JP3488567B2 - ミニマムスパングル溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法および装置 - Google Patents

ミニマムスパングル溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法および装置

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JP3488567B2
JP3488567B2 JP07711796A JP7711796A JP3488567B2 JP 3488567 B2 JP3488567 B2 JP 3488567B2 JP 07711796 A JP07711796 A JP 07711796A JP 7711796 A JP7711796 A JP 7711796A JP 3488567 B2 JP3488567 B2 JP 3488567B2
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清孝 恒見
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Nisshin Steel Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細なスパングル
が表面に形成されたミニマムスパングル溶融亜鉛めっき
鋼板の製造方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融亜鉛めっき鋼板は、従来から優れた
耐食性材料として知られており、その特性をいかして建
築材料など様々の用途に広く使用されている。一般に溶
融亜鉛めっき鋼板の表面には、スパングルと呼ばれる華
模様が形成されている。
【0003】スパングルは、めっきされた亜鉛が凝固す
るとき、結晶が樹枝状に発達することによって表面に形
成される華模様であり、その形成によって溶融亜鉛めっ
き鋼板の装飾性および意匠性は向上する。しかしなが
ら、溶融亜鉛めっき鋼板が、塗装下地材料として用いら
れる場合には、形成されたスパングルが塗装後にも残存
し、塗膜の鮮映性を低下させるので、スパングルを微細
化して華模様を目立たなくさせる必要がある。なお微細
化されたスパングルの形成された溶融亜鉛めっき鋼板
は、ミニマムスパングル溶融亜鉛めっき鋼板と呼ばれて
おり、これは従来から次のようにして製造されている。
【0004】図14に示すように、母材鋼板8は溶融亜
鉛めっき浴11(以後、めっき浴と略称することがあ
る)に浸漬され、浴中のシンクロール13を介して浴上
に導出される。めっき浴11から導出された溶融亜鉛め
っき鋼板(以後、めっき鋼板と略称することがある)2
は、浴の直上のガスワイピングノズル6によって亜鉛め
っき層の付着量を調節された後、冷却効果のある薬剤を
含むミニマムスパングル用処理液(以後、処理液と略称
する)を表面に噴射される。処理液の噴射は、亜鉛めっ
き層の凝固直前に行われ、処理液はノズル1内で圧縮空
気によって霧化されて噴射される。ノズル1は、めっき
鋼板2の板幅方向に間隔をあけて複数個設けられてお
り、かつめっき鋼板2の表裏両面に設けられているの
で、処理液の噴射によって、亜鉛めっき層は溶融状態か
ら急冷される。このため、表面に形成されるスパングル
が微細化され、ミニマムスパングル溶融亜鉛めっき鋼板
が製造される。なお、処理液および圧縮空気は供給圧力
を予め定める値にそれぞれ調節された後、ノズル1に供
給される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、ミニマ
ムスパングル溶融亜鉛めっき鋼板のスパングルの微細化
はノズル1から亜鉛めっき層に処理液を噴射することに
よって行われている。しかしながら、従来技術のノズル
1から噴射される処理液は、通常大きな粒子と小さな粒
子とが混在しており、処理液の粒子径のばらつきが非常
に大きい。このため、大きな粒子によって水滴マークと
呼ばれる液滴状の表面肌不良が発生しやすい。また、処
理液中から晶出した前記薬剤によってノズル詰まりが生
じやすく、噴射の行われているノズルと、ノズル詰まり
によって噴射の行われていないノズルとが混在すること
による処理液の噴霧むらが生じやすい。
【0006】従来から、処理液の粒子径を小さくするた
めのノズルとして、超音波ノズルが知られている。超音
波ノズルは、ノズル先端に超音波振動子を設け処理液の
粒子径を微細化するノズルであり、10μm未満の微小
粒子径を確実に得ることができる。このため、超音波ノ
ズルを用いることによって、前記水滴マークの発生は完
全に防止される。しかしながら、10μm未満の粒子径
を有する処理液は、その大きさが過小であるので、冷却
力に乏しく、スパングルの微細化不良(以後、スパング
ル不良と略称することがある)が生じやすい。さらに、
超音波ノズルは構造が複雑であるので、晶出した前記薬
剤によるノズル詰まりの発生率が他のノズルに比べて非
常に高い。
【0007】このように従来技術では、ミニマムスパン
グル溶融亜鉛めっき鋼板の水滴マークとスパングル不良
の発生を同時に防止することが困難であり、いずれか一
方の不良の発生を余儀なくされていた。またノズル詰ま
りの発生率が高いので、噴霧むらが発生しやすく、それ
によるスパングル不良も多発していた。
【0008】本発明者らは、前記ノズルおよび処理液の
粒子径の調節方法について詳細な研究を重ねた結果、ノ
ズルから噴射される処理液の平均粒径を10〜20μm
になるように調節することによって水滴マークの発生を
防止することができ、かつスパングルを均一に微細化す
ることができること、処理液の平均粒径は圧縮空気の圧
力と処理液の圧力との比率によって調節することができ
