JP3501830B2 - 研削装置及び研削方法 - Google Patents

研削装置及び研削方法

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JP3501830B2
JP3501830B2 JP29562393A JP29562393A JP3501830B2 JP 3501830 B2 JP3501830 B2 JP 3501830B2 JP 29562393 A JP29562393 A JP 29562393A JP 29562393 A JP29562393 A JP 29562393A JP 3501830 B2 JP3501830 B2 JP 3501830B2
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grinding
cutting
workpiece
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政男 山口
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  • Grinding Of Cylindrical And Plane Surfaces (AREA)
  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、研削装置、及び平面研
削盤又は円筒研削盤によりワークを研削する研削方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、横軸平面研削盤でワークの研削
を行う場合には、サドル上に配置されたテーブルにワー
クを固定し、回転する砥石をワークに接触させた後、所
定量の切り込みを加えてテーブルを砥石軸と直交する方
向に往復動させる。そして、時にはテーブルを砥石軸線
方向に移動させながらワークの研削を行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記砥
石に目づまり・目こぼれ・目つぶれ、及び摩耗等が発生
した場合には、砥石の研削能力が低下してしまう。この
場合、砥石に所定量の切り込みを加えてワークの研削を
行っても、ワーク寸法は、所定の切り込みよりも大きく
なる。これは、砥石の研削能力が低下したことから、砥
石に加わる研削抵抗(背分力)が異常に増加して、砥石
がワークにより持ち上げられる状態となるために発生す
る。つまり、砥石はワークを研削せずに(ある程度は研
削する)、ワーク上面を滑るような状態となる。この場
合、ワークが砥石との摩擦熱により熱膨張し、さらに砥
石が持ち上げられる状態となる。
【0004】つまり、図9に示すように、ワークWの熱
膨張により砥石軸51が撓む。砥石軸51が撓むという
ことは、砥石52とワークWとの接触面に大きな応力が
加わることになる。このため、ワークWの研削面に歪み
が発生し、精度や表面粗さ等に影響がでる。
【0005】また、円筒研削盤においては、砥石軸が両
端から支持されていることから、ワークWが熱膨張して
も砥石軸は撓みにくい。しかし、ワーク外径が比較的小
径の場合には、図10に示すように、ワークWが撓んで
しまうことがある。この場合にも、前記平面研削盤と同
様な問題が発生する。
【0006】そして、前記の状態で研削加工を続行した
場合には、ワークの研削面にうねり(凹凸)が発生す
る。この場合、その研削面を仕上げ研削しても、前工程
の荒研削加工の影響がでて、所望の仕上げ面を得ること
ができない。
【0007】前記砥石とワークとの摩擦熱は、砥石の研
削能力の低下に伴って高くなる。この場合、砥石の砥粒
を結合する結合剤の特性が変化(軟質化等)し、砥粒の
保持状態が変化する。すなわち、図11に示すように、
砥石52の研削能力が十分高く、研削抵抗が比較的低い
場合には砥石52とワークWとの摩擦熱は低いことか
ら、砥石52の結合剤Bの硬度は殆ど変化されず、砥粒
53の向きも変わらない。
【0008】しかし、目づまり等が発生して、砥石52
