JP3491371B2 - 下方注入式多段型オゾン接触槽とその制御方法 - Google Patents

下方注入式多段型オゾン接触槽とその制御方法

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JP3491371B2 JP04800395A JP4800395A JP3491371B2 JP 3491371 B2 JP3491371 B2 JP 3491371B2 JP 04800395 A JP04800395 A JP 04800395A JP 4800395 A JP4800395 A JP 4800395A JP 3491371 B2 JP3491371 B2 JP 3491371B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は上下水道の処理方法とし
てのオゾン処理装置に適用して有用な下方注入式多段型
オゾン接触槽とその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年における都市部での水環境の悪化に
伴って河川とか湖沼の水質汚濁が進んでおり、従来の凝
集沈澱とか砂濾過処理及び塩素処理との組み合わせだけ
では、水道用原水中の色度,臭気の除去作用に限界点が
生じている現状にある。特に我国の水道水として利用さ
れる水源の約70%は、地表水と呼ばれる湖沼水,ダム
水及び河川水に依存しており、これら湖沼水とかダムに
は富栄養化に伴う生物活動が活発化することによるカビ
臭とか藻臭の発生があり、他方の河川水には各種排水に
含まれている有機物とかアンモニア性窒素が流入され、
河川の自然浄化作用によってこれらの流入物を完全に浄
化することは期待できない状況にある。
【0003】このような高度経済成長に伴う水源の水質
悪化に対処するため、前塩素処理が一般的に採用されて
いるが、前塩素処理を採用した浄水過程で発生する有機
塩素化合物であるトリハロメタン(THM)が発ガン性
を有していることが知られている。このような水源のカ
ビ臭とか藻臭の消去、及びトリハロメタン等発ガン物質
対策として、浄水の操作工程中にオゾン処理、又は該オ
ゾン処理と活性炭処理との複合処理を導入する高度浄水
システムが検討されている。
【0004】オゾンガスはそれ自身の持つ強力な酸化力
で水中に溶解している溶存性の有害物質を酸化除去する
作用があり、近時は上水のみならず下水処理にも採用さ
れている。しかしオゾン処理は塩素処理に比して約2倍
のコスト増となるため、オゾンガスの処理効果をより一
層高めることが要求され、そのため無数の微細なオゾン
ガスの気泡を作ることによって水とオゾンガスとの接触
効率を上げて、効率良くオゾンガスを水中に溶解吸収さ
せることが必須の要件となっている。
【0005】従来からオゾンガスの接触効率及び吸収効
率を上げるための手段として、散気管型オゾン反応槽と
か下方注入式オゾン反応槽(Uチューブ型オゾン反応
槽)が知られている。上記散気管型オゾン反応槽の一例
として、例えば「オゾン利用水処理技術」(宗宮 功,
公害対策技術同好会,1989年5月)には、図8に示
したように上下対向流式のオゾン反応槽の例が開示され
ている。
【0006】即ち、この例ではオゾン反応槽1の内部に
底面から立ち上がる隔壁2,2と、上面から垂下された
隔壁3,3が配設されていて、この隔壁2,3によって
気相部が分離されているとともに液相部が相互に連通さ
れた越流式の複数の反応室が構成されている。
【0007】そして各室の内方底面近傍に数十μmの微
細孔を持つセラミック等の散気管4.4が配置されてい
て、図外のオゾン発生装置から得られるオゾンガスが該
散気管4.4に送り込まれ、流入口5から流入する被処
理水とオゾンガスとが矢印A,Aに示すように対向流と
して接触することによって該オゾンガスの接触効率が高
められ、オゾン処理水10として流出する。
【0008】他方の下方注入式オゾン反応槽(Uチュー
ブ型オゾン反応槽)は別名インジェクター型オゾン接触
