JP3522020B2 - 加圧型下方注入式オゾン接触槽とその制御方法 - Google Patents

加圧型下方注入式オゾン接触槽とその制御方法

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JP3522020B2
JP3522020B2 JP28279095A JP28279095A JP3522020B2 JP 3522020 B2 JP3522020 B2 JP 3522020B2 JP 28279095 A JP28279095 A JP 28279095A JP 28279095 A JP28279095 A JP 28279095A JP 3522020 B2 JP3522020 B2 JP 3522020B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は上下水道の処理方法
としてのオゾン処理装置に適用して有用な加圧型下方注
入式オゾン接触槽とその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年における都市部での水環境の悪化に
伴って河川とか湖沼の水質汚濁が進んでおり、従来の凝
集沈澱とか砂濾過処理及び塩素処理との組み合わせだけ
では、水道用原水中の色度,臭気の除去作用に限界点が
生じている現状にある。特に我国の水道水として利用さ
れる水源の約70%は、地表水と呼ばれる湖沼水,ダム
水及び河川水に依存しており、これら湖沼水とかダムに
は富栄養化に伴う生物活動が活発化することによるカビ
臭とか藻臭の発生があり、他方の河川水には各種排水に
含まれている有機物とかアンモニア性窒素が流入され、
河川の自然浄化作用によってこれらの流入物を完全に浄
化することは期待できない状況にある。
【0003】このような高度経済成長に伴う水源の水質
悪化に対処するため、前塩素処理が一般的に採用されて
いるが、前塩素処理を採用した浄水過程で発生する有機
塩素化合物であるトリハロメタン(THM)が発ガン性
を有していることが知られている。このような水源のカ
ビ臭とか藻臭の消去、及びトリハロメタン等発ガン物質
対策として、浄水の操作工程中にオゾン処理、又は該オ
ゾン処理と活性炭処理との複合処理を導入する高度浄水
システムが検討されている。
【0004】オゾンガスはそれ自身の持つ強力な酸化力
で水中に溶解している溶存性の有害物質を酸化除去する
作用があり、近時は上水のみならず下水処理にも採用さ
れている。しかしオゾン処理は塩素処理に比して約2倍
のコスト増となるため、オゾンガスの処理効果をより一
層高めることが要求され、そのため無数の微細なオゾン
ガスの気泡を作ることによって水とオゾンガスとの接触
効率を上げて、効率良くオゾンガスを水中に溶解吸収さ
せることが必須の要件となっている。
【0005】従来からオゾンガスの接触効率及び吸収効
率を上げるための手段として、散気管型オゾン反応槽と
か下方注入式オゾン反応槽(Uチューブ型オゾン反応
槽)が知られている。上記散気管型オゾン反応槽の一例
として、例えば「オゾン利用水処理技術」(宗宮 功,
公害対策技術同好会,1989年5月)には、図16に
示したように上下対向流式のオゾン反応槽の例が開示さ
れている。
【0006】即ち、この例ではオゾン反応槽1の内部に
底面から立ち上がる隔壁2,2と、上面から垂下された
隔壁3,3が配設されていて、この隔壁2,3によって
気相部が分離されているとともに液相部が相互に連通さ
れた越流式の複数の反応室が構成されている。
【0007】そして各室の内方底面近傍に数十μmの微
細孔を持つセラミック等の散気管4,4が配置されてい
て、図外のオゾン発生装置から得られるオゾンガスが該
散気管4,4に送り込まれ、流入口5から流入する被処
理水とオゾンガスとが矢印A,Aに示すように対向流と
して接触することによって該オゾンガスの接触効率が高
められ、オゾン処理水10として流出する。
【0008】他方の下方注入式オゾン反応槽(Uチュー
ブ型オゾン反応槽)は別名インジェクター型オゾン接触
槽とも呼称され、図17に示したように縦長のオゾン反
応槽1の内方に内管6が配置されていて、オゾン発生装
置7で得られるオゾンガスがガス放出管8を介して内管
6の上部から送り込まれる。そしてオゾンガス反応槽1
の側方の流入口5から流入する被処理水とオゾンガスと
が内管6内で下降流として継続的に接触して所望のオゾ
ン処理が行われ、そのまま内管6の外壁面に沿って上昇
してオゾン反応槽1の上方部からオゾン処理水10とし
て流出する。未反応のオゾンガスは排オゾン処理装置9
に送り込まれて清浄化処理される。
【0009】上記オゾン反応槽1の縦方向の長さは20
〜30メートルと可成長くなっていて、これによって内
管6内の水圧が2.0〜2.5(kgf/cm2)のレベ
ルに保持される。
【0010】このUチューブ型オゾン反応槽は、内管6
で発生する乱流によってオゾンガスと被処理水との気液
接触効果が高められ、オゾンガスが内管6内を流下する
につれて増大する水圧によって該オゾンガスの水中への
溶解が促進されるので、散気管方式に較べてオゾン溶解
効率で5〜10%向上しており、オゾンガスと被処理水
との接触時間を約5倍以上取ることができるとともに反
応槽内での滞留時間は1/5以下に短縮することができ
るという特徴を有している。又、オゾン反応槽が縦長で
あるため、オゾン処理施設の設置スペースが散気管方式
の1/5ですむという利点を有している。
【0011】かかるオゾン反応槽を用いることにより、
塩素よりもはるかに酸化力の強力なオゾンガスによって
被処理水の異臭味とか色度除去、有害物質の酸化除去が
行われる(上記Uチューブ型オゾン処理装置に関して
は、第2回日本オゾン協会年次研究講演会講演集の第7
6頁〜第77頁,鳥山ら「Uチューブ型オゾン接触槽の