の研削能力が低下し、砥石51に加わる研削抵抗が高く
なると、ワークWとの摩擦熱が高くなる。その結果、図
12に示すように、砥石52の結合剤Bが軟質化し、研
削抵抗によって砥粒53が結合剤B内に埋まったり、砥
粒53の向きが変わる。この場合も、ワークの研削面精
度や表面粗さ等に影響がでる。
【0009】本発明は上記問題点を解消するためになさ
れたものであって、その目的は砥石とワークとの摩擦熱
の影響でワークの研削面に歪みを発生するのを防止する
ことが可能な研削加工方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明では、ワークを載置するテー
ブルと、前記テーブル上方に配置され、ワークの研削を
行う砥石と、前記砥石又はテーブルを移動させて、ワー
クと砥石との間の距離を調整する距離調整手段と、前記
テーブル又は砥石を砥石回転軸方向へ移動させる送り手
段と、前記テーブル上のワークと砥石とが接触するワー
クの基準面から、砥石に所定量切り込みを与えてワーク
の研削を行うように距離調整手段を制御する第1の制御
手段と、前記ワークの研削中にワークから一旦砥石を離
間させ、所定時間砥石をワーク上方に待機させるように
前記距離調整手段を制御する第2の制御手段と、前記ワ
ークから砥石が離間している際にテーブル又は砥石を砥
石回転軸方向へ移動させるように送り手段を制御する第
3の制御手段とを備えたことをその要旨とする。
【0011】請求項2に記載の発明では、円筒状のワー
クを、その両端から支持するワーク支持体と、前記ワー
ク支持体と対向するように配置され、ワークの研削を行
う砥石と、前記砥石又はワーク支持体を移動させて、ワ
ークと砥石との間の距離を調整する距離調整手段と、前
記ワーク支持体又は砥石を砥石回転軸方向へ移動させる
送り手段と、前記ワーク支持体上のワークと砥石とが接
触するワークの基準面から、砥石に所定量切り込みを与
えてワークの研削を行うように距離調整手段を制御する
第1の制御手段と、前記ワークの研削中にワークから一
旦砥石を離間させ、所定時間砥石をワーク上方に待機さ
るように前記距離調整手段を制御する第2の制御手段
と、前記ワークから砥石が離間している際にワーク支持
体又は砥石を砥石回転軸方向へ移動させるように送り手
段を制御する第3の制御手段とを備えたことをその要旨
とする。
【0012】請求項3に記載の発明では、水平方向に往
復動可能なテーブル上にワークを載置し、テーブル上方
に配置した砥石により前記ワークを研削する平面研削盤
において、前記テーブル上のワークと砥石とが接触する
ワークの基準面から、前記砥石を所定量切り込む切り込
み工程と、前記切り込み工程を終えた後、ワークの研削
面から一旦砥石を離間させ、所定時間砥石をワーク上方
に待機させる砥石離間工程と、前記砥石離間工程を終え
た後、テーブル又は砥石を砥石回転軸方向へ移動させる
送り工程との3工程を順次繰り返し行って、断続的にワ
ークを研削することをその要旨とする。
【0013】請求項4に記載の発明では、円筒状のワー
クを、ワーク支持体により両端から支持し、同ワーク支
持体に支持されたワークをその外周面から砥石により研
削する円筒研削盤において、前記ワーク支持体に支持さ
れたワークと砥石とが接触する基準面から、砥石を所定
量切り込んでワークを研削する切り込み工程と、前記切
り込み工程を終えた後、ワーク外周面から一旦砥石を離
間させ、所定時間砥石をワーク上方に待機させる砥石離
間工程と、前記砥石離間工程を終えた後、ワーク又は砥
石を砥石回転軸線方向へ移動させる送り工程との3工程
を順次繰り返し行って、断続的にワークを研削すること
をその要旨とする。
【0014】請求項5に記載の発明では、ワークから砥
石が離間した際に砥石に加わる切削抵抗と、前記切り込
み工程時に砥石に加わる切削抵抗とに基づいて、砥石の
切削能力を判別する判別手段を設けたことをその要旨と
する。
【0015】 〔発明の詳細な説明〕
【0016】
【作用】請求項1に記載の発明によれば、第1の制御手
段により距離調整手段が制御され、テーブル上のワーク
