスパーテル、免疫電気泳動用ガラス板、
トレイ、定規、マイクロタイター用振とう器、0.5%
Tween20−PBS pH7.2、0.1%アミド
ブラック、3%ウシアルブミン−PBS pH7.2、
7%酢酸(アミドブラック脱色用)、一次抗体、ペルオ
キシターゼ標識二次抗体、ペルオキシターゼ発色液、湿
潤箱等の一部あるいは全てを含むものとする。
【0018】ELISA法を用いる場合には、ELIS
A用プレートリーダー装置、96穴ELISA用イムノ
プレート、0.5%Tween20添加PBS、5%ウ
シ血清アルブミン(BSA)、一次抗体、ペルオキシタ
ーゼ標識された二次抗体、発色液(クエン酸緩衝液 2
0ml、o−フェニレンジアミン 8mg、過酸化水素水5
μl)、停止液(8N−H2SO4)等の一部あるいは全
てを含むものとする。
【0019】
【実施例】1.ウサギ抗アシアロ糖タンパク質レセプタ
ー抗体の調製 本発明に用いた抗体は、すでにクローニングされたMH
L−1遺伝子のcDNAの組み込まれたPT7T3/1
8uクローニングベクターより の配列を持つプライマー(R Takazawa、K Shinzawa、et a
l Biochem.Biophys.Acta1172,220(1993))にて、MHL
−1の細胞外ドメイン遺伝子を増幅後、pET−14b
ベクターへ組み入れ、大腸菌に導入後IPTG(イソプ
ロピルチオガラクトシド)を誘導剤として4時間刺激し
た。このとき得られた大腸菌の破砕物より、ニッケルカ
ラムにて精製後(このタンパクは6つのHisをタグに
持つ)PBS透析によりタンパク溶液とした。ウサギ
(ニュージランドホワイト、雌、8週令、日本チャール
ズリバー)に精製したタンパク溶液を完全フロイントア
ジュバンド(和光純薬)に混合しエマルジョンを作製
し、約500μlを皮下に投与した。免疫原のタンパク
量は、1mg程度である。その後、毎週同量を皮下投与
し、最終免疫は採血3日前に免疫原タンパク量も3mgと
した。採血を行った後、37℃30分間インキュベーシ
ョンを行い、一晩4℃で血液を凝固させた。その後、上
清部分を回収、遠心を、行い沈殿物を除き0.22μm
のフィルターを通して抗血清とし、ELISAを用いて
抗体価を測定し確認した。
【0020】現在、アシアロ糖タンパク質レセプターの
抗体は、第一化学薬品のものが販売されているが、この
抗体はヒトアシアロ糖タンパク質レセプターを認識する
モノクローナル抗体である。そして、ラビット、ラッ
ト、マウスに交差性を示すことが報告されているが、マ
ウスやラットの免疫組織染色では検出不可能であった。
また、本発明における目的を達成することはできなかっ
た。
【0021】2.ウェスタンブロットによるアシアロ糖
タンパク質レセプターの検出 検体動物より血液を採取し、室温にて30分放置により
血餅を形成後、遠心分離(3000回転、15分間)に
より血漿を得た。この血漿をリン酸緩衝液にて25倍に
希釈し、2倍濃度の電気泳動用サンプル調製液にて、血
漿と等量混合の後、メルカプトエタノールを12%とな
るように添加し、沸水(95℃以上)で5分間加熱し
た。加熱後は速やかに氷冷し、これを電気泳動サンプル
とした。12%ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動
(200V.Lammini緩衝液 45分)し、サンプルは、各1
0マイクロリットルを用いた(このときのタンパク質量
は約5マイクログラムであった)。電気泳動の終了後、
ゲルを取り出し、転写用緩衝液(緩衝液1lあたり、Tr
is 14.41g、グリシン 12.11g、メタノ
ール 20%(v/v))にて平衡化し、泳動されたタン
パク質をメタノールにて親水化したPVDF製の膜へと
転写した。転写条件は、75mA、90分であった。転写
した膜を、0.1%Tween20含リン酸緩衝液で3
回洗浄し、5%ウシ血清アルブミン含リン酸緩衝液にて
2時間以上ブロッキングした。ブロッキング後の膜を、
上記の0.1%Tween20含有リン酸緩衝液にて3
回洗浄し、5%ウシ血清アルブミン含リン酸緩衝液にて
2500倍に希釈したウサギ抗アシアロ糖タンパク質レ
セプター抗体を2時間作用させた。次いで、0.1%T
ween20含リン酸緩衝液で3回洗浄し、20,00
0倍に希釈したペルオキシダーゼ標識した抗ウサギ抗体
を1時間反応させた。このようにして操作したPVDF
膜を、0.1%Tween20含リン酸緩衝液で3回洗
浄し、発色基質(ECL:ファルマシア製)と反応さ
せ,得られた蛍光をX線フィルムに30秒〜10分間感
光させた。
【0022】3.動物個体(ラット、SD 雄 施術時
7週齢 日本エスエルシー)に、ジエチルエーテルで麻
酔し、ヒンギス、アンダーソンらの記述(Higgins GM,
andAnderson RM. (1931) Arch. Pathol. 12, 186-202.
