JP3491717B2 - 無機充填有機高分子複合材及びその製造方法 - Google Patents

無機充填有機高分子複合材及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は無機充填有機高分子
複合材及びその製造方法に関する。
【0002】有機高分子に無機充填材を配合した無機充
填有機高分子複合材は、建材、人造大理石等の用途に適
用され、無機充填材の配合により、高分子材料に強度・
破壊じん性・耐熱性等の性質を向上することができるこ
とから近年注目を浴びている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
無機充填有機高分子複合材は、強化材として配合される
充填材成分と、マトリクスである有機高分子成分との親
和性が未だ充分とは言えず、また充填材成分の配合量を
増加すると充填材成分同士の凝集という問題も生じる等
の理由のため、充填材成分の配合量には限界があり、充
分に強度が上がらなかった。このためシランカップラー
(一般にはRSiX3 :Xは加水分解性基、Rは官能
基)等でコーティング処理して粉体表面を改質し、これ
を充填材として使用し、有機高分子と混合して使用する
ことも試みられているが、なお充填材と有機高分子との
結合力または親和力は充分とは言いがたく、強度、耐水
性、耐久性が不充分で問題となる場合がある。このた
め、更に強度等の向上した無機充填有機高分子複合材の
開発が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決すべく鋭意検討を行ったところ、特定コーティ
ングを施した無機充填材は、マトリクスとの親和性が良
いこと、また無機充填材同士の凝集が防げること、更に
は有機高分子と配合して複合材とした際に強度等が著し
く向上することを見いだし、本発明に達した。
【0005】すなわち、本発明は、 (1)有機高分子に無機充填材を配合してなる無機充填
有機高分子複合材であって、無機充填材の少なくとも一
部として、慣性半径が10オングストローム以下の微小
粒子を形成しているテトラアルコキシシランの加水分解
物と、この加水分解物の有する2以上のヒドロキシル基
と縮合反応しうる2以上の官能基を有する有機化合物と
を含む液状物でコーティング処理した無機材料が用いら
れていることを特徴とする無機充填有機高分子複合材、
及び (2)慣性半径が10オングストローム以下の微小粒子
を形成しているテトラアルコキシシランの加水分解物
と、この加水分解物の有する2以上のヒドロキシル基と
縮合反応しうる2以上の官能基を有する有機化合物とを
含む液状物でコーティングした無機粉体を、無機充填材
の少なくとも一部として有機高分子に配合し成形するこ
とを特徴とする無機充填有機高分子複合材成形物の製造
方法に存する。以下、本発明を詳細に説明する。
【発明の実施の形態】まず、本発明における無機充填有
機高分子複合材とは、有機高分子と、無機充填材とを配
合したものであれば特に限定されるものではなく、例え
ば無機充填材として無機繊維を含有する繊維強化樹脂、
充填材として無機粉体を配合してなる人工大理石等、各
種建材等のバルクモールディングコンパウンド(BM
C)、電線等の被覆材、耐熱性、導電性等各種の機能を
付与した強化樹脂、プラマグ等の樹脂材料等をも含む。
【0006】本発明の無機充填有機高分子複合材で用い
られる有機高分子としては、一般に無機充填有機高分子
複合材に用いることができる有機高分子であれば特に限
定されず、無機充填有機高分子複合材の用途、以下に説
明する充填材の種類等により、適宜選択すればよい。具
体的には、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン、フ
ェノール樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、エ
ポキシ樹脂、ポリウレタン、ジアリルフタレート樹脂、
けい素樹脂(シリコン樹脂)等の熱硬化性樹脂、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセター
ル、飽和ポリエステル、ふっ素樹脂、塩化ビニル樹脂、
ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、サ
ルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド、変性PP
E、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等の、
結晶性もしくは非結晶性プラスチックあるいは高機能樹
脂等の熱可塑性樹脂を、用途に応じて用いることができ
る。
【0007】本発明で用いる無機充填材は、原料無機材
料を、後述する特定の液状物でコーティングしたものを
含有することを特徴とする。ここで原料無機材料として
は特に限定されず、炭酸カルシウム、グラファイト、カ
ーボンブラック、ボロン、酸化チタン、酸化鉄等の磁性
粉、金属粉、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、