ること、圧縮空気をノズルの中心軸線上に供給し、処理
液を中心軸線からずれた位置に供給することによって大
きな粒子径の噴射を防ぐことができること、処理液の滞
留域を少なくすることによってノズル詰まりを防ぐこと
ができることを見出した。
【0009】本発明は、前記知見に基づいてなされたも
のであり、その目的は溶融亜鉛めっき鋼板のスパングル
を均一に微細化することが可能であり、かつ液滴状の表
面肌不良の発生を防止することのできるミニマムスパン
グル溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法および装置を提供す
ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶融亜鉛めっ
き浴に還元焼鈍された母材鋼板を連続的に浸漬して板面
に亜鉛めっき層を形成し、めっき浴上に配置されたノズ
ルから亜鉛めっき層を冷却する処理液と圧縮空気とを混
合して噴射し、亜鉛めっき層のスパングルを微細化する
ミニマムスパングル溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法にお
いて、前記ノズルは、溶融亜鉛めっき鋼板を臨んで偏平
なノズル孔30が形成されており、ノズル孔に連なって
ノズルの軸線方向に延びる供給室32が形成されてお
り、供給室32にはノズル孔から軸線方向に遠ざかるほ
ど半径方向外方に広がる段差33が形成されており、供
給室32に、ノズル孔から前記軸線方向に遠ざかった端
部で連なり、前記軸線方向に延びる供給路34と、供給
路34のノズル孔から前記軸線方向に遠ざかった端部か
ら、さらに遠ざかるにつれて半径方向外方に広がる混合
室35とが設けられ、混合室35には、前記軸線上に設
けられる空気供給路36と、空気供給路36から半径方
向外方側に間隔をあけて形成される処理液供給路37と
が、臨み、圧縮空気が空気供給路36に供給され、処理
液が処理液供給路37に供給され、圧縮空気の供給圧力
は、3.5kg/cm以上であり、処理液の供給圧力
は、1.0〜2.0kg/cmであり、前記圧縮空気
の供給圧力の処理液の供給圧力に対する比率が2.0〜
4.5であり、処理液の流量が1.0〜4.5L/hr
であり、ノズルから噴射される処理液の平均粒径を10
〜20μmになるように調節することを特徴とするミニ
マムスパングル溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
本発明に従えば、処理液の平均粒径が適正範囲の値に調
節されている。処理液の平均粒径が上限値を超えるとき
には、大きな粒子によって溶融亜鉛めっき層に対する冷
却力および衝突力が過大となり、めっき層表面に液滴状
の表面肌不良が発生しやすい。処理液の平均粒径が下限
値未満のときには、前記冷却力および衝突力が過小とな
り、めっき層表面にスパングルの微細化不良が発生しや
すい。これに対して本発明では、処理液の平均粒径が適
正範囲内であるので、液滴状の表面肌不良およびスパン
グルの微細化不良の発生がともに防止される。
【0011】圧縮空気がノズルの中心部に供給され、処
理液がその外周部に供給されるので、圧縮空気の噴霧力
の大きい中心部に存在する処理液の粒子径は小さくな
り、外周部の処理液の粒子径は大きくなる。またノズル
孔に連なる供給室には、段差が形成されており、ノズル
孔に近接した位置における供給室の直径が小さく形成さ
れているので、外周部の粒子径の大きい処理液粒子は段
差にぶつかり、ノズル孔からの噴射が阻止される。これ
によって、ノズル孔から噴射される処理液には粒子径の
大きい処理液が含まれなくなるので、処理液の平均粒径
を適正範囲の値に確実に調節することができる。さらに
また、ノズルの構造が簡単で、処理液の停滞する部分が
少ないので、処理液に含まれる薬剤が滞留中に晶出し、
蓄積されてノズル詰まりを発生させるおそれがない。本
発明に従えば、前記比率によって処理液の平均粒径が調
節される。前記比率は大きくなるにつれて、たとえば圧
縮空気の供給圧力が大きくなるにつれて処理液を噴霧す
る力が増大するので、処理液の平均粒径が小さくなる。
このように、前記比率によって処理液の平均粒径を調節
することができるので、いずれか一方の供給圧力が大幅
に変動しても、処理液の平均粒径を適正範囲の値に確実
に調節することができる。
【0012】 本発明に従えば、前記比率が適正範囲の
値2.0〜4.5に選ばれているので、処理液の平均粒
径を適正範囲10〜20μmの値に確実に調節すること
ができる。また本発明は、後述の表1のNo.6の実施
例のように、圧縮空気の供給圧力は、4.5kg/cm
であり、処理液の供給圧力は、2.0kg/cm
あり、前記比率が2.3であり、処理液の流量3.5L
/hrであることを特徴とする。
【0013】 また本発明は、(a)鋼板を還元焼鈍す
る還元焼鈍炉と、 (b)還元焼鈍炉からの鋼板が溶融亜鉛めっき浴中に浸
漬され、浴中を通過して引上げられるめっき手段と、 (c)前記めっき浴から導出された溶融亜鉛めっき鋼板
に気体を噴射して溶融亜鉛めっき層の付着量を制御する
めっき付着量制御手段と、 (d)めっき付着量制御手段の鋼板搬送方向下流側に設
けられ、溶融亜鉛めっき鋼板を外囲して搬送通路を形成
するケーシングと、 (e)ケーシングを上下方向に昇降変位させる昇降手段
と、 (f)ケーシング内に、前記めっき鋼板の幅方向に間隔
をあけて複数個設けられ、前記めっき層を冷却する処理
液を圧縮空気と混合し、処理液の平均粒径を10〜20
μmに調節して凝固直前の前記めっき層に噴射するノズ
ルであって、前記ノズルは、溶融亜鉛めっき鋼板を臨ん
で偏平なノズル孔30が形成されており、ノズル孔に連
なってノズルの軸線方向に延びる供給室32が形成され
ており、供給室にはノズル孔から軸線方向に遠ざかるほ
ど半径方向外方に広がる段差33が形成されており、供
