JP3499237B2 - からくり時計の扉開閉装置 - Google Patents

からくり時計の扉開閉装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、からくり時計の扉開閉
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】からくり時計には家庭用から大施設用ま
で様々なものがあるが、中規模のからくり時計として文
字板の周囲の時刻表示位置に人形等の飾りをそれぞれ設
け、各飾りの正面に時表示を兼ねる扉を開閉自在に設け
るようにしたものがある。
【0003】これらの扉は、正時になるとメロディの演
奏とともに開いて、飾りを正面から見えるようにしてメ
ロディと飾りとの共同演出により興趣を高めるようにし
てある。
【0004】これらの多数の扉の開閉は、個別に行われ
ているものがあるが、その例として太陽歯車上に回転自
在に支持された回転台に人形などの飾りを設けた面と時
表示文字などを表示した時表示面とが、回転台の揺動に
より交互に表れるようにしたものがある(特公平5−2
4474号)。
【0005】また、多数の扉を1つのモータで歯車やリ
ンク機構を介して開閉可能とするものもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の技術に
おける扉ごとに開閉装置を備えるものにあっては、扉ご
とにモータや駆動機構を必要とするため、部品点数が増
大し、かつ回路も複雑化するため製造コストが高くなる
問題がある。
【0007】また、複数の扉をまとめて1つのモータで
開閉するものでは、どの扉も動きが一様であり、見る者
に不満を抱かせる短所がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明は以下の手段を備えたからくり時計の扉開
閉装置を採用してある。
【0009】上記した扉開閉装置は、複数の扉を駆動す
る駆動機械体とすることにより、例えば時表示位置ごと
に扉を設けてあるような多数の扉を備えたからくり時計
における駆動機械体の設置数を少なくすることができ
る。これにより、からくり時計の部品点数や組立工数を
少なくして、製造コストを低減している。
【0010】さらに上記した駆動機械体としては1つの
モータによって間欠回転駆動される複数の間欠駆動装置
を採用し、しかもこれらの間欠駆動装置のそれぞれは、
間欠回転タイミングを異ならせて設けてあり、このよう
な間欠回転を各扉に出力することにより扉の開閉タイミ
ングを異ならせるようにしてある。このように扉の開閉
タイミングを異ならせることにより、一済に扉が開閉す
るような単純な動作を回避して変化のある扉の開閉動作
を実現したものである。
【0011】上記した間欠駆動装置の具体例としてゼネ
バストップ機構を採用することにより、機構が簡単かつ
任意のタイミングによる扉開閉動作を実現してある。
【0012】扉の開閉タイミングの設定例としては、3
つの扉を1グループとして開閉動作させる駆動機械体を
採用してある場合に、開扉タイミングを中央に位置する
扉、右または左の一方に位置する扉、右または左の他方
に位置する扉の順とし、開扉タイミングは上記した閉扉
タイミングの逆の順に設定することにより、扉が一連の
連続動作として見えるようにしてからくり時計の商品価
値を高くしてある。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のからくり時計の扉開閉装
置は、12個の扉を駆動する駆動機械体を有するからく
り時計の扉開閉装置であって、駆動機械体には、1つの
モータによって間欠回転駆動される複数の間欠駆動装置
を備え、これらの間欠駆動装置のそれぞれは、間欠回転
のタイミングを異ならせて設け、上記12個の扉は、同
一円周上に等間隔で並設されており、上記駆動機械体
、上記各間欠駆動装置の出力軸が同一円周上に並設さ
れており、上記各出力軸により揺動駆動される駆動レバ
ー及び上記駆動レバーにより駆動される開閉部材を介し
て上記扉が開閉駆動されるところに特徴がある。
【0014】上記間欠駆動装置としては、ゼネバ・スト
ップ機構を用いて、扉の開閉タイミングを設定するよう
にしてあることが望ましい。
【0015】上記扉は3つを1グループとし、これらの
3つの各扉の開扉タイミングは中央に位置する扉、右ま
たは左の一方に位置する扉、右または左の他方に位置す
