JP3489641B2 - プレコート鋼板用塗料組成物 - Google Patents

プレコート鋼板用塗料組成物

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JP3489641B2
JP3489641B2 JP29783894A JP29783894A JP3489641B2 JP 3489641 B2 JP3489641 B2 JP 3489641B2 JP 29783894 A JP29783894 A JP 29783894A JP 29783894 A JP29783894 A JP 29783894A JP 3489641 B2 JP3489641 B2 JP 3489641B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プレコート鋼板用塗料
組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、ロール塗
装におけるピックアップ性に優れ、かつ、高度の加工性
と高い硬度とを兼ね備えた強靭な架橋塗膜を与える、プ
レコート鋼板用に好適な熱硬化型塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】プレコート鋼板は、一般に亜鉛メッキ鋼
板、ステンレス鋼板、冷延鋼板などの金属板を化成処理
後、ロールコーターにより塗料を塗布し、焼付けするこ
とにより得られる。ロール塗装方法としては、その操作
方式により金属板の進行方向が塗装ロール(アプリケー
ションロール)の回転方向と同じ向きのナチュラル塗
装、逆方向のリバース塗装がある。いずれの場合におい
ても塗料皿に供給される塗料は、塗料皿中に一部分浸漬
され回転するピックアップロールにより持ち上げられ、
これをピックアップロールに接して回転するアプリケー
ションロール上に転写し、次いで、アプリケーションロ
ールに接する被塗物である金属板に再度転写することに
よりプレコート鋼板の塗装が行われる。通常、60〜1
50m/分の高速で均一な塗装がなされることから、塗
料皿からピックアップロールへの良好な持ち上げ(ピッ
クアップ性)が求められる。塗装作業性(ピックアップ
性)の向上の手段としては、各種ワックス及びフッ素樹
脂粉末などの固体、又はペースト状になった微粉末の擦
傷剤(スリップ剤)の利用が知られているほか、特開平
1−254782号公報に示される、樹脂粒子を添加す
る方法がある。しかしながら、上記の擦傷剤で十分なピ
ックアップ性を得ようとする場合には、過剰なスリップ
性が付与され、梱包されたコイルの荷崩れや施工時の作
業者の転倒事故などの危険な状態の発生する可能性があ
る。また、樹脂粒子で十分なピックアップ性を得ようと
する場合には、つや消し効果による塗膜光沢の低下、及
び、塗膜の加工性の低下などの問題がある。さらに、プ
レコート鋼板用塗料分野においては、加工性に優れ、か
つ、高度の塗膜硬度を有する塗膜への要望が強い。特
に、近年、プレコート鋼板は、その経済性、生産性など
の利点から、屋根材、壁材などの建材分野、物置、ラジ
エーターユニットなどの屋外器物、VTR、オーディ
オ、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品に広く使用されてお
り、今後もその用途は拡大する傾向にある。プレコート
鋼板用塗料の特性としては、折り曲げ、ロール成型、エ
ンボスプレスなどの成型加工に耐えるための優れた加工
性能と、耐擦傷性や耐汚染性などのための高い塗膜硬度
といった互いに相反する2つの性能を同時に満足させる
ことが必要であり、また、冬期における成型加工を考慮
した、低温での加工性も要求される。したがって、プレ
コート鋼板用塗料組成物は、上記の塗装作業性と塗膜の
加工性との両立が必要である。特開昭63−20369
号公報には微粉末シリカや架橋樹脂微粒子のような無機
あるいは有機微粒子を添加することにより、ワックスの
塗膜表面への浮きを防止したロールコーター用上塗塗料
組成物が開示されているが、この塗料は加工性を考慮し
ていない。また、特開昭58−129065号公報に
は、重合性アミノ酸化合物を共重合した架橋共重合体微
粒子を添加することにより、また、特開平3−3312
9号公報にはポリエステルにより表面を改質した架橋重
合体粒子を添加することにより、塗装時のタレを低減さ
せ厚塗りを可能とした塗装作業性の良好な塗料が提案さ
れているが、これらの塗料は高度の加工性と硬度を兼ね
備えてはいない。さらに、特開平2−269168号公
報には、高分子量ポリエステル樹脂に対するメラミン樹
脂の添加比率を増加させることによって、メラミン樹脂
の有する高い硬度を発現させ、高度の加工性と高い硬度
を同時に得ることが提示されている。しかしながら、メ
ラミン樹脂の量が増大すると、低温加工性が劣るという
欠点が生ずる。このように、低温でプレコート鋼板を直
接180度折り曲げても塗膜にクラックが生じないとい
う高度の加工性と、鉛筆硬度としてH〜2Hのような高
い硬度を同時に兼ね備えることは、従来の技術では極め
て困難であった。このようにプレコート鋼板用塗料に対
しては、折り曲げやプレス加工における高度の加工性
と、耐擦傷性を向上するための高い硬度が要求されてい
るが、現在のプレコート鋼板用塗料の主流であるテレフ
タル酸を用いた高分子量ポリエステル樹脂とメラミン樹
脂を主体とした塗料では、一般的に加工性は優れるが、
高度の塗膜硬度を実現することは極めて困難である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