珪酸カルシウム、酸化チタン、合成あるいは天然シリカ
等の無機材料を用いることができる。その形状は特に限
定はされない。粒状、繊維状、不定形状、その他の形状
の、無機粉体あるいは無機繊維等をいずれも好適に用い
ることができる。無機充填有機高分子複合材の用途に応
じて適宜選択することができる。充填材の大きさも、特
に限定されるものではなく、一般に充填材として使用さ
れる程度のものを用いればよい。具体的には、球状であ
れば直径0.1〜1000μm、繊維状であれば長さ5
mm程度以下のものが、マトリクスへの分散性の点から
特に好適に用いられる。
【0008】本発明では、この無機充填材のうち、少な
くとも一部を、特定のコーティングをしたものとする。
ここで、コーティングを施したものの割合は多いほどマ
トリクスとの親和性等の特性が向上するので望ましい
が、材料、用途等にもよるが少なくとも無機充填材のう
ち2〜3割(重量比)は本発明のコーティングを施した
ものとすれば実用的な程度に本発明の効果が発揮され
る。この、コーティングを、以下に説明する。
【0009】これら原料無機材料をコーティングするた
めの液状物は、以下のものである。この液状物は、テト
ラアルコキシシランの加水分解物と該加水分解物の有す
る2以上のヒドロキシル基と縮合反応しうる2以上の官
能基を有する有機化合物とを配合してなる液状物であ
る。テトラアルコキシシランの加水分解物としては、2
以上のヒドロキシル基を有するものである。
【0010】本発明におけるテトラアルコキシシランと
は、通常、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラプロポキシシランなどのテトラアルコキシシ
ラン類のモノマー、及び/又は、これらの部分加水分解
縮合物であるオリゴマーが用いられる。これらのアルコ
キシシラン類のうち、加水分解性が高く水溶媒中で可溶
化が容易であることと、原料無機材料をコーティングし
た場合の皮膜特性として、アルコキシ基の反応性が高く
残アルコキシ基量が少なく膜硬度が高いこと及び原料無
機材料との密着性が良いこと、及びコーティングした無
機材料を有機高分子と配合した際の強度、破壊じん性等
の特性が特に優れるなどの理由から、テトラメトキシシ
ランのモノマー及び/又は、その部分加水分解縮合物で
あるオリゴマーを用いるのが好ましい。
【0011】アルコキシシランの部分加水分解縮合反応
によりオリゴマーを得るには、公知の方法によることが
でき、たとえば、テトラメトキシシランの場合、モノマ
ーに所定量の水を加えて必要に応じ酸触媒等の存在下
に、副生するメタノールを留去しながら通常、室温程度
〜100℃で反応させる。この反応によりテトラメトキ
シシランのモノマーは加水分解し、さらに縮合反応によ
り液状のオリゴマー(通常重合度2〜8程度、大部分は
3〜7のものの混合物、以下「テトラメトキシシラン・
オリゴマー」という)が部分加水分解縮合物として得ら
れる。加水分解の程度は、使用する水の量により適宜調
節することができ、テトラアルコキシシランの全ての加
水分解縮合可能な基を加水分解縮合するのに必要な理論
水量、すなわちアルコキシ基のモル数の1/2のモル数
の水、に対する実際の添加水量の百分率で表す。本発明
においては通常20〜80%程度、好適には30〜60
%程度から選ばれる。20%以下ではモノマー残存率が
高く生産性が低い。また80%以上では得られるコーテ
ィング剤がゲル化しやすい。
【0012】こうして得られたテトラメトキシシラン・
オリゴマーにはモノマーが通常2〜10%程度含有され
ている。このモノマーが含有されているとオリゴマーの
貯蔵安定性が欠けることがあるため、モノマー含有量が
1重量%以下、好ましくは0.3重量%以下になるよう
に、モノマーを除去するとよい。このモノマー除去は、
フラッシュ蒸留、真空蒸留、又はイナートガス吹込み等
により行うことができる。
【0013】本発明においては、上記のテトラアルコキ
シシランを加水分解して2以上のヒドロキシ基を有する
加水分解物とし、この加水分解物の有する2以上のヒド
ロキシル基と反応しうる2以上の官能基を有する有機化
合物と配合してなる液状物をコーティング剤として用
い、上記原料無機材料をコーティング処理する。ここ
で、コーティング剤を得るに際しては、例えば以下の本
発明の製造方法を採ることができる。すなわち上記のテ
トラアルコキシシランに、水及びアルコキシシランを加
水分解して得られる2以上のヒドロキシル基と縮合反応
しうる2以上の官能基を有する有機化合物を添加する。
添加する水の量は、適宜選択することができるが、予め
テトラアルコキシシランを理論上100%加水分解縮合
可能な量(以下、「加水分解100%当量」という)以
上の水を添加して加水分解を充分に進行させると密着性
のよいコーティングを得ることができる。加水分解率の
定義は、上述したものと同様であり、オリゴマーを用い
る場合も残存するアルコキシ基のモル数の1/2のモル
数の水を指す。この際添加する水の量は、適宜選択する
ことができるが、予め加水分解100%当量の1〜2
倍、好ましくは1〜1.5倍、更に好ましくは1〜1.
