JP3480836B2 - ヒト副甲状腺ホルモンの組換え発現ベクター - Google Patents

ヒト副甲状腺ホルモンの組換え発現ベクター

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】(技術分野) 本発明は、ホスホリブロキナーゼを融合パートナーとし
て利用する発現ベクターおよび、それを用いたヒト副甲
状腺ホルモンの製造方法に関する。より具体的には、本
発明はロドバクター・スフェロイデス(Rhodoba
cters phaeroides)のホスホリブロキ
ナーゼ遺伝子断片、あるいはその突然変異体を融合パー
トナーとして含有するL-アラビノースの誘導性ベクタ
ーに、ウロキナーゼ特異的切断部位を含むヒト副甲状腺
ホルモン遺伝子を挿入して製造した組換え発現ベクタ
ー、該発現ベクターで形質転換された組換え微生物、お
よび該微生物をL-アラビノースの含有培地で培養する
ことにより、ヒト副甲状腺ホルモンを大量製造する方法
に関する。
【0002】(背景技術) 骨粗しょう症は、骨の質量が正常より顕著に減少して骨
の組織が弱まり、軽い衝撃にも骨折等の有害な影響を来
す疾患である。医学や生物学等の発展のため、老人人口
が増加するにつれて骨粗しょう症の患者も増えてきてい
る。かつ、核家族化の傾向に従い一人暮らしの老人が増
えている今日、骨粗しょう症は重要な社会問題になって
いる。
【0003】一般に、正常な骨の組織の場合には、骨を
破壊する細胞の破骨細胞と、骨を生成する細胞の骨芽細
胞の活性が、互いに均衡をなして、常に骨の組織を改造
している。正常人の場合にも、年を取るにつれて、破骨
細胞の機能が骨芽細胞の機能を上回るようになり、骨密
度が全般的に減少するが、骨粗しょう症の患者の場合に
は、その破骨細胞と骨芽細胞の活性間の均衡破壊が正常
人に比べて遙かに激しい。
【0004】破骨細胞と骨芽細胞の活性間の均衡破壊の
原因については明確に知られていないが、閉経期以後の
女性たちに多く見られるタイプ1骨粗しょう症の場合に
は、女性ホルモンであるエストロゲンの閉経後の分泌減
少に起因することが知られている。従って、タイプ1骨
粗しょう症の治療にはエストロゲンを投与しているが、
乳癌、子宮内膜癌等の発病率が高まる等の副作用のた
め、エストロゲンの使用を好まない患者が多い。また、
タイプ1骨粗しょう症とは異なる原因により発病すると
知られているタイプ2骨粗しょう症には、エストロゲン
の使用では治療効果が得られない。
【0005】前記タイプ1骨粗しょう症の治療剤である
エストロゲンの短所を補完し、エストロゲンで治療効果
を得られないタイプ2骨粗しょう症を治療する薬剤とし
ては、破骨細胞の活性を抑制して骨組織の吸収を阻害す
る作用をするカルシトニンが用いられる。しかしなが
ら、エストロゲンとカルシトニンは両方とも既に損失さ
れた骨質量を増加させる効果はなく、単に骨密度がそれ
以上減少しないように予防する機能のみを有しているた
め、効果的な骨粗しょう症の治療剤としては不適当であ
る。
【0006】最近、副甲状腺ホルモン(PTH)が骨密
度の減少を予防するだけでなく、骨密度を増大する効果
がある上、副作用も報告されていないため、骨粗しょう
症の優秀な治療剤として注目されている。副甲状腺の主
細胞で生産され、アミノ酸115個からなるプレプロ副
甲状腺ホルモン(プレプロPTH)は、小胞体を経なが
ら切断されてアミノ酸92個からなるプロPTHに変形
する。続いて、プロPTHは、ゴルジ器官を経ながら再
び切断されてアミノ酸84個からなる成熟PTHにな
る。上記過程を経て合成されたPTHは、血中に分泌さ
れた後、標的器官である骨と腎臓に輸送される。分泌さ
れたPTHの半減期は18分にすぎない。
【0007】PTHは、骨細胞膜のCa2+ポンプを活性
化して骨からのCaHPO4の移動を促進することによ
り、数分以内に血中Ca2+濃度を増加させる。更に、P
THが分泌し続けると既に形成されている破骨細胞を活
性化し、新しい破骨細胞の生成を促進し、骨芽細胞の活
動を一時的に抑えることにより、骨でのCa2+沈着を抑
制して、Ca2+の放出を促進し、血中へのCa2+およ
び、PO4 3-の分泌をも増加させる。一方、PTHは血
中Ca2+濃度による強力なフィードバックメカニズムで
分泌が調節される。すなわち、血中のCa2+濃度が短時
間に10%減少すると、PTHの分泌は2倍に増加す
る。長時間にわたって血中Ca2+濃度が低い状況では、
1%のCa2+濃度減少によってもPTHの分泌は2倍に
増加する。このようなPTHの生体内調節機能とは別
に、PTHを外部から間欠的に小量づつ投与する場合、
骨形成を促進することが報告された(参照:Tam、
C.S.ら,Endocrinology,110:5
06-512(1982))。このような骨形成の促進
機能が、PTHを骨粗しょう症の治療剤として用いる根
拠となっている。PTHの骨形成の促進機能について正
確なメカニズムは知られていないが、投与されたPTH
による(in vivo)PTH分泌の抑制、骨芽細胞
に対する直接的な機能促進、インスリン様成長因子-1
(IGF-1)、及び形質転換成長因子-β(TGF-
β)等の成長因子を介した間接的な骨形成促進等の仮説
が提示されている。
【0008】ところが、PTHを利用して骨粗しょう症
を治療するには、PTHを長期間に渡って投与する必要
があるが、今まではPTHの大量生産方法が確立してい
なかったため、骨粗しょう症の治療剤としてPTHを実
用化するのは非常に困難であった。故に、本発明者らは
遺伝子工学的方法を利用して組換え微生物よりPTHを
大量製造するための研究を行い、PTHアミノ末端のS
er-Val-Serアミノ酸配列がPTHの生物学的活
性に必須であることが報告されているため、大腸菌での
PTH発現時、アミノ末端のメチオニン残基の除去に努
力した。
【0009】組換えタンパク質発現の宿主として幅広く
用いられている大腸菌には、発現タンパク質のアミノ末
端の翻訳開始のメチオニンを除去する酵素であるメチオ
ニン特異的アミノペプチダーゼがある。ところが、外来
タンパク質が大腸菌内で大量発現する際にはアミノ末端
のメチオニンが完全に除去されない場合がある。このよ
うな現状はアミノ末端のアミノ酸配列が生物学的活性に
大きな影響を及ぼすPTHのようなタンパク質の発現系
を構築するためには、必ず解決されるべきな事項であ
る。
【0010】前述の問題を解決するため、主に次の3つ
の方法が用いられる:第一、目的タンパク質のアミノ末
端に分泌シグナル配列を融合させた形態で発現させるこ
とにより、目的タンパク質をアミノ末端の切断(pro
cessing)された形態で大腸菌のペリプラズムや
培養培地に分泌されるようにする方法である。当該方法
は細胞内活性を利用して成熟タンパク質を得ることがで
きるのが長所である反面、発現収率が比較的低いのが短
所である。第二は、目的タンパク質を大腸菌で単独発現
させ、アミノ末端にメチオニンが付いている状態で大腸
菌から分離し、これをアミノペプチダーゼで切断して成
熟タンパク質を得る方法である。当該方法は、アミノ末
端のメチオニンが除去されたタンパク質とメチオニンが
付いているタンパク質との分離が難しいため、タンパク
質の精製工程が複雑であるのが短所である。第三は、目
