JP3499479B2 - 菌根性きのこ類の菌根苗作成ならびに人工栽培 - Google Patents

菌根性きのこ類の菌根苗作成ならびに人工栽培

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、菌根性きのこ類の
菌根苗の作成、および菌根苗を利用した菌根性きのこ類
の人工栽培に関する。
【0002】
【従来の技術】菌根性きのこ類(担子菌門、菌じん綱)
は、マツ科、ブナ科、カバノキ科などの樹木根と共生
(菌根形成)し生活することから、一般にその人工栽培
には菌根苗作成が必須と考えられている(Smith, S. an
d Read, D. J. 1997. Mycorrhizal Symbiosis (secon
d ed.). Academic press, San Diego.)。菌根性きのこ
類の培地上での純粋培養は1920年代より行われ、試験管
内や小型ポットでの幼苗との菌根形成には既に成功した
種が知られている(Peterson, R. L. and Chakravarty,
P. 1991. In: Methods in Microbiology vol.23.,
(eds. by Norris, J.R., Read, D. J., and Varma, A.
K.), pp. 75-106, Academic Press, London.; Yamada,
A. and Katsuya, K. 1995. Mycoscience 36: 315-32
3.)。しかし、それらの手法をもとにした菌根性きのこ
類の人工栽培に至る研究はあまり行われておらず、再現
性のある形で子実体の発生に成功した例は世界的にも殆
どない(Danell, E. and Camacho, F. J. 1997. Nature
385: 303.)。
【0003】一方、日本においては、シイタケやエノキ
タケなどの腐生性きのこ類の研究の流れを汲む形で、菌
根性きのこ類についても菌床栽培の可能性が探られ、ホ
ンシメジに関して、画期的とも言える子実体発生に成功
している(Ohta, A. 1994.Mycoscience 35: 147-15
1.)。さらに、ホンシメジでは、取り木技術によって得
た大型の無菌根苗の根系に大量の培養菌糸塊を埋め込む
半人工的な方法により、子実体の発生に成功している
(Kawai, M. 1997. Mycologia 89: 228-232.)。ホン
シメジ以外の菌根性きのこ類においては、ナガエノスギ
タケで菌床栽培をもとに子実体発生に成功しているのみ
である。
【0004】しかしながら、これら菌床栽培に成功した
種の背景には、菌根きのこ類の中では例外的とも言える
高い腐生性能を持ち合わせていることが指摘されており
(Ohta, A. 1990. Transactions of the Mycological S
ociety of Japan 31: 323-334.; Ohta, A. 1994. Mycos
cience 35: 147-151.)、同方法が広く菌根性きのこ類の
人工栽培に適用できるかどうかは不明で、菌糸伸長の遅
い菌種では不可能であると考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、短期間
かつ小スペースにおいて効率的に菌根性きのこ類の菌根
苗を作成しうる方法であって、広く菌根性きのこ類に適
用できる方法を提供することにある。さらに、本発明
は、該方法により作成された菌根苗を利用した菌根性き
のこ類の人工栽培方法を提供することをも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために、小スペースで苗の管理、制御が可能
であり、短期間で根を発達させる能力を有するなど種々
の利点を有する幼実生苗に着目し、幼実生苗を利用した
菌根苗の作成方法の確立を試みた。具体的には、無菌的
に発芽させたアカマツ幼実生苗を、菌根性きのこ類の培
養菌糸を滅菌した支持体中で増殖させたポットに移植し
て、幼菌根苗を作成した。次いで、同苗を滅菌土壌を詰
