JP3393736B2 - ミニマムスパングル用処理液の噴射方法および装置 - Google Patents

ミニマムスパングル用処理液の噴射方法および装置

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JP3393736B2 JP14373595A JP14373595A JP3393736B2 JP 3393736 B2 JP3393736 B2 JP 3393736B2 JP 14373595 A JP14373595 A JP 14373595A JP 14373595 A JP14373595 A JP 14373595A JP 3393736 B2 JP3393736 B2 JP 3393736B2
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直樹 遠原
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Nisshin Steel Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融めっき鋼帯の表面
に形成されるスパングルを微細化するミニマムスパング
ル用処理液の噴射方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融めっき鋼帯、特に溶融亜鉛めっき鋼
帯は、従来から優れた耐食性材料として知られており、
その特性を生かして建築材料など様々な用途に広く使用
されている。一般に溶融亜鉛めっき鋼帯の表面には、ス
パングルと呼ばれる美麗な華模様が形成されている。
【0003】スパングルは、めっきされた亜鉛が凝固す
るとき、結晶が樹枝状に発達することによって表面に形
成される華模様であり、その形成によって溶融亜鉛めっ
き鋼帯の装飾性および意匠性は向上する。しかしなが
ら、溶融亜鉛めっき鋼帯は、塗装下地材料として用いら
れる場合などには、スパングルが塗装後にも残存し、塗
膜の鮮映性を低下させるので、スパングルを微細化して
華模様を消滅させる必要がある。なお、前記微細化され
たスパングルはミニマムスパングルと呼ばれており、ミ
ニマムスパングルの形成された溶融亜鉛めっき鋼帯は、
ミニマムスパングル亜鉛めっき鋼帯と呼ばれている。前
記ミニマムスパングル亜鉛めっき鋼帯は、従来から次の
ようにして製造されている。
【0004】図2に示すように、被めっき材である冷間
圧延鋼帯31は、還元焼鈍炉32において焼なましおよ
び還元清浄化された後、溶融亜鉛めっき浴35中へ浸漬
されて亜鉛めっきされ、浸漬ロール34に巻掛けられて
上方へ移送される。溶融亜鉛めっき浴35から搬出され
た溶融亜鉛めっき鋼帯42は、ガスワイピングノズル3
7によって過剰な亜鉛を吹払され、亜鉛付着量を調整さ
れた後、ミニマムスパングル用処理液(以後、「処理
液」と略称することがある)を表面に噴射される。前記
処理液の噴射は、表面の溶融亜鉛が凝固する直前の位置
で行われ、処理液は加圧空気によって霧化されて噴霧手
段38のノズル39から噴射される。これによって、溶
融亜鉛めっき鋼帯42の亜鉛めっき層は溶融状態から急
冷されるので、表面に形成されるスパングルが微細化さ
れ、ミニマムスパングル亜鉛めっき鋼帯が製造される。
なお、処理液および加圧空気の圧力制御は各供給源から
の供給圧力を予め定める値に一定に保持する方法で行わ
れており、ノズル39に導入される処理液および加圧空
気の圧力制御は行われていない。
【0005】このように、ミニマムスパングル亜鉛めっ
き鋼帯の製造において、処理液の噴射が亜鉛めっき層の
凝固直前の位置で行われるのは、処理液の噴射が早すぎ
ると亜鉛の融点よりも高い温度で処理液を噴射すること
になり、めっき表面にピット状の肌荒れが生じやすくな
るからであり、逆に処理液の噴射が遅すぎるとスパング
ルの微細化が生じなくなるからである。このため、噴霧
手段38には、最適な位置で処理液の噴射を行うことが
できるように昇降手段41が設けられている。なお、処
理液の最適噴射位置の決定は、作業者の目視観察によっ
て行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、ミニマ
ムスパングル亜鉛めっき鋼帯を製造するには、処理液の
噴射を亜鉛めっき層の凝固直前の位置で行う必要があ
る。しかしながら、亜鉛めっき層の凝固位置は、亜鉛付
着量、ライン速度、鋼帯の板厚および外気温度などによ
って変動するので、その変動に応じて噴霧手段38を昇
降手段41によって昇降させ、ノズル39を、常時、最
適位置に移動させる必要がある。また、前述のように処
理液の圧力制御は、供給源からの供給圧力を一定に保持
する方法で行われているので、ノズル39に導入される
処理液の圧力はノズル39の上下方向位置によって変動
する。すなわち、ノズル39が上方に位置する場合に
は、ノズル39に導入される処理液の圧力は、ノズル3
9が下方に位置する場合に比べて上下方向の距離に相当
する水頭圧分だけ低下するので、ノズル39に導入され
る処理液の供給量が少なくなり、ノズル39が下方に位
置する場合には、これとは全く逆の現象が生ずる。この
ため、ノズル39が上方に位置する場合にノズル39に
導入される処理液の圧力が、予め定める適正圧力となる
ように処理液供給源からの供給圧力を設定すれば、ノズ
ル39が下方に位置する場合には、処理液の圧力が過大
となり、水滴マークと呼ばれる表面欠陥が発生しやすく
なる。また、逆にノズル39が下方に位置する場合に、
ノズル39に導入される処理液の圧力が予め定める適正
圧力となるように処理液供給源からの供給圧力を設定す
れば、ノズル39が上方に位置する場合には、処理液の
圧力が過小となってノズル39に導入される処理液の供
給量不足を招き、それに伴う処理液の冷却能力不足によ
ってスパングルが微細化されなくなる。このように従来
技術では、ノズルの上下方向における全位置にわたって
処理液の圧力を適正値に一定に保持することが困難であ
り、処理液の圧力変動に基づくスパングルの微細化不良
および水滴マークと呼ばれる表面欠陥が多発するという