的タンパク質を他のタンパク質との融合形態で発現さ
せ、融合タンパク質を大腸菌より分離した後、酵素、ま
たは化学物質を用いて融合タンパク質より融合されたパ
ートナーを除去することにより、成熟目的タンパク質を
製造する方法である。当該方法はアミノ末端のメチオニ
ンが除去された目的タンパク質を提供するだけでなく、
目的タンパク質の発現効率も増大させることが長所であ
る。
【0011】なお、融合タンパク質より目的タンパク質
を得る方法は、化学物質を用いた切断方法と酵素を用い
た切断方法とに大きく分けることができる。このうち、
化学物質を用いた切断方法は、低価の化学物質を用いる
ため、費用節減の長所があるが、切断部に対する特異性
が低いため、切断時に目的タンパク質以外の様々な種類
の副産物が生じ、当該副産物より目的タンパク質を分離
および、精製する工程が追加要求されるとの短所があ
る。反面、酵素を用いた切断方法は切断部位に対する特
異性に優れ、化学物質を用いた切断方法の問題点を解決
することができるが、用いられる酵素が高価であるた
め、この方法を産業的規模で活用するのは無理である。
【0012】組換えタンパク質の大量生産の工程を研究
している多くの研究者らは、融合タンパク質より目的タ
ンパク質を切断するための酵素を経済的に用いようと試
してきた。ところが、このような目的で、現在開発され
て用いられているタンパク質の分解酵素であるXa因
子、トロンビン、エンテロキナーゼ等は大量生産には限
界があり、酵素を用いた切断方法は、様々の長所にもか
かわらず、産業的な水準では広く利用されていないのが
実情である。従って、酵素を用いた切断方法により効率
的に用いられる、すなわち経済的に大量生産できる第3
の酵素が切実に要求されてきた。血栓溶解剤といて用い
られているセリンプロテアーゼであるウロキナーゼ(2
本鎖のウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータ
ー)の場合、大量生産の工程が既に開発されており、大
腸菌のような原核生物の発現系を用いて活性のあるウロ
キナーゼを大量製造することができ(参照:W.E.H
olmesら、Bio/Technology,3:9
23-929(1985))、前記Xa因子等の他酵素
に比べ、より経済的にウロキナーゼを大量生産して取得
するに成功した。故に、ウロキナーゼは融合タンパク質
より経済的に目的タンパク質を切断、分離する候補とし
て提案されてきた。
【0013】こうした状況下、本発明者らはタンパク質
内でウロキナーゼによる特異的切断部位になるアミノ酸
配列を決定し、融合タンパク質の目的タンパク質と融合
パートナーとの間に特異的なウロキナーゼの切断部位の
アミノ酸配列である-X-Gly-Arg(式中、XはP
ro、Thr、Ile、Phe、またはLeuを表す)
が存在する場合に切断効率が優秀であり、その中でも、
-Thr-Gly-Argが存在する際に切断効率がもっ
とも優秀であることを発見した(参照:大韓民国特許公
開第97-6495号)。
【0014】(発明の開示) 本発明者らは、組換え大腸菌よりアミノ末端のメチオニ
ンが除去されたPTHを大量製造するために鋭意努力し
た結果、ロドバクター・スフェロイデスのホスホリブロ
キナーゼ(以下、’PRK’)の遺伝子断片、あるいは
その突然変異体を融合パートナーとして含有するL-ア
ラビノース誘導性ベクターに、ウロキナーゼによる特異
的切断部位を有し、大腸菌でのユニバーサルコードンを
使用するヒトPTH遺伝子を挿入して発現ベクターを構
築し、大腸菌を該発現ベクターで形質転換させ、形質転
換細胞から融合タンパク質を分離し、ウロキナーゼで融
合タンパク質を切断することにより、天然のヒトPTH
の活性を有する組換えPTHを大量製造することができ
ることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0015】従って、本発明の主な目的は、PRK遺伝
子断片、あるいはその突然変異体を含有するL-アラビ
ノース誘導性ベクターに、ウロキナーゼ特異的切断部位
を含むヒトPTH遺伝子を挿入して製造した組換え発現
ベクターを提供することである。本発明の他の目的は、
上記発現ベクターで形質転換された組換え微生物を提供
することである。本発明のもう一つの目的は、前記形質
転換された組換え微生物をL-アラビノース含有培地で
培養することにより、ヒトPTHを大量製造する方法を
提供することである。
【0016】まず、ヒトPTH遺伝子は、天然型ヒトP
THのアミノ酸配列に翻訳され、大腸菌で使用頻度の高
いコドンを含む塩基配列を有するように調製した。ま
た、融合タンパク質から所望のタンパク質を容易に取得
するため、融合パートナーと所望のタンパク質との間に
ウロキナーゼ特異的切断部位、すなわち-X-Gly-A
rg(式中、XはPro、Thr、Ile、Phe、ま
たはLeuを表す)のアミノ酸配列、最も好ましくは-
Thr-Gly-Argのアミノ酸配列が位置するよう
に、ウロキナーゼ特異的切断部位(参照:大韓民国特許
公開第97-6495号)を合成し、ヒトPTH遺伝子
の前に挿入した。
【0017】次に、前記ウロキナーゼ特異的切断部位‐
ヒトPTH遺伝子と、PRKのアミノ末端から153個
のアミノ酸をコードするDNA断片を含む発現ベクター
p153PTHを調製した。続いて、前記発現ベクター
よりPRK遺伝子断片を単離し、PRKアミノ酸配列の
一部を改変した後、再びヒトPTH遺伝子と融合させ、
発現ベクターpm153PTHを調製した。
【0018】上記の発現ベクターは、PRKのうち、そ
のアミノ末端から153個のアミノ酸を有するPRK断
片を融合パートナーとして用いているため、当該発現ベ
クターで形質転換された微生物において多量の融合タン
パク質(PRK断片に融合したヒトPTH)が発現され
た。この際、pm153PTHで形質転換された大腸菌
は、p153PTHで形質転換された大腸菌に比べて、
同一またはやや増加した量の融合タンパク質を発現し、
アミノ酸置換は融合タンパク質の発現に影響しないこと
が示唆された。一方、前述のウロキナーゼ特異的切断部
位‐ヒトPTH遺伝子と、PRKの完全長遺伝子を含む
発現ベクターもまた、融合タンパク質を発現することが
できた。
【0019】さらに、部分的に改変されたPRK断片と
ヒトPTHからなる融合タンパク質、および天然型PR
K断片とヒトPTHからなる融合タンパク質を各々ウロ
キナーゼで切断した結果、部分的に改変されたPRK断
片とヒトPTHからなる融合タンパク質では、ウロキナ
ーゼによる非特異的な反応が減少し、同量の融合タンパ
ク質を用いる同一条件での切断反応から、遥かに多くの
PTHが得られることが示された。
【0020】PRKに融合したヒトPTHは形質転換体
内で封入体の形態で発現された。その封入体を単離して
ウロキナーゼで処理した後、PRK/PTH融合タンパ
ク質から組換えヒトPTHを分離および精製した。
【0021】一方では、生体内においてPTHは腎臓お
よび無機質化した骨からのカルシウムの再吸収を促進
し、血中カルシウム濃度を増加させることにより、カル
シウムの恒常性を調節する活性を有しているが、前記活
性は、PTHが骨細胞や腎臓細胞の表面にある高親和性
受容体に結合し、該受容体に結合しているアデニル酸シ
クラーゼを活性化することにより、ATPから生じた細
