JP3480104B2 - 保護膜形成方法及び保護膜を有する光ディスク - Google Patents

保護膜形成方法及び保護膜を有する光ディスク

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、保護膜の形成方法及び
保護膜を有する光ディスクに関する。特に浮上型磁気ヘ
ッドを用いた磁界変調方式の光ディスクに適用して好適
な保護膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスクとして、プラスチック基板上
に設けられたTbFeCoなどからなる記録層の上に、
直接または他の層を介して樹脂からなる保護膜を形成し
たものが広く用いられている。この保護膜の要件として
は、耐候性に優れて記録層を保護し、また記録層や他の
層の劣化等を引き起こすような物質を含まないこと、材
料が高価格でなく生産性が良好で安全性が高いことが挙
げられ、一般的には熱硬化性あるいは紫外線硬化性の樹
脂が用いられている。
【0003】光磁気ディスクは、磁気記録ディスクに比
べて、記録密度やビット当たりのディスク製造コストで
は優れているものの、転送速度が遅いことが指摘されて
いる。これは、従来の光磁気記録では永久磁石を用い、
記録用レーザー光のオン、オフによって記録を行う光変
調方式を採用しているために、情報の重ね書きが困難
で、情報を書き換える際には、全情報の消去を行ってか
ら改めて新しい情報を記録するという2つの過程を経な
ければならないことによる。近年、この問題を解決する
手段として、記録された情報の上に直接情報を重ね書き
できる磁界変調方式、すなわちレーザ光を前記記録層上
に連続的またはパルス的に照射しておき、少なくともレ
ーザ光が照射されている箇所に対して、記録用磁気ヘッ
ドにより磁界の向きを変調させて記録する方式が注目さ
れている。
【0004】ところで、この磁界変調方式には、記録用
磁気ヘッドとして浮上ヘッドを用いる方式(ISOM′
87 予稿集、P149〜)、あるいはコアにコイルを
巻装してなる磁気ヘッドを用いる方式が提案されてい
る。この浮上ヘッドを用いる方式では、浮上ヘッドを光
磁気ディスクから数μm浮上させて、また磁気ヘッドを
光磁気ディスクから0.1mm程度離れた位置に配置さ
せて高磁界(例えば数百エルステッド)を高周波(例え
ば数MHz)で変調させて光磁気記録を行う。
【0005】しかしながら、これらの方式では記録用磁
気ヘッドと光磁気ディスクとが数μm〜0.1mm程度
とわずかな距離しか離れていないため、外力などで振動
が生じると、記録用磁気ヘッドが光磁気ディスクに接触
して光磁気ディスク表面に傷がつき、記録層にもその傷
が及んで情報が破壊される、という問題がある。特に浮
上ヘッドを用いる方式では、ヘッドが浮上時でも光磁気
ディスクから数μmしか離れておらず、CSS(コンタ
クトスタートストップ)方式でヘッドを浮上させる場合
にはヘッドの浮上開始、着陸時に浮上ヘッドが光磁気デ
ィスク上を直接摺動する。また、最近、磁気ヘッドを光
磁気ディスクに継続的に摺動させたままの状態で情報の
記録、読み出し、書換えを行うシステムも開発されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような磁界変調
方式の記録に、樹脂製の保護膜を設けた光磁気ディスク
を用いると、記録用磁気ヘッドと対向する光磁気ディス
ク最表面が強度不足であったり平滑過ぎたりするため
に、特に浮上ヘッドを用いる場合にヘッドと樹脂保護膜
が吸着してヘッドの浮上が困難になったり、浮上ヘッド
との接触、摺動によって保護膜に傷がつき、多数回の摺
動によって傷が記録層まで及んだり、傷からの水分や薬
品等の侵入が起こって記録層が劣化したりして、記録が