問題がある。
【0007】本発明の目的は、前記問題を解決し、ノズ
ルの上下方向における位置に拘わらず、ノズルに導入さ
れる処理液の圧力を予め定める適正値に一定に保持し、
溶融めっき鋼帯の表面に形成されるスパングルの微細化
不良および水滴マークなどの表面欠陥の発生を確実に防
止することのできるミニマムスパングル用処理液の噴射
方法および装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶融金属のめ
っき浴槽に浸漬される浸漬ロールに巻掛けられて上方へ
走行する溶融めっき鋼帯の表面に、上下に変位調整可能
に設けられたノズルからミニマムスパングル用処理液を
溶融めっき層の凝固直前の位置で噴射するミニマムスパ
ングル用処理液の噴射方法において、ノズルに導入され
る処理液の圧力を予め定める値に設定し、ノズル近傍に
設けられ、ノズルとともに昇降変位される圧力計によっ
てノズルに導入される処理液の圧力を検出し、前記圧力
計によって検出される圧力が前記予め定める設定値と一
致するように処理液の圧力を制御することを特徴とする
ミニマムスパングル用処理液の噴射方法である。また本
発明は、溶融金属のめっき浴槽に浸漬される浸漬ロール
に巻掛けられて上方へ走行する溶融めっき鋼帯の表面
に、上下に変位調整可能に設けられたノズルからミニマ
ムスパングル用処理液を溶融めっき層の凝固直前の位置
で噴射するミニマムスパングル用処理液の噴射方法にお
いて、ノズルに導入される処理液の圧力を予め定める値
に設定し、上下方向に変位しない位置に設けられる圧力
計によって処理液の供給圧力を検出し、ノズルと前記圧
力計との上下方向の距離を検出し、前記処理液の設定圧
力と前記上下方向の検出距離とに基づいて、前記圧力計
の設置位置における目標圧力を定め、圧力計によって検
出される処理液の圧力が前記目標圧力と一致するように
処理液の圧力を制御することを特徴とするミニマムスパ
ングル用処理液の噴射方法である。さらに本発明は、溶
融金属のめっき浴槽に浸漬される浸漬ロールに巻掛けら
れて上方へ走行する溶融めっき鋼帯の表面に、上下に変
位調整可能に設けられたノズルからミニマムスパングル
用処理液を溶融めっき層の凝固直前の位置で噴射するミ
ニマムスパングル用処理液の噴射装置において、ノズル
近傍に設けられ、ノズルとともに昇降変位され、ノズル
に導入される処理液の圧力を検出する圧力計と、ノズル
に導入される処理液の圧力を予め定める値に設定する圧
力設定手段と、処理液を供給する処理液供給源と、圧力
計と圧力設定手段との出力に応答し、検出圧力が設定圧
力に一致するように処理液供給源から供給される処理液
の圧力を制御する圧力制御手段とを含むことを特徴とす
るミニマムスパングル用処理液の噴射装置である。また
本発明は、溶融金属のめっき浴槽に浸漬される浸漬ロー
ルに巻掛けられて上方へ走行する溶融めっき鋼帯の表面
に、上下に変位調整可能に設けられたノズルからミニマ
ムスパングル用処理液を溶融めっき層の凝固直前の位置
で噴射するミニマムスパングル用処理液の噴射装置にお
いて、処理液を供給する処理液供給源と、上下方向に変
位しない位置に設けられ、処理液供給源から供給される
処理液の圧力を検出する圧力計と、ノズルと圧力計との
上下方向の距離を検出する高さ位置検出手段と、ノズル
に導入される処理液の圧力を予め定める値に設定する圧
力設定手段と、高さ位置検出手段と、圧力設定手段との
出力に応答し、ノズルに導入される処理液の圧力が前記
設定圧力と一致するように圧力計の目標圧力を演算して
求める演算回路と、圧力計の出力と、演算回路の出力と
に応答し、圧力計によって検出される圧力が目標圧力に
一致するように処理液供給源から供給される処理液の圧
力を制御する圧力制御手段とを含むことを特徴とするミ
ニマムスパングル用処理液の噴射装置である。さらに本
発明の前記圧力制御手段は、処理液供給源からの処理液
を供給する管路と、管路の途中に設けられる流量制御弁
と、前記圧力計の検出圧力と、前記圧力設定手段からの
設定圧力または前記演算回路からの目標圧力との差に対
応する信号を導出する減算器と、減算器の出力に応答
し、減算器の出力が零となるように流量制御弁の開度を
制御する制御回路とを含むことを特徴とする。さらにま
た本発明の処理液供給源は容積型ポンプと、容積型ポン
プを駆動するモータとを含み、前記圧力制御手段は、処
理液供給源からの処理液をノズルに供給する管路と、前
記圧力計の検出圧力と、前記圧力設定手段からの設定圧
力または前記演算回路からの目標圧力との差に対応する
信号を導出する減算器と、減算器の出力に応答し、減算
器の出力が零となるようにモータの回転速度を制御する
制御回路とを含むことを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明に従えば、ミニマムスパングル用処理液
の噴射は、ノズルに導入される処理液の圧力を予め定め
る値に設定し、ノズル近傍に設けられ、ノズルとともに
昇降変位される圧力計によってノズルに導入される処理
液の圧力を検出し、圧力計によって検出される圧力が、
前記設定値と一致するように処理液の圧力を制御するこ
とによって行われる。このように、ノズルに導入される
処理液の圧力がノズルの上下位置に拘わらず予め定める
目標設定値に確実に保持されるので、従来のミニマムス
パングル溶融めっき鋼帯において、多発していたノズル
に導入される処理液の過小圧力に起因するスパングルの
微細化不良およびノズルに導入される処理液の過大圧力
に起因する水滴マークなどの表面欠陥の発生が確実に防
止される。
【0010】また本発明に従えば、ミニマムスパングル
用処理液の噴射は、ノズルに導入される処理液の圧力を
予め定める値に設定し、上下方向に変位しない位置に設
けられる圧力計によって処理液の供給圧力を検出し、ノ
ズルと前記圧力計との上下方向の距離を検出し、前記処
理液の設定圧力と前記上下方向の検出距離とに基づい
て、圧力計の設置位置における目標圧力を定め、圧力計
によって検出される処理液の圧力が目標圧力と一致する
ように処理液の圧力を制御することによって行われる。
