JP3498547B2 - 自動変速機の制御装置及び記憶媒体 - Google Patents

自動変速機の制御装置及び記憶媒体

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JP3498547B2
JP3498547B2 JP26400097A JP26400097A JP3498547B2 JP 3498547 B2 JP3498547 B2 JP 3498547B2 JP 26400097 A JP26400097 A JP 26400097A JP 26400097 A JP26400097 A JP 26400097A JP 3498547 B2 JP3498547 B2 JP 3498547B2
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イナーシャ相にお
ける液圧制御を行う自動変速機の制御装置及び記憶媒体
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車に搭載される自動変速機
は、トルクコンバータと変速歯車機構とを組み合わせ、
この変速歯車機構の動力伝達経路をクラッチやブレーキ
などの複数の摩擦要素の選択的動作により切り替えて、
所定の変速段に自動的に変速するように構成したもので
ある。
【0003】この種の自動変速機には、前記摩擦要素に
対する作動圧の給排を制御する油圧制御手段が備えら
れ、特に変速動作中に、該油圧制御手段による作動圧の
給排を精密に制御することにより、良好な変速フィーリ
ングを実現することが行われている。
【0004】例えば、アクセルを踏み込んでのダウンシ
フトであるキックダウン変速時には、摩擦要素の解放動
作に伴う入力軸回転数(例えばタービン回転数)の上昇
が、予め設定された変速動作中の目標回転数変化に一致
するように、当該摩擦要素の作動油圧をフィードバック
制御することが行われる。
【0005】このフィードバック制御を開始する時期
は、変速によりタービン回転数が変化し始めたとき、つ
まりイナーシャ相の開始時期とされるのが通例である。
ここで、イナーシャ相の開始時期は、タービン回転数N
tと車速(変速機の出力軸回転数)No、及び変速前の
変速段におけるギア比grを用いて、下記関係式(1)
を用いて求められる。
【0006】Nt−No・gr≧ΔN …(1) 但し、ΔNはイナーシャ相の開始の判定値。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このタービ
ン回転数Ntは、通常、図3(a)に示す様に、変速機
ケース(20)に取り付けられたタービン回転数センサ
(17)によって検出されるが、この場合には、次のよ
うな不具合の発生が認められる。
【0008】すなわち、タービン回転数センサが取り付
けられた変速機ケースは、キックダウンにより、エンジ
ンのスロットル開度を急激に増大させたときに、該エン
ジンと一体的にローリングし、タービンシャフト(1
2)に対してその回転方向(図3(a)の矢印X方向)
と逆方向(矢印Y方向)に相対回転することになる。そ
のため、タービン回転数センサによって検出されるター
ビン回転数Ntは、実際のタービンシャフトの回転数に
前記の相対回転の回転数を加えた値となる。その結果、
ローリングが発生する期間においては、見かけ上、ター
ビン回転数Ntが上昇することになる(図5のアで示す
変化)。
【0009】この現象は変速指令の出力直後に発生する
ため、前記式(1)式によりタービン回転数Ntの上昇
を検出してイナーシャ相の開始時期を判定すると、実際
のイナーシャ相開始時期よりも早い時期に開始時期とす
る誤判定が生じる。そして、この誤判定に基づいて、イ
ナーシャ相の油圧制御が実行されると、解放するべきク
ラッチ油圧の急激な低下に伴う伝達トルクの抜けが発生
したり、係合クラッチの係合に伴うトルクの急上昇が発
生することがあり、いずれも大きな変速ショックが生じ
てしまう。
【0010】この対策として、例えば、変速指令の後に
所定時間が経過してから、イナーシャ相開始時期の判定
を実施するようにして、ローリングの時期に判定が行わ
れない様にしている技術がある(特開平8−32688
5号公報参照)。しかしながら、この技術では、固定値
のタイマーを用いて、一定時間の判定禁止期間を設定し
ているので、いくつかの別の不具合が生じる。
【0011】すなわち、エンジンマウントの特性の違い
やエンジンマウント特性の経時変化などにより、車両毎
にローリングの動きが異なるため、一定の待機時間を設
定した場合には、ローリングの期間を確実にカバーでき
ず、別の誤判定を引き起こすことがある。
【0012】また、上記のような誤判定を防ぐために
は、所定時間を大きめの値に設定しておく必要があるの
で、車両によってはイナーシャ相が開始する時期まで判
定を待機させることになって、イナーシャ相の開始時期
の判定が遅れることになる。本発明は、前記課題を解決
するためになされたものであり、エンジンの個体差等の
車両の状態の影響を受けることなく、イナーシャ相制御
の開始時期を正確に検出することができる自動変速機の
制御装置及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段、及び発明の効果】請求項
1の発明は、変速歯車機構の摩擦要素の解放動作に伴っ
て変速歯車機構の入力軸回転数が実質的に上昇するイナ
ーシャ相にて、摩擦要素の作動液圧を制御するイナーシ
ャ相制御を行う場合には、イナーシャ相制御の開始点の
判定を、変速歯車機構の入力軸回転数の変化に基づいて
行う自動変速機の制御装置において、前記変速歯車機構
の入力軸回転数を自動変速機のケースに取り付けられた
入力軸回転数検出手段によって検出する構成の自動変速
機に対して、キックダウン変速開始時には、変速歯車機
構の入力軸回転数(例えばトルクコンバータ付き自動変
速機の場合にはタービンシャフトの回転数)に対する、
変速歯車機構へ動力を供給するエンジンの回転数の変化
の状態に基づいて、イナーシャ相制御の開始点の判定時
期を判断することを特徴とする自動変速機の制御装置を
要旨とする。
【0014】従来では、キックダウン変速時には、上述