破壊されるという問題点があった。そこで、これらの問
題に対して、光磁気ディスク表面の耐擦性を向上させ、
表面粗さを持たせるために、樹脂保護膜に用いる樹脂に
SiO2 、Al2 3 などからなるフィラーを分散させ
る手段や、バーニッシャー等の機械的な手段を用いて樹
脂膜の表面に凹凸を形成する手段(特開平4−1957
49号他)が提案されている。
【0007】しかし、一般には樹脂として紫外線硬化型
のアクリル系樹脂を用いているため、フィラーの分散に
よって硬化が十分に行われなかったり、フィラーの混入
によってノイズが増加したり、フィラーの硬度が高すぎ
て浮上ヘッドに傷をつけてしまうなどの問題が生じてい
た。また、樹脂保護膜の表面に機械的に凹凸を形成する
と、凹凸形成時に削られた保護膜の一部や、保護膜側の
削れ残りが保護膜上に残って浮上ヘッドに付着し、ヘッ
ドの浮上を不安定にしたり、また保護膜上に部分的に弱
い場所が出来てそこから保護膜の破壊が起こる等の問題
が生じる。
【0008】ベースの保護膜樹脂に潤滑剤を加えて、粗
さと潤滑性の両方を得る方法も提案されているが(特開
平2−40149号)、樹脂に潤滑剤が溶解しているた
めに、フィラーの上部の実際に磁気ヘッドと摺動する部
分が樹脂で覆われていない場合では潤滑性が得られなか
ったり、フィラーの上部を樹脂で覆うことができた場合
でも、その膜厚が薄すぎてすぐに樹脂膜の破損が起こる
といった問題があった。また、潤滑剤を硬化した後の樹
脂保護膜上に塗布して樹脂保護膜と浮上ヘッドの吸着を
防止する方法も提案されているが、潤滑剤がかえって浮
上ヘッドと光磁気ディスクとの吸着を強化してしまう例
が多く見られる。潤滑剤が浮上ヘッドにより削り取ら
れ、多数回の摺動により効果を発揮しなくなるという問
題もある。以上のような問題により、磁界変調方式に好
適な光磁気ディスクを得ることが困難であった。本発明
は、このような点に鑑みて創案されたもので、磁界変調
記録方式の光磁気ディスクの保護膜として用いて好適な
保護膜の形成方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、基材の
表面に硬化性樹脂を塗布し、次いで、この未硬化の硬化
性樹脂を溶解し得る溶媒を塗布し、溶媒を飛ばすことに
より未硬化の硬化性樹脂の表面に凹凸を形成し、次いで
凹凸表面を有する硬化性樹脂を硬化させることを特徴と
する保護膜形成方法に存する。本発明の方法の具体例を
説明する。
【0010】光磁気ディスクとは、ポリカーボネートや
ポリメチルメタクリレート、ガラス等の基板上に光磁気
記録層、誘電体層、反射層、保護層等を適宜の構成で設
けたもので、記録用磁気ヘッドが光ディスク表面に接触
する方式の場合は、前述のようにヘッドと光ディスク表
面との摩擦が問題となる。本発明の方法は記録用ヘッド
が接触する光ディスクの保護層の表面に微細な凹凸を形
成し、ヘッドとの摩擦を小さくするものである。凹凸の
形成方法の具体的手段は、光ディスク等(基材)の表面
にまず、硬化性樹脂を塗布する。この硬化性樹脂として
は光や熱等の何らかの手段により硬化し得る樹脂であれ
ば良く、例えばアクリル系樹脂にエポキシ樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリビニルアルコー
ル、アルコール可溶性ポリアミド、ポリアクリルエステ
ル等を共存させて架橋させる光(紫外線)硬化性樹脂、
尿素系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、エポ
キシ系樹脂、アルキド系樹脂等の熱硬化性樹脂、メタク
リル酸メチル等の電子線硬化性樹脂等が挙げられる。
【0011】これらの硬化性樹脂は、通常スピンコート