る扉の順とし、閉扉タイミングは上記した開扉タイミン
グの逆の順に設定するとよい。
【0016】
【実施例】図1は、正時以外の通常時のからくり時計の
前面を示している。円形の外装枠1の内側の時刻表示部
の正時の時刻表示位置に12個の時表示面4a1〜4l
1を有する扉4a〜4lが等間隔に設けてある。さら
に、扉4a〜4lは、上ケース25a上の曲率中心01
(図5参照)から30°の角度に分割した同一半径上に
配置してある。各時表示面4a1〜4l1には1〜12
のデザイン文字からなる時表示文字が表示してある。図
1に示された扉4a〜4lの後方には、図2に示すよう
に、後述の各フレーム3a〜3dに各飾り取付板5a〜
51が固着され、この飾り取付板の前面に人形を模した
各飾り6a〜61が設けてある。
【0017】図2は、各扉4a〜4lが開いた状態を示
すもので、それまで扉の裏側に隠れていた飾り6a〜6
lが表れている状態を示している。各飾り6a〜6l
は、いずれも音楽を演奏し、または踊っている人形を模
したものからなり、それぞれ飾り取付板5a〜5lに取
り付けられている。
【0018】扉4a〜4l、飾り取付板5a〜5l及び
飾り6a〜6lは、複数組を1セット(グループ)とし
てそれぞれ1個のフレームに取り付けてあるもので、図
4の態様ではそれぞれ3組ずつ1個のフレームに取り付
けられており、全体として4個のフレームによって文字
板1aの外周の1〜12の時刻に対応する位置に配置さ
れている。因みに上部に位置する11,12,1の時表
示文字を表わした扉4a,4b,4cは、1個のフレー
ム3aに取り付けられている(図4,5参照)。なお、
扉4a〜4l、飾り取付板5a〜5l及び飾り6a〜6
lは、3組に限らず4組でもよい。
【0019】図3は、本実施例のからくり時計の全体の
構造を示すもので、上述のフレーム3aは上部に位置
し、その背面側には飾り6aを揺動させる飾り揺動手段
7aが取り付けてある。フレーム3aに取り付けられて
いる3個の飾り6a,6b,6cのうち、中央部(12
時の位置)の飾り6aは、扉4aが開いたときに身体を
揺らす仕草をするようにしてある(図6参照)。なお、
他の3個のフレーム3b,3c,3dについてもこれに
準じた構成となっており、それぞれ3,6,9の文字が
表わされた扉に対応する人形は揺動機構を備えたものと
してある。
【0020】図3においては、下部に位置するフレーム
3dが描かれているが、飾りは7時に対応する位置の人
形6lが示されているため、これには飾り揺動手段はな
いので図示されていない。
【0021】各フレーム3a〜3dの内周部には、図4
に示すように、後述する扉を開閉するための扉開閉装置
8を構成する4つの駆動機械体8a〜8dがそれぞれ設
けてある(図4参照)。扉開閉装置8は、それぞれ同一
構成の4つの駆動機械体8a〜8dがそれぞれ所定の位
置に装着されることにより周囲に位置する各扉4a〜4
lを開閉可能としてある。
【0022】文字板1aの中央部背面には時計機械体2
が装着してあり、その背面側には電池ホルダ取付板9を
介して電池ホルダ10が設けてある。外装枠1の下部に
は、多数の放音孔を有するスピーカ取付板12が取り付
けてあり、これには放音面を下向きにしたスピーカ11
が装着してある。
【0023】文字板1aの前方には、短針13及び長針
14が指針軸2aの回りで回転可能に設けてある。さら
にその前方には前面ガラス15の周囲をガラス縁16に
押さえられている。また外装枠1の上部には時計を壁等
の掛金具に掛け止めするための掛金18が設けてあり、
背面には裏蓋19が外装枠1の後部にビス止めにより固
定してあり、さらにこの裏蓋の中央部には電池小蓋20
が設けてある。
【0024】各扉4は、図3に示すように、それぞれ回
転中心軸21を介して各フレーム3a〜3dに90°の
角度範囲で揺動可能に取り付けられている。回転中心軸
21の両端は、各フレーム3a〜3dに着脱可能に取り
付けられた軸受板22によって軸支されている。扉4a
の時表示面4a1は、図6に示すフランジ部4a2の一
端に形成された飾り状部に貼着されたアルミニウム薄円
板に時表示文字を印刷したものからなる(図6参照)。
扉4aの上下のフランジ部4a2,4a4の他端部には
バランサー23が設けてある。
【0025】扉4a,4b,4cは、駆動機械体8aに
設けてある後述の駆動レバー30a,31a,32aと