有機物除去特性」を参照)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記した
高度浄水システム等に採用されるオゾン反応槽は、被処
理水に対するオゾンガスの吸収効率を上げるための制御
方法が確立されていないため、経時的な吸収効率低下現
象が発生する惧れがある外、装置の大型化等に起因する
コストアップを招来してしまうという課題がある。
【0013】例えば図16に示した散気管型オゾン反応
槽は、処理が進むにつれて散気管4の表面にオゾンガス
によって酸化された鉄とかマンガンが付着して、散気管
4の目詰まりに起因する経時的なオゾン吸収効率低下現
象を引き起こす惧れがあり、これに対処して散気管自体
の交換が必要になるという問題がある。更にオゾンガス
による反応時間を充分に取るためには、反応槽を大型化
しなければならないので、設備費等に要するコストアッ
プを招来するとともに、装置を設置するための大きな敷
地面積を要することになり、都市部における浄水場のよ
うに用地確保が困難な地区での採用が難しい。
【0014】他方の図17に示したUチューブ型オゾン
反応槽は、散気管型オゾン反応槽に比較してオゾン溶解
効率で5〜10%程度向上しており、且つオゾンガスと
被処理水との接触時間も5倍以上長く取ることができる
とともに反応槽内での滞留時間は1/5以下に短縮する
ことができるという利点があるが、前記したようにオゾ
ン反応槽の水深が20〜30メートルと可成長くなって
いるので、散気管方式よりも施設の建設工事が複雑にな
るという問題があり、更に反応槽内に貯留される堆積物
の除去とか槽内の清掃が簡便に行えない上、反応槽の底
部近傍で何等かの障害が発生しても直ちに処置すること
ができないという難点を有している。
【0015】ここで別の観点からオゾンの反応過程を考
察してみると、このオゾン反応過程はオゾンの拡散が律
速する初期段階と、オゾン反応が律速する後期段階とに
大別することができる。従って気液反応接触槽もこれら
の特性を踏まえた装置であることが理想的であり、例え
ばオゾン反応の初期時には拡散効率を高めるための大き
な接触面積と強力な撹拌機構を備え、オゾン反応の後期
時には十分な反応を得るための滞留時間が確保される装
置であることが望ましい。
【0016】そこで本発明は上記に鑑みてなされたもの
であり、装置の大型化を伴わずに被処理水に対するオゾ
ンガスの吸収効率を高め、コストの低廉化がはかれる
上、経時的な吸収効率低下現象が生じない加圧型下方注
入式オゾン接触槽とその制御方法を提供することを目的
とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、請求項1記載の加圧型下方注入式オゾン接触槽は、
最下段から上段に向けて複数段に分割されて被処理水が
流通可能なブロック型接触槽の重合体で構成されたオゾ
ン接触槽を構成し、このオゾン接触槽に、先端開口部が
該オゾン接触槽内の底壁に対向する近傍位置にまで導入
されているとともにこの先端開口部の直前部分に急縮部
を設けた下方注入式流入管を接続して、この流入管の中
途部に配備した渦流ポンプを介してオゾンガスと被処理
水とを流入管内に送り込んでオゾン処理するように構成
したことを特徴とする。このとき、請求項2記載の加圧
型下方注入式オゾン接触槽のように、前記オゾン接触槽
で反応後の溶存オゾン濃度を計測して、溶存オゾン濃度
コントローラによって当該計測値と予め決定した溶存オ
ゾン濃度設定値の比較により被処理水とオゾンガスの体
積比である〔L/G〕比と、前記急縮部の縮小比を変え
るための目標値を算出し、この目標値に基づく注入オゾ
ン濃度コントローラの出力によってオゾン発生装置から
供給されるオゾンガスの流量制御及び濃度制御を実施す
る一方、バルブコントローラの出力によって急縮部の内
径縮小比を変える制御を実施するとよい。
【0018】請求項3記載の加圧型下方注入式オゾン接
触槽の制御方法は、最下段から上段に向けて複数段に分
割されて被処理水が流通可能なブロック型接触槽の重合
体で構成されたオゾン接触槽を構成し、このオゾン接触
槽に、先端開口部が該オゾン接触槽内の底壁に対向する
近傍位置にまで導入されているとともにこの先端開口部
の直前部分に急縮部を設けた下方注入式流入管を接続し
て、この流入管の中途部に配備した渦流ポンプを介して
オゾンガスと被処理水とを流入管内に送り込んでオゾン
処理する加圧型下方注入式オゾン接触槽において、前記
オゾン接触槽で反応後の溶存オゾン濃度を計測して、溶
存オゾン濃度コントローラによって当該計測値と予め決
定した溶存オゾン濃度設定値の比較により被処理水とオ
ゾンガスの体積比である〔L/G〕比と、前記急縮部の
縮小比を変えるための目標値を算出し、この目標値に基
づいて注入オゾン濃度コントローラの出力によってオゾ
ン発生装置から供給されるオゾンガスの流量制御及び
度制御を実施する一方、バルブコントローラの出力によ
って急縮部の内径縮小比を変える制御を実施したことを
特徴とする。
【0019】請求項4記載の加圧型下方注入式オゾン接
触槽は、底面から立ち上がる隔壁と上面から垂下された
隔壁とによって気相部が分離されているとともに液相部
が相互に連通された上下対向流式の複数の滞留槽を有す
るオゾン接触槽を形成し、オゾン接触槽に、先端開口部
が該オゾン接触槽内の底壁に対向する近傍位置にまで導
入されているとともにこの先端開口部の直前部分に急縮
部を設けた下方注入式流入管を接続して、この流入管の
中途部に配備した渦流ポンプを介してオゾンガスと被処
理水とを流入管内に送り込んでオゾン処理するように構
成したことを特徴とする。
【0020】このとき、請求項5記載の加圧型下方注入
式オゾン接触槽のように、前記滞留槽内に微細孔を持つ
散気管を配置して、前記オゾン発生装置から分岐して得