胞内の2次シグナル伝達物質であるcAMP(cyclic A
MP)により媒介されると報告されている(参照:Donahu
e、H.J.et al.,Endocrinology,126:1471-1477(1990))。
このような報告に基き、本発明者らは、上述のように精
製された組換えヒトPTHが天然PTHの活性を有して
いるかどうかを調べるため、骨細胞または腎臓細胞に存
在する受容体に対するPTHの結合力と細胞内cAMP
形成の刺激度を測定した。その結果、上述のように調製
された組換えヒトPTHは、受容体に結合して細胞内c
AMP生産を刺激することができることが分かった。
【0022】従って、本発明の組換え発現ベクターp1
53PTHまたはpm153PTHで形質転換された微
生物を培養し、L-アラビノースで発現を誘導すること
により、天然型ヒトPTHの有する活性をそのまま維持
している組換えヒトPTHを、正確な誘導調節を通して
高収率で調製することができる。
【0023】以下、実施例を通して本発明をさらに具体
的に説明する。但し、これらの実施例は、本発明の技術
的範囲を限定するものではない。 〔実施例1〕発現ベクターΔpMAの構築 サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhymuri
um)LT2株よりDNAを単離し、これをEcoRI制限
酵素で消化した後、pUC19ベクターに挿入してpU
C-サルモネラライブラリーを調製した。pUC-サルモ
ネラライブラリーを大腸菌DH5α株(E.coli DH5α
F’endA1 hsdR17(rk-mk+)supE44thi-1 recA1 gyrA(Nai
r)U169D(lacZAY-argF)deoR)に導入し、形質転換された
大腸菌コロニーを得た。一方、アラビノースオペロン中
のaraB-Cの調節部位とaraCタンパク質のアミ
ノ末端3個のアミノ酸を含む塩基配列に対して相補的な
2種のオリゴヌクレオチド、すなわち15量体である
5’-GCCATCGTCTTACTC-3’(配列番号15)と14量体
である5’-GCGTTTCAGCCATG-3’(配列番号16)を合成
した。これらをプローブとして使用するコロニーハイブ
リダイゼーションを実施し、上述のように調製されたp
UC-サルモネラライブラリーからaraB-Aおよびa
raC遺伝子を含むクローンを選択した。
【0024】上記のように選択されたプラスミドpUC
-araをAvaI制限酵素で消化し、クレノウ酵素で
平滑末端化した後、SalI制限酵素で処理して2.5
2kbpのDNA断片を得た。一方、pUC119(参
照:Maniatis et al.、Molecular Cloning 2nd ed.,198
9)ベクターをHindIIIで消化し、クレノウ酵素で平
滑末端化した後、SalIで処理して3.18kbpの
DNA断片を得た。こうして得られた2つの断片、すな
わち2.52kbpのDNA断片と3.18kbpのD
NA断片をT4DNAリガーゼで連結し、5.7kbp
のpUC-araBCベクターを調製した。こうして得
たベクターから一本鎖DNAを得た後、araBプロモ
ーターの下流に位置するaraBタンパク質の構造遺伝
子の翻訳開始コドンにNdeI制限部位のヌクレオチド
配列である5’-CATATG-3’(配列番号17)を挿入し、
araBプロモーターのシャイン‐ダルガノヌクレオチ
ド配列が5’-TAAGGAGG-3’(配列番号18)に変換され
るように、部位特異的突然変異を行った。
【0025】このように改変されたaraクローンを再
びEcoRIとPvuIIで消化し、araB-C遺伝
子を含む2.61kbpのDNA断片を得た。一方、p
UC18からの228bpの多クローニング部位を含む
MpKL10ベクターをNdeIで消化し、クレノウ酵
素で平滑末端化してT4DNAリガーゼで再連結させる
ことにより、該ベクター内に存在するNdeI制限部位
を除去した。こうして得たベクターをEcoRIとPv
uIIで消化し、多クローニング部位、転写終結シグナ
ル、アンピシリン抵抗性遺伝子および大腸菌内DNA複
製起点を含む2.7kbpのDNA断片を得た。
【0026】上記で得られた2.61kbpのDNA断
片と2.7kbpのDNA断片を連結した後、NdeI
とEcoRIで消化し、NcoI制限部位を含み、両末
端に各々NdeIおよびEcoRI制限部位を有する二
本鎖オリゴヌクレオチドにT4DNAリガーゼを用いて
連結し、約5.32kbpのベクターΔpMAを構築し
た(参照:大韓民国特許公告第97-5585号)。こ
のように構築されたΔpMAの遺伝子地図を図1に示し
た。
【0027】〔実施例2〕ヒトPTH遺伝子の調製 天然型ヒトPTHをコードし、大腸菌で使用頻度が高い
コドンを含むヌクレオチド配列を有するヒトPTH遺伝
子を調製するため、まず、PTHのセンス鎖とアンチセ
ンス鎖に相当する12個のオリゴヌクレオチド(配列番
号1;配列番号2;配列番号3;配列番号4;配列番号
5;配列番号6;配列番号7;配列番号8;配列番号
9;配列番号10;配列番号11;配列番号12;配列
番号13;配列番号14)を合成した(参照:図2)。
前記12個のオリゴマーを選択的に、リン酸化、アニー
リング、溶出(elution)、およびT4DNAリガーゼ
を用いて連結した。まず、自己連結を防ぐために、オリ
ゴマー#2,#4,#5,#8,#9,#12および#
13の末端をリン酸化し、DNAアニーリングを行って
#1:#2,#3:#4,#5:#6,#7:#8,#
9:#10,#11:#12および、#13:#14の
対を生成させた。次いで、ポリアクリルアミドゲル電気
泳動して正しくアニールされた二本鎖のオリゴマー等
I、II、III、IV、V、VIおよびVIIのみを溶出した。二本
鎖オリゴマーVIIの3’末端はXbaI制限部位の付着
末端を有し、発現ベクターのXbaI部位に容易にクロ
ーニングすることができる。
【0028】こうして溶出した二本鎖オリゴマーの末端
をリン酸化した後、IIとIII、IVとV、VIとVIIを各々T
4DNAリガーゼで連結し、ポリアクリルアミドゲル電
気泳動して、正しく連結されたII/III、IV/V、VI/VI
IのDNA断片を溶出した。続いて、II/III、IV/V、V
I/VIIの3つの断片の末端をリン酸化し、IとII/III、
IV/VとVI/VIIをT4DNAリガーゼで連結し、再びI
/II/IIIとIV/V/VI/VIIを連結し、最終的にウロキ
ナーゼ特異的切断部位を含み、大腸菌での使用頻度が高
いコドンを含む塩基配列を有するヒトPTH遺伝子を合
成した(参照:図3)。図3で、括弧内の数字は塩基数
を示す。二本鎖オリゴマーIはウロキナーゼ特異的切断
部位を含み、その合成については、下記で詳細に記載す
る。
【0029】融合タンパク質からPTHを容易に分離す
るため、次のようにして、ウロキナーゼ特異的切断部位
を合成して、融合パートナーとPTH遺伝子の間に挿入
した。このウロキナーゼ特異的切断部位はGly-Th
r-Gly-Argを含み(参照:大韓民国特許公開第9
7-6495号)、前記配列の前に比較的小分子量のア
ミノ酸を付加して柔軟性(flexibility)を与えた。ま
た、5’末端は、いずれの標的遺伝子であってもそのオ
