JP3484094B2 - シリカ被覆プラスティックフィルム及びその製造方法 - Google Patents
シリカ被覆プラスティックフィルム及びその製造方法Info
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Description
ィルムの表面にポリシラザンに由来する層を形成しこれ
をセラミック化することによって得られるシリカ被覆プ
ラスティックフィルムに関する。
フィルムなどのプラスティックフィルムの表面にシリカ
(SiO2)質の層が積層されたシリカ被覆プラスティ
ックフィルムは、シリカ層が有する透明性やガスバリヤ
性、あるいは反射防止作用といった性質に基づいて、食
品包装用の包装材や電子部品の基材などの用途に使用さ
れている。
ルムを製造する方法として、特開平6−93120号公
報に開示されているように、真空蒸着,イオンプレーテ
ィング,スパッタリングといったドライプレーティング
法によってプラスティックフィルム表面にシリカ質の層
を形成する方法が一般的に用いられている。このドライ
プレーティング法の場合は真空室の中で処理が行われる
が、この他に、例えば特開平4−80030号公報に開
示されているように、プラスティックフィルムの表面
に、アルコキシシラン溶液をカップリング剤やゾル−ゲ
ル法触媒を用いて重縮合した塗工液を塗布し加熱するこ
とによって製造する方法や、特開平8−112879号
公報に開示されているように、プラスティックフィルム
の表面にポリシラザンあるいはポリシラザンを変成した
ものを塗布し、これを熱処理することによりセラミック
化してシリカ質の層を形成する技術も知られている。こ
れらの方法は大気中で行えるので、ドライプレーティン
グ法のように真空室内で処理する必要がなく、低コスト
でシリカ層を形成することができる。
る化合物の層(以下、「ポリシラザン層」と記載す
る。)を形成する方法によれば、150℃以下の比較的
低温で熱処理を行っても、緻密なシリカ層を形成するこ
とができるので実用的である。
被覆プラスティックフィルムは、用途によって耐アルカ
リ性や密着性や耐摩擦性に対する性能が要求されること
もあり、特に電子部品の基材として用いる場合はその要
求が高い。例えば、シリカ被覆プラスティックフィルム
を包装材、太陽電池用基板、液晶用基板として用いる場
合にこれらの特性が要求される。また、タッチパネルや
液晶用の基材として用いる場合、それらの製造工程上か
らも良好な密着性や耐アルカリ性が要求される。
熱性があまり高くない場合、熱処理の温度はかなり低く
抑えることが必要となる。例えば、PETフィルムを用
いる場合、熱収縮や黄変が生じるため熱処理の温度を約
120℃以下に抑える必要がある。そして、上記のよう
にプラスティックフィルムにポリシラザン層を形成しセ
ラミック化してシリカ被覆プラスティックフィルムを製
造する場合、熱処理をこのように比較的低い温度で行う
と、シリカ層の耐アルカリ性や密着性やガスバリヤ性に
対する高い性能は得られにくい。
たものであって、ポリシラザンを用いてシリカ被覆プラ
スティックフィルムを製造する上で、熱処理を120℃
程度以下の低い温度で行っても、耐アルカリ性や密着性
やガスバリヤ性が良好なシリカ層を形成することの可能
なシリカ被覆プラスティックフィルムの製造方法を提供
することを目的としている。
め、本発明では、ポリシラザンに由来する化合物からな
る層をプラスティックフィルムに形成した後、これをセ
ラミック化してシリカ質の層を形成する際に、熱処理に
加えて放電ガスとしてアルゴン及び酸素を用いてガス放
電処理を施すようにした。ここでいうポリシラザンに由
来する化合物は、ポリシラザンのみならずポリシラザン
を変成して得られポリシラザンと同様の基本構造を持つ
化合物、並びにこれらに金属などを添加したもの含む。
衝突によって生ずるイオンの運動によって通電する電気
伝導形成」(電気電子用語辞典:オーム社)であって、
グロー放電はその主なものである。この製法によれば、
熱処理を低温度で行っても、耐アルカリ性や密着性やガ
スバリヤ性のよいシリカ層を形成することができる。こ
れは、ポリシラザンの熱処理を低い温度で行うとシリカ
転化率も低くなる傾向にあるが、ガス放電処理のような
