JP3488853B2 - 脱臭剤、脱臭方法、脱臭部材および脱臭装置 - Google Patents

脱臭剤、脱臭方法、脱臭部材および脱臭装置

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雄一郎 渡邉
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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱臭剤、脱臭方
法、脱臭部材および脱臭装置に関するものであり、さら
に詳しくは本発明は、環境および人体に悪影響を及ぼさ
ずに、被脱臭物からの劇的な脱臭を可能にする脱臭剤、
脱臭方法、脱臭部材および脱臭装置に関するものであ
る。さらにまた、環境および人体に悪影響を及ぼさず
に、汚泥または有機物を有効に分解する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】下水処理場、ゴミ焼却場、堆肥処理場、
し尿処理場等から発生する悪臭は、現場での作業環境を
劣化させるだけでなく、周囲住民の生活環境も悪化させ
る恐れがあり、その対策が強く求められている。しかし
ながら、人間が知覚しない、あるいはほとんど不快に感
じない程度に上記現場の臭気を脱臭するのは従来の技術
ではほとんど不可能である。
【0003】また、下水処理場では処理水が活性汚泥法
によって処理されている。このシステムでは一般的には
バチルス・ズブチルス等の微生物が優勢群である。しか
しながら、このような従来の処理システムでは発生する
汚泥の処理が困難であるという問題点がある。汚泥は悪
臭公害の元となり、処理コストは高く、そればかりでは
なく、環境問題を考慮すると、次々と排出される汚泥の
廃棄場所はおのずから限定され、近い将来、各地方自治
体でも汚泥の廃棄場所を確保できなくなる恐れがある。
【0004】
【発明が課題しようとする課題】したがって本発明の目
的は、環境および人体に悪影響を及ぼさずに、被脱臭物
からの劇的な脱臭を可能にする脱臭剤、脱臭方法、脱臭
部材および脱臭装置を提供することにある。また別の本
発明の目的は、環境および人体に悪影響を及ぼさずに、
汚泥または有機物を有効に分解する方法を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
重ねた結果、ある種の微生物群が脱臭および汚泥分解に
驚くべき効果を発揮することを見出し、本発明を完成す
ることができた。請求項1の発明は、サーモアクチノマ
イセス、緑膿菌、コマモナス、スフィンゴモナス、アシ
ネトバクター、ニトロソモナスおよびニトロバクターを
含む微生物群を有効成分とする脱臭剤である。請求項2
の発明は、微生物群が水中に分散した形状である請求項
1に記載の脱臭剤である。請求項3の発明は、ゼオライ
トと微生物群とを接触させて得られたゼオライト−微生
物群複合体を有効成分とする請求項1または2に記載の
脱臭剤である。請求項4の発明は、請求項1ないし3の
いずれか1項に記載の脱臭剤を、被脱臭物に接触させる
工程を含む脱臭方法である。請求項5の発明は、脱臭剤
を噴霧することにより被脱臭物との接触が達成される請
求項4に記載の脱臭方法である。請求項6の発明は、脱
臭剤を被脱臭物に接触させ、周囲を嫌気性雰囲気にして
被脱臭物の嫌気分解を行い、続いて周囲を好気性雰囲気
に変更して被脱臭物の好気分解を行う請求項4に記載の
脱臭方法である。請求項7の発明は、請求項1ないし3
のいずれか1項に記載の脱臭剤を、汚泥に接触させる工
程を含む汚泥分解方法である。請求項8の発明は、請求
項1ないし3のいずれか1項に記載の脱臭剤を、有機物
に接触させる工程を含む有機物分解方法である。請求項
9の発明は、ゼオライトと、サーモアクチノマイセス、
緑膿菌、コマモナス、スフィンゴモナス、アシネトバク
ター、ニトロソモナスおよびニトロバクターを含む微生
物群とを接触させて得られたゼオライト−微生物群複合
体を気体および/または液体の透過可能な袋体に充填し
