JP5337183B2 - 粘着剤組成物及び粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は粘着剤組成物、及び該粘着剤組成物からなる粘着剤層を基材の少なくとも片面に有する粘着シートに関する。
粘着シートは、基材の少なくとも片面に粘着剤を塗布し、乾燥して粘着剤層を形成したものである。基材として例えば電気絶縁用途において塩化ビニル系樹脂が古くから多用されており、また良好な粘着特性が得られることから粘着剤としてカルボキシル基等の酸性官能基を有する共重合体を含有するアクリル系粘着剤が用いられている(特許文献1)。
近年、環境問題への意識の高まりの中、環境に配慮した素材の使用が求められており、例えば、塩化ビニル系樹脂は柔軟性、耐候性、難燃性、加工性等の点で優れる反面、燃焼時の状況によってダイオキシンが発生する虞があることから脱塩化ビニル系樹脂の流れが進んでいる。ポリ塩化ビニル系樹脂に替えてポリオレフィン系樹脂が使用されることが多いが、難燃性が不十分であるため、難燃性が必要となる用途では難燃剤の添加が不可欠になる。難燃剤として最も効果の高いハロゲン系難燃剤は、前述のように燃焼時の環境負荷の問題があるため、金属水和物を多量に使用する場合が多い。
粘着シートにおいても、塩化ビニル製基材の代替を意図して、例えばポリオレフィン系樹脂中に金属水酸化物等の多価金属化合物を含有する基材を用い、粘着特性の良好なアクリル系粘着剤からなる粘着剤層を備える粘着シートの開発が検討されている(特許文献2)。
特公昭61−048556号公報 特開2001−131509号公報
本発明者らは、このような粘着シートを検討する中で、所定期間保存した後の粘着シートの特性評価を行なったところ、粘着特性が著しく低下してしまうという問題に遭遇した。さらに、本発明者らは、細径の電線等を結束するために粘着シートを巻き付けた場合に該粘着シートの端部に剥がれ(以下、「端末剥がれ」と記す)が発生し、また粘着シートを被着体に貼付した場合にも粘着特性が低下することを確認した。このような粘着特性の低下は、難燃剤、放熱剤、補強剤等の充填剤として多量の多価金属化合物が配合された、粘着シートの基材又は被着体に粘着剤層が接触する場合に顕著に現れることを本発明者らは見出した。
そこで、本発明者らは粘着特性の低下の原因究明を行った結果、次の要因で発生しているとの知見を得た。すなわち、粘着特性の低下の原因が、基材中に多価金属化合物が含まれている場合に、該多価金属化合物から生成した多価金属イオンと、粘着剤層を構成するアクリル系粘着剤中のカルボキシル基とが架橋反応を起こすことにあるとの知見を得た。それにより、粘着剤を構成する共重合体の硬化が進行し、カルボキシル基が有する良好な接着性が損なわれると推察される。
また、粘着物性の低下は粘着シートの保存時の環境によっても異なり、通常加熱等により多価金属化合物が活性化されると、多価金属イオンを生成し、これが粘着剤中のカルボキシル基等の酸性官能基と結合することにより架橋反応が進行する。水溶性の多価金属化合物は、熱だけでなく、加湿下でも多価金属イオンを発生しやすい。したがって、上記の多価金属化合物のうち、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムのような水酸化物は、水溶性であり、かつ、難燃剤として多量に使用される場合が多いため、粘着シートの基材、及び/又は粘着シートを貼付すべき被着体中に、このような水酸化物が添加されている場合には、経時での粘着特性の低下が顕著になる。
このような粘着特性の低下を改善すべく、以下の方法が提案されている。例えば、第1に、金属イオン封鎖剤を添加することにより、粘着シートの基材中に含まれている炭酸カルシウム等の金属イオンと、粘着剤中のカルボキシル基との架橋反応を阻害し、粘着力の低下を防止する方法が提案されている(特許第3500776号)。第2に、粘着シートの基材、又は被着体が金属系安定剤を含有する塩化ビニル系樹脂である場合に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、窒素含有ビニルモノマーと、4−ヒドロキシルブチルアクリレートとからなり、かつカルボキシル基含有単量体を実質的に含まないアクリル系共重合体と、ポリイソシアネートとを含有する粘着剤を用いる方法が提案されている(特開平7−82545号公報)。第3に、粘着剤中に金属水酸化物を難燃剤として含有する場合に、凝集防止の観点から酸性基を含まないアクリル系粘着剤を用いる方法が提案されている(特開2003−105295号公報)。
しかしながら、第1の提案は、比較的少量の多価金属化合物に対しては有効であるものの、充填剤として多価金属化合物が多量に配合された場合には、経時で架橋反応の阻害効果が失われるため、この提案では粘着特性を十分改善できない。また、第2及び第3の提案では、粘着剤が酸性官能基を含有しないため、十分な架橋を得るために長時間のエージングが必要となる上、高い粘着力を得ることが困難である。
以上のように、第1〜3の提案は粘着特性の低下を防止する手段としては十分ではない。前述のように、アクリル系粘着剤は、良好な粘着特性を得るために、通常極性を有する単量体を含む単量体混合物を共重合して得られる共重合体を構成成分として含有する。特に、カルボキシル基等の酸性官能基を有する単量体を含有すると、カルボキシル基は架橋点となり、反応性も高いため更なる粘着特性の向上が可能である。ゆえに、更に幅広い用途に応じた粘着剤の設計に酸性官能基含有単量体の使用は不可欠である。しかしながら、粘着シートの基材又は被着体が多価金属化合物を含有し、かつ粘着剤層を構成するアクリル系粘着剤が酸性官能基含有単量体を構成単位に含む共重合体を含有する場合に、粘着特性の低下を防止する有効な手段が未だ存在しないのが実情である。
