JP3494655B2 - バランスリングを備えた回転工具 - Google Patents

バランスリングを備えた回転工具

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、請求の範囲第１項の上位概念に記載の回転
工具、特に高速フライス又は高速中ぐり工具に関する。
背景技術 上記形式のバランスリングを備えた回転工具は、例え
ば米国特許第5263995号又は5074723号明細書から公知で
ある。極めて高い回転数、例えば分当り20,000回転まで
のオーダで作業する、工具ホルダ及び工具本体を備えた
上記形式の回転工具の場合には、工具ホルダ及び工具本
体の精密バランシングの問題が生ずる。このために、例
えば上記米国特許明細書で開示された従来技術によれ
ば、精密バランシングに際して、２つのバランスリング
が互いに軸方向間隔を置いて工具ホルダもしくは工具周
面に配置される。精密バランシングのために前記バラン
スリングはその内周面によって、回転・工具ホルダ又は
回転工具外周面に沿って周方向に滑動可能でかつ工具ホ
ルダもしくは工具本体に対して異なる回転位置で固定可
能である。工具ホルダもしくは工具本体に対して相対的
なバランスリングの滑動は、特に無段階に行われる。
精密バランシングのためにバランスリングは、周方向
に亘って異なる質量を備えている。このことは極めて簡
単には、バランスリングが所定の周方向範囲で作孔され
ることによって、達成される。この場合例えば、工具ホ
ルダもしくは工具本体の回転軸線に対して平行に延びる
孔が使用され、これによってそれぞれのバランスリング
の当該周方向範囲で質量減少が達成される。
アンバランス補償もしくは精密バランシングは、少な
くとも１つのバランスリング、有利には両バランスリン
グが、工具ホルダもしくは工具本体に対して回転位置に
もたらされて、固定され、この回転位置で所望の精度で
アンバランスが補償されることによって、行われる。
工具ホルダもしくは工具本体であるかとは無関係に、
従来技術による支持体構造の欠点は、バランスリングが
運転中に高い回転数に基づき著しい遠心力にさらされて
ひいてはバランスリングの孔範囲で並びにバランスリン
グの固定用に設けられる締付けエレメントの範囲でバラ
ンスリング横断面が弱められかつこの範囲で破壊され
る、ということにある。公知の構成の別の欠点は、工具
ホルダもしくは工具本体の軸線方向で並べら配置された
バランスリングに基づき所定の構造長さが必要になり、
これにより、工具ホルダもしくは工具本体の軸線方向の
有効全構造長さが拡大する、ということにある。
発明の開示 本発明の課題は、冒頭で述べた形式の回転工具、特に
高速フライス又は高速中ぐり工具を改良して、バランス
リングをスペースを節約して配置できると共に、工具ホ
ルダ並びに工具自体によって形成された全機構の構造長
さを短縮できるようにする。更に本発明の課題は、バラ
ンスリングが少なくとも部分的にその外周面で支持さ
れ、これにより、工具運転中に生ずる高い遠心力に基づ
くバランスリングひいては工具の破壊の危険を、完全に
は排除できなくとも、少なくとも大幅に減少させること
ができるようにすることにある。
上記課題を解決するため本発明の回転工具は、請求の
範囲第１項の特徴部分に記載の特徴に基づいて構成され
ている。２つのバランスリングが互いに同心的にひいて
は共通の平面内で工具ホルダ又は工具本体の回転軸線に
対して垂直に配置されていることによって、全体的にみ
て、工具ホルダ及び工具本体によって形成される全機構
の構造が短縮される。バランスリングは互いに内外に位
置するように配置されているので、バランスリングはま
ず互いに密接して半径方向で支持される。更に本発明に
よれば、バランスリング自体は工具ホルダ又は工具本体
によって半径方向で支持されるので、運転中に発生して
バランスリングに作用する高い遠心力は、バランスリン
グのそれぞれの外周面を介して工具ホルダ又は工具本体
の材料内に導入されかつこの材料によって受け止められ
る。従って、バランスリングのこのような半径方向の支
持によって、厚みを減少された範囲、又は、バランスリ
ング質量減少及び又はバランスリング固定のために周方
向に亘って設けられる孔範囲におけるバランスリングの
破壊の危険を、排除できるか又は少なくとも大幅に減少
さできる。