めた小型ポットに移植し、温度および灌水を制御した人
工気象室下で順化し、菌根を発達させた。その結果、本
発明者等は、短期間で効率的に菌根苗を作成するととも
に、該菌根苗上で複数種の菌根性きのこ類の子実体を発
生させることに成功し、これにより本発明を完成するに
至った。
【0007】即ち、本発明は、幼実生苗を利用した、菌
根苗の作成方法および菌根性きのこ類の栽培方法に関
し、より具体的には、(1) 無菌的に発芽させた幼実
生苗に菌根性きのこ類の培養菌糸を接種し、該幼実生苗
を生育させ、菌根を形成させることを含む、菌根苗の作
成方法、(2) 幼実生苗への培養菌糸の接種が、菌糸
を含み、滅菌した支持体で充填されている容器への幼実
生苗の移植により行なわれる、(1)に記載の方法、
(3) 菌根が形成された幼実生苗を滅菌した土壌を含
む容器へ移植して、菌根を発達させることを含む、
(1)に記載の方法、(4) (1)から(3)のいず
れかに記載の方法により作成された菌根苗、(5)
(4)に記載の菌根苗の菌根から菌根性きのこ類の子実
体を発生させることを含む、菌根性きのこ類の子実体を
栽培する方法、(6) (5)に記載の方法により得ら
れる菌根性きのこ類の子実体、を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の菌根苗の作成方法は、無
菌的に発芽させた幼実生苗を利用することを特徴とす
る。菌根性食用きのこ類の人工栽培の土台である菌根苗
作成には、これまで取り木技術や薬剤処理による対象外
菌根の殺菌除去技術をもとに得た大型の苗木の根系に大
量の培養菌糸体を埋め込む方法が用いられてきた。しか
しながら、これらの方法においては、大きなスペースと
長期間を要し、しかもその成功は、ホンシメジおよびナ
ガエノスギタケに限られていた。本発明の方法では、菌
根苗の作成に幼実生苗を利用するため、短期間で確実に
菌根苗が作成でき、しかも小スペースで苗の管理・制御
が可能であるなど、大幅な技術的進展が達成された。
【0009】本発明において菌根苗を作出するための植
物としては、菌根性きのこ類の菌根を形成する植物であ
れば制限はない。植物に接種する菌糸の由来する菌根性
きのこ類が、例えば、マツタケ、ホンシメジ、ハツタ
ケ、ショウロ、アミタケ、ホウキタケ、スミゾメシメ
ジ、キシメジ、シモフリシメジ、ミネシメジ、チチアワ
タケ、ヌメリイグチ、アカハツであれば、アカマツ、ク
ロマツ、モミ、トウヒ等のマツ科の植物を、菌根性きの
こ類が、例えば、ホンシメジ、バカマツタケ、ホウキタ
ケ、ウラベニホテイシメジ、サクラシメジ、ヤマドリタ
ケモドキであれば、コナラ、クヌギ、クリ、シラカシ、
ブナ等のナラ科の植物を菌根苗の作成に用いることがで
きる。
【0010】本実施例においては、実際に、いずれも優
秀な食用きのこである、ホンシメジ、アミタケ、ハツタ
ケ、スミゾメシメジ、キシメジ、シモフリシメジ、ミネ
シメジ、チチアワタケ、ヌメリイグチ、アカハツの11種
で菌根苗作成に成功し、発芽から1年数カ月という短期
間で幼苗上でアカハツ、ショウロ、シモフリシメジ、ミ
ネシメジの子実体を形成させることに成功している(実
施例5参照)。このように、本発明の方法は、幅広い菌
根性きのこ類に適用できる点でも従来法に比して優れて
いる。
【0011】本発明の菌根苗の作成方法においては、ま
ず、幼実生苗を無菌的に発芽させる。幼実生苗を無菌的
に発芽させるためには、例えば、実施例2に記載のよう
に、種子の洗浄および殺菌を行ない、これを培地へ移植
して無菌的に培養を行なえばよい。種子の洗浄において
は、Tween80などの界面活性剤を含む水溶液を用い、ス
ターラーや素手により攪拌を行なうことにより、種子に
付着したごみや微生物を効果的に除去することができ
る。また、種子の殺菌には、一般的には、次亜塩素酸カ
ルシウム水溶液や過酸化水素水が好適に用いられる。殺
菌処理後は、種子を滅菌蒸留水で洗浄し、濾紙などを利
用して余剰の水滴を除去し、培地へ種子を移植すること
が好ましい。培地としては、例えば、MNC寒天培地(Yam