等により基材の表面に塗布すれば良い。通常の方法で
は、塗布後に紫外線や熱を加えて硬化性樹脂を硬化させ
て保護層を形成するが、本発明においては、保護層の表
面に凹凸を形成するための特殊な処理を施す。その処理
とは、未硬化の硬化性樹脂の表面に、この未硬化の硬化
性樹脂を溶解し得る溶媒を塗布し、これを飛ばすことで
ある。溶媒を飛ばすとは、スピンコーター等で溶媒を塗
布した後、スピンさせて溶媒を振り切り、溶媒が乾燥す
る程度まで飛ばした状態を云う。溶媒が飛ばされた(振
り切られた)状態で硬化性樹脂の表面には微細な凹凸が
形成される。この微細な凹凸の形成される理由は完全に
は明らかではないが、以下のような理由が推測される。
【0012】硬化性樹脂組成物の成分のうち、溶媒に対
する溶解速度が速いものほどその樹脂中の存在量に対し
て多くの比率を溶媒中に溶解されてしまう。そこで表面
には、部分的に多くの樹脂が溶解してしまった部分と、
多くの樹脂が溶解せず残っている部分のムラができる。
次いで溶媒をスピンコート法で振り切ったとき、溶媒の
大部分はディスクの表面から外部に振り切られ、ディス
ク上に残された一部も蒸発してしまう。溶媒中に溶解し
た樹脂成分は、その多くが溶媒が振り切られる時に一緒
に振り切られてしまうため、樹脂膜表面には溶解しなか
った部分が分散して残り、凹凸を形成すると考えられ
る。これに紫外線を照射したり、熱を加えたりすること
によって樹脂の凹凸があるままの状態で硬化させること
ができる。また、溶媒と液体潤滑剤の混合物を樹脂膜状
に塗布した場合には、次のようなことも考えられる。
【0013】樹脂を溶解可能な溶媒により、未硬化の樹
脂膜の表面は膨潤して流動し易い状態となる。また上に
述べたような部分的な樹脂の溶解のムラも生じる。スピ
ンコートで溶媒と潤滑剤の混合物を振り切ると、大部分
がディスク表面から外部に振り切られ、一部が表面に残
る。潤滑剤を溶解した溶媒は、樹脂の凹凸により、また
溶媒自身の凝集により、樹脂膜状に分散して存在する。
ここで溶媒が蒸発すると、潤滑剤のみが残り、潤滑剤は
樹脂膜状に分散して存在する。これに紫外線を照射した
り、熱を加えたりすることによって潤滑剤の分散と樹脂
の凹凸を保ったまま硬化させることが出来る。溶媒が蒸
発していく過程で、潤滑剤と表面の流動性を増した未硬
化の樹脂の親和性により、潤滑剤の集合体の周りに樹脂
が集まることがあると考えられる。潤滑剤の集合形態
や、未硬化の樹脂との親和性は潤滑剤の種類(官能基、
粘度等)により異なり、このため表面形状の多様性が生
じるものと考えられる。
【0014】上記の理由は、表面の観察から推測したも
のであり、完全に証明されたものではない。しかし、溶
媒を振り切ると硬化性樹脂の表面に微細な凹凸が形成さ
れる事実は確認している。このようにして形成された微
細な凹凸を有する未硬化の硬化性樹脂に硬化処理、すな
わち紫外線を照射したり、熱を加えたりして硬化させる
と、表面に微細な凹凸が形成された保護膜が形成され
る。上記したように、溶媒中に液体潤滑剤を混入してお
くと、形成された凹凸の凸部上に液体潤滑剤が溜った状
態で付着するような構造となる場合があり、潤滑効果も
良好となる。
【0015】光ディスクの表面保護層として適用した場
合について述べれば、突起が形成された樹脂膜表面に液
体潤滑剤を分散して存在させることにより、光磁気ディ
スク表面と記録用磁気ヘッドとの摩擦係数を小さくする
ことが出来る。突起の高さはヘッドの浮上を妨げないた
めに0.05〜2.0μm程度であることが好ましい。
突起の形状は、ヘッドの引っかかりや削れがないよう、
頂点が丸みを帯びており、望ましい。潤滑剤は、突起部
の上又は突起と突起の間、突起上部の陥穽の内部等に分
散して存在し、その1つの潤滑剤部分の面積は、1個の