と砥石とが接触するワークの基準面から、砥石に所定量
の切り込みが与えられてワークの研削が行われる。そし
て、砥石が所定量切り込まれた後、第2の制御手段によ
り距離調整手段が制御され、ワークから一旦砥石が上方
に離間される。そして、第3の制御手段により送り手段
が制御され、前記ワークから砥石が離間している際にテ
ーブル又は砥石が砥石回転軸方向へ移動さされる。
【0017】請求項2に記載の発明によれば、第1の制
御手段により距離調整手段が制御され、ワーク支持体に
支持されたワークと砥石とが接触するワークの基準面か
ら、砥石に所定量の切り込みが与えられてワークの研削
が行われる。そして、砥石が所定量切り込まれた後、第
2の制御手段により距離調整手段が制御され、ワークか
ら一旦砥石が上方に離間される。そして、第3の制御手
段により送り手段が制御され、前記ワークから砥石が離
間している際にワーク支持体又は砥石が砥石回転軸方向
へ移動さされる。
【0018】請求項3に記載の発明によれば、切り込み
工程にてテーブル上のワークと砥石とが接触する基準面
から、砥石が所定量切り込まれる。ワークが所定量研削
された後、砥石離間工程にて一旦砥石がワークから離間
される。次の送り工程ではテーブル又は砥石が砥石軸線
方向に移動される。以後、前記切り込み工程、砥石離間
工程、送り工程が繰り返し行われてワークの平面が研削
される。
【0019】請求項4に記載の発明によれば、切り込み
工程にて一対のワーク支持体間に支持されたワークと砥
石とが接触する基準面から、砥石が所定量切り込まれ
る。ワーク外周面が所定量研削された後、砥石離間工程
にて一旦砥石がワークから離間される。次の送り工程で
はワーク又は砥石が砥石軸線方向に移動される。以後、
前記切り込み工程、砥石離間工程、送り工程が繰り返し
行われてワークの外周、面の研削が行われる。
【0020】請求項5に記載の発明によれば、ワークか
ら砥石が離間した際に砥石に加わる切削抵抗と、前記切
り込み工程時に砥石に加わる切削抵抗とに基づいて、砥
石の切削能力を判別することにより、大幅に研削能力が
低下した砥石を使用してワークを研削するのが防止され
る。
【0021】
【実施例】
(第1実施例)以下、本発明を平面研削盤で具体化した
第1実施例を図面に基づいて説明する。
【0022】図1及び図2に示すように、ベッド1上に
はサドル2が図1において左右方向に移動可能に配置さ
れている。同サドル2は図示しない連結機構を介してサ
ドル移動用モータM1に連結され、同モータM1の駆動
に伴ってベッド1上を図1の左右に往復動する。また、
サドル2上にはテーブル3が前後方向(図2おいて左右
方向)に移動可能に配置されている。テーブル3には図
示しない連結機構を介して送り手段としてのテーブル移
動用モータM2が連結され、同モータM2の駆動に伴っ
て、サドル2上を前後に往復動する。なお、テーブル3
は電磁チャックとなっており、電磁力でワークWを固定
する。ベッド1の背面側にはコラム4が立設され、同コ
ラム4には主軸ヘッド5が昇降可能に係合されている。
主軸ヘッド5には昇降機構を介して距離調整手段として
のヘッド昇降用モータM3が連結されている。同モータ
M3の駆動に伴って、主軸ヘッド5はコラム4に対して
昇降移動する。
【0023】前記主軸ヘッド5には回転軸6が回転可能
に挿通されている。回転軸6の前端には砥石7が固定支
持され、一方の後端には砥石回転用モータM4が連結さ
れている。同モータM4の駆動に伴って回転軸6及び砥
石7が回転する。前記主軸ヘッド5には砥石カバー8が
装着されている。同砥石カバー8には、ノズル9が連結
されている。ノズル9はワークWと砥石7との間に研削
液を放出する。
【0024】なお、上記平面研削盤は制御パネル10に
内蔵された第1〜第3の制御手段及び判別手段を構成す
るコントローラCにより駆動制御される。次に、平面研
削盤の電気的構成を図3のブロック図に基づいて説明す
る。
【0025】コントローラCは中央処理装置(CPU)
11、制御用プログラム等を記憶するROM12、演算
結果等を記憶するRAM13等から構成されている。C