槽とも呼称され、図9に示したように縦長のオゾン反応
槽1の内方に内管6が配置されていて、オゾン発生装置
7で得られるオゾンガスがガス放出管8を介して内管6
の上部から送り込まれる。そしてオゾンガス反応槽1の
側方の流入口5から流入する被処理水とオゾンガスとが
内管6内で下降流として継続的に接触して所望のオゾン
処理が行われ、そのまま内管6の外壁面に沿って上昇し
てオゾン反応槽1の上方部からオゾン処理水10として
流出する。未反応のオゾンガスは排オゾン処理装置9に
送り込まれて清浄化処理される。
【0009】上記オゾン反応槽1の縦方向の長さは20
〜30メートルと可成長くなっていて、これによって内
管6内の水圧が2.0〜2.5(kgf/cm2)のレ
ベルに保持される。
【0010】このUチューブ型オゾン反応槽は、内管6
で発生する乱流によってオゾンガスと被処理水との気液
接触効果が高められ、オゾンガスが内管6内を流下する
につれて増大する水圧によって該オゾンガスの水中への
溶解が促進されるので、散気管方式に較べてオゾン溶解
効率で5〜10%向上しており、オゾンガスと被処理水
との接触時間を約5倍以上取ることができるとともに反
応槽内での滞留時間は1/5以下に短縮することができ
るという特徴を有している。又、オゾン反応槽が縦長で
あるため、オゾン処理施設の設置スペースが散気管方式
の1/5ですむという利点を有している。
【0011】かかるオゾン反応槽を用いることにより、
塩素よりもはるかに酸化力の強力なオゾンガスによって
被処理水の異臭味とか色度除去、有害物質の酸化除去が
行われる(上記Uチューブ型オゾン処理装置に関して
は、第2回日本オゾン協会年次研究講演会講演集の第7
6頁〜第77頁,鳥山ら「Uチューブ型オゾン接触槽の
有機物除去特性」を参照)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記した
高度浄水システム等に採用されるオゾン反応槽は、被処
理水に対するオゾンガスの吸収効率を上げるための制御
方法が確立されていないため、経時的な吸収効率低下現
象が発生する惧れがある外、装置の大型化等に起因する
コストアップを招来してしまうという課題がある。
【0013】例えば図8に示した散気管型オゾン反応槽
は、処理が進むにつれて散気管4の表面にオゾンガスに
よって酸化された鉄とかマンガンが付着して、散気管4
の目詰まりに起因する経時的なオゾン吸収効率低下現象
を引き起こす惧れがあり、これに対処して散気管自体の
交換が必要になるという問題がある。更にオゾンガスに
よる反応時間を充分に取るためには、反応槽を大型化し
なければならないので、設備費等に要するコストアップ
を招来するとともに、装置を設置するための大きな敷地
面積を要することになり、都市部における浄水場のよう
に用地確保が困難な地区での採用が難しい。
【0014】他方の図9に示したUチューブ型オゾン反
応槽は、散気管型オゾン反応槽に比較してオゾン溶解効
率で5〜10%程度向上しており、且つオゾンガスと被
処理水との接触時間も5倍以上長く取ることができると
ともに反応槽内での滞留時間は1/5以下に短縮するこ
とができるという利点があるが、前記したようにオゾン
反応槽の水深が20〜30メートルと可成長くなってい
るので、散気管方式よりも施設の建設工事が複雑になる
という問題があり、更に反応槽内に貯留される堆積物の
除去とか槽内の清掃が簡便に行えない上、反応槽の底部
近傍で何等かの障害が発生しても直ちに処置することが
できないという難点を有している。
【0015】ここで別の観点からオゾンの反応過程を考
察してみると、このオゾン反応過程はオゾンの拡散が律
速する初期段階と、オゾン反応が律速する後期段階とに
大別することができる。従って気液反応接触槽もこれら
の特性を踏まえた装置であることが理想的であり、例え
ばオゾン反応の初期時には拡散効率を高めるための大き
な接触面積と強力な撹拌機構を備え、オゾン反応の後期
時には十分な反応を得るための滞留時間が確保される装
置であることが望ましい。