このように、ノズルと圧力計との上下方向の距離に基づ
き、圧力計の目標圧力を定めることによって、圧力計を
ノズルとともに昇降変位させなくてもノズルに導入され
る処理液の圧力を、ノズルの上下方向位置に拘わらず予
め定める設定値に確実に保持することができる。このた
め、従来のミニマムスパングル溶融めっき鋼帯におい
て、多発していたノズルに導入される処理液の過小圧力
に起因するスパングルの微細化不良およびノズルに導入
される処理液の過大圧力に起因する水滴マークなど、表
面欠陥の発生が確実に防止される。
【0011】また本発明に従えば、ミニマムスパングル
用処理液の噴射装置は、圧力計と、圧力設定手段と、処
理液を供給する処理液供給源と、圧力制御手段とを含
む。圧力計は、ノズル近傍に設けられノズルとともに昇
降変位され、ノズルに供給される処理液の圧力を検出す
る。圧力設定手段は、ノズルに導入される処理液の圧力
を予め定める値に設定する。圧力制御手段は、圧力計と
圧力設定手段との出力に応答し、検出圧力が設定圧力に
一致するように処理液供給源から供給される処理液の圧
力を制御する。これによって、ノズルに導入される処理
液の圧力は確実に設定値と一致し、かつノズルに導入さ
れる処理液の圧力変動が大幅に低減されるので、ミニマ
ムスパングル用処理液噴射装置は処理液を、常時、好適
な状態で噴射することができる。
【0012】また本発明に従えば、ミニマムスパングル
用処理液の噴射装置は、処理液供給源と、圧力計と、高
さ位置検出手段と、圧力設定手段と、演算回路と、圧力
制御手段とを含む。圧力計は上下方向に変位しない位置
に設けられ、処理液供給源から供給される処理液の圧力
を検出する。高さ位置検出手段はノズルと圧力計との上
下方向の距離を検出し、圧力設定手段はノズルに導入さ
れる処理液の圧力を予め定める値に設定する。演算回路
は高さ位置検出手段と、圧力設定手段との出力に応答
し、ノズルに導入される処理液の圧力が設定圧力と一致
するように圧力計の目標圧力を演算して求め、圧力制御
手段は圧力計の出力と、演算回路の出力とに応答し、圧
力計によって検出される圧力が目標圧力に一致するよう
に処理液供給源から供給される処理液の圧力を制御す
る。これによって、圧力計はノズル近傍でノズルととも
に上下方向に変位しなくてもノズルに導入される処理液
の圧力を確実に設定値と一致させることができる。ま
た、圧力計を高温で粉塵の多いノズル近傍に設けなくて
もよいので、圧力計の設置環境が改善され、圧力計の寿
命延長および保守点検作業の作業性向上を図ることがで
きる。
【0013】また本発明に従えば、圧力制御手段は管路
と、管路の途中に設けられる流量制御弁と、減算器と、
制御回路とを含む。管路は処理液供給源からの処理液を
ノズルに供給し、流量制御弁は処理液の流量を調整して
処理液の圧力を制御する。減算器は前記圧力計の検出圧
力と、前記圧力設定手段からの設定圧力または前記演算
回路からの目標圧力との差に対応する信号を導出し、制
御回路は減算器の出力に応答し、減算器の出力が零とな
るように流量制御弁の開度を制御する。このように、流
量制御弁は、処理液供給源からの処理液をノズルに供給
している回路の処理液流量を制御しているので、処理液
流量の調整を迅速、かつ確実に行うことができる。この
ため、ノズルに導入される処理液の圧力を高精度に制御
することが可能となる。
【0014】また本発明に従えば、処理液供給源は容積
型ポンプと、容積型ポンプを駆動するモータとを含み、
圧力制御手段は、処理液供給源からの処理液をノズルに
供給する管路と、減算器と、制御回路とを含む。減算器
は前記圧力計の検出圧力と、前記圧力設定手段からの設
定圧力または前記演算回路からの目標圧力との差に対応
する信号を導出し、制御回路は減算器の出力に応答し、
減算器の出力が零となるようにモータの回転速度を制御
する。このように、モータの回転速度制御によって処理
液の流量が直接制御されるので、処理液流量の微小な調
整を迅速、かつ確実に行うことができる。このため、ノ
ズルに導入される処理液の圧力が高精度に制御される。
また、処理液の流量制御弁を設けなくてもよいので、装
置が簡素化され、保守点検作業の作業性が大幅に向上す
る。
【0015】
【実施例】図1は本発明の第1実施例であるミニマムス
パングル用処理液の噴射装置の構成を簡略化して示す系
統図であり、図2は本発明を好適に適用することのでき
る連続溶融亜鉛めっき設備のめっき浴槽近辺の構成を簡
略化して示す系統図である。本実施例のミニマムスパン
グル用処理液の噴射装置1(以後、「処理液噴射装置」
と略称することがある)は、図2に示す連続溶融亜鉛め
っき設備に適用される。なお図1では、処理液を噴射す
る複数のノズル39を図解の便宜のために、本来、図1
の紙面に垂直に配列されているにも拘わらず、図1の紙
面の上下方向に配列されているように表している。
【0016】めっき浴槽36近辺の連続溶融亜鉛めっき
設備は、還元焼鈍炉32と、スナウト33と、溶融亜鉛
めっき浴35が貯留されているめっき浴槽36と、溶融
亜鉛めっき浴35中に浸漬されている浸漬ロール34
と、過剰な亜鉛を吹払するガスワイピングノズル37
と、処理液をノズル39から霧状に噴射する噴霧手段3
8と、噴霧手段38を上下方向に変位させる昇降手段4
1とを含んで構成され、上流側からこの順序に配置され
ている。還元焼鈍炉32は、被めっき材、たとえば冷間
圧延鋼帯31を還元性雰囲気中で焼なましするととも
に、表面を還元清浄化するための熱処理炉である。スナ
ウト33は、冷間圧延鋼帯31を還元性雰囲気で保護し
たまま溶融亜鉛めっき浴35中に浸漬するための連結装
置であり、スナウト33の一端部は還元焼鈍炉32に接
続され、他端部は溶融亜鉛めっき浴35中に浸漬されて
いる。還元焼鈍炉32およびスナウト33の内部に導入
されている還元性雰囲気ガスの成分は、たとえば50%
2−50%N2である。噴霧手段38は複数のノズル3
9と、ノズル39に処理液および加圧空気を導くノズル
ヘッダ40とを含んで構成され、処理液および加圧空気
はノズルヘッダ40を介して別々に各ノズル39に導入
されて混合される。
【0017】冷間圧延鋼帯31は、還元焼鈍炉32およ
