JP3474224B2 - 熱可塑性樹脂 - Google Patents
熱可塑性樹脂Info
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Description
関し、更に詳しくは、柔軟性、熔融流動性、透明性に優
れ、かつ常温での取り扱い性、低温特性にも優れる熱可
塑性樹脂に関する。
タクリル系樹脂は耐候性、透明性など他の樹脂にない特
徴を有しておりさまざまな分野で用いられている。しか
しながら硬質樹脂であるため柔軟性を必要とする用途に
は使用できなかった。
性を維持した軟質材料が望まれており、こうした要望に
対し、乳化重合法を応用して柔軟性を付加する試みが行
われてきた。例えば、フィルムまたはシート用素材とし
て軟−硬2層構造体(特公昭54−33277号公報な
ど)、更には軟質チューブ用素材として外層に特定のガ
ラス転移温度を有する熱可塑性樹脂層を用いた軟−硬2
層構造重合体(特公平3−15648号公報)などであ
る。このような多層構造重合体は柔軟性を付与するため
にアクリル酸エステルなどの軟質成分を架橋させた架橋
弾性体層を内層に有するものである。また、外層は硬質
樹脂層を有しているため塩析等の方法により多層構造重
合体を固体として取り出すことが可能である。
るアクリル系樹脂は、耐候性、透明性に加え柔軟性、流
動性に優れているが、反面その多くは粘着性をも合わせ
持つためもっぱら接着剤の分野において用いられてい
た。こうした分野にも乳化重合法による多層構造重合体
の検討がなされているが、固体での取り扱い性が悪く、
そのほとんどは、ラテックス状態で用いられているのが
現状である(例えば、特公昭59−49265号公報な
ど)。
54−33277号公報等の架橋弾性体層を内層に有
し、最外層に硬質の熱可塑性樹脂層を有する多層構造重
合体では、耐衝撃性、柔軟性にある程度の効果は見られ
たものの、溶融流動性に対してはいまだに十分ではな
い。一方、特公昭59−49265号公報等で見られる
多層構造重合体では、室温における粘着性が大きいため
上述のごとくラテックス状態で使用されており、かつ溶
融状態では層構造が破壊されてしまう欠点を有してい
た。さらには、常温での取扱い性を重視するあまり、低
温での柔軟性が損なわれる問題も抱えていた。従ってメ
タクリル系樹脂の取り扱い性の良さとアクリル系樹脂の
柔軟性、流動性を兼ね備え、且つ低温でも柔軟性を有す
る熱可塑性樹脂については全く知られていなかった。
に鑑み、メタクリル系樹脂のように固体としての取り扱
い性にも優れ、しかもアクリル系樹脂の柔軟性、溶融流
動性を保持し得る材料であって低温特性にも優れた熱可
塑性樹脂について鋭意検討を重ねた結果、驚くべきこと
に、内層に比較的ガラス転移温度の高い架橋樹脂層を、
また最外層に低いガラス転移温度を有する軟質の樹脂層
を配し、且つ内層と最外層の間に中間層として架橋弾性
体層を設けた特定の層構造を有する多層構造重合体から
成る熱可塑性樹脂は、十分な柔軟性を有しているにも係
わらず室温での粘着性も少なく、しかも固体としての取
り扱い性、溶融流動性に優れたものであり、更には低温
での柔軟性にも優れたものであることを見い出し本発明
に到達した。
単量体45〜99.99重量%、それと共重合可能なビ
ニル系単量体0〜50重量%と多官能性ビニル単量体
0.01〜5重量%から成る単量体混合物を重合して成
るガラス転移温度が0℃以上である架橋樹脂層の少なく
とも1層を内層に有し、炭素数1〜12のアルキル基を
有するアクリル酸エステル単量体50〜100重量%と
これに共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%から
成る単量体混合物を重合して成る、単独でのガラス転移
温度が0℃以下の軟質樹脂層を最外層に有し、内層であ
る架橋樹脂層と最外層である軟質樹脂層の間に、炭素数
1〜12のアルキル基を有するアクリル酸エステル単量
体および/またはジエン系単量体50〜100重量%と
これらと共重合可能なビニル系単量体0〜45重量%お