短時間で高エネルギーの処理を施すことによってシリカ
転化率が向上するためと考えられる。
チレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタ
レート(PEN),ポリエーテルスルホン(PES),
ポリアリレート(PAR)のように耐熱性の小さい材料
からなる場合は、あまり高温で熱処理することができな
いので、本発明を適用する効果は大きい。
は、プラスティックフィルムにポリシラザン層を形成す
る工程、これを加熱あるいは化学反応処理しながらセラ
ミック化してシリカ質の層を形成する工程、及びこのシ
リカ質の層にガス放電処理を施す工程である。
されない。具体例としては、特開平8−112879号
公報に記載されているように、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET),ポリイミド(PI),ポリカーボネー
ト(PC),二軸延伸ポリプロピレン(OPP),ポリ
フェニレンスルフィド(PPS),ポリエチレンナフタ
レート(PEN),ポリエーテルスルホン(PES),
ポリエーテルイミド(PEI),ポリエーテルエーテル
ケトン(PEEK),ポリアリレート(PAR)などが
挙げられる。
いても制約はないが、塗布する際にロール状に巻き取る
場合には、実際上あまり厚さを大きくすることはでき
ず、300μm程度以下とすることが必要と考えられ
る。また、プラスティックフィルムには、ポリシラザン
層を形成する側の面にシランカップリング剤などのアン
ダーコート層が形成されていてもよい。また、どちらの
面に、ハードコート層などの薄層が設けられていてもよ
い。このハードコート層は、例えば、シリコン系、アク
リル系、メラミン系、ウレタン系の熱硬化型樹脂または
紫外線硬化型樹脂で形成される。
8−112879号公報に記載されているように、比較
的低温(150℃以下)でセラミック化してシリカに変
成するものであればよく、その具体例は、次のようなも
のである。 (1)下記化1に示される単位からなる主骨格を有する
もの。
は、水素原子,アルキル基,アルケニル基,シクロアル
キル基,アリール基,アルキルシリル基,アルキルアミ
ノ基,アルコキシ基などであって、R1,R2,R3のす
べてが水素であることが好ましい。 (2)上記化1のポリシラザンにグリシドールを反応さ
せて得られるグリシドール付加ポリシラザン。
ル(ブタノール,ヘキサノール,オクタノール,オクタ
ノール,ノナノール,メトキシエタノール,エトキシエ
タノール,フルフリルアルコールなど)を反応させて得
られるアルコール付加ポリシラザン。 (4)上記化1のポリシラザンに、金属カルボン酸塩
(金属としては、ニッケル,チタン,白金,ロジウム,
コバルト,鉄,ルテニウム,オスミウム,パラジウム,
イリジウム,アルミニウムなど)を反応させて得られる
金属カルボン酸塩付加ポリシラザン。
してニッケル,白金,パラジウム,又はアルミニウムを
含むアセチルアセトナノ錯体を反応させて得られるアセ
チルアセトナノ錯体付加ポリシラザン。 (6)上記化1のポリシラザンを含む溶液に、Au,A
g,Pd,Niをはじめとする金属微粒子を添加して得
られる金属微粒子添加ポリシラザン。
のまま或は充填剤(例えば、シリカ,アルミナ,ジルコ
ニア,マイカをはじめとする酸化物系無機物、あるいは
炭化珪素,窒化珪素などの非酸化物系無機物の微粉末)
を混合添加し、プラスティックフィルムに塗布するが、
通常は、溶液の粘度調整するために溶剤で希釈してから
塗布する。
しては、印刷や塗装で通常用いられている方法を用いれ
ばよく、バッチ式及び連続式のいずれでもよいが、連続
式でフィルムに塗布する場合はリバースグラビアコート
法などのロールコート法で行うことが望ましい。ポリシ
ラザン液の塗布量は、セラミック化した後の塗膜の厚さ
が10〜300nmとなるように設定することが望まし
い。これは、シリカ質の塗膜の厚さが300nmを越え
ると、膜にマイクロクラックが生じやすくなるためであ
り、塗膜にマイクロクラックが発生すると、塗膜のガス
バリア性が悪くなったり、その上に薄膜を形成する場合
に良好な膜が得られないといった問題が生じるためであ
る。
しセラミック化するために加熱する。この加熱温度は、