したローリングにより変速歯車機構の入力軸の回転数で
ある入力軸回転数(例えばタービンシャフトの回転数で
あるタービン回転数)が一時的に変化し、イナーシャ相
制御の開始点を誤判定することがあるので、本発明で
は、それを防止するために、キックダウン変速開始時に
は、イナーシャ相の開始に伴って、エンジン回転数が入
力軸回転数に対して上昇するという知見に基づいて、イ
ナーシャ相制御の開始点の判定時期を判断する。
【0015】即ち、入力軸回転数に対するエンジン回転
数の変化の状態から、イナーシャ相の開始時期が分かる
ので、本発明では、変速歯車機構の入力軸回転数を自動
変速機のケースに取り付けられた入力軸回転数検出手段
によって検出する構成の自動変速機に対して、入力軸回
転数に対するエンジン回転数の変化の状態に基づいて、
イナーシャ相制御の開始点を判定するようにしている。
それにより、前記ローリングに起因するイナーシャ相制
御の開始点の誤判定を防止することができる。
【0016】例えばアクセルオフでの走行状態のよう
に、例えばトルクコンバータ付き自動変速機の場合にお
いて、タイヤ側からタービンシャフトが回転させられて
いる状態(このときトルクコンバータにおいて、エンジ
ン回転数<タービン回転数となっている)から、アクセ
ルを踏み込んでキックダウン変速を開始したときには、
まずエンジントルクが増大してローリング現象を発生す
るが、本発明では、その動きが落ち着いた後に、エンジ
ン回転数が上昇するまでは、イナーシャ相制御の開始点
の判定を行わないようにすることができるので、開始点
の誤判定の発生を防止できるものである。
【0017】また、本発明では、入力軸回転数に対する
エンジン回転数の変化の状態に基づいて、例えば、ロー
リング現象発生の原因となっているタービンシャフトに
加わるトルクの向きの変化に合わせて、判定待機の期間
を設定することができるので、例えば車両の個体差や坂
道等の走行状態など、車両の状態が変わっていようと
も、確実に誤判定の発生を防止できる。
【0018】更に、これにより、必要以上の待機時間を
設定する必要もないため、常に最も早いタイミングでの
判定が可能となる。しかも、車種毎に待機時間を設定す
る必要もない。尚、前記キックダウン変速とは、歯車変
速機構の入力軸(例えばトルクコンバータ付き自動変速
機の場合にはタービンシャフト)に加わるトルクの向き
がマイナスからプラスへ転じる運転操作における変速を
示している。
【0019】 さらに、請求項の発明は、エンジンの
回転数が入力軸回転数を上回るまでは、イナーシャ相制
御の開始点の判定を待機することを特徴とする自動変速
機の制御装置を要旨とする。図5に示す様に、エンジン
の回転数が入力軸回転数を上回ったときには、上述した
ローリングによる影響は確実に消えていると考えられる
ので、本発明によるタイミングでイナーシャ相制御の開
始点の判定を行うことにより、正確にイナーシャ相制御
の開始点を検出することができる。
【0020】 また、請求項の発明は、入力軸回転数
とエンジンの回転数との回転数差が、所定の回転数差判
定値を下回るまでは、イナーシャ相制御の開始点の判定
を待機することを特徴とする自動変速機の制御装置を要
旨とする。キックダウン変速に伴ってエンジンの回転数
が上昇し、入力軸回転数とエンジンの回転数との回転数
差が回転数差判定値を下回るまで小さくなったときに
は、上述したローリングによる影響は確実に消えている
と考えられるので、本発明のよるタイミングでイナーシ
ャ相制御の開始点の判定を行うことにより、正確にイナ
ーシャ相制御の開始点を検出することができる。
【0021】 請求項の発明は、更に、エンジンの回
転数の増加率が、所定の増加率判定値を上回るまでは、
イナーシャ相制御の開始点の判定を待機することを特徴
とする請求項に記載の自動変速機の制御装置を要旨と
する。本発明では、前記請求項の入力軸回転数とエン
ジンの回転数との回転数差の判定に加えて、エンジン回
転数の増加率を加味している。つまり、エンジン回転数
は、イナーシャ相に入ると急上昇するので、この増加率
の条件を加えることにより、一層正確にイナーシャ相制
御の開始点を検出することができる。
【0022】 請求項の発明は、イナーシャ相制御の
開始点の判定を、入力軸回転数の値と、自動変速機の出
力軸回転数に変速前の変速段におけるギア比とを掛けた
値との差に基づいて行うことを特徴とする請求項1〜
のいずれかに記載の自動変速機の制御装置を要旨とす
る。
【0023】 本発明は、イナーシャ相制御の開始点の
判定の手法を例示したものであり、この判定により、イ
ナーシャ相制御の開始点の判定を正確に行うことができ
る。請求項の発明は、イナーシャ相制御は、キックダ
ウン変速において解放される摩擦要素への液圧を、所定
の固定値に保持する制御であることを特徴とする請求項
1〜のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
【0024】 本発明は、イナーシャ相制御を例示した
ものであり、摩擦要素への液圧を所定の固定値に保持す
ることにより、簡単な制御でイナーシャ相における制御
を実現することができる。請求項の発明は、イナーシ
ャ相制御は、キックダウン変速において解放される摩擦
要素への液圧を、入力軸回転数が所定の目標値、又は目
標変化率に追従するようにフィードバックする制御であ
ることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の自
動変速機の制御装置を要旨とする。
【0025】本発明は、イナーシャ相制御を例示したも
のであり、摩擦要素への液圧を、入力軸回転数が所定の
目標値、又は目標変化率に追従するようにフィードバッ
ク制御することにより、液圧を速やかに好適な値に制御
することができるとともに、変速ショックを低減するこ
とができる。
【0026】 請求項の発明は、変速歯車機構の摩擦
要素の解放動作に伴って該変速歯車機構の入力軸回転数
が実質的に上昇するイナーシャ相にて、該摩擦要素の作
動液圧を制御するイナーシャ相制御を行う場合には、該
イナーシャ相制御の開始点の判定を、前記変速歯車機構
の入力軸回転数の変化に基づいて行う自動変速機の制御