たことを特徴とする脱臭部材である。請求項10の発明
は、袋体の形状がシート状、マット状またはスティック
状である請求項9に記載の脱臭部材である。請求項11
の発明は、脱臭塔と、前記脱臭塔に設けられた被脱臭物
導入口および排出口と、前記脱臭塔内部に設けられると
ともに被脱臭物と接触しながらその進行方向に対して対
向方向に液体を噴霧することのできるノズルと、前記脱
臭塔の内部の任意の場所に設置された請求項9または1
0に記載の脱臭部材と、を備えた脱臭装置である。請求
項12の発明は、ノズルから噴霧されかつ被脱臭物と接
触した液体が、再度前記ノズルに戻される循環経路が設
けられた請求項11に記載の脱臭装置である。請求項1
3の発明は、脱臭塔の内部に被脱臭物の進行を遅くする
ことのできるペレット層を設けた請求項11または12
に記載の脱臭装置である。請求項14の発明は、サーモ
アクチノマイセス、緑膿菌、コマモナス、スフィンゴモ
ナス、アシネトバクター、ニトロソモナスおよびニトロ
バクターを含む微生物群を有効成分とするコンポスト化
促進剤である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の脱臭剤は、ストレプトマ
イセス属に属する放線菌を含む微生物群を有効成分とし
ている。従来、放線菌を含む脱臭剤は存在しなかった。
その理由は、放線菌は脱臭効果に悪影響を及ぼすことが
当業界の常識であったからである。本発明は、ストレプ
トマイセス属に属する放線菌を含む微生物群が極めて優
れた脱臭効果を奏するという、定説を覆す新規の知見に
基づいて達成されたものである。本発明の脱臭剤は、ス
トレプトマイセス属に属する放線菌を含む微生物群が存
在していればよいが、この微生物群は、好気性菌および
嫌気性菌を共に含むのが望ましい。また、グラム陽性菌
およびグラム陰性菌や、球菌および桿菌の両方が含まれ
ていてもよい。また、サーモアクチノマイセス、ノカル
ディア、好気性菌としては、緑膿菌、コマモナス、スフ
ィンゴモナス、アシネトバクター、またその他にニトロ
ソモナス、ニトロバクター、チオバチルス等が微生物群
に含まれ得る。なお、ストレプトマイセス属に属する放
線菌は、本発明の脱臭剤において5〜50%を構成して
いるのが望ましい。
【0007】本発明の脱臭剤は、様々な形態をとること
ができる。例えば微生物群を水性媒体(例えば水)に分
散させたもの;微生物群をゼオライトと接触させてゼオ
ライト−微生物群複合体としたもの;該複合体を水に分
散させたもの;等が挙げられる。いずれの形態において
も、微生物群の濃度、微生物群とゼオライトとの割合等
は、被脱臭物の臭気の強さや、被脱臭物の周囲環境等を
勘案して適宜決定すればよい。また、水性媒体中には、
必要に応じて微生物群に悪影響を及ぼさない各種添加物
を導入することができる。中でもゼオライト−微生物群
複合体は、ゼオライトの多孔質内に微生物群が吸着し、
被脱臭物との接触面積が増大するために、脱臭効果がさ
らに高められて望ましいものである。使用するゼオライ
トとしてはとくに制限されないが、モルデナイト系ゼオ
ライトが挙げられる。ゼオライトと微生物群との複合化
は、微生物群が固体(例えば粉末)である場合は、例え
ばゼオライトと固体微生物群とを適当な容器内で攪拌す
ることにより簡単に行うことができる。微生物群が水性
媒体に分散している場合は、ゼオライトを水性媒体中に
投入するだけで簡単に複合化することができる。
【0008】本発明の脱臭剤を被脱臭物に接触させるこ
とにより、劇的な脱臭が達成される。本発明の脱臭剤と
被脱臭物との接触の形態はとくに制限されないが、幾つ
かの具体例により説明する。被脱臭物が焼却場の生ゴミや、堆肥処理場内発酵槽のよ
うな固体の場合 微生物群およびゼオライトを水に分散させ、生ゴミに直
接噴霧する。また堆肥処理用発酵槽の場合はゼオライト
粉末を散布した後、水に分散させた微生物群をそこに噴
霧する。被脱臭物がアンモニア等の気体の場合 ゼオライト−微生物群複合体を気体および/または液体
の透過可能な袋体(例えば不織布)に充填し、これ(脱
臭部材)を被脱臭物から発生する臭気と接触するように