【0016】そこで本発明は上記に鑑みてなされたもの
であり、装置の大型化を伴わずに被処理水に対するオゾ
ンガスの吸収効率を高め、コストの低廉化がはかれる
上、経時的な吸収効率低下現象が生じない下方注入式多
段型オゾン接触槽とその制御方法を提供することを目的
とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するために、先ず請求項1により、最下段から上段に
向けて複数段に分割されているとともに被処理水が流通
可能なブロック型接触槽の重合体で構成されたオゾン接
触槽を構成し、上記オゾン接触槽に送り込まれる被処理
水の流入管の中途部に、この流入管の管径を部分的に小
径に絞ったオゾンガスインジェクター部が形成されたキ
ャピラリー散気部を設け、該流入管の先端開口部を前記
最下段のブロック型接触槽の底壁に対向する近傍位置に
まで導入した下方注入式多段型オゾン接触槽を基本とし
ている。
【0018】上記各単位毎に分割されたブロック型接触
槽の夫々の側部に、被処理水とオゾンガスとの接触時間
を変更するためのサンプリングポートを配備してある。
【0019】更に請求項3により、上記オゾン接触槽に
溶存オゾン濃度計を配備して、該溶存オゾン濃度計の計
測値と予め決定した溶存オゾン濃度設定値に基づいて、
溶存オゾン濃度コントローラによって溶存オゾン濃度を
一定に保つための液流量/オゾンガス流量の比(L/G
比)の制御出力と、前記キャピラリー散気部内のオリフ
ィスの縮小比を変更する目標値を算出して出力するよう
にした制御方法を提供する。
【0020】制御に際して上記溶存オゾン濃度コントロ
ーラによって算出されたガス流量目標値をガスフローコ
ントローラに入力し、該ガスフローコントローラは入力
されたガス流量目標値とオゾン流量計で計測された実際
の注入オゾン流量からオゾンガスの開度調整バルブの開
閉制御を行ってオゾンガスの流量を制御している。又、
上記溶存オゾン濃度コントローラによって算出された縮
小比を変えるための目標値の制御出力をバルブコントロ
ーラに入力し、このバルブコントローラによってキャピ
ラリー散気部内のオリフィスの内径縮小比を変える制御
を実施する。
【0021】
【作用】かかる請求項1記載の下方注入式多段型オゾン
接触槽によれば、オゾン処理すべき被処理水が流入管の
中途部に設けられたキャピラリー散気部のオゾンガスイ
ンジェクター部で注入されたオゾンガスとが効率良く混
合されて高溶存オゾン水となり、流入管の先端開口部か
らオゾン接触槽の最下段の接触槽に下降流として送り込
まれ、この接触槽の底壁に当たって乱流状態となってオ
ゾンガスと被処理水との接触効率が高められる。
【0022】そしてオゾンガスが混合された被処理水は
オゾン接触槽を構成するブロック型接触槽の最下段から
上段に向けて流れ、所定の滞留時間を経た後にオゾン処
理水として流出する。
【0023】上記の作用時に、被処理水に対するオゾン
反応の初期時には、下方注入方式に基づいて拡散効率を
充分に高めて反応性の高い物質の除去を行い、これによ
りオゾンガスの拡散が律速する初期段階の反応過程が促
進され、オゾン反応の後期時には複数段のブロック型接
触槽による反応と滞留時間の確保により反応性の低い物
質の除去を行い、且つオゾン反応が律速する後期段階の
反応が促進される。
【0024】制御時にはオゾン接触槽の溶存オゾン濃度
を溶存オゾン濃度計で計測し、溶存オゾン濃度コントロ
ーラは入力された溶存オゾン濃度の計測値と予め決定し
た溶存オゾン濃度設定値を比較して、両者が異なってい
た場合には溶存オゾン濃度を一定に保つために、(L/
G)比とキャピラリー散気部のオリフィスの縮小比を変
えるための目標値を算出して出力する。
【0025】上記(L/G)比を変えるためにガス流量
目標値を算出してガスフローコントローラに出力し、該
ガスフローコントローラでオゾン流量計で計測された実
際の注入オゾン流量とガス流量目標値に基づいてバルブ
の開閉制御を行ってオゾンガスの流量を制御し、液流量
/オゾンガス流量の比である(L/G)比を決定する。