よび多官能性ビニル単量体0〜5重量%から成る単量体
混合物を重合して成る実質的に架橋され、他の層とグラ
フト結合を有する架橋弾性体層であって、単独で重合し
た際のガラス転移温度が0℃以下である少なくとも1層
の中間層を有する多層構造重合体であって、該多層構造
重合体中に占める架橋樹脂層、架橋弾性体層、および軟
質樹脂層の比率がそれぞれ10〜45重量%、10〜4
5重量%、10〜80重量%である多層構造重合体から
成ることを特徴とする熱可塑性樹脂によって達成され
る。
によって製造し、その内層のうち少なくとも1層は、ガ
ラス転移温度が0℃以上を有する架橋樹脂層であって、
メタクリル酸メチル単量体を主成分とし、これと共重合
可能なビニル系単量体からなる単量体混合物を重合する
ことにより形成される。メタクリル酸メチルは、熱可塑
性樹脂の耐候性、耐熱性などの特性を保持するため、通
常45〜99.99重量%、好ましくは60〜90重量
%である。また、必要に応じて1種以上のメタクリル酸
メチルと共重合可能なビニル系単量体を用いてもよい。
このようなビニル系単量体としては、炭素数2〜12の
アルキル基もしくはシクロアルキル基を有するメタクリ
ル酸エステル、炭素数1〜12のアルキル基もしくはシ
クロアルキル基を有するアクリル酸エステル、スチレ
ン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物および
その誘導体、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カ
ルボン酸、置換基にアルキル基もしくはシクロアルキル
基を有するN−置換マレイミド化合物などの公知のビニ
ル系単量体が用いられる。その使用量としては通常0〜
50重量%である。本発明の熱可塑性樹脂における多層
構造重合体の特徴は、この架橋樹脂層がそれ自身架橋さ
れおり、かつ、より外側の層とグラフト結合している。
このためこれまで固体での取り出しが不可能であった低
ガラス転移温度を有する軟質樹脂を最外層に形成させて
も、ラテックスからの取り出し、およびその取り扱い性
を向上させるばかりでなく、室温での粘着性を抑制し得
るなど極めて優れた性能を有する特徴的な熱可塑性樹脂
が得られる。多官能性ビニル化合物としては、α,β−
不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸のアリルエス
テル、メタアリルエステル、クロチルエステルおよびト
リアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等
公知のグラフト結合性単量体が好ましく、メタクリル酸
アリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシア
ヌレートが特に好ましく用いられるが、ポリエチレング
リコールジメタクリレートの様な多官能架橋性単量体の
使用も可能である。多官能性ビニル化合物は通常0.0
1〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%用いられ
る。
℃以下である軟質層であって炭素数1〜12のアルキル
基を有するアクリル酸エステル単量体を主成分としてこ
れに共重合可能なビニル系単量体から成る単量体混合物
を重合してなるものである。最外層の軟質樹脂層を形成
するのに用いられる炭素数1〜12のアルキル基を有す
るアクリル酸エステル単量体は、熱可塑性樹脂の柔軟性
と溶融流動性を保持するため通常50重量%以上、好ま
しくは60重量%以上である。この軟質層も必要に応
じ、50重量%以下の範囲において、上記アクリル酸エ
ステルと共重合可能なビニル系単量体を1種以上共重合
することが出来る。共重合可能なビニル系単量体として
は、炭素数1〜12のアルキル基もしくはシクロアルキ
ル基を有するメタクリル酸エステル、炭素数12以下の
シクロアルキル基を有するアクリル酸エステル、スチレ
ン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物および