びスナウト33を経て溶融亜鉛めっき浴35中に浸漬さ
れ、浸漬ロール34に巻掛けられて上方へ走行し、溶融
亜鉛めっきされた後、溶融亜鉛めっき浴35から大気中
に搬出される。大気中に搬出された溶融めっき鋼帯であ
る溶融亜鉛めっき鋼帯42は、ガスワイピングノズル3
7によって亜鉛付着量を調整された後、溶融亜鉛めっき
鋼帯42を挟んで対向して設けられている噴霧手段38
のノズル39からミニマムスパングル用処理液を表面に
噴射される。前記処理液の噴射は、溶融亜鉛めっき層が
凝固する直前の位置で行われ、処理液は加圧空気によっ
て霧化されて噴射される。これによって、溶融亜鉛めっ
き鋼帯42の亜鉛めっき層は、溶融状態から急冷される
ので、表面に形成されるスパングルが微細化される。な
お、処理液の噴射位置調整は昇降手段41によって行わ
れ、処理液の圧力制御は、処理液噴射装置1によって行
われる。
【0018】処理液噴射装置1は、圧力計2と、圧力設
定手段3と、処理液供給源4と、圧力制御手段5とを含
んで構成される。圧力計2は、たとえばダイヤフラム式
圧力計であり、前記噴霧手段38のノズル39近傍に設
けられ、ノズル39とともに昇降変位してノズル39に
導入される処理液の圧力を検出する。圧力設定手段3
は、ノズル39に導入される処理液の圧力を予め定める
値に設定する。前記予め定める設定圧力は、溶融亜鉛め
っき層のスパングルが微細で、かつ処理液噴射に起因す
る表面欠陥の生じない値に選ばれる。これは、処理液の
圧力が過小であれば、ノズル39に導入される処理液の
供給量不足を招き、それに伴う処理液の冷却能力不足に
よってスパングルが微細化されなくなるからであり、処
理液の圧力が過大であれば、水滴マークと呼ばれる表面
欠陥が発生しやすくなるからである。前記予め定める設
定圧力は、たとえば1.8〜2.0kg/cm2 であ
る。
【0019】処理液供給源4は、たとえば歯車ポンプな
どによって実現され、処理液を加圧して噴霧手段38に
供給する。本実施例では、歯車ポンプの回転速度は一定
であるので、処理液は一定流量で供給される。処理液
は、溶融亜鉛めっき層を溶融状態から急冷し、かつ多数
の凝固核を均一に発生させるための液体であり、水、水
蒸気、燐酸ナトリウム水溶液、燐酸アンモニウム水溶液
などを用いることが好ましい。処理液の噴射は、作業者
の目視観察によって溶融亜鉛めっき層の凝固直前に行わ
れる。なお、処理液噴射時の溶融亜鉛めっき層の温度
は、420±20℃である。
【0020】前記圧力制御手段5は、第1管路7と、第
2管路8と、処理液貯留槽9と、流量制御弁10と、減
算器11と、制御回路12とを含む。第1管路7は、処
理液供給源4から噴霧手段38のノズル39に処理液を
供給する主管路であり、噴霧手段38との接続部には、
屈曲自在な耐圧ホース15が接続されている。耐圧ホー
ス15は、噴霧手段38の昇降距離に対応する長さを有
しているので、噴霧手段38が昇降変位しても処理液を
継続して供給することができる。第2管路8は第1管路
7の途中に設けられ、第1管路7から処理液を分岐する
分岐管路であり、処理液貯留槽9は第2管路8からの処
理液を貯留し、再び処理液供給源4に処理液を戻す。こ
れによって、第1管路7、第2管路8および処理液貯留
槽9は、主管路から分岐した処理液循環回路を形成す
る。
【0021】流量制御弁10は、第2管路8の途中に設
けられ、処理液循環管路の流量を制御して噴霧手段38
に供給される処理液の流量を間接的に制御する。このた
め、処理液流量の微小な調整が確実に行われ、ノズル3
9に導入される処理液の圧力を高精度に制御することが
可能となる。減算器11は、前記圧力計2の検出圧力
と、前記圧力設定手段3からの設定圧力との差に対応す
る信号を導出する回路であり、制御回路12は、減算器
11の出力に応答し、減算器11の出力が零となるよう
に流量制御弁10の開度を制御する回路である。このた
め、圧力制御手段5は、圧力計2と、圧力設定手段3か
らの出力に応答し、検出圧力が設定圧力に一致するよう
に処理液供給源4から供給される処理液の圧力を制御す
ることができる。
【0022】また、処理液噴射装置1には、処理液を霧
状に噴霧する加圧空気供給手段16が設けられている。
加圧空気供給手段16は、加圧空気を噴霧手段38に供
給する空気管路17と、加圧空気供給源18と、減圧弁
19と、圧力計20とを含む。加圧空気供給源18から
供給された加圧空気は、減圧弁19によって予め定める
適正圧力に減圧され、圧力計20によって圧力を検出し
て適正圧力であることを確認した後、空気管路17を経
て噴霧手段38に導入される。加圧空気の圧力は、予め
定める適正圧力に一定に保持することが好ましい。これ
は、加圧空気の圧力が高過ぎる場合には、亜鉛表面が酸
化されて白色化する恐れがあるからであり、加圧空気の
圧力が低過ぎる場合には、霧化される処理液の粒子径が
大きくなり、凝固核の発生量が低減してスパングルの微
細化が困難になるからである。加圧空気の適正圧力は、
たとえば4.5kg/cm2である。なお、空気管路1
7の噴霧手段38との接続部には、前記処理液の第1管
路7と同様に、噴霧手段38の昇降距離に対応する長さ
を有する耐圧空気ホース21が屈曲自在に接続されてい
るので、噴霧手段38が昇降変位しても加圧空気を継続
して供給することができる。
【0023】図3は、図2に示すノズルヘッダの構成を
簡略化して示す側面断面図である。ノズルヘッダ40
は、溶融亜鉛めっき鋼帯42を挟んで対向して設けられ
ており、空気ヘッダ43と、処理液ヘッダ44と、ノズ
ル導入部材45とを含んで構成される。空気ヘッダ43
は、溶融亜鉛めっき鋼帯42の板幅方向に平行に延びて
形成されており、処理液ヘッダ44は、空気ヘッダ43
の後面(図3のおける紙面の右側)に設けられている。
ノズル導入部材45は円筒状部材であり、空気ヘッダ4
3の長手方向に等間隔をあけて複数個設けられている。
ノズル導入部材45の溶融亜鉛めっき鋼帯42を臨む一
端部には、ノズル39が着脱自在に取付けられており、
ノズル導入部材45の他端部は前記処理液ヘッダ44に
開口している。
【0024】前記空気管路17および第1管路7から供