プラスティックフィルムの耐熱性に応じて設定するが、
一般的に150℃以下とし、PET,PEN,PES,
PARのように耐熱性が比較的低い材質の場合は120
℃以下の温度とし、プラスティックフィルムが予め薄層
で被覆されている場合は、その薄層の耐熱性も考慮して
温度設定する。
ック化されるが、150℃以下の加熱だけでは十分にセ
ラミック化がなされにくい(すなわちシリカへの転化率
が低い)ので、更にセラミック化を進めるために以下の
ような処理を加熱工程の前あるいは後に行うことが望ま
しい。即ち、特開平8−112879号公報に記載され
ているように、水蒸気雰囲気下で加熱処理を行ったり、
メチルアミン,ジメチルアミン,トリメチルアミン,エ
チルアミン,ジエチルアミン,トリエチルアミン,ピリ
ジン,ピコリンなどの塩基触媒を含む蒸留水中に浸漬し
たり、酢酸,プロピオン酸,酪酸,吉草酸,マレイン
酸,ステアリン酸,塩酸,硝酸,硫酸などの酸触媒を含
む蒸留水中に浸浸する。あるいは、特開平9−3133
3号公報に記載されているように、アミン類や酸類の存
在下で水蒸気を含むガスに接触させたり、アミン類と水
蒸気とを含むガスに接触させるといった処理を行う。
シラザン層の未反応の部分が加水分解もしくは酸化され
て、大部分はシリカ(SiO2)に変化する(シリカ転
化率が向上する)。しかし、このような処理を行った後
のシリカ層であっても、耐アルカリ性や密着性やガスバ
リヤ性において十分なものを得ることができないことが
あり、特に、加熱温度が120℃以下の場合はその傾向
が強い。これは、シリカに転化されない部分が若干残る
ためと考えられる。
ス放電処理を施すことによって、耐アルカリ性や密着性
やガスバリヤ性を向上させる。このガス放電処理は、シ
リカ層の近くでガス放電を発生させることよってシリカ
層を処理するものである。ガス放電の主なものはグロー
放電であって、グロー放電処理は、具体的には、上記の
ようにポリシラザン層をセラミック化してシリカ層を形
成したシリカ被覆プラスティックフィルム(以下、シリ
カ被覆フィルムと記載する。)を、放電ガスの雰囲気中
に置いた状態で、このシリカ層の付近に配した電極間に
印加してグロー放電を生じさせることによって行うこと
ができる。
のいずれでも行うことができる。なお、通常は、このよ
うなグロー放電は、放電ガスとしてアルゴンなど希ガス
の他、酸素や窒素などのガスを用いて減圧下で行うが、
大気圧下で行うこともできる。このようなガス放電処理
によって、シリカ層の耐アルカリ性や密着性やガスバリ
ヤ性を向上させることができるが、これは、ガス放電に
伴ってガスから紫外線が発生し、この紫外線がシリカ層
に作用して未反応の部分をシリカへの転化を促進させる
ためと考えられる。
接アタックするために、酸化が促進されるためと考えら
れる。このようにしてシリカ層を形成してシリカ被覆フ
ィルムを製造した後に、用途に従って、シリカ層の表面
あるいは背面側に、更に薄層(例えば、ITOからなる
導電層)を設けてもよい。
Tフィルムにシリカ層及びITO層を積層させたタッチ
パネル用の積層フィルム(図3参照)を作製する方法に
ついて説明する。図1は、本実施例に係るポリシラザン
を塗布する薄膜塗布装置の概略構成図である。
ロール状に巻かれているPETフィルム(ハードコート
層付)を繰り出す繰出部10と、繰り出されたフィルム
にポリシラザン溶液を塗布するコーティング部20と、
塗布されたポリシラザン溶液を乾燥すると共に化学反応
させてセラミック化することによりシリカ層を形成する
乾燥反応槽30と、表面にシリカ層が形成されたフィル
ムをロール状に巻き取る巻取部40とから構成されてい
る。
mで、アクリル系の紫外線硬化型樹脂からなる厚さ数μ
mのハードコート層で被覆されているものを用いる。コ
ーティング部20は、受け皿に入れられたポリシラザン
溶液に漬かって回転するグラビアローラー21及びこの
表面に当てられたドクタブレードを備え、グラビア方式
でフィルムのハードコート層と反対側表面にポリシラザ
ン溶液を塗布する。塗布厚みは約55nmとする。
布されたフィルムを加熱乾燥する入口乾燥部31と、こ
の層をトリエチルアミン/水蒸気を含む窒素ガス雰囲気
に接触させて、残っているポリシラザンの成分を加水分