ープンリーディングフレームに合わせて容易に融合でき
るように、平滑末端を与える3個の制限酵素、Sma
I、ScaIおよびPvuIIの認識部位を含んでいた。
ウロキナーゼ特異的切断部位とヒトPTH遺伝子の連結
部位にはBglII制限部位を配置した。このような条件
を満足させるセンスオリゴマー#1とアンチセンスオリ
ゴマー#2を合成して連結させた後、ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動を行い、正しくアニールした二本鎖オリ
ゴマーIを溶出した。二本鎖オリゴマーIは両末端ともに
平滑であるため、アニーリングの前に#2オリゴマーの
みをリン酸化させ、オリゴマーIの二量体や三量体の形
成を防止した。二本鎖オリゴマーIは、上述のように、
合成されたヒトPTH遺伝子の前に位置するようにT4
DNAリガーゼで連結した。
【0030】〔実施例3〕PRK遺伝子を含む発現ベク
ターpPRKの構築 ロドバクター・スファエロイデス(Rhodobacter sphaer
oides)菌株から染色体DNAを単離し、ポリメラーゼ
連鎖反応(PCR)を行って、PRK遺伝子を増幅し
た。この際、実施例1で調製したL-アラビノース誘導
性発現ベクターであるΔpMAへのPRK遺伝子のサブ
クローニングを容易にするため、PRKのアミノ末端領
域に相当するプライマーに翻訳開始コドンとNdeI制
限部位を、また、PRKのカルボキシ末端領域に相当す
るプライマーに翻訳終結コドンとXbaI制限部位を導
入し、各々5’および3’プライマーとして用いた:
5’プライマー:5’-GGAGCTGAATACATATGAGCAAG-3’
(配列番号19);3’プライマー:5’ーCCCCCGGGTCTA
GATCAGGCCA-3’(配列番号20)。
【0031】PCR反応産物を1%アガロースゲル電気
泳動した後に、873bpのPRK遺伝子を単離し、N
deIとXbaIで消化した後、NdeIとXbaIで
処理したΔpMAベクターの断片にサブクローニングす
ることにより、発現ベクターpPRKを構築した(参
照:図4)。こうして構築した発現ベクターで大腸菌M
C1061(E.coli MC1061,F-araD139 Δ(ara-leu)769
6 galE15 galK16Δ(lac)X74rpsL(Strr) hsdR2(rk-mk+)
mcrA mcrB1)を形質転換し、その形質転換体から32k
Daの分子量を有するPRKタンパク質が発現されるこ
とを確認した。
【0032】〔実施例4〕PRK遺伝子の断片化 完全長PRK遺伝子を融合パートナーとして用いる場
合、融合パートナー部分が大きいために、最終的に所望
のタンパク質の収率が低くなるという短所があるので、
融合パートナーを小さくして所望のタンパク質の収率を
増大するため、PRKの大きさを様々に減少させた。ま
だPRKの構造が明らかになっていないため、Chou & F
asmanの方法(参照:Adv.Enzymol,47:45-148(1978):Ann
u.Rev.Biochem.,47:251-276(1978))に基づくコンピュ
ータープログラム(PROSIS,Hitachi,JAPAN)を用いてP
RKタンパク質の2次構造を予測した後、タンパク質の
構造的安定性を破壊しないようにαーヘリックス(α-h
elix)やβー鎖(β-strand)等の2次構造が形成され
ないと予想される2つの領域(各々PRKのアミノ末端
から113および153番目のアミノ酸までを含む領
域、以下、各々「113PRK」および「153PR
K」という)を選定した。
【0033】PRK遺伝子断片を増幅するため、5’プ
ライマーとしては実施例3で使用した5’プライマーを
使用し、3’プライマーとしては、各々アミノ酸113
番および153番を含むヌクレオチド配列に相当し、サ
ブクローニングが容易にできるようにBamHI制限部
位を含むオリゴヌクレオチドを使用した(113PRK
増幅用3’プライマー:5’-GGTGAAGGATCCGGGCGCCACGCC
GGTー3’(配列番号21):153PRK増幅用5’プ
ライマー:5’-CGGAACGGATCCGATCTTGAGGTCGGCー3’(配
列番号22))(参照:図5)。
【0034】こうして増幅されたPRK遺伝子断片をN
deIとBamHIで消化した後、1%アガロースゲル
電気泳動を行って単離した。こうして単離した113P
RKおよび153PRKのPCR産物(遺伝子断片)を
NdeIとBamHIで消化した後、同一の酵素で消化
されたΔpMAに挿入してp113PRKおよびp15
3PRKを構築した。前記発現ベクター、すなわちp1
13PRKおよびp153PRKで大腸菌MC1061
(E.coli MC1061,F-araD139 Δ(ara-leu)7696 galE15 g
alK16Δ(lac)X74rpsL(Strr)hsdR2(rk-mk+)mcrA mcrB1)
を形質転換して培養した。その結果、タンパク質113
PRKおよび153PRKは正常に大量発現されること
が分かった。従って、タンパク質113PRKおよび1
53PRKをコードする遺伝子断片は、融合パートナー
として適切に用いることができることが確認された。
【0035】〔実施例5〕発現ベクターp153PTH
の構築およびPTHの発現 大腸菌の複製開始抑制タンパク質であるIciAタンパ
ク質のうち、アミノ末端から166番アミノ酸までをコ
ードするDNA断片を融合パートナーとして用い、ウロ
キナーゼ特異的制限部位を含むヒトGHの発現ベクター
pAI5UG(参照:大韓民国特許公開第97-650
5号)をNdeIおよびBamHIで消化し、Thr-
Gly-Argのウロキナーゼ(以下、「UK」)制限
部位とヒトGH遺伝子を含むベクター断片を得た。実施
例4で単離した153PRK遺伝子断片を、こうして得
られたベクター中にサブクローニングし、発現ベクター
p153hGHを構築した(参照:図6)。
【0036】一方、大腸菌の複製開始抑制タンパク質で
あるIciAをコードするIciA遺伝子のうち、アミ
ノ末端から166番アミノ酸のコドンの部位にSmaI
制限部位を挿入したΔpMA5S(参照:大韓民国特許
公開第97-6505号、KCCM-10072)をSm
aIとXbaIで消化し、500bpのIciA遺伝子
断片を含むベクター断片を得た。実施例2で合成したウ
ロキナーゼ特異的切断部位を含むヒトPTH遺伝子を、
こうして得られたベクター断片中にサブクローニング
し、araBプロモーター系の制御下でIciAタンパ
ク質のアミノ末端166アミノ酸断片との融合形態でヒ
トPTHを発現できるベクターpAI5UPを構築した
(参照:図7、大韓民国特許公開第97-6497号、
KCCM-10071)。
【0037】こうして構築されたベクターpAI5UP
をBamHIとHindIIIで消化し、ウロキナーゼ特
異的切断部位を含むヒトPTH遺伝子断片を得た。こう
して得た断片を、BamHIとHindIIIでp153
hGHを消化して調製されるベクター断片にサブクロー
ニングし、アミノ末端から153番アミノ酸までで構成
された153PRKを融合パートナーとし、ウロキナー
ゼ特異的切断部位を含むヒトPTH融合タンパク質を、
araBプロモーター系の制御下で発現するベクターp