扉の下フランジ部4a4,4b4,4c4に取り付けら
れた開閉部材24とを介して90°の角度範囲で揺動可
能としてある。
【0026】図4は、図1〜3の背面側の構成を示すも
ので、外装枠1の内部に4個のフレーム3a,3b,3
c,3dと、各フレームの内側にそれぞれ駆動機械体8
a,8b,8c,8dが配置してあり、さらにその内側
に時計機械体2及び駆動回路基板Kが配置してある。
【0027】各フレーム3a〜3dの背面側にはそれぞ
れ12,3,6,9時の位置に設けてある揺動飾り6
a,6d,6g,6jをそれぞれ揺動させる飾り駆動手
段7a,7b,7c,7dが設けてある。
【0028】各駆動機械体8a,8b,8c,8dの一
端部の背面には、図4に示すように、それぞれ駆動モー
タ33a,33b,33c,33dが設けてある。これ
らの各モータ33a,33b,33c,33dは、駆動
回路基板34a,34b,34c,34dによって制御
可能としてある。駆動回路基板34a,34b,34
c,34dは時計機械体2から時刻情報及び正時情報等
の信号を受け、飾り駆動手段7a,7b,7c,7dや
モータ33a,33b,33c,33dを駆動する働き
をする。
【0029】図5には、外装枠1の上部に位置するフレ
ーム3aに設けてある3つの扉4a,4b,4cが示し
てあり、これらの各扉は扉開閉装置8を構成する単一の
駆動機械体8aで開閉動作するように組み合わされてい
る。他の駆動機械体8b〜8dの構成は、この駆動機械
体8aの構成と実質的に同一である。
【0030】ここで、扉の開閉機構について、上記3つ
の扉のうち中央に位置する扉4aを開閉するものについ
て説明する。扉4aの時表示面4a1の背面上下位置か
ら紙面に垂直にフランジ部4a2,4a4が設けてあ
る。フランジ部4a2,4a4の中間位置で回転中心軸
21の両端が支持されている。回転中心軸21の両端
は、フレーム3aの上縁部にビス止め固定してある軸受
板22に軸支されている。
【0031】扉4aは、下側のフランジ部4a4に取り
付けてある開閉部材24を介して90°の角度範囲で揺
動可能としてある。扉4aが左に90°回転すると、図
6に示すように、それまで扉4aによって隠れていた飾
り6aが見えるようになり、扉4aはフレーム3aに設
けられた逃げ穴3a1に一部が収納された前方から見て
垂直状態に収納された状態となる。
【0032】図7(a)は、扉4aが閉じている時の状
態を示すものであり、図5の上方から見た状態を示して
いる。この状態では、飾り取付板5a及び飾り6aが扉
4aの陰に完全に隠れており、前方からは見えなくなっ
ている。また扉4aの位置決めは、上フランジ部4a2
の一側部に設けてある突起部4a3がフレーム3の内側
に形成されたリブ状部3a3の側部に当接することによ
り停止するようにしてある。なお、1つのフレームに設
けられた3個の飾りのうち中央の飾りは揺動飾りなの
で、フレーム3aの背面側には飾り駆動手段7aが装着
してある。
【0033】図7(b)は、扉4aが開いている状態を
示す図6の上方から見た状態を示している。この状態で
は、前方から見て扉4aが垂直状態になっており、飾り
取付板5a及び飾り6aが前方から見えるようになって
いる。扉の停止機構はフレーム3aの陰に隠れて見えな
いが、フランジ部の他側に設けられた突起部4a3がフ
レームに形成されているリブ状部4a2に当接するよう
にしてある。
【0034】ここで図5に戻って説明を続ける。既述し
たように、扉開閉装置8は4つの駆動機械体8a〜8d
によって開閉動作をするようにしてあるが(図4参
照)、外装枠1の上部に位置する3つの扉4a,4b,
4cは、単一の駆動機械体8aよって開閉動作可能とし
てある。
【0035】駆動機械体8a〜8dの詳細については後
述するが、外周部が円弧状に形成されている上ケース2
5a上の曲率中心O1から30°の角度に分割した同一
半径上に3つの出力軸27a,28a,29aが位置
し、これらの各出力軸に3つの駆動レバー30a,31
a,32aがそれぞれ設けてある。既述した開閉部材2
4はこれらの駆動レバー30a,31a,32aによっ
て揺動することにより各扉4a,4b,4cを開閉可能
としてある。各扉4a〜4lは、前記したように、前記
曲率中心01を中心として同一半径上に等間隔で配置し
てあり、そのため複数の出力軸27a,28a,29a
・・はこの扉の配列と同心の円周上に並設されている。