その誘導体、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カ
ルボン酸、置換基にアルキル基もしくはシクロアルキル
基を有するN−置換マレイミド化合物などの公知のビニ
ル系単量体が用いられる。
造重合体には内層である架橋樹脂層と最外層である軟質
樹脂層との間に架橋弾性体層の中間層を有する。この中
間層は、単独でのガラス転移温度が0℃以下、より好ま
しくは−20℃以下を有するものであって、炭素数1〜
12のアルキル基を有するアクリル酸エステル単量体お
よび/またはジエン系単量体を主成分としてこれらに共
重合可能なビニル系単量体および多官能性ビニル単量体
から成る単量体混合物を重合して成るものであり、実質
的に架橋された架橋弾性体層であり、且つ内層である架
橋樹脂層と最外層である軟質樹脂層の双方にグラフト結
合を有するものである。こうした中間層を設けることに
より低温での柔軟性が著しく向上する。
用いられる炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリ
ル酸エステル単量体および/またはジエン系単量体は、
通常50〜100重量%、より好ましくは60〜90重
量%である。ジエン系単量体の例としては、ブタジエ
ン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。この中
間層にも必要に応じ、50重量%未満の範囲において、
上記アクリル酸エステルと共重合可能なビニル化合物を
1種以上共重合することが出来る。共重合可能なビニル
化合物としては、炭素数1〜12のアルキル基もしくは
シクロアルキル基を有するメタクリル酸エステル、炭素
数12以下のシクロアルキル基を有するアクリル酸エス
テル、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル
化合物およびその誘導体、アクリル酸、メタクリル酸な
どの不飽和カルボン酸、置換基にアルキル基もしくはシ
クロアルキル基を有するN−置換マレイミド化合物など
の公知のビニル系単量体が用いられる。
グラフト結合は、多官能ビニル単量体の添加によりなさ
れるが、実質的には中間層の弾性体成分として上述のジ
エン系単量体が5重量%以上含まれることによっても成
される。従って多官能ビニル単量体は、ジエン系単量体
が5重量%以上の場合には必ずしも必要としない。これ
以外の場合に於ける多官能性ビニル単量体の使用量は、
通常0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重
量%である。中間層に用いる多官能ビニル単量体として
は、α,β−不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸
のアリルエステル、メタアリルエステル、クロチルエス
テルおよびトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシ
アヌレート等公知のグラフト結合性単量体が好ましく、
メタクリル酸アリル、トリアリルシアヌレート、トリア
リルイソシアヌレートが特に好ましく用いられるが、ポ
リエチレングリコールジメタクリレートの様な多官能架
橋性単量体の使用も可能である。
樹脂層、架橋弾性体層、および軟質樹脂層の比率はそれ
ぞれ10〜45重量%、10〜45重量%、10〜80
重量%である。
性を維持するためには、各層の屈折率を調整することが
肝要であり、その差が0.03以内、好ましくは0.0
1以内であれば良好な透明性が得られる。
重合開始剤として過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム
などの水溶性過硫酸塩およびクメンハイドロパーオキサ
イド/ホルムアルデヒドナトリウム塩などのレドックス
系開始剤のいずれも用いることが出来る。また、乳化剤
としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどの長鎖脂肪酸の