給室32に、ノズル孔から前記軸線方向に遠ざかった端
部で連なり、前記軸線方向に延びる供給路34と、供給
路34のノズル孔から前記軸線方向に遠ざかった端部か
ら、さらに遠ざかるにつれて半径方向外方に広がる混合
室35とが設けられ、混合室35には、前記軸線上に設
けられる空気供給路36と、空気供給路36から半径方
向外方側に間隔をあけて形成される処理液供給路37と
が、臨み、圧縮空気が空気供給路36に供給され、処理
液が処理液供給路37に供給されるように構成されてい
るノズルと、 (g)複数のノズルが着脱自在に装着され、各ノズルに
処理液および圧縮空気を供給するノズルヘッダと、 (h)処理液を予め定める圧力1.0〜2.0kg/c
に調節し、各ノズルからの処理液の流量1.0〜
4.5L/hrでノズルヘッダに供給する処理液供給手
段と、 (i)圧縮空気を予め定める圧力3.5kg/cm
上であって、圧縮空気の供給圧力の処理液の供給圧力に
対する比率が2.0〜4.5の範囲の値になるように調
節してノズルヘッダに供給する圧縮空気供給手段とを含
むことを特徴とするミニマムスパングル溶融亜鉛めっき
鋼板の製造装置である。本発明に従えば、昇降手段はケ
ーシングを溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層の凝固位置に
応じて昇降させ、ノズルが常にめっき層の凝固直前の位
置になるように調節する。ノズルは、処理液の平均粒径
を10〜20μmに調節して凝固直前のめっき層に噴射
する。ノズルヘッダは、複数のノズルを着脱自在に装着
し、各ノズルに処理液および圧縮空気を供給する。処理
液供給手段および圧縮空気供給手段は、処理液および圧
縮空気の供給圧力を予め定める圧力に調節してノズルヘ
ッダに供給する。これによって、ノズルは凝固直前の溶
融亜鉛めっき層に平均粒径を10〜20μmに調節した
処理液を噴射することができるので、処理液からめっき
層に適正な冷却力および衝突力が付与され、めっき層表
面のスパングルを均一に微細化し、かつ液滴状の表面肌
不良の発生を確実に防止することができる。
【0014】
【0015】 ミニマムスパングル溶融亜鉛めっき鋼板
の製造装置は、前記比率が適正範囲の値になるように構
成されているので、処理液および圧縮空気のいずれか一
方の供給圧力に変動が生じても比率を適正値に保持する
ことができ、安定した操業を長期間にわたって継続する
ことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
あるミニマムスパングル溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置
(以後、めっき鋼板製造装置と略称することがある)の
構成を簡略化して示す系統図である。めっき鋼板製造装
置3は、還元焼鈍炉4と、めっき手段5と、めっき付着
量制御手段6と、スパングル微細化手段7とを含んで構
成される。
【0017】還元焼鈍炉4は、冷間圧延された普通鋼鋼
板8(以後、鋼板と略称する)を連続的に搬送しなが
ら、弱酸化処理、焼なましおよび表面酸化皮膜の還元処
理を行う熱処理炉である。還元焼鈍炉4を通過した鋼板
8は、炉内ブライドルロール9に巻掛けられて斜め下方
に搬送され、スナウト10を経て、めっき手段5の溶融
亜鉛めっき浴11中に浸漬される。前記めっき手段5
は、前記めっき浴11と、めっき浴11が貯留されるめ
っきポット12と、めっき浴11中に設けられているシ
ンクロール13とを含む。めっき浴11に浸漬された鋼
板8は、シンクロール13に巻掛けられながらめっき浴
11中を通過して引上げられ、表面に溶融亜鉛めっき層
が形成された状態でめっき浴11から導出される。前記
めっき付着量制御手段であるガスワイピングノズル6
は、めっき浴11から導出された溶融亜鉛めっき鋼板1
4に気体を噴射して過剰な亜鉛を吹払し、めっき層の付
着量を制御する。
【0018】前記スパングル微細化手段であるスパング
ル微細化装置7は、凝固直前の亜鉛めっき層に処理液を
噴射してスパングルを微細化する装置であり、ケーシン
グ16と、昇降手段17と、ノズル18と、ノズルヘッ
ダ19と、処理液供給手段20と、圧縮空気供給手段2
1とを含んで構成される。
【0019】前記処理液は、薬液と水とから成る水溶液
であり、薬液としては溶融亜鉛めっき層の凝固点近傍で
吸熱反応を生ずるリン酸ナトリウムまたはリン酸水素二
ナトリウム(Na2HPO4)が好適に用いられる。本実
施の形態では、350℃付近における吸熱反応の大きい
リン酸水素二ナトリウムが用いられる。なお、薬液の濃
度は、たとえば1.42%である。
【0020】ケーシング16は、鋼製ボックスであり、
ガスワイピングノズル6の鋼板搬送方向下流側に設けら
れ、めっき鋼板14を外囲して搬送通路を形成する。昇
降手段17は、マスト23とマスト23に摺動自在に取
付けられているカーソル24とを含む。カーソル24
は、ケーシング16と連結されており、かつチェンブロ
ック(図示せず)によってマスト23に沿って上下方向
に摺動変位することができるので、ケーシング16を亜
鉛めっき層の凝固位置に応じて昇降変位させることがで
きる。
【0021】図2は図1に示すスパングル微細化装置の
ノズルの構成を簡略化して示す正面断面図であり、図3
は図2に示すノズルの側面図である。ノズル18は、ノ
ズルチップ26と、コア27と、オリフィス28とキャ
ップ29とを含んで構成される。ノズルチップ26は、
ノズル18のめっき鋼板14を臨む側(図2において紙
面の左側、以後、一端部側と呼びその反対側を他端部側
と呼ぶ)の先端に設けられる部材であり、その一端部側
最先端部には偏平なノズル孔30が形成されている。ノ
ズルチップ26の取付けは、ノズル孔30を含む仮想平
面31aとノズル18の軸線を含む水平面31bとの成
す角度Nが約45°になるように行われている。