2倍程度が、密着性のよいコーティングを得ることから
望ましい。この際に有機酸、無機酸を加えpHを好まし
くは3以下とし反応液のゲル化、白濁化を抑えるのが好
ましい。またこの際水以外の溶媒を存在させることがで
き、用いられる溶媒としては、アルコール類、あるいは
グリコール誘導体、炭化水素類、エステル類、ケトン
類、エーテル類を1種、または2種以上混合し使用する
とよい。
【0014】アルコール類としては具体的にはメタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコール、nブタノー
ル、イソブタノール、オクタノール等が挙げられ、グリ
コール誘導体としてはエチレングリコール、エチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ
エチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピル
エーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル
等が挙げられる。
【0015】炭化水素類としてはベンゼン、ケロシン、
トルエン、キシレン等が使用でき、エステル類として、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチ
ル、アセト酢酸エチル等が使用できる。アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルア
セトン等のケトン類、エチルエーテル、ブチルエーテ
ル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジオキサ
ン、フラン、テトラヒドロフラン等のエーテル類が使用
できる。これらの溶媒はいずれも用いることができる
が、取扱い容易、液の保存安定性等の点からアルコール
が好ましい。なかでもメタノール又はエタノールを用い
ることにより、極めて高硬度かつ密着性に優れたコーテ
ィング皮膜を無機材料表面に形成することができる。
【0016】テトラアルコキシシランに対する溶媒の配
合量は、テトラアルコキシシラン100重量部に対して
好ましくは50〜2000重量部、より好ましくは10
0〜1000重量部である。50重量部未満では得られ
るコーティング剤の保存安定が悪くゲル化しやすいこと
と、無機充填材との均一混合が困難となる等の問題を生
ずることがある。また、2000重量部を越えると無機
材料表面のコーティング皮膜が極端に薄くなるか、ある
いはコーティング皮膜がほとんど形成できないことがあ
る。
【0017】本発明では更に必要に応じて硬化触媒を添
加することができる。触媒としては、例えば、塩酸、硝
酸、硫酸、リン酸などの無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオ
ン酸、パラトルエンスルホン酸、安息香酸、フタル酸、
マレイン酸などの有機酸、水酸化カリウム、水酸化ナト
リウム、水酸化カルシウム、アンモニア等のアルカリ触
媒、有機金属、金属アルコキシド、例えばジブチルスズ
ジラウリレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチ
ルスズジアセテート等の有機スズ化合物、アルミニウム
トリス(アセチルアセトネート)、チタニウムテトラキ
ス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(ブトキ
シ)ビス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス
(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)、ジ
ルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジル
コニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネー
ト)及びジルコニウムビス(イソプロポキシ)ビス(ア
セチルアセトネート)等の金属キレート化合物、ホウ素
ブトキシド、ホウ酸等のホウ素化合物等があるが、得ら
れるコーティング剤の貯蔵安定性、及び得られるコーテ
ィング膜の硬度等の膜特性が優れている点からは、マレ
イン酸等の有機酸およびアルミニウムトリス(アセチル
アセトネート)等の金属キレート化合物、金属アルコキ
シド、ホウ素化合物のうち1種又は2種以上を用いるの
がよい。
【0018】これら触媒成分の添加量は、触媒としての
機能を発揮し得る量であれば特に制限されるものではな
いが、通常、テトラアルコキシシラン100重量部に対
し、0.1〜10重量部程度の範囲から選択され、好ま
しくは0.5〜5重量部である。これらの成分の配合方
法は、特に制限されず、例えば触媒成分を予め水に溶解
させたものを用いたり、テトラアルコキシシランと水及
び/又は水以外の溶媒を混合、撹拌しながら配合する等
の手段により一層均一な配合物とすることもできる。