プレコート鋼板に用いられる従来のポリエステル樹脂系
塗料が有する欠点を克服し、ロール塗装においてピック
アップ性に優れ、良好な加工性と高い塗膜硬度を有する
プレコート鋼板用塗料組成物を提供することを目的とし
てなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
状況に鑑みて、広範囲のプレコート鋼板用塗料に適用で
き、ロールコーターでの塗装においてピックアップ性、
均一塗布性などの塗装作業性に優れ、且つ加工性を損な
わずに硬度を付与し、耐擦傷性、耐汚染性や仕上がり外
観などの優れた塗料組成物の開発を目的とし鋭意検討し
た結果、ポリエステル樹脂とアミノ樹脂を組み合わせた
塗料に樹脂との反応が可能な官能基を持つ反応性マイク
ロゲルを加えることにより可能であることを見い出し、
この知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は、 (1)被膜を形成する成分として、水酸基を有する数平
均分子量1,000〜50,000のポリエステル樹脂及
びアミノ樹脂とを主成分とし、10〜200の水酸基価
を有する反応性マイクロゲルを含有する塗料であって、
塗料中のポリエステル樹脂及びアミノ樹脂を合計した樹
脂固形分100重量部当たり、反応性マイクロゲルの固
形分が1〜40重量部であり、該塗料のナチュラル塗装
試験における、口径260mmのブライト仕上げのピッ
クアップロールを塗料皿に2 . 5cm浸漬させて、アプ
リケーションロール90m/分の条件で行なうピックア
ップ性試験において、ピックアップロール速度が12m
/分以上であることを特徴とするプレコート鋼板用塗料
組成物、 (2)ポリエステル樹脂の数平均分子量が1,000〜
6,000である第(1)項記載のプレコート鋼板用塗料
組成物、 (3)ポリエステル樹脂の数平均分子量が3,000〜
50,000である第(1)項記載のプレコート鋼板用塗
料組成物 (4)アミノ樹脂がメラミン樹脂である第(1)〜(3)項
いずれか記載のプレコート鋼板用塗料組成物、 (5)ポリエステル樹脂が、シリコーン変性ポリエステ
ル樹脂を含有する第(1)〜(4)項いずれか記載のプレコ
ート鋼板用塗料組成物、 (6)反応性マイクロゲルの平均粒径が300nm以下
である第(1)〜(5)項いずれか記載のプレコート鋼板用
塗料組成物、 (7)反応性マイクロゲルがヒドロキシプロピルメタク
リレート単位を有する共重合体である第(1)〜(6)項
ずれか記載のプレコート鋼板用塗料組成物、及び、 (8)反応性マイクロゲルを、ポリエステル樹脂の有機
溶媒溶液と混合することにより安定化された反応性マイ
クロゲルの溶剤分散体として配合した第(1)〜(7)項
ずれか記載のプレコート鋼板用塗料組成物、を提供する
ものである。
【0005】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の塗料組成物に用いるポリエステル樹脂は、直接エ
ステル化法、エステル交換法、開環重合法などの公知の
方法を用いて得られる、水酸基を有するポリエステル樹
脂であり、その数平均分子量は1,000〜50,00
0、より好ましくは1,500〜25,000である。こ
の分子量範囲において、ポリエステル樹脂の分子量が低
いときは、得られるプレコート鋼板用塗料組成物の塗装
作業性が特に良好であり、ポリエステル樹脂の分子量が
高いときは、得られる塗膜の加工性と塗膜硬度が特に良
好である。ポリエステル樹脂の数平均分子量が1,00
0未満の場合は、硬化塗膜としたとき架橋密度が高くな
りすぎるため柔軟性が低下し、加工性に問題を生ずるお
それがある。また、ポリエステル樹脂の数平均分子量が
50,000を超えると溶液の粘度が高くなり、取扱い
が困難となり、塗料とした場合の塗装作業性に問題を生
ずるおそれがある。本発明において、ロール塗装におい
てピックアップ性の特に良好なプレコート鋼板用塗料組
成物を得るためには、ポリエステル樹脂の数平均分子量
が1,000〜6,000であることが好ましく、1,5
00〜4,000であることがより好ましく、2,500
〜3,500であることがさらに好ましい。加工性及び
硬度が共に特に優れた塗膜を与えるプレコート鋼板用塗
料組成物を得るためには、ポリエステル樹脂の数平均分
子量が3,000〜50,000であることが好ましく、
5,000〜25,000であることがより好ましく、1
5,000〜22,500であることがさらに好ましい。
所望するプレコート鋼板用塗料組成物の特性に応じて、
適当な数平均分子量を有するポリエステル樹脂を選択す
ることができる。ポリエステル樹脂の水酸基は、アミノ
樹脂との加熱硬化反応に不可欠な官能基である。本発明
に用いられるポリエステル樹脂の水酸基価は、2〜25
0であることが好ましく、3〜150であることがより
好ましい。本発明の塗料組成物に用いるポリエステル樹
脂は、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重
縮合により合成することができる。多価カルボン酸とし
ては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、
フマル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル
酸などの二塩基酸類及びそれらの無水物類、トリメリッ
ト酸、ピロメリット酸などの三価以上の多価カルボン酸
類及びそれらの無水物類などが挙げられる。また、多価
アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、1,4−ヘキサンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノー
ルなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールエタ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールな
どの三価以上の多価アルコール類などが挙げられる。 本発明の塗料組成物に用いるポリエステル樹脂は、ま
た、多価カルボン酸の低級アルキルエステルと多価アル
コールとのエステル交換による縮重合によっても得るこ
とができる。さらに、本発明の塗料組成物に用いるポリ
エステル樹脂は、β−プロピオラクトン、δ−バレロラ
クトン、ε−カプロラクトンなどのラクトン類の開環重
合によっても得ることができる。市販されているこのよ
うなポリエステル樹脂としては、例えば、バイロン56
[東洋紡績(株)製]、エリーテルUE−3250[ユニ
チカ(株)製]、エスペル1612[日立化成工業(株)
製]などを挙げることができる。
【0006】本発明の塗料組成物において、硬化剤とし
て用いるアミノ樹脂としては、例えば、n−ブチル化メ
ラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂などのメラミン
樹脂や、ベンゾグアナミン樹脂などが挙げられる。これ
らの樹脂は、通常、メラミン、ベンゾグアナミンなどの
アミノ化合物に、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデ
ヒドなどのアルデヒドを付加反応、または、付加縮合反
応させて得られものを、炭素数1〜4の1価のアルコー
ルでエーテル化して得ることができる。このようなメラ
ミン樹脂の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、
n−ブトキシ基、i−ブトキシ基などを有するアルコキ
シメラミン樹脂があり、メラン22[日立化成工業(株)
製]、スーパーベッカミンJ−820−60[大日本イ
ンキ化学工業(株)製]などのブチル化メラミン樹脂、サ
イメル325[三井サイアナミッド(株)製]などのメチ
ル化メラミン樹脂、サイメル254[三井サイアナミッ
ド(株)製]などのメチル/ブチル混合メラミン樹脂が、
市販されている。本発明の塗料組成物において、数平均
分子量5,000〜50,000のポリエステル樹脂を使
用する場合には、メラミン樹脂としては、アルキル基の
炭素数が1〜4であるアルキルエーテル化メラミン樹脂
が好ましい。また、メラミン1分子中のアミノ基の6個
の水素中平均して2〜6個が置換されているものが好ま
しく、6個の水素中平均して4〜6個が置換されている
ものがより好ましい。市販されているこのようなメラミ
ン樹脂としては、例えば、サイメル303[三井サイア
ナミッド(株)製]、スミマールM40S[住友化学工業
(株)製]などを挙げることができる。本発明の塗料組成
物においては、ポリエステル樹脂としてシリコーン変性
ポリエステル樹脂を使用することができる。ポリエステ
ル樹脂のシリコーン変性に関しては、例えば、「塗料用
合成樹脂入門(北岡協三著:高分子刊行会1987
年)」の211ページに記載されているように、シリコ
ーン樹脂中の水酸基、または、メトキシ基とポリエステ
ル樹脂との共重合を利用して得ることができる。シリコ
ーン変性に用いられる中間体としては、末端にメトキシ
基を有するKR−9218[信越化学工業(株)製]、T
SR−165[東芝シリコーン(株)製]などや、末端に
水酸基を有するX−22−160AS、X−22−17
6B[信越化学工業(株)製]などの変性シリコーンオイ
ルが知られている。また、シリコーン変性ポリエステル
樹脂として、KR−5221[信越化学工業(株)製]な
どが市販されており、これらの樹脂を単独、または、ポ
リエステル樹脂とのコールドブレンドにて使用してもよ
い。本発明において、マイクロゲルとは、α,β−エチ
レン性不飽和単量体と多官能性単量体をエマルション共
重合することにより得られる微細な粒径の架橋樹脂微粒
子である。本発明の塗料組成物において用いる反応性マ
イクロゲルとは、例えば、水酸基のような反応性のある
官能基を表面に有するマイクロゲルのことである。この
反応性マイクロゲルを溶剤型塗料に用いるには、マイク
ロゲル水分散体の水を有機溶媒と置換することが必要で
ある。さらには、この置換された反応性マイクロゲルの
分散液を、ポリエステル樹脂の有機溶媒溶液と混合する
ことにより、樹脂微粒子の分離を防ぎ、安定化すること
ができる。反応性マイクロゲルの製造方法は、例えば、
特開平3−33129号公報、特開平3−215578
号公報などに記載があり、公知となっている。
【0007】本発明の塗料組成物に用いる反応性マイク
ロゲルの平均粒径は、10〜300nmであることが好
ましく、20〜100nmであることがさらに好まし
い。反応性マイクロゲルの平均粒径が10nm未満の場
合は、不安定性になりやすく製造が困難であり、平均粒
径が300nmを超える場合は、塗膜の光沢低下を起こ
しやすい。反応性マイクロゲルの水酸基は、メラミン樹
脂との加熱硬化反応に不可欠な官能基である。本発明に
用いられる反応性マイクロゲルの水酸基価は、10〜2
00、好ましくは20〜150、より好ましくは30〜
100である。反応性マイクロゲルの水酸基価が10未
満の場合は、アミノ樹脂との反応が不十分となり、塗膜