153PTHを構築した(参照:図8)。
【0038】こうして構築した発現ベクターp153P
THで大腸菌MC1061(F-araD139 Δ(ara-leu)769
6 galE15 galK16 D(lac)X74 rpsL(Strr)hsdR2(rk-mk+)m
crAmcrB1)を形質転換し、その形質転換体をアンピシリ
ンを含むLB液体培地(培地1L当たり5gのNaC
l、5gの酵母抽出物、10gのバクトトリプトン、5
0mgのアンピシリンが含まれる)にまき、37℃で1
80rpmに一夜振とう培養した。コンフルエントの培
地を再びアンピシリンの含まれた新鮮なLB液体培地に
最終1%の濃度になるまでまき、600nmで0.5の
吸光度に達するまで振とう培養した。次いで、最終濃度
1%のL-アラビノースを培養液に添加して153PR
K/PTH(以下、「153PTH」)融合タンパク質
の発現を誘導した後、約20時間振とう培養を続けた。
【0039】大腸菌培養細胞の総タンパク質をSDS-
PAGEで分析した結果、L-アラビノース誘導により
大腸菌内で約26kDaの153PTH融合タンパク質
が高効率で発現されることが分かった(参照:図9)。
図9で、第1レーンおよび第2レーンはp153PTH
で形質転換された大腸菌株MC1061を1%のL-ア
ラビノースで誘導し、20時間培養した後の総タンパク
質を示し;Mレーンは標準タンパク質マーカー(BRL
16040-016、USA)を示す。
【0040】発現ベクターp153PTHで形質転換さ
れた大腸菌(Escherichia coli)MC1061を大腸菌
(Escherichia coli)MC1061:p153PTHと
命名し、1997年7月9日に、国際寄託機関である社
団法人韓国種菌協会附設微生物保存センター(KCC
M)(大韓民国ソウル特別市西大門区新村洞134番
地)に、KCCMー10101として寄託されている。
【0041】〔実施例6〕:153PTH融合タンパク
質の封入体の分離および切断 実施例5のように、L-アラビノースで発現誘導した間
に、p153PTHで形質転換された大腸菌MC106
1(KCCM-10101)中に発現される153PT
H融合タンパク質が封入体(inclusion bo
dy)を形成するか調べた。遠心分離して収得した培養
大腸菌をトリス緩衝液(0.1mM EDTAおよび、
25%の蔗糖を含む50mMのトリス緩衝液、pH7.
8)に懸濁した。リゾチームを該細胞に添加し、氷浴で
1.5時間インキュベートした。その後、MgCl2
DNaseIを該細胞に加え、さらに1.5時間反応さ
せた。さらにその後、1%のデオキシコール酸と1.6
%のNonidet P-40を含む緩衝液を該細胞に
添加し、氷浴で15分間攪拌し、超音波破砕(soni
cation)で細胞を溶解した。前記細胞溶解液を遠
心分離し、封入体画分と水性画分に分け、封入体画分を
0.5%のトリトンX-100溶液で4回洗浄した。こ
のようにして得られた封入体を8Mの尿素(urea)
溶液に入れ、4℃で徐々に攪拌し、変性させた。封入体
の分離過程中に採取したアリコートをSDS-PAGE
で分析した(参照:図10)。
【0042】図10で、第2レーンは細胞溶解液、第3
レーンは細胞溶解液の上清を、第4〜7レーンは封入体
の洗浄液を、第8レーンは変性された封入体を各々示
す。第1レーンと第9レーンは標準タンパク質マーカー
として、各々BRL 16040-016(分子量順に
列挙すると、43kD、29kD、18.4kD、1
4.3kD、6.2kD、3.4kD)とNEB 77
07L(分子量順に列挙すると、175kD、83k
D、62kD、47.5kD、32.5kD、25k
D、16.5kD、6.5kD、)を示す。図10のよ
うに、153PTH融合タンパク質は大腸菌内で相当量
発現され、全て封入体の形態で分離されることが分かっ
た。
【0043】分離した153PTH融合タンパク質の定
量を行った後、153PTH融合タンパク質100μg
にウロキナーゼを0.5μg添加し25℃で1時間反応
させ、切断の程度をSDS-PAGEで分析した(参
照:図11)。図11では、第1レーンはコントロール
としてウロキナーゼを添加していない153PTH融合
タンパク質を示し、第2レーンはウロキナーゼを添加し
た153PTH融合タンパク質を示す。Mレーンは標準
タンパク質サイズマーカーである(NEB 7707
L、分子量順に列挙すると、175kD、83kD、6
2kD、47.5kD、32.5kD、25kD、1
6.5kD、6.5kD、)。153PTH融合タンパ
ク質をウロキナーゼで切断する場合、153個のアミノ
酸に相当する分子量を有する融合パートナーと、84個
のアミノ酸に相当する分子量を有する目的タンパク質で
あるPTHタンパク質が得られるべきである。図11に
示されるように、予想に従い、約10kDのPTHタン
パク質は現れることがわかった。しかしながら、約17
kDの153PRKのタンパク質フラグメント、すなわ
ち融合パートナーはほとんど現れず、より小さいサイズ
のタンパク質フラグメントが現れることが示された。こ
れは、ウロキナーゼによる非特異的切断が153PRK
の12個のアルギニン残基の数カ所で起こったことを示
唆する。
【0044】〔実施例7〕:発現ベクターpm153P
THの構築およびそれを用いた発現 153PRKのウロキナーゼによる追加的な切断を減ら
すため、このような追加的な切断が起こりうる部位に位
置するアルギニン残基を除去した。153PTHのウロ
キナーゼによる切断で、生成されるタンパク質断片の大
きさを考慮すると、PRKのアミノ末端から各々30、
31、58、59、94および、96番目のアルギニン
残基で追加的な切断が生じる可能性があると予想し、こ
れらのアルギニン残基を他のアミノ酸で置換しようとし
た。
【0045】まず、発現ベクターp153PTHをSa
cIIとHindIIIの制限酵素で切断して分離した
153PTH遺伝子フラグメントを、pBlueScr
ipt SK(+)(Stratagene,USA)
をSacIIとHindIIIの制限酵素で処理するこ
とによって調製したベクターのフラグメントに挿入し、
一本鎖のDNAを得ることのできるpSK(+)153
PTHという突然変異用のプラスミドを得た(参照:図
12)。大腸菌CJ236をpSK(+)153PTH
で形質転換させた後、クンケル(Kunkel)等の方
法(参照:Kunkel,T.A.,Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA,82:488-492
(1985))で部位特異的な突然変異を行った。この
際、用いられたミュータマー(mutamer)は次の
ようである。
【0046】30/31ミュータマー: 5’-ccttgaccccctcgc(c/g)ca
cgaagatctggtcgaacー3’(配列番号
23); 58/59ミュータマー: 5’ーgcccgccgcatagc(g/c)cac
gtccagctcggccttcー3’(配列番号2
4); 94/96ミュータマー: 5’-gacgtaggtcc(c/g)cgtcac
cccctgcccggtctcgccー3’(配列番
号25)。
【0047】これから30、58、94番目のアルギニ