〔Experimental pathology of the liver.〕)をもとに
2/3部分肝切除術(PH:partial hepatectomy)を施
すことによって肝再生を誘導し、経時的(1〜28日
後)に肝細胞を採取した(Seglen PO. (1976) Methods
Cell Biol. 13, 29-83〔Preparation of isolated rat
liver cells.〕Dalet C, Fehlmann M, and Debey P. (1
982) Anal. Biochem. 122, 119-123.〔Use of percoll
density gradient centrifugation for preparing isol
ated rat hepatocytes having long-term viabilit
y.〕)。この肝細胞と肝実質細胞に対する人工培養基質
であるPVLA(シャーレにPVLA水溶液100ng/
mLにて一晩コートの後、0.1%BSA含PBSにて2
時間以上ブロッキングをおこなった。)との相互作用
を、肝細胞の接着率を指標として調べた。
【0023】接着細胞率は、部分肝切除術後7日まで経
時的に減少し、術後7日を最低としてその後回復に転
じ、術後28日では対照群と同レベルまで回復した。術
後7日の肝細胞は、無処理ラットの肝細胞と比べると人
工基質PVLAに対する接着力(認識力)が約30%低
下した(図1)。PVLAと肝実質細胞との相互作用
は、アシアロ糖タンパク質レセプターを介したものであ
ることから、この基質に接着することができる細胞は、
非接着細胞に比べると分化能が高いと考えられた。
【0024】4.肝再生モデル動物における血漿中アシ
アロ糖タンパク質レセプターの経時的変化 ラットに部分肝切除術を行い、その1、2、3、7、1
4、21及び28日後に血液を採取し、血漿中のアシア
ロ糖タンパク質レセプターをウェスタンブロット法によ
って検出した。血漿は25倍に希釈して用いた。部分間
切除群では、アシアロ糖タンパク質レセプターの検出量
は、部分肝切除術後7日まで経時的に増加(無処理群の
2.43倍)し、術後7日を頂点としてその後減少に転
じ、術後28日では無処理群と同レベルまで減少した。
これに対して、肝臓の切除を行わない擬似手術群では、
アシアロ糖タンパク質レセプターの検出量は、無処理群
と比べた変化は認められなかった。一方、ELISAの
応用による血中のアシアロ糖タンパク質の測定によれ
ば、肝再生に伴う負の相関、すなわちアシアロ糖タンパ
ク質レセプターが肝細胞表面において発現が減少する
と、本来基質となるアシアロ糖タンパク質は血中に増加
する。
【0025】代償性肥大による肝再生とアシアロ糖タン
パク質レセプターの血漿中濃度との関連を調べるため
に、四塩化炭素(腹腔内投与 CCl4相当量として、
1.5ml/kg・BWt 20%CCl4オリーブ油溶液)を投
与した急性肝不全モデルラット及び先天性高ビリルビン
血症ラット(雄Gunnラット 日本エスエルシー 検体は2
0週齢)を用いてそれぞれの血漿中アシアロ糖タンパク
質レセプターを検索した。その結果、両者の血漿中から
アシアロ糖タンパク質レセプターが検出された(図
3)。
【0026】これらの結果は、肝臓分化のマーカーとさ
れるアシアロ糖タンパク質レセプターは、肝再生という
増殖過程おいては、細胞外に放出され、血液中に遊離
し、その血漿中濃度が増加し、反対に増殖の終息に伴っ
て、この放出が低減され、血液中に遊離せず、血漿中濃
度が減少することを示している。
【0027】また、上記3種類のモデルにおける肝再生
は、代償性肥大によるものである点で共通している。し
たがって、肝臓に何らかの障害による代償性肥大が生じ
た場合に、アシアロ糖タンパク質レセプターの血漿中濃
度が変動する、すなわち、血漿からのアシアロ糖タンパ
ク質レセプターの検出は、肝臓の状態の指標として有効
であると考えられる。
【0028】本発明の抗体を用いることによって、患者
に対する侵襲的負担を軽減することができ、そして簡便
かつ的確なデータを提供することもできる。また、上記
診断は、肝疾患の総体的な兆候を見出すものではなく、
肝細胞の生物学的活性を直接的に判断することから、肝
臓の状態を判断するためには、最も適切なデータを提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、部分肝切除術後の人工基質PVLAに
対する接着性の経時変化を示す。PHは、部分肝切除
(Partial Hepatectmy)7日後を表し、SOは、擬似手
術(sham operation)7日後を表し、BSAは、0.1
%ウシ血清アルブミンを含むPBS溶液コートを表し、
Norは、正常を表す。
【図2】図2は、肝再生モデル動物における血漿中アシ
アロ糖タンパク質レセプターの経時的変化を示す。上段
は、部分肝切除群、下段は対照群(間切除をしない擬似
手術群:sham operation)である。両断ともに、左端
は、正常(無処理)個体である。
【図3】図3は、肝疾患モデル動物(部分肝切除)の血
漿中のアシアロ糖タンパク質レセプターの検出を示す。
【図4】図4は、肝疾患モデル動物(急性肝不全モデル
ラット及び先天性高ビリルビン血症ラット)の血漿中の
アシアロ糖タンパク質レセプターの検出を示す。
フロントページの続き (72)発明者 伊勢 裕彦 長野県松本市岡田下岡田22−1 荒川ハイ ツ107号 (72)発明者 赤池 敏宏 東京都西東京市下保谷4−15−23 Fターム(参考) 4B024 AA11 BA61 CA01 DA06 HA11 4H045 AA11 AA30 CA40 DA75 EA51 FA74

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 肝炎、肝硬変等の各種肝疾患、又はこれ
    らに伴う外科手術後の経過観察のための抗アシアロ糖タ
    ンパク質レセプター抗体。
  2. 【請求項2】 採取した血液と請求項1の抗体とを接触
    させる工程を含む、血漿中アシアロ糖タンパク質レセプ
    ター濃度の測定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1の抗体を含む、採取した血液中
    のアシアロ糖タンパク質レセプターを測定するためのキ
    ット。
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