そこで、本発明はこのような実情に鑑みなされたものであり、その解決しようとする課題は粘着シートの基材、又は被着体が多価金属化合物を含有する場合にも、粘着特性の低下防止、特に端末剥がれを防止可能な粘着剤組成物、及びこれを用いる粘着シートを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、酸性官能基含有単量体と特定の単量体とを構成単位に含み、酸性官能基含有単量体の含有割合を所定範囲とした共重合体を粘着剤組成物に含有せしめることで多価金属イオンと酸性官能基との反応を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、これと共重合可能な窒素含有単量体及び酸性官能基含有単量体を少なくとも含む単量体混合物を共重合することにより得られる共重合体を含有し、かつ単量体混合物100重量部に占める酸性官能基含有単量体の含有量が5重量部未満であることを特徴とする、粘着剤組成物。
(2)単量体混合物100重量部に占める窒素含有単量体の含有量が0.5〜50重量部であることを特徴とする、上記(1)記載の粘着剤組成物。
(3)窒素含有単量体がアクリルアミド化合物又はマレイミド化合物であることを特徴とする、上記(1)又は(2)記載の粘着剤組成物。
(4)水分散型であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(5)基材の片面又は両面に、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層が積層されていることを特徴とする、粘着シート。
(6)基材が多価金属化合物を含むことを特徴とする、上記(5)記載の粘着シート。
(7)多価金属化合物が金属水酸化物であることを特徴とする、上記(5)又は(6)記載の粘着シート。
(8)被着体に貼付するための粘着剤組成物であって、粘着剤組成物が上記(1)〜(4)のいずれかに記載の粘着剤組成物であり、かつ被着体が多価金属化合物を含むことを特徴とする、粘着剤組成物。
(9)多価金属化合物が金属水酸化物であることを特徴とする、上記(8)記載の粘着剤組成物。
(10)被着体に貼付するための粘着シートであって、粘着シートが上記(5)〜(7)のいずれかに記載の粘着シートであり、かつ被着体が多価金属化合物を含むことを特徴とする、粘着シート。
(11)多価金属化合物が金属水酸化物であることを特徴とする、上記(10)記載の粘着シート。
本発明によれば、粘着シートの基材、又は被着体が多価金属化合物を含有する場合にも、粘着特性の低下防止、特に端末剥がれを防止可能な粘着剤組成物を提供することができる。また、本発明の粘着剤組成物を用いて粘着剤層を構成することで、経時での粘着特性の変動の少ない粘着シートを提供することができる。
本発明の粘着シートの一実施形態を示す断面図である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
まず、本発明の粘着剤組成物について説明する。
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、これと共重合可能な窒素含有単量体及び酸性官能基含有単量体を少なくとも含む単量体混合物を共重合することにより得られる共重合体を含有し、かつ単量体混合物100重量部中の酸性官能基含有単量体の含有量が5重量部未満であることを特徴とする。
従来のカルボキシル基含有アクリル系共重合体を含有する粘着剤組成物においては、カルボキシル基等の酸性官能基が架橋点となるため凝集力及び接着力の向上に有効である反面、粘着剤層中のベースポリマーの架橋反応の生起による粘着特性の低下、特に端末剥がれを惹起するという問題がある。このため、本発明においては、粘着剤組成物のベースポリマーを特定の単量体混合物で構成し、該混合物中に含まれる酸性官能基含有単量体の含有量を特定量とすることを特徴とする。
以下、共重合体の構成単位について説明する。
本発明に係る共重合体は、その構成単位の主成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有する。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、下記一般式(1)で表される化合物が好適に使用される。式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2〜14のアルキル基を示す。
CH=C(R)COOR (1)
で示されるアルキル基は、炭素数2〜14であれば、直鎖状、分岐状及び環状のいずれの形態であってもよい。Rとしては、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、イソアミル基、へキシル基、へブチル基、2−エチルへキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基等が挙げられる。なかでも、Rとしては、炭素数2〜10のアルキル基が好ましく、ブチル基、2−エチルへキシル基等の炭素数4〜8のアルキル基がより好ましい。Rの炭素数が上記範囲外であると、粘着力が不十分となり粘着剤として機能し難くなる。なお、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、アクリル酸ブチルを単独で、又はアクリル酸ブチルとアクリル酸2−エチルへキシルとを組み合わせて使用できる。タック感を得るにはガラス転移温度を低くすることの可能なアクリル酸2−エチルへキシルのような単量体を用いることが望ましく、また端末剥がれ抑制の点からガラス転移温度を比較的高くすることの可能なアクリル酸ブチルが好適に使用される。
また、本発明に係る共重合体は、その構成単位として上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な窒素含有単量体(以下、単に「窒素含有単量体」という)を含有する。窒素含有単量体を含有することにより、凝集力及び接着力の向上が可能になるとともに、塩基性に保つことで多価金属化合物による影響を緩和することができる。