PU11の入力側には、前記制御パネル10に配列され
た各種キー21〜29が接続されている。一方、CPU
11の出力側にはモータ駆動回路15を介して各種モー
タM1〜M4が接続されている。
【0026】X方向送り速度設定キー21は、サドル移
動用モータM1の回転数を変えて左右方向(X方向)へ
のサドル2の移動速度Xsを設定する際に操作するキー
である。Y方向送り速度設定キー22は、テーブル移動
用モータM2の回転数を変えてテーブル3の前後方向
(Y方向)への移動速度Ysを設定する際に操作するキ
ーである。Z方向送り速度設定キー23は、ヘッド昇降
用モータM3の回転数を変えて砥石7の上下方向(Z方
向)への送り速度Zsを設定する際に操作するキーであ
る。
【0027】切り込み量設定速度キー24は、ワークW
の研削時におけるヘッド昇降用モータM3の回転量を変
えて主軸ヘッド5の下降量(砥石7の切り込み量G)を
設定するキーである。砥石回転数設定キー25は、砥石
回転用モータM4の回転数を変えて砥石7の回転数を設
定する際に操作するキーである。待機時間設定キー26
は、砥石7が切り込み量設定キー24により設定された
切り込み量Gまで移動した際に、ワークWの研削面から
砥石7を離間させて砥石7をワークW上方に待機させる
待機時間Tを設定する際に操作するキーである。Y方向
移動量設定キー28は、ワークWの研削時におけるテー
ブル3のY方向への移動量Fを設定するキーである。基
準面設定キー29は、砥石7の外周面と接触するワーク
Wの上面(基準面w1)を設定する際に操作するキーで
ある。
【0028】また、CPU11の入力側にはY方向移動
量センサ17及びZ方向移動量センサ18が接続されて
いる。Y方向移動量センサ17は、テーブル3の移動量
を検出し、CPU11にその移動量に対する検出信号を
出力する。Z方向移動量センサ18は、テーブル3上面
に対する主軸ヘッド5の高さを検出し、その検出信号を
CPU11に出力する。
【0029】次に、上記のように構成された平面研削盤
の作用を図4,5のフローチャートに基づいて説明す
る。まず、ステップ101〜ステップ103においてC
PU11は、作業者がサドル2の移動速度Xs、テーブ
ル3の移動速度Ys及び砥石7の送り速度Zsを入力す
るのを待機する。ステップ104〜ステップ107にお
いてCPU11は、作業者が砥石回転数N、砥石7の切
り込み量G、砥石7がワークWから離間する待機時間T
及びテーブル2のY方向移動量Fを入力するのを待機す
る。なお、ステップ107にて入力するテーブル2のY
方向移動量Fは、現在装着されている砥石7の砥石幅以
下で入力する。
【0030】各値の入力が終わった後、CPU11はス
テップ108において、前記入力された砥石回転数Nで
砥石回転用モータM4を駆動制御する。ステップ109
においてCPU11は、サドル移動用モータM1を駆動
制御し、サドル2を移動速度Xsで移動させる。
【0031】前記ステップ108,109において砥石
7の回転及びサドル2の往復動が開始された後、作業者
は手動でヘッド昇降用モータM3を駆動させて、ワーク
Wの上面に砥石7を接触させる(図6(a)参照)。こ
のとき、砥石7とワークW上面とが接触した位置が基準
面w1となる。ここで、作業者は基準面設定キー29を
オン操作する。ステップ110においてCPU11は、
基準面設定スイッチ29がオンされたことを確認した
後、ステップ111に移行する。ステップ111におい
てCPU11は、ヘッド昇降用モータM3を駆動させ、
砥石7を下降させて切り込み動作を開始する(図6
(b)参照:切り込み工程)。
【0032】続くステップ112においてCPU11
は、Z方向移動量センサ18からの入力信号に基づい
て、基準面w1から前記ステップ105において入力し
た切り込み量Gまで砥石7が切り込んだか否かを判別す
る。ここで、CPU11は切り込み量Gまで砥石7の切
り込みが行われたと判別した場合には、ステップ113
に移行し、ヘッド昇降用モータM3を反転させて砥石7
を上昇させる(図6(c)参照)。一方、未だ切り込み