ada,A. andKatsuya,K.(1995) Mycoscience 36:315-32
3)などの菌根菌用培地を用いることができる。
【0012】本発明の方法においては、このようにして
発芽させた幼実生苗に菌根性きのこ類の培養菌糸を接種
し、該幼実生苗を生育させ、菌根を形成させる。幼実生
苗への培養菌糸の接種は、例えば、実施例に記載のよう
に、菌糸を増殖させた容器を滅菌した支持体で充填し、
これに幼実生苗を移植することにより行なうことができ
る。菌根菌の中には、菌糸移植後に伸長が停止するもの
や伸長の開始が遅れるものが散発的(腐生菌との比較で
はかなり高率に)に見られるが、この方法は、予め容器
内で菌糸が増殖していることを確認した上で、幼実生苗
の移植を行なうことが可能である点で好適である。増殖
した菌糸を含む容器へ移植する幼実生苗は、発芽後、数
日以内のもの(根長が1〜2cm程度のもの)が好ましい。
根が長く伸長した幼実生苗を用いた場合には、移植操作
時に根が折れやすいという点で好ましくない。増殖した
菌糸を含む容器を充填するための支持体としては、例え
ば、バーミキュライトと水苔の混合物を用いることがで
きる。移植した幼苗は、15〜25℃、5000〜7000 lx、24
時間の照度下で養苗することができるが、温度が高い場
合には雑菌汚染の確率が高まるため20℃程度の温度が好
適である。
【0013】菌根を形成した苗は、その成長を妨げない
ように、必要に応じて、滅菌土壌を含むより大きな容器
へ移植する。滅菌土壌としては、用いる菌種の由来する
土壌、例えば、アカマツ林で採取した土壌を用いること
ができる。滅菌土壌に移植した幼苗は、明期(5000〜70
00 lxの照度下、6〜18時間)と暗期(18〜6時間)の繰
り返しで養苗することが好適であるが、連続明期で養苗
することも可能である。養苗は、15〜25℃の温度条件で
行なうことができるが、下限は子実体形成誘導温度(例
えば、野外でのマツタケ子実体発生から推定されている
19℃)を下回る温度を用いる。このような養苗により菌
根をさらに発達させ、その菌根から菌根性きのこ類の子
実体を発生させることができる。
【0014】
【実施例】[実施例1] 培養菌糸の収集 茨城県内の林分において採取した菌根性食用きのこ12種
の子実体より、常法に従い培養菌糸22菌株を得た(表
1)。
【0015】
【表1】
【0016】これらの種は、表1に示すように菌じん綱
の広い分類群に渡っている。また、腐生性食用きのこ3
種より、同様に6菌株を得た。これらをMNC寒天培地なら
びに浜田寒天培地のスラント上で継代培養し(Yamada,
A. and Katsuya, K. 1995. Mycoscience 36: 315-32
3.)、以下の実験に供試した。
【0017】[実施例2] 無菌アカマツ幼苗の調整(図
1参照) 実験に用いたアカマツ種子は、茨城県林業技術センター
で林木育種事業のため低温貯蔵していたものである。常
温に戻した種子を蓋付きのプラスチックチューブ(また
は試験管)に入れ、滅菌した0.01%Tween80水溶液を加
えてボルテックスまたは素手で激しく撹拌洗浄し、種子
表面に付着するゴミや微生物を取り除いた。撹拌後の水
溶液が濁らなくなるまで水溶液を数回交換して洗浄し
た。洗浄後の種子をクリーンベンチ内で滅菌したビーカ
ーに移し、10g/lの次亜塩素酸カルシウム水溶液(また
は市販の過酸化水素水)を加え、スターラーを用いて5
分間撹拌し、種子表面を殺菌した。撹拌後、別のビーカ
ー上に設置した滅菌済みの金属篩に種子と次亜塩素酸カ
ルシウム水溶液を注いだ。種子のみを更に別のビーカー
に移し、多量の滅菌蒸留水を注ぎ、スターラーで撹拌し
次亜塩素酸カルシウム水溶液を取り除いた。滅菌蒸留水
による洗浄を更に2回繰り返したのち、種子を滅菌した
濾紙上に移して余剰の水滴を取り除き、MNC寒天培地の
平板上に並べ、室温下(約20-25℃)にインキュベーシ
ョンした。雑菌汚染を生じた種子は即座に寒天ごと切り
出して除去した。種子は7〜10日で無菌的に発芽を始
め、15〜20日後の発芽率は概ね80%であった。発芽後数
日以内の幼苗を、以下の実験に供試した。