中の樹脂成分として組み込まれない結果、加工性が低下
する。また、反応性マイクロゲルの水酸基価が200を
超える場合は、アミノ樹脂との反応が過剰となり加工性
が低下する。反応性マイクロゲルを加える量は、塗料中
の樹脂固形分100重量部当たり、反応性マイクロゲル
中の固形分が1〜40重量部となるよう加えるのが好ま
しく、反応性マイクロゲル中の固形分が3〜20重量部
になるよう加えることがより好ましい。加える反応性マ
イクロゲル中の固形分が、塗料中の樹脂固形分100重
量部当たり1重量部未満の場合は、反応性マイクロゲル
による効果がほとんど認められず、硬度変化、塗装作業
性への寄与ともにほとんどない。反応性マイクロゲル中
の固形分が、塗料中の樹脂固形分100重量部当たり4
0重量部を超える場合は、塗膜光沢の低下や軟質な樹脂
分が少なくなることによる加工性の低下をもたらす。な
お、塗料中の樹脂固形分とは、ポリエステル樹脂又はポ
リエステル樹脂溶液中の樹脂固形分とアミノ樹脂又はア
ミノ樹脂溶液中の樹脂固形分の合計量をいう。また、反
応性マイクロゲル溶液固形分とは、反応性マイクロゲル
溶液中の固形分であり、反応性マイクロゲルをポリエス
テル樹脂の有機溶媒溶液と混合することにより安定化さ
れた反応性マイクロゲルの有機溶媒分散液にあっては、
マイクロゲルの樹脂微粒子とポリエステル樹脂の合計し
た固形分に相当する量である。本発明の塗料組成物にお
いて、顔料の分散や塗料の希釈などに使用する溶剤は、
特に限定されないが、芳香族炭化水素系溶剤は、ポリエ
ステル樹脂に対する溶解力が十分ではないため、メチル
エチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケ
トン系の溶剤、及び/又は、ブチルセロソルブ、グルタ
ル酸ジメチルエステル、酢酸イソブチルなどのエステル
系の溶剤と混合して使用することが好ましい。
【0008】本発明の塗料組成物は、上塗塗料として、
通常、乾燥塗膜厚が3〜50μm、好ましくは5〜30
μmの範囲で用いられる。また、通常、塗料に用いられ
る消泡剤、レベリング剤、擦傷剤(スリップ剤)などの
添加剤は、なんら差し支えなく併用することができる。
被塗物としては、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気
亜鉛メッキ鋼板、合金メッキ鋼板、アルミニウム鋼板、
ステンレス鋼板、銅板、銅メッキ鋼板、錫メッキ鋼板な
どの金属板、又はこれらの金属板にリン酸塩系やクロム
酸塩系などの表面処理を施した金属板が用いられる。ま
た、下塗塗料としては、一般にプレコート鋼板用に用い
られるエポキシ樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗料な
どを用いることができる。本発明の塗料用組成物は、ロ
ール塗装を念頭にいれたものであるが、例えば、カーテ
ンフローコーター塗装、スプレー塗装などの塗装方法を
用いることも可能である。本発明の塗料組成物は、ナチ
ュラル塗装、又は、リバース塗装などのロール塗装方法
で好適に使用することができる。塗装時の塗料粘度は、
フォードカップ#4(25℃)で、50〜180秒であ
ることが好ましい。塗料粘度が50秒未満であると塗膜
がつきにくく、180秒を超えると、塗膜にむらを生じ
均一性を欠き易い。なお、本発明の塗料組成物のピック
アップ性は次のようにして確かめられる。すなわち、ナ
チュラル塗装の場合、ピックアップロールへ塗料が持ち
上がり、アプリケーションロールに転写される際、ピッ
クアップ性の悪い塗料では、ピックアップロール上が均
一な面とならず、肉眼により容易に判定することができ
る。リバース塗装の場合、ピックアップロールへ塗料が
持ち上がりアプリケーションロールに転写される際、過
剰な塗料はカーテン状に塗料皿に落ちる。この落ちる状
態がピックアップ性の悪い塗料ではカーテンが均一とな
らず、所々に切れ間ができ、肉眼にてピックアップ性を
評価することができる。また、ナチュラル塗装、リバー
ス塗装いずれの方法においても、アプリケーションロー
ルから被塗物への転写性については、不均一なものは
「むら」が発生し、肉眼により、容易に判定できる。ピ
ックアップ性の悪い塗料は被塗物への塗料の転写が不十
分なため、被塗物の塗布量を測定することで評価ができ
る。本発明のプレコート鋼板用塗料組成物においては、
加工性、ピックアップ性、均一転写性などにおいて、反
応性マイクロゲルを加えない塗料に比べて、十分な改善
効果が認められる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の詳細を実施例を挙げて説明す
るが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定を受
けるものではない。実施例1〜9及び比較例1〜2にお
いては、塗膜性能評価は、下記の試験方法によって行っ
た。 (1)塗膜光沢:60度鏡面光沢度、JIS K 540
0 7.6に準拠。 (2)鉛筆硬度:JIS K 5400 8.4.2に規定
する鉛筆引っかき試験を行い、塗膜の破れにより評価し
た。 (3)加工性:2T折り曲げ部、及び4T折り曲げ部に
セロハンテープを当てその上からこすり、十分に接着し
ていることを確認した後、力強くテープを引き剥がす。
テープへの塗膜の付着量により評価する。評価基準は次
の通りである。 ◎:全く、ハガレが認められない ○:ハガレがわずかに認められる △:かなりハガレが認められる ×:塗膜が、完全に剥離している (4)耐衝撃性:デュポン衝撃試験機を用い、1kgの荷