突起部の占有面積の0.1倍〜3倍程度であることが好
ましく、潤滑剤部分の深さは突起部の高さ以下であるこ
とが望ましい。また本発明では、磁界変調方式の記録に
おいて高い信頼性をもって使用できる光磁気ディスクと
して、その記録用磁気ヘッドと対向し、場合によっては
磁気ヘッドと接触、摺動する側の最表面をなす樹脂保護
膜が、表面にクレーター状または連続した凸部をなす突
起部が形成されていることを特徴とする光磁気ディスク
を提供する。
【0016】本発明で使用される潤滑剤としては、容易
に手に入り、耐候性に優れ、硬化後の樹脂保護膜に対し
て反応性が低いものが好ましい。また、樹脂保護膜に対
する付着性が記録用磁気ヘッドの表面に対する付着性を
上回っている方が好ましく、特に好ましい例としてはポ
リジメチルシロキサン(シリコーンオイル)及びその変
性物が挙げられる。ポリジメチルシロキサンの変性物と
しては、側鎖または末端をカルビノール変性、エポキシ
変性、アルキル変性したもの等が挙げられ、特に好まし
い例として、片末端をメタアクリル変性したポリジメチ
ルシロキサンが挙げられる。
【0017】更に本発明では、磁界変調方式の記録に用
いられる光磁気ディスクを製造するにあたり、記録用磁
気ヘッドと対向し、場合によっては磁気ヘッドと接触、
摺動する側の最表面をなす樹脂保護膜を形成する際に、
未硬化の樹脂を均一に塗布し、潤滑剤を含有し該樹脂を
溶解可能な溶媒を未硬化の前記樹脂上に塗布し、樹脂を
硬化させる方法を提供する。この方法によれば、樹脂保
護膜の最表面に1つのプロセスで突起形成と潤滑剤の分
散を同時に行うことができる。未硬化の硬化性樹脂を溶
解し得る溶媒としては、実験的に好適なものを選択すれ
ば良いが、スピンコーティング等で振り切った際に乾燥
し易いものが良く、通常はアルコール系の有機溶媒が用
いられる。樹脂としてアクリル系の紫外線硬化樹脂を用
いた場合、溶媒の好ましい一例としては、イソプロピル
アルコール(IPA)が挙げられる。溶媒に対する潤滑
剤の重量比は0.01〜20%が好ましく、特に好まし
い範囲は0.5〜3%である。
【0018】
【実施例】以下に実施例をもって本発明を更に詳細に説
明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の実
施例に限定されるものではない。本明細書及び実施例中
における物性等の測定は以下の装置/方法を使用した。
CSSテストは、スピンドルモーターに光磁ディスクを
取り付け、ABS(エアーベアリングスライダー)の大
きさが5mm×5mmで、レール幅1.9mmの2本の
レールをもつ浮上磁気ヘッドを、ディスクの記録可能範
囲の最内周側(コアの半径位置r=25mm)に配置し
た後、ディスクの最高回転数3600rpmの回転と停
止を1万回繰り返して行い、ディスク表面が損傷する程
度を観察することにより行う。時間は回転数上昇で1
秒、3600rpmで3秒回転、1秒で回転数減少、停
止1秒の計6秒を1セットとして行った。同時に浮上磁
気ヘッドが着地状態から浮上状態になる際、ヘッドが光
磁気ディスクの回転方向に引っ張られる力をロードセル
(ミネベア(株)製UT−100GR)で測定し、表示
される数値より摩擦係数を求めた。これを浮上磁気ヘッ
ドと光磁気ディスク間の摩擦係数とし、一回の回転毎に
測定、記録を行った。
【0019】実施例1〜5 硬化性樹脂として、表1に示す組成の紫外線硬化型組成
物を調製した。ポリカーボネート樹脂基板上にスパッタ
法で窒化シリコンを100nm、Tb21Fe72Co7
40nm、窒化シリコンを30nm、アルミニウムを5
0nmをこの順に形成した直径90mmの光磁気ディス
ク上に、硬化性樹脂として表1の紫外線硬化性樹脂組成
物をスピンコーターで塗布した。振り切り回転数は20