【0036】すなわち図5に示すように扉が閉じられて
いる時には、各駆動レバー30a,31a,32aは右
に傾いた状態となっているが、これが反時計回り方向に
揺動して、図6に示すようにこれらの駆動レバーが左側
に傾いた状態となると、各扉は開いた状態となる。各駆
動レバー30a,31a,32aの揺動は、駆動機械体
8aの右端部かつ下ケース26a(図9参照)の背面側
に設けてある単一のモータ33aによって駆動されるよ
うになっている。
【0037】図8は、駆動機械体8aの正面の状態を示
すもので、上ケース25aの前面に取り付けられた3本
の駆動レバー30a,31a,32aがそれぞれ第1出
力軸27a、第2出力軸28a及び第3出力軸29aに
よって60°の角度範囲で揺動可能となっている。な
お、各駆動レバー30a,31a,32aの揺動角は上
ケース25aに形成された円弧状のガイド溝25a2
と、駆動レバー30a,31a,32aの背面に設けて
ある突起(図示略)とによって規制するようにしてあ
る。
【0038】図9は、駆動機械体8aの背面の状態を示
すもので、下ケース26aの背面側の端部に前出のモー
タ33aが装着してあり、各駆動レバー30a,31
a,32aの先端部が前面側から上方に突出している。
【0039】下ケース26aの中央部には、モータ33
aの回転を制御する駆動回路基板34aが固着してあ
る。駆動回路基板34aの1対の出力端子部はリード線
35a,36aを介してモータ33aの端子と接続して
ある。また、他の2対の端子はそれぞれリード線37
a,38a,39a,40aを介して、内蔵されている
輪列の回転を検知するマイクロスイッチ61a,62a
(図10参照)と接続されている。
【0040】図10は、駆動機械体8aの上ケースを取
り外し、さらに上述の駆動レバーを取り除いた正面の状
態を示しており、図11は駆動機械体の全体の断面状態
を示している。
【0041】図10,11(a)に示すように、下ケー
ス26aの背面に装着されたモータ33aの駆動軸33
a1は、下ケース26a内に突出しており、この突出し
た部分にモータピニオン41aが固着してある。モータ
ピニオン41aは、下ケース26aに立設された支持軸
に軸支されている2番車42aの2番歯車42a1と噛
合している。
【0042】この2番車42aと一体の2番ピニオン4
2a2は、3番車43aの3番歯車43a1と噛合して
いる。3番車43aの3番ピニオン43a2は、クラッ
チ車44aを構成するクラッチ歯車45aと噛合してお
り、図11(b)に示すようにこれと同心に設けられて
いるクラッチピニオン46aは、第1のアイドラー51
aと噛合している。
【0043】ここでクラッチ機構について図12を用い
てさらに詳しく説明する。
【0044】クラッチ車44aは、2番車42aを軸支
している支持軸26a2と上ケース25aの内面に設け
られた軸受孔とによって支持されているクラッチ軸47
aに軸支されており、クラッチピニオン46aの前面側
内部には、リング状の空洞部が形成されている。この空
洞部内に突設してあるボス部にはクラッチ軸47aが縦
貫しているとともに外周部にはクラッチばね48aが挿
着してある。クラッチばね48aの先端部は座金49a
を介してEリング50aによって圧縮された状態になっ
ている。したがってクラッチピニオン46aの下端部
は、クラッチ歯車45a1の上面に弾接状態となってい
る。両車の弾接面にはそれぞれ山形のローレット部45
a2,46a2が放射状に形成してあり、図12(a)
では両者のローレット部同士が噛み合いの状態となって
いる。
【0045】これに対し、クラッチピニオン46aに所
定以上の負荷が働いている状態で、クラッチ歯車45a
1が回転すると、クラッチばね48aのばね力による抵
抗に抗してクラッチピニオン46aローレット部に乗り
上げて浮上し、図12(b)に示すように、両者のロー
レット部同士の噛み合い状態が外れて、クラッチ歯車4
5aを空転可能としてある。このときローレット部同士
の空転による衝撃音が発生する。これは異常音として過
大負荷の発生を警告する役目を果たすようになってい
る。
【0046】図11に戻り、駆動機械体の構成の説明を
続ける。 図11(b)に示すようにクラッチピニオン
46aと噛合している第1のアイドラー51aは、他方
において間欠駆動装置Iを構成する第1の送り車52a
と噛合している。間欠駆動装置Iは、以下に述べるよう