重を50cmの高さから落下させ、凸部及び凹部にセロハ
ンテープを当て、その上からこすり、十分に接着してい
ることを確認した後、力強くテープを引き剥がす。テー
プへの塗膜の付着量により評価する。評価基準は次の通
りである。 ◎:全く、ハガレが認められない ○:ハガレがわずかに認められる △:かなりハガレが認められる ×:塗膜が、完全に剥離している (5)耐汚染性:20℃の室内において、赤マジックイ
ンキ(油性インキ)で塗面に線を引き、24時間室内に
放置後、キシロールを浸みこませたガーゼにて拭き取
り、拭き取った後の汚れの残り具合を目視にて評価す
る。評価基準は次の通りである。 ◎:跡が認められない。 ○:跡がわずかに認められる。 △:かなり跡が残る。 ×:跡が濃く残る。 (6)耐溶剤性:20℃の室内において、4枚に折り畳
んだガーゼにキシロールを浸みこませ、約1kg/cm2
荷重をかけて約5cmの長さの間を往復させ、プライマー
塗膜が見えるまでの往復回数により評価する。評価基準
については以下の通りとする。 ◎:100回以上 ○:80回以上100回未満 △:60回以上80回未満 ×:60回未満 (7)耐酸性:JIS K 5400 8.22に準拠。5
重量%硫酸に20℃、24時間浸漬。 (8)耐アルカリ性:JIS K 5400 8.21に準
拠。5重量%苛性ソーダ水溶液に20℃、24時間浸
漬。 (9)ピックアップ性(ナチュラル塗装での評価):
(株)石田鉄工製ストリップ用テストコーティングマシー
ンを用い、口径260mmのピックアップロール(ブライ
ト仕上げ)を塗料皿に2.5cm浸漬させる。ロールの回
転方向は、ピックアップロールをリバースとし、アプリ
ケーションロールは、ナチュラルとする。(一般に、ナ
チュラル塗装と称する方法で、より詳しくは、リバース
/ナチュラル方式をいう。)次いで、アプリケーション
ロールのスピードを90m/分に固定し、ピックアップ
ロールの回転速度を少しづつ上げる。この時、ピックア
ップロール上に、均一にピックアップされなくなる点が
あり、この時のピックアップロールの速度を記録する。
ピックアップ性の良い塗料ほどピックアップロールの速
度が大きくなることで、評価ができる。評価基準につい
ては以下の通りとする。 ◎:14m/分以上 ○:12m/分以上14m/分未満 △:10m/分以上12m/分未満 ×:10m/分未満 (10)ピックアップ性(リバース塗装での評価):上
記のテストコーティングマシーンを用いて試験を行う。
ロールの回転方法は、ピックアップロールをナチュラル
とし、アプリケーションロールは、リバースとする。
(一般に、リバース塗装と称する方法で、より詳しく
は、ナチュラル/リバース方式をいう)。ラインスピー
ドの設定を90m/分に固定し、ピックアップロール及
びアプリケーションロールの回転スピードの比率を順次
変えていった場合のカーテンの状態を観察する。均一な
カーテンのできている塗装条件が、ピックアップ性の良
好な領域であり、肉眼での評価が可能である。ただし、
ピックアップ性の評価においては、塗料はフォードカッ
プ#4(25℃)にて80秒となるように粘度調整し、
ロール塗装試験に供した。
【0010】参考例1 ポリエステル樹脂ワニスの製造 加熱装置、撹拌装置、還流装置、分水器精留塔及び温度
計を備えたフラスコに、アジピン酸560重量部、イソ
フタル酸960重量部、トリメチロールプロパン280
重量部、ネオペンチルグリコール916重量部を仕込
み、反応温度を170℃まで昇温させる。反応縮合水が
生成し始めたら系外に留去しながら、3時間かけて22
0℃まで均一な速度で昇温し、そのまま2時間反応を続
ける。その後、キシロール80重量部を添加し、キシロ
ール還流法により縮合反応を続け、樹脂酸価が15に達
したら、反応を終了し、冷却後ソルベッソ100[芳香
族炭化水素系溶剤、エクソン化学(株)製]604重量
部、シクロヘキサノン400重量部、ブチルカルビトー
ル200重量部で希釈し、固形分65重量%、気泡粘度
V〜X、数平均分子量3,030(ポリスチレン換算)
のポリエステル樹脂ワニス(P−1)を調製した。 製造例1〜7 反応性マイクロゲルの製造例1 温度計、撹拌機、窒素導入口、コンデンサー及び滴下ロ
ートを備えたフラスコ内に、脱イオン水1523.6重
量部、ラピゾールB−90[日本油脂(株)製、ジ−2−
エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの商品名、有
効成分90%]35.6重量部を仕込み、撹拌しながら
80℃にまで昇温した。次に、脱イオン水20重量部に
過硫酸カリウム0.4重量部を溶解させた水溶液を加え
た後、メチルメタクリレート120重量部、ジビニルベ
ンゼン34重量部、エチレングリコールジメタクリレー
ト46重量部のモノマー混合液を、2時間かけて連続的
に滴下した後、80℃で1時間重合させた。さらに、脱
イオン水20重量部に過硫酸カリウム0.4重量部を溶
解した水溶液を加え、メチルメタクリレート95.6重
量部、ヒドロキシプロピルメタクリレート38.6重量
部、エチレングリコールジメタクリレート66重量部の
モノマー混合液を、80℃を保ちつつ2.5時間かけて
連続的に滴下した後、さらに80℃で1時間重合させ
て、反応を終了させ、反応性マイクロゲル−1の水分散
体を得た。得られた反応性マイクロゲルの平均粒径は4
4nm、水酸基価は75mgKOH/g(計算値)であり、
水分散体の固形分は20.7重量%であった。次いで室
温まで冷却した後、反応性マイクロゲルの水分散体10
00重量部に、n−ブタノール480重量部、イソプロ