更に溶存オゾン濃度コントローラで算出された前記縮小
比を変えるための目標値の制御出力をバルブコントロー
ラに入力してキャピラリー散気部内の内径縮小比を変え
る制御が行い、急激な水質の変化に伴ってオゾンガス流
量の過不足時にはキャピラリー散気部におけるオゾンガ
スインジェクター部の縮小比を変更する等の方法で対処
する。
【0026】
【実施例】以下図面に基づいて本発明にかかる下方注入
式多段型オゾン接触槽とその制御方法の一実施例を説明
する。図1に示した概略図において、11は本実施例を
適用したオゾン接触槽であって、このオゾン接触槽11
は、最下段から上段に向けて複数段に分割されていると
ともに被処理水が流通可能なブロック型の接触槽11
a,11b,11c,11dの重合体で構成されてお
り、最上段の接触槽11dに配備された処理水タンク1
2からオゾン処理水10が流出する。13は排オゾンガ
スの排出管である。
【0027】各単位毎に分割されたブロック型接触槽1
1a,11b,11c,11dの側部には、最下方から
夫々サンプリングポート14a,14b,14c,14
d,14e,14f,14gが配備されている。
【0028】15はオゾン接触槽11に送り込まれる被
処理水20の流入管であり、この流入管15の中途部に
はキャピラリー散気部16が設けられており、該流入管
15の先端開口部15aはオゾン接触槽11内の前記最
下段の接触槽11aの底壁に対向する近傍位置にまで導
入されている。尚、流入管15の一部にもサンプリング
ポート15bが配備されている。
【0029】17はオゾン発生装置、18はガス放出管
であり、このガス放出管18の先端部は上記キャピラリ
ー散気部16に臨んだ位置まで延長されている。
【0030】図2は上記キャピラリー散気部16の具体
的な構成を示す拡大図であり、図示したように被処理水
の流入管15の管径を部分的に小径に絞ったオリフィス
によりオゾンガスインジェクター部19が形成されてい
て、このオゾンガスインジェクター部19に臨んで上方
からオゾンガスの注入ノズル21が配置されている。こ
のキャピラリー散気部16はステンレス製の管が用いら
れ、オリフィスを構成するための管径の縮小比は実験的
に求められる。
【0031】上記オゾン接触槽11の縦方向の長さは約
5〜6メートルであり、従来のUチューブ型オゾン反応
槽の同部分の長さである20〜30メートルという長さ
が大幅に短縮されていて、謂わば通常の散気管型オゾン
反応槽の水深レベルと略同等であることが本実施例の構
造上の特徴ともなっている。
【0032】かかる本実施例におけるオゾン接触槽11
の運転時の操作と動作原理を以下に説明する。先ず基本
的な操作としてオゾン処理すべき被処理水20を図外の
ポンプを用いて流入管15に送り込み、同時にオゾン発
生装置17を起動することによって発生したオゾンガス
をガス放出管18と注入ノズル21を介してキャピラリ
ー散気部16に供給する。
【0033】すると図2のキャピラリー散気部16にお
ける被処理水20の流速は、流入管15の管径を部分的
に小径に絞ったオリフィスとしてのオゾンガスインジェ
クター部19で高められ(0.5〜2.0m/sec)、
圧力は低下する。同時に注入ノズル21からオゾンガス
インジェクター部19に注入されたオゾンガスと被処理
水20とが効率良く混合されて高溶存オゾン水となり、
且つ気液が接触しながら流下して流入管15の先端開口
部15aから最下段の接触槽11aに下降流として送り
込まれ、この接触槽11aの底壁に当たって乱流状態と
なって更にオゾンガスと被処理水20との接触効率が高
められる。
【0034】上記の動作時に、ポンプで送り込まれる被
処理水20の流速と圧力は、両方とも高い方が望まし
い。その理由はオゾンガス接触後のオゾンの水中への移
動を容易にするためと、キャピラリー散気部16のオリ
フィス部分で発生する圧力損失を補うためである。
【0035】このようにしてオゾンガスが混合された被
処理水20は、オゾン接触槽11を構成するブロック単
位の各接触槽11a,11b,11c,11dの最下段