られたオゾンガスの放出管を該散気管に連結して、オゾ
ンガスを被処理水中に対向流として放散するようにする
とよい。
【0021】また、請求項6記載の加圧型下方注入式オ
ゾン接触槽の制御方法は、請求項1,2,4または5記
載の加圧型下方注入式オゾン接触槽において、溶存オゾ
ン濃度コントローラとオゾン発生装置との間に注入オゾ
ン濃度コントローラを配置すると共に、処理水の通路に
設置した温度計とガスフローコントローラとの間に温度
/ガス流量コントローラを配備して、溶存オゾン濃度コ
ントローラは入力された溶存オゾン濃度の計測値と予め
決定した溶存オゾン濃度設定値から注入オゾン濃度目標
値を算出し、注入オゾン濃度コントローラは算出された
注入オゾン濃度目標値と注入オゾン濃度計の計測値を比
較して、溶存オゾン濃度を一定に保つための電力値を算
出してオゾン発生装置に出力する一方、温度計により計
測されたオゾン処理水の温度を温度/ガス流量コントロ
ーラに入力してガス流量目標値を算出し、ガスフローコ
ントローラはガス流量目標値と実際の注入オゾン流量に
基づいてオゾン発生装置にガス流量信号を発するように
したことを特徴とする。
【0022】かかる請求項1記載のオゾン接触槽によれ
ば、既存の施設に渦流ポンプと加圧式下方流入管を付加
すればよいので、建設コストとメンテナンスの両面で有
利であるとともに、従来の散気管方式の滞留時間よりも
短い滞留時間でオゾン処理が行われる。特に接触槽の設
置面積は1/5程度に縮小されるとともに従来のUチュ
ーブ型オゾン反応槽の高さ約20mに較べて高さが4〜
5mに短縮されるので、設備の製作は容易になる。
【0023】請求項2,3記載のオゾン接触槽及びその
制御方法によれば、オゾンガスの流量の変化によるオゾ
ン接触槽の流動特性の変化が極力抑えられ、動作の安定
性とともに処理水質が安定するという作用が得られる。
【0024】又、請求項4記載のオゾン接触槽によれ
ば、加圧型下方注入式オゾン接触槽の前記動作に滞留式
オゾン接触槽の動作が加味されるため、気液反応は大き
くなるという作用が得られる。
【0025】更に請求項記載のオゾン接触槽によれ
ば、オゾン発生装置から分岐して得られたオゾンガスが
請求項4に記載のオゾン接触槽における滞留槽内に配置
した散気管から対向流として放散されるので、気液反応
は最大限に大きくなるという作用が得られる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下図面に基づいて本発明にかか
る下方注入式オゾン接触槽とその制御方法の各種実施例
を説明する。本実施例では散気管方式の特徴であるオゾ
ンの微細気泡化と、Uチューブ方式の特徴である高い吸
収効率を一つの接触槽で達成することが主眼となってい
る。図1に示した第1実施例の概要図において、11は
オゾン接触槽であって、このオゾン接触槽11は、最下
段から上段に向けて複数段に分割されているとともに被
処理水が流通可能なブロック型の接触槽11a,11
b,11c,11dの重合体で構成されており、最上段
の接触槽11dに配備された処理水タンク12からオゾ
ン処理水10が流出する。13は排オゾンガスの排出管
である。
【0027】各単位毎に分割されたブロック型接触槽1
1a,11b,11c,11dの側部には、最下方から
夫々サンプリングポート14a,14b,14c,14
d,14e,14f,14gが配備されている。
【0028】15はオゾン接触槽11に送り込まれる被
処理水20の下方注入式流入管であり、この流入管15
の中途部には渦流ポンプ16が配備されている。17は
オゾン発生装置、18はガス放出管であり、オゾンガス
と被処理水20とが渦流ポンプ16を介して流入管15
内に送り込まれる。この下方注入式流入管15の先端開
口部15aはオゾン接触槽11内の前記最下段の接触槽
11aの底壁に対向する近傍位置にまで導入されてお
り、この先端開口部15aの直前部分に急縮部19が設
けられている。尚、流入管15の一部にもサンプリング
ポート15bが配備されている。
【0029】図2は上記急縮部19の具体的な構成を示
す拡大図であり、図示したように被処理水の流入管15
の管径を部分的に小径に絞って急縮部19が形成されて
いる。この急縮部19を構成するための管径の縮小比は
実験的に求められる。
【0030】上記オゾン接触槽11の縦方向の長さは約
5〜6メートルであり、従来のUチューブ型オゾン反応
槽の同部分の長さである20〜30メートルという長さ
が大幅に短縮されていて、謂わば通常の散気管型オゾン
反応槽の水深レベルと略同等であることが本実施例の構
造上の特徴ともなっている。
【0031】かかる第1実施例におけるオゾン接触槽1
1の運転時の操作と動作原理を以下に説明する。先ず基
本的な操作としてオゾン処理すべき被処理水20を図外
のポンプを用いて流入管15内に流通させながら、同時
にオゾン発生装置17を起動することによって発生した
オゾンガスをガス放出管18を介して被処理水20中に
送り込むと、被処理水20とオゾンガスとが渦流ポンプ
16内に吸引されて気液混合される。この時にオゾンガ
スは渦流ポンプ16内のインペラー部で微細化され、被
処理水20中に取り込まれる。
【0032】渦流ポンプ16の特性上、気液比,即ち被
処理水20とオゾンガスの体積比〔L/G〕比は10以
上にすることが必要である。
【0033】オゾンガスが取り込まれた被処理水20は
下方注入式流入管15内を流下して急縮部19に達す
る。この急縮部19の管径縮小比によって流入管15内
の流体の圧力が調整可能となっている。
【0034】被処理水20は流入管15の先端開口部1
5aから最下段の接触槽11aに下降流として送り込ま
れ、この接触槽11aの底壁に当たって乱流状態とな
り、更にオゾンガスと被処理水20との接触効率が高め
られる。
【0035】上記の動作時に、ポンプで送り込まれる被