バランスリングを所望の位置で特に簡単かつ確実に配
置及び固定するために、本発明の回転工具は請求項２で
記載のように構成されている。このような同心的な円形
の溝は、少なくとも１つのバランスリングを受容するた
めに適当な嵌合い精度をもって工具ホルダ又は工具本体
の対応する端面範囲又はフランジ状区分内に簡単に形成
できる。バランスリングを受容するために工具回転軸線
に対して同心的な円形の溝を形成することによって、バ
ランスリングは外周面全体に亘って支持されひいては工
具ホルダ又は工具本体の材料内で遠心力が相応に均等に
受け止められる。バランスリングを受容するために端面
範囲もしくはフランジ状区分の範囲が十分大きく設計さ
れている場合には、使用される少なくとも２つのバラン
スリングのそれぞれのために、それぞれ１つのバランス
リングが配置される対応する円形の溝を設けることがで
きる。しかしスペースが狭い場合又はバランスリングの
所望の位置を簡単に確定するために、本発明によれば、
両バランスリングを受容するために単一の円形の溝が配
置されれば十分である。特に有利な構成によれば、バラ
ンスリングを受容するための円形の溝は、請求項３に記
載のように設計される。
既に上述したように、バランスリングは工具ホルダ又
は工具本体に対して相対的に正確に固定されねばならな
い。この場合、各バランスリングのためにバランスリン
グに相応する数の受容開口、特に溝を設ける場合各バラ
ンスリングは適当な固定又は締付け装置を備えねばなら
ない。２つのバランスリングを工具ホルダ又は工具本体
内の共通の溝内に受容する場合、バランスリングを適当
に配置して、一方のバランスリングだけにこのような固
定もしくは締付け装置を装備すれば、十分である。
バランスリングの特に簡単かつ有効な固定のために、
本発明の有利な構成では、請求項５で記載されているよ
うな構成が該当する。半径方向で調節可能なこのような
締付けエレメントは、工具ホルダ本体又は工具本体に対
して調節された回転位置において円形の溝内で所属のバ
ランスリングの拡開を生ぜしめ、この場合、締付けエレ
メントの半径方向調節は、相応に調節可能な締付け部材
によって達成される。特に有利な構成によれば、締付け
装置は請求項６に記載のように構成されている。このよ
うな拡開球は、対応するバランスリングの単純な孔内に
受容され、この場合、斜め面取部を備えたねじ、例えば
沈頭ねじを、バランスリングの平面に対して垂直方向に
ねじ込むことによって、拡開球によって構成された締付
けエレメントが相応に半径方向に移動せしめられる。こ
れによって一面では、締付け装置を備えたバランスリン
グがバランスリングを受容するための溝の側壁に固持さ
れ、他面では、別の締付けエレメントが隣接するバラン
スリングの外周面に対して作用を及ぼす。このようにし
て同時に、固有の締付け装置を装備しない他方のバラン
スリングも工具ホルダもしくは工具本体に対して固定さ
れる。
バランスリングを固定するための力を均等に導入する
ために、有利には請求項７で記載されているような構成
が該当する。
バランスリング相互の相対的な位置決め並びに工具ホ
ルダ又は工具本体に対して相対的なバランスリングの位
置決めを簡単に反復できるようにするため、請求項８に
記載に記載されているような目盛装置が設けられてい
る。
全長をできるだけ短縮するための本発明による回転工
具の特にスペースを節減した構成は、請求項９に記載さ
れているようなフライスを使用する場合に得られる。い
ずれにせよフライス刃物を受容しかつ固定するためのフ
ライス本体は相応の軸方向の延長部を有しひいては相応
の材料横断面を有するので、本発明によれば、フライス
刃物とは反対側の端面に、簡単な形式で、バランスリン
グを受容するための少なくとも１つの溝が形成され、従
って、本発明では全体的にみて、バランスリングなしで
構成された対応する工具に比較して、工具の構造長さが
拡大されることはない。
発明を実施するための最良の形態 次に本発明を、図示の実施例に基づき詳細に説明す
る。この場合本発明の回転工具はフライスによって形成
されている。
図１はバランスリングを挿入された本発明の回転工具
の部分的に断面された側面図、図２は矢印IIの方向でみ
た、図１の回転工具の背面側の平面図、図３は図１のII
I範囲の拡大図である。
回転工具を成す全体を符号１で示されたフライス本体