塩類およびスルホン酸の塩類など通常のメタクリル樹脂
あるいはアクリル樹脂の製造に用いられている乳化剤を
用いることができる。また、必要に応じ、外層である軟
質樹脂層を重合する際メルカプタン類などの重合度調整
剤を添加して重合度を調整することもできる。重合温度
は特に制限はなく、通常の乳化重合において採用されて
いる温度で重合を行うことができる。
出すには、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの
無機塩あるいは塩酸、硫酸等の無機酸の添加による凝固
法や凍結凝固法等公知の方法を用いて凝固物とした後、
洗浄・脱水の後乾燥することにより行われる。
あるいはアクリル樹脂の持つ、耐候性、透明性に加えこ
れら両者が共通して持ち得なかった、樹脂の取り扱い
性、柔軟性、および熔融流動性も優れたものであるた
め、柔軟性に優れた軟質材用途、樹脂改質剤用途等の
他、ホットメルト接着剤や他素材との積層用の樹脂とし
ても用いることもできる。
る。
はともに「重量%」及び「重量部」である。また、実施
例において次ぎの略号を用いた。
行った。 (1)多層構造重合体の粒子径 大塚電子(株)製光散乱光度計DLS−600により測
定した。 (2)多層構造重合体凝固物の性状 ラテックスからを取りだす際の凝固物の性状について、
ブロック化等の凝集が著しい場合を×、若干ブロック化
が起こった場合を△、ブロック化等の発生もなく粉末状
で得られた場合を○の記号で表し評価した。 (3)室温での粘着性 多層構造重合体凝固物として得られた熱可塑性樹脂をシ
ート状に成形し、そのシート状重合体に1kg・f/c
m 2 の圧力で紙を押し付け、殆ど抵抗無く剥がれるもの
を○、若干抵抗はあるがきれいに剥がれるものを△、剥
したとき紙の一部が破れてシートに付着するものを×で
表した。 (4)溶融流動性 (株)島津製作所製フローテスターCFT−500を用
い、荷重10kg、ダイ径1mmφ、昇温速度1℃/m
in.の条件下において、多層構造重合体凝固物の流動
開始温度の測定を行った。 (5)低温柔軟性 多層構造重合体凝固物として得られた熱可塑性樹脂を6
0×10×1mmtのシートに成形し、−20℃の温度
条件下、一端を固定して90度折り曲げ、試験片の外観
変化により評価を行った。評価結果は、破断もしくは亀
裂が発生した場合を×、応力白化、皺等の欠点が発生し
た場合を△、これらの欠点が発生しない場合を○の記号
で表した。 (6)曇価 多層構造重合体凝固物として得られた熱可塑性樹脂を5
0×50×3mmtのシート状に成形し、ASTM D
1003に準じて曇価の測定を行った。 (実施例1) 温度計、攪拌機および還流器付の2リットルセパラブル
フラスコにラウリルザルコシン酸ナトリウム2.0重量
部を純水600重量部に溶解した水溶液を仕込み、次い
でメタクリル酸メチル32重量部、アクリル酸ブチル8
重量部、メタクリル酸アリル1重量部から成る単量体混
合物を仕込んだ。その後窒素気流中で攪拌し75℃まで
昇温した後、過硫酸カリウム0.1重量部を投入し第1
段階の重合を開始させた。第1層目の重合ピークが現れ
た後、約30分間保持した後、過硫酸カリウムを0.1
重量部投入し、アクリル酸ブチル36重量部、スチレン
4重量部、メタクリル酸アリル2重量部からなる単量体
混合物を約1時間かけて滴下し第2段階(中間層)の重
合を行った。第2段階(中間層)の単量体混合物の滴下
が終了してから30分75℃で保持した後、過硫酸カリ
ウムを0.1重量部投入し、アクリル酸ブチル84重量
部、メタクリル酸メチル36重量部、n−オクチルメル
カプタン0.1重量部から成る単量体混合物を約1時間
かけて滴下して第3段目(最外層)の重合を行った。第
3段階(最外層)の単量体混合物の滴下が終了してから
約1時間75℃で保持した後、冷却して重合を終了し
た。得られた多層構造重合体の粒子径は0.20μmで
あり、塩化アルミニウム水溶液中で塩析した後、水洗・
濾過および乾燥して顆粒状の重合体凝固物を得た。重合