処理水20の流速と圧力は、両方とも高い方が望まし
い。その理由は高圧の方がオゾンガスが水中に溶解しや
すく、流速が大きいと乱流状態が激しくなってオゾン処
理対象物質との反応速度が高められるからである。
【0036】このようにしてオゾンガスが混合された被
処理水20は、オゾン接触槽11を構成するブロック単
位の各接触槽11a,11b,11c,11dの最下段
から上段に向けて圧力が解放された状態として流れる。
この時に径が50μm程度の微細な気泡が生成するが、
この気泡径は通常の散気管方式における気泡径が1〜2
mmであるのに較べて1/20乃至1/40となってい
る。
【0037】被処理水は所定の滞留時間を経てから最上
段のブロック型接触槽11dに配備された処理水タンク
12からオゾン処理水10として流出して図外のオゾン
処理水槽に一時的に貯留されて次段の工程に備える。こ
の時には当然各サンプリングポート14a,14b,1
4c,14d,14e,14f,14gは閉止されてい
る。
【0038】又、未反応のオゾンガスは排出管13から
図外の排オゾン処理装置に送り込まれ、周知の熱分解,
触媒を用いた分解,土壌分解,薬液洗浄処理又は活性炭
処理によって無害なガスに分解されて大気中に放出され
る。即ち、オゾンガスはフッ素につぐ強力な酸化力を有
していて人体にも有害な物質であるため、排オゾン処理
装置での分解処理が不可欠である。
【0039】このようなオゾンガスと被処理水20との
接触により、脱臭,脱色,鉄マンガン,多環状化合物と
か有機物の酸化除去及び殺菌,殺藻及び異臭味の除去が
行われる。
【0040】オゾンガスが気相から液相に移動する際に
影響を及ぼすパラメータKLaは、気液接触面積が気泡
径の二乗に比例して小さくなるため、気泡径が半分にな
ると気液接触面積は4倍になる。その結果、オゾンガス
が気相から液相移動する際に影響を及ぼすパラメータK
Laは計算上400倍から1600倍になる。そのため
従来式のオゾン接触槽と比較して極めて短時間,省スペ
ースの環境下でオゾン反応を進行させることが可能とな
る。
【0041】本実施例のオゾン接触槽11は、最下段か
ら上段に向けて複数段に分割されたブロック型接触槽1
1a,11b,11c,11dの重合体で構成されてい
るため、必要に応じて単位槽としてのブロック型接触槽
の追加とか削減が自在であるという特徴を有している。
例えばオゾンガスと被処理水の接触時間を長く取りたい
場合には、同様な他のブロック型接触槽を追加重合する
ことによってオゾン接触槽としての全体的な水深を大き
くすることが可能であり、更に運転中に接触槽の一部に
不具合が生じた場合には、その接触槽のみをブロック単
位に削減するとか交換する等の処置を取ればよく、ブロ
ック型接触槽全体を交換しなくても済むという利点があ
る。
【0042】又、上記の各単位に分割されたブロック型
接触槽11a,11b,11c,11dの側部に夫々サ
ンプリングポート14a,14b,14c,14d,1
4e,14f,14gが配備されているので、任意のサ
ンプリングポートの開閉制御を実施することによって被
処理水20を流出させることが可能であり、オゾンガス
との接触時間を容易に変更することが可能である。
【0043】一般に溶存オゾン濃度一定制御は、溶存オ
ゾン濃度コントローラで溶存オゾン濃度と溶存オゾン濃
度設定値に基づいてPID制御により注入オゾン濃度目
標値を算出する方法で行われており、注入オゾン濃度コ
ントローラはPID制御により注入オゾン濃度目標値と
注入オゾン濃度によりオゾン発生装置を駆動するための
電力値を算出している。そしてオゾン発生装置に対する
一定送風量による制御を実施して溶存オゾン濃度の制御
を行っている。
【0044】本実施例の場合には、図3で示したオゾン
吸収効率ηと気液比,即ち被処理水とオゾンガスの体積
比〔L/G〕の関係に基づくL/G制御を基本としてい
る。図3のように〔L/G〕比が増加するにつれてオゾ
ン吸収効率ηが上昇しており、このオゾン吸収効率はオ
ゾン注入率にほとんど影響を受けず、一定の注入オゾン
濃度でも(L/G)比を大きくすると処理水中の溶存オ
ゾン濃度が増加し、逆に(L/G)比を小さくすると処
理水中の溶存オゾン濃度は減少する。
【0045】図4はオゾン吸収効率ηと圧力との関係を
示しており、〔L/G〕が一定の時には、前記流入管1
5と急縮部19の径長比、換言すれば急縮比が小さいほ
ど流入管15内の圧力が上昇してオゾン吸収効率は上昇
し、逆に急縮比を大きくするとオゾン吸収効率は低下す
る。これらの関係を利用して本実施例では溶存オゾン濃
度一定制御を実施する。
【0046】図5は第1実施例における制御の実際例
(1)を示す概要図であり、図中の31は処理水10の
溶存オゾン濃度計、32はオゾンガスの流路に配備され
たオゾン流量計、33はガスフローコントローラ、34
は溶存オゾン濃度コントローラ、35はバルブコントロ
ーラ、17はオゾン発生装置、36はオゾンガスの流通
する開度調整バルブである。尚、オゾン接触槽11と下
方注入式流入管15及び渦流ポンプ16、急縮部19等
の構成は図1により説明した通りである。上記バルブコ
ントローラ35は、急縮部19内の内径縮小部の径長を
変えるためのコントローラである。この急縮部19には
急縮部開閉装置(図示省略)が配備されている。
【0047】かかる制御の態様を説明すると、前記した
ように被処理水20を図外のポンプにより流入管15内
を流通させながらオゾン発生装置17で得たオゾンガス
を被処理水20中に送り込み、渦流ポンプ16内で気液
混合してオゾン接触槽11内に送り込む。オゾンガスは
接触槽11内で有機物等と反応して、反応後の溶存オゾ
ン濃度が溶存オゾン濃度計31で計測され、その計測値
37が溶存オゾン濃度コントローラ34に入力される。
【0048】溶存オゾン濃度コントローラ34は、入力