設置する。このとき、袋体の形状は設置場所に応じて種
々決定すればよいが、シート状、マット状またはスティ
ック状であることができる。なお、ゼオライトを袋体に
あらかじめ充填しておき、使用直前に微生物群を水に分
散するなどしてゼオライトに散布し複合体となしてもよ
い。被脱臭物が下水処理水やし尿処理水のような液体の場合 処理水の貯留タンクの底部に脱臭部材を設置してから処
理水を導入する。あるいは、微生物群およびゼオライト
を水に分散させ、これを直接処理水に散布する。上記の
ように、被脱臭物としては気体、液体および固体のいず
れであってもよく、本発明の脱臭剤を臭気源に直接接触
させてもよいし、臭気源から発生する気体と接触するよ
うに例えば脱臭部材として設置しておいてもよいし、臭
気源の液体に添加してもよい。また、臭気源の付着の可
能性のある物品の表面に微生物群を固着させておいても
よい。
【0009】具体例として、被脱臭物がアンモニア等の
気体の場合について説明する。図1は、水洗脱臭塔に本
発明の脱臭剤および脱臭部材を用いる形態を説明するた
めの図である。図1において、脱臭塔11は、被脱臭物
導入口12および排出口13が設けられている。被脱臭
物(原臭)は、導入口12から排出口13の設けられて
いる上方に移動するようになっている。脱臭塔11の内
部には本発明の脱臭剤を噴霧することのできるノズル1
4が設置され、噴霧した脱臭剤は、脱臭塔11の底部の
水槽15に流れるようになっている。すなわち、噴霧し
た脱臭剤は、原臭の進行方向に対して対向方向に流れる
ようになっている。また、脱臭塔11の内部には、ノズ
ル14を挟んでペレット層16が上下に設けられ、原臭
はペレット層16によって乱流し、脱臭剤との接触時間
が長くなるようになっている。さらに本発明の脱臭部材
(マット17およびスティック18)がペレット層16
内に設置されている。図1に示したようにマット17は
層状に、スティック18は任意の場所に設置されてい
る。本発明の脱臭剤は、まず、水槽15に供給され、循
環ポンプ19によってノズル14から噴霧される。ノズ
ル14から噴霧されかつ原臭と接触した脱臭剤は、これ
も水槽15に流れた後、新たに供給された脱臭剤ととも
に循環ポンプ19によって再度ノズル14から噴霧され
る。このようにして、脱臭塔11には、脱臭剤が噴霧さ
れて水槽15に貯えられ、再度ノズル14に戻される循
環経路が設けられている。
【0010】また本発明においては、脱臭剤を被脱臭物
に接触させ、周囲を嫌気性雰囲気にして被脱臭物の嫌気
分解を行い、続いて周囲を好気性雰囲気に変更して被脱
臭物の好気分解を行うことにより、さらに良好に被脱臭
物の脱臭を行うことができる。この場合は微生物群に好
気性菌の存在が必要となる。この方法は、集落排水処理
システムのような下水処理システムに好適に採用するこ
とができる。以下、これを一例として説明する。
【0011】図2は、本発明の形態を採用した集落排水
処理システムを説明するための図である(例として長野
県中川村の集落排水片桐北部クリーンセンターのシステ
ムをもとに説明する)。流入した処理水は、粗目スクリ
ーンを通過し、ばっ気沈砂槽21に入れられた後、流量
調整槽22に送り込まれる。流量調整槽22から取り出
された処理水は汚水計量槽23で処理すべき処理水が計
量され、工程24で本発明の脱臭剤が導入される。続い
て処理水は、嫌気性ろ床槽25に進み、ここで本発明に
おける微生物群が処理水中の有機物の分解を行う。次に
処理水は接触ばっ気槽26に移動し、ここで微生物群に
含まれる好気性菌がさらに有機物の分解を行う。接触ば
っ気槽26に含まれる処理水の一部は、嫌気性ろ床槽に
返送されてもよい。次に処理水は沈殿槽27に進み、こ
こで汚泥が沈殿され、液体分は消毒槽28で消毒され放
流される。沈殿した汚泥は、汚泥濃縮貯留槽29で汚泥
をさらに濃縮させ、汚泥貯留槽30に運ばれる。図2で
は、汚泥貯留槽30は第1室301および第2室302
からなっている。本発明の1実施の形態によれば、汚泥
貯留槽30でさらに脱臭剤が添加される。本発明の脱臭
