JP3478164B2 - かご形回転子及びその製造方法 - Google Patents
かご形回転子及びその製造方法Info
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、かご形回転子の特
に漂遊負荷損の改善に関するものである。
に漂遊負荷損の改善に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】近年、環境の面から各種産業用機器に広
く用いられるかご形誘導電動機においても高効率化、省
エネルギー化の要望が強く、各種損失の改善が急務であ
る。
く用いられるかご形誘導電動機においても高効率化、省
エネルギー化の要望が強く、各種損失の改善が急務であ
る。
【０００３】従来からアルミニウムダイカストによるか
ご形誘導電動機の回転子は、導体と鉄心との間の絶縁が
施されておらず、回転子の渦電流損、漂遊負荷損が発生
して電動機の効率が低下するという問題があり、この対
策として回転子鉄心に、酸化皮膜で絶縁皮膜を形成する
方法や、耐熱塗料で導体バーと鉄心間に絶縁皮膜を得る
方法が提案されている。
ご形誘導電動機の回転子は、導体と鉄心との間の絶縁が
施されておらず、回転子の渦電流損、漂遊負荷損が発生
して電動機の効率が低下するという問題があり、この対
策として回転子鉄心に、酸化皮膜で絶縁皮膜を形成する
方法や、耐熱塗料で導体バーと鉄心間に絶縁皮膜を得る
方法が提案されている。
【０００４】また、当出願人も回転子鉄心にリン酸亜鉛
皮膜と１種類の耐熱塗料で絶縁皮膜を形成する方法を提
案している。
皮膜と１種類の耐熱塗料で絶縁皮膜を形成する方法を提
案している。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先に出
願したリン酸亜鉛皮膜と耐熱塗料処理の方法では耐熱塗
装のスロット表面への密着性が十分でなくアルミダイカ
スト時に絶縁皮膜が損傷を受けて、安定した絶縁性能が
得られなかった。
願したリン酸亜鉛皮膜と耐熱塗料処理の方法では耐熱塗
装のスロット表面への密着性が十分でなくアルミダイカ
スト時に絶縁皮膜が損傷を受けて、安定した絶縁性能が
得られなかった。
【０００６】本発明は上記課題を解決するもので、損失
の少ない安定した高効率のかご形回転子を安価に提供す
ることを目的とする。
の少ない安定した高効率のかご形回転子を安価に提供す
ることを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに本発明は、複数のスロット部を配設したけい素鋼板
を積層した回転子鉄心を脱脂処理する前処理工程と、前
処理工程後に回転子鉄心表面を覆う第一の絶縁皮膜形成
工程と、第一の絶縁皮膜形成後に後述する第三の絶縁皮
膜の密着性を向上させる第二の絶縁皮膜形成後に前記ス
ロット内周部表面を覆う第三の絶縁皮膜形成工程と、第
三の絶縁皮膜形成工程後に回転子鉄心のスロット内周部
と鉄心両端面をアルミニウムで連結して導体バーを形成
するダイカスト工程とからなるかご形回転子である。
めに本発明は、複数のスロット部を配設したけい素鋼板
を積層した回転子鉄心を脱脂処理する前処理工程と、前
処理工程後に回転子鉄心表面を覆う第一の絶縁皮膜形成
工程と、第一の絶縁皮膜形成後に後述する第三の絶縁皮
膜の密着性を向上させる第二の絶縁皮膜形成後に前記ス
ロット内周部表面を覆う第三の絶縁皮膜形成工程と、第
三の絶縁皮膜形成工程後に回転子鉄心のスロット内周部
と鉄心両端面をアルミニウムで連結して導体バーを形成
するダイカスト工程とからなるかご形回転子である。
【０００８】これにより、かご形回転子の漂遊負荷損を
低減できるので、かご形誘導電動機の効率を向上させる
ことができるとともに、安定した効率を得ることができ
る。
低減できるので、かご形誘導電動機の効率を向上させる
ことができるとともに、安定した効率を得ることができ
る。
【０００９】
【発明の実施の形態】上記の課題を解決するために本発
明は、複数のスロット部を配設したけい素鋼板を積層し
た回転子鉄心と、前記回転子鉄心表面に設けた第一の絶
縁皮膜と、前記回転子鉄心スロット部の内周に設けた第
二，第三の絶縁皮膜と、前記回転子鉄心のスロット内周
部と鉄心両端面をアルミニウムで連結した導体バーとを
