JP3474081B2 - 溶接用裏当て材及び溶接方法 - Google Patents

溶接用裏当て材及び溶接方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油生産施設、荷
役施設、貯蔵施設、洋上空港、海上備蓄基地、橋梁、沈
埋トンネル、波力・潮流・温度差発電施設、海洋牧場等
の海洋構造物の洋上接合、水中補修・メンテナンス等に
用いる湿式水中溶接用裏当て材、ならびに陸上での船
舶、橋梁など鋼構造物の溶接に用いる裏当て材であっ
て、湿度の高い場所での使用や、雨の中での施工が必要
な場合の裏当て材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、湿式水中溶接では裏当て材は、被
溶接部材と同じ材料(共金)を用いており、被溶接部材
と一緒に溶接される。取り外し可能な湿式水中溶接用裏
当て材としては、これまで銅製の裏当て金を用いる方法
が研究されているのみである。
【0003】一方、陸上溶接用裏当て材としては例えば
セラミック製のものがある。これは、通常は短尺もの
で、溶接線に沿って複数配列して使用する。この裏当て
材は、通常、炉中で乾燥させた後に使用し、湿度の高い
場所や雨中では使用できない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
(I)湿式水中溶接用裏当て材として使用する場合 湿式水中溶接用裏当て材として共金裏当てを用いた場
合は、 (a)溶接後に裏当て材が残るため、この裏当て材と重
なる被溶接部材の面の塗装などができず、特に海中構造
物などの場合は、被溶接部材と裏当て材との隙間で生じ
る隙間腐食が問題となり、その対策として犠牲陽極など
の施工が必要となる。すなわち犠牲陽極を裏当て材近傍
に設けてそこで腐食を促進させることにより、隙間腐食
の防止を図る。
【0005】(b)共金裏当て材付き溶接継ぎ手は、セ
ラミック裏当て材などの溶接後取りはずし可能な裏当て
材による完全溶け込み裏波溶接継ぎ手に比べ80%程度
の疲労強度であるため、疲労の心配される部材の板厚を
厚くする必要があり、材料費、製作コスト共に高価にな
る問題があった。
【0006】銅製の裏当て材を用いた場合、 (a)溶接後取りはずし可能な銅製の裏当て材を用いて
水中溶接を行うことは可能であるが、形成される裏ビー
ト表面はやや荒れた形状となるため、溶接部の疲労強度
が低下するという問題がある。
【0007】(b)銅製の裏当て材は、通常は長尺でフ
レキシビリティーがないため、突き合わせ溶接される被
溶接部材同士の目違いや変形に対応できず、裏当て材と
被溶接部材との間の隙間に溶接金属が流れて裏ビート形
状が不良になりやすい。従って、被溶接部材同士の合わ
せ精度が厳しく、施工準備に時間とコストがかかる。な
お、銅製の裏当て材は、内部に冷却水流路を設けるため
に、短尺のものをつなぎあわせると構造が複雑になり、
扱い難くなる。
【0008】市販の陸上溶接用裏当て材を用いた場
合、 (a)市販のセラミック製裏当て材は、正方形の板に近
い短尺ものを複数配列して使用するので、裏当て全体に
はフレキシビリティーがあり、また溶融金属とのなじみ
がよく、裏ビードの形状も良好であり陸上では多用され
る。しかし、この種の裏当て材は多孔質であるため、水
中で使用すると吸湿し、内部の吸湿水分が溶接アーク熱
により分解して多量の水素ガスを発生し、アークが乱れ
溶接ができない。
【0009】(b)吸湿を防ぐために、現状の裏当て材
組成で緻密質のものを作る必要があるが、この場合は非
常に高温で焼成する必要があり、製造設備が高価にな
る。
【0010】(II)陸上用裏当て材として使用する場合 陸上用裏当て材として使用されているセラミック裏当て
材は、吸湿したり水に濡れて水分を含むと、上記水中の
場合と同様に溶接時に多量の水素ガスが発生し、ブロー
ホールや割れ等の溶接欠陥の原因となるため、通常は湿
度の高い場所や雨に濡れた場所では使用できない。ま
た、工場内溶接においても乾燥炉中で乾燥させて使用す
る必要があり、吸湿防止のための管理に余分の費用がか
かる。
【0011】特開昭48−49号公報に示された「片面
溶接における裏当て用フラックス及びその製造方法は、
溶接金属とフラックスとの密着性を良くすることを目的