剤は汚泥を分解し、削減する能力も有する。汚泥分解後
は、汚泥貯留槽30の液体分は再度流量調整槽22に送
り込まれ、上記と同様の工程が繰り返される。このサイ
クルを好適には3回繰り返すことにより、汚泥を従来の
工程に比べて少なくとも30%以上は削減することがで
きる。なお、上記したように本発明の脱臭剤の添加量
は、排水処理システムの規模、処理水の汚染の度合い、
処理水の処理速度、環境温度等を勘案して適宜決定すれ
ばよい。
【0012】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに説明す
る。なお、以下の実施例において使用した脱臭剤は、東
北地方の肥沃な土壌を由来とする放線菌を優勢群とする
微生物群を含み、ストレプトマイセス、その他の放線菌
として、サーモアクチノマイセス、グラム陽性菌とし
て、バチルス・サブチルス、アルトロバクター、マイコ
バクテリウム、グラム陰性菌として、緑膿菌、コマモナ
ス、スフィンゴモナス、アシネトバクター、ニトロソモ
ナス、ニトロバクターを含むものである。また微生物群
は、水に分散され約1×106/mlの菌数を有する。
また本発明者らが実験したところ、この脱臭剤は液剤と
して長期間(1〜2年)にわたり同一菌群を保持するこ
とが分かっている。
【0013】実施例1 図2と同様の設備を有する長野県中川村の集落排水片桐
北部クリーンセンターの汚水計量槽23の工程24で本
発明の脱臭剤を導入した。導入日は平成10年5月14
日から8月21日まで、1日につき1リットルの割合で
本発明の脱臭剤を導入した。導入後、汚泥貯留槽第2室
302における下記表1に示す測定項目を測定した。結
果を併せて表1に示す。また、長野県山ノ内町下水処理
場において、平成10年4月から8月まで、上記と同様
にして本発明の脱臭剤を導入したときの汚泥貯留槽第2
室302のMLSS(汚泥濃度)、SV(活性汚泥沈殿
率)、SVI(汚泥容量指標)および余剰汚泥量を測定
した。結果を表2に示す。比較のために、本発明の脱臭
剤を導入していない平成9年度のデータも併せて記載す
る。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】表1の結果から、顕著な汚泥の分解効果お
よび悪臭源の1つであるH2Sの低減効果が確認され
た。また表2の結果から、本発明の脱臭剤を導入するこ
とによりSV、SVIおよび余剰汚泥量が劇的に改善さ
れていることが分かる。さらに表1において、5月15
日の汚泥濃度(6200ppm)および8月21日の汚
泥濃度(1200ppm)のデータから、有機物消化減
少率は84%であることが分かった。なお、有機物消化
減少率は、(5月15日汚泥濃度×槽内汚泥全量)をa
とし、(8月21日汚泥濃度×槽内汚泥全量)をbとし
たとき、[(a−b)/a]×100で定義される。さ
らにまた、本発明の脱臭剤における好気性菌の有機物の
分解は、DO(溶存酸素量)が0.5〜2%の範囲がよ
いことが分かった。
【0017】前記の長野県中川村の集落排水片桐北部ク
リーンセンターの試験結果をもとにして、長野県東部町
浄化センターおよび長野県辰野町浄化センターの脱水ケ
ーキ削減率を予測した。表3(長野県東部町浄化センタ
ー)および表4(長野県辰野町浄化センター)にそれぞ
れ結果を示す。なお、表中、削減率とあるのは脱水ケー
キ削減率を意味し、(ケーキ減少量(t)−総発生量)
×100で表される。なお、前記長野件辰野町浄化セン
ターにおける実際の汚泥減量率を測定した結果、200
0年1月20日からおよぼ2ヶ月間で汚泥の減量率は4
6.4%にまで達し、臭気もほとんど感じられなかっ
た。
【0018】
【表3】
【0019】
【表4】
【0020】実施例2 生ゴミ90リットルを容器に入れ、(i)未処理(ブラ
ンク)、(ii)生ゴミを容器に入れる前に脱臭剤を3m
l噴霧、(iii)生ゴミを容器に入れる前後にそれぞれ
脱臭剤を3ml噴霧、(iv)すでに容器に入っている生
ゴミに3ml噴霧したものについて脱臭の度合いを調べ
た。本実施例の脱臭評価は、臭気鑑定士6人による三点