備え、前記第一の絶縁皮膜がリン酸亜鉛、第二の絶縁皮
膜が無機質顔料５５〜６５重量％を主成分とする耐熱塗
料，第三の絶縁皮膜が特殊シリカ系化合物１０〜１５重
量％，無機質顔料２５〜３０重量％を主成分とする耐熱
塗料であることを特徴としたかご形回転子である。
明は、複数のスロット部を配設したけい素鋼板を積層し
た回転子鉄心と、前記回転子鉄心表面に設けた第一の絶
縁皮膜と、前記回転子鉄心スロット部の内周に設けた第
二，第三の絶縁皮膜と、前記回転子鉄心のスロット内周
部と鉄心両端面をアルミニウムで連結した導体バーとを
備え、前記第一の絶縁皮膜がリン酸亜鉛、第二の絶縁皮
膜が無機質顔料５５〜６５重量％を主成分とする耐熱塗
料，第三の絶縁皮膜が特殊シリカ系化合物１０〜１５重
量％，無機質顔料２５〜３０重量％を主成分とする耐熱
塗料であることを特徴としたかご形回転子である。
【００１０】 また複数のスロット部を配設したけい素
鋼板を積層した回転子鉄心を脱脂処理する前処理工程
と、前処理工程後に回転子鉄心表面をリン酸亜鉛皮膜で
覆う第一の絶縁皮膜形成工程と、第一の絶縁皮膜形成後
に前記スロット内周部表面を覆い無機質顔料５５〜６５
重量％を主成分とする耐熱塗料をアルコール系混合溶剤
で希釈して塗布または浸漬後、溶剤を揮発させるため自
然乾燥させる第二の絶縁皮膜形成工程と、第二の絶縁皮
膜形成後に前記スロット内周部表面を特殊シリカ系化合
物１０〜１５重量％，無機質顔料２５〜３０重量％を主
成分とする耐熱塗料で覆い高温で硬化させる第三の絶縁
皮膜形成工程と、第三の絶縁皮膜形成工程後に回転子鉄
心のスロット内周部と鉄心両端面をアルミニウムで連結
して導体バーを形成するダイカスト工程とからなるかご
形回転子の製造方法である。
鋼板を積層した回転子鉄心を脱脂処理する前処理工程
と、前処理工程後に回転子鉄心表面をリン酸亜鉛皮膜で
覆う第一の絶縁皮膜形成工程と、第一の絶縁皮膜形成後
に前記スロット内周部表面を覆い無機質顔料５５〜６５
重量％を主成分とする耐熱塗料をアルコール系混合溶剤
で希釈して塗布または浸漬後、溶剤を揮発させるため自
然乾燥させる第二の絶縁皮膜形成工程と、第二の絶縁皮
膜形成後に前記スロット内周部表面を特殊シリカ系化合
物１０〜１５重量％，無機質顔料２５〜３０重量％を主
成分とする耐熱塗料で覆い高温で硬化させる第三の絶縁
皮膜形成工程と、第三の絶縁皮膜形成工程後に回転子鉄
心のスロット内周部と鉄心両端面をアルミニウムで連結
して導体バーを形成するダイカスト工程とからなるかご
形回転子の製造方法である。
【００１１】
【００１２】このように、かご形回転子鉄心と導体バー
の間に良好な絶縁皮膜を得られるので、このかご形回転
子を用いた誘導電動機の漂遊負荷損を低減できる。
の間に良好な絶縁皮膜を得られるので、このかご形回転
子を用いた誘導電動機の漂遊負荷損を低減できる。
【００１３】また回転子鉄心の全体に脱脂処理と第一の
絶縁皮膜を形成後、さらにスロット内周部に第二，第三
の耐熱塗料で絶縁皮膜を形成したものでアルミダイカス
トの高温に耐える絶縁皮膜を得ることができる。
絶縁皮膜を形成後、さらにスロット内周部に第二，第三
の耐熱塗料で絶縁皮膜を形成したものでアルミダイカス
トの高温に耐える絶縁皮膜を得ることができる。
【００１４】さらに、弱アルカリ性粉末で脱脂処理後、
第一の絶縁皮膜及び第三の絶縁皮膜となじみの良い耐熱
塗料を第二の絶縁皮膜にすることで、密着性と耐熱性の
良好な絶縁皮膜を得ることができる。
第一の絶縁皮膜及び第三の絶縁皮膜となじみの良い耐熱
塗料を第二の絶縁皮膜にすることで、密着性と耐熱性の
良好な絶縁皮膜を得ることができる。
【００１５】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
て説明する。
【００１６】図１，２において、回転子鉄心１は、複数
のスロット部２を外周部に配設したけい素鋼板を積層し
た後、回転子鉄心１全体を弱アルカリ性粉末脱脂剤で脱
脂処理する。次に、脱脂処理した回転子鉄心１の表面に
リン酸亜鉛で第一の絶縁皮膜３を形成する。次に、第一
の絶縁皮膜３を形成した回転子鉄心１のスロット部２以
外をマスキングして覆い、スロット部２だけに第二の絶
縁皮膜４を形成する。
のスロット部２を外周部に配設したけい素鋼板を積層し
