JP3503348B2 - トロイダル型無段変速機の組立方法 - Google Patents

トロイダル型無段変速機の組立方法

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JP3503348B2 JP18507596A JP18507596A JP3503348B2 JP 3503348 B2 JP3503348 B2 JP 3503348B2 JP 18507596 A JP18507596 A JP 18507596A JP 18507596 A JP18507596 A JP 18507596A JP 3503348 B2 JP3503348 B2 JP 3503348B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明に係るトロイダル型
無段変速機の組立方法は、例えば自動車用の変速機とし
て利用するトロイダル型無段変速機に所望の性能を発揮
させるべく、構成部材の位置関係を設計値通りに組み立
てる為に利用する。 【0002】 【従来の技術】自動車用変速機として、図2〜3に略示
する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が、例え
ば実開昭62−71465号公報に開示されている様
に、従来から研究されている。このトロイダル型無段変
速機は、入力軸1と同心に第一のディスクである入力側
ディスク2を支持し、この入力軸1と同心に配置した出
力軸3の端部に、第二のディスクである出力側ディスク
4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケ
ーシングの内側には、上記入力軸1並びに出力軸3に対
して捻れの位置にある枢軸5、5を中心として揺動する
複数(実際の場合には2〜3個)のトラニオン6、6を
設けている。 【0003】これら各トラニオン6、6は、それぞれの
両端部外側面に上記枢軸5、5を設けている。又、これ
ら各トラニオン6、6の中間部には、変位軸7、7の基
端部を支持している。これら各変位軸7、7の中心線と
上記各枢軸5、5の中心線とは互いに直角方向に存在す
る。そして、上記各枢軸5、5を中心として上記各トラ
ニオン6、6を揺動させる事により、各変位軸7、7の
傾斜角度の調節を自在としている。各トラニオン6、6
に支持された変位軸7、7の周囲には、それぞれパワー
ローラ8、8を回転自在に支持している。そして、各パ
ワーローラ8、8を、上記入力側、出力側両ディスク
2、4の内側面2a、4a同士の間に挟持している。こ
れら入力側、出力側両ディスク2、4の互いに対向する
内側面2a、4aは、それぞれ断面が、上記枢軸5を中
心とする円弧を回転させて得られる凹面をなしている。
そして、球状凸面に形成された各パワーローラ8、8の
周面8a、8aを、上記内側面2a、4aに当接させて
いる。尚、これら各内側面2a、4aの断面の曲率半径
は、上記周面8aの断面の曲率半径よりも、僅かに大き
い。 【0004】一方、上記入力軸1と入力側ディスク2と
の間には、ローディングカム式の押圧装置9を設け、こ
の押圧装置9によって、上記入力側ディスク2を出力側
ディスク4に向け、弾性的に押圧している。この押圧装
置9は、入力軸1と共に回転するカム板10と、保持器
11により保持された複数個(例えば4個)のローラ1
2、12とから構成している。上記カム板10の片側面
(図2〜3の側面)には、円周方向に亙る凹凸面であ
るカム面13を形成し、上記入力側ディスク2の外側面
(図2〜3の側面)にも、同様のカム面14を形成し
ている。そして、上記複数個のローラ12、12を、上
記入力軸1の中心に対して放射方向の軸を中心とする回
転自在に支持している。 【0005】上述の様に構成されるトロイダル型無段変
速機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板10が回
転すると、カム面13によって複数個のローラ12、1
2が、入力側ディスク2の外側面に形成したカム面14