量Gまで砥石7の切り込みが行われていない場合には、
引き続き砥石7の切り込み動作を行う。
【0033】ステップ114においてCPU11は、ワ
ークWの研削を完了したか否かを判別し、完了したと判
別した場合にはそれ以降の動作を一旦終了する。一方、
CPU11は未だワークWの研削が残っていると判別し
た場合には、ステップ115に移行する。ステップ11
5においてCPU11は、砥石7をワークWの上方に離
間させたままの状態を保持する(砥石離間工程)。ステ
ップ116においてCPU11は、砥石7をワークWか
ら離間させてから、前記ステップ106において入力し
た待機時間Tが経過したか否かを判別する。ここで、待
機時間Tが経過したと判別した場合には、ステップ11
7に移行する。
【0034】ステップ117においてCPU11は、テ
ーブル移動用モータM2を駆動させてテーブル3を移動
させる(図6(d)参照:送り工程)。そして、ステッ
プ118においてCPU11は、Y方向移動量センサ1
7からの入力信号に基づいて、テーブル3が前記ステッ
プ107において入力したテーブル移動量Fまで移動し
たかを判別する。ここでCPU11はテーブル3がテー
ブル移動量Fまで移動したと判別した場合には、ステッ
プ119に移行し、テーブル移動用モータM2を停止さ
せてテーブル3の移動を停止させる。そして、CPU1
1は前記ステップ111に戻り、再度切り込み工程(図
6(e)参照)を行い、以降の処理を繰り返す。
【0035】上記のように本実施例では、ワークWと砥
石7とが接触する基準面w1から、砥石7を所定量切り
込んでワークWの研削を行う切り込み工程と、同切り込
み工程を終えた後、ワークWから一旦砥石7を離間さ
せ、砥石7をワークW上方に待機させる砥石離間工程
と、同砥石離間工程を終えた後、テーブル3をY方向へ
移動させる送り工程との3工程を順次繰り返し行って、
ワークWを研削した。
【0036】すなわち、本実施例ではワークWを断続的
に研削した。これにより、本実施例では従来とは異な
り、ワークWの熱膨張により砥石7が上方に逃げて、回
転軸6が撓むのを防止できる。つまり、ワークWが摩擦
熱で膨張する前に砥石7を離間させることで、回転軸6
の撓みを防止することができる。また、回転軸6が撓ん
だ場合においても、砥石7をワークWから離間させ、所
定時間ワークW上方に砥石7を待機させることでその撓
みを復帰させることができる。従って、次回の切り込み
工程で、砥石7とワークWとの間に大きな応力が加わる
のを防止できる。
【0037】また、ワークWから砥石7を離間させるこ
とで、砥石7の冷却効果が得られる。これにより、研削
中にワークWとの摩擦熱で軟質化した砥石7の結合剤を
硬質化させることができるので、再度ワークWの研削を
行っても研削抵抗により砥粒の向きが変わるのを防止で
きる。その結果、高精度でワークWの研削を行うことが
できる。このことは、ノズル9から砥石7に研削液をか
けることで、より高い冷却効果を得ることができるとと
もに、砥石7の洗浄効果も高くなって目づまり等の発生
を抑制することができる。
【0038】このように、本実施例の平面研削盤におけ
る研削方法によれば、ワークWの研削面に歪み等が発生
するのを防止できるので、より高い研削精度を得ること
ができる。
【0039】(第2実施例)次に、本発明を平面研削盤
で具体化した第2実施例を図7に基づいて説明する。な
お、本実施例では上記第1実施例と同じ構成であること
から、同一部材番号を付して説明する。
【0040】砥石軸6を回転させる砥石回転用モータM
4は、外部から負荷が加わった場合、その負荷の大きさ
に伴って電流値が増大するタイプのモータである。従っ
て、、本実施例では、砥石7が単に空転している際に砥
石回転用モータM4に流れる電流の値と、砥石7がワー
クWを研削している際に砥石回転用モータM4に流れる
電流の値とでは、ワーク研削時に砥石回転用モータM4
に流れる電流の値の方が高くなる。そこで、本実施例で
は砥石回転用モータM4に流れる電流の値に基づいて砥
石7に加わる切削抵抗を検出し、その研削抵抗値に基づ
