JP2004276143A - バランス調整機構を備えた回転工具 - Google Patents

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Abstract

【目的】バランス調整機構を備えた回転工具において、バランス調整の精度が高く、その精度を確実に維持し、さらに、バランス調整が簡易且つ迅速に行える回転工具を提供する。
【構成】中心軸線周りに回転する工具本体1aを有し、前記工具本体1aの外周面1bおよび/または先端面1cから突出する切れ刃20a、20bが少なくとも1つ設けられた回転工具1において、前記工具本体1aの外周部および/または先端部に穴部2が少なくとも1つ設けられ、前記外周部に設けられる穴部2は外周面1bから中心軸Oに向かって所定の深さに形成され、前記先端部に設けられる穴部2は先端面1cから基部側に向かって所定の深さに形成され、前記穴部2には、その開口部を閉塞する栓部材10が備えられ、前記穴部2内部に少なくとも1つの充填部材11が着脱自在に配置固定される。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バランス調整機構を備えた回転工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のバランス調整機構を備える回転工具を図10および図11に示す。図10はこの回転工具の一部分解斜視図であり、図11は縦断側面図である。この回転工具は、工具本体の外周部に複数のチップが備えられる正面フライス1であり、前記工具本体1aの外周部から中心に向かって所定の深さに形成された複数の穴部2と、前記穴部2の開口部側を閉塞する栓部材10と、前記穴部2内に増減可能に収容される複数の充填部材11と、からなるバランス調整機構が備えられている。前記栓部材10は、前記穴部2の開口部側に設けられたねじ溝2aに螺合する盲ねじ10とされる。
【0003】
該正面フライス1は、所定のチップ20が固着された状態で、工具本体1aの各穴部2が空の状態でこの穴部2のねじ溝2aに栓部材10が螺合して前記穴部2が閉塞される。そこで図示しない動的釣合装置によって該正面フライス1の回転バランスの検査が行われ、アンバランスな穴部2の位置と量とが検出される。その検出結果に基づいて、アンバランスな位置の穴部2内にボール11を入れ、さらに、上記の検査が繰り返し行われることによってボール11の数が増減され、結果的にバランス調整がなされる。
【0004】
上記バランス調整終了後に、工具本体1aの孔部1dに図示しない工作機械の主軸が嵌着され、この主軸の回転作用により該正面フライス1が、図10中、矢印K方向に回転される。このため、各チップ20からなる切れ刃20a、20bにより図示しないワークが切削されるとともに、切りくずが切りくずポケット3を介して外部に排出される。
【0005】
上述した正面フライス1のバランス調整機構100においては、工具本体1aの外周部に形成された複数の穴部2に所定の数の充填部材11が収容された後、この穴部2の開口部側が栓部材10で閉塞されることにより、該正面フライス1のバランス調整作業が容易に遂行される。しかも、切れ刃20の再研削等により微妙なバランス調整が必要な際には、対応する穴部2に収容されている充填部材11の数を増減させるだけでよく、この微妙なバランス調整を迅速かつ高精度に行うことができる。さらに、栓部材10が穴部2に設けられたねじ溝2aに螺合される盲ねじ10であるため、工具本体1aの回転時に遠心力により該正面フライス1の径方向外側に付勢される充填部材11がこの穴部2から外部に導出されることを確実に阻止することができる一方、前記栓部材10を螺回させるだけで前記栓部材10の着脱作業が容易に遂行される。(例えば、特許文献1参照)
【0006】
【特許文献1】
特開平6−155131号公報(第2頁乃至第4頁、図1乃至図3)
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の正面フライス1においては、充填部材11を所定の位置に固定する又は調整する手段が備えられていないために、工具本体1aの穴部2に充填部材11が満たされず、穴部2内部に間隙が生じた場合、正面フライス1の回転に伴う遠心力によって、上記充填部材11は穴部2内で遊動したり微動したりすることとなり、バランスを変動させるおそれがある。
【0008】
また、刃先寸法を変更したりチップ20の再研削により前記チップ20の重量が変化したりする場合には、微妙なバランス調整が必要とされ、重量の異なる充填部材11を1つの穴部2に収容することも生じてくる。しかし、所望の位置に所望の重量の充填部材11を配置することが困難であるため、このような微妙なバランス調整を行うのに充分な調整精度が備えられているとはいえなかった。