給された加圧空気および処理液は、空気ヘッダ43およ
び処理液ヘッダ44に導入され、ノズル導入部材45を
介してノズル39で混合される。ノズル39において、
加圧空気と混合された処理液は加圧空気によって霧化さ
れて、ノズル39から加圧空気とともに噴射される。
【0025】図4は図2に示す昇降手段の構成を簡略化
して示す正面図であり、図5は図4に示す昇降手段の構
成を簡略化して示す側面図である。昇降手段41は、上
下方向に昇降するマスト本体51と、第1チェンブロッ
ク52と、第2チェンブロック53と、マスト本体51
に摺動自在に取付けられているカーソル54と、カーソ
ル54と前記噴霧手段38とを連結する連結部材55
と、溶融亜鉛めっき鋼帯42の板幅方向に往復移動する
移動台車56とを含んで構成される。
【0026】噴霧手段38の昇降は、昇降手段41を用
いて次のようにして行われる。噴霧手段38を上昇させ
る場合には、第1段階として第1チェンブロック52を
用いてマスト本体51を上昇させる。マスト本体51の
上昇は、第1チェンブロック52の駆動モータ57を回
転駆動し、ウォーム減速機58を介してスプロケット6
0を回転させ、スプロケット60と、リンクシーブ61
とに巻掛けられている第1リンクチェーン59を巻上げ
ることによって行われる。マスト本体51には、カーソ
ル54および連結部材55を介して噴霧手段38が連結
されているので、噴霧手段38はマスト本体51ととも
に上昇する。マスト本体51の上限位置(仮想線73)
まで上昇した噴霧手段38は、第2段階として第2チェ
ンブロック53を用いてさらに上昇することができる。
【0027】噴霧手段38の第2段階の上昇は、第2リ
ンクチェーン68を巻上げて、カーソル54をマスト本
体51に沿って上昇させることによって行われる。噴霧
手段38は、連結部材55を介してカーソル54と連結
されているので、噴霧手段38はカーソル54とともに
さらに上昇することができる。噴霧手段38を下降させ
る場合には、上昇させる場合と逆の操作によって噴霧手
段38を下限位置まで下降させることができる。このよ
うに、噴霧手段38は、昇降手段41を用いて2段階に
昇降させることができるので、噴霧手段38の昇降距離
は極めて大きくなる。噴霧手段38の昇降距離は、たと
えば第1段階で4375mm、第2段階で4375m
m、合計8750mmである。なお、噴霧手段38の昇
降速度は、たとえば5m/minである。
【0028】図6は、図1に示すミニマムスパングル用
処理液噴射装置の電気的構成を示すブロック図である。
図6を参照して、本実施例におけるミニマムスパングル
用処理液の噴射方法を説明する。第1ステップでは、前
記ノズル39に導入される処理液の圧力が、圧力設定手
段3によって設定される。設定される処理液の圧力は、
溶融亜鉛めっき層のスパングルが微細で、かつ処理液噴
射に起因する表面欠陥の生じない、予め定める値に選ば
れる。第2ステップでは、圧力計2によってノズル39
に導入される処理液の圧力が検出される。圧力計2は、
前述のようにノズル39近辺に設けられ、ノズル39と
ともに昇降変位されるので、ノズル39の上下方向位置
に拘わらず、ノズル39に導入される処理液の圧力を正
確、かつ確実に検出することができる。第3ステップで
は、減算器11によって圧力計2の検出圧力と、圧力設
定手段3からの設定圧力との差に対応する信号が導出さ
れる。第4ステップでは、制御回路12によって比例、
積分、微分などの演算が行われ、減算器11の出力が零
となるように、前記第2管路8に設けられている流量制
御弁10の開度が制御される。たとえば、圧力計2によ
る検出圧力が設定圧力よりも低く減算器11の出力が正
の値となるときには、流量制御弁10の開度を小さくし
て、ノズル39に導入される処理液の圧力を上昇させ
る。第5ステップでは、設定圧力に制御された処理液が
ノズル39に導入され、前記加圧空気によって霧化され
て、ノズル39から噴射される。
【0029】このように本実施例では、圧力計2によっ
て検出される圧力が、前記設定圧力と一致するように処
理液の圧力が制御されてノズル39に導入されるので、
処理液の過小圧力に起因するスパングルの微細化不良お
よび処理液の過大圧力に起因する水滴マークなどの表面
欠陥の発生が確実に防止される。
【0030】図7は、本発明の第2実施例であるミニマ
ムスパングル用処理液の噴射装置の構成を簡略化して示
す系統図である。第1実施例と対応する部分には、同一
の参照符号を付す。本実施例の処理液噴射装置23は、
第1実施例と同様に、図2に示す連続溶融亜鉛めっき設
備に適用される。処理液噴射装置23は、処理液供給源
4と、圧力計24と、高さ位置検出手段25と、圧力設
定手段3と、演算回路26と、圧力制御手段5とを含ん
で構成される。圧力計24は、たとえばダイヤフラム式
圧力計であり、上下方向に変位しない位置、たとえば前
記噴霧手段38よりも下方の床上に設けられ、処理液供
給源4から供給される処理液の圧力を検出する。高さ位
置検出手段25は、たとえばパルスジェネレータなどに
よって実現され、上下方向に変位する噴霧手段38に設
けられてノズル39と、圧力計24との上下方向の距離
を検出する。
【0031】演算回路26は、ノズル39と圧力計24
との上下方向の距離に基づき、圧力設定手段3によって
設定した設定圧力を処理液の水頭圧に相当する圧力分だ
け補正する回路であり、高さ位置検出手段25と圧力設
定手段3との出力に応答し、ノズル39に導入される処
理液の圧力が、前記設定圧力と一致するように圧力計2
4の目標圧力を演算して求める。圧力制御手段5は、第
1実施例のそれと全く同一の構成を有している。しかし
ながら、本実施例においては、圧力制御手段5の減算器
11に対する出力信号が第1実施例の場合とは異なるの
で、減算器11は圧力計24の検出圧力と、演算回路2
6からの目標圧力との差に対応する信号を導出する。な
お、処理液供給源4、圧力設定手段3および加圧空気供
給手段16などその他の構成は、第1実施例と全く同一
である。
【0032】図8は、図7に示す処理液噴射装置の電気