た後、回転子鉄心１全体を弱アルカリ性粉末脱脂剤で脱
脂処理する。次に、脱脂処理した回転子鉄心１の表面に
リン酸亜鉛で第一の絶縁皮膜３を形成する。次に、第一
の絶縁皮膜３を形成した回転子鉄心１のスロット部２以
外をマスキングして覆い、スロット部２だけに第二の絶
縁皮膜４を形成する。
【００１７】この第一の絶縁皮膜３は、回転子鉄心１の
特に破断面に対して第二の絶縁皮膜４に対しての密着性
を向上させるものである。
特に破断面に対して第二の絶縁皮膜４に対しての密着性
を向上させるものである。
【００１８】また、第二の絶縁皮膜４は、無機質顔料５
５〜６５重量％を主成分とする合成樹脂塗料を混練し、
アルコール系混合溶剤で希釈した耐熱塗料を用いて塗布
または浸漬後、溶剤を揮発させるため約１５分間自然乾
燥させて得る。
５〜６５重量％を主成分とする合成樹脂塗料を混練し、
アルコール系混合溶剤で希釈した耐熱塗料を用いて塗布
または浸漬後、溶剤を揮発させるため約１５分間自然乾
燥させて得る。
【００１９】この第二の絶縁皮膜４は、無機質顔料を含
み適度な厚みと表面粗度を有しており、第一の絶縁皮膜
３と第三の絶縁皮膜５の双方に対して密着性を向上させ
ることができると考えられる。
み適度な厚みと表面粗度を有しており、第一の絶縁皮膜
３と第三の絶縁皮膜５の双方に対して密着性を向上させ
ることができると考えられる。
【００２０】さらに第三の絶縁皮膜５は、特殊シリカ系
化合物１０〜１５重量％，無機質顔料２５〜３０重量％
を主成分とする合成樹脂塗料を混練し、アルコール系混
合溶剤で希釈した耐熱塗料を用いて塗布または浸漬後、
溶剤を揮発させるため自然乾燥させ、さらに１６０℃２
０分で硬化させることで得られる。
化合物１０〜１５重量％，無機質顔料２５〜３０重量％
を主成分とする合成樹脂塗料を混練し、アルコール系混
合溶剤で希釈した耐熱塗料を用いて塗布または浸漬後、
溶剤を揮発させるため自然乾燥させ、さらに１６０℃２
０分で硬化させることで得られる。
【００２１】この結果、全体で２０μｍ程度の薄くて剥
離しにくい絶縁皮膜を得ることができる。
離しにくい絶縁皮膜を得ることができる。
【００２２】後は通常のアルミダイカスト工程と同じ
で、第三の絶縁皮膜５を設けた回転子鉄心をダイカスト
マシーンにセットし温度７２０℃の溶融アルミニュウム
を鋳込むことにより導体バー６を形成してかご形回転子
が得られる。
で、第三の絶縁皮膜５を設けた回転子鉄心をダイカスト
マシーンにセットし温度７２０℃の溶融アルミニュウム
を鋳込むことにより導体バー６を形成してかご形回転子
が得られる。
【００２３】このようにして得られたかご形回転子は、
導体バー６と回転子鉄心１間に良好な３つの絶縁層を有
することとなり、かご形誘導電動機に組み込んだとき、
回転子の漂遊負荷損を低減させ、電動機の効率を向上さ
せることができるとともに安定した効率を得ることがで
きる。
導体バー６と回転子鉄心１間に良好な３つの絶縁層を有
することとなり、かご形誘導電動機に組み込んだとき、
回転子の漂遊負荷損を低減させ、電動機の効率を向上さ
せることができるとともに安定した効率を得ることがで
きる。
【００２４】実験では、１．５ｋＷのかご形誘導電動機
を用いて、先に出願したリン酸亜鉛皮膜と１種類の耐熱
塗料で絶縁皮膜を得る方法と、本発明のかご形回転子を
それぞれ組込み特性試験を行った結果、本発明のかご形
回転子を組み込んだものは、先に出願したものに比べ効
率のバラツキが１％から０．５％に低減できる。
を用いて、先に出願したリン酸亜鉛皮膜と１種類の耐熱
塗料で絶縁皮膜を得る方法と、本発明のかご形回転子を
それぞれ組込み特性試験を行った結果、本発明のかご形
回転子を組み込んだものは、先に出願したものに比べ効
率のバラツキが１％から０．５％に低減できる。
【００２５】
【発明の効果】上記の実施例から明らかなように、本発
明によれば導体バーと回転子鉄心間に薄くて剥離しにく
い安定した絶縁層を備えたかご形回転子が得られる。
明によれば導体バーと回転子鉄心間に薄くて剥離しにく
い安定した絶縁層を備えたかご形回転子が得られる。
【００２６】このかご形回転子を用いれば、従来のかご
形誘導電動機に比べて漂遊負荷損失を低減できるので、
効率向上させることができるとともに安定した効率を得
