JP3476243B2 - エポキシ樹脂用硬化剤及びそれを用いた熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂用硬化剤及びそれを用いた熱硬化性樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エポキシ樹脂用硬化剤
に関し、さらに詳しくは、エポキシ樹脂の硬化に有利に
用いることができるビスシアノグアニジン型及びシアノ
グアニジン型のエポキシ樹脂用硬化剤、及びそれを用い
た熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】シアノグアニジン(ジシアンジアミドと
も称される)は、エポキシ樹脂用硬化剤として周知であ
り、また置換シアノグアニジンもエポキシ樹脂用硬化剤
として有用であることが国際出願公開WO92/017
26号(特許出願公表、平5−508678号)に開示
されている。上記特許出願公表、平5−508678号
に記載の発明は、シアノグアニジンの溶解性を改善する
ために特定の置換基を導入することを提案しており、す
なわち、各種有機溶剤に可溶な置換シアノグアニジン化
合物を提供することを目的としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、各種有
機溶剤に対する溶解性を有する置換シアノグアニジン化
合物は、一般に、液状エポキシ化合物あるいはエポキシ
化合物の溶液にも溶解性を有するので、常温でエポキシ
化合物と反応し易くなる。その結果、これをエポキシ化
合物と共に含有する熱硬化性樹脂組成物は、いわゆるポ
ットライフが短くなり、潜在硬化性に劣ったものとな
る。従って、本発明の目的は、各種有機溶剤に対して難
溶性であり、しかも常温付近の低温ではエポキシ化合物
と反応しないが、熱を加えることによって速やかに反応
する、いわゆる熱潜在反応性を有するエポキシ樹脂用硬
化剤を提供することにある。さらに本発明の目的は、常
温付近の低温では安定であるが、高温においては短時間
に硬化する、いわゆる潜在硬化性に優れ、しかもポット
ライフが長い熱硬化性樹脂組成物を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明によれば、下記化5の一般式(1)で表され
るエポキシ樹脂用硬化剤が提供される。
【化5】
【0005】 なお、上記一般式(1)中、Rは下記化
6で示される(1)〜(33)の置換基よりなる群から
選ばれた置換基である。
【化学式6】 また本発明によれば、エポキシ化合物と、上記一般式
(1)で表されるエポキシ樹脂用硬化剤を含有すること
を特徴とする熱硬化性樹脂組成物が提供される。
【0006】
【発明の作用及び態様】前記したように、特許出願公
表、平5−508678号に記載の発明は、シアノグア
ニジンの溶解性を改善するために特定の置換基を導入す
ることを提案している。本発明は、このような従来のア
プローチとは全く異なり、むしろシアノグアニジンに特
定の置換基を導入することによって得られるシアノグア
ニジン誘導体を難溶性にし、熱潜在反応性を改善すると
共に、特定の置換基(官能基)の特性を発現させようと
するものである。
【0007】 前記一般式(1)で表される本発明に係
るシアノグアニジン誘導体のうち、置換基Rが(1)〜
19)の化合物はビスシアノグアニジン型の誘導体で
あり、両末端に2個のシアノグアニジル基を有し、従っ
て該シアノグアニジル基の窒素原子に結合している6個
の活性水素を有する。その結果、理論的には6個のエポ
キシ基と反応することができる。また、置換基Rが(
)〜(33)の化合物はアミン系の置換基が導入され
たシアノグアニジン誘導体であり、塩基性が著しく高
く、エポキシ化合物との反応性に富んでいる。それにも
拘らず、これらのシアノグアニジン誘導体は、一般に各
種有機溶剤や液状エポキシ化合物あるいはエポキシ化合
物の溶液に難溶性であり、常温ではエポキシ基と反応し
ないが、熱を加えることによってエポキシ基と反応する
性質を有し、従って熱潜在反応性のエポキシ樹脂用硬化
剤として特に有利に用いることができる。
【0008】また、このような特性を有する本発明のシ
アノグアニジン誘導体をエポキシ化合物と共に組成する
ことにより、常温付近の低温では安定であるが、高温に
おいては短時間に硬化する、いわゆる潜在硬化性に優
れ、しかもポットライフが長い熱硬化性樹脂組成物が得
られる。しかも、該熱硬化性樹脂組成物は、シアノグア
ニジン誘導体の導入した置換基に応じて、比較的に柔ら