【0022】ノズルチップ26の内部には、軸線方向に
延びる供給室32が形成されており、供給室32はノズ
ル孔30に連なる第1供給室32aと第1供給室32a
に連なる第2供給室32bとから成る。供給室32の軸
線に直角な断面は真円であり、第2供給室32bの軸線
に直角な断面の直径は第1供給室32aの直径よりも大
きい。このため、第1供給室32aと第2供給室32b
との境界には、段差33が形成される。なお、第2供給
室32bの前記直径は軸線方向に一様であるけれども、
第1供給室32aの前記直径は軸線方向にノズル孔30
に向かって近接するにつれて直径一様から次第に小さく
なるように形成されている。
【0023】前記コア27は、ノズルチップ26の他端
部側に設けられる部材であり、その内部には第2供給室
32bに連なり軸線方向一端部側から他端部側に延びる
供給路34と、供給路34に連なり軸線方向他端部側に
向かうほど半径方向外方に広がる混合室35とが形成さ
れている。なお、供給路34の軸線直角断面の直径は、
第2供給室32bの前記直径よりも小さく、混合室35
の傾斜面の最外方部の直径は第2供給室32bの直径よ
りも大きい。オリフィス28は、コア27の他端部側に
設けられる部材であり、その内部には軸線上に空気供給
路36が形成され、その半径方向外方側に間隔をあけて
処理液供給路37が形成されている。なお、供給室3
2、供給路34、混合室35および空気供給路36の軸
線は、ノズル18の軸線と一致する。
【0024】キャップ29は、ノズルチップ26、コア
27およびオリフィス28を連結し、一体化するための
部材である。キャップ29は、コア27を内周面に嵌合
した後、ノズルチップ26の外周面に形成されたねじ部
26aに螺着し、さらにオリフィス28の一端部側内周
面に形成されたねじ部28aに螺着する。これによっ
て、ノズルチップ26、コア27、オリフィス28およ
びキャップ29は一体的に連結され、ノズル18が形成
される。なお、オリフィス28の他端部側内周面に形成
されているねじ部28bには、連結部材38が螺着され
ている。連結部材38は、ノズル18と、ノズルヘッダ
19とを連結する部材であり、その内部にはオリフィス
28の空気供給路36および処理液供給路37と対応す
る位置に空気供給路38aおよび処理液供給路38bが
それぞれ形成されている。
【0025】ノズル18は、前記ケーシング16内に前
記めっき鋼板14の幅方向に等しい間隔をあけて複数個
設けられている。ノズル18には、圧縮空気と処理液と
が連結部材38を介して別々に供給される。圧縮空気
は、空気供給路36からノズル18の軸線上に供給さ
れ、処理液は処理液供給路37から圧縮空気の外周に供
給される。供給された圧縮空気と処理液とは混合室35
で混合され、処理液が圧縮空気によって霧化される。霧
化された処理液は、圧縮空気ととともに供給路34、第
2供給室32bおよび第1供給室32aを経てノズル孔
30からめっき鋼板14の溶融亜鉛めっき層に向けて噴
射される。
【0026】図4は圧縮空気によって霧化された処理液
の粒子径分布を示す分布図であり、図4(1)は処理液
を内側から供給し、圧縮空気を外側から供給した場合に
おける処理液の粒子径分布を示す分布図であり、図4
(2)は圧縮空気を内側から供給し、処理液を外側から
供給した場合における処理液の粒子径分布を示す分布図
である。図4(1)から、圧縮空気を外側から供給する
と、ノズルの中心部付近における処理液の粒子径が大き
くなり、ノズルの中心部から離れるほど処理液の粒子径
が小さくなることが判る。また図4(2)から、圧縮空
気を内側から供給すると、ノズルの中心部付近における
処理液の粒子径が小さくなり、ノズルの中心部から離れ
るほど処理液の粒子径が大きくなることが判る。これ
は、圧縮空気の供給位置に近接するほど処理液を霧化す
る力が強くなることによるものである。
【0027】図5は、図2に示すノズルの内部における
処理液の噴霧状況を示す断面図である。前記処理液と圧
縮空気との混合流体は、前記供給路34を経由して前記
第2供給室32bに流入する。前述のように供給路34
の直径D1は、第2供給室32bの直径D2よりも小さ
いので、前記混合流体は半径方向外方に広がりながら第
2供給室32b内を進む。また前述のように、第1供給
室32aの直径D3は第2供給室32bの直径D2より
も小さいので、第2供給室32aと第2供給室32bと
の境界には段差33が形成されている。さらにまた、前
述のように圧縮空気がノズル18の軸線上に供給され、
処理液がその外側から供給されるので、図4(2)に示
すように処理液の粒子径分布はノズル18の軸線近辺に
おいて粒子径が小さくなり、軸線から離れるほど粒子径
が大きくなる。
【0028】これによって、第2供給室32bの軸線方
向長さL1を適正に設定すれば、粒子径の大きい処理液
を前記段差に衝突させることが可能となり、粒子径の大
きい処理液の第1供給室32a内への流入を阻止するこ
とができる。このため処理液は粒子径の大きい粒子が除
去された状態で第1供給室32aに流入し、ノズル孔3
0から外部へ噴射される。なおノズル孔30から外部へ
噴射される処理液の最大粒子径の大きさは、前記各寸法
によって決定されるので、その大きさを所定の値、たと
えば20μmに設定することができる。前記段差33に
衝突した粗大粒子は、衝突によって細粒化し、第1供給
室32aを経てノズル孔30から外部へ噴射される。
【0029】このように、本実施の形態のノズル18か
ら噴射される処理液には、粗大な粒子が含まれないの
で、粗大な粒子に起因する前記水滴マークと呼ばれる液
滴状の表面肌不良の発生を確実に防止することができ
る。またノズル18には超音波振動子など処理液の粒子
径を過度に微細化する手段が設けられていないので、処
理液の粒子径が過度に微細化されることはなく、微細粒