的構成を示すブロック図である。図8を参照して、本実
施例におけるミニマムスパングル用処理液の噴射方法を
説明する。第1ステップでは、ノズル39に導入される
処理液の圧力が圧力設定手段3によって設定される。設
定される処理液の圧力は、第1実施例と同様の予め定め
る値に選ばれる。第2ステップでは、高さ位置検出手段
25によってノズル39と圧力計24との上下方向の距
離が検出される。
【0033】第3ステップでは、高さ位置検出手段25
と圧力設定手段3との出力に応答し、演算手段26によ
ってノズル39に導入される処理液の圧力が、前記予め
定める設定圧力と一致するように圧力計24の目標圧力
が演算して求められる。このように、圧力計24の目標
圧力が前記予め定める設定圧力とは別に定められるの
は、下記の理由によるものである。すなわち本実施例に
おいては、ノズル39と圧力計24の位置が上下方向に
離れているので、ノズル39と圧力計24との上下方向
の距離に基づき、圧力計24の目標圧力を設定圧力から
水頭圧相当分だけ補正した値にしなければ、ノズル39
に導入される処理液の圧力を予め定める設定圧力と一致
させることができないからである。第4ステップでは、
圧力計24によって処理液供給源4から供給される処理
液の圧力が検出される。前述のように、圧力計24は噴
霧手段38よりも下方の床上に設置されているので、高
温で粉塵の多いノズル39近傍に設けるよりも設置環境
が良好であり、圧力計24の故障が少なく処理液の圧力
を確実、かつ安定して検出することができる。またこれ
によって、圧力計の寿命延長および保守・点検作業の作
業性向上を図ることができる。
【0034】第5ステップでは、減算器11によって圧
力計24の検出圧力と、演算回路26からの目標圧力と
の差に対応する信号が導出される。第6ステップでは、
制御回路12によって比例、積分、微分などの演算が行
われ、減算器11の出力が零となるように、前記第2管
路8に設けられている流量制御弁10の開度が制御され
る。たとえば、圧力計24による検出圧力が目標圧力よ
りも高く、減算器11の出力が負の値となるときには、
流量制御弁10の開度を大きくして、ノズル39に導入
される処理液の圧力を低下させる。第7ステップでは、
圧力計24において目標圧力に制御された処理液が、予
め定める設定圧力でノズル39に導入され、加圧空気に
よって霧化されてノズル39から噴射される。
【0035】このように本実施例では、圧力計24は、
ノズル39とともに上下方向に変位することができない
けれども、ノズル39と圧力計24との上下方向の距離
に基づく圧力補正を行うことによって、ノズル39に導
入される処理液の圧力が予め定める設定圧力と一致する
ように制御することができるので、第1実施例と同様
に、処理液の過小圧力に起因するスパングルの微細化不
良および処理液の過大圧力に起因する水滴マークなどの
表面欠陥の発生が確実に防止される。
【0036】図9は、本発明の第3実施例であるミニマ
ムスパングル用処理液の噴射装置の構成を簡略化して示
す系統図である。図1および図7と対応する部分には、
同一の参照符号を付す。本実施例の処理液噴射装置27
は、圧力計2と、圧力設定手段3と、処理液供給源4
と、圧力計24と、高さ位置検出手段25と、演算回路
26と、切換手段28と、圧力制御手段29とを含んで
構成される。圧力制御手段29は第1管路7と、第2管
路8と、処理液貯留槽9と、流量制御弁10と、減算器
11と、制御回路12とを含む。減算器11は2個設け
られており、一方の減算器11は、圧力計2の検出圧力
と圧力設定手段3からの設定圧力との差に対応する信号
を導出し、他方の減算器11は圧力計24の検出圧力
と、前記演算回路26からの目標圧力との差に対応する
信号を導出する。切換手段28は、スイッチなどによっ
て実現され、制御回路12と2個の減算器11のいずれ
か一方とを切換え自在に接続する。なお、その他の構成
は、第1実施例および第2実施例と全く同一である。す
なわち、本実施例の処理液噴射装置27は、第1実施例
の処理液噴射装置1と、第2実施例の処理液噴射装置2
3とをともに備えており、切換手段であるスイッチ28
を介していずれか一方の装置を選択して使用できるよう
に構成されている。
【0037】図10は、図9に示す処理液噴射装置の電
気的構成を示すブロック図である。本実施例の電気的構
成は、図6に示す第1実施例の電気的構成と、図8に示
す第2実施例の電気的構成とをともに備えており、切換
手段28によっていずれか一方の電気的構成に切換え可
能に構成されている。このため、本実施例におけるミニ
マムスパングル用処理液の噴射方法は、切換え操作を除
いて第1実施例および第2実施例における処理液の噴射
方法と全く同一である。前記切換え操作は、圧力計2お
よび圧力計24のいずれか一方が故障した場合、および
いずれか一方を点検する場合などに行われる。前述のよ
うに、第1実施例および第2実施例とも、ノズル39に
導入される処理液の圧力を予め定める設定圧力と一致さ
せることができるので、本実施例において処理液は、常
時、好適な状態で噴射される。また、いずれか一方の圧
力計が故障した場合でも、切換え操作によって処理液の
噴射を好適な状態で維持することができるので、溶融亜
鉛めっき鋼帯42のスパングル微細化不良および処理液
噴射に起因する表面欠陥の発生が防止され、溶融亜鉛め
っき鋼帯の表面品質および製造歩留りの向上を図ること
ができる。
【0038】図11は、本発明の第4実施例であるミニ
マムスパングル用処理液の噴射装置の構成を簡略化して
示す系統図である。図1、図7および図9と対応する部
分には、同一の参照符号を付す。本実施例の処理液噴射
装置30は、圧力計2と、圧力設定手段3と、処理液供
給源4と、切換手段28と、圧力計24と、高さ位置検
出手段25と、演算回路26と、圧力制御手段75とを
含んで構成される。これらの構成は、圧力制御手段75
を除いて第3実施例と全く同一である。圧力制御手段7
5は、管路76と、流量制御弁77と、減算器11と、
制御回路12とを含んで構成される。管路76は、処理
液供給源4からの処理液をノズル39に供給する。流量