かい硬化物から硬い硬化物まで所望のエポキシ樹脂硬化
物を製造することができる。
【0009】本発明に係るシアノグアニジン誘導体は、
ローズ(F.L.Rose)及びスエイン(G.Swa
in)の方法(前掲J.Chem.Soc.、1956
年、第4422〜4425頁)や特開昭64−7184
6号に記載の方法を利用して有利に製造することができ
る。すなわち、アルカリジシアナミド、例えばナトリウ
ムジシアナミドと、置換基Rを有するアミン化合物の
塩、好ましくはその塩酸塩を適当な溶媒中で還流下に加
熱しながら反応させると、下記化7の反応式(2)に従
って目的とするシアノグアニジン誘導体が生成する。
【化7】
【0010】 一方、前記一般式(1)で表される本発
明に係るシアノグアニジン誘導体のうち、置換基Rが
(1)〜(19)のビスシアノグアニジン型のシアノグ
アニジン誘導体の合成は、好適には下記化8の反応式
(3)に従って行われる。 すなわち、アルカリジシアナミド、例えばナトリウムジ
シアナミドと、置換基Rを有するジアミン化合物の
塩、好ましくはその2塩酸塩を適当な溶媒中で還流下に
加熱しながら反応させると、反応式(3)に従って目的
とするビスシアノグアニジン型の誘導体が生成する。
【化学式8】 なお、上記反応式(3)において、置換基Rは置換基
Rからシアノグアニジル基を除いた残基を意味する。
【0011】前記いずれの反応においても、各反応体は
ほぼ化学量論的割合で溶媒中に添加すれば良い。反応溶
媒としては、水や、ブタノール、プロパノール、エタノ
ール等炭素数1〜6、好ましくは炭素数3〜5のアルコ
ール、特に好ましくはn−ブタノール、またはこれらの
水との混合液を用いることができる。また、ジメチルホ
ルムアミド、スルホラン等の中性溶剤を用いることもで
きる。溶媒として水を用いる場合には、触媒量の塩基の
存在によって反応を促進することができる。塩基として
は、脂肪族もしくは環式脂肪族アミン、N−複素環式塩
基など、例えばトリエチルアミン、N−メチルモルホリ
ン、ピリジンなどを用いることができる。また、反応混
合物の反応開始時のpHはアルカリ側、好ましくは8〜
10に調整することが収率の点で望ましく、このpH調
整は反応混合物中への塩基の添加量によって行うことが
できる。
【0012】反応は、約75℃〜170℃、好ましくは
約90℃〜160℃で加熱還流下に、一般に攪拌しなが
ら、反応温度に応じて3〜16時間、好ましくは6〜1
0時間行う。反応終了後、必要に応じて溶剤を留去した
後、水または水/アルコール混合液を添加してアルカリ
塩(NaCl)を洗浄すると共に生成物を晶出させる。
反応生成物を塩含有液相から濾別した後、固形物を乾燥
して最終製品を得る。乾燥は、好ましくは真空中で加熱
して行う。
【0013】 前記一般式(1)で表される本発明に係
るシアノグアニジン誘導体のうち、置換基Rが(2)の
シアノグアニジル基である1,1−ビス(3−シアノグ
アニジン)、及び置換基Rが(15)の3,9−ビス
(3−シアノグアニジノプロピル)−2,4,8,10
−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンは新規物質
であるので、これらを例に挙げて本発明に係るシアノグ
アニジン誘導体の合成例を具体的に示す。 合成例1 (1,1−ビス(3−シアノグアニジン)の合成) ナトリウムジシアナミドとヒドラジン・2塩酸塩とを反
応させると、下記化9の反応式(4)に従って目的とす
る1,1−ビス(3−シアノグアニジン)が生成する。
【化学式9】 合成は、具体的には以下の手順に従って行った。
【0014】ジムロート冷却管を取り付けた100ml
ナス形フラスコにナトリウムジシアナミド(アルドリッ
チ社製)8.90g(0.10モル)、ヒドラジン2塩
酸塩5.25g(0.05モル)、水50mlおよびト
リエチルアミン0.02gを加え、オイルバス中、加熱
還流条件下マグネチックスターラーでかきまぜながら5
時間反応させた。反応終了後ただちにエバポレーターに
より反応溶媒を減圧留去した。残留物に水/メタノール
(混合比2.5/1.5)を加え、よくかきまぜたの
ち、ガラスフィルターを用いて濾別し、固形分を加熱真
空乾燥機中80℃で8時間乾燥した。淡赤色の1,1−
ビス(3−シアノグアニジン)3.9g(収率47.7
%)を得た。
【0015】得られた生成物1,1−ビス(3−シアノ
グアニジン)(以下、2CGと略記する)についてフー
リエ変換赤外分光光度計FT−IRを用いて測定したI
Rスペクトルを図1に示す。同図から明らかなように、
