JP3475109B2 - 希土類元素ドープガラス - Google Patents
希土類元素ドープガラスInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は希土類元素ドープガ
ラス、特に、光ファイバまたは光導波路の形態をしたレ
ーザ、光増幅器等の能動的光素子に用いるのに適した希
土類元素ドープガラスに関するものである。
ラス、特に、光ファイバまたは光導波路の形態をしたレ
ーザ、光増幅器等の能動的光素子に用いるのに適した希
土類元素ドープガラスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】希土類元素をコアに含む機能性光ファイ
バとして、希土類元素イオンの電子準位間の誘導放出に
よる光増幅を利用したファイバレーザ[参考文献1,
2]や光増幅器[参考文献3,4]が報告されている。
前記光ファイバの中でもErドープファイバは光通信に
使用されている1.55μm帯の波長で光増幅作用を示
すため、光電変換を必要としないインライン光増幅器と
して注目されている。
バとして、希土類元素イオンの電子準位間の誘導放出に
よる光増幅を利用したファイバレーザ[参考文献1,
2]や光増幅器[参考文献3,4]が報告されている。
前記光ファイバの中でもErドープファイバは光通信に
使用されている1.55μm帯の波長で光増幅作用を示
すため、光電変換を必要としないインライン光増幅器と
して注目されている。
【0003】さらに、機能性希土類ドープファイバの特
性を改善するために、希土類元素と同時にAlを共ドー
プする技術がある。Al共ドープは以下に示すように2
つの利点を有している。
性を改善するために、希土類元素と同時にAlを共ドー
プする技術がある。Al共ドープは以下に示すように2
つの利点を有している。
【0004】第一に、一般の光ファイバに使用されてい
るSiO2 ガラスまたはGeO2 −SiO2 系ガラスで
は約0.1wt%以上の希土類元素を添加すると、いわ
ゆる濃度消光を生じる欠点があった。これは、希土類イ
オン同士がガラス中で凝集(クラスター化)することに
よって励起された電子のエネルギーが、非放射的な過程
を介して失われ易くなる現象であり、発光の寿命や効率
が損なわれる。Al共ドープはこの欠点を解消し、クラ
スター化することなしに比較的高濃度の希土類元素をド
ープできる[参考文献5]。
るSiO2 ガラスまたはGeO2 −SiO2 系ガラスで
は約0.1wt%以上の希土類元素を添加すると、いわ
ゆる濃度消光を生じる欠点があった。これは、希土類イ
オン同士がガラス中で凝集(クラスター化)することに
よって励起された電子のエネルギーが、非放射的な過程
を介して失われ易くなる現象であり、発光の寿命や効率
が損なわれる。Al共ドープはこの欠点を解消し、クラ
スター化することなしに比較的高濃度の希土類元素をド
ープできる[参考文献5]。
【0005】希土類元素を高濃度にドープすると、励起
光と希土類イオンとの作用長が短くても充分な増幅利得
が得られるため、小型のレーザまたは光増幅器が実現で
きる。
光と希土類イオンとの作用長が短くても充分な増幅利得
が得られるため、小型のレーザまたは光増幅器が実現で
きる。
【0006】第二に、Alを共ドープすると希土類イオ
ンの発光スペクトルが変化する場合がある。特に、石英
系Erドープガラスの1.55μm帯の発光スペクトル
はAl共ドープによってブロードになり、増幅できる波
長帯域が拡大する。これは、波長多重伝送系の光増幅器
として使用する場合に大きな利点となる。
ンの発光スペクトルが変化する場合がある。特に、石英
系Erドープガラスの1.55μm帯の発光スペクトル
はAl共ドープによってブロードになり、増幅できる波
長帯域が拡大する。これは、波長多重伝送系の光増幅器
として使用する場合に大きな利点となる。
【0007】希土類元素とAlを共ドープした光ファイ
バの作製方法としては、従来、MCVD法をべースとし
た溶液含浸法(MCVD溶液含浸法)があり、例えばB.
J.Ainslie ら[参考文献6]によって報告されている。
バの作製方法としては、従来、MCVD法をべースとし
た溶液含浸法(MCVD溶液含浸法)があり、例えばB.
J.Ainslie ら[参考文献6]によって報告されている。
【0008】その方法は、まず、通常の方法に従って、
出発石英ガラス管の内側に比較的低屈折率のクラッドと
なるガラス層を堆積し、次にその内側に、通常よりも低
い温度下でスート状の多孔質コアガラス層を堆積する。
次いで、希土類イオンとAlイオンを含む溶液を多孔質
コアガラス層の気孔中に含浸し、乾燥、脱水工程を経た
後、He気流中で多孔質コアガラス層を焼結・無孔化す
る。以下、通常の手順に戻り、コラプスして中実棒状の
光ファイバ母材を得るものである。
出発石英ガラス管の内側に比較的低屈折率のクラッドと
なるガラス層を堆積し、次にその内側に、通常よりも低
い温度下でスート状の多孔質コアガラス層を堆積する。
次いで、希土類イオンとAlイオンを含む溶液を多孔質
コアガラス層の気孔中に含浸し、乾燥、脱水工程を経た
後、He気流中で多孔質コアガラス層を焼結・無孔化す
る。以下、通常の手順に戻り、コラプスして中実棒状の
光ファイバ母材を得るものである。
【0009】この方法によれば、希土類イオン同士がガ
ラス中でクラスター化することなく、希土類元素を3w
t.%以上添加できるとされている。
ラス中でクラスター化することなく、希土類元素を3w
t.%以上添加できるとされている。
【0010】参考文献
1)C.J.Koester and E.Snitzer : App1.0pt., 3.1182(19
64). 2)S.B.Poo1e et al. : E1ectron.Lett.,21,P.738(198
5). 3)R.J.Mears et al. : Electron.Lett.,23,P.1026(198
7). 4)E.Desurvire et al. : 0pt.Lett.,12,888(1987). 5)K.Arai et al. : J.App1. Phys.,59.3430(1986). 6)B.J.Ainslie et a1. : Mater. Lett.,6,139(1988).
64). 2)S.B.Poo1e et al. : E1ectron.Lett.,21,P.738(198
5). 3)R.J.Mears et al. : Electron.Lett.,23,P.1026(198
7). 4)E.Desurvire et al. : 0pt.Lett.,12,888(1987). 5)K.Arai et al. : J.App1. Phys.,59.3430(1986). 6)B.J.Ainslie et a1. : Mater. Lett.,6,139(1988).