として、フラックス成分中にコールタールを0.5〜8
%添加するものである。これは、貯蔵中の吸湿防止の効
果はあったが、雨天時や水の飛散する場所では、撥水性
の程度が低いため、水に濡れると吸湿し、乾燥処理を行
わなければ、溶接することができない。
【0012】本発明の目的は、吸湿性がなく、良好な裏
ビートを形成できる溶接用裏当て材を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】水中用裏当て材及び吸湿
しない陸上用裏当て材としては、溶接線に合わせて短尺
物を並べるためにフレキシビリティーがあり、良好な裏
ビートが形成できる従来のセラミック裏当て材に防水処
理を行って使用するのが最も効果的で、この観点から以
下を開発した。
【0014】本発明による溶接用裏当て材は、無機質材
料のセラミック粉体を固化成形してなる基材の表面を疎
水化処理して、水との接触角が90度以上の撥水性を有
するものである。水との接触角が90度以上であれば、
基材表面に付着した水は基材内に形成された気孔に侵入
することなく、表面に留まる。
【0015】疎水化処理方法としては、例えば、疎水性
の無機質酸化物粒子及び/または疎水性の有機物質であ
るポリテトラフルオロエチレン粒子と樹脂とを溶媒に混
合・分散したスラリ状の疎水化処理剤を、セラミック粉
末を成形した基材表面にコーティングする方法を用い
る、あるいは、該基材表面を、疎水性基を有するアルコ
キシシラン、クロロシラン、シラザンのいわゆるシラン
化合物や、ジメチルポリシロキサン、疎水基を有するチ
タネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング
剤の液で処理して、基材表面に疎水基を結合させる方法
を用いる。
【0016】上記のコーティングに用いる疎水性無機質
酸化物粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、
酸化鉄などの粒子を用い、該粒子に疎水基を有する表面
処理剤で処理した粒子の少なくとも1種を使用する。
【0017】無機質酸化物粒子の大きさは0.001〜
100μmがよい。粒子の大きさが0.001μm未満
では、疎水化処理剤を作る際に取扱い難くなり、100
μmを超えるとセラミック粉体の成形体である基材内に
含む気孔への含浸が不十分となる。
【0018】疎水基を有する表面処理剤は、アルキル基
やフッ素置換疎水性基を有するシラン、クロロシラン、
シラザンのいわゆるシラン化合物や、ジメチルポリシロ
キサン、アルキル基を有するチタネートカップリング
剤、アルミニウム系カップリング剤を使用する。
【0019】但し、無機酸化物粒子を疎水化処理できる
方法であれば、前記の方法に限定されるわけではない。
【0020】アルキル基を有するシラン化合物として、
メチル基を有するもので、例えばメチルメトキシシラン
CH3Si(OCH3)3、ジメチルジメトキシシラン(CH
3)2Si(OCH3)2、トリメチルメトキシシラン(CH3)
3Si(OCH3)、メチルトリエトキシシランCH3Si
(OC25)3、ジメチルジエトキシシラン(CH3)2Si
(OC25)2、トリメチルエトキシシラン(CH3)3Si
(OC25)、ヘキサメチルジシラザンなどがあり、エチ
ル基を有するものでは、エチルトリメトキシシランC2
5Si(OCH3)3、ジエチルジメトキシシラン(C
25)2Si(OCH3)2、トリエチルメトキシシラン(C2
5)3Si(OCH3)、エチルトリエトキシシランC25
Si(OC25)3、ジメチルジエトキシシラン(C25)2
Si(OC25)2、トリエチルエトキシシラン(C25)3
Si(OC25)などがあり、プロピル基を有するもの
で、プロピルトリメトキシシランC37Si(OC
3)3、ジプロピルジメトキシシラン(C37)2Si(O
CH3)2、トリプロピルメトキシシラン(C37)3Si
(OCH3)、プロピルトリエトキシシランC37Si(O
25)3、ジプロピルジエトキシシラン(C37)2Si
(OC25)2、トリプロピルエトキシシラン(C37)3
Si(OC25)などがあり、長鎖アルキルシランとして
n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−ドデシルト