いて砥石7の切削能力を判別する。
【0041】まず、砥石7の外周面をドレッシングした
後、サドル2を往復動させた状態から砥石7を下降させ
てワークW上面に砥石7を接触させる(図7のA範
囲)。このとき、砥石7はワークWに接触しているとと
もに、砥石7はドレッシング直後であることから、砥石
7の研削能力も高い。そのため、砥石7に加わる切削抵
抗は比較的低い。従って、砥石回転用モータM4に加わ
る負荷も小さく、モータM4を流れる電流値も砥石7の
空転時と殆ど変化しない。
【0042】そして、砥石7に所定の切り込みを加え、
ワークWの研削を開始する。このとき、砥石7に加わる
切削抵抗は前記よりも大きくなる(切り込み工程:図7
のB範囲)。このとき、作業者はモータ電流値を見て、
砥石7とワークWとの非接触時の電流値と、砥石7とワ
ークWとの接触時の電流値とを比較する。そして、その
差が所定値を越えている場合(ワークWの研削面に悪影
響を及ぼす程度)には、作業者は砥石7の研削能力が大
幅に低下したと判別して研削動作を中断して砥石7のド
レッシング等を行う。しかし、このB範囲では、未だモ
ータ電流値は所定値を越えていないことから、砥石7の
研削能力は低下していないと判別できる。従って、作業
者は研削動作を続行する。
【0043】1回目の切り込み工程を終えた後、テーブ
ル3を所定量移動させる(送り工程:図7のC範囲)。
次いで、再度砥石7に所定の切り込みを加え、先のB範
囲とは異なる面の研削を行う(切り込み工程:図7のD
範囲)。このとき、同図では砥石7に加わる切削抵抗が
先の切り込み工程時(B範囲)よりも大きく、モータ電
流値が上昇している。そして、このときのモータ電流値
は、所定値を越えていることから、作業者は砥石7の研
削能力が大幅に低下したと判別して研削動作を中断す
る。
【0044】上記のように、本実施例では、ワークWか
ら砥石7が離間した際に砥石7に加わる切削抵抗と、前
記切り込み工程時に砥石7に加わる切削抵抗とに基づい
て、砥石7の切削能力を判別することができる。従っ
て、ワークWの研削面に悪影響を及ぼすまでに研削能力
が大幅に低下した砥石7を使用してワークWの研削を行
うことを防止することができる。
【0045】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で例えば次の
ように構成することもできる。 (1)平面研削盤で行った研削方法を、円筒研削盤で具
体化すること。まず、ワーク支持体31に両端が支持さ
れたワークWを回転させた状態で、砥石7を接触させワ
ークWの基準面を設定する(図8(a)参照)。以降
は、上記第1実施例と同様に、切り込み工程(図8
(b)参照)、砥石離間(図8(c)参照)、送り工程
(図8(d)参照)を順次行った後、再度切り込み工程
(図8(e))から各工程を行って、断続的にワークW
を研削する。従って、本発明を円筒研削盤で行っても、
上記第1実施例と同様の効果を得るとができる。
【0046】(2)上記第1実施例では、コントローラ
Cによりサドル2、テーブル3の送り動作、及び砥石7
の昇降動作が行われたが、これを作業者自身が行っても
よい。
【0047】(3)上記第1実施例では、テーブル3の
Y方向への移動を段階的(ステップ状)に行ったが、一
定のスピードで連続的に移動させてもよい。 (4)上記第2実施例では、切り込み工程時における砥
石回転用モータM4の電流値と、ワークWに砥石7が接
触していないときのモータ電流値との差が所定を越えた
場合に作業者が研削動作を停止するように構成したが、
これをコントローラCで自動制御させてもよい。
【0048】(5)砥石7に対するワークWの移動(X
方向及びY方向の移動)を、コラム4を移動させて行う
タイプの平面研削盤で具体化すること。また、砥石7と
ワークWとの間の距離(Z方向)の調整を、サドル2を
昇降させて行うタイプの平面研削盤で具体化すること。
【0049】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