【0009】
本発明の回転工具は、上述した問題に鑑みてなされたもので、その目的は、バランス調整機構を備えた回転工具において、バランス調整の精度が高く、その精度が確実に維持され、さらに、バランス調整が簡易且つ迅速に行える回転工具を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の回転工具は、上記課題を解決し目的を達成するために、中心軸線周りに回転する工具本体を有し、前記工具本体の外周面および/または先端面から突出する切れ刃が少なくとも1つ設けられた回転工具において、前記工具本体の外周部および/または先端部に穴部が少なくとも1つ設けられ、前記外周部に設けられる穴部は外周面から軸中心に向かって所定の深さに形成され、前記先端部に設けられる穴部は先端面から基部側に向かって所定の深さに形成され、前記穴部には、その開口部を閉塞する栓部材が備えられ、前記穴部内部に少なくとも1つの充填部材が着脱自在に配置固定されることを特徴とするバランス調整機構を備えた回転工具である。
【0011】
好ましくは、前記充填部材は、固定部材によって前記栓部材又は前記工具本体に着脱自在に配置固定され、前記充填部材は、円盤状又は円柱状又は多角形平板状又は多角形柱状をなすとともに中央部に貫通穴を備え、少なくとも2種類の異なる重量に設定されている。
【0012】
上述したバランス調整機構を備えた回転工具においては、動的釣合装置による検出結果に基づいてアンバランスな穴部に対して的確な位置に、且つ、的確な重量の充填部材を配置することができるとともに、前記充填部材の配置が変化することもないので、該回転工具のバランスが高い精度で維持される。さらに、前記充填部材は、異なる重量に適宜設定され、その配置される位置も適宜設定することができるので、微妙なバランス調整が可能となり、バランス調整の精度が極めて良好となる。バランス調整作業に際して、前記充填部材を前記栓部材又は工具本体に固定する固定部材を螺回することによって、前記充填部材の着脱が行え、適宜設定された重量の充填部材を増減するだけなのでバランス調整作業が簡易且つ迅速に行えるとともに調整精度が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1乃至図3に示す正面フライスは本発明の一実施形態である。これらの図に示すように、工具本体1aの外周部には、本発明に係るバランス調整機構が設けられる。このバランス調整機構は図1乃至図3に示すように、工具本体1aの外周面1bから軸中心Pに向かって所定の深さまで形成される少なくとも1つの穴部2が形成されるとともに、前記穴部2の開口部側を閉塞する栓部材10と、前記栓部材10に例えばボルト等の固定部材12によって増減可能に固着される少なくとも1つの充填部材11と、からなるバランス調整機構100を備えている。前記充填部材11は、例えば円盤状をなし、その中央付近に両端面に貫通する挿通穴が設けられている。そしてボルト等の固定部材12が前記挿通穴に挿入され、前記栓部材10に螺合することによって、前記充填部材11は前記栓部材10に固着される。
【0015】
前記穴部2は、工具本体1aの外周部に備えられたチップ20に対応して略等角度間隔ずつ離間して設けられており、この穴部2の開口部側にねじ溝2aが設けられ、このねじ溝2aに栓部材10が螺合する。前記充填部材11は、微妙なバランス調整が可能なようにその体積および重量が適宜設定されている。前記重量は、それぞれの充填部材11の重量差が0.5g以下であれば、バランス調整の精度が高いうえ、製造する点で好ましい。さらにバランス調整の精度を高めるには、前記重量差は0.2g以下が好ましく、特に好ましくは0.1g以下である。また、前記充填部材11の材質は、例えば、鉛、鋼鉄または超硬、樹脂等から製作されるのが好ましい。
【0016】
次に、このように構成される当該バランス調整機構100の動作について、これを採用する正面フライス1の動作との関連で説明する。図1に示すように、まず、所定のチップ20が工具本体1a先端部の外周面1bに沿って略等間隔に配設されたチップ座4a、4bに、上記チップ20の該正面フライス1の回転方向K前方を向く上面と一側面を当接するとともに、微調整ねじ30の頭部30aに当接するように載置され、上記チップ20の上記回転方向K後方側に設けられた楔21によって楔着される。そして、バランス調整機構100においては、固定部材12が栓部材10に螺着した状態で前記栓部材10が穴部2のねじ溝2aに螺合し、前記穴部2の開口部を閉塞する。そして、図示しない動的釣合装置によって該正面フライス1の回転バランスの検査が行われ、アンバランスな穴部2の位置と量とが検出される。その検出結果に基づいて、アンバランスな位置の穴部2に螺合する栓部材10に、所定の位置に所定の重量の充填部材11が固定部材12によって固着され、その栓部材10は前記穴部2のねじ溝2aに螺合する。さらに、上記の検査が繰り返し行われ、充填部材11の数を増減させたり、充填部材11の位置と重量を変化させたりしながらバランス調整がなされる。