尚、水その他溶媒により分解されやすい触媒を用いる場
合は、これをテトラアルコキシシランと配合しておき、
水及び/又は水以外の溶媒と、使用に際して配合するこ
とが好ましい。
【0019】これらの成分を配合して得られる配合液
を、予め熟成させてから、後述する有機化合物を添加す
るのが好ましい。かかる熟成工程を経ることにより、テ
トラアルコキシシランの加水分解、縮合による部分架橋
反応が充分に進み、後述する微小粒子が形成されるた
め、得られるコーティング膜の特性が優れたものとなる
ことが考えられる。配合液の熟成は、その液を放置すれ
ばよいが、撹拌してもよい。放置する時間は、上述の部
分架橋反応が所望の膜特性を得るのに充分な程度進行す
るのに充分な時間であり、用いる溶媒の種類及び触媒の
種類にもよる。例えば溶媒として有機溶媒を用いた場合
は、塩酸では室温で約1時間以上、マレイン酸では数時
間以上、好ましくは8時間〜2日間程度で充分である。
【0020】 熟成を充分に行なうことにより、原料無
機材料との密着性に優れたコーティング皮膜を得ること
ができる。このように熟成を経た本発明の配合液(以
下、「熟成物」という)中には、テトラアルコキシシラ
ンの加水分解物による慣性半径が10Å以下の微小粒子
が形成されており、例えば小角X線散乱等の手段により
容易に確認することができる。すなわち、微小粒子の存
在により、入射X線の回折強度分布が、入射線方向に中
心散乱と呼ばれる散漫な散乱、すなわち小角X線散乱を
示す。散乱強度Iは、次のGuinierの式により与
えられる。
【0021】 I=Cexp(−H2Rg2/3)(I:
散乱強度、H:散乱ベクトル(=2πsin2θ/
λ)、Rg:微小粒子の慣性半径、C:Const、
λ:入射X線波長、2θ:ひろがり角) 上記のGuinierの式の両辺の常用対数を採ると、
logI=logC−(H2Rg2/3)となり、従っ
て、微小粒子が存在する場合、散乱強度を測定し、散乱
ベクトルに対する両多数グラフをプロットし、傾きを
めることにより、微小粒子の慣性半径を求めることがで
きる。
【0022】本発明のコーティング剤においては、テト
ラアルコキシシランの加水分解物によりこのような微小
粒子を形成させることができるため、成膜に際しては成
分間の架橋反応性が優れており、得られるコーティング
皮膜の硬度が高く、かつ原料無機充填材同士、及び配合
するマトリクスとの密着性が極めて優れたものとなる。
【0023】上述したテトラアルコキシシランの加水分
解物に、テトラアルコキシシランの加水分解物の有する
ヒドロキシル基と縮合反応し得る官能基を2以上有する
有機化合物を配合した液状物を、無機充填材のコーティ
ング剤とする。ここで、上述した本発明の熟成物中の微
小粒子は、ヒドロキシル基、アルコキシ基等の反応性官
能基を多数有するため、これらの官能基と互いに縮合可
能な基を2以上有する有機化合物を、熟成物に配合すれ
ば、得られるコーティング剤の特性を極めて優れたもの
とすることができる。
【0024】用いる有機化合物としては、得られるコー
ティング皮膜の要望特性から適合し得るものを選択すれ
ば良い。例えば、無機充填材を特定樹脂に混合分散する
ような用途の場合は、マトリクスとの親和性の良い官能
基を有する有機化合物を用いることが好ましい。このよ
うな有機化合物としては、たとえば、カルボキシル基、
ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシ基等を2以上有
するものが挙げられ(ただし、上記テトラアルコキシシ
ラン及びその加水分解物を除く)、具体的には、たとえ
【0025】(i)シランカップリング剤(一般にはR
SiX3 :Xは加水分解性基、Rは官能基) (ii)アルキルアルコキシシリコーン類 (iii)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹
脂、ウレタン樹脂等であって、上記の如き基やエポキシ
構造を有するポリマー類 (iv)1,4−ブタンジオール、グリセリン、カテコー
ル、レゾルシン等の多価アルコール、 等が挙げられる。より具体的には、たとえば(i)のシ
ランカップリング剤としては、
【0026】
【化1】 等のメチルアクリレート系、
【0027】
【化2】 等のエポキシ系、
【0028】
【化3】 等のアミノ系、
【0029】
【化4】 等のビニル系、
【0030】
【化5】HS−C3 6Si(OCH3 3 HS−C
3 6Si(OC2 5 3 、HS−C3 6Si(OC
2 4 OCH3 3 、等のメルカプト系、等が挙げられ
る。
【0031】これらはいずれも好適に用いることがで
き、コーティングを施す無機材料及び配合する有機高分
子の種類により適宜選択することも可能である。
【0032】また、(ii)のアルキルアルコキシシリコ
ーン類としては、
【0033】
【化6】 等が挙げられる。
【0034】さらに、(iii)のポリマー類としては、た
とえば、次のようなものが挙げられる。 アクリル樹脂 (a)
【0035】
【化7】