から上段に向けて流れ、所定の滞留時間を経てから最上
段のブロック型接触槽11dに配備された処理水タンク
12からオゾン処理水10として流出して図外のオゾン
処理水槽に一時的に貯留されて次段の工程に備える。こ
の時には当然各サンプリングポート14a,14b,1
4c,14d,14e,14f,14gは閉止されてい
る。
【0036】又、未反応のオゾンガスは排出管13から
図外の排オゾン処理装置に送り込まれ、周知の熱分解,
触媒を用いた分解,土壌分解,薬液洗浄処理又は活性炭
処理によって無害なガスに分解されて大気中に放出され
る。即ち、オゾンガスはフッ素につぐ強力な酸化力を有
していて人体にも有害な物質であるため、排オゾン処理
装置での分解処理が不可欠である。
【0037】このようなオゾンガスと被処理水20との
接触により、脱臭,脱色,鉄マンガン,多環状化合物と
か有機物の酸化除去及び殺菌,殺藻及び異臭味の除去が
行われる。
【0038】本実施例のオゾン接触槽11は、最下段か
ら上段に向けて複数段に分割されたブロック型接触槽1
1a,11b,11c,11dの重合体で構成されてい
るため、必要に応じて単位槽としてのブロック型接触槽
の追加とか削減が自在であるという特徴を有している。
例えばオゾンガスと被処理水の接触時間を長く取りたい
場合には、同様な他のブロック型接触槽を追加重合する
ことによってオゾン接触槽としての全体的な水深を大き
くすることが可能であり、更に運転中に接触槽の一部に
不具合が生じた場合には、その接触槽のみをブロック単
位に削減するとか交換する等の処置を取ればよく、ブロ
ック型接触槽全体を交換しなくても済むという利点があ
る。
【0039】又、上記の各単位に分割されたブロック型
接触槽11a,11b,11c,11dの側部に夫々サ
ンプリングポート14a,14b,14c,14d,1
4e,14f,14gが配備されているので、任意のサ
ンプリングポートの開閉制御を実施することによって被
処理水20を流出させることが可能であり、オゾンガス
との接触時間を容易に変更することが可能である。
【0040】上記の動作時に、オゾンガスをより効果的
に被処理水20と混合接触させるためには、キャピラリ
ー散気部16におけるオゾンガス吐出口内径、外径、オ
ゾンガスインジェクター部19における小径部分の内径
長さ、流入管15の内径が重要なパラメータになる。本
実施例ではオゾンガスの吐出口内径をDmmとすると、
同外径を3Dmm、オゾンガスインジェクター部19の
小径部分の内径を5D〜13Dmm、長さを3Dmm、
流入管15の内径を13Dmmとしてある。
【0041】図3は上記実施例の実験検証から得られた
液流量/オゾンガス流量の比(L/G)とオゾンガスの
吸収効率(%)の相関図であり、図4は上記(L/G)
比を変えた場合のオゾンガスインジェクター部19の管
径の縮小比とオゾンガスの吸収効率(%)の相関図であ
る。何れもオゾン注入率Dは0.5〜2(mg/l)と
した。
【0042】図3の場合には、(L/G)比が増加する
につれてオゾン吸収効率が上昇しており、このオゾン吸
収効率はオゾン注入率にほとんど影響を受けず、一定の
注入オゾン濃度でも(L/G)比を大きくすると処理水
中の溶存オゾン濃度が増加し、逆に(L/G)比を小さ
くすると処理水中の溶存オゾン濃度は減少していること
が判明した。
【0043】又、図4の場合は、(L/G)比を最大1
4とした場合が最もオゾン吸収効率が高く、(L/G)
比を11,7,5と下げるにつれてオゾン吸収効率も低
下した。特に流入管15内の液流速が1〜4(m/s)
の範囲では、(L/G)比を大きく取って圧力損失を極
力小さくするのが良く、オゾンガスインジェクター部1
9の縮小部分における撹拌効果を最大限に発揮できる縮
小比は0.8前後であることが判明した。
【0044】このように本実施例では、被処理水20に
対するオゾン反応の初期時には、下方注入方式に基づい
て拡散効率を充分に高めるとともに、オゾン反応の後期
時には、複数段の接触槽11a,11b,11c,11
dによる滞留時間が確保されることが作用上の特徴とな
