JP3474771B2 - 小便器の洗浄装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は小便器の洗浄装置
に関し、詳しくはスプレッダーからの射水により小便器
を洗浄する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、小便器の洗浄方式として小便器上
部から鉢面に沿って洗浄水を流下させるとともに、洗浄
水の一部を小便器側周縁の縦向きのリム内部のリム通水
路に沿って流下させ、そのリム通水路に設けた複数の孔
より鉢内面に射水して鉢面及び下部の垂れ受部を洗浄す
る方式と、小便器の鉢面上部にスプレッダーを取り付
け、給水管からの水をそのスプレッダーから鉢面に向け
て射水し洗浄する方式とが知られている。

【０００３】後者のスプレッダーを用いた洗浄方式の場
合、即ちスプレッダーからの射水にて小便器を洗浄する
洗浄装置の場合、少ない水量で小便器洗浄を行い得ると
ともに洗浄時間が短くて済み、また小便器の側周縁に縦
向きのリムを設ける必要がないことから、小便器の清掃
の際そのリムが邪魔になるといったことがなく、小便器
の清掃性が良いといった利点がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】反面においてこのスプ
レッダーを用いた小便器の洗浄装置の場合、給水管から
の給水圧の変動等によってスプレッダーからの水量が少
ない小流量時とスプレッダーからの水量が多い大流量時
とで小便器の洗浄範囲が異なってしまうといった問題が
あった。

【０００５】具体的には、図６に示しているようにスプ
レッダー２００からの水量が少ない小流量時には同図
（Ｂ）に示しているように狭い領域Ｓだけしか小便器を
洗浄できず、逆に大流量時には同図（Ａ）に示している
ように広い領域Ｌに亘って小便器洗浄が可能であるもの
の、この大流量時にはスプレッダー２００からの洗浄水
の勢いが強いことから、洗浄水の一部が鉢外に流出して
しまうといった不都合があった。

【０００６】尚、図７において２０４は小便器２０２の
下部において垂れ受部２０６の内面を巡るように形成さ
れた段部であって、スプレッダー２００からの洗浄水は
その一部がこの段部２０４の上に乗ってその段部２０４
に導かれて垂れ受部２０６の内面を巡るように流れつつ
下方へと流下し、垂れ受部２０６の前部内面をも洗浄す
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本願の発明は上記の課題
を解決するためになされたものであって、請求項１の小
便器の洗浄装置は、小便器の鉢面上部にスプレッダーを
取り付け、給水管からの水を該スプレッダーから該鉢面
に向けて射水し洗浄するようになした小便器の洗浄装置
において、前記スプレッダーを左右方向に細長形状とな
して該スプレッダーの内部に該左右方向に長い空洞部を
形成した上、前記給水管からの水を該空洞部に流入させ
る給水孔を該空洞部の左右方向中間部で開口させ、更に
該スプレッダーの下部には左右方向に細長形状のスリッ
ト状の射水孔を該空洞部に連通する状態で形成し、且つ
該射水孔の形状を、その幅が左右方向中間部において狭
く両端部において広い形状となすとともに、前記空洞部
には、前記給水孔の下側において左右方向に延び、該給
水孔からの水を左右方向に案内する整流用のリブを形成
したことを特徴とする。

【０００８】請求項２の小便器の洗浄装置は、請求項１
において、前記スプレッダーの下面を互いに逆向きに傾
斜する傾斜面が左右方向中央部で交差する形状となし
て、該交差部を下向きに尖った角形状となし、該角部を
通るようにして前記スリット状の射水孔を該スプレッダ
ーの下面に左右に細長形状に形成するとともに、該角部
を含む傾斜面形状の下面を、更に前記鉢面側に向かって
斜め下方に全体的に傾斜する形状となしたことを特徴と
する。

【０００９】

【作用及び発明の効果】上記のように請求項１の小便器
の洗浄装置は、スプレッダーを左右方向に細長形状とな
すとともに、そのスプレッダーの下部に左右に細長いス
リット状の射水孔を形成し、且つその射水孔の形状を左
右方向中間部で狭く両端部において広くなしたもので、
この請求項１の洗浄装置によれば、スリット状の射水孔
から洗浄水を射水するに際して、幅の狭い中間部におい
て流動抵抗を高めていることから、射水孔から射水する
に際して、射水孔全長に亘って均等に洗浄水を射水する
ことができる。