【0036】(b)上記(a)構造にγMTS(γ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン)を付加した
もの
【0037】
【化8】 エポキシ樹脂
【0038】
【化9】 ポリエステル樹脂
【0039】
【化10】 ポリウレタン樹脂
【0040】
【化11】
【0041】これらは本発明で用いることのできる有機
化合物の例示であり、本発明で用いることのできる有機
化合物はこれらに限られるものではなく、上述したよう
に、上述のテトラアルコキシシランの加水分解物と縮合
反応し得る官能基を2以上有するものであれば、何れも
用いることができる。また、上記の有機化合物は、目的
に応じて2種以上を併用することもできる。例えば、エ
ポキシ樹脂とエポキシ系シランカップラー、アクリル樹
脂とアクリル系シランカップラー、ポリエステル樹脂と
エポキシ系シランカップラー等、樹脂成分とシランカッ
プラーとを併用することにより、原料無機材料との密着
性が向上し、また樹脂成分とテトラメトキシシランとの
相溶性が更に向上し得られるコーティング膜の特性が更
に優れたものとなる等、目的に応じ適宜選択することが
できる。尚、併用に際しては、2種以上を予め配合して
も、各々を熟成物に添加してもよい。また、必要な場合
は適宜これらを水その他の溶媒で希釈してもよい。
【0042】これら有機化合物の添加量は、固形分とし
て、通常、テトラアルコキシシランの加水分解物100
重量部に対し、1〜300重量部、好ましくは4〜15
0重量部の範囲である。膜中SiO2濃度が94〜5%、好
ましくは80〜10%となる範囲で、特に優れた膜特性
及び液での貯蔵安定性が発現できる。有機化合物の量が
多すぎると、得られるコーティング膜の硬度が低くなっ
たり原料無機材料との密着性が低下する傾向にあり、ま
たコーティング剤の貯蔵安定性が低下する傾向にある。
また、有機化合物が少なすぎると、コーティング膜の可
撓性が低下し、クラック発生、剥離、マトリクスとの親
和性低下等が生じる場合がある。
【0043】尚、有機化合物としてシランカップラーを
使用する場合、これを加水分解するために水を添加す
る。この際シランカップラーと共に添加しても、或は予
めテトラアルコキシシランを加水分解するために水を添
加する際に、共に添加しておいても差支えない。これら
テトラアルコキシシランの加水分解物と有機化合物との
配合に際しては、必要に応じて、溶媒、硬化触媒等を添
加することができる。
【0044】溶媒としてはテトラアルコキシシランの加
水分解物と有機化合物の双方に相溶性を持つものが好適
であり、例えばアルコール類、あるいはグリコール誘導
体、炭化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類を
1種、または2種以上混合して使用できる。
【0045】アルコール類としては具体的にはメタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノ
ール、イソブタノール、オクタノール等が挙げられ、グ
リコール誘導体としてはエチレングリコール、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモ
ノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピ
ルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテ
ル等が挙げられる。
【0046】炭化水素類としてはベンゼン、ケロシン、
トルエン、キシレン等が使用でき、エステル類として、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチ
ル、アセト酢酸エチル等が使用できる。アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルア
セトン等のケトン類、エチルエーテル、ブチルエーテ
ル、2メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジオキサ
ン、フラン、テトラヒドロフラン等のエーテル類が使用
できる。
【0047】これらの溶媒は、用いる有機化合物の種類
や、所望の膜特性に応じて適宜選択すればよい。尚、有
機化合物の種類によっては、官能基が多く、成膜後の硬
化速度向上のために触媒を更に添加するのが望ましい場
合もあるが、一般には、テトラアルコキシシランの加水
分解物生成の際に添加した触媒で充分である。又、これ
ら溶媒及び触媒を使用する際の添加順序は特に限定され
ず、有機化合物と同時にテトラアルコキシシランの加水
分解物に添加してもよく、あるいは以下に述べる相溶状
態を達成してから添加してもよい。
【0048】テトラアルコキシシランの加水分解物と有
機化合物との配合に際しては、これらの成分を、望まし
い相溶状態とするため、有機化合物をテトラアルコキシ
シランの加水分解物に添加した後、一定時間放置する
と、一層優れた特性を有するコーティング剤となる。放