比較式臭袋法(排出口法)により行った。結果を表5に
示す。
【0021】
【表5】臭気濃度サンプル 臭気濃度 (i) 1300 (ii) 980 (iii) 42(iv) 980
【0022】表5から、本発明の脱臭剤の優れた脱臭効
果が確認された。とくに(iii)生ゴミを容器に入れる
前後にそれぞれ脱臭剤を3ml噴霧したサンプルについ
ては劇的な脱臭が確認された。
【0023】実施例3 φ118mm×120mmのガラス製容器7個に、長野
県中川村の集落排水片桐北部クリーンセンターの汚泥貯
留槽の汚泥(固形分10%)500mlをそれぞれ分注
した。7個のうち1個をコントロールとしてよく攪拌し
て、50mlを採取してろ紙でろ過し、乾燥させて計量
し、ろ紙に残存した残留物重量を調べた。残り6個は、
(i)ブランク(嫌気条件または好気条件)2個、(i
i)本発明の脱臭剤を5ml加えたもの(嫌気条件また
は好気条件)2個、(iii)本発明の脱臭剤を10ml
加えたもの(嫌気条件または好気条件)2個とした。な
お、好気条件は、ガラス容器中に空気をブロワーで0.
12kg/cm2の割合でばっ気し調整した。試験は7
日間にわたり室温25℃で行い、最終日に蒸留水を加え
て最終量を500mlに調整した。それぞれのサンプル
の残留物重量を、コントロールと同様にして測定した。
結果を表6に示す。
【0024】
【表6】 汚泥の分解サンプル 残留物重量 (i) 嫌気条件 2.0g 好気条件 1.9g (ii) 嫌気条件 1.9g 好気条件 1.5g (iii) 嫌気条件 1.8g好気条件 1.3g
【0025】表6から、本発明の脱臭剤の汚泥分解効果
が確認された。
【0026】実施例4 酢酸臭の強い汚泥を用いて実験室レベルでの脱臭実験を
行った。φ80mm×100mmのポリエチレン容器
(蓋付)に汚泥25mlを入れ、(i)何も処理しない
もの(ブランク)、(ii)本発明の脱臭剤2mlを噴霧
したもの、(iii)本発明の脱臭剤を2mlおよび脱臭
部材を汚泥に触れないように入れたもの、(iv)本発明
の脱臭部材のみを汚泥に触れないよう入れたものについ
て脱臭の度合いを調べた。なお上記の脱臭部材とは、モ
ルデナイト系ゼオライトを100g/m2となるように
不織布に入れ、そこに本発明の脱臭剤を十分に吸着さ
せ、4mm×4mmのサイズに調整したものである。脱
臭の度合いについては、パネラーにより6段階臭気強度
表示法で調査した。また酢酸濃度を光明理科学工業製ガ
ス検知管により測定し、汚泥の初期pHをリトマス試験
紙により測定した。また試験は、試験開始直後、1時間
後、3時間後および24時間後について行った。結果を
表7および8に示す。
【0027】
【表7】 pHおよび酢酸濃度(ppm)サンプル pH 開始直後 1時間後 3時間後 24時間後 (i) 4 1 1 1 1 (ii) 5.5 0.25 0.2 0 0 (iii) 5.5 0 0 0 0 (iv) 4 0.25 0 0 0
【0028】
【表8】 臭気強度サンプル pH 開始直後 1時間後 3時間後 24時間後 (i) 4 5 5 5 5 (ii) 5.5 3 2.5 2.5 2.5 (iii) 5.5 2 2 2 2 (iv) 4 3.5 2 2.5 2.5 表中の臭気強度は以下のとおりである。 0 無臭 1 やっと感知できる臭い 2 何の臭いであるかがわかる弱い臭い 3 楽に感知できる臭い 4 強い臭い 5 強烈な臭い
【0029】以上の結果から、本発明の脱臭剤または脱
臭部材を使用することにより、試験開始直後から顕著な
脱臭効果が奏されることが分かる。
【0030】実施例5 飲食店におけるグリストラップ器に本発明の脱臭剤を適
用し、これにより処理された処理水のノルマルヘキサン
抽出物質含有量、生物化学的酸素消費量(BOD)、浮
遊物質量(SS)および水素イオン濃度(pH)を調べ
た。なお、グリストラップ器の容量は250リットル
(W50cm×L100cm×H750cm)であり、
上記試験の前に、本発明の脱臭剤の4リットルをグリス
トラップ器の全体に万遍なく噴霧しておいた。噴霧後1