【0017】
上記バランス調整終了後に、工具本体1a中央部に軸線O方向に貫通する取付穴1dに図示しない工作機械の主軸又はアーバの軸部等が嵌着されるとともに、上記工具本体1aの後端部端面に形成される基部端面1eに上記工作機械の主軸端面又は上記アーバ端面が密着され、該正面フライス1は、上記主軸の回転作用により回転駆動され、且つ、上記軸線Oと直交する方向に送りを与えられる。そして、各チップ20に形成された切れ刃20a、20bにより図示しない被削材が切削されるとともに、切りくずが切りくずポケット3を介して外部に排出される。
【0018】
該正面フライス1による切削加工が継続されるにつれ、チップ20の切れ刃20a、20bに損耗が進行していく。従って、損耗したチップ20を再研磨した後、又は、未使用コーナに交換後、又は、新しいチップ20に交換後、切れ刃20a、20bは工具本体1aに対して所定の突出量に微調整される。この微調整に際し、上記チップ20の基部端面側に設けられた微調整ねじ30が螺回し、軸線方向O先端側に進出するとともに、前記微調整ねじ30の頭部30aは、上記チップ20の基部端面側を向く側面20cを介して、上記チップをチップ座4bに沿って押動する。そして、上記工具本体1aに対し、切れ刃20aと切れ刃20bは、それぞれ該正面フライス1の径方向と軸線O方向に所定の位置まで突出される。上述したチップ20の再研削、コーナの交換、チップ20自体の交換においては、上記チップ20の重量が変化してしまい、正面フライス1全体のバランスが崩れる場合がある。そこで、本実施例では、重量が変化したチップ20の位置に対応する穴部2内に収容される充填部材11の数を増減したり、異なる重量のものに交換したりすることにより、該正面フライス1全体のバランスを微妙に調整することができるという効果が得られる。
【0019】
バランス調整を高精度に行うためには、該正面フライス1の径方向における充填部材11を所定の位置に正確に装着することが重要である。その点において、この実施形態の正面フライス1は、栓部材10に固定する充填部材の順列を所望の順列通りに装着することができるので、該正面フライス1全体のバランス調整を高精度に遂行することができる。さらに、充填部材11の数を増減したり、所望の順列に装着するにあたっては、固定部材12を回転させ前記栓部材10から脱着するだけで充填部材11の装着が可能となり、前記充填部材11を前記栓部材10に装着後、前記栓部材10を工具本体1aの穴部2に螺着するだけでバランス調整機構の装着が可能となるため、バランス調整作業が簡易且つ迅速に行われることとなる。
【0020】
さらに、充填部材11は栓部材10に固定部材12によって強固に固定され、且つ、前記栓部材10は穴部2に設けられたねじ溝2aに強固に螺合されるため、正面フライス1の回転時の遠心力による作用を受けても微動することがないので、調整されたバランス状態を確実に維持することが可能である。
【0021】
なお、バランス調整機構100において、充填部材11は図2(b)に示すように、例えばボルトのような固定部材12によって、工具本体1aに設けられた穴部2に固定される形式であってもよく、そのときに得られる効果は上述した効果と同一である。
【0022】
次に、第2の実施形態を図4乃至図6に示す。その基本的な構成は図1乃至図3に示したものと同じであるので、共通する部分には同一の符号を配して説明を簡略化する。この実施形態の正面フライス1は、外周部にバランス調整機構100を設置するスペースが無い場合等に好ましいものであり、図5および図6に示すように工具本体1aの先端面1cから基部端面1eに向かって所定の深さまで形成される複数の穴部2と、各穴部2の開口部側を閉塞する栓部材10と、前記栓部材10に増減自在にねじ等の固定部材12によって固着される複数の充填部材11と、からなるバランス調整機構100を備えている。また、前記調整機構100は図4に示すようにチップ20の間に略等間隔ピッチにほぼ同一円周上に配列されている。このバランス調整機構100の動作については、上述した第1の実施形態の正面フライス1と略同一であり、まず、所定のチップ20が固着された状態で、工具本体1aの穴部2は、前記固定部材12が螺着された栓部材10が前記穴部2のねじ溝2aに螺合して開口部を閉塞される。そして、図示しない動的釣合装置によって正面フライス1の回転バランスの検査が行われ、アンバランスな穴部2の位置と量とが検出される。その検出結果に基づいて、アンバランスな位置の穴部2に螺合された栓部材10に充填部材11が所定位置に所定重量だけ装着され固定部材12によって固着され、その栓部材10は前記穴部2のねじ溝2aに螺合される。さらに、上記の検査が繰り返し行われ、充填部材11の数を増減させたり、充填部材11の位置と重量を変化させたりしながらバランス調整がなされる。そして、この実施形態の正面フライス1のバランス調整においても、上述した第1の実施形態の正面フライス1と同一の効果が得られる。