【００１０】即ちスリット状の射水孔が左右方向に一様
な幅で延びていると、洗浄水がその射水孔の左右中間部
分から優先的に出てしまって左右両端部からの洗浄水の
出が少なくなり、洗浄範囲が狭くなってしまうが、この
請求項１の洗浄装置では、スリット状の射水孔を左右中
間部において狭い幅で、左右両端部で広い幅で形成して
いるため、スリット状射水孔の両端部からも洗浄水を多
く射水することができる。

【００１１】従ってスプレッダーからの洗浄水の水量が
少ない小流量時において、小便器に対する洗浄範囲がそ
の小流量に基づいて狭くなってしまうといったことを防
止でき、かかる小流量時においても適正な広い範囲に亘
って小便器内面を洗浄することが可能となる。

【００１２】この請求項１のものでは、また、空洞部内
且つ給水孔の下側において左右方向に延び、その給水孔
からの水を左右方向に案内する整流用のリブを形成して
おり、この洗浄装置ではその整流用のリブの作用で、給
水孔からの洗浄水をスリット状の射水孔の両端部へと優
先的に導くことができ、小流量時において小便器に対す
る洗浄範囲が狭くなるのを更に有効に防止でき、適正な
範囲に亘って小便器洗浄を行うことができる。

【００１３】尚この請求項１の洗浄装置では、スプレッ
ダー内部の空洞部の左右両端部に、小便器の中心側と反
対側の外方に向かって斜め下方に傾斜する傾斜面形状の
ガイド面を形成し、そのガイド面によって射水孔からの
水の流れを方向規制するようになしておくことができ
る。このようにすれば、特に大流量時において水の流れ
の勢いによってスプレッダーの射水孔からの水が不必要
に広がり過ぎるのを、その斜め下向きのガイド面の作用
で内向きに方向規制するようになすことができ、大流量
時において小便器に対する洗浄範囲を広く確保しつつ、
スプレッダーからの洗浄水がその勢いによって鉢外に流
出するのを防止することができる。

【００１４】尚この場合において、そのガイド面の傾斜
角度は適宜に選択することが可能であるが、特にそのガ
イド面の傾斜角度ないし向きを、小便器下部の段部の付
け根、詳しくはその段部の上端部をガイド面が向くよう
に選定しておくのが望ましい。

【００１５】請求項２のものは、スプレッダーの下面
を、その中央部が下向きに角状に尖った形状となし、そ
してその角部を通るようにしてスプレッダー下面に前記
スリット状の射水孔を左右に細長形状に形成したもの
で、この請求項２の洗浄装置の場合、小便器を洗浄して
いないときにおいて、スプレッダーの射水孔の各部で水
滴が発生且つ成長し、そして大きくなった水滴がスプレ
ッダーの射水孔の各部から滴下する現象、いわゆる雨垂
れ現象を起すのを防止できる。

【００１６】即ちこの請求項２の洗浄装置の場合、スリ
ット状の射水孔を形成したスプレッダー下面を中央部に
おいて下向きに尖った角形状となしていることから、水
滴をその尖った角形状１箇所に集めることができ、スプ
レッダーの各部で水滴がそれぞれに発生成長してそれぞ
れが小便器下部の垂れ受部に向かって滴下するといった
現象を防止できる。

【００１７】この請求項２では、更にその角部を含むス
プレッダーの下面を、小便器における鉢面側に向かって
斜め下方に全体的に傾斜する形状となしており、このよ
うにすることで上記スプレッダー下面の下向きの尖った
角部に導いた水滴を、更にその傾斜面の作用で鉢面へと
静かに滑らかに移行させることができる。従ってこの請
求項２の洗浄装置によれば、そのスプレッダー下面の角
部に導いた水滴が滴となって垂れ受部に向い、下方に落
下することも防止でき、かかる角部からのいわゆる雨垂
れ現象をも発生防止できる。

【００１８】

【実施例】次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく
説明する。図１において、１０は小便器で下部に垂れ受
部１２を有し、また鉢面１４上部にはスプレッダー１６
が取り付けられていて、そのスプレッダー１６からの射
水により便器洗浄が行われるようになっている。

【００１９】尚、１８は小便器上端部のカバーであっ
て、そのカバーの前面には人体を感知するセンサ２０が
設けられるとともに、カバー１８の内部には図示を省略
する自動洗浄装置が内蔵されている。

【００２０】而して本例の小便器１０の場合、センサ２
０による人体感知に基づいて、具体的には小便器１０か
ら使用者が立ち去ったことを感知して自動洗浄装置が働
き、給水管からの水をスプレッダー１６に導いてそこか
ら射水させるものとされている。