窒素含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等のアミノ基含有単量体;その他、(メタ)アクリロニトリル、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−シクロへキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。
単量体混合物100重量部中の窒素含有単量体の配合量は、通常0.5〜50重量部、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは1〜35重量部、特に好ましくは1.5〜15重量部である。0.5重量部よりも少ないと多価金属化合物の影響を排除し難くなる傾向にあり、また50重量部よりも多いと接着力の低下を招きやすくなる傾向にある。
さらに、本発明に係る共重合体は、その構成単位として(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な酸性官能基含有単量体を含有する。酸性官能基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体又はその酸無水物、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基含有不飽和単量体等が挙げられる。
アクリル酸等の酸性官能基含有単量体は、上記のごとく多価金属化合物と反応するため、本来、配合することは望ましくないが、高強度の接着力を得るためには不可欠である。このため、本発明では、酸性官能基含有単量体を以下の範囲で含有することにより、凝集力及び接着力を向上することができ、また窒素含有単量体と併用することで、多価金属化合物の影響を抑制することができることを見出した。さらに、エマルション重合をする場合には、酸性官能基含有単量体の添加で、エマルション粒子の機械的安定性を改善することができる。
単量体混合物100重量部中の酸性官能基含有単量体の配合量は5.0重量部未満であるが、好ましくは0.1〜2.0重量部、特に好ましくは0.2〜1.0重量部である。5.0重量部よりも多いと多価金属化合物の影響を受け、経時で架橋反応が進行しやすくなる。なお、高強度の接着力を得るためには、0.05重量部以上含有することが望ましい。
また、本発明に係る共重合体は、凝集力等の特性を高めるために、必要に応じて上記以外の官能基含有単量体を構成単位として含有することができる。かかる官能基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル等の水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸メチル、酢酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;シクロぺンチルジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有単量体等が挙げられる。これらの単量体は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
単量体混合物100重量部中の上記官能基含有単量体の配合量は、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.2〜2重量部である。かかる配合量とすることで、凝集力及び粘着力の向上が可能になる。
また、共重合体の重合方法は特に限定されるものではなく、通常の重合方法を採用することができる。重合方法としては、例えば、溶液重合、エマルション重合等が挙げられる。エマルション重合の方式としては、一般的な一括重合、連続滴下重合、分割滴下重合等を採用できる。これらの重合方法においては、通常知られる添加剤を用いてもよく、重合に用いる重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルプロビオンアミジン)二硫酸塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)等のアゾ系開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物系開始剤;フェニル置換エタン等の置換エタン系開始剤;芳香族カルボニル化合物;過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組み合わせ等のレドックス系開始剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、重合開始剤の配合量は、単量体混合物100重量部に対して、例えば0.005〜1重量部程度である。
エマルション重合の場合は界面活性剤を更に用いてもよく、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ボリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウム等のアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン系乳化剤等が挙げられる。なお、乳化剤の配合量は、単量体混合物100重量部に対して、通常0.1〜5重量部、好ましくは0.4〜3重量部である。
また、これら(ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン系乳化剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックボリマー等のノニオン系乳化剤等の乳化剤)にプロペニル基やアリルエーテル基等のラジカル重合性官能基(ラジカル反応性基)を導入した反応性乳化剤を用いることもできる。反応性乳化剤を用いることにより、乳化剤が共重合体の分子鎖中に結合するため、粘着剤層の表面への乳化剤の染み出しによる粘着特性、特に端末剥がれを抑制することができる。