子に起因する前記スパングルの微細化不良の発生を確実
に防止することができる。さらにまた、本実施の形態の
ノズル18は構造が簡単であり、処理液の滞留する部分
が少ないので、処理液に含まれる薬液が滞留中に晶出
し、蓄積されてノズル詰まりを発生させるおそれがな
い。このため、ノズル詰まりの発生したノズル18が混
在することによる処理液の噴霧むらの発生を確実に防止
することができる。
【0030】図6は図1に示すスパングル微細化装置の
ノズルヘッダの構成を簡略化して示す正面図であり、図
7は図6に示すノズルヘッダの構成を簡略化して示す平
面図であり、図8は図7の切断面線VIII−VIII
から見た断面図である。ノズルヘッダ19は、空気供給
管40と、処理液供給管41と、空気導入管43と、処
理液導入管44とを含む。空気供給管40は、鋼製長尺
角管であり、前記めっき鋼板14を挟んで対向して一対
設けられている。空気供給管40の軸線は、前記めっき
鋼板14の板面に平行であり、かつ前記板面に垂直な一
平面内に存在する。空気供給管40の前記めっき鋼板1
4を臨む面には、軸線方向に等しい間隔をあけてノズル
取付孔45が形成されている。
【0031】処理液供給管41は、鋼製長尺丸管であ
り、空気供給管40の内部に挿通されている。処理液供
給管41の軸線は、空気供給管40の軸線と平行であ
る。処理液供給管41の前記ノズル取付孔45と対応す
る軸線方向位置には、ノズル取付孔46が形成されてい
る。ノズル取付孔45,46には、前記連結部材38が
挿通され、連結部材38には前記ノズル18が取付けら
れる。空気導入管43は、空気供給管40に接続され、
所定圧力に調節された圧縮空気を空気供給管40に供給
する。処理液導入管44は、処理液供給管41に接続さ
れ、所定圧力に調節された処理液を処理液供給管41に
供給する。空気導入管43および処理液導入管44から
導入された圧縮空気および処理液は、空気供給管40お
よび処理液供給管41を経て、各ノズル18に個別に供
給される。
【0032】再び図1を参照して、前記処理液供給手段
20は、処理液タンク48と、処理液導入管44と、ポ
ンプ49と、分岐管路52と、流量調整弁50と圧力計
51とを含んで構成される。処理液タンク48は、処理
液を貯留するタンクであり、所定の薬液濃度に調節され
た処理液が貯留される。処理液導入管44は、処理液を
前記ノズルヘッダ19に供給する主管路である。ポンプ
49は、たとえば歯車ポンプであり、処理液を一定流量
で圧送する。分岐管路52は、過剰な処理液を処理液タ
ンク48に環流させる流量調整管路であり、その一端部
はポンプ49よりも下流側の位置で処理液導入管44か
ら分岐し、その他端部は前記処理液タンク48に接続さ
れている。流量調整弁50は、分岐管路52の途中に設
けられ、弁開度の調節によって処理液タンク48に環流
する処理液の流量を調節し、前記ノズルヘッダ19に供
給される処理液の流量を調節する。これによって、ノズ
ルヘッダ19に供給される処理液の圧力が高精度に調節
される。圧力計51は、処理液の圧力を検出する。処理
液タンク48に貯留されている処理液は、ポンプ49に
よって圧送され、流量調整弁50の弁開度調節によって
供給圧力を所定圧力に調節された後、処理液導入管44
を通過して前記ノズルヘッダ19に供給される。なお処
理液の供給圧力は、圧力計51によって検出される。
【0033】前記圧縮空気供給手段21は、空気圧縮機
54と、空気導入管43と、減圧弁55と、圧力調整弁
56と、圧力計57とを含んで構成される。空気圧縮機
54から供給された高圧の圧縮空気は、減圧弁55によ
って減圧され、さらに圧力調整弁56によって所定の圧
力に調節された後、空気導入管43を通過して前記ノズ
ルヘッダ19に供給される。圧縮空気の供給圧力は圧力
計57によって検出される。また、圧縮空気の供給圧力
と処理液の供給圧力との比率(以後、圧力比率と略称す
ることがある)が予め定める範囲の値になるように調節
される。前記圧力比率の調節は、比率調節器(図示せ
ず)によって行われる。
【0034】以上述べたように、本実施の形態のめっき
鋼板製造装置3は、凝固直前の亜鉛めっき層に処理液を
噴射してスパングルを微細化するスパングル微細化装置
7を備えており、スパングル微細化装置7は所定圧力お
よび所定の圧力比率に調節された圧縮空気と処理液とを
ノズル18に供給して処理液を噴射することが可能であ
る。またノズル18は、粗大な処理液粒子を噴射しない
ように構成されているので、粗大な処理液粒子に起因す
る水滴マークと呼ばれる液滴状の表面肌不良の発生を防
止することができる。さらにまたノズル18は、その構
造からノズル詰まりの発生を防止することができるの
で、ノズル詰まりの発生したノズルが混在することによ
る処理液の噴射むらの発生を防止することができる。こ
のため、本実施の形態のめっき鋼板製造装置3は、後記
処理液の噴霧条件を適正に設定することによって、その
機能を充分に発揮することができ、優れた表面品質を有
するミニマムスパングル溶融亜鉛めっき鋼板を効率的に
製造することができる。
【0035】表1は、図1に示すめっき鋼板製造装置3
を用いて行ったミニマムスパングル溶融亜鉛めっき鋼板
の試験製造結果を示す一覧表である。前記試験製造は、
前記めっき鋼板のめっき表面肌と処理液の噴霧条件との
関係を把握するために行ったものである。前記試験製造
に供しためっき鋼板の寸法は、板厚:0.5mm,板
幅:1000mmであり、その亜鉛めっき付着量は60
g/m2(片面)である。表1中に示す圧力比率は、圧
縮空気の供給圧力と処理液の供給圧力との比率を表すも
のであり、めっき層表面の評価は目視観察によって行っ
たものである。表1および表1に示すデータ間の関係を
表す後記複数のグラフに基づいて、良好なめっき表面肌
を得ることのできる処理液の噴霧条件について説明す
る。
【0036】