【００２１】本例において、小便器１０の下部には段部
２１が設けられている。段部２１は、図１（Ｃ）に示し
ているように小便器１０の側壁部内面の始端部から下向
き且つ垂れ受部１２内面を巡るように設けられており、
そして垂れ受部１２の最前部において高さが最も低く形
成されている。

【００２２】本例において、スプレッダー１６から射水
された洗浄水の一部はこの段部２１の上に乗って垂れ受
部１２内面を巡るように流れ、そして垂れ受部１２の最
前部に到った後、小便器１０底部へと流れて垂れ受部１
２内面の洗浄し、その後排水口２２から排出される。

【００２３】スプレッダー１６は、図２（Ａ）に示して
いるように本体部２４と後側の円筒形状の給水部２６と
から成っている。ここで給水部２６は、図示を省略する
給水管からの水を本体部２４へと給水する部分である。

【００２４】本体部２４は、同図（Ｂ）に示しているよ
うに全体として左右方向に細長い矩形函体状をなしてい
て、その内部に左右方向に細長い空洞部２８が形成され
ている。そしてその空洞部２８の左右方向中央部におい
て、給水部２６における給水孔３０が開口している。

【００２５】このスプレッダー１６には、本体部２４の
下面３２において左右方向に細長いスリット状の射水孔
３４が、空洞部２８に全体的に連通する形態で形成され
ている。ここでスリット状の射水孔３４は、図２（Ｂ）
に明らかに示しているようにその左右両端部が一定長さ
に亘って幅の広い広幅部３６とされる一方、それらの間
の部分が幅の狭い狭幅部３８とされている。

【００２６】他方空洞部２８の左右両端面は、射水孔３
４からの洗浄水の流れを方向規制する下向きのガイド面
４０とされている。これらガイド面４０は、小便器１０
の中心側と反対側の外方に向かって斜め下方に傾斜する
傾斜面形状とされている。

【００２７】本例において、このガイド面４０の傾斜角
度αは１５〜３０°の範囲で所定角度に設定されてい
る。具体的にはこれらガイド面４０は、上記段部２１の
付け根（始端部）を向いた方向となるようにその傾斜角
度αが設定されている。

【００２８】スプレッダー１６における本体部２４の下
面３２は、互いに逆向きに傾斜する２つの傾斜面４２，
４４から成っており、それらが左右中央部において交差
している。そしてその交差部が下向きに尖った角部４６
とされている。前記スリット状の射水孔３４は、この角
部４６を通過するようにして本体部２４の略全幅に亘っ
て左右方向に延びている。

【００２９】これら傾斜面４２，４４即ち本体部２４の
下面３２は、全体的に鉢面１４に向かって斜め下方に傾
斜する傾斜面とされている。更に上記スリット状の射水
孔３４の内面もまた、図２（Ｃ)，(Ｄ)に示しているよ
うに鉢面１４に向かって斜め下方に傾斜する傾斜面とさ
れている。

【００３０】尚本例において、スプレッダー１６は樹脂
製であって、図３に示しているように本体部２４が、板
状の後部４８と前部５０とから成っている。そしてその
板状の後部４８が、前部５０の後端部内面に嵌合されて
本体部２４が構成されている。

【００３１】本例の洗浄装置の場合、給水管からの水は
円筒形状の給水部２６を通じて本体部２４内部の空洞部
２８へと流れ込む。詳しくは給水部２６の内部通路を通
じた後、空洞部２８内面で開口する給水孔３０から空洞
部２８内へと流れ込む。そして空洞部２８内に流れ込ん
だ洗浄水は、本体部２４の下面３２のスリット状の射水
孔３４から鉢面１４へと射水され、そして鉢面１４に沿
って流下して小便器洗浄を行う。

【００３２】このとき、本例では射水孔３４の両端部が
広幅部３６として、またそれらの間の部分が狭幅部３８
として構成されているため、射水孔を左右に一様な幅で
形成した場合と異なって、小流量時において洗浄水が射
水孔の中央部分からだけ流出してしまうといったことが
なく、かかる小流量時においても洗浄水が射水孔３４の
両端部からも多く流出し、小便器１０内面を適正且つ広
範囲に亘って洗浄する。

【００３３】一方において大流量時には、射水孔３４か
らの洗浄水が空洞部２８両端部のガイド面４０により方
向規制されて流出するため、即ち洗浄水が左右に広がり
過ぎないように方向規制されて流出するため、かかる大
流量時においても洗浄水が鉢外に流出してしまうといっ
たことが防止される。