【0018】[実施例3] 接種源の準備、菌根形成(図
1参照) 蓋付き透明広口ボトル(耐熱性プラスチックまたはガラ
ス製;容積約100ml)の底部にMNC寒天培地を約15ml注入
しオートクレーブで滅菌(121℃、15分)の後、冷却し
てボトル底部にスラントを形成させた。継代培養中の上
記菌株を、MNC寒天培地の平板(直径9cmシャーレ)上で
約1カ月ほど培養させて接種源とし、コロニーの周辺部
を数ミリ角に切り取ってボトル底部のスラントに5〜6片
接種し、ボトルの蓋を閉めた。1〜2週間インキュベー
ション(20℃前後)し接種菌糸の新たな増殖を確認した
後、クリーンルーム内でボトル蓋を開け、オートクレー
ブ滅菌して冷却した支持体(グルコースを除いたMNC液
体培地を飽和させたバーミキュライト・水苔混合物(40
/1, w/w))を滅菌した薬さじを用いてボトル全体に詰
めた。上記の無菌幼苗をボトル当たり1本移植し、ボト
ル口をパラフィルムで塞ぎ、支持体の乾燥と雑菌汚染を
防いだ。幼苗を移植したボトルを閉鎖型のグロースチェ
ンバーに移し、20℃、5000〜7000 lx、24時間の照度下
で養苗した。各菌株とも2反復(2本のボトル)とし
た。幼苗は、移植後数日で子葉を展開し成長したが、腐
生性きのこのオオイチョウタケ接種区のみ、成長が殆ど
見られなかった。移植2カ月後に、ボトル内に滅菌蒸留
水を20〜30ml添加し、支持体の水分含量を保った。移植
4カ月後に苗根系をボトルから引き出し、根系の顕微鏡
観察を行い、菌根形成の有無を確認した。
【0019】[実施例4] 菌根の顕微鏡観察 苗根系を水道水で軽く洗浄し、実体顕微鏡で観察した。
その結果、菌根性きのこ12種のうち、シャカシメジを除
く11種では菌根様の根系が発達(菌鞘形成)していたこ
とから、常法に従い更に顕微鏡観察を行った(Yamada,
A. Kanekawa, S. and Ohmasa, M. 1999. Mycoscience 4
0: 193-198.)。根の横断切片を観察した結果、それら1
1種では菌糸が根の皮層部細胞間隙に侵入しており(ハ
ルティヒネット形成)、解剖学的に菌根形成が確認でき
た(表2、図2、図3)。
【0020】
【表2】
【0021】一方、腐生性きのこ3種(ネガティブコン
トロールとして用いた)ではいずれも菌根様の根系は全
く確認できず、横断切片の観察からも菌根が形成されて
いないことが確認された(表2)。また、オオイチョウ
タケでは、根の分岐・伸長が殆ど認められず成長不良を
起こしていた。
【0022】[実施例5] 菌根苗の順化(図1参照) 菌根形成を確認した菌根性きのこ11種と菌根非形成を確
認した腐生性きのこ2種の苗を、滅菌土壌(アカマツ林
で採取したのちオートクレーブで121℃、1時間滅菌し冷
却した)800ml を詰めた透明プラスチック培養ポットに
移植し、人工気象室内(23℃、湿度65%、5000〜7000lux
で18時間の明期;18℃、湿度75%で6時間の暗期)に置い
て週2回潅水を行い(各約50ml)養苗した。養苗開始約
1カ月後から苗の成長が再び始まり、菌根苗を中心に成
長は良好であった。移植から約3カ月後には、新たな菌
根の発達がポット外側からの観察で確認できた。腐生性
きのこ2種では菌根の形成が確認できなかった。
【0023】移植から5カ月後、ショウロの1菌株で、
ポット土壌表面に球形の子実体原基形成が認められ、そ
の10日後には直径約1cmの子実体まで発達した。顕微鏡
観察の結果、子実体内部には担子胞子が認められ、成熟
子実体であることが確認できた。また、移植から8-9カ
月後、シモフリシメジ、ミネシメジ、アカハツで子実体
形成が認(図4のIII-6)められ、アカハツは成熟子実
体であることが確認できた。さらに、スミゾメシメジ、
キシメジ、チチアワタケ、ヌメリイグチ、ハツタケで
も、子実体原基形成(最大約数ミリ)が確認できた(図
2のI-5,I-6,I-8,図4のIII-1,III-2)。なお、腐生性
きのこのハタケシメジでも子実体が形成された。
【0024】移植から9カ月後、全ての苗をポットから
抜き出し、菌根の発達を観察した。供試した菌根性きの