【表1】
【0037】図9は、圧縮空気の供給圧力と処理液の供
給圧力とめっき層表面の水滴マークの評価との関係を示
すグラフである。図9中に示す○印は、めっき層表面の
水滴マークの評価が良好であることを表す記号であり、
×印はその評価が不良であることを表す記号である。図
9から、水滴マークの評価が良好である領域R1は圧縮
空気の供給圧力が高く、かつ処理液の供給圧力が低い領
域であり、処理液の供給圧力が高いときには圧縮空気の
供給圧力を高くする必要のあることが判る。これは、処
理液の供給圧力が大きくなるほど、処理液の粒子径が大
きくなって水滴マークの評価が不良になり、圧縮空気の
供給圧力が大きくなるほど、処理液の粒子径が小さくな
って水滴マークの評価が良好になることを示唆してい
る。
【0038】図10は、圧縮空気の供給圧力と処理液の
供給圧力とめっき層表面のスパングルの評価との関係を
示すグラフである。図10中に示す○印は、めっき層表
面のスパングルの評価が良好であることを表す記号であ
り、□印はスパングルが○印よりもさらに均一微細であ
り、その評価が特に良好であることを表す記号であり、
×印はその評価が不良であることを表す記号である。図
10から、めっき層表面のスパングルの評価が良好であ
る領域R2は処理液の供給圧力が約1.0kg/cm2
以上の領域であり、めっき層表面のスパングルの評価が
特に良好である領域R3は処理液の供給圧力が約2.0
kg/cm2 以上の領域であることが判る。これは、処
理液の供給圧力が大きくなるほど、処理液の流量が増大
し、スパングルが微細化することを示唆している。
【0039】図11は、圧縮空気の供給圧力と処理液の
供給圧力とめっき表面肌の総合評価との関係を示すグラ
フである。図11中に示す○印は、めっき層表面の水滴
マークの評価およびスパングルの評価がともに良好(め
っき表面肌の総合評価:良好)であることを表す記号で
あり、□印はめっき表面の水滴マークの評価が良好であ
り、かつめっき表面のスパングルの評価が特に良好(め
っき表面肌の総合評価:特に良好)であることを表す記
号であり、×印はめっき表面の水滴マークの評価および
スパングルの評価の少なくとも一方が不良(めっき表面
肌の総合評価:不良)であることを表す記号である。
【0040】図11から、めっき表面肌の総合評価が良
好である領域R4は、処理液の供給圧力が約1.0〜
2.0kg/cm2 の範囲であり、かつ圧縮空気の供給
圧力が3.5kg/cm2 以上の領域であることが判
る。また、めっき表面肌の総合評価が特に良好である領
域R5は、処理液の供給圧力が約2.0kg/cm2
あり、かつ圧縮空気の供給圧力が4.0kg/cm2
上である非常に狭い領域であることが判る。さらにま
た、処理液の供給圧力には適正範囲があり、その値が高
すぎても低すぎてもめっき表面肌の総合評価が不良であ
ることが判る。
【0041】図12は、処理液の平均粒径と、圧力比率
と、めっき表面肌の総合評価との関係を示すグラフであ
る。図12中の○印、□印および×印の各記号は、図1
1の対応する各記号とそれぞれ同一の内容を表してい
る。図12から、処理液の平均粒径と圧力比率との間に
は相関関係があり、圧力比率が大きくなるにつれて処理
液の平均粒径が小さくなること、処理液の平均粒径を1
0〜20μmになるように調節することによって、めっ
き表面肌の総合評価として優れた評価(良好または特に
良好)が得られること、処理液の平均粒径が10μm未
満あるいは20μmを超える場合には、対応するめっき
表面肌の総合評価が不良であること、圧力比率によって
処理液の平均粒径を調節することができること、圧力比
率を2.0〜4.5の範囲にすることによって処理液の
粒径を10〜20μmに調節することができること、圧
力比率範囲2.0〜2.3に対応するめっき表面肌の総
合評価が特に良好であることなどが判る。
【0042】 このように、処理液の平均粒径および圧
力比率に適正範囲が存在し、適正範囲を外れるとめっき
表面肌の総合評価が不良であるのは、次のように理解す
ることができる。図13に示すように、ノズル18の処
理液の流量と圧力比率との間には相関関係があり、圧力
比率が大きくなるにつれて処理液の流量が小さくなる。
前記圧力比率が4.5を超える範囲では、処理液の流量
が非常に小さくなり、かつ処理液の平均粒径が10μm
未満の微細粒となる。このため、溶融亜鉛めっき層に対
する冷却力および衝突力が過小となり、めっき層表面に
スパングルの微細化不良が発生しやすい。前記圧力比率
が2.0未満の範囲では処理液の平均粒径が20μmを
超える粗大粒となり、かつ処理液の流量が非常に大きく
なるので、溶融亜鉛めっき層に対する冷却力および衝突
力は過大となり、めっき層表面に水滴マークと呼ばれる
液滴状の表面肌不良が発生しやすい。これに対して、前
記圧力比率が2.0〜4.5の範囲では、処理液の平均
粒径が10〜20μmの適正粒径となり、溶融亜鉛めっ
き層に対する冷却力および衝突力が適正となるので、め
っき表面のスパングルが均一に微細化され、かつ水滴マ
ークの発生が防止される。処理液の流量は、前述の表1
のNo.1〜6の実施例では、1.0、2、2.5、
3、3.5、および4.5L/hrが得られ、図13に
関連して前述したように、圧力比率が大きくなるにつれ
て処理液の流量が小さくなり、したがって本発明では、
ノズル18において1.0〜4.5L/hrに選んで、
処理後の平均粒径10〜20μmにする。
【0043】以上述べたことより、本実施の形態では良
好なめっき表面肌を得ることのできる処理液の噴霧条件
として、処理液の平均粒径を10〜20μmになるよう
に調節することが好ましい。また、処理液の平均粒径の
調節は、前記圧力比率によって行うことが好ましく、そ
の圧力比率は2.0〜4.5の範囲の値に選ばれること
が好ましい。さらにまた、前記圧力比率は2.0〜2.