ンが各々バリンで、59、96番目のアルギニンが各々
グリシンで置換された変異ベクターを製造し、pSK
(+)m153PTHと命名した。pSK(+)m15
3PTHをNdeI/BamHIで切断することによっ
て得られる変異153PRKのフラグメントと、発現ベ
クターp153PTHをNdeI/BamHIで処理し
て得られたウロキナーゼ/PTHが含まれたベクターフ
ラグメントをT4リガーゼで連結し、発現ベクターpm
153PTHを製造した(参照:図12)。
【0048】大腸菌MC1061(F-araD139
Δ(ara-leu)7696 galE15 gal
K16 D(lac)X74 rpsL(Strr)h
sdR2(rk-mk+) mcrA mcrB1)を発
現ベクターpm153PTHで形質転換させ、当該形質
転換体を実施例5と同様の方法で培養した。m153P
RK/PTH(以下、’m153PTH’)融合タンパ
ク質が発現されたことをSDS-PAGEで確認した
(参照:図13)。図13で、第1レーンは発現ベクタ
ーp153PTHで形質転換された大腸菌株MC106
1を1%のアラビノースで誘導して20時間培養した後
の総タンパク質を、第2レーンは発現ベクターpm15
3PTHで形質転換された大腸菌株MC1061を1%
のアラビノースで誘導して20時間培養した後の総タン
パク質を、第3レーンは発現ベクターpm153PTH
で形質転換された大腸菌株MC1061をアラビノース
で誘導する前の総タンパク質を各々SDS-PAGEで
分析した結果である。Mレーンは標準タンパク質サイズ
マーカーである(NEB7707L(分子量順に列挙す
ると、83kD、62kD、47.5kD、32.5k
D、25kD、16.5kD、6.5kD)。図13に
示されるように、pm153PTHで形質転換した大腸
菌は、p153PTHで形質転換した大腸菌に比べて同
一、あるいはやや増加した発現量を見せ、新たに導入さ
れたアミノ酸置換による発現の減少は起こらないことが
分かった。前記の発現ベクターpm153PTHで形質
転換された大腸菌(Escherichia col
i)MC1061を大腸菌(Escherichia
coli)MC1061:pm153PTHと命名し、
1997年7月9日に、社団法人韓国種菌協会附設微生
物保存センター(KCCM)(大韓民国ソウル特別市西
大門区新村洞134番地)に、KCCMー10102と
して寄託されている。
【0049】〔実施例8〕:m153PTHの融合タン
パク質封入体の分離および切断 上記m153PTH融合タンパク質が大腸菌内でどのよ
うに発現されるかを調べるため、実施例6と同様の方法
で封入体の分離過程中で採取したアリコートをSDS-
PAGEで分析した(参照:図14)。図14では、第
2レーンは細胞溶解液、第3レーンは細胞溶解液の上清
を、第4〜7レーンは封入体の洗浄液を、第8レーンは
変性された封入体を各々示す。第1レーンと第9レーン
は標準タンパク質サイズマーカーとして、各々BRL
16040-016(分子量順に列挙すると、43k
D、29kD、18.4kD、14.3kD、6.2k
D、3.4kD)とNEB 7707L(分子量順に列
挙すると、175kD、83kD、62kD、47.5
kD、32.5kD、25kD、16.5kD、6.5
kD、)を示す。図14のように、153PTH融合タ
ンパク質と同様に、m153PTH融合タンパク質も細
胞内で封入体を形成することが分かった。
【0050】実施例6と同様の方法で分離した融合タン
パク質の定量を行った後、153PTH、あるいはm1
53PTH融合タンパク質100μgに0.5μgのウ
ロキナーゼを各々添加して25℃で1時間反応させた。
切断の程度をSDS-PAGEで分析した(参照:図1
5)。図15では、奇数のレーンはコントロールとして
ウロキナーゼを添加していない融合タンパク質を示し、
偶数のレーンはウロキナーゼを添加した融合タンパク質
を示す。なお、第1および、2一レーンは153PTH
を、第3および、4レーンはm153PTHを示す。M
レーンは標準タンパク質サイズマーカーである(NEB
7707L、分子量順に列挙すると、175kD、8
3kD、62kD、47.5kD、32.5kD、25
kD、16.5kD、6.5kD、)。図15に示すよ
うに、m153PTH融合タンパク質のウロキナーゼ切
断によれば、153PTH融合タンパク質の同切断と比
較すると、ウロキナーゼによる非特異的切断が減少し
た。従って、同量の融合タンパク質を使用し、同一の反
応条件下では、153PTH融合タンパク質よりもm1
53PTH融合タンパク質の方がより多い量のPTHが
得られることを確認した。
【0051】さらに、ウロキナーゼによる153PTH
とm153PTH融合タンパク質の切断時間による切断
効率を比較するため、融合タンパク質とウロキナーゼの
濃度比が200:1になるようにし、25℃で切断反応
させた。アリコートを時間により採取し、SDS-PA
GEで分析した(参照:図16)。図16では、第1レ
ーンはウロキナーゼによる切断時間が20分、第2レー
ンは30分、第3レーンは60分、第4レーンは150
分、第5レーンは190分、第6レーンは225分、第
7レーンは360分の時点での試料を各々示す。
【0052】図16のように、m153PTH融合タン
パク質は反応60分でほとんど完全に切断されるが、1
53PTH融合タンパク質は6時間が経過しても完全に
切断されなかった。上記切断比較実験より、m153P
TH融合タンパク質の場合には153PTH融合タンパ
ク質に比べ、時間および、ウロキナーゼ当たり得られる
PTHの収率が増加することを確認した。
【0053】〔実施例9〕:組換えヒトPTHの精製 実施例8と同様な方法で、分離した封入体に存在する、
m153PTH融合タンパク質の定量を行い、トリス緩
衝液でタンパク質の濃度が1mg/mlになるように希
釈した。当該溶液にウロキナーゼ(プロテアーゼ)を添
加し25℃で反応させ、融合タンパク質よりPTHを分
離した。図17は、分離されたPTHタンパク質をイオ
ン交換樹脂および、C18逆相HPLCクロマトグラフィ
ーで精製し、これをSDS-PAGE(4-20% グラ
ジエントゲル)で分析した結果である。図17におい
て、第1レーンは15μgの精製されたPTHを、第2
レーンは7.5μgの精製されたPTHを、第3レーン
は3.75μgの精製されたPTHを各々示す。Mレー
ンは標準タンパク質サイズマーカーである(Novex
LC 5677、分子量順に列挙すると、200k
D、116.3kD、97.4kD、66.3kD、5
5.4kD、36.5kD、31kD、21.5kD、
14.4kD、6kD、3.5kD)。図17に示され
るように、ヒト組換えPTHが単離された形態で純化さ
れことが分かった。
【0054】〔実施例10〕:組換えヒトPTHの活性
測定 UMR106細胞系(ラットコ骨髄細胞様骨肉腫細胞
系)は、骨芽細胞の特性を研究する材料として多く用い
られており、該細胞系は骨芽細胞の特徴であるアルカリ
ホスファターゼの活性が高く、タイプ1コラーゲンを生
産すると知られている(参照:Meika A.Fan
g et al.,Endocrinology,13
1(5):2113-2119(1992);Cher
yl O.Quinn et al.,J.Biol.