また、連鎖移動剤を必要により含有してもよい。連鎖移動剤を含有することにより、共重合物の分子量を調節することができる。連鎖移動剤としては、例えば、1−ドデカンチオール、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸2−エチルへキシル、2,3−ジメルカブト−1−プロパノール等のメルカプタン類等が挙げられる。これら連鎖移動剤は、適宜、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、連鎖移動剤の配合量は、単量体混合物100重量部に対して、例えば、0.001〜0.5重量部程度である。連鎖移動剤を過剰に添加すると、共重合体の分子量が小さくなり過ぎるため、端末剥がれを引き起こしやすくなる。
本発明においては、粘着剤組成物の用途に応じて架橋剤を用いてもよい。架橋剤としては、通常用いる架橋剤を使用することができ、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
また、エマルション重合では、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なシラン系単量体を含有させることにより、シラノール架橋させる手法を用いてもよい。シラン系単量体としては、ケイ素原子を有するラジカル重合性化合物であれば特に限定されないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの反応性に優れる点で(メタ)アクリロイルオキシアルキルシラン誘導体等の(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物が好適である。
具体的には、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3一アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらのシラン系単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。また、上記以外のシラン系単量体として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10一アクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン等も使用できる。シラン系単量体の配合量は(メタ)アクリル酸アルキルエステルの種類や用途等に応じて適宜選択できるが、単量体混合物100重量部に対して、通常0.005〜1重量部、好ましくは0.008〜0.5重量部、より好ましくは0.01〜0.2重量部である。
シラン系単量体は、乳化時及び/又は乳化重合時に加水分解を起こし、重合後に水分散型粘着剤組成物として非常に安定な状態で存在する。粘着剤組成物を基材等に塗布し水分等の揮発成分を乾燥機等で蒸発させる際に、シラン系単量体に由来のシラノール基同士が縮合反応を起こし、共重合体が架橋する。この縮合反応は非常に速い反応であり、乾燥が完了すると同時に架橋反応もほぼ完了している。したがって、乾燥後に加熱エージングをする必要がないため、製造工程の短縮、製造コストの低減に非常に有利である。また、粘着剤組成物をそのまま乾燥するだけで架橋反応まで行えるため、架橋剤添加時の配合ミスや分散不良等による粘着特性への影響を排除できる。水分散型粘着剤組成物の架橋反応は、通常エマルション粒子の外側のみで反応が起こるため凝集性に劣るが、シラン系単量体による架橋反応はエマルション粒子の内外で均一に起こるため、凝集性はもとより、系全体の物性のバランスが非常に良好となる。
また、本発明においては、粘着剤組成物の用途に応じて粘着付与剤を含有することができる。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、キシレン樹脂、エラストマー等を挙げることができる。
さらに、本発明の粘着剤組成物には、必要に応じて粘着剤に通常使用される添加剤、例えば、老化防止剤、充填剤、顔料、着色剤等が添加されていてもよく、水分散型である場合にはpHを調整するための塩基(例えば、アンモニア水)が添加されていてもよい。
次に、本発明の粘着シートについて説明する。
図1は、本発明の粘着シートの一実施形態を示す断面図である。粘着シート10は、支持体1と、該支持体1の片面に形成された粘着剤層3とを備えるものである。粘着剤層3はそれ自体が粘着性を有しており、前述した本発明の水分散型粘着剤組成物から構成されていることを特徴とする。粘着シート10は、テープ、シート及びフィルムのいずれの形態であってもよい。
基材1としては特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレンフィルム、エチレン−プロピレン共重合体フィルム、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルム類;和紙、クラフト紙等の紙類;綿布、スフ布等の布類;ポリエステル不織布、ビニロン不織布等の不織布類;金属箔等が挙げられる。上記プラスチックフィルムは、無延伸フィルム及び延伸(一軸延伸又は二軸延伸)フィルムのいずれであってもよい。