【００３４】尚この種スプレッダーを用いた小便器洗浄
装置においては、スプレッダーから洗浄水を流していな
いときにスプレッダー内部或いは周辺に付着した水が表
面張力でスプレッダーの射水孔に沿って各部に水滴を形
成し、そしてそれら水滴が成長して下方に落下する、い
わゆる雨垂れ現象を生じるといった問題が従来生じてい
たが、本例の洗浄装置ではスプレッダー１６の下面、詳
しくは本体部２４の下面３２中央部に下向きに尖った角
部４６が形成されているため、水滴が形成される場合に
おいても、傾斜面４２，４４の案内作用でこの角部４６
においてのみ水滴が形成される。

【００３５】しかもその水滴は、下面３２が鉢面１４に
向かって斜め下方に傾斜していることから、その傾斜面
の案内作用で鉢面１４へと円滑に且つ静かに移行する。
従って本例の洗浄装置の場合、スプレッダー１６から水
滴が鉢面１４から離れた位置で下向きに滴下する雨垂れ
現象を起すことがない。

【００３６】図４，図５は本発明の他の実施例を示した
もので、この例では図４（Ｃ）に示しているように空洞
部２８内且つ給水孔３０の下側において、左右方向に延
びる整流用のリブ５２を形成している。このリブ５２
は、給水孔３０からの水を左右方向に案内する作用をな
すもので、このようなリブ５２を空洞部２８内部に設け
ることによって、給水孔３０からの洗浄水をスリット状
射水孔３４の左右両端部へと優先的に導くことができ
る。従ってこの実施例の洗浄装置によれば、小流量時に
おいて小便器に対する洗浄範囲が狭くなるのを更に有効
に防止でき、適正な範囲に亘って小便器洗浄を行うこと
ができる。

【００３７】本例では、本体部２４を覆うようにして金
属製の化粧カバー５４が装着されている。化粧カバー５
４は、斜め上向きの係合突起５６を有していて、その係
合突起５６を本体部２４の斜め上向きの係合凹部５８に
係入させる状態でビス６０によりスプレッダー１６の本
体部２４をカバーする状態に取付固定されている（図５
参照）。尚、化粧カバー５４はスリット状の射水孔３４
の下側部分が開放形状とされている。

【００３８】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範
囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例である小便器洗浄装置を小便
器とともに示す図である。

【図２】図１におけるスプレッダーを詳しく示す図であ
る。

【図３】図１及び図２のスプレッダーの斜視図である。

【図４】本発明の他の実施例に用いられるスプレッダー
を周辺部とともに示す図である。

【図５】図４のスプレッダーを化粧カバーを取り外した
状態で示す図である。

【図６】スプレッダーを用いた小便器洗浄装置の従来の
不具合の説明図である。

【図７】図６における小便器の斜視図である。

【符号の説明】

１０ 小便器 １４ 鉢面 １６ スプレッダー ２８ 空洞部 ３０ 給水孔 ３２ 下面 ３４ 射水孔 ３６ 広幅部 ３８ 狭幅部 ４０ ガイド面 ４２，４４ 傾斜面 ４６ 角部 ５２ リブ

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 小便器の鉢面上部にスプレッダーを取り
   付け、給水管からの水を該スプレッダーから該鉢面に向
   けて射水し洗浄するようになした小便器の洗浄装置にお
   いて、 前記スプレッダーを左右方向に細長形状となして該スプ
   レッダーの内部に該左右方向に長い空洞部を形成した
   上、前記給水管からの水を該空洞部に流入させる給水孔
   を該空洞部の左右方向中間部で開口させ、更に該スプレ
   ッダーの下部には左右方向に細長形状のスリット状の射
   水孔を該空洞部に連通する状態で形成し、且つ該射水孔
   の形状を、その幅が左右方向中間部において狭く両端部
   において広い形状となすとともに、前記空洞部には、前
   記給水孔の下側において左右方向に延び、該給水孔から
   の水を左右方向に案内する整流用のリブを形成したこと
   を特徴とする小便器の洗浄装置。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記スプレッダーの
   下面を互いに逆向きに傾斜する傾斜面が左右方向中央部
   で交差する形状となして、該交差部を下向きに尖った角
   形状となし、該角部を通るようにして前記スリット状の
   射水孔を該スプレッダーの下面に左右に細長形状に形成
   するとともに、該角部を含む傾斜面形状の下面を、更に
   前記鉢面側に向かって斜め下方に全体的に傾斜する形状
   となしたことを特徴とする小便器の洗浄装置。