は、背面側に工作機械のスピンドルに固定される急勾配
テーパ部２を、かつ、前面側にフランジ状の刃物支持体
３を有している。図示の実施例では、フランジ状の刃物
支持体３の前方端面に配置された刃物４を備えた平面フ
ライスが使用される。
図１から明らかなように、刃物４とは反対側の刃物支
持体３の端面５は、フライス本体の回転軸線６に対して
直角に延びる平面内に配置されている。この場合、フラ
ンジ状の刃物支持体３の外周面７と、背面側の端面５に
背面側で接続されたフライス範囲のシャンク周面８との
間に段状の中間領域９が設けられることが、重要であ
る。この段状の中間領域９において端面５内に、背面側
に向けて、つまり刃物４とは反対側に向けて開放され
た、回転軸線６に対して同心的な環状溝10が形成されて
いる。
環状溝10の横断面形状は、特に図３から明らかであ
る。環状溝10は溝底11と、内側側壁12と、外側壁13とを
備えていて、ほぼ方形の横断面を有している。この場
合、回転工具１の半径方向14での環状溝10の有効幅15
は、溝深さ16の約２倍の大きさである。
環状溝10の内部には、互いにもしくは回転軸線６に対
して同心的に、外側のバランスリング17及び内側のバラ
ンスリング18が配置されている。両バランスリング17,1
8は、周方向範囲に質量を減少させる孔19及び20を有し
ている（図２参照）。孔19,20は、回転軸線６に対し同
心的な円弧上に互いに等間隔を置いて位置決めされてい
て、孔19,20の孔軸線は、回転工具１の回転軸線６に対
しほぼ平行に延びている。
両バランスリング17,18は、回転工具１の背面側に向
いた外側に位置する表面に、互いに隣接してそれぞれ１
つの目盛装置21及び22を有している。この両目盛装置2
1,22は互いに対応していてかつ特に正確な位置決め並び
にその都度の回転位置の反復及び証明を可能にする。必
要であれば、環状溝10の範囲で端面５に同様に目盛を備
えることができる。
両バランスリング17,18は、係合接続式にもしくは滑
り嵌合式に環状溝10の側壁12,13によって取り囲まれて
いる。図示の実施例ではバランスリング17及び18を固定
するために、一方のバランスリングに固定もしくは締付
け装置を設けるだけで十分である。それというのも、バ
ランスリング17及び18は共通の切欠き又は環状溝10内に
互いに密接して配置されているからである。外側のバラ
ンスリング17に結合された固定装置は、固定ねじとして
沈頭ねじ25を有していて、この沈頭ねじ25はシャフト26
によって外側のバランスリング17内にねじ込み可能であ
る。ねじ軸線27は、フライス本体の回転軸線６に対して
平行に延びている。ねじ込んだ場合、沈頭ねじ25のヘッ
ド28の錐面状の周面によって、拡開球29,30により構成
された締付けエレメントは回転工具の１の半径方向14に
拡開する。この場合、内側の拡開球29が内側のバランス
リング18にかつ外側の拡開球30が環状溝の外側側壁13に
押圧される。この押圧によって、外側のバランスリング
17が周方向で確実に固定されるばかりでなく、これによ
って内側のバランスリング18も、環状溝内部でもしくは
フライス本体１に対して周方向で固定されるようにな
る。
両バランスリング17,18を周方向23で調節するために
は、枕頭ねじ25を解離すればよい。図２から明らかなよ
うに、２つの枕頭ねじ25もしくは固定装置は、バランス
リング17及び18を簡単かつ対称的に固定できるようにす
るために、外側のバランスリング17の互いに直径方向で
対置する範囲内に配置されている。
１つだけの環状溝10と、環状溝内に互いに同心的に配
置された２つのバランスリング17,18とを備えた図示の
構成に基づき、既に上述したように、一方のバランスリ
ング17のみが締付けもしくは固定装置を備えればよく、
これに対してバランスリングが別個に配置される場合に
は、並べて配置された両バランスリングがこのような固
定装置を必要とする。
環状横断面を弱める固定装置を備えた外側のバランス
リング17は図示の実施例によれば、バランスリングに作
用する遠心力に抗して、特に効果的に周方向全体に亘っ
て環状溝10の外側側壁13に直接支持される。内側のバラ
ンスリング18は、外側のバランスリングの内側環状壁31
に内側のバランスリング18が接触することによって、半
径方向で同じ様に効果的に支持される。