ることができる。
形誘導電動機に比べて漂遊負荷損失を低減できるので、
効率向上させることができるとともに安定した効率を得
ることができる。
【図１】本発明の実施例におけるかご形回転子の断面図
【図２】本発明の実施例における回転子鉄心の部分断面
図
図
１ 回転子鉄心
２ スロット部
３ 第一の絶縁皮膜
４ 第二の絶縁皮膜
５ 第三の絶縁皮膜
６ 導体バー
Claims (2)
- 【請求項１】 複数のスロット部を配設したけい素鋼板
を積層した回転子鉄心と、前記回転子鉄心表面に設けた
第一の絶縁皮膜と、前記回転子鉄心スロット部の内周に
設けた第二，第三の絶縁皮膜と、前記回転子鉄心のスロ
ット内周部と鉄心両端面をアルミニウムで連結した導体
バーとを備え、前記第一の絶縁皮膜がリン酸亜鉛、第二
の絶縁皮膜が無機質顔料５５〜６５重量％を主成分とす
る耐熱塗料，第三の絶縁皮膜が特殊シリカ系化合物１０
〜１５重量％，無機質顔料２５〜３０重量％を主成分と
する耐熱塗料であることを特徴としたかご形回転子。 - 【請求項２】 複数のスロット部を配設したけい素鋼板
を積層した回転子鉄心を脱脂処理する前処理工程と、前
処理工程後に回転子鉄心表面をリン酸亜鉛皮膜で覆う第
一の絶縁皮膜形成工程と、第一の絶縁皮膜形成後に前記
スロット内周部表面を覆い無機質顔料５５〜６５重量％
を主成分とする耐熱塗料をアルコール系混合溶剤で希釈
して塗布または浸漬後、溶剤を揮発させるため自然乾燥
させる第二の絶縁皮膜形成工程と、第二の絶縁皮膜形成
後に前記スロット内周部表面を特殊シリカ系化合物１０
〜１５重量％，無機質顔料２５〜３０重量％を主成分と
する耐熱塗料で覆い高温で硬化させる第三の絶縁皮膜形
成工程と、第三の絶縁皮膜形成工程後に回転子鉄心のス
ロット内周部と鉄心両端面をアルミニウムで連結して導
体バーを形成するダイカスト工程とからなるかご形回転
子の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10105399A JP3478164B2 (ja) | 1999-04-08 | 1999-04-08 | かご形回転子及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10105399A JP3478164B2 (ja) | 1999-04-08 | 1999-04-08 | かご形回転子及びその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000295825A JP2000295825A (ja) | 2000-10-20 |
| JP3478164B2 true JP3478164B2 (ja) | 2003-12-15 |
Family
ID=14290386
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10105399A Expired - Fee Related JP3478164B2 (ja) | 1999-04-08 | 1999-04-08 | かご形回転子及びその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3478164B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN113328585A (zh) * | 2021-06-15 | 2021-08-31 | 苏州精力电气有限公司 | 一种可降低杂散损耗的铸铝转子制备工艺 |
-
1999
- 1999-04-08 JP JP10105399A patent/JP3478164B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN113328585A (zh) * | 2021-06-15 | 2021-08-31 | 苏州精力电气有限公司 | 一种可降低杂散损耗的铸铝转子制备工艺 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2000295825A (ja) | 2000-10-20 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |