JP3491298B2 - 感圧性接着剤とその接着シ―ト類 - Google Patents

感圧性接着剤とその接着シ―ト類

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JP3491298B2 JP20111493A JP20111493A JP3491298B2 JP 3491298 B2 JP3491298 B2 JP 3491298B2 JP 20111493 A JP20111493 A JP 20111493A JP 20111493 A JP20111493 A JP 20111493A JP 3491298 B2 JP3491298 B2 JP 3491298B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクリル系重合体を主
成分とした接着性能および耐湿特性にすぐれる感圧性接
着剤と、これをシ―ト状やテ―プ状などの形態とした接
着シ―ト類とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】アクリル系重合体を主成分とした感圧性
接着剤は、上記重合体に起因して、耐光性、耐候性、耐
油性などにすぐれるという利点がある。また、プラスチ
ツクや紙などを表面基材としたアクリル系の感圧性接着
テ―プでは、接着力、凝集力などの接着性能や、耐熱
性、耐候性などの耐老化性能にすぐれていることから、
各種の分野で幅広く利用されている。
【0003】最近では、作業の簡便化や作業環境の向上
を目的として、液状タイプの接着剤に代えて、シ―ト状
やテ―プ状などの形態とした感圧性接着剤を用いて接着
処理することが、定着してきており、これら処理に際
し、接着力、凝集力などの各種性能の更なる向上が望ま
れている。
【0004】このような要望に対し、とくに接着力、凝
集力などの接着性能の改善には、アクリル系重合体の合
成に際し、アクリル系単量体とともに、各種の極性基含
有単量体を併用することが、よく行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、極性基含有単
量体の使用は、感圧性接着剤の耐湿特性を損なう、つま
り多湿環境下で接着力が経時的に低下する弊害を生じや
すく、信頼性に劣る。このため、上記単量体の使用によ
る接着性能の改善には、限度がある。
【0006】本発明は、上記従来の事情に鑑み、接着性
能にすぐれるとともに、耐湿特性の改善された、信頼性
の高い感圧性接着剤と、これをシ―ト状やテ―プ状など
の形態とした接着シ―ト類を提供することを目的として
いる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために、鋭意検討した結果、アクリル系単
量体と特定の単量体との共重合体からなるアクリル系重
合体を用いることにより、接着性能および耐湿特性にす
ぐれる信頼性の高い感圧性接着剤が得られることを知
り、本発明を完成するに至つた。
【0008】すなわち、本発明は、アクリル系重合体と
して、下記のa〜c成分; a)つぎの式(I); CH2 =C(R1 )COOR2 …(I) (式中、R1 は水素またはメチル基、R2 は炭素数2〜
14のアルキル基である)で表されるアクリル系単量体
60〜86重量% b)つぎの式(II); (式中、R3 は水素または1価の有機基である)で表さ
れるマレイミド化合物2〜30重量% c)上記のa,b成分と共重合可能なカルボキシル基含
有単量体を必須とした他の単量体2.65〜30重量% からなる単量体混合物の共重合体を主成分とする感圧性
接着剤と、この感圧性接着剤からなる層を支持体の片面
または両面に有するシ―ト状やテ―プ状などの形態とし
た接着シ―ト類とに係るものである。
【0009】
【発明の構成・作用】本発明におけるa成分としてのア
クリル系単量体は、前記の式(I)中のR2が、たとえ
ば、ブチル基、イソブチル基、イソアミル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル
基、イソノニル基、イソデシル基などのアルキル基から
なるアクリル酸またはメタクリル酸のエステルである。
2 の炭素数が2未満となると、ガラス転移温度、いわ
ゆるTgの高い材料となつて、感圧性接着剤としての濡
れ性が低下し、初期接着性(タツク)が悪くなり、また
14を超えると、接着力に劣る問題がある。
【0010】このa成分のアクリル系単量体は、単量体
全体量の60〜86重量%の範囲で、その1種または2
種以上が用いられる。60重量%未満となると、前記し
たアルキル基の炭素数が2未満である場合と同様に、T
gの低い成分が少なくなりすぎて感圧性接着剤としての
性能を発揮できず、また86重量%を超えると、そのぶ
ん後述するb成分およびc成分の絶対量が不足し、接着
性能および耐湿特性を両立させることが難しくなる。
【0011】本発明におけるb成分としてのマレイミド
化合物は、前記の式(II)中のR3が、水素(マレイミ
ドそのもの)であるか、あるいはアルキル基、シクロア
ルキル基、アリル基、アラルキル基またはこれらの基に
さらに官能基が導入された1価の有機基、たとえば、メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、オクチル基、ラウリル基、シクロヘキシル基、フエ
ニル基、メチルフエニル基、メトキシフエニル基、クロ
ロフエニル基、ニトロフエニル基、カルボキシフエニル
基などが挙げられる。
【0012】このb成分のマレイミド化合物は、単量体
全体量の2〜30重量%、好ましくは3〜30重量%の
範囲で、その1種または2種以上が用いられる。2重量
%未満となると、本発明の目的とする耐湿特性の改善効
果が得られず、また30重量%を超えると、感圧性接着
剤として望まれる低いTgに保ちにくくなり、初期接着
力が不足することになる。
【0013】本発明におけるc成分の単量体は、上記の
a,b成分と共重合可能な単量体であつて、(メタ)ア
クリル酸、カルボキシエチルアクリレ―ト、イタコン
酸、マレイン酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有
単量体を必須とし、その他、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリロイルホスフエイトなどのリン酸基含有単量
体;(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリ
ルアミドなどのアミド系単量体;酢酸ビニル、N−ビニ
ルピロリドン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレ
ンなどのビニル系単量体などが挙げられる。
【0014】また、(メタ)アクリル酸グリシジル、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)ア
クリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸
メチル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレ―
ト、ポリエチレングリコ―ル(メタ)アクリレ―ト、ポ
リプロピレングリコ―ル(メタ)アクリレ―ト、フツ素
(メタ)アクリレ―ト、シリコン(メタ)アクリレ―ト
などのa成分以外の(メタ)アクリル酸エステル系単量
体なども使用できる。
【0015】さらに、多官能(メタ)アクリレ―トなど
も、電子線などによる無架橋剤下での後架橋を行いたい
場合などに、必要により使用できる。具体的には、ヘキ
サンジオ―ルジ(メタ)アクリレ―ト、(ポリ)エチレ
ングリコ―ルジ(メタ)アクリレ―ト、(ポリ)プロピ
レングリコ―ルジ(メタ)アクリレ―ト、ネオペンチル
グリコ―ルジ(メタ)アクリレ―ト、ペンタエリスリト
―ルジ(メタ)アクリレ―ト、トリメチロ―ルプロパン
トリ(メタ)アクリレ―ト、ペンタエリスリト―ルトリ
(メタ)アクリレ―ト、ジペンタエリスリト―ルヘキサ
(メタ)アクリレ―ト、その他エポキシ(メタ)アクリ
レ―ト、ポリエステル(メタ)アクリレ―ト、ウレタン
(メタ)アクリレ―トなどが挙げられる。
【0016】このc成分の単量体は単量体全体量の
2.65重量%以上で、30重量%以下、好ましくは2
5重量%以下の範囲で、その1種または2種以上が用い
られる。30重量%を超えると、アクリル系としての性
能を発現しにくくなつたり、感圧性接着剤としての特性
のバランスがとれなくなる。
【0017】本発明のアクリル系重合体は、上記a〜
c三成分からなる単量体混合物の共重合体であつて、こ
の共重合体は、上記の単量体混合物を、常法により、溶
液重合法、乳化重合法、塊状重合法、けんだく重合法な
どの方法で共重合させることにより、得ることができ
る。上記重合法の中でも、塊状重合法では、紫外線照射
による重合方式が好ましく採用される。
【0018】上記の共重合に際して、熱重合開始剤また
は光重合開始剤を、必要により重合原料(固形分)全体
の0.001〜5重量%の範囲で使用できる。熱重合開
始剤としては、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロ
ニトリル、tert−ブチルパ―ベンゾエ―ト、クメン
ヒドロパ―オキサイド、ジイソプロピルパ―オキシジカ
―ボネ―ト、ジ−n−プロピルパ―オキシジカ―ボネ―
ト、ジ(2−エトキシエチル)パ―オキシジカ―ボネ―
ト、tert−ブチルパ―オキシネオデカノエ―ト、t
ert−ブチルパ―オキシピバレ―ト、ジ(3,5,5
−トリメチルヘキサノイル)パ―オキサイド、ジラウロ
イルパ―オキサイド、ジプロピオニルパ―オキサイド、
ジアセチルパ―オキサイドなどが挙げられる。
【0019】光重合開始剤としては、4−(2−ヒドロ
キシエトキシ)フエニル(2−ヒドロキシ−2−プロピ
ル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α´−ジメチルアセ
トフエノン、メトキシアセトフエノン、2,2−ジメト
キシ−2−フエニルアセトフエノンなどのアセトフエノ
ン系開始剤;ベンゾインエチルエ―テル、ベンゾインイ
ソプロピルエ―テルなどのベンゾインエ―テル系開始
剤;ベンジルジメチルケタ―ルなどのケタ―ル系開始
剤;その他ハロゲン化ケトン、アシルホスフイノキシ
ド、アシルホスフオナ―トなどが挙げられる。マレイミ
ド化合物は紫外領域の比較的長波長側にまで吸収を有す
るため、上記の開始剤の中でも、とくに長波長側で活性
化する開始剤を用いるのが望ましい。
【0020】本発明の感圧性接着剤は、このようにして
得られるアクリル系重合体を主成分とし、必要により天
然または合成の樹脂類、ガラス繊維、ガラスビ―ズ、金
属粉、無機粉末などの充てん剤、顔料、着色剤などの添
加剤を、任意成分として含ませることができる。
【0021】また、この感圧性接着剤は、適宜架橋処理
を施したものであつてもよい。架橋処理は、アクリル系
重合体を得る際に、内部架橋剤として前記のような多官
能(メタ)アクリレ―トなどを添加するか、あるいはア
クリル系重合体を得たのち、外部架橋剤として多官能の
イソシアネ―ト化合物やエポキシ化合物などを添加する
ことにより、実施できる。その他、電子線照射などの活
性光線による架橋処理を施すようにしてもよい。
【0022】本発明の接着シ―ト類は、このような感圧
性接着剤からなる層を、支持体の片面または両面に所望
厚さに設けることにより、シ―ト状やテ―プ状などの形
態としたものである。上記の支持体としては、プラスチ
ツクフイルム、紙、不織布、発泡体、金属箔などを用い
ることができ、その片面または両面に剥離処理または接
着処理を施したものを使用してもよい。
【0023】このように構成される本発明の感圧性接着
剤とその接着シ―ト類は、接着性能および耐湿特性にす
ぐれて、信頼性の高い接着処理を実現する。この理由
は、必ずしも明らかではないが、アクリル系重合体を構
成する前記b成分としてのマレイミド化合物が耐水性に
すぐれて、かつ適度な極性を有し、これが感圧性接着剤
に適度な凝集力をもたらすことなどによるものと推定さ
れる。
【0024】
【発明の効果】以上のように、本発明では、アクリル系
単量体と特定の単量体との共重合体からなるアクリル系
重合体を主成分としたことにより、様々な被着体に対し
て良好な接着性を示すとともに、耐湿特性にもすぐれ
る、信頼性の高い感圧性接着剤とその接着シ―ト類を提
供することができる。
【0025】
【実施例】つぎに、本発明の実施例を記載して、より具
体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重
量部を意味する。
【0026】実施例1 冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌装置を備えた反
応容器内に、酢酸エチル150部、アクリル酸2−エチ
ルヘキシル80部、アクリル酸5部、シクロヘキシルマ