パノール20重量部を加え、2時間放置したところ、透
明な水層と反応性マイクロゲルの分散した溶剤層に分離
した。次に、温度計、撹拌機、コンデンサーを備えたフ
ラスコ内にデカンテーションによって取り出した溶剤層
を仕込み、シクロヘキサノン300重量部、イソホロン
200重量部、上記参考例1で得られたポリエステル樹
脂ワニス308重量部を加えた後、共沸脱水により水を
完全に除去し、反応性マイクロゲルの溶剤分散体(M−
1)を得た。得られた反応性マイクロゲルの溶剤分散体
の固形分は26.9重量%であった。また、この反応性
マイクロゲルの溶剤分散体の固形分のうち、50重量%
がマイクロゲルの樹脂微粒子であり、50重量%がポリ
エステル樹脂である。製造例1と同様にして、第1表の
配合組成の反応性マイクロゲルの溶剤分散体(M−2)
〜(M−7)を調製した。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】[注] MMA:メチルメタクリレート BMA:ブチルメタクリレート HPMA:ヒドロキシプロピルメタクリレート DVB:ジビニルベンゼン EGDM:エチレングリコールジメタクリレート 1,6−HDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレー
ト 実施例1 塗料化は、第2表の配合に基づき、以下の方法にて調製
し、試験に供した。第2表に示す二酸化チタン120重
量部、ポリエステル樹脂ワニス(P−1)60重量部、
及び、ソルベッソ#100とシクロヘキサノンとが等重
量からなる混合溶剤50重量部とをペイントシェイカー
に仕込み、二酸化チタンの粒度が10μm以下となるま
で分散した。次に、残りのポリエステル樹脂ワニス4
7.7重量部、メラミン樹脂33.3重量部、及び、消泡
・レベリング剤0.5重量部とを加えた後、反応性マイ
クロゲルの溶剤分散体(M−1)74.3重量部を少量
づつ撹拌しながら加え、全て加え終わった後、さらに充
分に撹拌をした。
【0014】
【表3】
【0015】[注]配合量は、いずれの場合においても
固形分表示である。 ポリエステル樹脂ワニス(P−1):参考例1のポリエ
ステル樹脂ワニス メラン22:日立化成工業(株)製、商品名、ブチル化メ
ラミン樹脂、固形分60重量% CR−97:石原産業(株)製、商品名、二酸化チタン ミキレベリングMKコンク:共栄社油脂(株)製、商品
名、消泡・レベリング剤 厚さ0.35mmのリン酸亜鉛処理された溶融亜鉛メッキ
鋼板上にエポキシ樹脂系プレコート鋼板用プライマー塗
料、プレカラープライマーNP−16[日本油脂(株)
製、商品名]を乾燥塗膜厚が5μmになるように塗装
し、素材の最高到達温度が220℃となるように1分間
焼き付け、プライマー塗装鋼板を得た。このプライマー
塗装鋼板上に上記の上塗塗料をバーコーターにて乾燥塗
膜厚が約20μmになるように塗装し、素材の最高到達
温度が220℃となるように1分間焼き付け、上塗塗装
鋼板を得た。得られた塗装鋼板について各種試験を行
い、その試験結果を第3表に記載した。 実施例2〜9 第2表に示す塗料配合に従って、実施例1と同様にし
て、実施例2〜9の塗料を調製し、また、塗装鋼板を作
製し、各種の試験を行った。 比較例1〜2 第2表に示す塗料配合に従って、実施例1と同様にして
塗料化を行い、比較例1〜2の塗料を得た。さらに、実
施例1と同様にして塗装鋼板を作製した。これらの塗装
鋼板について塗膜性能試験を行い、試験結果を第3表に
示した。
【0016】
【表4】
【0017】第3表の結果より、本発明の反応性マイク
ロゲルを配合した実施例1〜9の塗料組成物は、いずれ
もピックアップ性が良好であることがわかる。また、マ
イクロゲル添加率の比較的小さい実施例7に比較して、
マイクロゲル添加率の大きい実施例1〜6及び実施例8
〜9のピックアップ性が一段と優れていることからも、
ピックアップ性の向上は反応性マイクロゲルの効果であ
ることが分かる。これに対して、反応性マイクロゲルを
配合しない比較例1の塗料組成物はピックアップ性が不
良であり、水酸基を有しないマイクロゲルを配合した比
較例2の塗料組成物はピックアップ性が劣っている。さ
らに、第3表の結果から、塗膜性能も実施例1〜9の塗
膜は、比較例1〜2の塗膜に比べて、硬度と加工性のバ
ランスのとれた良好な結果を示していることが分かる。
特に、比較例2のように、水酸基を有しないマイクロゲ
ルを配合した場合には、塗膜の加工性が低下し、また、
耐溶剤性も劣るなど、マイクロゲルが架橋に寄与してい
ないことによる塗膜性能の低下が認められる。実施例1
及び比較例1の塗料組成物のリバース塗装作業性の評価
結果を図に示す。図1は、実施例1の塗料組成物のリバ
ース塗装作業性を示す図であり、図2は、比較例1の塗
料組成物のリバース塗装作業性を示す図である。これら
の図において、斜線で示す領域がカーテンの良好な領域
である。両図を比較すると、実施例1の塗料組成物の方
が、リバース塗装においても、比較例1の塗料組成物に
比べ、塗装作業性の良好な領域がはるかに広いことが分
かる。実施例10〜14及び比較例3〜4によって得ら
れた塗膜は下記の試験方法によって評価した。 (1)鉛筆硬度:JIS K 5400 8.4.2に規定
する鉛筆引っかき試験を行い、塗膜のすり傷により評価
した。 (2)加工性:20℃又は5℃の室内に1時間おいたの
ち、塗面を外側にして試験板を180度曲げて、折り曲
げ部分を30倍のスコープで見てワレが発生しなくなる
T数を表示した。T数とは折り曲げ部分の内側に何も挟