また、基材1は多価金属化合物を含んでいてもよく、多価金属化合物を含む基材1としては、例えば上記材質に多価金属化合物を練り込んで成形されたものが挙げられる。多価金属化合物を構成する多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等が挙げられ、これらの金属は2価又はそれ以上の価数の金属イオンとなりうる。多価金属化合物としては特に限定されるものではないが、具体的には、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、珪酸アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム、珪酸アルミン酸マグネシウム、安息香酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、乳酸亜鉛、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、乳酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジアセテート、塩化第一鉄、安息香酸アルミニウム、乳酸アルミニウム等が挙げられる。
また、基材1の粘着剤組成物を塗布すべき面には、通常使用される下塗剤やコロナ放電方式等による表面処理が施されていてもよい。
基材1の厚みは目的に応じて適宜選択できるが、端末剥がれの一因となる耐反発性は基材1の曲げ弾性率と厚さの影響を多分に受けるため、厚さを可及的に薄くした方がよい。一般的には、基材1の厚さは通常10〜500μm、好ましくは30〜400μm、より好ましくは50〜300μmである。
粘着シート10は、例えば、前述した本発明の粘着剤組成物を基材1上に塗布、乾燥して粘着剤層3を形成することにより得られる。粘着剤組成物が架橋剤を含む場合には、通常、加熱により熱架橋して粘着剤層3を形成する。熱架橋は、慣用の方法、例えば、架橋剤の種類に応じて架橋反応が進行する温度にまで加熱することにより行われる。
基材1上に粘着剤組成物を塗布する場合には、慣用のコーター、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等を用いることができる。この場合、乾燥後の粘着剤層3の厚みが、通常5〜100μm程度、好ましくは10〜60μm程度、より好ましくは15〜40μm程度となるように水分散型粘着剤組成物を塗布する。
また、粘着剤層3上には剥離ライナーを備えていてもよい。剥離ライナーとしては、上記基材1で例示した材料等が挙げられる。剥離ライナーの表面には粘着剤層3からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の離型処理が施されていてもよい。なお、上記実施形態においては、基材1の片面に粘着剤層3が形成された粘着シート10について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、基材1の両面に粘着剤層3が形成された粘着シートであってもよい。
従来のカルボキシル基等を含有するアクリル系粘着剤により形成された粘着剤層を備える粘着シートの基材に多価金属化合物を含む場合には、粘着シートの保存条件が、例えば高温多湿等の悪条件であると経時で粘着特性が低下するため、被着体に貼付した後から端末剥がれ等の不具合を生じる。また、粘着シートの基材に多価金属化合物を含む場合には、保存条件が、例えば標準状態のような比較的良好な条件であっても、被着体中に多価金属化合物が含まれると、貼付直後は良好でも、徐々に端末剥がれ等の不具合を生じることになる。他方、粘着シートの基材に多価金属化合物を含まない場合には粘着シートの保存条件で粘着特性が低下することはないが、被着体中に多価金属化合物が含まれると、使用条件が、例えば高温多湿下等の悪条件であると経時で粘着特性が低下し、徐々に端末剥がれ等の不具合を生じることになる。これに対し、本発明の粘着シートにおいては、粘着剤層を構成する粘着剤組成物のベースポリマーが特定の単量体単位からなるため、粘着剤層が多価金属化合物と接触するいかなる環境(保存又は使用する環境)においても、端末剥がれを十分に抑制することができる。よって、本発明によれば粘着特性の変化が極めて少ない粘着シートとすることができる。なお、被着体としては、例えば、各種プラスチック材料、金属材料、紙材、繊維材料等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(粘着シート用基材の作製)
各実施例及び比較例において、粘着剤組成物の性能を公平に判断するため基材は全て同一のものを使用した。
エチレン−酢酸ビニル共重合体[商品名:エバフレックスEV270、三井デュポンポリケミカル(株)製]50重量部、低密度ポリエチレン[商品名:スミカセンG201、住友化学(株)製]50重量部、及び多価金属化合物としての水酸化マグネシウム(平均粒子径0.8μm)の表面を飽和脂肪酸で表面処理したもの[商品名:キスマ5A、協和化学工業(株)製]100重量部を配合し、加圧ニーダーにて混練して混合物を作製した。該混合物をカレンダー圧延機により0.16mmの厚さのフイルムに成形して粘着シート用基材を作製した。
(水分散型粘着剤組成物及び粘着シートの製造)
(実施例1)
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌機を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル70重量部、アクリル酸2−エチルへキシル27.5重量部、N−イソプロピルアクリルアミド2重量部、及びアクリル酸0.5重量部からなる単量体混合物と、架橋剤としての3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン[商品名:KBM−503、信越化学工業(株)製]0.02部を加えた。次いで、開始剤としての2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド0.05重量部と、連鎖移動剤としての1−ドデカンチオール0.05重量部を添加し、硫酸アンモニウム塩系反応性乳化剤[商品名:アクアロンHS−10、第一工業製薬(株)製]2重量部を添加した水溶液100重量部を更に加えて60℃で2時間、乳化重合を行なった。そして、反応溶液に10%アンモニウム水を添加してpH8に調整して水分散型重合体組成物を得た。