ヶ月後の処理水を調べた結果を表9に示す。なお、本発
明の脱臭剤を適用する前の処理水のノルマルヘキサン抽
出物質含有量、生物化学的酸素消費量(BOD)、浮遊
物質量(SS)および水素イオン濃度(pH)も併せて
表9に示す。
【0031】
【表9】 脱臭剤適用後 脱臭剤適用前 ノルマルヘキサン抽出物質含有量(mg/l) 190 140,000 生物化学的酸素消費量(mgO/l) 521 129,000 浮遊物質量(mg/l) 161 46,300水素イオン濃度(pH) 6.3 5.1
【0032】表9の結果から、本発明の脱臭剤には顕著
な脱脂効果も存在することが分かった。
【0033】実施例6 また本発明においては、前記の本発明の脱臭剤をコンポ
スト化促進剤として用いることもできる。実施例1と同
様の微生物群をコンポスト化促進剤(下記表ではオール
ダッシュソフトと記載されている)とし、排水処理施設
から生じた汚泥ケーキ(汚泥脱水ケーキ)のコンポスト
化実験を行った。図3は、本実施例で用いたコンポスト
化装置を説明するための図である。なお、図3のコンポ
スト化装置は、一般的な装置であり当業界ではよく知ら
れているものである。図3において、コンポスト化装置
41は、汚泥脱水ケーキ搬入口42および完熟コンポス
ト搬出口43を備え、内部に攪拌手段44を有する。さ
らに脱臭装置45および加温装置46が設けられてい
る。攪拌手段44は、駆動装置47により回転運動を行
う。回転速度は、1回転あたり30秒に設定した。な
お、本実施例で使用したコンポスト化装置の容量は、5
0〜60リットルであり;コンポストは48として示し
た。次に、図3に示す装置を用い、下記表10および表
11に示す条件下で、汚泥脱水ケーキのコンポスト化実
験を行った。試験日は1999年12月(表10)およ
び2000年1月(表11)である。結果を併せて表1
0および表11に示す。
【0034】
【表10】
【0035】
【表11】
【0036】結果から、36.89%の減量率(表1
0)および54.70%の減量率(表11)が得られ、
本発明のコンポスト化剤の極めて優れたコンポスト化促
進作用が認められた。
【0037】また本発明の脱臭剤は、本発明者らの検討
によれば人体に対する危険性、有害性がなく、また廃棄
したとしても生分解され環境への悪影響もほとんどない
ことが示された。なお、上記はストレプトマイセス属に
属する放線菌を含む微生物群を有効成分とする脱臭剤に
ついて説明したが、脱臭部材および脱臭装置について
は、その他の微生物群を用いても従来に比べて良好な効
果を奏する。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、環境および人体に悪影
響を及ぼさずに、被脱臭物からの劇的な脱臭を可能にす
る脱臭剤、脱臭方法、脱臭部材および脱臭装置が提供さ
れる。また、本発明の脱臭剤を用いれば、汚泥または有
機物を有効に分解することができる。汚泥の有効な分解
により、汚泥ケーキ処理費(電気量や機械消耗品等の費
用)の削減、悪臭発生の抑制等が可能になる。さらに本
発明の脱臭剤には、顕著な脱脂効果およびコンポスト化
促進作用もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】水洗脱臭塔に本発明の脱臭剤および脱臭部材を
用いる形態を説明するための図である。
【図2】本発明の形態を採用した集落排水処理システム
を説明するための図である。
【図3】実施例6で用いたコンポスト化装置を説明する
ための図である。
【符号の説明】
11 脱臭塔 12 被脱臭物導入口 13 排出口 14 ノズル 15 水槽 16 ペレット層 17,18 脱臭部材 19 循環ポンプ 21 ばっ気沈砂槽 22 流量調整槽 23 汚水計量槽 25 嫌気性ろ床槽 26 接触ばっ気槽 27 沈殿槽 30 汚泥貯留槽 301 汚泥貯留槽第1室 302 汚泥貯留槽第2室 41 コンポスト化装置 42 汚泥脱水ケーキ搬入口 43 完熟コンポスト搬出口 44 攪拌手段44 45 脱臭装置 46 加温装置