置することにより、ヒドロキシル基、アルコキシル基等
の官能基を持ったテトラアルコキシシランの加水分解物
と、これと反応し得る官能基を持った有機化合物とが、
例えば両者に相溶性を有する溶媒の存在下で、水素結合
による結合、及び部分的に反応することで相溶状態とな
ることが考えられる。これにより、得られたコーティン
グ剤で無機材料を処理すると、溶媒の蒸発とともにテト
ラアルコキシシランの加水分解物と有機化合物の官能基
相互の反応が加速されることにより、良質のコーティン
グ膜を形成する。
【0049】放置に要する時間は、用いる有機化合物の
種類にもより、これらの分子の大きさ、官能基の量、種
類等により一概にはいえないが、例えばシランカップラ
ー等比較的分子量の小さいものであれば、1時間程度で
充分であることが多く、また分子量の大きい樹脂成分等
であれば、数日放置する必要があるものもある。放置時
間が充分であれば、処理した無機材料の特性が大幅に向
上するため、コーティング剤中の各成分が相溶状態とな
っていることが確認できる。なお、ゲル化しない程度に
加熱したり、撹拌を行ったりすることにより、相溶状態
とするのに要する放置時間を短縮することができる。
【0050】無機材料のコーティング処理は、一般的な
乾式法又は湿式法で行えばよい。例えば、乾式法の場合
はヘンシェルミキサー等の混合撹拌機付きで且つ乾燥可
能な機器を用いることが好ましい。具体的には、原料無
機材料と所定量のコーティング剤を仕込み、室温で充分
無機材料表面がコーティング剤でぬれるまで撹拌する。
次に、撹拌を続けながら100〜150℃に加熱しコー
ティング剤の架橋反応を促進させ、且つ水分等の揮発成
分を蒸発させることでコーティングされた無機材料を得
ることができる。尚、所定量のコーティング剤で原料無
機材料が均一にぬれにくい場合は、所定量のコーティン
グ剤を溶剤希釈して用いてもよい。
【0051】尚、特にマトリクスとの親和性を高める場
合、原料無機材料を、上述の熟成物及び/又はこれを溶
剤希釈して得られたコーティング剤で予め被覆し、必要
に応じて乾燥等を行った後、更に、上述の反応性有機化
合物で被覆することにより、極めて優れたコーティング
された無機材料を得ることができる。コーティングの厚
さは、通常0.01〜1μm程度とするのが好ましい。
【0052】本発明の無機充填材料を用いて上述の有機
高分子成分と配合し、必要に応じて各種添加剤を使用し
てもよい。例えばガラス繊維等の強化繊維成分を配合し
強化樹脂とすることもできる。複合材料の成型法として
は、一般的に用いられる(1)ハンドレイアップ法、
(2)コールドモールディング法、(3)湿式プレス
法、(4)SMC法、(5)BMC法、(6)RRIM
法等、各種の公知技術を使用することができる。
【実施例】以下、実施例により、更に本発明を詳細に説
明する。なお部及び%は特にことわりのない限り重量部
及び重量%を示す。
【0053】実施例1 〔脱塩素水の製造〕北九州市の工業用水を、塩素滅菌
し、ポリ塩化アルミニウムを凝集沈殿剤として浮遊物を
凝集沈殿装置で分離した後、更に砂濾過器で濾過して、
工場濾過水とした。この工場濾過水を、陽イオン交換樹
脂で処理した後真空脱気し、更に陰イオン交換樹脂、次
いで陰・陽イオン交換樹脂で処理することにより0.0
5マイクロジーメンス/cm以下、pH6〜8、SiO
2濃度20マイクログラム/リットル以下、Fe 20
マイクログラム/リットル以下、Al 20マイクログ
ラム/リットル以下、Cl 20マイクログラム/リッ
トル以下の、脱気された脱塩素水を得た。
【0054】〔テトラメトキシシラン・オリゴマーの合
成〕撹拌機と還流用コンデンサー及び温度計を付けた5
00mlの四つ口丸底フラスコに、テトラメトキシシラ
ン234gとメタノール74gを加えて混合した後、
0.05%塩酸22.2gを加え、内温度65℃、2時
間加水分解縮合反応を行った。次いでコンデンサーを留
出管に取り換え、内温度が130℃になるまで昇温し、
メタノールを留出させた。このようにして部分加水分解
縮合物(以下「テトラメトキシシラン・オリゴマー」と
いう)を得た(加水分解率40%)。GPCにより重合
度2〜8のオリゴマーが確認され、標準ポリスチレン換
算による重量平均分子量は550であった。
【0055】テトラメトキシシラン・オリゴマー中のモ
ノマー量は5%であった。引き続き130℃に加熱した
フラスコにテトラメトキシシラン・オリゴマーを入れ、
気化したモノマーを不活性ガスと共に系外に排出しなが
ら、150℃まで昇温し、3時間保持した。こうしてモ
ノマーを除去した後のテトラメトキシシラン・オリゴマ
ー中のモノマー量は0.2%であった。
【0056】〔熟成物の調製〕こうして得られたテトラ
メトキシシラン・オリゴマー30.77gにエタノール
62.42gを添加し、次いでアルミニウムトリス(ア
セチルアセトネート)0.31g及び脱塩素水6.50
gを添加した。この水の添加量はテトラメトキシシラン
・オリゴマーを理論上完全に加水分解縮合する量に対し
113%である。室温で3日放置し熟成し、熟成物を得
た。