【0011】ちなみに、前記の溶液含浸法自体は古くか
ら知られた手法であり、近年では石英系光ファイバ母材
に希土類や遷移金属等の気相法では添加しにくい元素を
ドープする方法として広く採用されるようになった。V
AD法または外付け法で作製した多孔質ガラス(スー
ト)母材に溶液を含浸してドープトガラスを作製するこ
とも勿論可能である。
ら知られた手法であり、近年では石英系光ファイバ母材
に希土類や遷移金属等の気相法では添加しにくい元素を
ドープする方法として広く採用されるようになった。V
AD法または外付け法で作製した多孔質ガラス(スー
ト)母材に溶液を含浸してドープトガラスを作製するこ
とも勿論可能である。
【0012】周知の通り、VAD法または外付け法(い
わゆるアウトサイドプロセス)では、MCVD法(内付
け法)と比較して、大型、均質でかつ光学特性に優れた
ガラス母材を容易に作製することができる。
わゆるアウトサイドプロセス)では、MCVD法(内付
け法)と比較して、大型、均質でかつ光学特性に優れた
ガラス母材を容易に作製することができる。
【0013】そこで本件発明者らはMCVD溶液含浸法
と同様に、VAD法をべ一スとする溶液含浸法(VAD
溶液含浸法)でもAlドープが可能ではないかと考え、
以下に示す実験1、実験2の方法でAlドープ石英系ガ
ラスの作製を試みた。尚、この実験1、実験2はそれぞ
れ本発明の後記する比較例1、比較例2でもある。
と同様に、VAD法をべ一スとする溶液含浸法(VAD
溶液含浸法)でもAlドープが可能ではないかと考え、
以下に示す実験1、実験2の方法でAlドープ石英系ガ
ラスの作製を試みた。尚、この実験1、実験2はそれぞ
れ本発明の後記する比較例1、比較例2でもある。
【0014】(実験1=比較例1)VAD法で作製され
た平均かさ密度0.4〜0.5g/cm3 の純石英組成
のスート母材を、種々の異なる濃度の塩化アルミニウム
を溶解したメチルアルコール溶液に12〜24時間浸漬
して含浸を行った。含浸終了後、その溶媒を蒸発させて
乾燥させ、酸素気流中で約950℃まで加熱してスート
中に残留したアルミニウムの塩を酸化・定着した。この
ときのスートの乾燥重量に対する添加されたAl2 O3
の重量分率(以下含浸濃度という)は0.3〜3wt.
%であった。
た平均かさ密度0.4〜0.5g/cm3 の純石英組成
のスート母材を、種々の異なる濃度の塩化アルミニウム
を溶解したメチルアルコール溶液に12〜24時間浸漬
して含浸を行った。含浸終了後、その溶媒を蒸発させて
乾燥させ、酸素気流中で約950℃まで加熱してスート
中に残留したアルミニウムの塩を酸化・定着した。この
ときのスートの乾燥重量に対する添加されたAl2 O3
の重量分率(以下含浸濃度という)は0.3〜3wt.
%であった。
【0015】次いで、中心温度1500℃の電気炉中
を、体積比にして1%のCl2 と5%のO2 を含むHe
ガス雰囲気に保ちつつ、毎分2mmの速度でスートを降
下させて焼結を行った。
を、体積比にして1%のCl2 と5%のO2 を含むHe
ガス雰囲気に保ちつつ、毎分2mmの速度でスートを降
下させて焼結を行った。
【0016】焼結後の母材はいずれの場合も完全に無孔
化せず、冷却後にクラックが発生した。また、Alを高
濃度含浸した母材は、内部に”す”(空洞)が生じてい
た。X線回折の結果、ガラス相特有のハローは認められ
ず、大部分が図1のようにクリストバライト(Si
O2 )及びムライト(3Al2 O3 ・2SiO2 )の高
融点結晶相に変化しているのが確認された。
化せず、冷却後にクラックが発生した。また、Alを高
濃度含浸した母材は、内部に”す”(空洞)が生じてい
た。X線回折の結果、ガラス相特有のハローは認められ
ず、大部分が図1のようにクリストバライト(Si
O2 )及びムライト(3Al2 O3 ・2SiO2 )の高
融点結晶相に変化しているのが確認された。
【0017】Alと同時にErを含浸した場合もやはり
無孔化せず、透明ガラスは得られなかった。
無孔化せず、透明ガラスは得られなかった。
【0018】(実験2=比較例2)VAD法によりP2
O5 を1.1wt.%ドープした、平均かさ密度0.4
〜0.5g/cm3 の石英系スート母材を作製した。こ
れに実験1と同じAl溶液を含浸し、同一条件で乾燥・
酸化及び焼結を行った。
O5 を1.1wt.%ドープした、平均かさ密度0.4
〜0.5g/cm3 の石英系スート母材を作製した。こ
れに実験1と同じAl溶液を含浸し、同一条件で乾燥・
酸化及び焼結を行った。
【0019】この母材は完全には無孔化せず、実験1よ
り程度は少ないもののクラックが生じた。X線回折の結
果はやはりハローを示さず、クリストバライトとリン酸
アルミニウム(AlPO4 )の高融点結晶相の析出が認
められた。
り程度は少ないもののクラックが生じた。X線回折の結
果はやはりハローを示さず、クリストバライトとリン酸
アルミニウム(AlPO4 )の高融点結晶相の析出が認
められた。
【0020】Alと共にErを含浸した場合でも、やは
り透明ガラスは得られなかった。Erを高濃度含浸した
母材では図2のように、リン酸エルビウム(ErP
O4 )の析出も認められた。
り透明ガラスは得られなかった。Erを高濃度含浸した
母材では図2のように、リン酸エルビウム(ErP
O4 )の析出も認められた。
【0021】以上の実験1、2により透明ガラスが得ら
れなかったのは、前記MCVDをべースとする方法に比
べて、本実験1、2のVAD溶液含浸法では焼結温度が
低いことにあると考えられた。即ち、高融点結晶相の析
出が焼結の進行を阻害したことによるものと考えられ
た。
れなかったのは、前記MCVDをべースとする方法に比
べて、本実験1、2のVAD溶液含浸法では焼結温度が
低いことにあると考えられた。即ち、高融点結晶相の析
出が焼結の進行を阻害したことによるものと考えられ
た。
【0022】ちなみに、Al2 O3 −SiO2 系状態図
によれば、ムライトとクリストバライトの共融点は15
87±10℃であり、共融組成(Al2 O3 ≒8wt.