こ11種のうち、殆どでは土壌全体に渡って菌根根系が発
達したが、スミゾメシメジは土壌上半部にのみ菌根が発
達していた。顕微鏡観察の結果、いずれも菌根形成が再
確認できた(表3)。
【0025】
【表3】
【0026】一方、腐生性きのこ2種では、やはり菌根
が全く形成されなかった。
【0027】
【発明の効果】本発明により、幼実生苗を利用した菌根
苗の作成方法および菌根性きのこ類の栽培方法が提供さ
れた。これにより、簡易かつ小規模な装置を用いて短期
間で菌根苗を作成することが可能となった。さらに、幅
広い菌根性きのこ類の子実体を人工栽培することが可能
となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】菌根形成並びに菌根苗順化の流れを示す図であ
る。
【図2】各種菌根性きのこ類の菌根および子実体の写真
である。I-1:スミゾメシメジ菌根、I-2:ホンシメジ菌
根、I-3:キシメジ菌根、I-4:シモフリシメジ菌根、I-
5:シモフリシメジ子実体、I-6:シモフリシメジ子実
体、I-7:ミネシメジ菌根、I-8:ミネシメジ子実体
【図3】各種菌根性きのこ類の菌根および子実体の写真
である。II-1:チチアワタケ菌根、II -2:チチアワタ
ケ原基、II -3:ヌメリイグチ菌根、II -4:アミタケ菌
根、II -5:ショウロ菌根、II -6:ショウロ子実体、II
-7:ハツタケ菌根、II-8:アカハツ菌根
【図4】アカハツの子実体の写真である。III-1:アカ
ハツ子実体発生の様子、III -2:アカハツ子実体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−157152(JP,A) 特開 平1−124327(JP,A) 特開 昭57−138322(JP,A) J. R. Norris, D. J. Read & A. K. Va rma,Methods in Mic robiology ,Academi c Press, 1991,Vol.23, p.75−94 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01G 1/04 101 A01G 1/04 102

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無菌的に発芽させた後数日以内のマツ科
    植物の実生苗に菌根性きのこ類の培養菌糸を接種し、該
    実生苗を生育させ、菌根を形成させることを含む、菌根
    苗の作成方法。
  2. 【請求項2】 実生苗への培養菌糸の接種が、菌糸を含
    み、滅菌した支持体で充填されている容器への実生苗
    移植により行なわれる、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 菌根が形成された実生苗を滅菌した土壌
    を含む容器へ移植して、菌根を発達させることを含む、
    請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 以下の(a)および(b)の工程を含
    む、菌根性きのこ類の子実体を栽培する方法。(a)無菌的に発芽させた後数日以内のマツ科植物の実
    生苗に菌根性きのこ類の培養菌糸を接種し、該実生苗を
    生育させ、菌根を形成させることで、菌根苗を作成する
    工程 (b)工程(a)で作成した 菌根苗の菌根から菌根性き
    のこ類の子実体を発生させる工程
  5. 【請求項5】 実生苗への培養菌糸の接種が、菌糸を含
    み、滅菌した支持体で充填されている容器への実生苗の
    移植により行なわれる、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 菌根が形成された実生苗を滅菌した土壌
    を含む容器へ移植して、菌根を発達させることを含む、
    請求項4に記載の方法。
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