っている。又、従来の散気管方式のオゾン接触槽(図8
参照)の場合には滞留時間が15分程度必要であるのに
対して、本実施例の場合には滞留時間が5〜10分と短
縮しても問題がない。
【0045】図5は本実施例における槽内滞留時間(m
in)と溶存オゾン濃度(mg/l)の相関図であり、
オリフィス(管径の縮小部)を9mmと拡大すると流入
管15内の被処理水20の流速が減少し、圧力は増大し
てキャピラリー散気部部16で散気された微細気泡のオ
ゾンガスに高い圧力がかかる。又、被処理水の流速を増
加させると気泡に加わる剪断応力が増加してより微細な
気泡が得られ、その結果オゾンガスがより効果的に被処
理水中に移動して高溶存オゾン水が得られる。溶存オゾ
ン濃度は約1秒で注入率の8割にまで上昇することが分
かった。
【0046】図6は本実施例に基づいて浄水場の凝集沈
殿水を処理し、有機物除去に適用した結果を示してお
り、トリハロメタン生成能(THMFP)及びE260
成分の濃度比と、槽内滞留時間(min)の相関を示し
ている。図6によれば、キャピラリー散気部16でオゾ
ンガスと被処理水20とが混合接触した後、オゾンガス
は急速に反応又は溶存オゾンとなり、流入管15の先端
開口部15aから接触槽11aの底壁に達した時には反
応がほとんど終了していることが分かる。
【0047】従って本実施例にかかるオゾン接触槽11
を用いることによって処理時間の短縮がはかれ、しかも
該接触槽11自体の高さを必要以上に高くしなくても所
期の目的を達成することができる。
【0048】次に本実施例の制御の実際を説明する。一
般に溶存オゾン濃度一定制御は、溶存オゾン濃度コント
ローラで溶存オゾン濃度と溶存オゾン濃度設定値に基づ
いてPID制御により注入オゾン濃度目標値を算出する
方法で行われており、注入オゾン濃度コントローラはP
ID制御により注入オゾン濃度目標値と注入オゾン濃度
によりオゾン発生装置を駆動するための電力値を算出し
ている。そしてオゾン発生装置に対する一定送風量によ
る制御を実施して溶存オゾン濃度の制御を行っている。
【0049】図7は本実施例における制御の実際を示す
概要図である。図中の31は処理水10の溶存オゾン濃
度計、32はオゾンガスの流路に配備されたオゾン流量
計、33はガスフローコントローラ、34は溶存オゾン
濃度コントローラ、35はバルブコントローラ、17は
オゾン発生装置、36はオゾンガスの流通する開度調整
バルブである。尚、オゾン接触槽11と流入管15及び
キャピラリー散気部16等の構成は図1により説明した
通りである。
【0050】上記バルブコントローラ35は、キャピラ
リー散気部16内のオリフィス(内径縮小部)の径長を
変えるためのコントローラである。
【0051】かかる制御の実際を説明すると、オゾン接
触槽11で反応後の溶存オゾン濃度が溶存オゾン濃度計
31で計測され、計測値37が溶存オゾン濃度コントロ
ーラ34に入力される。すると溶存オゾン濃度コントロ
ーラ34は入力された溶存オゾン濃度の計測値37と予
め決定した溶存オゾン濃度設定値38を比較して、両者
が異なっていた場合には溶存オゾン濃度を一定に保つた
めに、(L/G)比とキャピラリー散気部16のオリフ
ィスの縮小比を変えるための目標値を算出して出力す
る。
【0052】具体的な制御出力は2系統であるが、先ず
(L/G)比を変えるためにガス流量目標値39を算出
してガスフローコントローラ33に出力する。ガスフロ
ーコントローラ33は入力されたガス流量目標値39と
オゾン流量計32で計測された実際の注入オゾン流量に
基づいて開度調整バルブ36の開閉制御を行ってオゾン
発生装置17から供給されるオゾンガスの流量を制御す
る。被処理水20の水量は通常一定であるため、オゾン
ガスの流量によって、液流量/オゾンガス流量の比であ
る(L/G)比を決定することが可能である。
【0053】又、溶存オゾン濃度コントローラ34で算
出された前記縮小比を変えるための目標値の制御出力4
0がバルブコントローラ35に入力され、このバルブコ