バランスリング17及び18を受容するための少なくとも
１つの環状溝10を直接工具本体自体内に配置する代り
に、選択的な実施例では例えば、中ぐり工具によって形
成された工具にバランスリングを固定できない高速中ぐ
り工具と関連して、互いに係合し合う同心的なバランス
リング17,18を受容するための少なくとも１つの環状溝1
0を備えた段付けされたフラットな範囲内に工具ホルダ
自体を設けることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実公 昭41−11425（ＪＰ，Ｙ１) 国際公開94／016852（ＷＯ，Ａ１) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) B23Q 11/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】回転工具、殊に高速フライス又は高速中ぐ
    り工具であって、工具ホルダ又は工具本体（１）に、周
    方向に亘って異なる質量を有する少なくとも２つのバラ
    ンスリング（17,18）が支承されている形式のものにお
    いて、 位置を互いに相対的にしかも工具本体（１）の回転軸線
    （６）に対して相対的に調節可能な２つの同心的なバラ
    ンスリング（17,18）が、工具ホルダ又は工具本体
    （１）内に解離可能に受容されていてかつ半径方向（1
    4）で工具ホルダ又は工具本体（１）によって支持され
    ており、 工具本体（１）の回転軸線（６）に対してほぼ垂直に延
    びる、工具ホルダ又は工具本体（１）の端面（5,9）内
    に、２つのバランスリング（17,18）を受容するため
    に、工具本体（１）の回転軸線（６）に対して同心的な
    少なくとも１つの円形の溝（10）が形成されていること
    を特徴とする、バランスリングを備えた回転工具。
  2. 【請求項２】工具ホルダ又は工具本体（１）の半径方向
    （14）でみて、バランスリング（17,18）を受容する溝
    （10）の幅（15）が、溝（10）の深さ（16）のほぼ２倍
    であることを特徴とする、請求項１記載の回転工具。
  3. 【請求項３】少なくとも１つのバランスリング（17）が
    締付け装置（25,26,27,28,29,30）を備えていることを
    特徴とする、請求項１または２記載の回転工具。
  4. 【請求項４】締付け装置を備えたバランスリング（17）
    内に、半径方向（14）に調節可能な締付けエレメント
    （29,30）が受容されていて、該締付けエレメント（29,
    30）が、バランスリング（17）の平面に対して垂直方向
    （27）に調節可能な締付け部材（25）を介して、半径方
    向（14）に負荷可能であることを特徴とする、請求項３
    記載の回転工具。
  5. 【請求項５】締付けエレメントが拡開球（29,30）によ
    って形成されており、締付け部体が、斜め面取部（28）
    を備えたねじ（25）によって形成されていることを特徴
    とする、請求項４記載の回転工具。
  6. 【請求項６】工具本体（１）の回転軸線（６）に対して
    相対的に、直径方向で互いに向い合って位置する２つの
    締付け装置（25,26,27,28,29,30）が、バランスリング
    （17）に設けられていることを特徴とする、請求項３か
    ら５までのいずれか１項記載の回転工具。
  7. 【請求項７】バランスリング（17,18）の外向きの端面
    及場合によっては工具ホルダ又は工具本体（１）の溝
    （10）を備えた端面（5,9）に、目盛装置（21,22）が設
    けられていることを特徴とする、請求項１から６までの
    いずれか１項記載の回転工具。
  8. 【請求項８】工具がフライス（１）によって形成されて
    おり、バランスリング（17,18）を受容する少なくとも
    １つの溝（10）が、フライス刃物（４）とは反対側のフ
    ライス本体（１）の端面（５）に形成されていることを
    特徴とする、請求項１から７までのいずれか１項記載の
    回転工具。
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