に押圧される。この結果、この入力側ディスク2が、上
記複数のパワーローラ8、8に押圧されると同時に、上
記1対のカム面13、14と複数個のローラ12、12
との押し付け合いに基づいて、上記入力側ディスク2が
回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、上
記複数のパワーローラ8、8を介して出力側ディスク4
に伝達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が
回転する。 【0006】入力軸1と出力軸3との回転速度を変える
場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を行う場
合には、前記各枢軸5、5を中心として前記各トラニオ
ン6、6を、図2に示す様に揺動させて、前記各変位軸
7、7を傾斜させる。そして、上記各パワーローラ8、
8の周面8a、8aを同図に示す様に、入力側ディスク
2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内
側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接させる。反対
に、増速を行う場合には、図3に示す様に上記各トラニ
オン6、6を揺動させて、上記各変位軸7、7を逆方向
に傾斜させる。そして、同図に示す様に上記各パワーロ
ーラ8、8の周面8a、8aを、入力側ディスク2の内
側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4
aの中心寄り部分とに、それぞれ当接させる。上記各変
位軸7、7の傾斜角度を図2と図3との中間にすれば、
上記入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比を得ら
れる。 【0007】更に、図4〜5は、実願昭63−6929
3号(実開平1−173552号)のマイクロフィルム
に記載された、より具体化されたトロイダル型無段変速
機の1例を示している。このトロイダル型無段変速機で
は、入力側ディスク2と出力側ディスク4とを円管状の
入力軸15の周囲に、それぞれニードル軸受16、16
を介して回転自在に支持している。又、カム板10は上
記入力軸15の端部(図4の左端部)外周面にスプライ
ン係合させて、鍔部17により上記入力側ディスク2か
ら離れる方向への移動を阻止している。そして、このカ
ム板10とローラ12、12とにより、上記入力軸15
の回転に基づいて上記入力側ディスク2を、上記出力側
ディスク4に向けて押圧しつつ回転させる、ローディン
グカム式の押圧装置9を構成している。上記出力側ディ
スク4には出力歯車18を、キー19、19により結合
し、これら出力側ディスク4と出力歯車18とが同期し
て回転する様にしている。 【0008】1対のトラニオン6、6の両端部は1対の
支持板20、20に、揺動並びに軸方向(図4の表裏方
向、図5の左右方向)に亙る変位自在に支持している。
そして、上記各トラニオン6、6の中間部に形成した円
孔23、23部分に、変位軸7、7を支持している。こ
れら各変位軸7、7は、互いに平行で且つ偏心した支持
軸部21、21と枢支軸部22、22とを、それぞれ有
する。このうちの支持軸部21、21を上記各円孔2
3、23の内側に、ニードル軸受24、24を介して、
回転自在に支持している。又、上記各枢支軸部22、2
2の周囲にパワーローラ8、8を、別のニードル軸受2
5、25を介して、回転自在に支持している。 【0009】尚、上記1対の変位軸7、7は、上記入力
軸15に対して180度反対側位置に設けている。又、
これら各変位軸7、7の各枢支軸部22、22が支持軸
部21、21に対し偏心している方向は、上記入力側、
出力側両ディスク2、4の回転方向に対して同方向(図
5で左右逆方向)としている。又、偏心方向は、上記出
力軸15の配設方向に対してほぼ直交する方向としてい
る。従って上記各パワーローラ8、8は、上記入力軸1
5の配設方向に亙る若干の変位自在に支持される。この