された溶存オゾン濃度の計測値37と予め決定した溶存
オゾン濃度設定値38を比較して、両者が異なっていた
場合には溶存オゾン濃度を一定に保つために、前記〔L
/G〕比と急縮部19の縮小比を変えるための目標値を
算出して出力する。
【0049】具体的な制御出力は2系統であるが、先ず
〔L/G〕比を変えるためにガス流量目標値39を算出
してガスフローコントローラ33に出力する。ガスフロ
ーコントローラ33は入力されたガス流量目標値39と
オゾン流量計32で計測された実際の注入オゾン流量に
基づいて開度調整バルブ36の開閉制御を行ってオゾン
発生装置17から供給されるオゾンガスの流量を制御す
る。被処理水20の水量は通常一定であるため、オゾン
ガスの流量によって、液流量/オゾンガス流量の比であ
る〔L/G〕比を決定することが可能である。
【0050】又、溶存オゾン濃度コントローラ34で算
出された前記縮小比を変えるための目標値の制御出力4
0がバルブコントローラ35に入力され、このバルブコ
ントローラ35の出力41によって急縮部19の急縮部
開閉装置を働かせて内径縮小比を変える制御が行われ
る。
【0051】これを更に説明すると、急激な水質の変化
に伴ってオゾンガスの流量制御が不能となって該オゾン
ガスの流量が不足するか又は過剰になることがあり、こ
の時には急縮部19における縮小比を変更する。この縮
小比を小さくすると、オゾンガスの吸収効率が高くなっ
て有機物等の処理特性が向上し、逆に縮小比を大きくす
るとオゾンガスの吸収効率は低下するので、適宜の縮小
比を選択することによってオゾンガスの過不足に対して
直ちに対処可能となる。この縮小比の制御を実施するこ
とによってオゾン接触槽11内の特性変化を極力抑える
ことが可能となり、オゾン接触槽自体の運転性能を高め
ることができる。
【0052】図6はオゾン吸収効率ηとオゾン注入率D
との関係を示しており、被処理水の圧力が一定の時には
オゾン注入率Dを減少させることでオゾン吸収効率ηは
上昇する。
【0053】図7は第1実施例における制御の実際例
(2)を示す概要図であり、基本的な構成は図5に示す
制御の実際例(1)とほぼ同一であるため、同一の符号
を付して表示する。この例では、前記実際例1における
ガスフローコントローラ33に代えて、注入オゾン濃度
コントローラ42を配備して、この注入オゾン濃度コン
トローラ42の制御出力がオゾン発生装置17に入力さ
れている。44は注入オゾン濃度計である。又、制御の
実際例(1)における開度調整バルブ36は設置されて
いない。
【0054】かかる制御の実際例(2)によれば、被処
理水20を流入管15内に流通させながらオゾン発生装
置17で得たオゾンガスを被処理水20中に送り込み、
渦流ポンプ16内で気液混合してオゾン接触槽11内に
送り込んでオゾン処理を行い、反応後の溶存オゾン濃度
が溶存オゾン濃度計31で計測されて計測値37が溶存
オゾン濃度コントローラ34に入力される。溶存オゾン
濃度コントローラ34は入力された溶存オゾン濃度の計
測値37と予め決定した溶存オゾン濃度設定値38を比
較して、溶存オゾン濃度を一定に保つために、前記〔L
/G〕比と急縮部19の縮小比を変えるための目標値を
算出して制御出力40を出力する。特に被処理水20が
可変圧力の設定範囲から外れる場合には、〔L/G〕比
を変えるために注入オゾン濃度目標値43を算出して注
入オゾン濃度コントローラ42に出力する。
【0055】注入オゾン濃度コントローラ42は入力さ
れた注入オゾン濃度目標値43と注入オゾン濃度計44
で計測された実際の注入オゾン濃度に基づいてオゾン発
生装置17の駆動制御を行ってオゾン発生装置17から
供給されるオゾンガスの流量を制御する。被処理水20
の水量は一定であるため、オゾンガスの流量によって
〔L/G〕比を決定することが可能である。
【0056】この実際例(2)では溶存オゾン濃度を一
定にするために、基本的には圧力制御を用いて水質を制
御するが、汚濁物質濃度の急上昇等による急速な水質の
変化によって渦流ポンプ16の能力以上に圧力を増大さ
せる必要がある場合には、その補助的な役割としてオゾ
ン注入率,即ち注入オゾン濃度を変化させ、水質を安定
に保つ。このように制御することにより、オゾン接触槽
11内の特性変化を極力抑えることが可能となり、シス
テムの安定性向上をはかることができる。
【0057】次に本実施例における制御の実際例(3)
を説明する。この制御の場合には、前記渦流ポンプ16
の回転数変更による溶存オゾン濃度一定制御を行うこと
を特徴としている。前記したようにオゾンガスの気泡を
微細化することでオゾンの水中への移動が大きく改善さ
れる。特に気泡径はポンプ16の回転数に大きく影響を
受けるものであって、回転数が大きいほど気泡に対する
せん断力が増加し、気泡径が小さくなる。
【0058】そこで渦流ポンプ16による気泡微細化の
度合を該渦流ポンプ16の回転数のコントロールによっ
て制御し、水中へのオゾンの移動速度を変化させて水質
を安定に保つことが本実施例の特徴となっている。これ
に伴って渦流ポンプ16の駆動に必要とする電力が必要
最小限に設定されるので、節電効果も大きくなるという
メリットがある。
【0059】次に本発明の第2実施例を説明する。前記
したようにオゾン反応をスムーズに進行させるために
は、散気管方式の特徴である気泡微細化と、Uチューブ
方式の特徴である高い吸収効率が達成されることが望ま
れる。そこで図8に示したようにオゾン接触槽11に渦
流ポンプ16を介在して上方から挿通された流入管15
を設けて、被処理水20とガス放出管18を介して送り
込まれるオゾンガスを渦流ポンプ16内に吸引して気液
混合してから流入管15及び急縮部19を通してオゾン
接触槽11内に供給する。このオゾン接触槽11の内部
には、底面から立ち上がる隔壁2,2と、上面から垂下