【0023】
次に、第3の実施形態を図7乃至図9に示す。この実施形態は本発明に係るバランス調整機構をラインボーリングバーに適用したものである。図7に示すようにこのラインボーリングバー40は、略円柱軸状の工具本体1aの外周に、粗加工用の切れ刃部と仕上げ加工用の切れ刃部が該工具本体1aの軸線O方向に並ぶように設けられており、このうち仕上げ加工用の切れ刃部としては、工具本体1aに埋設される本体60と、この本体60から突出させられて先端に仕上げ切れ刃20cが設けられた頭部61と、この頭部61と本体60との間に介装されて仕上げ切れ刃20cの該工具本体に対する径方向突出量の微調整を行う調整ナット62とを備えている。これらの仕上げ切れ刃20cは、粗加工切れ刃20dに対して、その工具本体1a外周側へ突出されるとともに、適宜外径寸法に調整可能とされていて、このような工具本体1aを、被削材を貫通するように形成された下穴に、挿入してその先端を図示しない軸受によって支持するとともに、後端部に形成されたフランジ部8の端面8aと前記端面8から突出する軸部8bを工作機械に取り付けて該工具本体1aを回転させつつ上記軸線O方向に送り出すことにより、前記粗加工切れ刃20dが上記下穴を粗加工した後、前記仕上げ切れ刃20cが所定の内径寸法に仕上げてゆく。
【0024】
第1および第2の実施形態の正面フライス1がその軸線Oと直交する1平面上でバランス調整が行われる、いわゆる1面修正であるのに対し、このラインボーリングバー40は、フランジ部8と先端部の2平面上でバランス修正を行う、いわゆる2面修正である。該ボーリングバー40のように工具外径に対して長手寸法が大きい場合には、1面修正では偶アンバランス(俗に言うスリコギ運動)が発生する場合があり、これを防止するバランス修正方法として、上記2面修正は非常に有効な方法である。
【0025】
上述した2面修正の方法について以下に説明する。図7および図9に示すように、該ボーリングバー40の先端面1cから軸線O方向に沿って所定の深さまで形成される複数の穴部2が同一円周上に形成され、前記穴部2の開口部側を閉塞する栓部材10と、前記栓部材10に増減自在にボルト等の固定部材12によって固着される複数の充填部材11と、からなるバランス調整機構100が備えられている。一方、図7および図8に示すように基部側のフランジ部8には、外周面1bから軸中心Pに向かって所定の深さまで形成される複数の穴部2が略等角度間隔で形成される。そして、バランス調整機構100は、各穴部2の開口部側を閉塞する栓部材10と、前記栓部材10に増減自在にボルトなどの固定部材12によって固着される複数の充填部材11と、から構成される。
【0026】
該ボーリングバー40は、バランス調整機構100が設けられた先端部又は後端部のいずれか一方の位置において、該ボーリングバー40の軸線Oと直交する平面のバランスを図示しない動的釣合装置によって検査され、前記平面におけるアンバランスな穴部2の位置と量とが検出される。その検出結果に基づいて、前記アンバランスな穴部2に、充填部材11が所定の位置に所定の重量だけ配置されるとともに、固定部材12によって栓部材10に固定され、その栓部材10は前記穴部2のねじ溝2aに螺合される。さらに、上記の検査が繰り返し行われ、充填部材11の数を増減させたり、充填部材11の位置と重量を変化させたりしながらバランス調整がなされる。引き続き、他方のバランス調整機構100が設けられた位置において、上記軸線Oと直交する平面のバランスが検査され、前記平面のバランス調整は、前述した一方の位置におけるバランス調整の手順と同様に行われる。以上の2面修正によって、バランス調整が行われる結果偶アンバランスが解消され、長尺の工具に特有の、俗に言うスリコギ運動を防止することができる。
【0027】
この実施形態のラインボーリングバー40は、上述した第1および第2の実施形態と同様のバランス調整機構100を備えているので、その効果も同様で、バランス調整を高精度に遂行することができ、その高い精度のバランスを確実に維持できるというものであり、さらに、バランス調整作業が簡易であるとともに迅速に行うことができるというものである。そのうえ、2面修正により偶アンバランス(俗に言うスリコギ運動)が防止できるという効果がある。