Chem., 265(36):22342-2234
7(1990))。従って、実施例9で精製した組換え
ヒトPTH(rhPTH(1-84))の試験管内(i
n vitro)活性は、UMR106細胞株(ATC
C CRL 1661)を用いてPTHの受容体に対す
る結合性試験と細胞内cAMPの生成促進試験で測定し
た。これに関し、コントロールとしては、合成ヒトPT
H(shPTH(1-84)、Sigma Chemi
cal Co.,USA)を用い、アミノ末端とカルボ
キシル末端を有する完全なPTHのみが検出される”A
llegro Intact PTHRIA kit
(Nichols Institute,San Ju
an Capistrano,USA)”を用い、PT
Hを定量した(参照:Samuel R.Nussba
um et al.,Clinical Chemis
try,33(8):1364-1367(198
7))。一方、UMR106細胞株は、0.2%の重炭
酸ナトリウムおよび、10%のFBS(fetal b
ovine serum、56℃で30分間熱処理した
もの)を含むDMEM(Dulbecco’s Mod
ified Eagle Medium)で37℃、5
%のCO2の条件で培養した(参照:Ronald
J.Miduraet al., J.Biol.Ch
em., 269(18):13200ー13206
(1994))。
【0055】〔実施例10−1〕:PTH受容体に対す
る結合性試験 PTH受容体に対する結合性試験は、次のように実施し
た(参照:Chohei Shigeno et a
l.,J.Biol.Chem., 263(8):3
864-3871(1988)):24ウェルプレート
当たり105個のUMR106細胞株をまき、4ないし
8日間培養した。この際、培地は2日に1回ずつ、試験
の3日前からは毎日交替した。なお、カルボキシ末端の
チロシン残基をラジオアイソトープの125Iで標識した
(Nle8,18Tyr34)-ウシPTH(1-34)-NH2
(bPTH(1-34))(参照:Gino V.Se
rgeet al.,JBC,254(15):698
0-6986(1979))を調製するため、触媒とし
てクロラミンT(Sigma Chemical C
o.、USA)を用い、bPTH(1-34)をNa125
Iでヨウ素化した。ヨウ素化の反応物をC18Sep-P
ak カラムに注入し、ヨウ素化されたbPTHを50
%のACN(アセトニトリル)/0.1% TFA(ト
リフルオロ酢酸)で溶出させ、遊離の125Iを除去し
た。なお、分離されたbPTHよりACNを除去した。
【0056】125Iで標識した(Nle8,18Tyr34)-
bPTH(1-34)をリガンドとして用い、当該受容
体へのリガンド結合に対する、rhPTH(1-84)
およびshPTH(1-84)の競争阻害を比較するこ
とによって、PTHの受容体への結合親和性を側定し
た。リガンドおよび、上記PTHを結合緩衝液(100
mMのNaCl、5mMのKCl、2mMのCaC
2、5%のウマ血清および、0.5%のFBSを含む
50mMのTris buffer(pH7.7))で
各々希釈した。一方、上記の培養後、得られた24ウェ
ルプレートを氷浴で冷却し、1mlの結合緩衝液で2回
洗浄した後、30000ないし50000cpmのリガ
ンドおよび、種々の濃度の競争PTHを、最終体積が
0.3mlになるまで添加した。続いて、各ホルモンの
希釈液を3ウェルに同時に添加し、15℃で4時間吸着
させた。反応後、ウェルを0.5mlの結合緩衝液で4
回洗浄し、結合していない放射活性同位体を除去した。
0.5mlの0.5M NaOHを添加し、細胞に結合
した放射活性同位体を室温で16ないし18時間抽出し
た。抽出で得られた液と、0.5mlの結合緩衝液によ
り洗浄した後に得られた液とを合わせ、ガンマカウンタ
ーで放射活性を測定した。
【0057】前記測定の結合放射活性の測定値から1m
Mの各競争ホルモンを用いて測定した非特異的結合の測
定値を引き、特異的結合の測定値を決定した。測定結果
は、最大特異的結合に対する百分率で示し、曲線)の最
適化および、各競争ホルモンの結合力を比較する重要な
指標になるIC50(50% 阻害濃度、リガンドの結合
を50%阻害するに必要なホルモン濃度)の値は、Bi
osoft社のfig.P programに従って測
定した。shPTH(1-84)とrhPTH(1-8
4)のIC50の値は、各々18.6±1.5および、1
7.3±3.1nM(平均値±標準偏差)として示し、
その一つの実験結果を図18(A)で示した。図18
(A)のように、組換えPTHは合成PTHと同様な受
容体に対する結合活性を有していることが分かった。
【0058】〔実施例10−2〕:細胞内cAMPの生
成促進試験 細胞内cAMPの生成促進試験は、次のように実施した
(参照:ThomasJ.Gardella et a
l., JBC, 265(26):15854―15
859(1990))。実施例10-1で、4ないし8
日間24ウェルプレートで培養したUMR106細胞を
氷浴で15分間冷却させた後、0.25mlのcAMP
緩衝液(2mM 3-イソブチル-メチルキサンチン、1
mg/ml BSA、35mM HEPESを含むDM
EM、pH7.4)で1回洗浄した。続いて、0.1m
lのcAMP緩衝液をプレートに添加し、種々の濃度の
各ホルモンを含むcAMP緩衝液0.1mlを添加し
た。その後、反応を37℃で20分間で行い、緩衝液を
除去した。さらにその後、-70℃での凍結および室温
での解凍を各々20分間3回繰り返して細胞を破壊し
た。1mlの50mMのHClをプレートの各ウェルに
加え、-20℃で16ないし18時間細胞内cAMPを
抽出し、その抽出物にあるcAMPをcAMP RIA
kit(NewEngland Nuclear,D
u Pont,USA)で定量した。曲線の最適化およ
び、EC50(細胞内cAMPの生成を50%促進するに
必要なホルモン濃度)の値は、Biosoft社のfi
g.P programを用いて決定した。shPTH
(1-84)および、rhPTH(1-84)のEC50
は、各々1.9±0.1と1.3±0.2mM(平均値
±標準偏差)として得られ、その一つの実験結果を図1
8(B)に示した。図18(B)から、組換えPTHは
合成PTHと同様なアデニレートサイクラーゼ促進活性
を有していることが分かった。
【0059】(産業上の利用の可能性) 以上詳細に説明し、立証した通り、本発明はPRK遺伝
子断片、あるいはその突然変異体を融合パートナーとし
て含有するL-arabinose誘導性ベクターに、
ウロキナーゼの切断部のヌクレオチド配列を含むPTH
遺伝子を挿入して製造した組換え発現ベクター、それで
形質転換された組換え微生物および、前記微生物をL-
arabinoseの添加された培地で培養することに
より、ヒト副甲状腺ホルモンを大量製造する方法に関す
る。本発明で製造した組換えヒトPTHは天然型ヒトP
THの活性を有していることを確認した。従って、本発
明の組換え発現ベクターで形質転換された微生物を用
い、L-arabinoseで発現を誘導することによ
り天然型ヒトPTHの有する活性をそのまま維持してい
る組換えヒトPTHを正確な誘導調節を通し、高収率で
製造することができる。
【0060】
【配列表】 [図面の簡単な説明]
【図1】発現ベクターΔpMAの遺伝子地図を示す図で
ある。
【図2】ヒトPTH遺伝子を調製するためのオリゴマー
の塩基配列(配列番号1;配列番号2;配列番号3;配
列番号4;配列番号5;配列番号6;配列番号7;配列
番号8;配列番号9;配列番号10;配列番号11;配
列番号12;配列番号13;配列番号14)を示す図で
ある。
【図3】合成されたオリゴマーの連結過程を示す図であ