上記水分散型重合体組成物の固形分100部に対し、粘着付与剤としての重合ロジン系樹脂[商品名:E−865、荒川化学工業(株)製]10重量部(固形分)、石油系炭化水素樹脂[商品名:AP−1085、荒川化学工業(株)製]20重量部(固形分)をそれぞれ加えて水分散型粘着剤を得た。
次いで、上記で得られた基材の片面に下塗剤を施した後、水分散型粘着剤組成物を乾燥後の粘着剤層の厚さが30μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層に上記で得られた別の基材を更に貼り合わせて粘着シートを作製した。
(実施例2)
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌機を備えた反応容器に、単量体混合物の組成を、アクリル酸ブチル7重量部、アクリル酸2−エチルへキシル88重量部、N−シクロへキシルマレイミド4重量部、及びメタクリル酸1重量部からなる単量体混合物と、開始剤としての2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド0.05重量部と、連鎖移動剤としての1−ドデカンチオール0.05重量部とを添加し、硫酸アンモニウム塩系反応性乳化剤[商品名:アクアロンHS−10、第一工業製薬(株)製]2重量部を添加した水溶液100重量部を更に加えて60℃で2時間、乳化重合を行なった。そして、反応溶液に10%アンモニウム水を添加してpH8に調整して水分散型重合体組成物を得た。
上記水分散型重合体組成物の固形分100部に対し、エポキシ系架橋剤[商品名:TETRAD−C、三菱ガス化学(株)製]0.01重量部、粘着付与剤としての重合ロジン系樹脂[商品名:E−865、荒川化学工業(抹)製]20重量部(固形分)、及び石油系炭化水素樹脂[商品名:AP−1085、荒川化学工業(株)製]10重量部(固形分)をそれぞれ加えて水分散型粘着剤を得た。
次いで、上記で得られた基材の片面に下塗剤を施した後、該水分散型粘着剤を乾燥後の粘着剤層の厚さが30μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層に上記で得られた別の基材を更に貼り合わせて粘着シートを作製した。さらに、架橋反応を完了させるため、60℃で24時間エージングを行うことにより、評価サンプルを得た。
(実施例3)
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌機を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル50重量部、アクリル酸2−エチルへキシル39.5重量部、N−シクロへキシルマレイミド10重量部、メタクリル酸1重量部からなる単量体混合物と、開始剤としての2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド0.05重量部と、連鎖移動剤としての1−ドデカンチオール0.05重量部を添加し、硫酸アンモニウム塩系反応性乳化剤[商品名:アクアロンHS−10、第一工業製薬(珠)製]2重量部を添加した水溶液100重量部を更に加えて60℃で2時間、乳化重合を行なった。そして、反応溶液に10%アンモニウム水を添加してpH8に調整して水分散型重合体組成物を得た。
上記水分散型重合体組成物の固形分100部に対し、エポキシ系架橋剤[商品名:TETRAD−C、三菱ガス化学(株)製]0.03重量部、粘着付与剤としての重合ロジン系樹脂[商品名:E−865、荒川化学工業(株)製]20重量部(固形分)、及び石油系炭化水素樹脂[商品名:AP−1085、荒川化学工業(株)製]10重量部(固形分)をそれぞれ加えて水分散型粘着剤を得た。
上記で得られた基材の片面に下塗剤を施した後、該水分散型粘着剤を乾燥後の粘着剤層の厚さが30μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層に上記で得られた別の基材を更に貼り合わせて粘着シートを作製した。さらに、架橋反応を完了させるため、60℃で24時間エージングを行うことにより、評価サンプルを得た。
(実施例4)
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル70重量部、アクリル酸2−エチルへキシル24重量部、N−シクロへキシルマレイミド5重量部、メタクリル酸1重量部からなる単量体混合物と、開始剤としての2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド0.05重量部を添加し、硫酸アンモニウム塩系反応性乳化剤[商品名:アクアロンHS−10、第一工業製薬(株)製]2重量部を添加した水溶液100重量部を更に加えて60℃で2時間、乳化重合を行なった。そして、反応溶液に10%アンモニウム水を添加してpH8に調整して水分散型重合体組成物を得た。
上記水分散型重合体組成物の固形分100部に対し、エポキシ系架橋剤[商品名:TETRAD−C、三菱ガス化学(株)製]0.01重量部、粘着付与剤としての重合ロジン系樹脂[商品名:E−865、荒川化学工業(株)製]20重量部(固形分)、及び石油系炭化水素樹脂[商品名:AP−1085、荒川化学工業(珠)製]10重量部(固形分)をそれぞれ加えて水分散型粘着剤を得た。
上記で得られた基材の片面に下塗剤を施した後、該水分散型粘着剤を乾燥後の粘着剤層の厚さが30μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層に上記で得られた別の基材を更に貼り合わせて粘着シートを作製した。さらに、架橋反応を完了させるため、60℃で24時間エージングを行うことにより、評価サンプルを得た。