3の範囲の値に選ばれることが特に好ましい。なお前記
噴霧条件の設定に際しては、図11に示すように圧縮空
気の供給圧力を3.5kg/cm2以上とし、処理液の
供給圧力を1.0kg/cm2以上にすることが前提条
件として必要である。
【0044】このように、本実施の形態では、処理液の
平均粒径および圧力比率を適正範囲に調節して処理液の
噴霧が行われるので、水滴マークおよびスパングルの微
細化不良の発生がともに確実に防止され、ミニマムスパ
ングル溶融亜鉛めっき鋼板の表面品質が大幅に向上す
る。また、圧力比率によって処理液の平均粒径を調節す
ることができるので、圧縮空気および処理液のいずれか
一方の供給圧力が大幅に変動しても処理液の平均粒径を
適正範囲の値に確実に調節することができる。さらにま
た、前述のように前記ノズルは、粒径が20μmを超え
る処理液粒子が噴射されないように構成することができ
るので、適正に設定された噴霧条件との相乗効果によっ
てさらに確実に処理液の平均粒径を適正範囲の値に調節
することが可能である。このため、良好なめっき表面肌
をコイル全長にわたって安定して得ることができる。
【0045】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、処理液の
平均粒径が適正範囲の値に調節されているので、液滴状
の表面肌不良およびスパングルの微細化不良の発生がと
もに防止される。このため、ミニマムスパングル溶融亜
鉛めっき鋼板の表面品質および製造歩留りが大幅に向上
する。
【0046】また本発明によれば、圧縮空気の供給圧力
の処理液の供給圧力に対する比率によって処理液の平均
粒径を調節することができるので、いずれか一方の供給
圧力が大幅に変動しても処理液の平均粒径を適正範囲の
値に確実に調節することができる。このため、ミニマム
スパングル溶融亜鉛めっき鋼板の表面品質をコイル全長
にわたって高品位に保持することができる。
【0047】また本発明によれば、ミニマムスパングル
溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置は、凝固直前の溶融亜鉛
めっき層に平均粒径を10〜20μmに調節した処理液
を噴射することができるので、優れた表面品質を有する
ミニマムスパングル溶融亜鉛めっき鋼板を効率的に製造
することができる。
【0048】また本発明によれば、ノズルから噴射され
る処理液には粒子径の大きい処理液が含まれないので、
処理液の平均粒径を適正範囲の値に確実に調節すること
ができる。またノズルの構造が簡単で処理液の停滞する
部分が少ないので、処理液に含まれる薬剤が滞留中に晶
出し、蓄積されてノズル詰まりを発生させるおそれがな
い。このため、ノズル詰まりに起因する噴射むらの発生
を防止することができる。
【0049】また本発明によれば、圧縮空気の供給圧力
と処理液の供給圧力との比率が適正範囲の値になるよう
に構成されているので、安定した操業を長期間にわたっ
て継続することができる。このため、設備の稼働率およ
び生産性が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるミニマムスパング
ル溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置の構成を簡略化して示
す系統図である。
【図2】図1に示すスパングル微細化装置のノズルの構
成を簡略化して示す正面断面図である。
【図3】図2に示すノズルの側面図である。
【図4】圧縮空気によって霧化された処理液の粒子径分
布を示す分布図である。
【図5】図2に示すノズルの内部における処理液の噴霧
状況を示す断面図である。
【図6】図1に示すスパングル微細化装置のノズルヘッ
ダの構成を簡略化して示す正面図である。
【図7】図6に示すノズルヘッダの構成を簡略化して示
す平面図である。
【図8】図7の切断面線VIII−VIIIから見た断
面図である。
【図9】圧縮空気の供給圧力と処理液の供給圧力とめっ
き層表面の水滴マークの評価との関係を示すグラフであ
る。
【図10】圧縮空気の供給圧力と処理液の供給圧力とめ
っき層表面のスパングルの評価との関係を示すグラフで
ある。
【図11】圧縮空気の供給圧力と処理液の供給圧力とめ
っき表面肌の総合評価との関係を示すグラフである。
【図12】処理液の平均粒径と圧力比率とめっき表面肌
の総合評価との関係を示すグラフである。
【図13】処理液の流量と圧力比率との関係を示すグラ
フである。
【図14】従来からの連続溶融亜鉛めっき設備のめっき
浴近辺の構成を簡略化して示す系統図である。
【符号の説明】
3 めっき鋼板製造装置 7 スパングル微細化手段 14 溶融亜鉛めっき鋼板 16 ケーシング 17 昇降手段 18 ノズル 19 ノズルヘッダ 20 処理液供給手段 21 圧縮空気供給手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−247343(JP,A) 特開 昭55−28363(JP,A) 特開 平2−273565(JP,A) 特開 平1−73061(JP,A) 実開 平2−82762(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融亜鉛めっき浴に還元焼鈍された母材