された隔壁3,3を配設したことによって気相部が分離
されているとともに液相部が相互に連通された上下対向
流式の複数の滞留槽45,46が形成されている。
【0060】そして高いオゾン吸収率を得るために必要
な水深は、通常の散気管方式の水深レベルと同様に5〜
6mとし、流入管15内の水圧を従来のUチューブ方式
の接触槽の水圧レベルである2.0〜2.5(kgf/c
2)を確保したことが本第2実施例の特徴となってい
る。本第2実施例のUチューブ部分の基本的動作態様は
前記第1実施例で説明した動作態様と略一致している
が、この第2実施例ではオゾン接触槽11内に上下対向
流式の複数の滞留槽45,46が形成されているので、
オゾン反応の後期時における滞留時間が確保されてオゾ
ンの吸収効率がより一層高められる。
【0061】図9,図10は第2実施例を用いて実験検
証した特性グラフであり、図9は溶存オゾン濃度(mg
/l)と滞留時間(min)の関係を〔L/G〕比を各
10,15,20に代えて測定した結果を示し、図10
は同じくフミン残存率と滞留時間(min)の関係を測
定した結果を示している。
【0062】図9,図10の結果からみて、下方注入式
の流入管15でオゾンガスと被処理水とが混合接触した
結果、オゾンガスが急速に反応または溶存状態となり、
オゾン接触槽11の流出口近辺では反応がほとんど終了
している。又、〔L/G〕比を変化させることによって
溶存特性及びフミン酸等の除去特性が変動することが分
かる。特に反応性が高いフミン酸等の除去には下方注入
式の流入管15を利用してオゾンの拡散が律速する初期
段階の反応過程を促進し、反応性の低いマンガンとか多
環状化合物等の除去は前記滞留槽45,46の下降流部
でオゾン反応が律速する後期段階の反応過程を促進させ
る。このように第2実施例では反応性を考慮したオゾン
接触槽11が提供されるものであり、又、既存の施設に
渦流ポンプ16とか下方注入式の流入管15を増設する
だけで装置が完成するので、余分な建設費を不要として
コストの低廉化に寄与するという特長がある。
【0063】図11は上記第2実施例における制御の実
際例を示す概要図であり、図5に示した第1実施例の制
御の実際例(1)と同一の構成部分に同一の符号を付し
て表示してある。この制御例と実際例(1)との異なっ
ている構成として、溶存オゾン濃度コントローラ34と
オゾン発生装置17との間に注入オゾン濃度コントロー
ラ50が配備され、処理水10の通路に設置した温度計
51とガスフローコントローラ33との間に温度/ガス
流量コントローラ52が配備されている。温度計51と
しては測温抵抗体等が使用可能である。
【0064】かかる制御の態様を説明すると、前記した
ように被処理水20中にオゾン発生装置17で得たオゾ
ンガスを送り込み、渦流ポンプ16内で気液混合して流
入管15を介してオゾン接触槽11内に送り込む。そし
てオゾン処理水10の溶存オゾン濃度が溶存オゾン濃度
計31で計測され、その計測値37が溶存オゾン濃度コ
ントローラ34に入力される。
【0065】溶存オゾン濃度コントローラ34は、入力
された溶存オゾン濃度の計測値37と予め決定した溶存
オゾン濃度設定値38から注入オゾン濃度目標値を算出
し、注入オゾン濃度コントローラ50に出力する。する
と注入オゾン濃度コントローラ50は入力された注入オ
ゾン濃度目標値と注入オゾン濃度計44の計測値を比較
して、両者が異なっていた場合には溶存オゾン濃度を一
定に保つための電力値54を算出してオゾン発生装置1
7に出力する。
【0066】又、オゾン処理水10の温度が温度計51
により計測され、この計測値55が温度/ガス流量コン
トローラ52に入力されてガス流量目標値56が算出さ
れ、ガスフローコントローラ33に入力される。ガスフ
ローコントローラ33は入力されたガス流量目標値56
とオゾン流量計32で計測された実際の注入オゾン流量
に基づいてガス流量信号57を発してオゾン発生装置1
7のガス流量を制御する。
【0067】上記の注入オゾン濃度コントローラ50に
よる電力制御とガスフローコントローラ33のガス流量
制御とは各独立したループを構成しており、時定数は水
温変化の方が溶存オゾン濃度の変化よりもはるかに遅い
ため、相互干渉を受けることがない。
【0068】図12,図13は第2実施例を用いて実験
検証した特性グラフであり、図12はオゾン注入率を
1.0(mg/l)、下方注入管内圧力を一定にした場
合の溶存オゾン濃度(mg/l)と〔L/G〕比の関係
を示し、図13は〔L/G〕比と水温(℃)の関係を示
している。図12からオゾン注入率と下方注入管内圧力
を一定にした時には、〔L/G〕比を大きくすると被処
理水中の溶存オゾン濃度が増加し、逆に〔L/G〕比を
小さくすると被処理水中の溶存オゾン濃度は減少してい
る。
【0069】更に以下に説明するように、溶存オゾン濃
度は水温によってもその溶解度が大きく変化する。今、
発生オゾン濃度をY(g/m3)が水と接触した場合、
水中の溶存オゾン濃度C(g/m3)は、 C=KY(K:定数)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) である。(1)式の定数Kは、圧力と温度に依存する
が、通常は大気圧で扱われることが多いため、大気圧一
定のもとでの温度との関係が実験に基づいて(2)式で
与えられる(田畑則一,水道協会誌,482,16,1
974)。
【0070】 K=0.604×(1+t/273)/1+0.063t・・・・・・・・・・・・・・・・(2) (2)式のtは温度(℃)である。
【0071】(1)(2)式から発生オゾン濃度20
(g/Nm3)の時の水温と溶存オゾン濃度の関係は、
水温が各5.0,10.0,20.0,30.0(℃)の時
の溶存オゾン濃度(mg/l)は各9.2,7.6,5.