(比較例1)
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌機を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル7重量部、アクリル酸2−エチルへキシル92重量部、及びメタクリル酸1重量部からなる単量体混合物と、開始剤としての2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド0.05重量部を添加し、硫酸アンモニウム塩系非反応性乳化剤[商品名:エマールAD−25R、花王(株)製]2重量部を添加した水溶液100重量部を更に加えて60℃で2時間、乳化重合を行なった。そして、反応溶液に10%アンモニウム水を添加してpH8に調整して水分散型重合体組成物を得た。
上記水分散型重合体組成物の固形分100部に対し、エポキシ系架橋剤[商品名:TETRAD−C、三菱ガス化学(株)製]0.01重量部、粘着付与剤として重合ロジン系樹脂[商品名:E−865、荒川化学工業(株)製]20重量部(固形分)、及び石油系炭化水素樹脂[商品名:AP−1085、荒川化学工業(株)製]10重量部(固形分)をそれぞれ加えて水分散型粘着剤を得た。
上記で得られた基材の片面に下塗剤を施した後、該水分散型粘着剤を乾燥後の粘着剤層の厚さが30μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層に上記で得られた別の基材を更に貼り合わせて粘着シートを作製した。さらに、架橋反応を完了させるため、60℃で24時間エージングを行うことにより、評価サンプルを得た。
(比較例2)
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌機を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル90重量部、N−シクロへキシルマレイミド5重量部、アクリル酸5重量部からなる単量体混合物と、架橋剤としての3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン[商品名:KBM−503、信越化学工業(株)製]0.01重量部を添加した。次いで、開始剤としての2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミグゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド0.05重量部を添加し、硫酸アンモニウム塩系反応性乳化剤[商品名:アクアロンHS−10、第一工業製薬(株)製]2重量部を添加した水溶液100重量部を更に加えて60℃で2時間、乳化重合を行なった。そして、反応溶液に10%アンモニウム水を添加してpH8に調整して水分散型重合体組成物を得た。
上記水分散型重合体組成物の固形分100部に対し、粘着付与剤としての重合ロジン系樹脂[商品名:E−865、荒川化学工業(株)製]20重量部(固形分)、及び石油系炭化水素樹脂[商品名:AP−1085、荒川化学工業(株)製]固形分で10重量部をそれぞれ加えて水分散型粘着剤を得た。
上記で得られた基材の片面に下塗剤を施した後、該水分散型粘着剤を乾燥後の粘着剤層の厚さが30μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層に上記で得られた別の基材を更に貼り合わせて粘着シートを作製した。
(比較例3)
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌機を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル90重量部、N−イソプロピルアクリルアミド5重量部、アクリル酸5重量部からなる単量体混合物と、架橋剤としての3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン[商品名:KBM−503、信越化学工業(株)製]0.01部を添加した。次いで、開始剤としての2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド0.05重量部を添加し、硫酸アンモニウム塩系反応性乳化剤[商品名:アクアロンHS−10、第一工業製薬(株)製]2重量部を添加した水溶液100重量部を更に加えて60℃で2時間、乳化重合を行なった。そして、反応溶液に10%アンモニウム水を添加してpH8に調整して水分散型重合体組成物を得た。
上記水分散型重合体組成物の固形分100部に対し、粘着付与剤としての重合ロジン系樹脂[商品名:E−865、荒川化学工業(株)製]20重量部(固形分)、及び石油系炭化水素樹脂[商品名:AP−1085、荒川化学工業(株)製]10重量部(固形分)をそれぞれ加えて水分散型粘着剤を得た。
上記で得られた基材の片面に下塗剤を施した後、該水分散型粘着剤を乾燥後の粘着剤層の厚さが30μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層に上記で得られた別の基材を更に貼り合わせて粘着シートを作製した。
(比較例4)