2CGのシアノグアニジル基のC−N伸縮運動によるピ
ークが波数1250cm-1のところに、C=Nによるそ
れが波数1651cm-1のところに、またC≡Nによる
それが波数2190cm-1のところに現れている。ま
た、2CGの 1H−NMRスペクトル(溶媒DMSO
(ジメチルスルホキシド)、内部標準TMS(テトラメ
チルシラン))を図2に示す。なお、図2には各ピーク
のプロトン積分比を示す曲線も併せて示した。
【0016】合成例2 (3,9−ビス(3−シアノグアニジノプロピル)−
2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウン
デカンの合成)ナトリウムジシアナミドと3,9−ビス
(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオ
キサスピロ[5.5]ウンデカン・2塩酸塩とを反応さ
せると、下記化10の反応式(5)に従って目的とする
3,9−ビス(3−シアノグアニジノプロピル)−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカ
ンが生成する。
【化10】 合成は、具体的には以下の手順に従って行った。
【0017】ジムロート冷却管を取り付けた50mlナ
ス形フラスコにナトリウムジシアナミド0.89g
(0.01モル)、3,9−ビス(3−アミノプロピ
ル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.
5]ウンデカン・2塩酸塩1.74g(0.005モ
ル)、及びn−ブタノール10mlを加え、オイルバス
中、加熱還流条件下マグネチックスターラーでかきまぜ
ながら8時間反応させた。上記合成例1と同じ方法で後
処理し、3,9−ビス(3−シアノグアニジノプロピ
ル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.
5]ウンデカンを1.99g(収率97.5%)得た。
【0018】得られた生成物3,9−ビス(3−シアノ
グアニジノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキ
サスピロ[5.5]ウンデカン(以下、ATU2CGと
略記する)についてフーリエ変換赤外分光光度計FT−
IRを用いて測定したIRスペクトルを図3に示す。同
図から明らかなように、ATU2CGのシアノグアニジ
ル基のC=N伸縮運動によるピークが波数1656cm
-1のところに、C≡Nによるそれが波数2176cm-1
のところに現れている。また、ATU2CGの 1H−N
MRスペクトル(溶媒DMSO(ジメチルスルホキシ
ド)、内部標準TMS(テトラメチルシラン))を図4
に示す。なお、図4には各ピークのプロトン積分比を示
す曲線も併せて示した。図中、各符号(1)〜(8)は
ATU2CGの炭素に結合している各水素の符号を示し
ている。
【0019】本発明の熱硬化性樹脂組成物に前記シアノ
グアニジン誘導体と共に用いられるエポキシ化合物とし
ては、1分子中に少なくとも1個のエポキシ基、好まし
くは2個以上のエポキシ基を有する公知のエポキシ化合
物(エポキシオリゴマーを含む)を用いることができ
る。代表的なものを挙げると、グリシジルエーテル系エ
ポキシ樹脂、例えばビスフェノールAとエピクロルヒド
リンとをアルカリ存在下に反応させて得られるビスフェ
ノールA系エポキシ樹脂や、ビスフェノールAとホルマ
リンを縮合反応した樹脂のエポキシ化物、ビスフェノー
ルAの代わりにブロム化ビスフェノールAを用いたもの
がある。また、ノボラック樹脂にエピクロルヒドリンを
反応させて、グリシジルエーテル化したノボラック型エ
ポキシ樹脂、例えばフェノールノボラック型、オルソク
レゾールノボラック型、パラターシャリブチルフェノー
ルノボラック型等のエポキシ樹脂等がある。また、ビス
フェノールFやビスフェノールSにエピクロルヒドリン
を反応させて得られるビスフェノールF系エポキシ樹
脂、ビスフェノールS系エポキシ樹脂等がある。さら
に、シクロヘキセンオキサイド基、トリシクロデセンオ
キサイド基、シクロペンテンオキサイド基を有する環式
脂肪族エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、
テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒ
ドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p
−オキシ安息香酸、ダイマー酸グリシジルエステル等の
グリシジルエステル樹脂、テトラグリシジルジアミノジ
フェニルメタン、トリグリシジルーpーアミノフェノー
ル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、
テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、ジグリシジ
ルトリブロムアニリン、テトラグリシジルビスアミノメ
チルシクロヘキサン等のグリシジルアミン系樹脂、ヒダ
ントイン環をグリシジル化したヒダントイン型エポキシ
樹脂、トリアジン環を有するトリグリシジルイソシアヌ
レート等がある。これらは単独で用いても、また2種以
上を併用してもよい。
【0020】本発明の熱硬化性樹脂組成物には、必要に
応じて有機溶剤を用いることができる。代表的な有機溶
剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等の
ケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、セ
ロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビ
トール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、酢酸
エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセ
ロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチル
カルビトールアセテート等の酢酸エステル類などがあ
り、これらは一種または二種以上の混合物として用いる
ことができる。
【0021】本発明の熱硬化性樹脂組成物には、さらに
必要に応じて、シアノグアニジン誘導体とエポキシ樹脂
との反応を促進するために公知・慣用のエポキシ硬化触
媒を用いることができ、例えば、イミダゾール、2−メ
チルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチ
ル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾー
ル、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2
−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−
2−エチル−4−メチルイミダソール等のイミダゾール
誘導体、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグア
ナミン類、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルア
ミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキ
シ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−
N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物など
が挙げられる。
【0022】さらに本発明の熱硬化性樹脂組成物には、
所望の物性に応じて硫酸バリウム、硫化珪素、タルク、
クレー、炭酸カルシウム、シリカ、ベントナイト、カオ
リン、ガラス繊維、炭素繊維、雲母、石綿、金属粉等の
公知・慣用の充填剤、フタロシアニンブルー、フタロシ
アニングリーン、酸化チタン、カーボンブラック等の公
知・慣用の着色用顔料、消泡剤、密着性付与剤またはレ
ベリング剤などの各種添加剤、あるいはハイドロキノ
ン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロー
ル、t−ブチルカテコール、フェノチアジン等の公知・
慣用の重合禁止剤などを添加してもよい。
【0023】本発明に係る熱硬化性樹脂組成物の硬化反
応は、約100〜250℃において起こり、液状又は溶
融液形態のエポキシ化合物が、不溶、不融の固体三次元
架橋生成物に変換され、一般に皮膜、フィルム又は接着
剤層のようなシート状構造の硬化物が得られるが、同時
に成形を行えば注型品、プレス成形品、積層品等の成形
品が得られる。また、硬化は所望によっては硬化反応途
中で反応を一旦停止する二段階過程で実施することもで
き、その際まだ可融性及び可溶性の硬化性予備縮合物
(いわゆるB−段階)が得られる。このような予備縮合
物は、より長期間貯蔵することができ、例えばプリプレ
グの製造、圧縮成形組成物、燒結用粉末等の製造に供す
ることができる。
【0024】また、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物
は、表面保護技術、積層技術等の各種技術分野及び電気
工業、建築工業等の各種産業分野で有利に用いることが
できる。例えば、接着剤、プリント配線板等の保護コー
ティングや絶縁樹脂ワニス、ペイント、ラッカー、圧縮
成形用樹脂組成物、注型用樹脂組成物、射出成形用配合
物、含浸用樹脂組成物、積層用樹脂組成物、封止及び充
填用樹脂組成物、床仕上用樹脂組成物などとして用いる
ことができる。
【0025】
【実施例】以下、実施例を示して本発明についてさらに
具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定される
ものでないことはもとよりである。なお、以下の実施例
で用いたシアノグアニジン誘導体の略号は次のとおりで
ある。 ATU2CG:一般式(1)における置換基Rが(
)の3,9−ビス(3−シアノグアニジノプロピル)
−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウ
ンデカン 2CG:一般式(1)における置換基Rが(2)の1,
1−ビス(3−シアノグアニジン) Ph2CG:一般式(1)における置換基Rが()の
1,4−ビス(3−シアノグアニジノ)ベンゼン DDM2CG:一般式(1)における置換基Rが(
の4,4´−ビス(3−シアノグアニジル)ジフェニル
メタン HM2CG:一般式(1)における置換基Rが(1)
(n=6)の1,6−ジ(N−シアノ−N−グアニ
ジノ)ヘキサン
【0026】実施例1 シアノグアニジン誘導体のエポキシ樹脂に対する反応性
を示差走査熱量分析(DSC)装置を用いて測定した。
エポキシ樹脂として、エピコート828(油化シェル社
製、エポキシ当量190)を用い、エポキシ基1モルに
対して硬化触媒としてシアノグアニジン誘導体のアミノ
基の水素が0.40モルとなるように配合し、乳鉢で混
合後、DSC用のアルミニウム容器に約10mg取り、
精秤して試料とした。装置はセイコー電子工業社製SS
C5200型示差走査熱量分析装置を用い、昇温速度は
5℃/分で空気中で測定した。結果を表1に示す。いず
れのシアノグアニジン誘導体においても、硬化反応に起
因する顕著な発熱ピークが確認された。また、加熱後の
セル内からいずれも褐色の硬化物が得られた。
【表1】
【0027】実施例2 シアノグアニジン誘導体の各種有機溶剤に対する溶解度
を調べた。50mlの共栓付き三角フラスコに有機溶剤
10mlを取り、シアノグアニジン誘導体を所定量加え
25℃で30分間攪拌後、濾過した。濾液中の溶解物
は、溶剤を蒸発、乾燥させ、その重量を求めて溶解度を
算出した。結果を表2に示す。
【表2】 表2から明らかなように、本発明に係るシアノグアニジ
ン誘導体は各種有機溶剤に難溶である。
【0028】実施例3 ATU2CG 0.18gとエピコート828 0.5
0gを乳鉢で混合し、8mm厚の銅板(14×60m
m)に100μmの厚みに塗布して試料とした。これを
210℃の炉で66分間加熱し、硬化させた。得られた
硬化物の特性を、オリエンテック社製剛体振り子型粘弾
性測定器(レオバイブロン)DDV−OPAIII 型を用
いて、ナイフエッジ型振り子(R=0.3mm)を用
い、昇温速度30℃/分で室温から250℃まで昇温さ
せて測定した。
【0029】実施例4 2CG 0.07gとエピコート828 0.50gを
用い、実施例3と同様の方法で実験し、硬化物の物性を
測定した。
【0030】実施例5 Ph2CG 0.11gとエピコート828 0.50
gを用い、実施例3と同様の方法で実験し、硬化物の物
性を測定した。
【0031】実施例6 DDM2CG 0.15gとエピコート828 0.5
0gを用い、実施例3と同様の方法で実験し、硬化物の
物性を測定した。上記実施例3〜6で得られた硬化物の
物性を表3に示す。
【表3】
【0032】なお、表3に示す対数減衰率(Δ)とは、
図5及び図6に示すように剛体振り子1を塗料2を塗布
した基板3に載せ、基板3を支持しているヒートブロッ
ク4を加熱しながら振り子1の振動変化を測定し、得ら
れた図7に示すような振り子の振動変化に基づいて、下
記化11に示す式(6)によって求めたものである。振
り子1の尖端1aは、塗膜2中に貫入して基板面に達
し、振動の支点となる。