【0057】〔微小粒子の確認〕この熟成物(組成物
A、SiO2換算濃度16重量%、8.1vol%)、及び
これをエタノールで約4倍に希釈した液(組成物B、Si
O2換算濃度4.3重量%、2vol%)について、以下
の条件で、小角X線散乱による解析を行った。 測定装置:アントンパール社製 クラツキコンパクトカ
メラ X線源:50kV、200mA、Cu-Kα線をNi-filterで単
色化。 光学系条件:サンプル−受光スリット間距離=20cm
内真空path=19cm エントランス・スリット=80μm、受光スリット=20
0μm、beam length=16mm
【0058】試料セル : 石英キャピラリー(直径約
1mm、肉厚10μm) その他条件: 室温。 step scan法 操作範囲 2θ
=0.086〜8.1deg90sec/point データ補正:バックグラウンド補正は石英キャピラリー
に水を充填した時の散乱を用いて補正した。X線吸収補
正も行った。 解析ソフト:スリット補正及び逆フーリエ変換は解析ソ
フトITP−81(O.Glatter; J.Appl.Cryst., 10. 41
5-421(1977)による。)を使用した。
【0059】図‐1及び図‐2に、組成物A及び組成物
Bの、受光スリットにおける散乱X線の移動距離に対す
る、散乱強度の測定データ(バックグラウンド補正、吸
収補正済)を示す。図‐3及び図‐4に、組成物A及び
組成物Bのスリット補正後のポイントビームデータを示
す。これら図‐3及び図‐4からGuinierの式I
=C exp(−H2Rg2/3)(I:散乱強度、H:
散乱ベクトル(=2πsin2θ/λ)、Rg:慣性半
径、C:Const、 λ:Cu-Kα線波長、2θ:ひろ
がり角)に従って慣性半径の最大値を求めると、図‐5
及び図‐6に示した様に、組成物Aについては7.0Å
(球形と仮定すると実半径R=(5/3)1/2Rgよ
り、半径9.0Å)、組成物Bについては6.0Å(球
形と仮定すると半径7.7Å)であった。また、図‐3
及び図‐4を逆フーリエ変換し、半径(球形と仮定)の
分布を求めた結果を図‐7及び図‐8に示す。半径の最
大値は、各々約6Å及び7Åであった。なお、上記〔テ
トラメトキシシラン・オリゴマーの合成〕で得られたテ
トラメトキシシラン・オリゴマーについて、上記〔微小
粒子の確認〕同様の条件下に小角X線散乱による解析を
行った。図−9に散乱強度の測定データを示すが、これ
により明らかなように、微小粒子等の構造は認められな
かった。
【0060】〔コーティング剤の調製〕上記〔熟成物の
調製〕で得られた熟成物12.5gに、「ヒタロイドD
−1002」(日立化成株式会社製、アクリルポリオー
ル樹脂)7.46g、KBM−503(信越化学株式会
社製、シランカップラー)5.0g、及び水0.6gを
添加し、混合し、コーティング剤とした。
【0061】〔粉体処理〕炭酸カルシウム粉(土屋カオ
リン〓製、品番「エスカレン#200」)1000g
を、上記のコーティング剤25.1gとともにヘンシェ
ルミキサーに仕込み撹拌しながら60分間110℃で加
熱処理し、炭酸カルシウム粉にコーティング処理を施し
た。
【0062】〔バルクモールディングコンパウンドの作
製〕上記の処理が施された炭酸カルシウム粉を充填材と
して、以下の方法で成型した。 (1) 上記の充填材360g及び滑剤としてステアリ
ン酸亜鉛(試薬)4gを、バッチ式11ニーダ(入江商
会〓製)を混練装置として用い、5分間ドライブレンド
にて混練する。 (2) 更に不飽和ポリエステル樹脂(「ポリマール6
409」(武田薬品(株)製)200g及びt−ブチル
パーベンゾエート(「パーブチルZ」、日本油脂(株)
製)2gを触媒として添加し、6分間混練して、ペース
ト状とする。 (3) こうして得られたペーストに、更にガラス繊維
(6m/mチョップトストランド、「CS6E227S
B」、日東紡績(株)製)86gを添加し、7分間混練
して、以下の条件で圧縮成型し、バルクモールディング
コンパウンド(BMC)とする。
【0063】〔成型条件〕 ・成型装置:26トン油圧プレス ・金型温度:140℃ ・成型圧力:200kg/cm2 ・成型時間:10分 ・成型品寸法:3×100×100m/m 〔成型品の物性〕表1の評価方法により評価した。結果
を表2に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】実施例2 炭酸カルシウム粉の代わりに水酸化アルミニウム粉(ア
ルコア化成(株)製、品番C−385)を用いた以外は
実施例1と同様の操作によりバルクモールディングコン
パウンドを形成した。結果を表2に示す。 比較例1、2 コーティング処理をしていない炭酸カルシウム粉及び水
酸化アルミニウム粉を用いた以外は実施例3同様の操作
を行った。結果を表2に示す。 比較例3、4 実施例1の(コーティング剤の調製)で得られたコーテ
ィング剤の代わりにシランカップラー(「KBM−10
03」、信越化学株式会社製)5.0gのみを用いた以
外は実施例1、2と同様の操作を行った。結果を表2に
示す。
【0067】