00rpmで、10秒間振り切った。この膜を硬化させ
ずに、下記の5種類のシリコーンオイル(液体潤滑剤)
の1重量%イソプロピルアルコール(IPA)(溶媒)
溶液を該膜の上に載せ、スピンコーターで余分なIPA
を振り切った。紫外線照射によって、該組成物を硬化さ
せ、これを光磁気ディスクの樹脂保護膜とした。
【0020】用いたシリコーンオイルは次の通りであ
る。 実施例1:信越シリコーンX−22−174DX(片末
端メタクリル変性) 実施例2:信越シリコーンX−22−173B(片末端
エポキシ変性) 実施例3:信越シリコーンKF−96(未変性ポリジメ
チルシロキサン) 実施例4:信越シリコーンX−22−170B(片末端
カルビノール変性) 実施例5:信越シリコーンXF−414(側鎖アルキル
変性) これらの樹脂保護膜をもつディスクに、前述の方法でC
SSテストを行った。10000回終了後、光磁気ディ
スク保護膜表面を子細に観察したが、傷等は認められな
かった。また磁気ヘッド摺動部を顕微鏡で観察したとこ
ろ、表面の潤滑剤は10000回摺動後も樹脂保護膜表
面に保持されていた。何れの場合もヘッド浮上時の摩擦
係数は全体を通じて0.1〜0.3で安定しており、磁
気ヘッド表面のCSSテスト終了後の観察でも傷等は発
見されなかった。これらの樹脂保護膜の外観は、均一で
梨地状になっており、これは大気中放置が数ヶ月程度で
は変化しなかった。
【0021】実施例2の保護膜の表面を電子顕微鏡で観
察・定性分析したところ、図1(写真)のように、樹脂
でできた突起と、分散された潤滑剤(白く写っている部
分)からなりたっていることが観察された。図2は、図
1を更に拡大して示す写真であり、突起状の凸部の頂部
に潤滑剤が集まっているのが観察される。図3は同様に
実施例3の保護膜の電子顕微鏡写真であり、図4は図3
の拡大写真である。突起が流れた状態となり、連続した
隆起状となっているのが分かる。
【0022】
【表1】
【0023】実施例6〜8 実施例1〜3と同じ方法で作成した光磁気ディスクの樹
脂保護膜の表面を、紫外線による硬化後にIPAで洗浄
し、潤滑剤を取り除いて樹脂の凹凸のみにした光磁気デ
ィスクでCSSテストを行った。表面から潤滑剤が取り
除かれていることは、顕微鏡観察、電子顕微鏡による観
察・定性分析により確認した。CSSテスト10000
回終了後、樹脂保護膜表面を観察したが何れも傷等は認
められなかった。また、ヘッド浮上時の摩擦係数は、何
れの場合も全体を通じて0.5〜1.0で、潤滑剤のあ
る場合より多少高いものの安定していた。磁気ヘッドの
傷の発生も認められなかった。
【0024】実施例9 実施例1において、溶媒(イソプロピルアルコール)に
液体潤滑剤を混入しなかったこと以外は実施例1と同様
にして保護膜を形成した。保護膜の表面にはなだらかな
丘状の突起が観察された。CSSテストを行ったとこ
ろ、CSSテスト10000回終了後でも保護膜やヘッ
ド表面に傷等は認められなかった。ヘッド浮上時の摩擦
係数は0.5〜1.0であった。
【0025】比較例1〜3 硬化性樹脂を塗布するまでのスパッタ法による膜付けの
条件は、すべて実施例1〜3と同じように行った光磁気
ディスクに、表1に示す組成の紫外線硬化型組成物をス
ピンコート法で塗布した。振り切り回転数は2000r
pmで、10秒間振り切った。この膜に紫外線を照射し
て硬化させた。樹脂保護膜の表面は、目視および顕微鏡
観察、電子顕微鏡観察によっても平滑であった。この樹
脂保護膜上に、実施例1〜3と同一のシリコーンオイル
の1重量%IPA溶液をスピンコート法で塗布した。振
り切り回転数は2000rpmで、10秒間振り切っ
た。IPAは振り切り時および大気中放置時に蒸発して
しまい、表面にはシリコーンオイルのみが残った。塗布