レイミド10部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロ
ニトリル0.5部を入れ、60℃で4時間、続いて80
℃で2時間重合して、重合率99重量%の共重合体溶液
を得た。
【0027】この溶液に、共重合体100部に対して、
架橋剤としてトリメチロ―ルプロパン−トリレンジイソ
シアネ―ト付加物3部を加えて、感圧性接着剤溶液を調
製した。この溶液を、厚さが25μmのポリエステルフ
イルム上に塗布し、乾燥して、厚さが50μmの感圧性
接着剤の層を有する接着シ―トを作製した。
【0028】実施例2〜7 単量体混合物の組成を、表1および表2の如く変更した
以外は、実施例1と同様にして、重合率が98.5〜9
9%の6種の共重合体溶液を得、これに実施例1と同じ
架橋剤を実施例1と同量加えて、6種の感圧性接着剤溶
液を調製した。各溶液を用いて、実施例1と同様にし
て、6種の接着シ―トを作製した。
【0029】比較例1〜3 単量体混合物の組成を、表3の如く変更した以外は、実
施例1と同様にして、重合率が99%の3種の共重合体
溶液を得、これに実施例1と同じ架橋剤を実施例1と同
量加えて、3種の感圧性接着剤溶液を調製した。各溶液
を用いて、実施例1と同様にして、3種の接着シ―トを
作製した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】上記の実施例1〜7および比較例1〜3で
作製した接着シ―トにつき、感圧性接着剤としての接着
性能(とくにタツク)の良否を調べるとともに、下記の
要領で耐湿特性試験を行つた。これらの結果を、後記の
表4に示す。
【0034】<耐湿特性試験>#280のサンドペ―パ
で表面を研磨し、溶剤で脱脂した清浄なSUS板に、接
着シ―トを20mm幅で貼布し、50℃で5日間加温、エ
―ジングし、接着力が安定したときの接着力(初期の接
着力)と、これを蒸留水に4日間浸漬したのちの接着力
(試験後の接着力)とを、引張速度300mm/分にて1
80度剥離で、測定した。また、(試験後の接着力/初
期の接着力)×100%として、試験後の接着力の保持
率を算出した。
【0035】
【表4】
【0036】上記の表4の結果から、本発明の実施例1
〜7の接着シ―トは、比較例1〜3の接着シ―トに比べ
て、良好な接着性能を有するとともに、耐湿特性に格段
にすぐれており、信頼性の非常に高いものであることが
わかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小俣 哲夫 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 (72)発明者 田中 穂積 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 (72)発明者 福崎 英一郎 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−25450(JP,A) 特開 平6−158010(JP,A) 特開 平6−264041(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09J 133/08 C09J 7/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記のa〜c成分; a)つぎの式(I); CH2 =C(R1 )COOR2 …(I) (式中、R1 は水素またはメチル基、R2 は炭素数2〜
    14のアルキル基である)で表されるアクリル系単量体
    60〜86重量% b)つぎの式(II); (式中、R3 は水素または1価の有機基である)で表さ
    れるマレイミド化合物2〜30重量% c)上記のa,b成分と共重合可能なカルボキシル基含
    有単量体を必須とした他の単量体2.65〜30重量% からなる単量体混合物の共重合体を主成分とする感圧性
    接着剤。
  2. 【請求項2】 支持体の片面または両面に請求項1に記
    載の感圧性接着剤からなる層を有する接着シ―ト類。
JP20111493A 1993-07-20 1993-07-20 感圧性接着剤とその接着シ―ト類 Expired - Lifetime JP3491298B2 (ja)

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