制御弁77は管路76の途中にかつ圧力計24の上流側
に設けられ、ノズル39に供給される処理液の流量を直
接的に制御する。このため、処理液流量の調整が迅速、
かつ確実に行われ、ノズル39に導入される処理液の圧
力を高精度に制御することが可能となる。また、処理液
は処理液供給源4から直接ノズルに導入されるので、処
理液供給源4の小形化を図ることができる。圧力制御手
段75の減算器11および制御回路12の構成は、第3
実施例のそれらと全く同一である。なお、本実施例で
は、圧力計2および圧力計24をともに設置し、切換手
段28によっていずれか一方の圧力計を選択して使用で
きるように構成されているけれども、第1実施例のよう
に圧力計2のみを使用するように構成しても、第2実施
例のように圧力計24のみを使用するように構成しても
よい。
【0039】図12は、本発明の第5実施例であるミニ
マムスパングル用処理液の噴射装置の構成を簡略化して
示す系統図である。図1、図7、図9および図11と対
応する部分には、同一の参照符号を付す。本実施例の処
理液噴射装置78は、圧力計2と、圧力設定手段3と、
処理液供給源79と、切換手段28と、圧力計24と、
高さ位置検出手段25と、演算回路26と、圧力制御手
段82とを含んで構成される。これらの構成は、処理液
供給源79と、圧力制御手段82とを除いて第3実施例
と全く同一である。処理液供給源79は、歯車ポンプな
ど容積型ポンプ80と、容積型ポンプ80を駆動するモ
ータ81とを含む。このため、処理液供給源79は、モ
ータ81の回転速度に応じて処理液の供給流量を増減す
ることができる。圧力制御手段82は、管路76と、減
算器11と、制御回路12とを含む。管路76と減算器
11との構成は、第4実施例のそれらと全く同一であ
る。制御回路12は減算器11の出力に応答し、減算器
11の出力が零となるようにモータ81の回転速度を制
御して、処理液の流量を調整し、ノズル39に導入され
る処理液の圧力を前記予め定める設定圧力と一致させ
る。このように、モータ81の回転速度制御によって処
理液の流量が直接制御されるので、処理液流量の微小な
調整を迅速、かつ確実に行うことができる。このため、
ノズル39に導入される処理液の圧力が高精度に制御さ
れる。
【0040】なお、本実施例では、圧力計2および圧力
計24をともに設置し、切換手段28によっていずれか
一方の圧力計を選択して使用できるように構成されてい
るけれども、第4実施例と同様に、圧力計2および圧力
計24をそれぞれ単独で使用するように構成してもよ
い。
【0041】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、圧力計は
ノズル近傍に設けられ、ノズルとともに昇降変位され、
ノズルに導入される処理液の圧力がノズルの上下位置に
拘わらず予め定める目標設定値に確実に保持されるの
で、ノズルに導入される処理液の過小圧力に起因するス
パングルの微細化不良およびノズルに導入される処理液
の過大圧力に起因する水滴マークなどの表面欠陥の発生
が確実に防止される。
【0042】また本発明によれば、ノズルと上下方向に
変位しない位置に設けられる圧力計との上下方向の距離
に基づき、圧力計の目標圧力を定めることによって圧力
計をノズルとともに昇降変位させなくても、ノズルに導
入される処理液の圧力をノズルの上下方向位置に拘わら
ず、予め定める設定値に確実に保持することができる。
このため、ノズルに導入される処理液の過小圧力に起因
するスパングルの微細化不良およびノズルに導入される
処理液の過大圧力に起因する水滴マークなどの表面欠陥
の発生が確実に防止される。
【0043】また本発明によれば、ノズルに導入される
処理液の圧力は確実に設定値と一致し、かつノズルに導
入される処理液の圧力変動が大幅に低減されるので、ミ
ニマムスパングル用処理液噴射装置は、処理液を、常
時、好適な状態で噴射することができる。
【0044】また本発明によれば、圧力計を高温で粉塵
の多いノズル近傍に設けなくてもよいので、圧力計の設
置環境が改善され、圧力計の寿命延長および保守・点検
作業の作業性向上を図ることができる。
【0045】また本発明によれば、処理液流量の調整を
迅速、かつ確実に行うことができるので、ノズルに導入
される処理液の圧力を高精度に制御することが可能とな
る。また、処理液を処理液供給源から直接ノズルに導入
することもできるので、処理液供給源の小形化を図るこ
とができる。
【0046】また本発明によれば、モータの回転速度制
御によって処理液の流量が直接制御されるので、処理液
流量の微小な調整を迅速、かつ確実に行うことができ
る。このため、ノズルに導入される処理液の圧力が高精
度に制御される。また、処理液の流量制御弁を設けなく
てもよいので、装置が簡素化され、保守・点検作業の作
業性が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例であるミニマムスパングル
用処理液の噴射装置の構成を簡略化して示す系統図であ
る。
【図2】本発明を好適に適用することのできる連続溶融
亜鉛めっき設備のめっき浴槽近辺の構成を簡略化して示
す系統図である。
【図3】図2に示すノズルヘッダの構成を簡略化して示
す側面断面図である。
【図4】図2に示す昇降手段の構成を簡略化して示す正
面図である。
【図5】図4に示す昇降手段の構成を簡略化して示す側
面図である。
【図6】図1に示すミニマムスパングル用処理液噴射装
置の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2実施例であるミニマムスパングル
用処理液の噴射装置の構成を簡略化して示す系統図であ
る。
【図8】図7に示す処理液噴射装置の電気的構成を示す
ブロック図である。
【図9】本発明の第3実施例であるミニマムスパングル
用処理液の噴射装置の構成を簡略化して示す系統図であ
る。
【図10】図9に示す処理液噴射装置の電気的構成を示
すブロック図である。
【図11】本発明の第4実施例であるミニマムスパング
ル用処理液の噴射装置の構成を簡略化して示す系統図で
ある。