解並びに酸化反応させる化学反応部32と、出口部33
とから構成されている。入口乾燥部31には、熱風噴射
ノズル34が設けられ、通過するフィルムのポリシラザ
ン塗布面に熱風を吹き付けてこれを加熱乾燥する。熱風
の温度は、PETフィルム自体及びハードコート層の耐
熱性を考慮して50℃〜120℃に設定する。
5が設けられている。そして、トリエチルアミン蒸気と
水蒸気を含むエアーとがこれに送り込まれる。なお、反
応用吹付ノズル35に送リ込む各ガスは、エアーを温水
またはトリエチルアミン液にバブリングすることによっ
て得ることができる。このように気相接触ガスが吹き付
けられることにより、ポリシラザンの化学変化が進みシ
リカ層に変成する。
示)によって加熱されており、ここを通過するフィルム
は、約120℃の雰囲気に2.5分間さらされる。これ
によってシリカ層の中に残っているポリシラザン成分は
加水分解及び酸化されて、大部分がシリカ(SiO2)
となる。このようにして表面にシリカ質の層が形成され
たシリカ被覆フィルムは、巻取部40で一旦ロール状に
巻き取られ、次の工程に送られる。
を行うのに用いるスパッタ装置の図である。このスパッ
タ装置は、密封容器50の中に、ロール状に巻かれてい
るシリカ被覆フィルムを繰り出す繰出部60と、繰り出
されたフィルムにグロー放電処理を施すグロー放電ボッ
クス70と、スパッタリングによってシリカ層の上にI
TOの薄膜を形成する第1スパッタリング室80及び第
2スパッタリング室90と、これらの薄膜が積層された
フィルムをロール状に巻き取る巻取部100と、繰り出
されたフィルムを導く回転ドラム110とが設けられて
構成されている。
取り付けられ、内部全体を高真空にできるようになって
いる。回転ドラム110は、密封容器50の中央付近に
設けられており、繰り出されたフィルムは、グロー放電
ボックス70内を通過した後、回転ドラム110の外周
面上に載って搬送されながら、第1スパッタリング室8
0及び第2スパッタリング室90を通過するようになっ
ている。
ムを挟んでその両面側にGND電極71及び負電極72
がそれぞれ設けられ、外部の電源Box73から電極7
1・72間に直流電圧が印加されるようになっている。
また、グロー放電ボックス70の中には、外部の放電ガ
ス源74から放電ガス(ArガスとO2ガスの1:1混
合物)が送り込まれるようになっている。
を通過するフィルムの両表面付近でグロー放電が発生す
る。なお、電源Box73では、グロー放電に伴って所
定の電流(10〜100mA)が流れるように電極71
・72間に印加する電圧を調整する。第1スパッタリン
グ室80及び第2スパッタリング室90では、直流スパ
ッタ法でシリカ層の上にITOの薄膜を形成する。
の中には、回転ドラム110の表面に対向して陰極8
1,91が設置され、これにターゲットとしてのITO
セラミックスが配置されている。また、外部の直流電源
82,92から陰極81,91に直流電圧が印加される
ようになっている。また、スパッタリング室80,90
内には、不活性ガス供給源83,93からアルゴンガス
が供給されるようになっている。
れるフィルムのシリカ層の表面上にITO層を形成す
る。このようにITO層が形成された後の積層フィルム
は、巻取部100で巻き取られる。作製された積層フィ
ルムは、図3に示すように、PETフィルムの一方の面
にハードコート層が形成され、他方の面にシリカ層,I
TO層が順に形成された構造である。
ーサを介して、表面にITO層が形成されたガラス基板
と対向して配設することによって、図3に示すようなタ
ッチパネルが作製される。この積層フィルムの加工時に
おいて、アルカリ液によるレジストインク剥離や、各種
インクによる印刷工程、各種溶媒によるITO面の異物
除去工程を通過するため、積層フィルムの耐アルカリ性
や密着性が要求されるが、本実施例により作製した積層
フィルムは、耐アルカリ性及び密着性を備えているの
で、これらの加工に適している。
rとO2の1:1混合ガスを流速30sccm,50s
ccmで流した場合、並びにArガスを流速50scc
mで流した各場合について、印加する電圧をいろいろと
変化させてグロー放電を起こし、そのときに流れる電流
を測定した(sccmは、standard ccmi