まず、180度折り曲げを行った場合を0T、試験板と
同じ厚さの板を1枚挟んで折り曲げた場合を1T、2
枚、3枚、4枚を挟んだ場合をそれぞれ2T、3T、4
Tと表した。 (3)耐汚染性:20℃の室内において、赤マジックイ
ンキ(油性インキ)で塗面に線を引き、24時間室内に
放置後、キシロールを浸みこませたガーゼにて拭き取
り、拭き取った後の汚れの残り具合を目視にて評価し
た。評価基準は次の通りである。 ◎:跡が認められない。 ○:跡がわずかに認められる。 △:かなり跡が残る。 ×:跡が濃く残る。 (4)耐溶剤性:20℃の室内において、折り畳んだガ
ーゼにメチルエチルケトンを浸みこませ、約1kg/cm2
の加重をかけて約5cmの長さの間を往復させ、プライマ
ー塗膜が見えるまでの往復回数を測定した。100回の
往復でもプライマー塗膜が見えないものは、100<と
表示した。
【0018】反応性マイクロゲルの製造例8 温度計、撹拌機、窒素導入口、コンデンサー及び滴下ロ
ートを備えたフラスコ内に、脱イオン水1523.6重
量部、ラピゾールB−90[日本油脂(株)製、ジ−2−
エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの商品名、有
効成分90%]35.6重量部を仕込み、内部を窒素で
置換したのち、撹拌しながら80℃まで昇温した。次
に、脱イオン水20重量部に過硫酸カリウム0.4重量
部を溶解した水溶液を加えたのち、ブチルアクリレート
15重量部、メチルメタクリレート105重量部、ジビ
ニルベンゼン34重量部、エチレングリコールジメタク
リレート46重量部の単量体混合液を、反応温度80℃
を保ちつつ2時間かけて連続的に滴下したのち、さらに
80℃で1時間重合を続けた。さらに、脱イオン水20
重量部に過硫酸カリウム0.4重量部を溶解した水溶液
を加え、ブチルアクリレート12重量部、メチルメタク
リレート83.5重量部、ヒドロキシプロピルメタクリ
レート38.5重量部、エチレングリコールジメタクリ
レート66重量部の単量体混合液を、反応温度80℃を
保ちつつ2.5時間かけて連続的に滴下したのち、さら
に80℃で1時間重合を続けて反応を終了し、反応性マ
イクロゲル−1の水分散体を得た。得られた反応性マイ
クロゲルの平均粒径は30nmであった。また、この反
応性マイクロゲルの水酸基価は37.5mgKOH/g(計算
値)である。次いで、この反応性マイクロゲルの水分散
体1000重量部に、n−ブタノール480重量部及び
イソプロパノール20重量部の混合液を加えて撹拌した
のち、2時間放置したところ、透明な水相と反応性マイ
クロゲルの分散した溶剤相に分離した。次に、温度計、
撹拌機、コンデンサーを備えたフラスコ内にデカンテー
ションによって取り出した溶剤相を仕込み、シクロヘキ
サノン300重量部、イソホロン200重量部、エスペ
ル1612[日立化成工業(株)製ポリエステル樹脂の商
品名、固形分40重量%]500重量部を加えたのち、
共沸脱水により水を完全に除去した。得られた反応性マ
イクロゲル及びポリエステル樹脂を含有する反応性マイ
クロゲルの溶剤分散体(M−8)の固形分は23.8重
量%であった。この反応性マイクロゲルの溶剤分散体の
固形分のうち、50重量%がマイクロゲルの樹脂微粒子
であり、50重量%がポリエステル樹脂である。 反応性マククロゲルの製造例9 反応性マイクロゲルの製造例1におけるブチルアクリレ
ート及びメチルメタクリレートの全量をスチレンに置き
換え、その他の条件は同一として、反応性マイクロゲル
−2の水分散体を得た。得られた反応性マイクロゲルの
平均粒径は、30nmであった。また、この反応性マイ
クロゲルの水酸基価は37.5mgKOH/g(計算値)であ
る。以下、反応性マイクロゲルの製造例1と同様な方法
で水を完全に除去した。得られた反応性マイクロゲル及
びポリエステル樹脂を含有する反応性マイクロゲルの溶
剤分散体(M−9)の固形分は23.8重量%であっ
た。 実施例10〜14 第4表に示す塗料配合に従って、以下の方法で実施例1
0〜14の塗料を調製した。得られた塗料を用いて、以
下の方法で鋼板に塗料を塗布し焼き付けて塗装鋼板を作
製した。
【0019】
【表5】
【0020】[注] 1)S−1612:商品名「エスペル1612」、日立
化成工業(株)製、ポリエステル樹脂、分子量約20,0
00;固形分40重量%。 2)UE3250:商品名「エリーテルUE−325
0」、ユニチカ(株)製、ポリエステル樹脂、分子量約1
7,500;固形分40重量%。 3)RV−56:商品名「バイロン 56CS」、東洋
紡績(株)製、ポリエステル樹脂、分子量約20,00
0;固形分40重量%。 4)サイメル303:メチル化メラミン樹脂、三井サイ
アナミッド(株)製、商品名;固形分100重量%。 5)CR−97:二酸化チタン、石原産業(株)製、商品
名。 6)製造例8により調製した反応性マイクロゲルの溶剤
分散体;固形分23.8重量%。この反応性マイクロゲ
ルの溶剤分散体の固形分のうち、50重量%がマイクロ
ゲルの樹脂微粒子であり、50重量%がポリエステル樹
脂である。 7)製造例9により調製した反応性マイクロゲルの溶剤
分散体;固形分23.8重量%。この反応性マイクロゲ
ルの溶剤分散体の固形分のうち、50重量%がマイクロ
ゲルの樹脂微粒子であり、50重量%がポリエステル樹
脂である。 8)ネイキュア5225:ドデシルベンゼンスルホン酸
のアミンブロック体、米国キングインダストリー社製、
商品名。 まず、顔料をポリエステル樹脂の一部及び溶剤と共にペ
イントシェイカーで粒度が10μm以下となるまで分散