体凝固物は室温での粘着性もなく取り扱い性に優れたも
のであった。得られた熱可塑性樹脂の評価結果を表2に
示す。 (実施例2〜4) 表1に示した、各層の単量体組成とした以外は実施例4
と同様の操作にて多層構造重合体を得た。ともに塩析に
より顆粒状の固体として取り出すことができ取り扱い性
も良好であった。得られた熱可塑性樹脂の評価結果を表
2に示す。 (実施例5) 温度計、攪拌機付の2リットルオートクレ−ブにラウリ
ルザルコシン酸ナトリウム2.0重量部、ジオクチルス
ルホコハク酸ナトリウム2重量部を純水600重量部に
溶解した水溶液を仕込み、後30分間窒素パージした
後、攪拌しながら75℃まで昇温した。次いでメタクリ
ル酸メチル32重量部、アクリル酸ブチル8重量部、メ
タクリル酸アリル1重量部、クメンハイドロパーオキサ
イド0.3重量部から成る単量体混合物をオートクレー
ブ中に圧送した後密閉し、第1段階(架橋樹脂層)の重
合を開始した。第1段階の重合ピーク終了後,30分間
75℃で保持した後、イソプレン20重量部,アクリル
酸ブチル20重量部、クメンハイドロパーオキサイド
1.0重量部からなる単量体混合物を約2時間かけて圧
送し滴下し第2段階(中間層)の重合を行った。第2段
階(中間層)の単量体混合物の滴下が終了してから1時
間75℃で保持した後、アクリル酸ブチル170重量
部、スチレン30重量部、n−オクチルメルカプタン
0.1重量部から成る単量体混合物を約4時間かけて圧
送し第3段目(最外層)の重合を行った。第3段階(最
外層)の単量体混合物の滴下が終了してから約1時間7
5℃で保持した後、冷却して重合を終了した。得られた
多層構造重合体の粒子径は0.10μmであり、硫酸ア
ルミニウム水溶液中で塩析した後、水洗・濾過および乾
燥して顆粒状の重合体凝固物を得た。重合体凝固物は室
温での粘着性もなく取り扱い性に優れたものであった。
得られた熱可塑性樹脂の評価結果を表2に示す。 (比較例1) 温度計、攪拌機および還流器付の2リットルセパラブル
フラスコにラウリルザルコシン酸ナトリウム2.5重量
部を純水600重量部に溶解した水溶液を仕込み、次い
でメタクリル酸メチル20重量部、アクリル酸ブチル5
4重量部、メタクリル酸アリル2重量部から成る単量体
混合物を仕込んだ。その後窒素気流中で攪拌し75℃ま
で昇温した後、過硫酸カリウム0.1重量部を投入し第
1段階の重合を開始させた。第1層目の重合ピークが現
れた後、約30分間保持した後、過硫酸カリウムを0.
1重量部投入し、アクリル酸ブチル14重量部、メタク
リル酸メチル126重量部、n−オクチルメルカプタン
0.1重量部から成る単量体混合物を約1時間かけて滴
下して第2段目の重合を行った。第2段階の単量体混合
物の滴下が終了してから約1時間75℃で保持した後、
冷却して重合を終了した。得られた多層構造重合体の粒
子径は0.15μmであり、塩化アルミニウム水溶液中
で塩析した後、水洗・濾過および乾燥して顆粒状の重合
体凝固物を得た。重合体凝固物は室温での粘着性もなく
取り扱い性に優れたものであったが、流動開始温度が1
50℃と高いものであった。 (比較例2) 温度計、攪拌機および還流器付の2リットルセパラブル
フラスコにラウリルザルコシン酸ナトリウム2.5重量
部を純水600重量部に溶解した水溶液を仕込み、次い
でメタクリル酸メチル57重量部、アクリル酸メチル3
重量部、メタクリル酸アリル1重量部から成る単量体混
合物を仕込んだ。その後窒素気流中で攪拌し75℃まで
昇温した後、過硫酸カリウム0.1重量部を投入し第1
段階の重合を開始させた。第1層目の重合ピークが現れ
た後、約30分間保持した後、過硫酸カリウムを0.1
重量部投入し、アクリル酸ブチル80重量部、スチレン
20重量部、メタクリル酸アリル2重量部からなる単量
体混合物を約1時間かけて滴下し第2段階(架橋弾性体
層)の重合を行った。第2段階(架橋弾性体層)の単量
体混合物の滴下が終了してから30分75℃で保持した
後、過硫酸カリウムを0.1重量部投入し、メタクリル
酸メチル38重量部アクリル酸エチル2重量部、n−オ