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌機を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル70重量部、アクリル酸2−エチルへキシル29重量部、メタクリル酸1重量部からなる単量体混合物と、架橋剤としての3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン[商品名:KBM−503、信越化学工業(株)製]0.02部を添加した。次いで、連鎖移動剤としての1−ドデカンチオール0.05重量部、開始剤としての2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド0.05重量部を添加し、硫酸アンモニウム塩系反応性乳化剤[商品名:アクアロンHS−10、第一工業製薬(株)製]2重量部を添加した水溶液100重量部を更に加えて60℃で2時間、乳化重合を行なった。そして、反応溶液に10%アンモニウム水を添加してpH8に調整して水分散型重合体組成物を得た。
上記水分散型重合体組成物の固形分100部に対し、粘着付与剤としての重合ロジン系樹脂[商品名:E−865、荒川化学工業(株)製]20重量部(固形分)、石油系炭化水素樹脂[商品名:AP−1085、荒川化学工業(株)製]10重量部(固形分)をそれぞれ加えて水分散型粘着剤を得た。
上記で得られた基材の片面に下塗剤を施した後、該水分散型粘着剤を乾燥後の粘着剤層の厚さが30μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層に上記で得られた別の基材を更に貼り合わせて粘着シートを作製した。
[評価試験]
作製直後の各粘着シートと、温度50℃、湿度92%の環境下で4週間保存し、更に温度23℃、湿度50%の標準状態で2時間放置した後の各粘着シートについて、以下に示す方法により端末剥がれ及び接着力を評価した。評価結果を表1及び2に示す。
(端末剥がれの評価)
ASTM D1000−88(電気・電子用の感圧接着テープの試験方法)の端末剥がれ性試験法に準じて測定を行った。
具体的には次のような方法で評価を行った。
作製直後又は保存後の各粘着シートから、幅6.4mm、長さ300mmの試験片を切り取る。次いで、一方の基材を剥がし、試験片の方端に380gの荷重を付けて1分間荷重をかけた状態を保つ。その後、直径3.2mm径の鋼棒に試験片が重ならないように1層巻き付ける。
次いで、1層目と同様に、試験片の方端に380gの荷重を付けて1分間荷重をかけた後、1層目の試験片の上に2層目をハーフラップ(1/2重ね合わせ)で巻き付ける。
2層目の終点部に、長さ約3mm、幅約10mm程度の紙を挟み込んで巻き付け、紙を挟んだ直後の試験片をはさみ等で切り取る。
このように準備した試料を、他のものと接触しないように垂直に立てて固定して、23℃、50%RHの雰囲気下で7日間保存した後、紙で挟んだ端部が巻き付け部位から剥がれている長さを測定する。そして、剥がれている長さ(端末剥がれ距離)が5.0mm以下のものを合格とした。
(接着力の評価)
ASTM D1000−88(電気・電子用の感圧接着テープの試験方法)の接着力試験(A法)に準じて測定を行った。
具体的には次のような方法で評価を行った。
作製直後又は保存後の各粘着シートから、幅19mm、長さ150mmの試験片に切り出し、評価用サンプルを準備する。
次いで、最後に貼り合せた基材の裏側に、幅50mm、長さ150mm程度の鋼板を両面テープで貼り合わせる。
次いで、このサンプルの粘着剤層を基材から一旦剥がし、再度空気の混入がないように貼り付けた後に、重さ2kgのローラにて貼り合わせた箇所を1往復転がし、圧着させる。
次いで、20分間放置した後、粘着剤層と基材とが反対方向に引っ張られるように、引張試験機[AG−20KNG、(株)島津製作所製]のチャックに挟み、23℃、50%RHの雰囲気下、300m/minの速度で引っ張ることにより、180°方向の自背面接着力を測定する。そして、自背面接着力が2.0N/19mm以上である場合、接着性が良好であると判断する。
Figure 0005337183
Figure 0005337183
実施例1〜4については、単量体単位として(メタ)アクリル酸エステル、窒素含有単量体及び酸性官能基含有単量体を含み、かつ酸性官能基含有単量体を所定量含む共重合体を粘着剤組成物に含有せしめることで、50℃、湿度92%の条件で4週間保存した後でも端末剥がれの発生もほとんどなく、また接着力の低下や、異常な上昇も見られなかった。
比較例1及び4では、窒素含有単量体を含まないため、保存後に端末剥がれを生じた。また、比較例2及び3では、窒素含有単量体と酸性官能基含有単量体とを併用しているが、酸性官能基含有単量体の含有量が多いため、保存後に端末剥がれを生じ、接着力も低下した。
1…基材、3…粘着剤層、10…粘着シート

Claims (4)

  1. (メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、これと共重合可能なアクリルアミド化合物又はマレイミド化合物並びに酸性官能基含有単量体を少なくとも含む単量体混合物を、単量体混合物100重量部に対して0.1〜5重量部の反応性乳化剤を用いてエマルション重合することにより得られる共重合体を含有し、かつ単量体混合物100重量部に占める酸性官能基含有単量体の含有量が2.0重量部以下であり、
    単量体混合物100重量部に占めるアクリルアミド化合物又はマレイミド化合物の含有量が0.5〜15重量部である、
    多価金属化合物を含む被着体への貼付用の水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層が、
    基材の片面又は両面に積層されていることを特徴とする、粘着シート
  2. 多価金属化合物を含む被着体への貼付用である、請求項1記載の粘着シート。
  3. 基材が多価金属化合物を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の粘着シート。
  4. 多価金属化合物が金属水酸化物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着シート。
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