した。次に、残りのポリエステル樹脂及びメラミン樹脂
を加えた。次に、あらかじめ合成した反応性マイクロゲ
ルの溶剤分散体を少量づづ撹拌しながら加え、全て加え
終わったのち、さらに充分に撹拌を行った。厚さ0.4m
mのリン酸亜鉛処理された電気亜鉛メッキ鋼板上に、プ
レコート鋼板用プライマー塗料、プレカラープライマー
P−44A[日本油脂(株)製、商品名]を乾燥膜厚が5
μmになるように塗装し、素材到達温度220℃となる
よう焼き付け、プライマー塗装鋼板を得た。このプライ
マー塗装鋼板上に上記のようにして得た各上塗塗料をバ
ーコーターにて乾燥膜厚が約20μmになるように塗装
し、素材到達温度230℃となるよう焼き付け、各上塗
塗装鋼板を得た。得られた塗装鋼板について各種試験を
行い、試験結果を第4表に示した。 比較例3〜4 第4表に示す塗料配合に従って、実施例10〜14と同
様にして塗料化を行い、比較例3〜4の塗料を得た。さ
らに、実施例10〜14と同様にして塗装鋼板を作製し
た。これらの塗装鋼板について塗膜性能試験を行い、試
験結果を第4表に示した。実施例10〜14の塗膜の鉛
筆硬度はすべてH又は2Hであり、プレコート鋼板の塗
膜として十分な硬度を有している。加工性試験は、20
℃においても、5℃においてもすべて0Tであり、これ
らの塗装鋼板はすべて室温においても低温においても加
工性に優れている。耐汚染性試験では、赤マジックイン
キの跡が認められないか、あるいはわずかに認められる
程度であり、耐汚染性も良好であった。反応性マイクロ
ゲルの固形分が、塗料中の樹脂固形分100重量部当た
り、0.8重量部しか含有していない比較例3の塗膜
は、鉛筆硬度がHBと低く、耐汚染性試験では赤マジッ
クインキの跡がかなり残った。また、反応性マイクロゲ
ルの固形分の含有量が、塗料中の樹脂固形分100重量
部当たり、54重量部と多い比較例4の塗膜は、鉛筆硬
度は2Hと高いが、加工性は20℃では2T、5℃では
4Tであり、加工性に劣っていた。
【0021】
【発明の効果】本発明の塗料組成物は、反応性マイクロ
ゲルが、樹脂と架橋反応を起こし、樹脂の一部として構
成されるために、光沢の低下や加工性の低下を招くこと
なく、塗膜の硬度を向上し、耐擦傷性や耐汚染性に優れ
た塗膜を与える。さらに、塗装作業性においても、ピッ
クアップ性が改善され、厚膜塗装や高速塗装への対応が
可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1の塗料組成物のリバース塗装
作業性を示す図である。
【図2】図2は、比較例1の塗料組成物のリバース塗装
作業性を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高 秀雄 神奈川県藤沢市大庭5056−1 湘南スカ イハイツ1−5−5084 (56)参考文献 特開 昭55−75403(JP,A) 特開 平3−215578(JP,A) 特開 平1−254782(JP,A) 特開 昭63−20369(JP,A) 特開 昭61−42579(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 167/00 - 167/08 B05D 7/14 C09D 161/28

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被膜を形成する成分として、水酸基を有す
    る数平均分子量1,000〜50,000のポリエステル
    樹脂及びアミノ樹脂とを主成分とし、10〜200の水
    酸基価を有する反応性マイクロゲルを含有する塗料であ
    って、塗料中のポリエステル樹脂及びアミノ樹脂を合計
    した樹脂固形分100重量部当たり、反応性マイクロゲ
    ルの固形分が1〜40重量部であり、該塗料のナチュラ
    ル塗装試験における、口径260mmのブライト仕上げ
    のピックアップロールを塗料皿に2 . 5cm浸漬させ
    て、アプリケーションロール90m/分の条件で行なう
    ピックアップ性試験において、ピックアップロール速度
    が12m/分以上であることを特徴とするプレコート鋼
    板用塗料組成物。
  2. 【請求項2】ポリエステル樹脂の数平均分子量が1,0
    00〜6,000である請求項1記載のプレコート鋼板
    用塗料組成物。
  3. 【請求項3】ポリエステル樹脂の数平均分子量が3,0
    00〜50,000である請求項1記載のプレコート鋼
    板用塗料組成物。
  4. 【請求項4】アミノ樹脂がメラミン樹脂である請求項1
    〜3いずれか記載のプレコート鋼板用塗料組成物。
  5. 【請求項5】ポリエステル樹脂が、シリコーン変性ポリ
    エステル樹脂を含有する請求項1〜4いずれか記載のプ
    レコート鋼板用塗料組成物。
  6. 【請求項6】反応性マイクロゲルの平均粒径が300n
    m以下である請求項1〜5いずれか記載のプレコート鋼
    板用塗料組成物。
  7. 【請求項7】反応性マイクロゲルがヒドロキシプロピル
    メタクリレート単位を有する共重合体である請求項1〜
    いずれか記載のプレコート鋼板用塗料組成物。
  8. 【請求項8】反応性マイクロゲルを、ポリエステル樹脂
    の有機溶媒溶液と混合することにより安定化された反応
    性マイクロゲルの溶剤分散体として配合した請求項1〜
    いずれか記載のプレコート鋼板用塗料組成物。
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