に送り車とゼネバ車とを組み合わせてなるゼネバストッ
プ機構を採用してある。第1の送り車52aの前面側に
は、これと一体に扇形のガイド部52a3及びこのガイ
ド部の切欠部に該当する角度範囲にピン52a2が形成
してある(図10参照)。
【0047】また、第1の送り車52aの他方には、第
2のアイドラー53aが噛合している。さらに第2のア
イドラー53aの他方には、第2の送り車54aが噛合
している。第2の送り車54aの前面側にも、これと一
体に扇形のガイド部54a3及びこのガイド部の切欠部
に該当する角度範囲にピン54a2が形成してある。第
1のアイドラー51aと第2のアイドラー53aとは歯
数、歯形とも相等しくなっており、第1の送り車52a
と第2の送り車54aとは全く同じ形状のものとなって
いる。クラッチピニオン46aの回転は、単列になって
いるため、第1のアイドラー51a,第1の送り車52
a,第2のアイドラー53a,第2の送り車54aの順
に伝達可能である。したがってアイドラー53aの介在
により第1の送り車52aと第2の送り車54aとは同
方向かつ同じ回転速度になっている。
【0048】第1のアイドラー51aは、上ケース25
aと下ケース26aとによって支持されている支軸に回
転自在に軸支されているが、この支軸は同時に第3の駆
動レバー32aの出力軸29aとなっている。同様に第
2のアイドラー53aの支軸も第1の駆動レバー30a
の出力軸27aとなっている。この他駆動ブロックの下
端部近傍にはアイドラーを支持していない出力軸28a
が設けてある。
【0049】上記した各出力軸のうち、中央に位置する
第1の出力軸27aには、第1ゼネバ車55aがこれと
一体回転可能に取り付けてある。また下方に位置する第
2の出力軸28aには、第2ゼネバ車56aが一体回転
可能に取り付けてある。さらに上方に位置する第3の出
力軸29aにも同様に第3ゼネバ車57aが取り付けて
ある。
【0050】各出力軸27a,28a,29aの先端部
は、上ケース25aの前面から突出しており、この突出
した部分には既出の駆動レバー30a,31a,32a
が固着してある。すなわち、第1の出力軸27aには第
1駆動レバー30aが、第2の出力軸28aには第2駆
動レバー31aが、そして第3の出力軸29aには第3
駆動レバー32aがそれぞれ固着してある(図8参
照)。
【0051】各駆動レバー30a,31a,32aの出
力軸27a,28a,29aへの取り付けは、それぞれ
の揺動中心に設けられた取付け孔を各出力軸に挿着し、
図11(b)に示すように、出力軸の先端部に形成して
ある段差部にEリング58a,59a,60aを介在さ
せることにより抜け落ちないようにしてある。
【0052】各ゼネバ車55a,56a,57aの形状
は、図10に示すように、円板の外周に2枚の羽根に似
た形状のガイド部が形成してあり、これらのガイド部間
を送り車のピン52a2,54a2が進入可能な溝55
a1,56a1,57a1を設けてある。各ガイド部の
外周部は、送り車52a,54aのガイド部52a3,
54a3が当接可能な円弧状の凹部に形成されている。
これにより送り車52a,54aの回転中にこの送り車
のガイド部52a3,54a3がこの凹部に当接した状
態で回転可能であり、ゼネバ車55a,56a,57a
を休止状態で待機可能としてある。
【0053】第1の送り車52aの背面側外周部の所定
位置には、マイクロスイッチ61a,62aの検出用突
起52a4(図11)が設けてある。なお、図11に示
すようにモータ33aと第1の送り車52aとの回転方
向は互いに反対方向となっている。 第1の送り車52
aの歯車52a1の外周部近傍の下ケース26a上に
は、2個のマイクロスイッチ61a,62aが固定して
ある。一方のマイクロスイッチ61aは、ストップピン
61a2が突起52a4に接触して押圧することにより
正回転中のモータ33aの回転を停止させる機能を有す
る。そして他方のマイクロスイッチ62aは、ストップ
ピン62a1が突起52a4に接触して押圧することに
より、逆回転中のモータ33aの回転を停止させる機能
を有する。これらの検出信号は、既述したようにリード
線37a,38a,39a,40aを介して駆動回路基
板34aに出力される(図9参照)ことによりモータ3
3aの回転を制御可能としてある。
【0054】次にゼネバストップ機構による駆動レバー