%)よりも高シリカ側の組成では、液相線温度は共融点
とクリストバライトの融点1726±5℃の間にある。
従って、実験1の焼結温度1500℃では一旦析出した
ムライトとクリストバライトが融解することはない。こ
れらの高融点結晶相を消失させるには、その組成に応じ
て1587℃ないし1726℃よりも高い温度が必要で
ある。
によれば、ムライトとクリストバライトの共融点は15
87±10℃であり、共融組成(Al2 O3 ≒8wt.
%)よりも高シリカ側の組成では、液相線温度は共融点
とクリストバライトの融点1726±5℃の間にある。
従って、実験1の焼結温度1500℃では一旦析出した
ムライトとクリストバライトが融解することはない。こ
れらの高融点結晶相を消失させるには、その組成に応じ
て1587℃ないし1726℃よりも高い温度が必要で
ある。
【0023】一方、実験2の組成に対応するAl2 O3
−P2 O5 −SiO2 系の詳細な状態図は報告されてい
ないが、事情は実験1の場合と同様であると推察され
る。例えばP2 O5 −SiO2 系でP2 O5 =1.1w
t.%における液相線温度(クリストバライトが消失す
る温度)は1700℃以上である。またAl2 O3 −P
2 O5 系ではAl2 O3 が30wt.%を越えると液相
線温度(AlPO4 の消失温度)は1500℃以上にな
る。
−P2 O5 −SiO2 系の詳細な状態図は報告されてい
ないが、事情は実験1の場合と同様であると推察され
る。例えばP2 O5 −SiO2 系でP2 O5 =1.1w
t.%における液相線温度(クリストバライトが消失す
る温度)は1700℃以上である。またAl2 O3 −P
2 O5 系ではAl2 O3 が30wt.%を越えると液相
線温度(AlPO4 の消失温度)は1500℃以上にな
る。
【0024】試みに、上記実験1、2で得られた母材を
酸水素火炎を用いて強熱・急冷したところ、いずれも透
明なガラスになったが、ガラス中に多数の気泡が残留
し、光学用ガラスとして実用し得るものではなかった。
酸水素火炎を用いて強熱・急冷したところ、いずれも透
明なガラスになったが、ガラス中に多数の気泡が残留
し、光学用ガラスとして実用し得るものではなかった。
【0025】以上のことより、VAD溶液含浸法ではM
CVD溶液含浸法のようにAlドープ(または共ドー
プ)ガラスを作製することはできず、その原因は焼結温
度不足によるものと確信されるに至った。
CVD溶液含浸法のようにAlドープ(または共ドー
プ)ガラスを作製することはできず、その原因は焼結温
度不足によるものと確信されるに至った。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】前記のVAD溶液含浸
法による焼結温度不足の問題を解決するには、焼結温度
を1600℃、或は1700℃以上に高めることが考え
られるが、そのような高温にするには技術上、設備上の
困難を伴う。
法による焼結温度不足の問題を解決するには、焼結温度
を1600℃、或は1700℃以上に高めることが考え
られるが、そのような高温にするには技術上、設備上の
困難を伴う。
【0027】第一に、一般にスート母材の焼結炉に使用
されている石英ガラス製の炉心管や治具は、このような
高温では軟化変形するため長時間の使用には耐え得な
い。これを解決するには石英ガラス製の炉心管の代わり
に高融点セラミックスの炉心管を使用することが考えら
れるが、その場合は、炉心管から不純物が揮散して母材
中に混入し、その結果ファイバの伝送損失が急増する。
これは当業界では周知の事実である。
されている石英ガラス製の炉心管や治具は、このような
高温では軟化変形するため長時間の使用には耐え得な
い。これを解決するには石英ガラス製の炉心管の代わり
に高融点セラミックスの炉心管を使用することが考えら
れるが、その場合は、炉心管から不純物が揮散して母材
中に混入し、その結果ファイバの伝送損失が急増する。
これは当業界では周知の事実である。
【0028】第二に、液相線温度よりも高い温度で焼結
を行うと、母材が自重によって延伸、落下してしまう場
合がある。
を行うと、母材が自重によって延伸、落下してしまう場
合がある。
【0029】これらの問題はVAD溶液含浸法に限ら
ず、外付け法等も含めたいわゆるアウトサイドプロセス
(outside process )で作製した多孔質ガラスの焼結に
共通する問題点である。
ず、外付け法等も含めたいわゆるアウトサイドプロセス
(outside process )で作製した多孔質ガラスの焼結に
共通する問題点である。
【0030】ちなみに、MCVD溶液含浸法では基材の
石英ガラス管が反応管を兼ねており、これを酸水素火炎
で直接加熱する方式であるため、容易に高融点結晶相消
失温度まで加熱することができ、不純物が混入する心配
もない。また焼結時に結晶化しても、一旦冷却すること
なしに直ちに1900℃以上のコラプス工程に移行でき
るので、熱歪によるクラックも生じない。しかもコラプ
ス中に結晶相は完全に融解し、中実化後の急冷によって
透明なガラス母材が得られる。
石英ガラス管が反応管を兼ねており、これを酸水素火炎
で直接加熱する方式であるため、容易に高融点結晶相消
失温度まで加熱することができ、不純物が混入する心配
もない。また焼結時に結晶化しても、一旦冷却すること
なしに直ちに1900℃以上のコラプス工程に移行でき
るので、熱歪によるクラックも生じない。しかもコラプ
ス中に結晶相は完全に融解し、中実化後の急冷によって
透明なガラス母材が得られる。
【0031】
【発明の目的】本発明者らは上記のようなVAD法等の
アウトサイドプロセスを用いて希土類元素+Al共ドー
プガラスを作製する場合の諸問題に鑑みて、ガラス組成
の改良を検討し、本発明に至った。
アウトサイドプロセスを用いて希土類元素+Al共ドー
プガラスを作製する場合の諸問題に鑑みて、ガラス組成
の改良を検討し、本発明に至った。
【0032】本発明の目的は、比較的低い焼結温度でも
透明なガラスが得られる組成の希土類元素+Al共ドー
プガラスを提供することにある。
透明なガラスが得られる組成の希土類元素+Al共ドー
プガラスを提供することにある。
【0033】本発明の他の目的は、高濃度の希土類元素