装置において、キックダウン変速開始時には、前記変速
歯車機構の入力軸回転数に対する、前記変速歯車機構へ
動力を供給するエンジンの回転数の変化の状態に基づい
て、前記イナーシャ相制御の開始点の判定時期を判断す
るとともに、前記エンジン回転数が前記入力軸回転数を
上回るまでは、前記イナーシャ相制御の開始点の判定を
待機することを特徴とする自動変速機の制御装置を要旨
とする。本発明では、入力軸回転数に対するエンジン回
転数の変化の状態から、イナーシャ相の開始時期が分か
るので、入力軸回転数に対するエンジン回転数の変化の
状態に基づいて、イナーシャ相制御の開始点を判定する
ようにしている。それにより、前記ローリングに起因す
るイナーシャ相制御の開始点の誤判定を防止することが
できる。また、本発明では、入力軸回転数に対するエン
ジン回転数の変化の状態に基づいて、判定待機の期間を
設定することができるので、例えば車両の個体差や坂道
等の走行状態など、車両の状態が変わっていようとも、
確実に誤判定の発生を防止できる。更に、エンジンの回
転数が入力軸回転数を上回ったときには、ローリングに
よる影響は確実に消えていると考えられるので、本発明
によるタイミングでイナーシャ相制御の開始点の判定を
行うことにより、正確にイナーシャ相制御の開始点を検
出することができる。請求項の発明は、変速歯車機構
の摩擦要素の解放動作に伴って該変速歯車機構の入力軸
回転数が実質的に上昇するイナーシャ相にて、該摩擦要
素の作動液圧を制御するイナーシャ相制御を行う場合に
は、該イナーシャ相制御の開始点の判定を、前記変速歯
車機構の入力軸回転数の変化に基づいて行う自動変速機
の制御装置において、キックダウン変速開始時には、前
記変速歯車機構の入力軸回転数に対する、前記変速歯車
機構へ動力を供給するエンジンの回転数の変化の状態に
基づいて、前記イナーシャ相制御の開始点の判定時期を
判断するとともに、前記入力軸回転数と前記エンジン回
転数との偏差が、所定の回転数差判定値を下回るまで
は、前記イナーシャ相制御の開始点の判定を待機するこ
とを特徴とする自動変速機の制御装置を要旨とする。本
発明では、入力軸回転数に対するエンジン回転数の変化
の状態から、イナーシャ相の開始時期が分かるので、入
力軸回転数に対するエンジン回転数の変化の状態に基づ
いて、イナーシャ相制御の開始点を判定するようにして
いる。それにより、前記ローリングに起因するイナーシ
ャ相制御の開始点の誤判定を防止することができる。ま
た、本発明では、入力軸回転数に対するエンジン回転数
の変化の状態に基づいて、判定待機の期間を設定するこ
とができるので、例えば車両の個体差や坂道等の走行状
態など、車両の状態が変わっていようとも、確実に誤判
定の発生を防止できる。更に、キックダウン変速に伴っ
てエンジンの回転数が上昇し、入力軸回転数とエンジン
の回転数との回転数差が回転数差判定値を下回るまで小
さくなったときには、上述したローリングによる影響は
確実に消えていると考えられるので、本発明のよるタイ
ミングでイナーシャ相制御の開始点の判定を行うことに
より、正確にイナーシャ相制御の開始点を検出すること
ができる。請求項の発明では、更に、前記エンジン回
転数の増加率が、所定の増加率判定値を上回るまでは、
前記イナーシャ相制御の開始点の判定を待機することを
特徴とする請求項に記載の自動変速機の制御装置を要
旨とする。本発明では、前記請求項の入力軸回転数と
エンジン回転数との回転数差の判定に加えて、エンジン
回転数の増加率を加味している。つまり、エンジン回転
数は、イナーシャ相に入ると急上昇するので、この増加
率の条件を加えることにより、一層正確にイナーシャ相
制御の開始点を検出することができる。請求項10の発
明は、請求項1〜のいずれかに記載の自動変速機の制
御装置による制御を実行させる手段を記憶していること
を特徴とする記憶媒体を要旨とする。例えば記憶媒体と
しては、マイクロコンピュータとして構成される電子制
御装置、マイクロチップ、フロッピィディスク、ハード
ディスク、光ディスク等の各種の記憶媒体が挙げられ
る。
【0027】つまり、上述した自動変速機の制御装置の
制御を実行させることができる例えばプログラム等の手
段を記憶したものであれば、特に限定はない。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の自動変速機の制御
装置の好適な実施の形態を、例(実施例)を挙げて図面
に基づいて詳細に説明する。 (実施例1) a)まず、本実施例の自動変速機の制御装置の構成につ
いて説明する。
【0029】図1に示す様に、自動車に搭載されて電子
制御されるエンジン1は、自動変速機2とデファレンシ
ャルギア3を介して駆動車輪4に接続されている。前記
エンジン1は、エンジン制御用コンピュータ5を備え、
このエンジン制御用コンピュータ5には、エンジン回転
数を検出するエンジン回転数センサ6、車速(自動変速
機2の出力軸回転数)を検出する車速センサ7、エンジ
ン1のスロットル開度を検出するスロットルセンサ8、
及び吸入空気量を検出する吸入空気量センサ9の各信号
が入力される。
【0030】エンジン制御用コンピュータ5は、これら
入力情報を基に燃料噴射量を決定してエンジン1に指令
を出し、また図示しないが点火信号をエンジン1に供給
する。そして、この指令に応じて、図示しない燃料供給
装置、点火装置が作動し、エンジン1の回転に合わせて
燃料の供給と燃焼が行われ、エンジン1の駆動及びその
制御が行われる。
【0031】前記自動変速機2は、トルクコンバータ1
0及び変速歯車機構11を備えており、エンジン1から
供給される動力は、エンジン出力軸1a(図2参照)や
トルクコンバータ10を経て変速歯車機構11の入力軸
(タービンシャフト)12に伝達される。そして、入力
軸12への変速機入力回転は、変速歯車機構11の選択
変速段に応じ増減速されて出力軸13にいたり、この出
力軸13からデファレンシャルギア3を経て駆動車輪4
に達して、自動車を走行させることができる。
【0032】尚、前記自動変速機2は、図2に示す如く
公知のものであるため、その詳細な説明は省略するが、
変速歯車機構11は、入力軸12から出力軸13への動