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B09B 3/00 ZAB C12N 1/20 D C02F 3/34 F 11/00 11/14 11/02 B01D 53/34 116B C12N 1/20 131 B09B 3/00 ZABA 11/14 (72)発明者 細川 桂一 大阪府箕面市西小路4−2−19 (56)参考文献 特開 昭53−109870(JP,A) 特開 平6−277441(JP,A) 特開 平7−241169(JP,A) 特開 平8−317966(JP,A) 登録実用新案3042165(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 9/01 B01D 53/34 B09B 3/00 C02F 11/00

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サーモアクチノマイセス、緑膿菌、コマ
    モナス、スフィンゴモナス、アシネトバクター、ニトロ
    ソモナスおよびニトロバクターを含む微生物群を有効成
    分とする脱臭剤。
  2. 【請求項2】 微生物群が水中に分散した形状である請
    求項1に記載の脱臭剤。
  3. 【請求項3】 ゼオライトと微生物群とを接触させて得
    られたゼオライト−微生物群複合体を有効成分とする請
    求項1または2に記載の脱臭剤。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の脱臭剤を、被脱臭物に接触させる工程を含む脱臭方
    法。
  5. 【請求項5】 脱臭剤を噴霧することにより被脱臭物と
    の接触が達成される請求項4に記載の脱臭方法。
  6. 【請求項6】 脱臭剤を被脱臭物に接触させ、周囲を嫌
    気性雰囲気にして被脱臭物の嫌気分解を行い、続いて周
    囲を好気性雰囲気に変更して被脱臭物の好気分解を行う
    請求項4に記載の脱臭方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の脱臭剤を、汚泥に接触させる工程を含む汚泥分解方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の脱臭剤を、有機物に接触させる工程を含む有機物分解
    方法。
  9. 【請求項9】 ゼオライトと、サーモアクチノマイセ
    ス、緑膿菌、コマモナス、スフィンゴモナス、アシネト
    バクター、ニトロソモナスおよびニトロバクターを含む
    微生物群とを接触させて得られたゼオライト−微生物群
    複合体を気体および/または液体の透過可能な袋体に充
    填したことを特徴とする脱臭部材。
  10. 【請求項10】 袋体の形状がシート状、マット状また
    はスティック状である請求項9に記載の脱臭部材。
  11. 【請求項11】 脱臭塔と、前記脱臭塔に設けられた被
    脱臭物導入口および排出口と、前記脱臭塔内部に設けら
    れるとともに被脱臭物と接触しながらその進行方向に対
    して対向方向に液体を噴霧することのできるノズルと、
    前記脱臭塔の内部の任意の場所に設置された請求項9ま
    たは10に記載の脱臭部材と、を備えた脱臭装置。
  12. 【請求項12】 ノズルから噴霧されかつ被脱臭物と接
    触した液体が、再度前記ノズルに戻される循環経路が設
    けられた請求項11に記載の脱臭装置。
  13. 【請求項13】 脱臭塔の内部に被脱臭物の進行を遅く
    することのできるペレット層を設けた請求項11または
    12に記載の脱臭装置。
  14. 【請求項14】 サーモアクチノマイセス、緑膿菌、コ
    マモナス、スフィンゴモナス、アシネトバクター、ニト
    ロソモナスおよびニトロバクターを含む微生物群を有効
    成分とするコンポスト化促進剤。
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