をドープしても発光特性が損なわれないようにした希土
類元素+Al共ドープガラスを提供することにある。
をドープしても発光特性が損なわれないようにした希土
類元素+Al共ドープガラスを提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項1の
能動的光素子用希土類元素ドープガラスは、SiO2系
の組成からなるホストガラス中に希土類元素が添加され
てなる能動的光素子用希土類元素ドープガラスにおい
て、前記ホストガラス中にAlとFとがドープされてな
るものである。
能動的光素子用希土類元素ドープガラスは、SiO2系
の組成からなるホストガラス中に希土類元素が添加され
てなる能動的光素子用希土類元素ドープガラスにおい
て、前記ホストガラス中にAlとFとがドープされてな
るものである。
【0035】本発明のうち請求項2の能動的光素子用希
土類元素ドープガラスは、請求項1記載の能動的光素子
用希土類元素ドープガラスのホストガラス組成に、さら
にガラスの屈折率を増大させる物質が添加されてなるも
のである。
土類元素ドープガラスは、請求項1記載の能動的光素子
用希土類元素ドープガラスのホストガラス組成に、さら
にガラスの屈折率を増大させる物質が添加されてなるも
のである。
【0036】本発明のうち請求項3の能動的光素子用希
土類元素ドープガラスは、請求項1のホストガラス組成
に、更にガラスの軟化温度を低下させる物質が添加され
てなるものである。
土類元素ドープガラスは、請求項1のホストガラス組成
に、更にガラスの軟化温度を低下させる物質が添加され
てなるものである。
【0037】本発明のうち請求項4の能動的光素子用希
土類元素ドープガラスは、SiO2系の組成からなるホ
ストガラス中に希土類元素がドープされてなる能動的光
素子用希土類元素ドープガラスにおいて、前記ホストガ
ラス中にAlとFとGeとがドープされてなるものであ
る。
土類元素ドープガラスは、SiO2系の組成からなるホ
ストガラス中に希土類元素がドープされてなる能動的光
素子用希土類元素ドープガラスにおいて、前記ホストガ
ラス中にAlとFとGeとがドープされてなるものであ
る。
【0038】本発明の希土類元素ドープガラスの基礎ガ
ラス組成はR2 O3 −Al2 O3 −SiO2 −F系(R
は希土類元素、FはOを置換する形でドープされる)で
あり、基本的に高シリカ・無アルカリの石英系ガラスで
ある。このため、膨張係数、軟化温度などの性質が通常
の光ファイバに使用される石英系ガラスに近く、それら
との融着性がよい。従って本発明により製造される希土
類元素ドープガラスをコア材に、Fドープシリカなどの
比較的低屈折率のガラスをクラッド材に使用して、コア
−クラッド構造を有する光ファイバ(または光導波路)
を容易に作製することができる。また、一般の石英系フ
ァイバとの融着接続性にも優れたものとなる。
ラス組成はR2 O3 −Al2 O3 −SiO2 −F系(R
は希土類元素、FはOを置換する形でドープされる)で
あり、基本的に高シリカ・無アルカリの石英系ガラスで
ある。このため、膨張係数、軟化温度などの性質が通常
の光ファイバに使用される石英系ガラスに近く、それら
との融着性がよい。従って本発明により製造される希土
類元素ドープガラスをコア材に、Fドープシリカなどの
比較的低屈折率のガラスをクラッド材に使用して、コア
−クラッド構造を有する光ファイバ(または光導波路)
を容易に作製することができる。また、一般の石英系フ
ァイバとの融着接続性にも優れたものとなる。
【0039】さらに本発明の希土類元素ドープガラスで
は、希土類元素とAlの共存効果により発光特性を損な
わずに高濃度の希土類元素を添加することができ、励起
光との作用長が短くても充分な増幅利得が得られるの
で、レーザまたは光増幅器の小型化が実現できる。さら
に、希土類元素がErの場合にはAlの共存により1.
55μm付近の光増幅を示す波長帯域が広がるため、本
発明のガラス組成は光増幅器用として好適である。
は、希土類元素とAlの共存効果により発光特性を損な
わずに高濃度の希土類元素を添加することができ、励起
光との作用長が短くても充分な増幅利得が得られるの
で、レーザまたは光増幅器の小型化が実現できる。さら
に、希土類元素がErの場合にはAlの共存により1.
55μm付近の光増幅を示す波長帯域が広がるため、本
発明のガラス組成は光増幅器用として好適である。
【0040】これらの効果は、公知の希土類元素+Al
共ドープ石英系ガラスと同等のものであるが、本発明の
希土類元素ドープガラスはさらにフッ素を含んでいるこ
とを特徴とする新規の石英系ガラス組成である。フッ素
を添加したことによって製造プロセス上の大きな利点を
有している。
共ドープ石英系ガラスと同等のものであるが、本発明の
希土類元素ドープガラスはさらにフッ素を含んでいるこ
とを特徴とする新規の石英系ガラス組成である。フッ素
を添加したことによって製造プロセス上の大きな利点を
有している。
【0041】希土類元素及びAlは石英ガラスの屈折率
を高める効果を有するが、フッ素は逆に低下させるの
で、それらのドープ量の比率によってはガラスの屈折率
は石英レベルよりも低くなり、クラッドとの屈折率差が
十分に確保されないことがある。この場合は前記基礎ガ
ラス組成に、更に屈折率を高める効果を持つ成分を添加
してもよい。
を高める効果を有するが、フッ素は逆に低下させるの
で、それらのドープ量の比率によってはガラスの屈折率
は石英レベルよりも低くなり、クラッドとの屈折率差が
十分に確保されないことがある。この場合は前記基礎ガ
ラス組成に、更に屈折率を高める効果を持つ成分を添加
してもよい。
【0042】また、AlF3 は1276℃で昇華するた
め、これより高い温度で焼結を行うとガラス中に残留す
るAl量が少なくなる。この場合は前記基礎ガラス組成
に、更にガラスの軟化温度を低下させる成分を添加する
のも好ましい結果を与える。このような添加物としては
GeO2 またはP2 O5 が特に好適である。いずれも石
英ガラスの屈折率を高めると同時に軟化温度を低下させ
る。前者は屈折率の増大に、後者は軟化温度の低下によ
り顕著な効果を示す。周知のように、VAD法、外付け
法では、どちらの成分も容易にスート中に添加すること
ができる。
め、これより高い温度で焼結を行うとガラス中に残留す
るAl量が少なくなる。この場合は前記基礎ガラス組成
に、更にガラスの軟化温度を低下させる成分を添加する
のも好ましい結果を与える。このような添加物としては
GeO2 またはP2 O5 が特に好適である。いずれも石
英ガラスの屈折率を高めると同時に軟化温度を低下させ
る。前者は屈折率の増大に、後者は軟化温度の低下によ
り顕著な効果を示す。周知のように、VAD法、外付け
法では、どちらの成分も容易にスート中に添加すること
ができる。
【0043】
【作用】高シリカ、無アルカリの希土類元素+Al共ド
ープ石英系ガラスを作製するには、多孔質ガラス母材を
用いた溶液含浸法が簡便であり、かつ、希土類元素及び
Alドープ濃度の調整が容易である等の長所を有してお
り、一般性もあると考えられる。しかし、VAD溶液含
浸法ではフッ素ドープ工程を経ずに含浸母材を焼結する
と、前述の実験例のように高融点結晶相が析出するため
無孔化が困難である。
ープ石英系ガラスを作製するには、多孔質ガラス母材を
用いた溶液含浸法が簡便であり、かつ、希土類元素及び
Alドープ濃度の調整が容易である等の長所を有してお
り、一般性もあると考えられる。しかし、VAD溶液含
浸法ではフッ素ドープ工程を経ずに含浸母材を焼結する
と、前述の実験例のように高融点結晶相が析出するため
無孔化が困難である。
【0044】ところが、希土類元素とAlに加えてさら
にフッ素が添加されていると、焼結温度が1500℃以
下の比較的低温でも容易に無孔化・透明ガラス化でき
る。その理由は明確ではないが、(1)石英系母材のガ
ラス粒子にフッ素を添加することによって溶融粘度が低
下する。そのため焼結は速やかに進行し、また、希土類
元素およびAlのガラス中への拡散・均質化も促進され
る。(2)希土類及びAlの酸化物がフッ素と反応し
て、表1に示すような比較的低融点のフッ化物に変化す
るためと推定される。
にフッ素が添加されていると、焼結温度が1500℃以
下の比較的低温でも容易に無孔化・透明ガラス化でき
る。その理由は明確ではないが、(1)石英系母材のガ
ラス粒子にフッ素を添加することによって溶融粘度が低
下する。そのため焼結は速やかに進行し、また、希土類
元素およびAlのガラス中への拡散・均質化も促進され
る。(2)希土類及びAlの酸化物がフッ素と反応し
て、表1に示すような比較的低融点のフッ化物に変化す
るためと推定される。
【0045】
【表1】
【0046】希土類元素および/またはAlを高濃度含
浸した場合には、拡散・均質化が不十分で失透すること
もある。しかし、完全に無孔化したガラスマトリックス
中に少量の微粒子が分散した状態になっているので、酸
水素火炎等を用いて高温まで熱すれば直ちに透明化す
る。このときクラックが生じたり、気泡が残留したりす
ることもない。
浸した場合には、拡散・均質化が不十分で失透すること
もある。しかし、完全に無孔化したガラスマトリックス
中に少量の微粒子が分散した状態になっているので、酸
水素火炎等を用いて高温まで熱すれば直ちに透明化す
る。このときクラックが生じたり、気泡が残留したりす
ることもない。
【0047】従って本発明のガラス組成を用いれば、V
AD溶液含浸法等のアウトサイドプロセスによっても透
明で気泡の無い希土類元素+Al共ドープガラス製品が
得られる。
AD溶液含浸法等のアウトサイドプロセスによっても透
明で気泡の無い希土類元素+Al共ドープガラス製品が
得られる。
【0048】ちなみに、P(P2 O5 )も石英ガラスの
溶液粘度を大きく低下させるドーパントとして知られて
いるが、希土類元素とAlに加えてさらにPを添加した
場合(フッ素を含まない場合)は、前述の実験例2に示
したようにリン酸アルミニウムやリン酸エルビウムとい
った高融点結晶の析出を誘発し、むしろ逆効果である。
溶液粘度を大きく低下させるドーパントとして知られて
いるが、希土類元素とAlに加えてさらにPを添加した
場合(フッ素を含まない場合)は、前述の実験例2に示
したようにリン酸アルミニウムやリン酸エルビウムとい
った高融点結晶の析出を誘発し、むしろ逆効果である。
【0049】次に、本発明の希土類元素ドープガラスを
製造する場合、希土類元素ドープ光ファイバ用のガラス
母材(ロッド)を、例えばVAD溶液含浸法により次の
ようにして製作することができる。
製造する場合、希土類元素ドープ光ファイバ用のガラス
母材(ロッド)を、例えばVAD溶液含浸法により次の
ようにして製作することができる。
【0050】石英ガラススート母材をVAD法で作製
し、これに希土類元素及びAlイオンを含む溶液を含浸
させた後、この溶媒を蒸発、乾燥させて希土類元素及び
Alの塩を前記スート母材の気孔内に沈積させる。この
場合、溶液原料としては、塩化物、水和塩化物、硝酸塩
などの、アルコール溶液または水溶液等が使用できる。
し、これに希土類元素及びAlイオンを含む溶液を含浸
させた後、この溶媒を蒸発、乾燥させて希土類元素及び
Alの塩を前記スート母材の気孔内に沈積させる。この
場合、溶液原料としては、塩化物、水和塩化物、硝酸塩
などの、アルコール溶液または水溶液等が使用できる。
【0051】また、前記の溶液を含浸させたスート母材
は、焼結に先立って酸素雰囲気中で加熱処理を施してお
くのが望ましい。溶液原料に塩化物原料を使用する場合
は、これらは比較的低温でも蒸発・揮散し易いので、酸
化して安定化させておくとガラス中へのドープ量の再現
性が向上する。溶液原料に硝酸塩を使用した場合は、硝
酸塩は200℃程度の温度で分解して酸化物となるので
特に酸化工程を行う必要はない。
は、焼結に先立って酸素雰囲気中で加熱処理を施してお
くのが望ましい。溶液原料に塩化物原料を使用する場合
は、これらは比較的低温でも蒸発・揮散し易いので、酸
化して安定化させておくとガラス中へのドープ量の再現
性が向上する。溶液原料に硝酸塩を使用した場合は、硝
酸塩は200℃程度の温度で分解して酸化物となるので
特に酸化工程を行う必要はない。
【0052】また、前記焼結に先立ってCl2 或はその
他の塩素化合物の気相を含有する雰囲気中で脱水処理を
行う場合にも、雰囲気中に過剰の酸素ガスを添加してお
くのが望ましい。酸素ガスを含まないと脱水処理中に、
酸化物が再び塩化物となって揮散し易くなるからであ
る。
他の塩素化合物の気相を含有する雰囲気中で脱水処理を
行う場合にも、雰囲気中に過剰の酸素ガスを添加してお
くのが望ましい。酸素ガスを含まないと脱水処理中に、
酸化物が再び塩化物となって揮散し易くなるからであ
る。
【0053】次いで、溶液含浸母材をフッ素を含有する
He雰囲気中で焼結・無孔化する。フッ素源としては周
知の通りSiF4 、SF6 、フレオンなどのガスを使用
することができる。
He雰囲気中で焼結・無孔化する。フッ素源としては周
知の通りSiF4 、SF6 、フレオンなどのガスを使用
することができる。
【0054】このようにして得られた希土類元素ドープ
カラスロッドを光ファイバに加工するには、例えば、外
付け法でクラッドガラス層を形成した後、これを加熱延
伸して紡糸するなどの既存の技術を利用することができ
る。このようにすれば、光を導波する部分の全体または
一部が本発明の請求項1〜4の希土類元素ドープガラス
で構成される希土類元素ドープ光ファイバまたは光導波
路が得られる。
カラスロッドを光ファイバに加工するには、例えば、外
付け法でクラッドガラス層を形成した後、これを加熱延
伸して紡糸するなどの既存の技術を利用することができ
る。このようにすれば、光を導波する部分の全体または
一部が本発明の請求項1〜4の希土類元素ドープガラス
で構成される希土類元素ドープ光ファイバまたは光導波
路が得られる。
【0055】以上の説明はVAD溶液含浸法により製作
した石英ガラススート母材を用いる場合であるが、もち
ろん外付け法やゾル−ゲル法で作製した石英ガラススー
ト母材を使用することもできる。
した石英ガラススート母材を用いる場合であるが、もち
ろん外付け法やゾル−ゲル法で作製した石英ガラススー
ト母材を使用することもできる。
【0056】本発明の希土類元素ドープガラスにより、
薄膜光導波路を製作することもできる。薄膜形状の多孔
質石英系ガラスの形成には、例えば、既存の技術である
火炎加水分解法を使用することができる。このときの反
応成膜機構はVAD法や外付け法と同じである。この成
膜には熱CVD法を用いてもよい。この場合は、通常の
シリカガラス膜を堆積するときよりも基板温度を低く設
定しておけば、スート状の多孔質ガラス膜が形成され
る。
薄膜光導波路を製作することもできる。薄膜形状の多孔
質石英系ガラスの形成には、例えば、既存の技術である
火炎加水分解法を使用することができる。このときの反
応成膜機構はVAD法や外付け法と同じである。この成
膜には熱CVD法を用いてもよい。この場合は、通常の
シリカガラス膜を堆積するときよりも基板温度を低く設
定しておけば、スート状の多孔質ガラス膜が形成され
る。
【0057】以下は前記の希土類元素ドープ光ファイバ
用のガラス母材を製作する場合と同様に、溶液含浸−乾
燥・酸化−フッ素雰囲気焼結を行って、希土類元素+A
l共ドープガラス薄膜を得る。
用のガラス母材を製作する場合と同様に、溶液含浸−乾
燥・酸化−フッ素雰囲気焼結を行って、希土類元素+A
l共ドープガラス薄膜を得る。
【0058】この方法に、既存の微細加工技術(チャネ
ル形成)とクラッドガラス層形成技術を組合せれば、任
意形状の希土類ドープ光導波路を作製することができ
る。
ル形成)とクラッドガラス層形成技術を組合せれば、任
意形状の希土類ドープ光導波路を作製することができ
る。
【0059】
【発明の実施の形態】(実施例1)VAD法で作製され
た、平均かさ密度0.4〜0.5g/cm3 の純石英組
成のスートを、種々の異なる濃度の塩化エルビウム及び
アルミニウムが溶解されたメチルアルコール溶液に12
〜24時間浸漬して含浸を行った。溶液中のAl/Er
モル比は1〜5に設定した。含浸終了後、溶媒を蒸発さ
せて乾燥し、酸素気流中で約950℃まで加熱して、前
記スート中に残留したEr及びAlの塩を酸化・定着し
た。
た、平均かさ密度0.4〜0.5g/cm3 の純石英組
成のスートを、種々の異なる濃度の塩化エルビウム及び
アルミニウムが溶解されたメチルアルコール溶液に12
〜24時間浸漬して含浸を行った。溶液中のAl/Er
モル比は1〜5に設定した。含浸終了後、溶媒を蒸発さ
せて乾燥し、酸素気流中で約950℃まで加熱して、前
記スート中に残留したEr及びAlの塩を酸化・定着し
た。
【0060】次に、中心温度1000℃の電気炉中を、
体積比にして1%のCl2 と10%のO2 を含むHeガ
ス雰囲気に保ちつつ、毎分3mmの速度でスートを下降
させて脱水処理を行った。脱水終了後スートを一旦低温
部にまで引き上げ、電気炉中心温度を1300℃まで昇
温した。引き続いて、炉内雰囲気を0.5vol.%の
SiF4 を含むHeガスに変更し、毎分2mmの速度で
スートを下降させて焼結した。
体積比にして1%のCl2 と10%のO2 を含むHeガ
ス雰囲気に保ちつつ、毎分3mmの速度でスートを下降
させて脱水処理を行った。脱水終了後スートを一旦低温
部にまで引き上げ、電気炉中心温度を1300℃まで昇
温した。引き続いて、炉内雰囲気を0.5vol.%の
SiF4 を含むHeガスに変更し、毎分2mmの速度で
スートを下降させて焼結した。
【0061】この結果、種々の異なる濃度のErとAl
が共ドープされたEr2 O3 −Al 2 O3 −SiO2 −
F系ガラスロッドを得た。Erがおよそ0.3wt.%
以上ドープされたガラスは、焼結直後は失透しておりピ
ンク色のオパールガラス状の外観を呈していた。失透し
た母材のX線回析図形の一例を図3に示す。この図から
明らかなように回折角2θ=22°を中心とする明瞭な
ハローが現われている。また、残留結晶相(ムライト及
び未知相)の回折強度は、図1及び図2に比べてはるか
に小さい。以上から明らかなように、母材の大部分はガ
ラス相である。
が共ドープされたEr2 O3 −Al 2 O3 −SiO2 −
F系ガラスロッドを得た。Erがおよそ0.3wt.%
以上ドープされたガラスは、焼結直後は失透しておりピ
ンク色のオパールガラス状の外観を呈していた。失透し
た母材のX線回析図形の一例を図3に示す。この図から
明らかなように回折角2θ=22°を中心とする明瞭な
ハローが現われている。また、残留結晶相(ムライト及
び未知相)の回折強度は、図1及び図2に比べてはるか
に小さい。以上から明らかなように、母材の大部分はガ
ラス相である。
【0062】この母材をガラス加工旋盤を用いて酸水素
火炎で加熱したところ、直ちに透明化し、残留気泡のな
いガラスロッドが得られた。
火炎で加熱したところ、直ちに透明化し、残留気泡のな
いガラスロッドが得られた。
【0063】次に、これらのガラスロッドの外周に、外
付け法でフッ素ドープシリカガラスのクラッド層を形成
した後、これを加熱延伸して、コア径7.5μm、外径
125μm、開口数0.12の単一モード光ファイバを
作製した。
付け法でフッ素ドープシリカガラスのクラッド層を形成
した後、これを加熱延伸して、コア径7.5μm、外径
125μm、開口数0.12の単一モード光ファイバを
作製した。
【0064】得られたファイバのコアガラス組成と特性
の一例を表2に示す。比較のため純シリカホストガラス
に0.09wt.%のErをドープしたコアからなる単
一モードファイバの特性を同表2に4(比較)として併
せて示した。
の一例を表2に示す。比較のため純シリカホストガラス
に0.09wt.%のErをドープしたコアからなる単
一モードファイバの特性を同表2に4(比較)として併
せて示した。
【0065】
【表2】
【0066】波長1.55μmの蛍光寿命は約0.5w
t.%のErをドープしたファイバでも約10msec
であり、低濃度の純シリカホストガラスファイバ(同表
2の4比較)と比べて何ら遜色がない。また、波長1.
1μmにおける伝送損失は3〜12dB/kmと十分低
い。これらより、本発明のガラス組成の素性の良さを理
解することができる。
t.%のErをドープしたファイバでも約10msec
であり、低濃度の純シリカホストガラスファイバ(同表
2の4比較)と比べて何ら遜色がない。また、波長1.
1μmにおける伝送損失は3〜12dB/kmと十分低
い。これらより、本発明のガラス組成の素性の良さを理
解することができる。
【0067】(実施例2)VAD法によりGeO2 が約
8mol%ドープされた、平均かさ密度0.4〜0.5
g/cm3 の石英系スート母材を作製し、このスートに
種々の異なる濃度の塩化エルビウムまたは塩化ネオジ
ム、及び塩化アルミニウムが溶解されたメチルアルコー
ル溶液を含浸した後、実施例1と同様にして乾燥・酸化
・脱水処理を施した。続いて、SiF4 を3.0vo
l.%含むHeガス雰囲気中で焼結を行った。この実施
例では1200℃で完全に無孔化することが可能であっ
た。
8mol%ドープされた、平均かさ密度0.4〜0.5
g/cm3 の石英系スート母材を作製し、このスートに
種々の異なる濃度の塩化エルビウムまたは塩化ネオジ
ム、及び塩化アルミニウムが溶解されたメチルアルコー
ル溶液を含浸した後、実施例1と同様にして乾燥・酸化
・脱水処理を施した。続いて、SiF4 を3.0vo
l.%含むHeガス雰囲気中で焼結を行った。この実施
例では1200℃で完全に無孔化することが可能であっ
た。
【0068】これらの組成の異なる種々のガラスロッド
の外周に、外付け法でフッ素ドープシリカガラスのクラ
ッド層を形成し、これを加熱延伸してコア径4〜6μm
・外径125μm、開口数0.18の単一モード光ファ
イバを作製した。
の外周に、外付け法でフッ素ドープシリカガラスのクラ
ッド層を形成し、これを加熱延伸してコア径4〜6μm
・外径125μm、開口数0.18の単一モード光ファ
イバを作製した。
【0069】これらファイバの蛍光寿命や損失特性は実
施例1と同様に良好であった。
施例1と同様に良好であった。
【0070】得られたファイバのうち、コア中のEr濃
度=0 .080wt.%、Al濃度=0.091w
t.%、F濃度=0.97wt.%(Al/Er原子比
=7.1)のファイバについて波長1.55μm付近の
発光スペクトルを測定した(図4のI)。励起光源に
は、波長0.98μmのTi:サファイアレーザを使用
した。ファイバ長を10cmとし、入射励起パワーは3
0mWとした。比較のためGeO2 −SiO2 系ホスト
ガラスに0.090wt.%のErをドープしたコアか
らなる単一モードファイバのスペクトルを図4のIIとし
て合わせて示した。図のように、本実施例のファイバの
発光スペクトルIは、IIに比べてかなりブロードになっ
ているのがわかる。これは、増幅帯域が広がっているこ
とを示している。
度=0 .080wt.%、Al濃度=0.091w
t.%、F濃度=0.97wt.%(Al/Er原子比
=7.1)のファイバについて波長1.55μm付近の
発光スペクトルを測定した(図4のI)。励起光源に
は、波長0.98μmのTi:サファイアレーザを使用
した。ファイバ長を10cmとし、入射励起パワーは3
0mWとした。比較のためGeO2 −SiO2 系ホスト
ガラスに0.090wt.%のErをドープしたコアか
らなる単一モードファイバのスペクトルを図4のIIとし
て合わせて示した。図のように、本実施例のファイバの
発光スペクトルIは、IIに比べてかなりブロードになっ
ているのがわかる。これは、増幅帯域が広がっているこ
とを示している。
【0071】本実施例では約4wt.%までの希土類元
素及び約3wt.%までのAlが共ドープされた透明ガ
ラスロッドを得たが、この濃度がガラス化限界というわ
けではない。更に高濃度のものまで作製可能である。
素及び約3wt.%までのAlが共ドープされた透明ガ
ラスロッドを得たが、この濃度がガラス化限界というわ
けではない。更に高濃度のものまで作製可能である。
【0072】(比較例1)前記実験1と全く同じにして
ガラスを製作したところ、同実験1の結果の通り、本発
明で得んとするガラスは得られなかった。
ガラスを製作したところ、同実験1の結果の通り、本発
明で得んとするガラスは得られなかった。
【0073】(比較例2)前記実験2と全く同じにして
ガラスを製作したところ、同実験2の結果の通り、本発
明で得んとするガラスは得られなかった。
ガラスを製作したところ、同実験2の結果の通り、本発
明で得んとするガラスは得られなかった。
【0074】
【発明の効果】本発明の希土類元素ドープガラスでは次
のような効果がある。
のような効果がある。
【0075】本発明の希土類元素ドープガラスは、希土
類元素とAlに加えてさらにフッ素をドープした石英系
の組成からなる。希土類元素とAlの共存効果により、
発光特性を損なわずに高濃度の希土類元素を添加するこ
とができ、励起光との作用長さが短くても充分な増幅利
得が得られるので、レーザまたは光増幅器の小型化が実
現できる。さらに希土類元素がErの場合には、Alの
共存により1.55μm付近の光増幅を示す波長帯域が
広がるため、本発明のガラス組成は光増幅器用として好
適である。
類元素とAlに加えてさらにフッ素をドープした石英系
の組成からなる。希土類元素とAlの共存効果により、
発光特性を損なわずに高濃度の希土類元素を添加するこ
とができ、励起光との作用長さが短くても充分な増幅利
得が得られるので、レーザまたは光増幅器の小型化が実
現できる。さらに希土類元素がErの場合には、Alの
共存により1.55μm付近の光増幅を示す波長帯域が
広がるため、本発明のガラス組成は光増幅器用として好
適である。
【0076】本発明の希土類元素ドープガラスは、基本
的に高シリカ、無アルカリの石英系組成であるため、熱
膨張係数、軟化温度等の性質が通常の光ファイバに使用
される石英系ガラスに近く、それらとの融着性が良い。
従って、本発明の希土類元素ドープガラスをコア材に、
Fドープシリカ等の比較的低屈折率のガラスをクラッド
材に使用して、コア−クラッド構造を有する光ファイバ
(または光導波路)を容易に作製することができる。ま
た、一般の石英系光ファイバとの融着接続性にも優れた
ものとなる。
的に高シリカ、無アルカリの石英系組成であるため、熱
膨張係数、軟化温度等の性質が通常の光ファイバに使用
される石英系ガラスに近く、それらとの融着性が良い。
従って、本発明の希土類元素ドープガラスをコア材に、
Fドープシリカ等の比較的低屈折率のガラスをクラッド
材に使用して、コア−クラッド構造を有する光ファイバ
(または光導波路)を容易に作製することができる。ま
た、一般の石英系光ファイバとの融着接続性にも優れた
ものとなる。
【0077】本発明の希土類元素ドープガラスは、本発
明の希土類元素ドープガラスは、希土類元素とAlに加
えてさらにフッ素が添加されているため、製造プロセス
上に大きな利点を有している。多孔質ガラス母材から希
土類元素+Al共ドープガラスを作製するとき、フッ素
が添加されたガラス組成を用いれば、焼結温度が150
0℃以下の比較的低温でも容易に無孔化・透明ガラス化
できる。その理由は明確ではないが、(1)石英系母材
のガラス粒子にフッ素を添加したことによって溶融粘度
が低下する。そのため焼結は速やかに進行し、また、希
土類元素及びAlのガラス中への拡散・均質化も促進さ
れる。(2)希土類及びAlの酸化物がフッ素と反応し
て、表1に示すような比較的低融点のフッ化物に変化す
るためと推定される。従って、比較的焼結温度の低いV
AD法等のアウトサイドプロセスによっても、透明で気
泡の無い希土類元素+Al共ド一プカラス製品が得られ
る。
明の希土類元素ドープガラスは、希土類元素とAlに加
えてさらにフッ素が添加されているため、製造プロセス
上に大きな利点を有している。多孔質ガラス母材から希
土類元素+Al共ドープガラスを作製するとき、フッ素
が添加されたガラス組成を用いれば、焼結温度が150
0℃以下の比較的低温でも容易に無孔化・透明ガラス化
できる。その理由は明確ではないが、(1)石英系母材
のガラス粒子にフッ素を添加したことによって溶融粘度
が低下する。そのため焼結は速やかに進行し、また、希
土類元素及びAlのガラス中への拡散・均質化も促進さ
れる。(2)希土類及びAlの酸化物がフッ素と反応し
て、表1に示すような比較的低融点のフッ化物に変化す
るためと推定される。従って、比較的焼結温度の低いV
AD法等のアウトサイドプロセスによっても、透明で気
泡の無い希土類元素+Al共ド一プカラス製品が得られ
る。
【図1】実験1のガラススート母材のX線回折の説明図
【図2】実験2のガラススート母材のX線回折の説明図
【図3】本発明の実施例1のガラススート母材のX線回
折の説明図
折の説明図
【図4】本発明の実施例2により得られたErドープ光
ファイバの発光スペクトルの説明図である。
ファイバの発光スペクトルの説明図である。
フロントページの続き
(72)発明者 佐々木 康真
東京都千代田区丸の内2丁目6番1号
古河電気工業株式会社内
(56)参考文献 特開 昭56−73638(JP,A)
特開 昭63−195147(JP,A)
特開 昭61−222940(JP,A)
特開 平1−96021(JP,A)
特開 平1−179734(JP,A)
Claims (4)
- 【請求項1】SiO2系の組成からなるホストガラス中
に希土類元素が添加されてなる能動的光素子用希土類元
素ドープガラスにおいて、前記ホストガラス中にAlと
Fとがドープされてなることを特徴とする能動的光素子
用希土類元素ドープガラス。 - 【請求項2】前記ホストガラス組成に、さらにガラスの
屈折率を増大させる物質が添加されてなることを特徴と
する請求項1記載の能動的光素子用希土類元素ドープガ
ラス。 - 【請求項3】前記ホストガラス組成に、さらにガラスの
軟化温度を低下させる物質が添加されてなることを特徴
とする請求項1記載の能動的光素子用希土類元素ドープ
ガラス。 - 【請求項4】SiO2系の組成からなるホストガラス中
に希土類元素が添加されてなる能動的光素子用希土類元
素ドープガラスにおいて、前記ホストガラス中にAlと
FとGeとがドープされてなることを特徴とする能動的
光素子用希土類元素ドープガラス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02500699A JP3475109B2 (ja) | 1999-02-02 | 1999-02-02 | 希土類元素ドープガラス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02500699A JP3475109B2 (ja) | 1999-02-02 | 1999-02-02 | 希土類元素ドープガラス |
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