7,3.9である。
【0072】このように水温の変動により溶存オゾン濃
度も変化するので、低水温期である冬季と高水温期であ
る夏季とでは従来の一定送風量の溶存オゾン濃度一定制
御におけるオゾン発生装置の負荷が大きく変動という問
題が残る。この対策として〔L/G〕比の操作指標を水
温として前記図13に示した関係が得られる。
【0073】図13から低水温期に〔L/G〕比を小さ
くし、逆に高水温期には〔L/G〕比を大きくすれば等
しい溶存オゾン濃度になることが分かる。この〔L/
G〕比の変化は送気ガス風量を変えることで達成可能で
ある。
【0074】特に低水温期には高水温期に較べてオゾン
は溶解しやすいため、発生オゾン濃度は低くてもよい
が、溶存している除去対象物質との反応性が低くなるた
め、送気量を多くすることで気液接触効果を高める。逆
に高水温期の場合には、低水温期に較べてオゾンが溶解
しにくいため、発生オゾン濃度は高めに設定すると、溶
存している除去対象物質との反応性が高くなるため、送
気量は少なくてもよい。又、昼夜の温度変化な対しても
同様の制御を実施することができる。このように第2実
施例では、被処理水20に対するオゾン反応の初期時に
は、下方注入方式に基づいて拡散効率を充分に高めると
ともに、オゾン反応の後期時には、複数段の滞留槽4
5,46による滞留時間が確保されることが作用上の特
徴となっている。
【0075】次に本発明の第3実際例を説明する。この
第3実施例では特に反応性の低い物質を多く含む原水を
処理するための加圧型下方注入式オゾン接触槽に関する
ものであり、図14に示したようにオゾン接触槽11に
渦流ポンプ16を介在して上方から挿通された流入管1
5を設けて、被処理水20とガス放出管18を介して送
り込まれるオゾンガスを渦流ポンプ16内に吸引して気
液混合してから流入管15及び急縮部19を通してオゾ
ン接触槽11内に供給する。このオゾン接触槽11の内
部には、第2実施例と同様に隔壁2,2と隔壁3,3に
よって上下対向流式の滞留槽45,46が形成されてお
り、この滞留槽45内に数十μmの微細孔を持つセラミ
ック等の散気管4が配置されていて、図外のオゾン発生
装置から分岐して得られたオゾンガスが該散気管4に送
り込まれて被処理水20中に対向流として接触する。
【0076】この第3実施例では、散気管4からのオゾ
ンガスの放散によりオゾン反応過程が繰り返されて酸化
反応が高められるとともに、オゾン反応が律速する後期
段階の反応過程がより一層促進されて、難分解性の物質
でも分解可能になるという作用が得られる。
【0077】図15は第3実施例の制御の実際例を示す
概要図であり、図11に示した第2実施例の制御の実際
例と同一の構成部分に同一の符号を付して表示してあ
る。この制御例と図11との異なっている構成として、
ガス放出管18をガス放出管18aとガス放出管18b
に分岐して、一方のガス放出管18aをオゾン接触槽1
1の滞留槽45内に配置された散気管4に接続するとと
もに、該ガス放出管18aの中途部に開度調整バルブ3
6を配備して、ガスフローコントローラ33から出力さ
れたガス流量信号57を開度調整バルブ36に入力して
開度を変化させている。その他の制御態様は図11の例
と同様である。
【0078】この制御例では、例えば低水温期にはメイ
ン流路であるガス放出管18bのオゾンガス流量を増加
させることで〔L/G〕比を小さくし、逆に高水温期に
はメイン流路のオゾンガス流量を減少させることで〔L
/G〕比を大きくする制御を行う。この時の分岐側のガ
ス放出管18aのオゾン量はメイン側と逆になる。
【0079】図15の例では、開度調整バルブ36の開
度調整によってオゾンガス供給量の制御を実施している
ため、送風量一定の一般的なオゾン発生装置17を用い
ても〔L/G〕比の制御を可能にするという利点があ
る。
【0080】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にか
かる加圧型下方注入式オゾン接触槽とその制御方法によ
れば、被処理水が流入管の中途部に設けた急縮部により
加圧された状態としてオゾン接触槽内に下降流として送
り込まれてオゾンガスと被処理水との接触効率を高め、
この被処理水をオゾン接触槽を構成するブロック型接触
槽の最下段から上段に向けて送り込んで所定の滞留時間
を経てからオゾン処理水として流出することができる。
【0081】従って被処理水に対するオゾン反応の初期
時には、下方注入方式に基づいて拡散効率を充分に高め
て反応性の高い物質の除去を行うことができるととも
に、オゾン反応の後期時にはブロック型接触槽内での反
応と滞留時間の確保に伴って反応性の低い物質の除去を
行うことができる。
【0082】本実施例では既存の施設に渦流ポンプと加
圧式下方流入管を付加すればよいので、建設コストとメ
ンテナンスの両面で有利であるとともに、従来の散気管
方式の滞留時間よりも短い滞留時間でオゾン処理が可能
である。
【0083】制御時にはオゾン接触槽の溶存オゾン濃度
の計測値に基づいて溶存オゾン濃度を一定に保つための
(L/G)比と、注入オゾン濃度を一定に保つための制
御、及び温度/ガス流量制御によるオゾンガス流量制御
と、急縮比を変えるための制御が行われることによって
オゾンガスの流量の変化によるオゾン接触槽の流動特性
の変化は極力抑えられて、動作の安定性とともに処理水
質が安定するという効果が得られる。
【0084】又、請求項4記載のオゾン接触槽によれ
ば、加圧型下方注入式オゾン接触槽の前記動作に滞留式
オゾン接触槽の動作が加味されるため、気液反応は大き
くなり、更に請求項6記載のオゾン接触槽によれば、滞
留槽内に配置した散気管からオゾン発生装置から分岐し
て得られたオゾンガスが対向流として放散されるので、
気液反応は最大限に大きくなるという効果が得られる。
【0085】本発明の場合には接触槽の設置面積は1/
5程度に縮小されるとともに従来のUチューブ型オゾン
反応槽の高さ約20mに較べて高さが4〜5mに短縮さ
れるので、装置の大型化を伴わずに被処理水に対するオ
ゾンガスの吸収効率を高めることができるとともに反応
槽内に貯留される堆積物の除去とか槽内の清掃を簡便に
行うことが可能となり、しかも反応槽の底部近傍で障害
が発生しても直ちに処置することができる。更にオゾン
ガスによって酸化された鉄とかマンガンの付着による目
詰まり等に伴う経時的な吸収効率低下現象が防止される
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる加圧型下方注入式オゾン接触槽
の第1実施例を示す概要図。
【図2】図1の要部を部分的に示す拡大図。
【図3】図1の接触槽における液流量/オゾンガス流量
の比(L/G)とオゾンガスの吸収効率の相関図。
【図4】図1の接触槽における圧力とオゾンガスの吸収
効率の相関図。
【図5】第1実施例における制御の実際例(1)を示す
概要図。
【図6】オゾン吸収効率とオゾン注入率の関係を示すグ
ラフ。
【図7】第1実施例における制御の実際例(2)を示す