る。
【図4】発現ベクターpRKの遺伝子地図を示す図であ
る。
【図5】本発明のPRK遺伝子断片をPCRによって増
幅する手法を示す図である。
【図6】ヒト成長ホルモン(hGH)の融合タンパク質
を発現する発現ベクターp153hGHの遺伝子地図を
示す図である。
【図7】PTHの融合タンパク質を発現する発現ベクタ
ーpAI5UPの遺伝子地図を示す図である。
【図8】本発明の組換えヒトPTHを発現する発現ベク
ターp153PTHを調製する構築手法を示す図であ
る。
【図9】p153PTHで形質転換された大腸菌の、L
-アラビノース誘導による、PRK断片で融合されたヒ
トPTHタンパク質の発現を示す電気泳動パターンの写
真である。
【図10】p153PTHで形質転換された大腸菌から
発現された融合タンパク質を単離する過程で得られた試
料のSDS-PAGEパターンを示す写真である。
【図11】153PTH融合タンパク質の封入体の、ウ
ロキナーゼで消化した後のSDS-PAGEパターンを
示す写真である。
【図12】p153PTHを改変することにより、本発
明のヒトPTHの発現ベクターpm153PTHを調製
する構築手法を示す図である。
【図13】pm153PTHで形質転換された大腸菌
の、L-アラビノース誘導による、融合タンパク質の発
現を示す電気泳動パターンの写真である。
【図14】pm153PTHで形質転換された大腸菌か
ら発現された融合タンパク質を単離する過程で得られた
試料のSDS-PAGEパターンを示す写真である。
【図15】153PTHおよびm153PTH融合タン
パク質の封入体の、ウロキナーゼで消化した後のSDS
-PAGEパターンを示す写真である。
【図16】153PTHおよびm153PTHの封入体
のウロキナーゼ消化効率を比較するための、各反応物の
電気泳動パターンを示す写真である。
【図17】精製されたヒトPTHのSDS-PAGEパ
ターンを示す写真である。
【図18A】精製されたヒトPTHとその受容体の結合
を示すグラフである。
【図18B】精製されたヒトPTHが細胞内cAMP生
産を刺激することを示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 チュン,ソー−イル 大韓民国 463−050 キョンギ‐ド,ソ ンナム,セオヒュン−ドン,ヒュンダイ アパートメント 112−902 (56)参考文献 米国特許5171670(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 BIOSIS(DIALOG) EUROPAT(QUESTEL) WPI(DIALOG)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロドバクター・スフェロイデス(Rho
    dobactersphaeroides)のホスホリ
    ブロキナーゼタンパク質のアミノ末端から113番目の
    アミノ酸まで若しくはアミノ末端から153番目のアミ
    ノ酸までを含む領域をコードするホスホリブロキナーゼ
    遺伝子断片、または該ホスホリブロキナーゼタンパク質
    の30、58、59、94、及び/若しくは96番目の
    アルギニンが他のアミノ酸で置換されたタンパク質をコ
    ードするその突然変異型遺伝子を融合パートナーとして
    含有するL-アラビノース誘導性ベクターに、下記のア
    ミノ酸配列: - - Gly - Arg(上記式中、XはPro、Thr、
    Ile、Phe、あるいはLeuを表す) をコードする ウロキナーゼ特異的切断部位のためのDN
    A配列を含むヒト副甲状腺ホルモン遺伝子を挿入して製
    造した、組換え発現ベクター。
  2. 【請求項2】 -アラビノース誘導性ベクターが、下
    記の遺伝子地図で示表されるpPRKである請求項1記
    載の組換え発現ベクター。
  3. 【請求項3】 ホスホリブロキナーゼ遺伝子断片が、ホ
    スホリブロキナーゼのアミノ末端から113個から15
    3個のアミノ酸をコードするDNA断片である請求項1
    記載の組換え発現ベクター。
  4. 【請求項4】 ウロキナーゼ特異的切断部位が、-Th
    r-Gly-Argのアミノ酸配列をコードするDNA配
    列である、請求項1記載の組換え発現ベクター。
  5. 【請求項5】 ヒト副甲状腺ホルモン遺伝子が、下記の
    DNA配列を有する、請求項1記載の組換え発現ベクタ
    ー:
  6. 【請求項6】 ロドバクター・スフェロイデスのホスホ
    リブロキナーゼのアミノ末端から153個のアミノ酸を
    コードするDNA断片、ウロキナーゼ特異的切断部位の
    -Thr-Gly-ArgをコードするDNA断片、およ
    びヒト副甲状腺ホルモン遺伝子を含む組換え発現ベクタ
    ーp153PTH。
  7. 【請求項7】 ロドバクター・スフェロイデスのホスホ
    リブロキナーゼのアミノ末端から153個のアミノ酸を
    コードし、その30、31、58、59、94、および
    96番目の位置にあるアルギニン残基の一部が突然変異
    して他のアミノ酸で置換されたDNA断片、ウロキナー
    ゼ特異的切断部位の-X-Gly-Arg(式中、XはP
    ro、Thr、Ile、Phe、あるいはLeuを表
    す)をコードするDNA断片、およびヒト副甲状腺ホル
    モン遺伝子を連続して含む組換え発現ベクター。
  8. 【請求項8】 ロドバクター・スフェロイデスのホスホ
    リブロキナーゼのアミノ末端から153個のアミノ酸を
    コードし、その30、58および、94番目のアルギニ
    ン残基が部位特異的に突然変異してバリンに置換し、5
    9、および96番目のアルギニン残基がグリシンに置換
    されたDNA断片、ウロキナーゼ特異的切断部位の-T
    hr-Gly-ArgをコードするDNA断片、およびヒ
    ト副甲状腺ホルモン遺伝子を連続して含む組換え発現ベ
    クターpm153PTH。
  9. 【請求項9】 請求項記載の組換え発現ベクターp1
    53PTHで形質転換された大腸菌MC1061:p1
    53PTH(KCCM-10101)。
  10. 【請求項10】 請求項記載の組換え発現ベクターp
    m153PTHで形質転換された大腸菌MC1061:
    pm153PTH(KCCM-10102)。
  11. 【請求項11】 請求項記載の形質転換された大腸菌
    MC1061:p153PTH(KCCM-1010
    1)を培養し、L-アラビノースでヒト副甲状腺ホルモ
    ンの発現を誘導し、これを回収する工程を含む、ヒト副
    甲状腺ホルモンの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項10記載の形質転換された大腸
    菌MC1061:pm153PTH(KCCM-101
    02)を培養し、L-アラビノースでヒト副甲状腺ホル
    モンの発現を誘導し、これを回収する工程を含む、ヒト
    副甲状腺ホルモンの製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1記載の組換え発現ベクターで
    形質転換された組換え微生物を培養し、L-アラビノー
    スでヒト副甲状腺ホルモンの発現を誘導し、発現された
    ホスホリブロキナーゼおよびヒト副甲状腺ホルモンの融
    合タンパク質をウロキナーゼ処理することにより、ヒト
    副甲状腺ホルモンを回収する工程を含む、ヒト副甲状腺
    ホルモンの製造方法。
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