【発明の効果】本発明により、樹脂等のマトリクスとの
密着性、無機粉体同士の密着性等表面状態の優れた無機
充填材を得ることができ、これを有機高分子成分と配合
してFRP、人造大理石等の種々の無機充填有機高分子
複合材とした際のマトリクスへの分散性、配合性及び密
着性に優れるため、強度等の特性を大幅に向上すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 組成物Aの散乱強度の測定データ
【図2】 組成物Bの散乱強度の測定データ
【図3】 組成物Aのスリット補正後のポイントビーム
データ
【図4】 組成物Bのスリット補正後のポイントビーム
データ
【図5】 組成物A中の微小粒子の慣性半径の分布
【図6】 組成物B中の微小粒子の慣性半径の分布
【図7】 組成物A中の微小粒子の球仮定半径の分布
【図8】 組成物Bの微小粒子の球仮定半径の分布
【図9】 実施例1(テトラメトキシシラン・オリゴマ
ーの合成)で得られたテトラメトキシシラン・オリゴマ
ーの散乱強度の測定データ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 穂積 北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三 菱化学株式会社黒崎開発研究所内 (72)発明者 松添 信行 東京都千代田区丸の内2丁目5番2号 三菱化学株式会社新規事業開発室内 (56)参考文献 特開 平7−2555(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/20 C08L 1/00 - 101/16

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機高分子に無機充填材を配合してなる
    無機充填有機高分子複合材であって、無機充填材の少な
    くとも一部として、慣性半径が10オングストローム以
    下の微小粒子を形成しているテトラアルコキシシランの
    加水分解物と、この加水分解物の有する2以上のヒドロ
    キシル基と縮合反応しうる2以上の官能基を有する有機
    化合物とを含む液状物でコーティング処理した無機材料
    が用いられていることを特徴とする無機充填有機高分子
    複合材。
  2. 【請求項2】 テトラアルコキシシランがテトラメトキ
    シシランであることを特徴とする請求項1記載の無機充
    填有機高分子複合材。
  3. 【請求項3】 有機化合物がシランカップラーであるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の無機充填有機高分
    子複合材。
  4. 【請求項4】 慣性半径が10オングストローム以下の
    微小粒子を形成しているテトラアルコキシシランの加水
    分解物と、この加水分解物の有する2以上のヒドロキシ
    ル基と縮合反応しうる2以上の官能基を有する有機化合
    物とを含む液状物でコーティングした無機粉体を無機充
    填材の少なくとも一部として有機高分子に配合し成形す
    ることを特徴とする無機充填有機高分子複合材成形物の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 テトラアルコキシシランの加水分解物
    が、テトラアルコキシシランを加水分解してオリゴマー
    を生成させ、次いでモノマー含有量が1重量%以下とな
    るようにオリゴマーからモノマーを除去する過程を経て
    製造されたものであることを特徴とする請求項4記載の
    無機充填有機高分子複合材成形物の製造方法。
  6. 【請求項6】 無機粉体のコーティングに用いる液状物
    が、テトラアルコキシシランを加水分解してオリゴマー
    を生成させたのち熟成する過程を経たものに有機化合物
    を配合して製造されたものであることを特徴とする請求
    項4又は5記載の無機充填有機高分子複合材成形物の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 テトラアルコキシシランがテトラメトキ
    シシランであることを特徴とする請求項4ないし6のい
    ずれかに記載の無機充填有機高分子複合材成形物の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 有機化合物がシランカップラーであるこ
    とを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の無
    機充填有機高分子複合材成形物の製造方法。
  9. 【請求項9】 無機粉体のコーティングに用いる液状物
    が水以外の溶媒を含んでいることを特徴とする請求項4
    ないし8のいずれかに記載の無機充填有機高分子複合材
    成形物の製造方法。
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