後の外観は、片末端メタクリル変性のものと片末端エポ
キシ変性のものでは微小な油滴が分散して曇ったような
外観であり、未変性のポリジメチルシロキサンでは、べ
たべたした中に内周から外周に向かい数本の筋が観察さ
れた。油滴を分散させた曇ったような外観のものは、大
気中に放置しておくとしだいに油滴同士が凝集してむら
になった。これらにCSSテストを行ったところ、オイ
ルが変性品、未変性品の両方ともヘッドが1回も浮上せ
ずに樹脂保護膜に吸着し、ディスクの回転が不可能とな
った。
【0026】比較例4 硬化性樹脂を塗布するまでのスパッタ法による膜付けの
条件は、すべて実施例と同じように行った光磁気ディス
クに、表1に示す組成の紫外線硬化型組成物に未変性の
ポリジメチルシロキサンを15wt%溶解させたものを
スピンコート法で塗布した。振り切り回転数は2000
rpmで、10秒間振り切った。この膜に紫外線を照射
して硬化させた。樹脂保護膜の表面は、目視および顕微
鏡観察、電子顕微鏡観察によっても平滑であった。この
光磁気ディスクにCSSテストを行った所、最初は摩擦
係数が1〜2で、ヘッドも浮上していた。しかし摩擦係
数はディスクの回転、停止を繰り返すごとに漸増し、3
00回を超えたあたりで急激に減少した。ディスク表面
に観察した所、樹脂保護膜上のヘッド摺動部に傷がつい
ていた。また、浮上磁気ヘッド表面にも、樹脂状のもの
がこすりつけられた痕がみられた。
【0027】
【発明の効果】本発明の方法によれば、硬化性樹脂の表
面に微細で高さの均一な突起が簡単に形成できる。光磁
気ディスクの磁気ヘッドと接触、摺動する側の最表面を
なす樹脂保護膜を、突起部が形成された硬化性樹脂膜又
はその突起の頂部に液体潤滑剤が分散して存在するもの
にすることにより、浮上磁気ヘッドと光磁気ディスク表
面が接触、摺動する場合でも接触面積を小さくして吸着
を防止し、両者の摩擦係数を大幅に小さくして多数回の
ヘッドの摺動にも耐えうる、特に磁界変調記録において
信頼性の高い光磁気ディスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】薄膜の表面の顕微鏡写真。
【図2】図1の薄膜の表面を拡大して示す顕微鏡写真。
【図3】薄膜の表面の顕微鏡写真。
【図4】図3の薄膜の表面を拡大して示す顕微鏡写真。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−111243(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 11/105 G11B 7/26

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面に硬化性樹脂を塗布し、次い
    で、この未硬化の硬化性樹脂を溶解し得る溶媒を塗布
    し、溶媒を飛ばすことにより未硬化の硬化性樹脂の表面
    に凹凸を形成し、次いで凹凸表面を有する硬化性樹脂を
    硬化させることを特徴とする保護膜形成方法。
  2. 【請求項2】 溶媒中に液体潤滑剤を混入することを特
    徴とする請求項1に記載の保護膜形成方法。
  3. 【請求項3】 硬化性樹脂が紫外線硬化性樹脂、液体潤
    滑剤がポリジメチルシロキサンあるいはその変性物であ
    ることを特徴とする請求項に記載の保護膜形成方法
  4. 【請求項4】 基材が光ディスクであることを特徴とす
    る請求項1乃至3のいずれかに記載の保護膜形成方法
  5. 【請求項5】 基材が磁界変調方式の光ディスクである
    ことを特徴とする請求項4に記載の保護膜形成方法
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