ワークと砥石とが接触するワークの基準面から、砥石を
所定量切り込む切り込み工程と、切り込み工程を終えた
後、ワークの研削面から一旦砥石を離間させる砥石離間
工程と、砥石離間工程を終えた後、砥石を砥石回転軸方
向へ移動させる送り工程との3工程を順次繰り返し行っ
て、断続的にワークを研削するようにした。これによ
り、ワークの熱膨張により砥石軸又はワークが撓むのを
防止できる。従って、次回の切り込み工程で、砥石とワ
ークとの間に大きな応力が加わるのを防止できる。ま
た、研削中に一旦ワークから砥石を離間させることで、
砥石の冷却効果が得られる。これにより、研削中にワー
クとの摩擦熱で軟質化した砥石の結合剤を硬質化させる
ことができるので、砥粒の向きが変わるのを防止でき
る。その結果、ワークの研削面に歪み等が発生するのを
防止でき、より研削精度の向上を図ることができるとい
う優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施例における平面研削
盤の正面図である。
【図2】平面研削盤の側面図である。
【図3】電気的構成を示すブロック図である。
【図4】コントローラの作用を示すフローチャートであ
る。
【図5】同じくコントローラの作用を示すフローチャー
トである。
【図6】ワークの研削時におけるワークと砥石との位置
関係を示す図であり、(a)は基準面を設定する際のワ
ークと砥石との関係を示す図である。(b)は切り込み
工程におけるワークと砥石との関係を示す図である。
(c)は砥石離間工程におけるワークと砥石との関係を
示す図である。(d)は送り工程におけるワークと砥石
との関係を示す図である。(e)は送り工程を経た後の
切り込み工程におけるワークと砥石との関係を示す図で
ある。
【図7】第2実施例を説明する際のモータ電流値及び砥
石位置等の関係を示すタイミングチャートである。
【図8】別例の円筒研削盤によりワークの研削を行う際
のワークと砥石との位置関係を示す図であり、(a)は
基準面を設定する際のワークと砥石との関係を示す図で
ある。(b)は切り込み工程におけるワークと砥石との
関係を示す図である。(c)は砥石離間工程におけるワ
ークと砥石との関係を示す図である。(d)は送り工程
におけるワークと砥石との関係を示す図である。(e)
は送り工程を経た後の切り込み工程におけるワークと砥
石との関係を示す図である。
【図9】従来技術を示し、ワークが摩擦熱により熱膨張
して砥石軸が撓んだ状態を示す模式的な側面図である。
【図10】同じく従来技術を示し、円筒研削盤でワーク
を研削する際にワークが撓んだ状態を示す模式的な平面
図である。
【図11】結合剤が通常な状態で研削を行った際の模式
的な砥石の部分側面図である。
【図12】結合剤が軟質化した状態で研削を行った際の
模式的な砥石の部分側面図である。
【符号の説明】
2…テーブルを構成するサドル、3…テーブル、7…砥
石、W…ワーク、31…ワーク支持体、M2…送り手段
としてのテーブル移動用モータ、M3…距離調整手段と
しての砥石昇降用モータ、C…第1〜第3の制御手段及
び判別手段を構成するコントローラ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B24B 1/00 B24B 5/04 B24B 7/02 B24B 53/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワーク(W)を載置するテーブル(2,
    3)と、 前記テーブル(2,3)上方に配置され、ワーク(W)
    の研削を行う砥石(7)と、 前記砥石(7)又はテーブル(2,3)を移動させて、
    ワーク(W)と砥石(7)との間の距離を調整する距離
    調整手段(M3)と、 前記テーブル(2,3)又は砥石(7)を砥石回転軸方
    向へ移動させる送り手段(M2)と、 前記テーブル(2,3)上のワーク(W)と砥石(7)
    とが接触するワーク(W)の基準面(w1)から、砥石
    (7)に所定量切り込みを与えてワーク(W)の研削を