【図12】本発明の第5実施例であるミニマムスパング
ル用処理液の噴射装置の構成を簡略化して示す系統図で
ある。
【符号の説明】
1,23,27,30,78 処理液噴射装置 2,24 圧力計 3 圧力設定手段 4,79 処理液供給源 5,29,75,82 圧力制御手段 10,77 流量制御弁 11 減算器 12 制御回路 25 高さ位置検出手段 26 演算手段 28 切換手段 38 噴霧手段 39 ノズル 40 ノズルヘッダ 41 昇降手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹崎 勝之 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株 式会社 堺製造所内 (56)参考文献 特開 平5−247616(JP,A) 特開 平6−184719(JP,A) 特開 平2−125852(JP,A) 特開 昭56−158858(JP,A) 特開 昭55−2778(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融金属のめっき浴槽に浸漬される浸漬
    ロールに巻掛けられて上方へ走行する溶融めっき鋼帯の
    表面に、上下に変位調整可能に設けられたノズルからミ
    ニマムスパングル用処理液を溶融めっき層の凝固直前の
    位置で噴射するミニマムスパングル用処理液の噴射方法
    において、 ノズルに導入される処理液の圧力を予め定める値に設定
    し、 ノズル近傍に設けられ、ノズルとともに昇降変位される
    圧力計によってノズルに導入される処理液の圧力を検出
    し、 前記圧力計によって検出される圧力が前記予め定める設
    定値と一致するように処理液の圧力を制御することを特
    徴とするミニマムスパングル用処理液の噴射方法。
  2. 【請求項2】 溶融金属のめっき浴槽に浸漬される浸漬
    ロールに巻掛けられて上方へ走行する溶融めっき鋼帯の
    表面に、上下に変位調整可能に設けられたノズルからミ
    ニマムスパングル用処理液を溶融めっき層の凝固直前の
    位置で噴射するミニマムスパングル用処理液の噴射方法
    において、 ノズルに導入される処理液の圧力を予め定める値に設定
    し、 上下方向に変位しない位置に設けられる圧力計によって
    処理液の供給圧力を検出し、 ノズルと前記圧力計との上下方向の距離を検出し、 前記処理液の設定圧力と前記上下方向の検出距離とに基
    づいて、前記圧力計の設置位置における目標圧力を定
    め、圧力計によって検出される処理液の圧力が前記目標
    圧力と一致するように処理液の圧力を制御することを特
    徴とするミニマムスパングル用処理液の噴射方法。
  3. 【請求項3】 溶融金属のめっき浴槽に浸漬される浸漬
    ロールに巻掛けられて上方へ走行する溶融めっき鋼帯の
    表面に、上下に変位調整可能に設けられたノズルからミ
    ニマムスパングル用処理液を溶融めっき層の凝固直前の
    位置で噴射するミニマムスパングル用処理液の噴射装置
    において、 ノズル近傍に設けられ、ノズルとともに昇降変位され、
    ノズルに導入される処理液の圧力を検出する圧力計と、 ノズルに導入される処理液の圧力を予め定める値に設定
    する圧力設定手段と、処理液を供給する処理液供給源
    と、 圧力計と圧力設定手段との出力に応答し、検出圧力が設
    定圧力に一致するように処理液供給源から供給される処
    理液の圧力を制御する圧力制御手段とを含むことを特徴
    とするミニマムスパングル用処理液の噴射装置。
  4. 【請求項4】 溶融金属のめっき浴槽に浸漬される浸漬
    ロールに巻掛けられて上方へ走行する溶融めっき鋼帯の
    表面に、上下に変位調整可能に設けられたノズルからミ
    ニマムスパングル用処理液を浴槽めっき層の凝固直前の
    位置で噴射するミニマムスパングル用処理液の噴射装置
    において、 処理液を供給する処理液供給源と、 上下方向に変位しない位置に設けられ、処理液供給源か
    ら供給される処理液の圧力を検出する圧力計と、 ノズルと圧力計との上下方向の距離を検出する高さ位置
    検出手段と、 ノズルに導入される処理液の圧力を予め定める値に設定
    する圧力設定手段と、高さ位置検出手段と、圧力設定手
    段との出力に応答し、ノズルに導入される処理液の圧力
    が前記設定圧力と一致するように圧力計の目標圧力を演
    算して求める演算回路と、 圧力計の出力と、演算回路の出力とに応答し、圧力計に
    よって検出される圧力が目標圧力に一致するように処理
    液供給源から供給される処理液の圧力を制御する圧力制
    御手段とを含むことを特徴とするミニマムスパングル用
    処理液の噴射装置。
  5. 【請求項5】 前記圧力制御手段は、 処理液供給源からの処理液を供給する管路と、 管路の途中に設けられる流量制御弁と、 前記圧力計の検出圧力と、前記圧力設定手段からの設定
    圧力または前記演算回路からの目標圧力との差に対応す
    る信号を導出する減算器と、 減算器の出力に応答し、減算器の出力が零となるように
    流量制御弁の開度を制御する制御回路とを含むことを特
    徴とする請求項3または4記載のミニマムスパングル用
    処理液の噴射装置。
  6. 【請求項6】 処理液供給源は容積型ポンプと、容積型
    ポンプを駆動するモータとを含み、 前記圧力制御手段は、 処理液供給源からの処理液をノズルに供給する管路と、 前記圧力計の検出圧力と、前記圧力設定手段からの設定
    圧力または前記演算回路からの目標圧力との差に対応す
    る信号を導出する減算器と、 減算器の出力に応答し、減算器の出力が零となるように
    モータの回転速度を制御する制御回路とを含むことを特
    徴とする請求項3または4記載のミニマムスパングル用
    処理液の噴射装置。
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