ントローラ35の出力41によってキャピラリー散気部
16内の内径縮小比を変える制御が行われる。
【0054】これを更に説明すると、急激な水質の変化
に伴ってオゾンガスの流量制御が不能となって該オゾン
ガスの流量が不足するか又は過剰になることがあり、こ
の時にはキャピラリー散気部16におけるオゾンガスイ
ンジェクター部19の縮小比を0.4〜1の範囲で変更
する。この縮小比を小さくすると、オゾンガスの吸収効
率が高くなって有機物等の処理特性が向上し、逆に縮小
比を大きくするとオゾンガスの吸収効率は低下するの
で、適宜の縮小比を選択することによってオゾンガスの
過不足に対して直ちに対処可能となる。
【0055】この縮小比の制御は、前記(L/G)比が
5〜11程度にある時に実施して特に有効であり、この
制御を実施することによってオゾン接触槽11内の特性
変化を極力抑えることが可能となり、オゾン接触槽自体
の運転性能を高めることができる。
【0056】尚、上記の制御を実施する際に、冬季等の
低水温期にはオゾンガスのキャピラリー散気部16への
流量を増加して(L/G)比を小さくし、高水温期には
上記のオゾンガス流量を減少して(L/G)比を大きく
するように制御することが好ましい。
【0057】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にか
かる下方注入式多段型オゾン接触槽とその制御方法によ
れば、被処理水を流入管の中途部に設けたキャピラリー
散気部中のオゾンガスインジェクター部で注入されたオ
ゾンガスと混合して高溶存オゾン水とした後、オゾン接
触槽の最下段の接触槽に下降流として送り込んでオゾン
ガスと被処理水との接触効率を高め、この被処理水をオ
ゾン接触槽を構成するブロック型接触槽の最下段から上
段に向けて送り込んで所定の滞留時間を経てからオゾン
処理水として流出することができる。
【0058】従って被処理水に対するオゾン反応の初期
時には、下方注入方式に基づいて拡散効率を充分に高め
て反応性の高い物質の除去を行うことができるととも
に、オゾン反応の後期時にはブロック型接触槽内での反
応と滞留時間の確保に伴って反応性の低い物質の除去を
行うことができる。
【0059】制御時にはオゾン接触槽の溶存オゾン濃度
の計測値に基づいて溶存オゾン濃度を一定に保つための
(L/G)比と、キャピラリー散気部のオリフィスの縮
小比を変えるための制御が行われ、特に急激な水質の変
化に伴ってオゾンガス流量の過不足時にはキャピラリー
散気部におけるオゾンガスインジェクター部の縮小比を
変更する等の方法で対処することができる。
【0060】本発明のオゾン接触槽は従来のUチューブ
反応槽のように20〜30メートルの長さに形成しなく
てもよいので、装置の大型化を伴わずに被処理水に対す
るオゾンガスの吸収効率を高めることができる。更にオ
ゾンガスによって酸化された鉄とかマンガンの付着によ
る目詰まり等に伴う経時的な吸収効率低下現象を防止す
ることができる。
【0061】更にUチューブ型オゾン反応槽のように施
設の建設工事が複雑になるという問題もなく、建設コス
トの低廉化がはかれるとともに、反応槽内に貯留される
堆積物の除去とか槽内の清掃を簡便に行うことが可能と
なり、しかも反応槽の底部近傍で障害が発生しても直ち
に処置することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる下方注入式多段型オゾン接触槽
の一実施例を全体的に示す概略図。
【図2】図1の要部を部分的に示す拡大図。
【図3】図1の接触槽における液流量/オゾンガス流量
の比(L/G)とオゾンガスの吸収効率の相関図。
【図4】図1の接触槽における(L/G)比を変えた場
合のキャピラリー散気部のオリフィスの縮小比とオゾン
ガスの吸収効率の相関図。
【図5】本実施例におけるオゾン注入率を一定にした場
合の溶存オゾン濃度と滞留時間の関係を示すグラフ。
【図6】本実施例におけるトリハロメタン生成能(TH
MFP)とE260成分の濃度比と槽内滞留時間の相関
図。