クチルメルカプタン0.1重量部から成る単量体混合物
を約1時間かけて滴下して第3段目(最外層)の重合を
行った。第3段階(最外層)の単量体混合物の滴下が終
了してから約1時間75℃で保持した後、冷却して重合
を終了した。得られた多層構造重合体の粒子径は0.1
2μmであり、塩化アルミニウム水溶液中で塩析した
後、水洗・濾過および乾燥して顆粒状の重合体凝固物を
得た。重合体凝固物は室温での粘着性もなく取り扱い性
に優れたものであったが、比較例1同様流動開始温度が
183℃と実施例に較べ流動性に劣るものであった。 (比較例3) 内層にメタクリル酸メチル70重量部、アクリル酸エチ
ル30重量部とし、最外層にアクリル酸ブチル85重量
部、酢酸ビニル10重量部とした以外は、比較例1と同
様の操作にて2層構造重合体を得た。この2層構造重合
体は、室温において粘着性が有り、塩析による取り出し
を試みたが、ブロッキングを起してしまい、洗浄・乾燥
することができず取り出しが不可能であった。 (比較例4) 表1に示した、各層の単量体組成とした以外は実施例1
と同様の操作にて多層構造重合体を得た。ともに塩析に
より顆粒状の固体として取り出すことができ取り扱い性
も良好であったが、低温での柔軟性は実施例に比べ若干
劣るものであった。得られた樹脂の評価結果を表2に示
す。
優れた熔融流動性を有し、且つ低温特性にも優れること
から、広範囲に使用可能であり極めて有用である。
Claims (5)
- 【請求項1】 メタクリル酸メチル単量体45〜99.
99重量%、それと共重合可能な可能なビニル系単量体
0〜50重量%と多官能性ビニル単量体0.01〜5重
量%から成る単量体混合物を重合して成るガラス転移温
度が0℃以上である架橋樹脂層の少なくとも1層を内層
に有し、炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル
酸エステル単量体50〜100重量%とこれに共重合可
能なビニル系単量体0〜50重量%から成る単量体混合
物を重合して成る、単独でのガラス転移温度が0℃以下
の軟質樹脂層を最外層に有し、内層である架橋樹脂層と
最外層である軟質樹脂層の間に、炭素数1〜12のアル
キル基を有するアクリル酸エステル単量体および/また
はジエン系単量体50〜100重量%とこれらと共重合
可能なビニル系単量体0〜45重量%および多官能性ビ
ニル単量体0〜5重量%から成る単量体混合物を重合し
て成る、実質的に架橋され、他の層とグラフト結合を有
する架橋弾性体層であって、単独で重合した際のガラス
転移温度が0℃以下である少なくとも1層の中間層を有
する多層構造重合体であって、該多層構造重合体中に占
める架橋樹脂層、架橋弾性体層、および軟質樹脂層の比
率がそれぞれ10〜45重量%、10〜45重量%、1
0〜80重量%である多層構造重合体から成ることを特
徴とする熱可塑性樹脂。 - 【請求項2】 中間層である架橋弾性体層の単独で重合
した際のガラス転移温度が−20℃以下である請求項1
に記載の熱可塑性樹脂。 - 【請求項3】 多官能ビニル単量体が、グラフト結合性
単量体である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂。 - 【請求項4】 各層の屈折率の差が0.03以内である
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂。 - 【請求項5】 多層構造重合体の粒子径が0.001〜
0.5μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の
熱可塑性樹脂。
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JP16756493A JP3474224B2 (ja) | 1993-06-14 | 1993-06-14 | 熱可塑性樹脂 |
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