概要図。
【図8】本発明の第2実施例を示す概要図。
【図9】〔L/G〕比を変えて溶存オゾン濃度と滞留時
間の相関を測定したグラフ。
【図10】〔L/G〕比を変えてフミン残存率と滞留時
間の関係を測定したグラフ。
【図11】第2実施例における制御の実際例を示す概要
図。
【図12】オゾン注入率と下方注入管内圧力を一定にし
た場合の溶存オゾン濃度と〔L/G〕比の関係を示すグ
ラフ。
【図13】〔L/G〕比と水温(℃)の関係を示すグラ
フ。
【図14】本発明の第3実施例を示す概要図。
【図15】第3実施例における制御の実際例を示す概要
図。
【図16】通常の散気管型オゾン反応槽の一例を示す要
部断面図。
【図17】通常のUチューブ型オゾン接触槽の構造を示
す概略図。
【符号の説明】
11…オゾン接触槽 11a,11b,11c,11d…ブロック型接触槽 12…処理水タンク 14a,14b,14c,14d,14e,14f,1
4g…サンプリングポート 15…流入管 15a…先端開口部 16…渦流ポンプ 17…オゾン発生装置 18…ガス放出管 19…急縮部 20…被処理水 31…溶存オゾン濃度計 32…オゾン流量計 33…ガスフローコントローラ 34…溶存オゾン濃度コントローラ 35…バルブコントローラ 36…開度調整バルブ 42…注入オゾン濃度コントローラ 44…注入オゾン濃度計 45,46…滞留槽 50…注入オゾン濃度コントローラ 51…温度計 52…温度/ガス流量コントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 哲文 東京都品川区大崎2丁目1番17号 株式 会社明電舎内 (56)参考文献 特開 平7−275873(JP,A) 実開 平6−85096(JP,U) 特許3491371(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/78 B01F 1/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最下段から上段に向けて複数段に分割さ
    れて被処理水が流通可能なブロック型接触槽の重合体で
    構成されたオゾン接触槽を構成し、このオゾン接触槽
    に、先端開口部が該オゾン接触槽内の底壁に対向する近
    傍位置にまで導入されているとともにこの先端開口部の
    直前部分に急縮部を設けた下方注入式流入管を接続し
    て、この流入管の中途部に配備した渦流ポンプを介して
    オゾンガスと被処理水とを流入管内に送り込んでオゾン
    処理するように構成したことを特徴とする加圧型下方注
    入式オゾン接触槽。
  2. 【請求項2】 前記オゾン接触槽で反応後の溶存オゾン
    濃度を計測して、溶存オゾン濃度コントローラによって
    当該計測値と予め決定した溶存オゾン濃度設定値の比較
    により被処理水とオゾンガスの体積比である〔L/G〕
    比と、前記急縮部の縮小比を変えるための目標値を算出
    し、この目標値に基づく注入オゾン濃度コントローラの
    出力によってオゾン発生装置から供給されるオゾンガス
    の流量制御及び濃度制御を実施する一方、バルブコント
    ローラの出力によって急縮部の内径縮小比を変える制御
    を実施したことを特徴とする請求項1記載の加圧型下方
    注入式オゾン接触槽。
  3. 【請求項3】 最下段から上段に向けて複数段に分割さ
    れて被処理水が流通可能なブロック型接触槽の重合体で
    構成されたオゾン接触槽を構成し、このオゾン接触槽
    に、先端開口部が該オゾン接触槽内の底壁に対向する近
    傍位置にまで導入されているとともにこの先端開口部の
    直前部分に急縮部を設けた下方注入式流入管を接続し
    て、この流入管の中途部に配備した渦流ポンプを介して
    オゾンガスと被処理水とを流入管内に送り込んでオゾン
    処理する加圧型下方注入式オゾン接触槽において、 前記オゾン接触槽で反応後の溶存オゾン濃度を計測し
    て、溶存オゾン濃度コントローラによって当該計測値と
    予め決定した溶存オゾン濃度設定値の比較により被処理
    水とオゾンガスの体積比である〔L/G〕比と、前記急
    縮部の縮小比を変えるための目標値を算出し、この目標
    値に基づいて注入オゾン濃度コントローラの出力によっ
    てオゾン発生装置から供給されるオゾンガスの流量制御
    及び濃度制御を実施する一方、バルブコントローラの出
    力によって急縮部の内径縮小比を変える制御を実施した
    ことを特徴とする加圧型下方注入式オゾン接触槽の制御
    方法。
  4. 【請求項4】 底面から立ち上がる隔壁と上面から垂下
    された隔壁とによって気相部が分離されているとともに
    液相部が相互に連通された上下対向流式の複数の滞留槽
    を有するオゾン接触槽を形成し、オゾン接触槽に、先端
    開口部が該オゾン接触槽内の底壁に対向する近傍位置に
    まで導入されているとともにこの先端開口部の直前部分
    に急縮部を設けた下方注入式流入管を接続して、この流
    入管の中途部に配備した渦流ポンプを介してオゾンガス
    と被処理水とを流入管内に送り込んでオゾン処理するよ
    うに構成したことを特徴とする加圧型下方注入式オゾン
    接触槽。
  5. 【請求項5】 前記滞留槽内に微細孔を持つ散気管を配
    置して、前記オゾン発生装置から分岐して得られたオゾ
    ンガスの放出管を該散気管に連結して、オゾンガスを被
    処理水中に対向流として放散するように構成したことを
    特徴とする請求項4記載の加圧型下方注入式オゾン接触
    槽。
  6. 【請求項6】 請求項1,2,4または5記載の加圧型
    下方注入式オゾン接触槽において、 溶存オゾン濃度コントローラとオゾン発生装置との間に
    注入オゾン濃度コントローラを配置すると共に、処理水
    の通路に設置した温度計とガスフローコントローラとの
    間に温度/ガス流量コントローラを配備して、溶存オゾ
    ン濃度コントローラは入力された溶存オゾン濃度の計測
    値と予め決定した溶存オゾン濃度設定値から注入オゾン
    濃度目標値を算出し、注入オゾン濃度コントローラは算
    出された注入オゾン濃度目標値と注入オゾン濃度計の計
    測値を比較して、溶存オゾン濃度を一定に保つための電
    力値を算出してオゾン発生装置に出力する一方、温度計
    により計測されたオゾン処理水の温度を温度/ガス流量
    コントローラに入力してガス流量目標値を算出し、ガス
    フローコントローラはガス流量目標値と実際の注入オゾ
    ン流量に基づいてオゾン発生装置にガス流量信号を発す
    るようにしたことを特徴とする加圧型下方注入式オゾン
    接触槽の制御方法。
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