の動作について説明する。 図11に示すように、各駆
動レバー30a,31a,32aは、各出力軸27a,
28a,29aを介して間欠駆動装置Iを構成する各ゼ
ネバ車55a,56a,57aと一体回転するのである
が、これらの各ゼネバ車は、第1の送り車52a及び第
2の送り車54aのピン52a2,54a2によって間
欠的な揺動運動を行う。また2つの送り車52a,54
aは第2のアイドラー53aによって連動するものとし
てあるため、同方向に同回転速度で回転可能となってい
る。
【0055】いま、図10の状態で駆動機械体8aが静
止しているとすると、3つの扉4a,4b,4cは閉じ
た状態となっている(図5参照)。この状態下で正時に
なると、時計機械体2から制御基板K(図4参照)に正
時信号が送られ、ここからモータ33aの制御信号が駆
動回路基板34aに送られることによりこのモータ33
aが始動する(図9参照)とともにメロディの演奏が始
まる。
【0056】モータ33aが始動(逆転)すると、図1
0において、第1の送り車52a及び第2の送り車54
aがともに時計回り方向に回転する。これにより第1の
送り車52aのピン52a2が第1ゼネバ車55aの溝
55a1に進入し、このゼネバ車をゆっくりと反時計回
り方向に回転させ始める。この時、第2ゼネバ車56a
及び第3ゼネバ車57aは、いずれも溝内にピンが進入
していないので停止している。この時は各送り車のガイ
ド部52a3,54a3は、ゼネバ車55a,56a,
57aの円弧状凹部に当接した状態で回転状態を維持し
ている。
【0057】図13は、ゼネバストップ機構による間欠
回転運動の機構を説明するために2つの送り車52a,
54aと3つのゼネバ車55a,56a,57aとの関
係を動作順に示したものである。同図(a)は、図10
に続いて両送り車52a,54aが時計回り方向に回転
している状態を示している。
【0058】この状態では、第1の送り車52aのピン
52a2が第1ゼネバ車の溝55a1の深い位置まで達
しているため、このゼネバ車55aの回転速度は速くな
っている。この状態においては、第2ゼネバ車56a及
び第3ゼネバ車57aは以前と同様に停止中である。し
かし、第2の送り車54aのピン54a2は第2ゼネバ
車56aの溝56a1に接近しつつある。上記した状態
においては、並設された3つの扉のうち、中央の扉4a
だけが開き始める。
【0059】同図(b)は、第1ゼネバ車55aの回転
が終了して停止状態になっているとともに、第2の送り
車54aのピン54a2が左側に位置する第2ゼネバ車
56aの溝56a1に進入している状態を示している。
この期間は第1ゼネバ車が停止状態になっているととも
に、第3ゼネバ車57aは初期状態から継続して停止中
である。
【0060】同図(c)は、第2ゼネバ車56aの回転
が終了し、第1の送り車52aのピン52a2が第3ゼ
ネバ車57aの溝57a1に進入してこれを回転させ始
めた状態を示している。この状態の下では、第1ゼネバ
車55a及び第2ゼネバ車56aは、いずれも回転終了
により停止中である。
【0061】同図(d)は、第3ゼネバ車57aの回転
が終了した状態を示している。したがって各扉は全て開
いた状態となっている(図6参照)。さらにモータ33
aの回転により第1送り車52aが時計回り方向に回転
を続けると、背面側に設けてある突起52a4(図10
参照)が右側のマイクロスイッチ62aのストップピン
62a1を押し倒して、モータの停止信号を出力するこ
とによりモータ33aを停止させる。
【0062】12個の扉4a〜4lは、4個のフレーム
3a〜3dのそれぞれに3組ずつ取り付けられており、
駆動機械体8aのモータ33aが停止すると、次に他の
駆動機械体8b,8c,8dのモータ33b,33c,
33dが前もって定められた駆動順(例えば33b,3
3c,33dの順)で順次回転動作を開始し、それぞれ
の駆動機械体の各ゼネバ車を第1ゼネバ車、第2ゼネバ
車、第3ゼネバ車の順で回転させ、第3ゼネバ車の回転
が終了した状態でそれぞれのゼネバ車に対応する扉を開
いた状態でモータが停止する。やがて、モータ33dが
停止し、これにより全部の扉4a〜4lが開いた状態と
なる。
【0063】モータ33a,33b,33c,33dの
停止中には、12,3,6,9時の時表示位置に設けら
れた人形を模した飾りが揺動するとともにスピーカ11
(図3参照)からメロディーが流れ続ける。開扉状態で