nuteの略)。
電圧との関係を示す特性図である。この図4より、印加
する電圧を調整することによって、グロー放電の電流を
所望の電流値に調整できることがわかる。 (実験2) 上記実施例に基づいて、PETフィルムに、PHPS
( ペルヒドロポリシラザン )溶液を塗布し、気相接触ガス
を用いて化学反応してセラミック化を行うことによっ
て、シリカ被覆フィルムを作製した。
ィルムを用い、放電ガスの種類や電流をいろいろと変え
て、グロー放電処理を施した。グロー放電時の放電ガス
の種類及び流量は、Arガスについては流量50scc
m、Arガス+O2ガスの混合ガスについては50sc
cm及び30sccmとした。
0,130mAなどの各電流値で行った。このようにい
ろいろな条件でグロー放電処理を施したシリカ被覆フィ
ルムを試料として用い、密着力評価試験、耐アルカリ試
験、酸素透過係数の測定、及びFTIRによるシリカ転
化率の測定を行った。
を、エタノールを含浸させたウエスで400g/cm 2
の圧力をかけながら繰返し擦り、シリカ層が剥がれるま
での往復回数を測定した。表1は、この密着力評価試験
の結果を示す表である。
ものは、グロー放電処理を行わなかったもの(電流0m
A)と比べて密着性が優れていることがわかる。また、
グロー放電時の電流が大きくなるにつれて密着性も大き
くなることがわかる。一方、Arガス+O2ガスを用い
る場合のガス流量による密着性の違いはわずかであるこ
とがわかる。これより、シリカ転化率は、ガスの流量よ
りも電流に大きく影響されることがわかる。
+O2ガスの混合ガスを用いた場合と同様に密着性の向
上が見られる。これは、グロー放電処理によるシリカ転
化率の向上が、グロー放電に伴ってアルゴンから紫外線
(100〜150nm)が発生し、この紫外線がシリカ
層とPET界面に作用して化学結合を増すというメカニ
ズムによるものであることを示唆している。
トリウム水溶液(25℃)に浸漬しながら、1分,5
分,15分経過後にシリカ層の状態を調べた。表2は耐
アルカリ性試験の結果を示す表である。
5分,15分経過後の結果を示しており、A,B,C及
びB+の各記号の意味は次の通りである。 A:シリカ層をウエスで拭いても剥離しない。 B:シリカ層はフィルム上に残っているが、ウエスで拭
くと剥離する。 C:シリカ層は剥離してフィルム上に残っていない。
も、表1の結果と同様の傾向を示しており、グロー放電
処理を施したものはグロー放電処理を施したものと比べ
て耐アルカリ性が優れていること、グロー放電時の電流
が大きくなるにつれて耐アルカリ性も大きくなること、
Arガス+O2ガスの混合ガスを用いる場合のガス流量
による耐アルカリ性の違いはわずかであることがわか
る。
トしていないPETフィルム(厚み188μm)、並び
に、ポリシラザンをコートしてグロー放電処理を行って
いない試料、Arガス+O 2ガスの混合ガスを用いてグ
ロー放電処理(グロー処理電流70mA)を行った試料
について、酸素透過係数を測定した(密着力評価試験、
耐アルカリ試験も合わせて行った)。
TRAN200Hを用い、ASTMD−3958に基づ
いて行った。表3は、この密着力評価試験、耐アルカリ
試験、酸素透過係数の測定結果を示す表である。
よって、密着性及び耐アルカリ性が向上すると共に、酸
素透過係数が低下する(酸素バリヤ性が向上する)こと
もわかる。 FTIRによるシリカ転化率の測定:上記試料の中、A
rガス+O2ガスの混合ガスを用いて流量50sccm
及び30sccmでグロー放電処理を行ったものについ
て、FTIRで測定を行い、その測定結果(チャート)
から2180cm-1と2250cm-1の相対吸収強度を
求めた。
=1)またはSi−H2結合(n=2)の伸縮、225
0cm-1の吸収はSi−H3結合(n=3)の伸縮によ
るものであって、各吸収強度は、これらの結合のシリカ
層中の残存量を示し、ポリシラザンのシリカ転化率を示
す指標と見ることができる。図5は、その結果であっ
て、グロー電流と相対吸収強度との関係を示す特性図で
ある。
の場合のものであって、●は2250cm-1の相対吸収
強度、○は2180cm-1の相対吸収強度を示してい
る。また、▲,△はガス流速が50sccmの場合のも