力伝達経路(変速段)を決定する各種のクラッチ(R/
C,H/C,LO/C,OR/C,F/C,FO/C)
やブレーキ(B/B,LR/B)などの各種摩擦要素を
内蔵している。
【0033】前記変速歯車機構11には、図1に示す様
に、変速制御用コンピュータ14からの指令に基づき駆
動されるコントロールバルブ15が接続されており、コ
ントロールバルブ15から適宜油圧が供給され、その油
圧を各種摩擦要素に作動させることで変速を実現してい
る。
【0034】このコントロールバルブ15には、変速制
御用コンピュータ14の指令で変速段毎に油圧を供給す
る経路を切り換える2本の変速制御用ソレノイド15
a,bと、油圧の大きさを制御するライン圧制御用ソレ
ノイド16が配置されている。尚、本実施例において
は、2本の変速制御用ソレノイド15a,bを用いる構
成としたが、変速段数やコントロールバルブ15内部の
構成に応じて、変速制御用ソレノイドの本数を増やして
も良い。また、変速過渡時の作動油の急速な充填、排出
のためのタイミングを調節するソレノイドを追加しても
良い。更に、ライン圧制御用ソレノイド16としては、
本実施例では以下デューティソレノイドとして説明する
が、油圧を可変にできる機構であればリニアソレノイド
など他の手段を用いても良い。
【0035】前記変速制御用コンピュータ14は、図示
しないがCPU,ROM,RAM,I/O装置からなる
マイクロコンピュータで構成されており、前記車速セン
サ7、スロットルセンサ8に加え、入力軸12の回転数
(タービン回転数)を計測するタービン回転数センサ1
7の各信号が入力される。
【0036】前記タービン回転数センサ17としては、
本実施例では、図3にその構造を示す様に、マグネット
ピックアップを用いたセンサを使用している。具体的に
は、タービン回転数センサ17は、図3(a)に示す様
に、入力軸12に取り付けたセンサギア17aと、自動
変速機2全体を収容するケース20に取り付けられたコ
イル17b及び磁石17cとからなる。
【0037】このタービン回転数センサ17において
は、入力軸12が回転すると、一体になって回転するセ
ンサギヤ17aにより、歯の有無によって磁気抵抗が変
化することから、コイル17bを貫く磁束が変化し、コ
イル17aの両端に交流の電力が発生する。従って、図
3(b)に示す様に、変速制御用コンピュータ14のI
/O装置の入力部に設けられた抵抗17dにより、図3
(c)に示す様に、入力軸12の回転数に比例した周波
数の正弦波状の電圧Aが得られる。そして、この正弦波
状の電圧Aを適当なしきい値素子を通して、パルスBに
してその周波数を計測すれば、入力軸12の回転数に比
例する信号が得られる。なお、本実施例では、入力軸1
2の1回転当り32パルスの信号が得られるように構成
している。
【0038】b)次に、変速制御用コンピュータ14に
よる変速制御について、図4の変速線図に基づいて説明
する。 変速制御用コンピュータ14は、車速センサ7とスロッ
トルセンサ8からの信号を用いて、現在の運転状態が図
4の(車速とスロットル開度に応じて定めた)変速線図
のどの領域にはいるかを判定し、変速段を決定する。
【0039】なお、変速線図は、変速段決定の際のチャ
タリング防止のため、第n速(n=1,2,3)から第
n+1速への変速(アップシフト)と、第m速(m=
2,3,4)から第m−1速への変速(ダウンシフト)
で、アップシフトの場合は実線、ダウンシフトの場合は
破線で示すように異なる判定線を用いている。
【0040】そして、図4に基づいて得られた判定結果
によって、2本の変速制御用ソレノイド15a,bのO
N(オン)/OFF(オフ)を、例えば下記表1のよう
に選択し、実行する。
【0041】
【表1】
【0042】この様に、変速制御用ソレノイド15a,
bのON/OFFを調節して、コントロールバルブ15
を駆動することにより、変速歯車機構11の内部の各種
摩擦係合要素に加えられる油圧が変化し、必要なクラッ
チやブレーキが作動して、前記表1に示すような変速段
が達成される。
【0043】c)次に、変速時に変速制御用コンピュー
タ14が実行する油圧制御を、ダウンシフトの場合を例
にとって、図5のタイミングチャートを用いて説明す
る。 図5は、3→2変速における動作を示している。まず、
前記図4に基づく変速判断によって変速(3→2変速)
が指令されると、前記表1に基づき、変速制御用ソレノ
イド15a,bが切り替えられる。
【0044】それと同時に、この変速で解放される摩擦
要素であるH/C(ハイクラッチ)の油圧は、コントロ
ールバルブ15内部の図示しない油圧機構により、所定
の油圧まで低下する。さらに、このH/C油圧を徐々に
減圧するために、ライン圧制御用ソレノイド16の油圧
指令値を、イナーシャ相開始を検出するまで所定の方
法、例えば、予め定めた低下勾配に合わせて、時間とと
もに油圧を低下させるなどの様にして低下させる。
【0045】そして、下記式(1)による判定を行い、
この判定が成立した時点をもって、イナーシャ相の開始
と判断する。 Nt−No・gr≧ΔN …(1) 但し、Nt:タービン回転数 No:車速(変速機の出力軸回転数) gr:変速前の変速段におけるギア比gr ΔN:イナーシャ相の開始の判定値 それ以降、タービン回転数Ntが、変速後の回転数に相
当する値まで上昇するまでの期間(即ちイナーシャ相期
間)を、タービン回転数Ntの変化が所定の目標タービ
ン回転数に追従するように、ライン圧制御用ソレノイド
16を用いて、ライン圧をフィードバック制御する。
【0046】その後、コントロールバルブ15の内部構
造により、H/C油圧は大気圧に解放される。そして、
この大気圧にまで減圧したと見なされる時間THの経過
の後、ライン圧は再びもとの高い値に戻される。
【0047】以上は理想的な状況であるが、実際には従
来技術の項で述べたように、図5のアで示すエンジンの
ローリング現象に伴うタービン回転数Ntの一時的な上
昇が発生してしまう。この原因により、タービン回転数
Ntが判定値ΔNを超えると、この時点をもってイナー
シャ相の開始時期と判定されてしまい、上述のようなイ
ナーシャ相の制御を開始してしまう。
【0048】この場合には、ローリングが収まるとター