【0028】
【発明の効果】
本発明の回転工具は、中心軸線周りに回転する工具本体を有し、前記工具本体の外周面および/または先端面から突出する切れ刃が少なくとも1つ設けられた回転工具において、前記工具本体の外周部および/または先端部に穴部が少なくとも1つ設けられ、前記外周部に設けられる穴部は外周面から軸中心に向かって所定の深さに形成され、前記先端部に設けられる穴部は先端面から基部側に向かって所定の深さに形成され、前記穴部の開口部を閉塞する栓部材が備えられ、前記穴部内部に少なくとも1つの充填部材が着脱自在に配置固定されることを特徴とするバランス調整機構を備えた回転工具である。上記回転工具によれば、動的釣合装置による検出結果に基づいてアンバランスな穴部に対して的確な位置に、且つ、的確な重量の充填部材を配置することができるとともに、前記充填部材の配置が変化することもないので、該回転工具のバランス調整の精度が高く、その高い精度が確実に維持される。さらに、前記充填部材は、異なる重量に適宜設定することができ、それを配置する位置も適宜設定することができるので、微妙なバランス調整が可能となり、バランス調整の精度が極めて良好となる。バランス調整作業に際して、前記充填部材を前記栓部材又は工具本体に螺着する固定部材を回転するだけで、前記充填部材の着脱を行うことができ、その後、栓部材10を前記穴部に螺着するだけでバランス調整機構の装着が完了するため、バランス調整作業が簡易且つ迅速に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る正面フライスの一実施形態の一部分解斜視図である。
【図2】(a)図1に示す正面フライスの正面視の断面図である。
(b)図1に示す正面フライスの変形例の正面視の一部分解断面図である。
【図3】図2(a)に示す正面フライスのX−X断面図であり、バランス調整機構の構成を示す図である。
【図4】本発明に係る正面フライスの別の実施形態の一部分解斜視図である。
【図5】図4に示す正面フライスの正面視の断面図である。
【図6】図4に示す正面フライスの正面視の一部分解断面図である。
【図7】本発明に係るラインボーリングバーの一部分解正面図である。
【図8】図7に示すラインボーリングバーのY−Y断面図である。
【図9】図7に示すラインボーリングバーのZ矢視図である。
【図10】従来のバランス調整機構を備えた正面フライスの一部分解斜視図である。
【図11】図10に示す正面フライスの正面視の断面図を示す。
【符号の説明】
1 正面フライス
1a 工具本体
1b 外周面
1c 先端面
1d 取付穴
1e 基部端面
1f ザグリ穴
2 穴部
2a ねじ穴
3 切りくずポケット
4a、4b チップ座
5 楔取付溝
6 粗加工用切れ刃部取付穴
7 仕上げ加工用切れ刃部取付穴
8 フランジ部
10 栓部材
11 充填部材
12 固定部材
20 チップ
20a、20b 切れ刃
20c 仕上げ切れ刃
20d 粗加工切れ刃
21 楔
22 楔取付ねじ
40 ラインボーリングバー
50 粗加工用切れ刃部の本体
51 粗加工用切れ刃部固定部材
60 仕上げ加工用切れ刃部の本体
61 仕上げ加工用切れ刃部の頭部
62 仕上げ加工用切れ刃部微調整ナット
70 キー
71 キー固定部材

Claims (4)

  1. 中心軸線周りに回転する工具本体を有し、前記工具本体の外周面および/または先端面から突出する切れ刃が少なくとも1つ設けられた回転工具において、前記工具本体の外周部および/または先端部に穴部が少なくとも1つ設けられ、前記外周部に設けられる穴部は外周面から軸中心に向かって所定の深さに形成され、前記先端部に設けられる穴部は先端面から基部側に向かって所定の深さに形成され、前記穴部には、その開口部を閉塞する栓部材が備えられ、前記穴部内部に少なくとも1つの充填部材が着脱自在に配置固定されることを特徴とするバランス調整機構を備えた回転工具。
  2. 前記充填部材は、固定部材によって前記栓部材に着脱自在に配置固定されることを特徴とする請求項1に記載のバランス調整機構を備えた回転工具。
  3. 前記充填部材は、固定部材によって前記工具本体に着脱自在に配置固定されることを特徴とする請求項1に記載のバランス調整機構を備えた回転工具。
  4. 前記充填部材は、円盤状又は円柱状又は多角形平板状又は多角形柱状をなすとともに中央部に貫通穴を備え、少なくとも2種類の異なる重量に設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のバランス調整機構を備えた回転工具。
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