【図7】本実施例における制御の実際を示す概要図。
【図8】通常の散気管型オゾン反応槽の一例を示す要部
断面図。
【図9】通常のUチューブ型オゾン接触槽の構造を示す
概略図。
【符号の説明】
11…オゾン接触槽 11a,11b,11c,11d…ブロック型接触槽 12…処理水タンク 14a,14b,14c,14d,14e,14f,1
4g…サンプリングポート 15…流入管 15a…先端開口部 16…キャピラリー散気部 17…オゾン発生装置 19…オゾンガスインジェクター部 18…ガス放出管 20…被処理水 31…溶存オゾン濃度計 32…オゾン流量計 33…ガスフローコントローラ 34…溶存オゾン濃度コントローラ 35…バルブコントローラ 36…開度調整バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−23682(JP,A) 実開 平6−85096(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/78 B01F 1/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最下段から上段に向けて複数段に分割さ
    れているとともに被処理水が流通可能なブロック型接触
    槽の重合体で構成されたオゾン接触槽を構成し、上記オ
    ゾン接触槽に送り込まれる被処理水の流入管の中途部
    に、この流入管の管径を部分的に小径に絞ったオゾンガ
    スインジェクター部が形成されたキャピラリー散気部を
    設け、該流入管の先端開口部を前記最下段のブロック型
    接触槽の底壁に対向する近傍位置にまで導入したことを
    特徴とする下方注入式多段型オゾン接触槽。
  2. 【請求項2】 各単位毎に分割されたブロック型接触槽
    の夫々の側部に、被処理水とオゾンガスとの接触時間を
    変更するためのサンプリングポートを配備した請求項1
    記載の下方注入式多段型オゾン接触槽。
  3. 【請求項3】 最下段から上段に向けて複数段に分割さ
    れているとともに被処理水が流通可能なブロック型接触
    槽の重合体で構成されたオゾン接触槽を構成し、上記オ
    ゾン接触槽に送り込まれる被処理水の流入管の中途部
    に、この流入管の管径を部分的に小径に絞ったオゾンガ
    スインジェクター部が形成されたキャピラリー散気部を
    設け、該流入管の先端開口部を前記最下段のブロック型
    接触槽の底壁に対向する近傍位置にまで導入する一方、
    上記オゾン接触槽に溶存オゾン濃度計を配備して、該溶
    存オゾン濃度計の計測値と予め決定した溶存オゾン濃度
    設定値に基づいて、溶存オゾン濃度コントローラによっ
    て溶存オゾン濃度を一定に保つための液流量/オゾンガ
    ス流量の比(L/G比)の制御出力と、前記キャピラリ
    ー散気部内のオリフィスの縮小比を変更する目標値を算
    出して出力するようにした下方注入式多段型オゾン接触
    槽の制御方法。
  4. 【請求項4】 上記溶存オゾン濃度コントローラによっ
    て算出されたガス流量目標値をガスフローコントローラ
    に入力し、該ガスフローコントローラは入力されたガス
    流量目標値とオゾン流量計で計測された実際の注入オゾ
    ン流量からオゾンガスの開度調整バルブの開閉制御を行
    ってオゾンガスの流量を制御するようにした請求項3記
    載の下方注入式多段型オゾン接触槽の制御方法。
  5. 【請求項5】 上記溶存オゾン濃度コントローラによっ
    て算出された縮小比を変えるための目標値の制御出力を
    バルブコントローラに入力し、このバルブコントローラ
    によってキャピラリー散気部内のオリフィスの内径縮小
    比を変える制御を行うようにした請求項3記載の下方注
    入式多段型オゾン接触槽の制御方法。
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