ビン回転数Ntは目標値から大きく離れるため、それを
無理に追従させようとH/C油圧を大きく低下させてし
まう。その結果、解放クラッチの伝達トルク容量が急激
に低下し、そのトルク抜けに伴う大きな変速ショックが
発生する。
【0049】そこで、本実施例では、エンジン回転数N
eとタービン回転数Ntとの関係に着目して、この問題
を解決している。つまり、前述のローリング現象は、ア
クセルの踏み込みに伴いエンジントルク(出力軸トルク
で見ても同様)の向きがエンジンブレーキ(マイナス)
トルクから加速トルク(プラス)に転じる辺りで発生す
る。この時点では、エンジン回転数Neはタービン回転
数Ntよりも小さい。
【0050】その後、エンジントルクの一部を使って、
エンジン回転数Neそのものも加速され、やがてタービ
ン回転数Ntを上回る。このエンジン回転数Neがター
ビン回転数Ntを上回る時点t2では、ローリング現象
も収まっており、また、トルクコンバータのトルク伝達
作用と、解放クラッチの油圧低下により、やがて真にイ
ナーシャ相が開始される。
【0051】従って、本実施例では、エンジン回転数N
eがタービン回転数Ntよりも小さい間は、前記式
(1)によるイナーシャ相の開始判定(即ちイナーシャ
相制御の開始点の判定)を保留することによって、上述
のようにローリング現象に伴うタービン回転数Ntの一
時的な上昇があっても、誤判定することなく、よって、
それに伴う不適切な油圧制御による大きな変速ショック
の発生を防止することができる。
【0052】d)次に、本実施例の上述した油圧制御を
実現するための制御処理について、図6及び図7のフロ
ーチャートに基づいて説明する。 まず、図6に示すメインのフローチャートの処理につ
いて説明する。 まず、図6のステップ100にて、フラグ(Flag
A、FlagB)の値のリセット等の初期設定を行う。
【0053】続くステップ110では、各種のセンサか
らの信号に基づいて、スロットル開度、エンジン回転数
Ne、タービン回転数Nt、出力軸回転数(車速)No
等を読み込む。続くステップ120では、FlagAの
値の判定を行う。つまり、FlagAの値が、0,1,
2,3のいずれであるかを判定し、この判定結果に応じ
て、それぞれ分岐して下記i)〜iv)に示す処理を行な
う。
【0054】i)FlagA=0 FlagA=0の場合には、変速前の定常時であるの
で、ステップ130に進む。尚、FlagAの初期値は
0であるので、最初はこのステップ130に進む。
【0055】このステップ130では、変速指令が出力
されたか否かを判定し、ここで肯定判断されるとステッ
プ170に進み、一方否定判断されるとステップ140
に進む。ステップ140では、変速指令がないことを示
すために、FlagAに0をセットする。
【0056】続くステップ150では、変速制御用ソレ
ノイド15a,bを再設定する。即ち、初期状態に再設
定する。続くステップ160では、ライン圧制御用ソレ
ノイド16の油圧指令値を、変速前の定常値とし、ステ
ップ280に進む。
【0057】一方、前記ステップ130にて肯定判断さ
れて進むステップ170では、変速指令がアップシフト
であるか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステ
ップ180に進み、一方否定判断されるとステップ21
0に進む。ステップ180では、アップシフトの変速指
令であるので、そのことを示すために、FlagAに1
をセットする。
【0058】続くステップ190では、変速制御用ソレ
ノイド15a,bを切り替える。即ち、変速段に応じて
前記表1に示す様に、変速制御用ソレノイド15a,b
のON/OFFを切り替える。続くステップ200で
は、ライン圧制御用ソレノイド16の油圧指令値を、初
期値に設定し、ステップ280に進む。この初期値と
は、前記図5の時点t1に示す様に、変速指令の際に、
定常値より所定値だけ段差状に低減した値である。
【0059】一方、前記ステップ170にて否定判断さ
れて進むステップ210では、キックダウンであるか否
かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ220
に進み、一方否定判断されるとステップ250に進む。
ここで、キックダウンであるか否かは、前記図4に示す
変速線をどの様に横断するかによって判定する。例えば
車速が60kmにてスロットル開度が上昇して、矢印C
の様に変速線を横切る場合には、3速から2速へのキッ
クダウンであると判定する。
【0060】ステップ220では、キックダウンである
ことを示すために、FlagAに2をセットする。続く
ステップ230では、変速制御用ソレノイド15a,b
のON/OFFを、前記表1に示す様に、変速段に応じ
て切り替える。
【0061】続くステップ240では、ライン圧制御用
ソレノイド16の油圧指令値を、初期値に設定し、ステ
ップ280に進む。一方、前記ステップ210にて否定
判断されて進むステップ250では、コーストダウンで
あると見なして、FlagAに3をセットする。
【0062】このコーストダウンとは、前記図4の矢印
Dに示す様に、スロットル開度がゼロとみなせる領域に
あって、車速が低下することによって、変速線を横切る
シフトダウンである。続くステップ260では、変速制
御用ソレノイド15a,bのON/OFFを、前記表1
に示す様に、変速段に応じて切り替える。
【0063】続くステップ270では、ライン圧制御用
ソレノイド16の油圧指令値を、初期値に設定し、ステ
ップ280に進む。ステップ280では、演算周期(例
えば10ms)が経過したか否かを判定し、経過した場
合には、前記ステップ110に戻って、同様な処理を繰
り返す。
【0064】ii)FlagA=1 また、前記ステップ120におけるFlagAの判定の
結果、FlagA=1の場合には、アップシフト時であ
るので、ステップ300にて、アップシフト時の油圧制
御を行う。
【0065】具体的には、イナーシャ相の開始判定まで
の期間を、油圧を徐々に上昇させる制御を行い、イナー
シャ相の開始判定後は、所定の目標タービン回転数に追
従する様に、油圧をフィードバック制御する。続くステ
ップ310では、アップシフト時の油圧制御の終了判定
を行い、ここで肯定判断されるとステップ320に進
み、一方否定判断されるとステップ280に進む。
【0066】この制御終了の判定は、例えば下記式
(2)により行ない、この条件が満たされた場合に、ア
ップシフト時の油圧制御を終了する。 No・grE−Nt≦ΔNE …(2) 但し、Nt:タービン回転数 No:車速(変速機の出力軸回転数) grE:変速後の変速段におけるギア比grE ΔNE:イナーシャ相の終了の判定値 ステップ320では、制御が終了して、変速が終了した
ことを示すために、FlagAに0をセットし、前記ス
テップ280に進む。
【0067】iii)FlagA=2 更に、前記ステップ120におけるFlagAの判定の
結果、FlagA=2の場合には、キックダウン時であ
るので、ステップ400では、後に図7にて詳述する様
にして、キックダウン時の油圧制御を行って、前記ステ
ップ280に進む。
【0068】iv)FlagA=3 また、前記ステップ120におけるFlagAの判定の
結果、FlagA=3の場合には、コーストダウン時で
あるので、ステップ500にて、コーストダウン時の油
圧制御を行う。
【0069】具体的には、変速の係合側クラッチの油圧
を徐々に上昇させて、タービン回転数Ntを変速後の値
にまで、徐々に上昇させる制御を行う。続くステップ5
10では、コーストダウン時の油圧制御の終了判定を行
い、ここで肯定判断されるとステップ520に進み、一
方否定判断されるとステップ280に進む。
【0070】この制御終了の判定は、前記ステップ31
0と同様に、例えば前記式(2)により行う。 次に、前記ステップ400にて行われるキックダウン
時の制御について、図7のフローチャートに基づいて説
明する。
【0071】まず、図7のステップ410にて、イナー
シャ相より前の状態であるか否かを判定する。つまり、
既にイナーシャ相制御が開始されているか否かを、Fl
agBが1であるか否かによって判定する。ここで肯定
判断されるとステップ430に進み、一方否定判断され
るとステップ415に進む。尚、このFlagBは、イ
ナーシャ相制御が開始されると1に設定され、そうでな
い場合(例えば初期値)は0に設定されている。
【0072】ステップ415では、エンジン回転数Ne
がタービン回転数Nt以上であるか否かを判定する。こ
こで肯定判断されるとステップ420に進み、一方否定
判断されるとステップ480に進む。ステップ480で
は、図5の時点t1から時点t2までの間における変速初
期制御を行ない、一旦本処理を終了して、前記図6のス
テップ280に進む。この変速初期制御とは、ハイクラ
ッチ(H/C)のトルク容量を入力トルクより下げる様
に、H/C油圧を低減する制御である。
【0073】一方、ステップ420では、イナーシャ相
(従ってイナーシャ相制御)の開始時期(図5の時点t
3)か否かを、前記式(1)により行う。ここで肯定判
断されるとステップ425に進み、一方否定判断される
と前記ステップ480に進む。
【0074】ステップ425では、イナーシャ相制御の
開始を示すために、FlagBに1をセットする。続く
ステップ430では、前記ステップ420にてイナーシ
ャ相であると判定されたので、イナーシャ相制御を実行
する。
【0075】具体的には、タービン回転数Ntを予め定
めた所定の目標タービン回転数に追従するように制御す
るフィードバック制御を行う。或は、タービン回転数N
tの変化率を目標とする変化率(目標変化率)に制御す
るフィードバック制御を行う。
【0076】続くステップ435では、フィードバック
制御の後に行なう制御(以下後制御と記す)を行う期間
を判定するために、タイマーTimerの値を0にセッ
トする。尚、この後制御とは、次の変速の制御に支障が
出ない様に、H/C油圧を大気圧まで抜くための制御で
ある。
【0077】続くステップ440では、イナーシャ相制
御の終了時期か否かを、前記式(2)を満たすか否かに
よって判定し、ここで肯定判断されるとステップ445
に進み、一方否定判断されると、一旦本処理を終了す
る。ステップ445では、Timerが後制御のための
期間TH以上か否かを判定し、ここで肯定判断されると
ステップ460に進み、一方否定判断されるとステップ
450に進む。
【0078】ステップ450では、まだ、後制御の期間
中(図5の時点t4〜時点t5)であるので、Timer
をインクリメントする。続くステップ455では、後制
御を行うために、H/C油圧を低減するための油圧指令
値を保持し、一旦本処理を終了する。
【0079】一方、ステップ460では、後制御が終了
して、変速制御が完全に終了したので(図5の時点t
5)、ライン圧制御用ソレノイド16を定常値に設定す
る。続くステップ465では、FlagAを0にセット
し、ステップ470では、FlagBを0にセットし
て、一旦本処理を終了する。
【0080】この様に、本実施例では、キックダウン変
速開始時においては、イナーシャ相の開始判定、即ちイ
ナーシャ相制御の開始点の判定を、エンジン回転数Ne
がタービン回転数Ntを上回るまで待機している。それ
により、キックダウンの際のエンジン等のローリングに
起因するイナーシャ相制御の開始点の誤判定を防止する
ことができる。
【0081】それによって、車両の個体差や坂道等の走
行状態など、車両の状態が変わっていようとも、確実に
誤判定の発生を防止できる。更に、必要以上の待機時間
を設定する必要もないため、常に最も早いタイミングで
の判定が可能となる。しかも、車種毎に待機時間を設定
する必要もないという利点がある。
【0082】特に、本実施例では、エンジン回転数Ne
がタービン回転数Ntを上回るまで待機しているので、
イナーシャ相の開始時期の検出精度の点で特に優れてい
る。 (実施例2)次に、実施例2について説明するが、前記
実施例1と同様な箇所の説明は省略又は簡略化する。
【0083】本実施例は、前記実施例1とは、イナーシ
ャ相の開始判定に先だって行われる手段、即ちローリン
グに起因する誤判定を防止するための手段が異なってい
る。つまり、本実施例では、キックダウン変速時には、
エンジン回転数Neが上昇することを利用して、図8に
示す様に、タービン回転数Ntとエンジン回転数Neと
の差が、所定の判定値ΔK1を下回った後に、イナーシ
ャ相の開始判定(イナーシャ相制御の開始点の判定)を
行う。
【0084】本実施例の制御処理は、前記実施例1の図
7から一部分を変更して実現できる。その制御処理を、
図9のフローチャートに示す。但し、図7と同一の手続
を行う部分は、図7と同一のステップ番号として、その
説明を省略する。即ち、図6の処理で、ステップ400
を図7の処理に代えて図9の処理を行う。
【0085】まず、図9のステップ410で否定判断が
なされたとき、ステップ610に進む。ステップ610
では、前記図6のステップ110で読み込んだエンジン
回転数Neとタービン回転数Ntを用いて、回転数差△
KK1を算出する。更にステップ620に進んで、この
回転数差△KK1が判定値ΔK1を下回るか否かを判定
する。ここで肯定判断されるとステップ420に進み、
一方否定判断されるとステップ480に進む。
【0086】このステップ420及びステップ480以
下の処理は、それぞれ前記図7の説明と同様であるの
で、その説明は省略する。尚、前記ステップ410で否
定判断された場合には、前記図7と同様にステップ43
0に進む。
【0087】これによっても、前記実施例1と同様に、
キックダウン時の誤判定を防止する等の効果を奏する。 (実施例3)次に、実施例3について説明するが、前記
実施例2と同様な箇所の説明は省略又は簡略化する。
【0088】本実施例は、前記実施例2とは、ローリン
グに起因する誤判定を防止するための手段が異なってい
る。つまり、本実施例では、キックダウン変速時には、
図10に示す様に、タービン回転数Ntとエンジン回転
数Neとの差が、所定の判定値ΔK2を下回るという条
件が満たされ、且つエンジン回転数Neの増加率が、所
定の判定値Δdを上回るという条件が満たされた場合
に、イナーシャ相の開始判定(イナーシャ相制御の開始
点の判定)を行う。
【0089】本実施例の制御処理も、前記実施例1の図
7から一部分を変更して実現できる。その制御処理を、
図11のフローチャートに示す。但し、図7と同一の手
続を行う部分は、図7と同一のステップ番号として、そ
の説明を省略する。即ち、図6の処理で、ステップ40
0を図7の処理に代えて図11の処理を行う。
【0090】まず、図11のステップ410で否定判断
がなされたとき、ステップ710に進む。ステップ71
0では、前記図6のステップ110で読み込んだエンジ
ン回転数Neとタービン回転数Ntを用いて、回転数差
△KK2を算出する。
【0091】次にステップ720で、今回の制御ループ
のために、前記図6のステップ110で読み込まれてい
るエンジン回転数Neと、1回前の制御ループで用いた
エンジン回転数の値Ne1との差を計算し、△ddとす
る。このとき、前記図6のステップ280で、一定の演
算周期で制御ループが繰り返されるように処理されてい
るので、△ddがエンジン回転数の増加率となる。
【0092】その後ステップ730で、次回の制御ルー
プにおいて、ステップ720のエンジン回転数の増加率
演算を行うために、今回のエンジン回転数Neの値を、
1演算ループ前のエンジン回転数の値を表すNe1に代
入する。さらにステップ740に進んで、前記回転数差
△KK2が判定値ΔK2を下回るか否かを判定する。こ
こで肯定判断されるとステップ750に進み、一方否定
判断されるとステップ480に進む。
【0093】ステップ750では、前記エンジン回転数
の増加率△ddが判定値Δdを上回るか否かを判定す
る。ここで肯定判断されるとステップ420に進み、一
方否定判断されるとステップ480に進む。このステッ
プ420及びステップ480以下の処理は、それぞれ前
記図7の説明と同様であるので、その説明は省略する。
【0094】尚、前記ステップ410で否定判断された
場合には、前記図7と同様にステップ430に進む。本
実施例では、前記実施例2の条件に、更にエンジン回転
数Neの増加率の条件を加えているので、一層、キック
ダウン時の誤判定を防止する効果が高いという利点があ
る。
【0095】尚、本発明は前記実施例に何ら限定される
ことなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、種々
の態様で実施できることはいうまでもない。例えば、前
記実施例1〜3では、ある変速段におけるキックダウン
によるダウンシフトについて示したが、他の変速段にお
ける変速に対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の制御装置を内蔵した自動変速機制
御系の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】 自動変速機の構成を示す概略構成図である。
【図3】 タービン回転数を検出する構成を示し、
(a)はタービン回転数センサ等の構造を示す説明図、
(b)はタービン回転数センサ等の電気的構成を示す説
明図、(c)はタービン回転数センサの出力を示すグラ
フである。
【図4】 シフトアップ及びシフトダウンの変速線を示
すグラフである。
【図5】 実施例1の信号及び変速状態を示すタイミン
グチャートである。
【図6】 実施例1の制御処理を示すメインルーチンの
フローチャートである。
【図7】 実施例1のキックダウン時の制御処理を示す
フローチャートである。
【図8】 実施例2の制御の考え方を示す説明図であ
る。
【図9】 実施例2の制御処理を示すフローチャートで
ある。
【図10】 実施例3の制御の考え方を示す説明図であ
る。
【図11】 実施例3の制御処理を示すフローチャート
である。
【符号の説明】
1…エンジン 2…自動変速機 5…エンジン制御用コンピュータ 6…エンジン回転
数センサ 7…車速センサ 8…スロットルセ
ンサ 10…トルクコンバータ 11…変速歯車機
構 12…入力軸(タービンシャフト) 13…出力軸 14…変速制御用コンピュータ 15…コントロー
ルバルブ 15a,15b…変速制御用ソレノイド 16…ライン圧制御用ソレノイド 17…タービン回転数センサ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−82364(JP,A) 特開 平9−119517(JP,A) 特開 平9−72409(JP,A) 特開 平7−71585(JP,A) 特開 平7−286660(JP,A) 特開 平11−37257(JP,A) 特開 平8−291858(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 59/00 - 61/12 F16H 61/16 - 61/24 F16H 63/40 - 63/48

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変速歯車機構の摩擦要素の解放動作に伴
    って該変速歯車機構の入力軸回転数が実質的に上昇する
    イナーシャ相にて、該摩擦要素の作動液圧を制御するイ
    ナーシャ相制御を行う場合には、該イナーシャ相制御の
    開始点の判定を、前記変速歯車機構の入力軸回転数の変
    化に基づいて行う自動変速機の制御装置において、 前記変速機構の入力軸回転数を自動変速機のケースに取
    り付けられた入力軸回転数検出手段によって検出する構
    成の自動変速機に対して、 キックダウン変速開始時には、前記変速歯車機構の入力
    軸回転数に対する、前記変速歯車機構へ動力を供給する
    エンジンの回転数が前記入力軸回転数を上回るまでは、
    前記イナーシャ相制御の開始点の判定を待機することを
    特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】 変速歯車機構の摩擦要素の解放動作に伴
    って該変速歯車機構の入力軸回転数が実質的に上昇する
    イナーシャ相にて、該摩擦要素の作動液圧を制御するイ
    ナーシャ相制御を行う場合には、該イナーシャ相制御の
    開始点の判定を、前記変速歯車機構の入力軸回転数の変
    化に基づいて行う自動変速機の制御装置において、 前記変速機構の入力軸回転数を自動変速機のケースに取
    り付けられた入力軸回転数検出手段によって検出する構
    成の自動変速機に対して、 キックダウン変速開始時には、前記変速歯車機構の入力
    軸回転数、前記変速歯車機構へ動力を供給するエンジ
    ンの回転数との回転数差が、所定の回転数差判定値を下
    回るまでは、前記イナーシャ相制御の開始点の判定を待
    機することを特徴とする自動変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】 更に、前記エンジンの回転数の増加率
    が、所定の増加率判定値を上回るまでは、前記イナーシ
    ャ相制御の開始点の判定を待機することを特徴とする前
    記請求項に記載の自動変速機の制御装置。
  4. 【請求項4】 前記イナーシャ相制御の開始点の判定
    を、前記入力軸回転数の値と、前記自動変速機の出力軸
    回転数に変速前の変速段におけるギア比とを掛けた値と
    の差に基づいて行うことを特徴とする前記請求項1〜
    のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
  5. 【請求項5】 前記イナーシャ相制御は、前記キックダ
    ウン変速において解放される摩擦要素への液圧を、所定
    の固定値に保持する制御であることを特徴とする前記請
    求項1〜のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
  6. 【請求項6】 前記イナーシャ相制御は、前記キックダ
    ウン変速において解放される摩擦要素への液圧を、前記
    入力軸回転数が所定の目標値、又は目標変化率に追従す
    るようにフィードバックする制御であることを特徴とす
    る前記請求項1〜のいずれかに記載の自動変速機の制
    御装置。
  7. 【請求項7】 変速歯車機構の摩擦要素の解放動作に伴
    って該変速歯車機構の入力軸回転数が実質的に上昇する
    イナーシャ相にて、該摩擦要素の作動液圧を制御するイ
    ナーシャ相制御を行う場合には、該イナーシャ相制御の
    開始点の判定を、前記変速歯車機構の入力軸回転数の変
    化に基づいて行う自動変速機の制御装置において、 キックダウン変速開始時には、前記変速歯車機構の入力
    軸回転数に対する、前記変速歯車機構へ動力を供給する
    エンジンの回転数の変化の状態に基づいて、前記イナー
    シャ相制御の開始点の判定時期を判断するとともに、 前記エンジン回転数が前記入力軸回転数を上回るまで
    は、前記イナーシャ相制御の開始点の判定を待機するこ
    とを特徴とする自動変速機の制御装置。
  8. 【請求項8】 変速歯車機構の摩擦要素の解放動作に伴
    って該変速歯車機構の入力軸回転数が実質的に上昇する
    イナーシャ相にて、該摩擦要素の作動液圧を制御するイ
    ナーシャ相制御を行う場合には、該イナーシャ相制御の
    開始点の判定を、前記変速歯車機構の入力軸回転数の変
    化に基づいて行う自動変速機の制御装置において、 キックダウン変速開始時には、前記変速歯車機構の入力
    軸回転数に対する、前記変速歯車機構へ動力を供給する
    エンジンの回転数の変化の状態に基づいて、前記イナー
    シャ相制御の開始点の判定時期を判断するとともに、 前記入力軸回転数と前記エンジン回転数との偏差が、所
    定の回転数差判定値を下回るまでは、前記イナーシャ相
    制御の開始点の判定を待機することを特徴とする自動変
    速機の制御装置。
  9. 【請求項9】 更に、前記エンジン回転数の増加率が、
    所定の増加率判定値を上回るまでは、前記イナーシャ相
    制御の開始点の判定を待機することを特徴とする請求項
    に記載の自動変速機の制御装置。
  10. 【請求項10】 前記請求項1〜のいずれかに記載の
    自動変速機の制御装置による制御を実行させる手段を記
    憶していることを特徴とする記憶媒体。
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