【化11】 対数減衰率は、値が大きい程硬化物が軟質であることを
示している。従って実施例3〜6中ではATU2CGに
よる硬化物が最も軟質であり、置換基の可とう性に起因
する効果が硬化物に発現したためと考えられる。Ph2
CGおよびDDM2CGでは剛直な芳香族環の効果がは
っきりと現れている。因みにシアノグアニジン(略号C
G)の場合、ガラス転移点Tg166℃、対数減衰率
0.13である。2CGの場合、CGと比較してもかな
り硬質の硬化物を与えた。これは架橋点が多くなったた
めと考えられる。
【0033】実施例7 エポキシ樹脂(前掲エピコート828)のエポキシ基1
モルに対して活性水素当量が1モルとなるように各種シ
アノグアニジン誘導体を配合した組成物の経時粘度変化
を下記表4に示す。
【表4】 上記表4から明らかなように、特にHM2CG及びPh
2CGの場合、経時的に安定であることがわかる。
【0034】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、各種用
途に有用なエポキシ樹脂用硬化剤が提供される。本発明
に係るエポキシ樹脂用硬化剤としてのシアノグアニジン
誘導体は、エポキシ化合物との反応性に富んでいるにも
拘らず、一般に各種有機溶剤や液状エポキシ化合物ある
いはエポキシ化合物の溶液に難溶性であり、常温ではエ
ポキシ基と反応しないが、熱を加えることによってエポ
キシ基と反応する性質を有し、従って熱潜在反応性のエ
ポキシ樹脂用硬化剤として特に有利に用いることができ
る。また、このような特性を有するシアノグアニジン誘
導体をエポキシ化合物と共に組成した本発明に係る熱硬
化性樹脂組成物は、常温付近の低温では安定であるが、
高温においては短時間に硬化する、いわゆる潜在硬化性
に優れ、しかもポットライフが長いという利点が得られ
る。しかも、該熱硬化性樹脂組成物は、シアノグアニジ
ン誘導体の導入した置換基に応じて、比較的に柔らかい
硬化物から硬い硬化物まで所望のエポキシ樹脂硬化物を
製造することができ、表面保護技術、積層技術等の各種
技術分野及び電気工業、建築工業等の各種産業分野で、
例えば、接着剤、プリント配線板等の保護コーティング
や絶縁樹脂ワニス、ペイント、ラッカー、圧縮成形用樹
脂組成物、注型用樹脂組成物、射出成形用配合物、含浸
用樹脂組成物、積層用樹脂組成物、封止及び充填用樹脂
組成物、床仕上用樹脂組成物などとして有利に用いるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1で得られた1,1−ビス(3−シアノ
グアニジン)のIRスペクトル図である。
【図2】合成例1で得られた1,1−ビス(3−シアノ
グアニジン)の 1H−NMRスペクトル図である。
【図3】合成例2で得られた3,9−ビス(3−シアノ
グアニジノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキ
サスピロ[5.5]ウンデカンのIRスペクトル図であ
る。
【図4】合成例2で得られた3,9−ビス(3−シアノ
グアニジノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキ
サスピロ[5.5]ウンデカンの 1H−NMRスペクト
ル図である。
【図5】実施例3〜6における対数減衰率測定の基本概
念を示す概略図である。
【図6】図5に示す装置による硬化物の対数減衰率測定
時の状態を示す部分断面図である。
【図7】実施例3〜6における対数減衰率測定の際の振
り子の振動変化を示す概略図である。
【符号の説明】
1 振り子、1a 振り子の尖端、2 塗膜、3 基
板、4 ヒートブロック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 59/40 C07D 279/28 C07D 493/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1の一般式(1)で表されるエポ
    キシ樹脂用硬化剤。 【化1】 (但し、上記式(1)中、Rは下記化2で示される群か
    ら選ばれた置換基である。) 【化2】
  2. 【請求項2】 エポキシ化合物と、下記化3の一般式
    (1) 【化3】 (但し、上記式(1)中、Rは下記化4で示される群か
    ら選ばれた置換基である。) 【化4】 で表されるエポキシ樹脂用硬化剤を含有することを特徴
    とする熱硬化性樹脂組成物。
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