結果、動力伝達時に加わる荷重による弾性変形等に起因
して、上記各パワーローラ8、8が上記入力軸15の軸
方向(図4の左右方向、図5の表裏方向)に変位する傾
向となった場合でも、構成各部品に無理な力を加える事
なく、この変位を吸収できる。 【0010】又、上記各パワーローラ8、8の外側面
(本明細書では大径側軸方向端面を『外側面』と言
う。)と上記各トラニオン6、6の中間部内側面との間
には、パワーローラ8、8の外側面の側から順に、スラ
スト玉軸受26、26とスラストニードル軸受27、2
7とを設けている。このうちのスラスト玉軸受26、2
6は、上記各パワーローラ8、8に加わるスラスト方向
の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ8、8の回
転を許容するものである。この様なスラスト玉軸受2
6、26はそれぞれ、複数個ずつの玉29、29と、こ
れら各玉29、29を転動自在に保持する円環状の保持
器28、28と、円輪状の外輪30、30とから成る。
各スラスト玉軸受26、26の内輪軌道は上記各パワー
ローラ8、8の外側面に、外輪軌道は上記各外輪30、
30の内側面に、それぞれ形成している。 【0011】又、上記各スラストニードル軸受27、2
7は、レース31と保持器32とニードル33、33と
から構成している。このうちのレース31と保持器32
とは、回転方向に亙る若干の変位自在に組み合わせてい
る。このスラストニードル軸受27、27は、上記各レ
ース31、31を上記各トラニオン6、6の内側面に当
接させた状態で、この内側面と上記外輪30、30の外
側面との間に挟持している。この様なスラストニードル
軸受27、27は、上記各パワーローラ8、8から上記
各外輪30、30に加わるスラスト荷重を支承しつつ、
上記各枢支軸部22、22及び上記外輪30、30が上
記支持軸部21、21を中心として揺動する事を許容す
る。 【0012】更に、上記各トラニオン6、6の一端部
(図5の左端部)にはそれぞれ駆動ロッド36、36を
結合し、これら各駆動ロッド36、36の中間部外周面
に駆動ピストン37、37を固設している。そして、こ
れら各駆動ピストン37、37を、それぞれ駆動シリン
ダ38、38内に油密に嵌装している。 【0013】上述の様に構成されるトロイダル型無段変
速機の場合には、入力軸15の回転は、押圧装置9を介
して入力側ディスク2に伝わる。そして、この入力側デ
ィスク2の回転が、1対のパワーローラ8、8を介して
出力側ディスク4に伝わり、更にこの出力側ディスク4
の回転を、出力歯車18より取り出す。 【0014】入力軸15と出力歯車18との間の回転速
度比を変える場合には、上記1対の駆動ピストン37、
37を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピスト
ン37、37の変位に伴って上記1対のトラニオン6、
6が、それぞれ逆方向に変位し、例えば図5の下側のパ
ワーローラ8が同図の右側に、同図の上側のパワーロー
ラ8が同図の左側に、それぞれ変位する。この結果、こ
れら各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記入力
側ディスク2及び出力側ディスク4の内側面2a、4a
との当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化す
る。そして、この力の向きの変化に伴って上記各トラニ
オン6、6が、支持板20、20に枢支された枢軸5、
5を中心として、互いに逆方向に揺動する。 【0015】この結果、前述の図2〜3に示した様に、
上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記各内
側面2a、4aとの接触位置が変化し、上記入力軸15
と出力歯車18との間の回転速度比が変化する。又、動
力伝達に伴って上記出力側ディスク4等が弾性変形し、
上記各パワーローラ8、8が上記入力軸15の軸方向に
変位する。そして、これら各パワーローラ8、8を支持
している前記各変位軸7、7が、前記各支持軸部21、
21を中心として僅かに回動する。この回動の結果、前
記各スラスト玉軸受26、26の外輪30、30の外側
面と上記各トラニオン6、6の内側面とが相対変位す
る。 【0016】 【発明が解決しようとする課題】上述の様に構成され作
用するトロイダル型無段変速機による動力伝達の効率を
確保する為には、複数のパワーローラ8、8の周面8
a、8aと入力側、出力側両ディスク2、4の内側面2
a、4aとの当接位置が、各パワーローラ8、8毎に異
ならない様にする必要がある。この理由は、次の通りで
ある。 【0017】トロイダル型無段変速機は、図2〜5に示
す様に、対となる入力側ディスク2と出力側ディスク4
との間に複数のパワーローラ8、8を挟持している。こ
れら複数のパワーローラ8、8による上記入力側ディス
ク2と出力側ディスク4との間で回転力伝達は、互いに
均等でなければならない。言い換えれば、トロイダル型
無段変速機の運転時に、上記各パワーローラ8、8の回
転速度は互いに等しくなければならない。この様な目的
で上記各パワーローラ8、8の回転速度を互いに等しく
する為には、これら各パワーローラ8、8の周面8a、
8aと上記入力側、出力側両ディスク2、4の内側面2
a、4aとの当接位置とこれら入力側、出力側両ディス
ク2、4の回転中心との距離である、当接位置半径を互
いに等しくする必要がある。 【0018】これに対して、上記当接位置半径は、上記
各パワーローラ8、8を支持しているトラニオン6、6
に設けた枢軸5、5と、上記各パワーローラ8、8の周
面8a、8aとの位置関係で変化する。上記枢軸5、5
と周面8a、8aとの間には、上記トラニオン6、6の
本体部分の他、スラストニードル軸受27を構成するレ
ース31及びニードル33、33、スラスト玉軸受26
を構成する外輪30及び玉29、29、各パワーローラ
8、8の本体部分が存在する。そして、上記当接位置半
径は、これら各部材の寸法誤差、並びに上記周面8a、
8aの形状誤差に基づいて正規の値からずれる可能性が
ある。特に、上述の様に上記枢軸5、5と周面8a、8
aとの間に存在する部材の数が多い為、構成各部材の寸
法誤差が僅かであっても、それらが蓄積されて上記当接
位置半径の差が大きくなる可能性がある。 【0019】この様な寸法誤差の蓄積によって上記複数
のパワーローラ8、8毎に上記当接位置半径が異なる
と、少なくとも1個所の当接位置に滑りが発生する。こ
の様な滑りが発生すると、トロイダル型無段変速機の伝
達効率が低下するだけでなく、滑りによる発熱の為、上
記各周面8a、8a及び内側面2a、4aの転がり疲れ
寿命が低下する。更に、上記寸法誤差が過大になると、
例えば特開平8−4868号公報に記載されている様
に、上記当接位置が上記周面8aに形成された有効トラ
クション面から外れる可能性がある。例えば負荷が入力
された際に、当接部の接触楕円が有効トラクション面の
境界部分から外れると、この接触楕円の一部と有効トラ
クション面の境界部分(エッヂ部分)との当接部に過大
な面圧が作用する。即ち、当該周面8aと上記各内側面
2a、4aとの当接部に過大な面圧が作用し、上記転が
り疲れ寿命を極端に低下させる可能性がある。 【0020】上述の様に、上記複数のパワーローラ8、
8の周面8a、8aと上記入力側、出力側両ディスク
2、4の内側面2a、4aとの当接位置が、上記各パワ
ーローラ8、8毎に異ならない様にしなければならない
のに対して、従来は、上記当接位置を互いに一致させる
為の考慮はしていなかった。この為、トロイダル型無段
変速機を実用化して多数のトロイダル型無段変速機を製
造した場合には、中に不十分な性能のものが混じる可能
性がある。 【0021】上述の説明は、入力側、出力側両ディスク
2、4を1個ずつ設けた、所謂シングルキャビティ型の
トロイダル型無段変速機の場合に就いて述べた。これに
対して、入力側、出力側両ディスク2、4を2個ずつ設
けた、所謂ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速
機の場合には、各キャビティ毎に上述の様な問題が生じ
得るだけでなく、異なるキャビティ同士の間でも、同様
の問題が発生する可能性がある。本発明のトロイダル型
無段変速機の組立方法は、この様な事情に鑑みて発明し
たものである。 【0022】 【課題を解決する為の手段】本発明のトロイダル型無段
変速機の組立方法により組み立てられるトロイダル型無
段変速機は、互いの内側面同士を対向させた状態で、互
いに同心に、且つ回転自在に支持された第一、第二のデ
ィスクと、第一のディスクを第二のディスクに向けて軸
方向に押圧する押圧装置と、上記第一、第二のディスク
の中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を中心として揺動
する複数のトラニオンと、各トラニオンの内側面から突
出した変位軸と、それぞれの周面を上記第一、第二のデ
ィスクの内側面に当接させる球状凸面とし、上記各変位
軸の周囲に回転自在に支持された複数のパワーローラ
と、これら各パワーローラの外側面と上記各トラニオン
の内側面との間に設けられたスラスト軸受と、上記各パ
ワーローラの外側面と上記各トラニオンの内側面との間
に、上記スラスト軸受に対して直列に配置されたバック
アッププレートとを備える。 【0023】この様なトロイダル型無段変速機を組み立
てる、本発明のトロイダル型無段変速機の組立方法は、
上記トラニオンに支持される部材のうち、上記バックア
ッププレートは基準寸法値のものを選択し、構成各部材
を上記トラニオンに仮組み付けした状態で、上記各パワ
ーローラの周面と上記第一、第二のディスクの内側面と
の当接位置と、上記枢軸の中心との位置関係を求める。
そして、求められた位置関係に基づいて所望の厚さ寸法
を有するバックアッププレートを選択し、この選択され
たバックアッププレートを上記各パワーローラの外側面
と上記各トラニオンの内側面との間に組み込む事によ
り、当接位置と上記枢軸の中心との位置関係の寸法を設
計値通りにする。 【0024】 【作用】上述の様に構成される本発明のトロイダル型無
段変速機の組立方法によれば、各パワーローラの周面と
上記第一、第二のディスクの内側面との当接位置と、枢
軸の中心との位置関係の寸法を設計値通りにできる。従
って、上記各パワーローラの周面と上記第一、第二のデ
ィスクの内側面との当接位置とこれら第一、第二のディ
スクの回転中心との距離である、当接位置半径を互いに
等しくできる。この結果、上記第一、第二のディスク同
士の間に挟持した複数のパワーローラの回転速度を互い
に等しくして、上記各パワーローラの周面と各ディスク
の内側面との間で滑りが発生する事を防止できる。 【0025】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態の第
1例を示している。両端部に枢軸5、5を設けたトラニ
オン6の中間部に形成した円孔23の内側に、変位軸7
を構成する支持軸部21を、ニードル軸受24を介し
て、回転自在に支持している。又、この支持軸部21と
共に上記変位軸7を構成する枢支軸部22の周囲にパワ
ーローラ8を、別のニードル軸受25を介して回転自在
に支持している。又、このパワーローラ8の外側面と上
記トラニオン6の中間部内側面との間に、パワーローラ
8の外側面の側から順に、スラスト玉軸受26とスラス
トニードル軸受27とを設けている。このうちのスラス
ト玉軸受26は、複数個の玉29、29と、各玉29、
29を転動自在に保持する円環状の保持器28と、円環
状の外輪30とから成る。このスラスト玉軸受26の内
輪軌道は上記パワーローラ8の外側面に、外輪軌道は上
記外輪30の内側面に、それぞれ形成している。 【0026】又、上記スラストニードル軸受27は、上
記トラニオン6の内側面に添設したレース31と、保持
器32と、ニードル33、33とから構成している。こ
のうちのレース31と保持器32とは、回転方向に亙る
若干の相対変位自在に組み合わせている。このスラスト
ニードル軸受27は、上記レース31を上記トラニオン
6の内側面に当接させた状態で、この内側面と上記外輪
30の外側面との間に挟持している。この様なスラスト
ニードル軸受27は、上記パワーローラ8から上記外輪
30に加わるスラスト荷重を支承しつつ、上記枢支軸部
22及び上記外輪30が上記支持軸部21を中心として
揺動する事を許容する。 【0027】本発明のトロイダル型無段変速機の組立方
法は、上記構成各部材を図1に示す様にトラニオン6に
仮組み付けした状態で、上記パワーローラ8の周面8a
と入力側、出力側両ディスク2、4の内側面2a、4a
(図2〜4)との当接位置と、前記枢軸5、5の中心α
との位置関係を求める。図示の例では、上記パワーロー
ラ8の周面8aの形状誤差を、他の構成部材の寸法誤差
と合わせて考慮しつつ、上記当接位置と中心αとの位置
関係を求めるべく、2段階に分けて、この位置関係を求
める為の測定作業を行なっている。尚、2段階で行なう
測定作業の前後は問わない。 【0028】先ず、上記パワーローラ8並びにこのパワ
ーローラ8の外側面とトラニオン6の内側面との間に設
けたスラスト玉軸受26及びスラストニードル軸受27
の構成各部材の寸法誤差を求めるべく、コンパレータ3
9の測定端子40を、上記パワーローラ8の内側面8b
に突き当てる。又、必要に応じて、上記各枢軸5、5に
も、コンパレータ39の測定端子40を突き当てる。こ
の様にして行なう測定作業により、設計値に対する上記
構成各部材8、26、27の寸法誤差が求められる。
尚、図示の例では、この測定作業の際に、請求項に記載
したバックアッププレートに相当し、上記スラストニー
ドル軸受27を構成するレース31を、上記トラニオン
6の内側面に添設しているが、このレース31を省略し
た状態で、上記測定作業を行なっても良い。 【0029】又、上記測定作業と前後して、上記パワー
ローラ8の周面8aの形状誤差を求めるべく、この周面
8aと上記両ディスク2、4の内側面2a、4aとの当
接位置と、上記パワーローラ8の内側面8bとの位置関
係を測定する。この測定作業は、鉢状の測定ブラケット
41を、上記パワーローラ8に被せ、この測定ブラケッ
ト41の底部外面に設けた、先端部を半球状に形成した
突部42に、やはりコンパレータ39の測定端子40を
突き当てる事により行なう。上記測定ブラケット41
は、内周面43aをテーパ凹面とした筒部43を有し、
測定時にはこの筒部43の内周面43aの直径方向反対
位置を、上記パワーローラ8の周面8aに当接させる。 【0030】この筒部43の内周面43aの傾斜角度
は、上記パワーローラ8と、このパワーローラ8を挟持
すべき入力側ディスク2及び出力側ディスク4の内側面
2a、4aとの関係に合わせて規制する。即ち、トロイ
ダル型無段変速機を設計する際には、上記パワーローラ
8の周面8aと上記両ディスク2、4の内側面2a、4
aとの当接部(接触楕円)の中心と上記周面8aの変位
中心(上記枢軸5、5の中心αと枢支軸部22の中心β
との交点O)とを結ぶ線イ、イと、枢支軸部22の中心
線ロとの交差角度である半頂角θを所望値(例えば60
度)に規制する。上記筒部43の内周面43aの傾斜角
度並びに内径寸法は、上記周面8aの形状が所望通りの
場合に、この周面8aと上記内周面43aとの当接位置
が、上記所望の半頂角θに合致し、且つ上記内周面43
aの所望位置で当接する様に、上記両ディスク2、4の
内側面2a、4aの形状及び間隔に合わせて規制してい
る。 【0031】上記周面8aの形状(外径寸法も含む)が
設計値からずれていると、この周面8aと上記内周面4
3aとの当接位置が設計位置からずれ、上記突部42に
その測定端子40を突き当てたコンパレータ39の測定
値が、所望値からずれる。そこで、このずれを、上記枢
軸5、5の中心αとパワーローラ8との位置関係を変え
る事により相殺すべく、上記当接位置の設計位置からの
ずれ量を求める。この際に、上記コンパレータ39の測
定値から上記枢支軸部22の軸方向に関するパワーロー
ラ8のずれ量を求める作業は、例えば『日本機械学会第
69期通常総会講演会論文集Vol.C)』に記載されてい
る式を使用して、数学的手法により行なえる。 【0032】即ち、上記ずれ量を求める為には、先ず図
6に示す様にして、パワーローラ8の周面8aと測定ブ
ラケット41を構成する筒部43の内周面43aとの当
接位置である、上記パワーローラ8のトラクション面の
位置を求める。この場合に、例えば上記パワーローラ8
の軸方向をx座標とし、同じく半径方向をy座標とす
る。又、キャビティ中心である前記中心α、βの交点を
Oとし、パワーローラ8のトラクション面の曲率の中心
点をO´とする。又、これら両点O、O´間の距離をr
1 とし、半頂角をθとする。従って、上記曲率の中心点
O´の座標は、(r1cosθ,r1sinθ)となる。又、上
記パワーローラ8の周面8aの主曲率半径をr2 とする
と、上記トラクション面の座標は、(x−r1cosθ)2
+(y−r1sinθ)2 =r2 2で表す事ができる。上記内
周面43aは円錐凹面状の傾斜面とされており、上記周
面8aの形状誤差に伴い、上記トラクション面の位置が
移動し、上記測定ブラケット41が、x座標に沿って移
動する。上記内周面43aの傾斜も、x,y座標に関す
る一次式で表示できるので、上記コンパレータ39の測
定値に基づき、上記周面8aと内周面43aとの接触部
の位置を、上記x,y座標で求める事ができる。そし
て、求めた値により、上記ずれ量を知る事ができる。 【0033】前述の様に、パワーローラ8の内側面8b
にコンパレータ39の測定端子40を突き当てる事によ
り、前記枢軸5、5の中心αに対する上記パワーローラ
8の位置関係を測定し、この測定値に基づいてこれら両
部材5、8の実際の位置関係の設計値に対するずれ△L
1 を求める。又、前記測定ブラケット41の突部42に
コンパレータ39の測定端子40を突き当てる事によ
り、上記パワーローラ8の内側面8bに対する、このパ
ワーローラ8の周面8aと入力側、出力側両ディスク
2、4の内側面2a、4aとの当接位置のずれ△L2
求める。そして、この様に2段階に亙って求めたずれ△
1 、△L2 を合計(△L1 +△L2 )すれば、枢軸
5、5の中心αに対するパワーローラ8の周面8aと入
力側、出力側両ディスク2、4の内側面2a、4aとの
当接位置のずれ量L(=△L1 +△L2)が求められ
る。 【0034】そこで、この様にして求めた関係、即ち上
記中心αと上記当接位置との設計値に対するずれ量Lに
基づいて、このずれ量Lを相殺すべく、所望の厚さ寸法
を有するレース31(バックアッププレート)を選択す
る。そして、この選択したレース31を、前記トラニオ
ン6の内側面に添設する。この結果、上記パワーローラ
8の周面8aと入力側、出力側両ディスク2、4の内側
面2a、4aとの当接位置と、上記枢軸5、5の中心α
との関係寸法が設計値通りになる。上述の様なずれ量L
の測定作業と、このずれ量Lを相殺する為のレース31
の選択作業とは、トロイダル型無段変速機を構成する複
数のトラニオン6と、このトラニオン6に支持したパワ
ーローラ8毎に行なう。そして、総てのトラニオン6及
びパワーローラで、上記中心αと上記当接位置との関係
が同じになる様にする。 【0035】上述の様に構成される本発明のトロイダル
型無段変速機の組立方法によれば、各パワーローラ8の
周面8aと入力側、出力側両ディスク2、4の内側面2
a、4aとの当接位置と、枢軸5、5の中心αとの位置
関係の寸法を設計値通りにできる。従って、トロイダル
型無段変速機を構成する複数のパワーローラ8の周面8
aと入力側、出力側両ディスク2、4の内側面2a、4
aとの当接位置と、これら入力側、出力側両ディスク
2、4の回転中心との距離である、当接位置半径を互い
に等しくできる。この結果、上記入力側、出力側両ディ
スク2、4同士の間に挟持した複数のパワーローラ8、
8の回転速度を互いに等しくして、上記各パワーローラ
8、8の周面8a、8aと各ディスク2、4の内側面2
a、4aとの間で滑りが発生する事を防止できる。 【0036】又、上記当接位置が上記周面8aに形成さ
れた有効トラクション面から外れる可能性をなくして、
上記周面8aと上記各内側面2a、4aとの当接部に過
大な面圧が作用する事を防止し、上記転がり疲れ寿命が
極端に低下する事を防止できる。尚、パワーローラ8の