    行うように距離調整手段(M3)を制御する第1の制御
    手段(C)と、 前記ワーク(W)の研削中にワーク(W)から一旦砥石
    (7)を離間させ、所定時間砥石(7)をワーク(W)
    上方に待機させるように前記距離調整手段(M3)を制
    御する第2の制御手段(C)と、 前記ワーク(W)から砥石(7)が離間している際にテ
    ーブル(2,3)又は砥石(7)を砥石回転軸方向へ移
    動させるように送り手段(M2)を制御する第3の制御
    手段(C)とを備えたことを特徴とする研削装置。
  2. 【請求項2】 円筒状のワーク(W)を、その両端から
    支持するワーク支持体(31)と、 前記ワーク支持体(31)と対向するように配置され、
    ワーク(W)の研削を行う砥石(7)と、 前記砥石(7)又はワーク支持体(31)を移動させ
    て、ワーク(W)と砥石(7)との間の距離を調整する
    距離調整手段と、 前記ワーク支持体(31)又は砥石(7)を砥石回転軸
    方向へ移動させる送り手段と、 前記ワーク支持体(31)上のワーク(W)と砥石
    (7)とが接触するワーク(W)の基準面(w1)か
    ら、砥石(7)に所定量切り込みを与えてワーク(W)
    の研削を行うように距離調整手段を制御する第1の制御
    手段(C)と、 前記ワーク(W)の研削中にワーク(W)から一旦砥石
    (7)を離間させ、所 定時間砥石(7)をワーク(W)
    上方に待機させるように前記距離調整手段を制御する第
    2の制御手段(C)と、 前記ワーク(W)から砥石(7)が離間している際にワ
    ーク支持体(31)又は砥石(7)を砥石回転軸方向へ
    移動させるように送り手段を制御する第3の制御手段
    (C)とを備えたことを特徴とする研削装置。
  3. 【請求項3】 水平方向に往復動可能なテーブル(2,
    3)上にワーク(W)を載置し、テーブル(2,3)上
    方に配置した砥石(7)により前記ワーク(W)を研削
    する平面研削盤において、 前記テーブル(2,3)上のワーク(W)と砥石(7)
    とが接触するワーク(W)の基準面(w1)から、前記
    砥石(7)を所定量切り込む切り込み工程と、 前記切り込み工程を終えた後、ワーク(W)の研削面か
    ら一旦砥石(7)を離間させ、所定時間砥石(7)をワ
    ーク(W)上方に待機させる砥石離間工程と、 前記砥石離間工程を終えた後、テーブル(2,3)又は
    砥石(7)を砥石回転軸方向へ移動させる送り工程との
    3工程を順次繰り返し行って、断続的にワーク(W)を
    研削することを特徴とする平面研削盤における研削方
    法。
  4. 【請求項4】 円筒状のワーク(W)を、ワーク支持体
    (31)により両端から支持し、同ワーク支持体に支持
    されたワーク(W)をその外周面から砥石(7)により
    研削する円筒研削盤において、 前記ワーク支持体に支持されたワーク(W)と砥石
    (7)とが接触する基準面から、砥石(7)を所定量切
    り込んでワーク(W)を研削する切り込み工程と、 前記切り込み工程を終えた後、ワーク(W)外周面から
    一旦砥石(7)を離間させ、所定時間砥石(7)をワー
    ク(W)上方に待機させる砥石離間工程と、 前記砥石離間工程を終えた後、ワーク(W)又は砥石を
    砥石回転軸線方向へ移動させる送り工程との3工程を順
    次繰り返し行って、断続的にワーク(W)を研削するこ
    とを特徴とする円筒研削盤における研削方法。
  5. 【請求項5】 ワーク(W)から砥石が離間した際に砥
    石(7)に加わる切削抵抗と、前記切り込み工程時に砥
    石(7)に加わる切削抵抗とに基づいて、砥石(7)の
    切削能力を判別する判別手段(C)を設けたことを特徴
    とする請求項1又は請求項2に記載の研削装置。
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