のであって、▲は2250cm -1の相対吸収強度、△は
2180cm-1の相対吸収強度を示している。図5の結
果より、グロー放電時の電流が大きくなるにつれて、2
250cm-1及び2180cm-1の相対吸収強度が小さ
くなる(即ち、Si−H結合,Si−H2結合,Si−
H3結合の存在量が少なくなる)傾向にあることがわか
る。
も、2250cm-1の相対吸収強度の方が小さい傾向に
あることもわかる。これは、Si−H3結合が、Si−
H結合やSi−H2結合と比べてグロー放電処理によっ
て壊れやすいことを示していると考えられる。次に、上
記のArガス+O2ガスの混合ガスを用いて流量50s
ccmでグロー放電を行ったものについてのFTIR測
定結果チャートから、Si−O結合の存在を示す110
0cm-1とSi−N結合の存在を示す3370cm-1の
吸収を調べた。
お、これらの波長の吸収ピークは小さく、相対吸収強度
として表わすことは難しいため、定性的に表現した。
流が大きくなるにつれて、1100cm-1の吸収は大き
く3370cm-1の吸収は小さくなる傾向を示す、即ち
シリカ転化率が向上する傾向を示すことがわかる。
被覆フィルムを製造する工程において、ポリシラザン層
をセラミック化してシリカ質の層を形成する際に、熱処
理に加えてグロー放電処理をはじめとするガス放電処理
を施すことによって、熱処理を低温度で行っても、耐ア
ルカリ性や密着性やガスバリヤ性のよいシリカ層を形成
できるようにした。
ような耐熱性の小さい材料からなるプラスティックフィ
ルムを用いる場合や、プラスティックフィルムに予め耐
熱性の小さい材料からなる層が被覆されている場合は、
本発明を適用する効果は大きい。また、シリカ被覆フィ
ルムを、電子部品の基材のように、耐アルカリ性や密着
性やガスバリヤ性が要求される用途に用いる場合の実用
的効果は大きい。
布装置の概略構成図である。
うのに用いるスパッタ装置の概略構成図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 プラスティックフィルムの少なくとも一
方の面上に、 ポリシラザンに由来する化合物がセラミック化されたも
のからなり且つ放電ガスとしてアルゴン及び酸素を用い
てガス放電処理が施されたシリカ質の層が積層されてい
ることを特徴とするシリカ被覆プラスティックフィル
ム。 - 【請求項2】 前記シリカ質の層は、 厚さが10〜300nmであることを特徴とする請求項
1記載のシリカ被覆プラスティックフィルム。 - 【請求項3】 前記プラスティックフィルムは、 ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレー
ト,ポリエーテルスルホン及びポリアリレートから選択
された材料からなることを特徴とする請求項1または2
記載のシリカ被覆プラスティックフィルム。 - 【請求項4】 プラスティックフィルムの少なくとも一
方の面上に、 ポリシラザンに由来する化合物からなるポリシラザン層
を形成する層形成ステップと、 前記層形成ステップで形成されたポリシラザン層を化学
変化してセラミック化することによりシリカ質の層に変
化させるセラミック化ステップと、 シリカ質の層に放電ガスとしてアルゴン及び酸素を用い
てガス放電処理を施す放電処理ステップとを含むことを
特徴とするシリカ被覆プラスティックフィルムの製造方
法。 - 【請求項5】 前記放電処理ステップでは、 シリカ質の層が形成されたプラスティックフィルムを放
電ガスの雰囲気中において、シリカ質の層の表面付近で
グロー放電を発生させることによって処理することを特
徴とする請求項4記載のシリカ被覆プラスティックフィ
ルムの製造方法。 - 【請求項6】 前記セラミック化ステップでは、 ポリシラザン層を加熱した後に、 水あるいは水蒸気の雰囲気下で反応させることを特徴と
する請求項4または5記載のシリカ被覆プラスティック
フィルムの製造方法。 - 【請求項7】 前記セラミック化ステップにおける加熱
温度は、 120℃以下であることを特徴とする請求項4〜6のい
ずれかに記載のシリカ被覆プラスティックフィルムの製
造方法。
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