周面8aの形状を、誤差が無視できる程度に正確に仕上
げる事が可能であれば、前記測定ブラケット41を使用
する測定作業並びにこの測定値の処理作業は不要であ
る。 【0037】 【発明の効果】本発明のトロイダル型無段変速機の組立
方法は、以上に述べた通り構成され作用するので、優れ
た伝達効率を有し、しかも耐久性の優れたトロイダル型
無段変速機を実現できる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施の形態の1例を、枢軸の中心とパ
ワーローラの周面の当接位置との関係を測定する状態で
示す断面図。 【図2】従来から知られたトロイダル型無段変速機の基
本的構成を、最大減速時の状態で示す側面図。 【図3】同じく最大増速時の状態で示す側面図。 【図4】従来の具体的構造の1例を示す断面図。 【図5】図4のA−A断面図。 【図6】パワーローラのずれ量を求める方法を説明する
為の図。 【符号の説明】 1 入力軸 2 入力側ディスク 2a 内側面 3 出力軸 4 出力側ディスク 4a 内側面 5 枢軸 6 トラニオン 7 変位軸 8 パワーローラ 8a 周面 8b 内側面 9 押圧装置 10 カム板 11 保持器 12 ローラ 13、14 カム面 15 入力軸 16 ニードル軸受 17 鍔部 18 出力歯車 19 キー 20 支持板 21 支持軸部 22 枢支軸部 23 円孔 24、25 ニードル軸受 26 スラスト玉軸受 27 スラストニードル軸受 28 保持器 29 玉 30 外輪 31 レース 32 保持器 33 ニードル 36 駆動ロッド 37 駆動ピストン 38 駆動シリンダ 39 コンパレータ 40 測定端子 41 測定ブラケット 42 突部 43 筒部 43a 内周面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−4868(JP,A) 特開 平7−248049(JP,A) 特開 平8−49755(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 15/38

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 互いの内側面同士を対向させた状態で、
    互いに同心に、且つ回転自在に支持された第一、第二の
    ディスクと、第一のディスクを第二のディスクに向けて
    軸方向に押圧する押圧装置と、上記第一、第二のディス
    クの中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を中心として揺
    動する複数のトラニオンと、各トラニオンの内側面から
    突出した変位軸と、それぞれの周面を上記第一、第二の
    ディスクの内側面に当接させる球状凸面とし、上記各変
    位軸の周囲に回転自在に支持された複数のパワーローラ
    と、これら各パワーローラの外側面と上記各トラニオン
    の内側面との間に設けられたスラスト軸受と、上記各パ
    ワーローラの外側面と上記各トラニオンの内側面との間
    に、上記スラスト軸受に対して直列に配置されたバック
    アッププレートとを備えたトロイダル型無段変速機の組
    立方法であって、上記トラニオンに支持される部材のう
    ち、少なくとも上記バックアッププレートを除く構成各
    部材を上記トラニオンに仮組み付けした状態で、上記各
    パワーローラの周面と上記第一、第二のディスクの内側
    面との当接位置と、上記枢軸の中心との位置関係を求
    め、求められた位置関係に基づいて所望の厚さ寸法を有
    するバックアッププレートを選択し、この選択されたバ
    ックアッププレートを上記各パワーローラの外側面と上
    記各トラニオンの内側面との間に組み込む事により、当
    接位置と上記枢軸の中心との位置関係の寸法を設計値通
    りにするトロイダル型無段変速機の組立方法。
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