所定時間が経過すると、制御基板Kから各駆動回路基板
34a,34b,34c,34dにモータを始動時の方
向に対して逆転させる信号が駆動機械体のモータの駆動
順と逆の順で出力され、モータ33a,33b,33
c,33dが逆転を開始する。各駆動機械体8a,8
b,8c,8dの逆転の説明は、4個とも同じものなの
で、駆動機械体8aについてのみ説明してたの駆動機械
体8b,8c,8dの説明は省略する。モータ33d,
33c,33bの逆転が順次終了し、モータ33aが逆
転を開始すると、これにより各ゼネバ車は、図13の
(d)〜(a)の順に逆方向へ回転することにより各扉
を閉じるように揺動させる。すなわち、閉扉のタイミン
グは第3の扉4c,第2の扉4b,第1の扉4aの順に
閉じる。したがって中央の揺動飾りが最も長い露出時間
となっている。このように間欠駆動装置Iのそれぞれ
は、間欠回転のタイミングを異ならせて設けてある。ま
た、扉は3つを1グループとし、この3つの各扉の開閉
のタイミングは中央に位置する扉、右または左の一方に
位置する扉、右または左の他方に位置する扉の順となっ
ており、閉扉のタイミングは開扉タイミングの逆の順に
設定してある。
【0064】こうしてすべてのゼネバ車55a,56
a,57aが停止して、すべての扉4a〜4lが閉じら
れるた状態では、第1の送り車の突起52a4が他方の
マイクロスイッチ61aのストップピン61a1を倒し
てモータを停止させており、メロディの演奏も止まって
おり図10に示す初期状態に戻っている。
【0065】次に駆動レバーによる扉の開閉機構につい
て、図5、図6に示した範囲の構成を説明する。 各扉
4a,4b,4cは駆動レバー30a,31a32aが
右に傾斜しているときには閉じており、先端部が左へ移
るのに従って開き始め、左端に達すると開いた状態とな
ることについては既に説明してある(図5,6参照)。
このときの駆動レバーと扉との位置関係を図14に示し
てある。図14は、図5,6における中央の扉について
のみ示してあるが、他の扉についても同様である。
【0066】開閉部材24は駆動レバー30aと連動す
ることにより扉4aを揺動させるのであるが、この開閉
部材24はこの扉の下フランジ部4a4の側面に45°
に傾斜するように固定してある(図14(b)参照)。
開閉部材24の基部は回転中心軸21の端部に支持さ
れ、中間位置に突出しているピンが下フランジ部4a4
の係合孔(図示略)に係合することによりトルクが働い
てもずれないようにしてある。開閉部材24が下フラン
ジ部4a4から突出している範囲には、駆動レバー30
aの先端部が係合可能なスリット24aが設けてある。
これにより、駆動レバー30aは開閉部材24を駆動可
能となっている。
【0067】同図(a)は、駆動レバー30aが右に傾
斜している状態を示しているが、このときには、同図
(b)に示すように扉4aは飾り6aの前方を覆うよう
に飾り6aの前面に位置している(図7(a)参照)。
【0068】同図(c)は、駆動レバー30aが中間位
置、すなわち30°だけ反時計回り方向へ回転した状態
を示している。このとき、扉4aは同図(d)に示すよ
うに45°に傾斜した状態すなわち半開きの状態になっ
ている。
【0069】さらに駆動レバー30aが反時計回り方向
へ回転して、同図(e)に示すように、先端部が左に達
すると、同図(f)に示すように、扉4aは飾り6aに
対して直角方向に位置して完全に開いた状態となる。も
ちろん扉が閉じる時にはこの逆の行程を経て原位置に復
帰する。
【0070】上記実施例では、単一のモータで3つの扉
を開閉可能とする構成にしているが、これを2つまたは
4つの扉を開閉可能とするように構成することも可能で
ある。この場合には、駆動機械体の数も6または3とい
うように変る他、輪列やゼネバ車の数も変化させるよう
に構成することはもちろんである。また、扉や飾りのデ
ザインも多様化が可能であり、目的・用途に応じて種々
のからくり時計の扉開閉装置とすることも可能である。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、扉開閉装置を構成する
駆動機械体として1つのモータによって間欠回転駆動さ
れる複数の間欠駆動装置を備えたものを採用してあるの
で、扉の開閉装置の構成を簡単なものとすることができ
る。
【0072】各間欠駆動装置のそれぞれを間欠回転のタ