    鋼板を連続的に浸漬して板面に亜鉛めっき層を形成し、
    めっき浴上に配置されたノズルから亜鉛めっき層を冷却
    する処理液と圧縮空気とを混合して噴射し、亜鉛めっき
    層のスパングルを微細化するミニマムスパングル溶融亜
    鉛めっき鋼板の製造方法において、 前記ノズルは、 溶融亜鉛めっき鋼板を臨んで偏平なノズル孔30が形成
    されており、ノズル孔に連なってノズルの軸線方向に延
    びる供給室32が形成されており、 供給室32にはノズル孔から軸線方向に遠ざかるほど半
    径方向外方に広がる段差33が形成されており、 供給室32に、ノズル孔から前記軸線方向に遠ざかった
    端部で連なり、前記軸線方向に延びる供給路34と、 供給路34のノズル孔から前記軸線方向に遠ざかった端
    部から、さらに遠ざかるにつれて半径方向外方に広がる
    混合室35とが設けられ、 混合室35には、 前記軸線上に設けられる空気供給路36と、 空気供給路36から半径方向外方側に間隔をあけて形成
    される処理液供給路37とが、臨み、 圧縮空気が空気供給路36に供給され、 処理液が処理液供給路37に供給され、 圧縮空気の供給圧力は、3.5kg/cm以上であ
    り、処理液の供給圧力は、1.0〜2.0kg/cm
    であり、 前記圧縮空気の供給圧力の処理液の供給圧力に対する比
    率が2.0〜4.5であり、 処理液の流量が1.0〜4.5L/hrであり、 ノズルから噴射される処理液の平均粒径を10〜20μ
    mになるように調節することを特徴とするミニマムスパ
    ングル溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 圧縮空気の供給圧力は、4.5kg/c
    であり、 処理液の供給圧力は、2.0kg/cmであり、 前記比率が2.3であり、 処理液の流量3.5L/hrであることを特徴とする請
    求項1記載のミニマムスパングル溶融亜鉛めっき鋼板の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 (a)鋼板を還元焼鈍する還元焼鈍炉
    と、 (b)還元焼鈍炉からの鋼板が溶融亜鉛めっき浴中に浸
    漬され、浴中を通過して引上げられるめっき手段と、 (c)前記めっき浴から導出された溶融亜鉛めっき鋼板
    に気体を噴射して溶融亜鉛めっき層の付着量を制御する
    めっき付着量制御手段と、 (d)めっき付着量制御手段の鋼板搬送方向下流側に設
    けられ、溶融亜鉛めっき鋼板を外囲して搬送通路を形成
    するケーシングと、 (e)ケーシングを上下方向に昇降変位させる昇降手段
    と、 (f)ケーシング内に、前記めっき鋼板の幅方向に間隔
    をあけて複数個設けられ、前記めっき層を冷却する処理
    液を圧縮空気と混合し、処理液の平均粒径を10〜20
    μmに調節して凝固直前の前記めっき層に噴射するノズ
    ルであって、 前記ノズルは、 溶融亜鉛めっき鋼板を臨んで偏平なノズル孔30が形成
    されており、 ノズル孔に連なってノズルの軸線方向に延びる供給室3
    2が形成されており、供給室にはノズル孔から軸線方向
    に遠ざかるほど半径方向外方に広がる段差33が形成さ
    れており、 供給室32に、ノズル孔から前記軸線方向に遠ざかった
    端部で連なり、前記軸線方向に延びる供給路34と、 供給路34のノズル孔から前記軸線方向に遠ざかった端
    部から、さらに遠ざかるにつれて半径方向外方に広がる
    混合室35とが設けられ、 混合室35には、 前記軸線上に設けられる空気供給路36と、 空気供給路36から半径方向外方側に間隔をあけて形成
    される処理液供給路37とが、臨み、 圧縮空気が空気供給路36に供給され、処理液が処理液
    供給路37に供給されるように構成されているノズル
    と、 (g)複数のノズルが着脱自在に装着され、各ノズルに
    処理液および圧縮空気を供給するノズルヘッダと、 (h)処理液を予め定める圧力1.0〜2.0kg/c
    に調節し、各ノズルからの処理液の流量1.0〜
    4.5L/hrでノズルヘッダに供給する処理液供給手
    段と、 (i)圧縮空気を予め定める圧力3.5kg/cm
    上であって、圧縮空気の供給圧力の処理液の供給圧力に
    対する比率が2.0〜4.5の範囲の値になるように調
    節してノズルヘッダに供給する圧縮空気供給手段とを含
    むことを特徴とするミニマムスパングル溶融亜鉛めっき
    鋼板の製造装置。
  4. 【請求項4】 圧縮空気供給手段による圧縮空気の供給
    圧力は、4.5kg/cmであり、 処理液供給手段による処理液の供給圧力は、2.0kg
    /cmであり、 前記比率が2.3であり、 処理液の流量3.5L/hrであることを特徴とする請
    求項3記載のミニマムスパングル溶融亜鉛めっき鋼板の
    製造装置。
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