イミングを異ならせて設けることにより各扉の開閉タイ
ミングを異なるものとしてあるので、複雑な動作をする
扉を備えたからくり時計とすることができる。
【0073】上記した間欠駆動装置として構成が簡単な
ゼネバストップを採用すれば、異なるタイミングで複数
の扉を開閉する扉開閉装置が安価に得られる。
【0074】また、駆動機械体を他数の扉の3つを1グ
ループとして開閉動作させるようにしたものについて
は、開扉タイミングを中央の扉、左右の一方、左右の他
方の順とし、閉扉タイミングを開扉タイミングの逆の順
となるように設定すれば、連続性を有するリズム感に溢
れた扉の開閉動作が得られるので、からくり時計の商品
価値を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例における全体の構成を示すものであ
り、すべての扉が閉じている状態を示す正面図である。
【図2】一実施例における全体の構成を示すものであ
り、すべての扉が開いて飾りが露出している状態を示す
正面図である。
【図3】一実施例における全体の構成を示すもので、図
1のA−A線断面図である。
【図4】一実施例における裏蓋を除去した背面の状態を
示す背面図である。
【図5】フレームと駆動機械体とを組み合わせた閉扉状
態を示す正面図である。
【図6】フレームと駆動機械体とを組み合わせた開扉状
態を示す正面図である。
【図7】フレームと扉と飾りの三者間の関係を示すもの
で、(a)は扉が閉じている状態を示す平面図、(b)
は扉が開いている状態を示す平面図である。
【図8】駆動機械体の前面における駆動レバーの動作の
説明図である。
【図9】駆動機械体の背面図である。
【図10】駆動機械体から上ケース及び駆動レバーを除
去した内部構成を示した正面図である。
【図11】駆動機械体の展開断面図であり、(a)はモ
ータピニオンが2番歯車と噛み合っている状態を示す
図、(b)はクラッチピニオンと第1のアイドラーとが
噛み合っている状態を示す図である。
【図12】駆動機械体のクラッチ機構を示すものであ
り、(a)はクラッチが噛み合っている状態を示す拡大
断面、(b)はクラッチの噛み合いが外れている状態を
示す各断面図である。
【図13】駆動機械体の動作の説明図である。
【図14】駆動レバーによる扉の揺動機構の説明図であ
る。
【符号の説明】
4a〜4l 扉 8a〜8d 駆動機械体 24 開閉部材 27a,28a,29a 出力軸 30a,31a,32a 駆動レバー 33a,33b,33c,33d モ−タ I 間欠駆動装置
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G04B 19/06 G04B 25/06 G04B 47/00 F16H 27/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 12個の扉を駆動する駆動機械体を有す
    るからくり時計の扉開閉装置であって、 上記駆動機械体には、1つのモータによって間欠回転駆
    動される複数の間欠駆動装置が備わっており、 上記間欠駆動装置のそれぞれは、間欠回転のタイミング
    を異ならせて設けてあり、 上記12個の扉は、同一円周上に等間隔で並設されてお
    り、 上記駆動機械体は、上記各間欠駆動装置の出力軸が同一
    円周上に並設されており、 上記各出力軸により揺動駆動される駆動レバー及び上記
    駆動レバーにより駆動される開閉部材を介して上記扉が
    開閉駆動されることを特徴とするからくり時計の扉開閉
    装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記間欠駆動装置は
    ゼネバ・ストップ機構を用いたものであることを特徴と
    するからくり時計の扉開閉装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、上記扉は3
    つを1グループとし、当該3つの各扉の開扉タイミング
    は中央に位置する扉、右または左の一方に位置する扉、
    右または左の他方に位置する扉の順となっており、その
    閉扉タイミングは上記開扉タイミングの逆の順に設定し
    てあることを特徴とするからくり時計の扉開閉装置。
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