リエトキシシラン等がある。
【0021】上記のような炭素数1〜20のアルキル基
を1〜3個有するアルコキシシランに、クロルシラン又
はシラザンの単独又は複数種を混合して使用することが
できる。但し、本発明の金属アルコキシドは以上の例示
化合物に限定されない(以下同様)。
【0022】フッ素置換疎水性基を有するシラン化合物
は、例えばパーフルオロオクチルエチルトリエトキシシ
ランCF3(CF2)7(CH2)2Si(OC25)3、パーフル
オロイソプロピルエチルトリエトキシシラン(CF3)2
F(CH2)2Si(OC25)3などのほかに、パーフルオ
ロメチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロブチ
ルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエ
チルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチル
メチルジメトキシシランなどの炭素数1〜20の、好ま
しくは1〜10のパーフルオロアルキル基を有するアル
コキシシランなどが挙げられる。
【0023】チタネートカップリング剤としては、イソ
プロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピ
ルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、
テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタ
ネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイ
ト)チタネートなどが挙げられる。
【0024】アルミニウム系カップリング剤としてはア
セトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートを挙げ
られる。
【0025】疎水性粒子としてはテトラフルオロエチレ
ン粒子も適している。上記の疎水性無機酸化粒子やテト
ラフルオロエチレン粒子は、単独でも混合しても利用す
ることができる。
【0026】疎水性粒子、樹脂、溶媒の混合したスラリ
状疎水化処理剤を、セラミック粉末の固化成形体である
基材表面にコーティングする方法としては、吹き付け、
刷毛塗り、ディッピング等通常の方法が利用できる。
【0027】疎水性粒子と樹脂との混合比は、重量比で
100:0〜10:90が適するが、疎水化処理後の裏
当て材の接触角が90°以上であれば良く、必ずしもこ
の範囲に限定されない。
【0028】上記処理をしたセラミック裏当て材は、水
にまったくあるいは殆ど濡れない性質となる。水中に没
した場合は、表面に薄い空気の膜を生じる性質となる。
この空気の膜は、光を当てると、銀色に反射することで
確認できる。また、セラミック内部も撥水処理がなされ
ているため、水中に没しても内部への水の浸入もなく完
全に水にぬれることがないため、この裏当て材を当てた
開先部の溶接において、溶接ノズル直下の局部空洞中で
はシールドガスにより完全に水が排除され水のない状態
で溶接可能となり安定な溶接と良好な裏波ビードを得る
ことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】まず、本発明の水中溶接用裏当て
材を用いる水中溶接方法、すなわち水カーテン式湿式水
中溶接法を図1により説明しておきたい。水カーテン式
湿式水中溶接法は、ガスメタルアーク溶接方法を用いて
行うもので、原理的には、被溶接部材1、1間に形成さ
れた溶接開先2に対向し該開先2の長手方向に移動させ
る溶接用ノズル3先端部を二重筒構造とし、内外両筒3
a、3bの間隙から溶接開先2を含む被溶接部材1上に
水を噴射させてラッパ状の水カーテン4を作り、内筒3
aからシールドガス5をながして水カーテン4内部に空
洞6を形成することにより、内筒3aの軸中心に配置さ
れたコンタクトチップ3cを通じて供給される溶接ワイ
ヤ7と被溶接部材との間に発生するアーク8、及びこの
アーク8により溶接開先2中に形成される溶融池を、周
辺の水から保護して溶接する方法である。通常、図1に
示すような突合せ開先2には裏当て材9を取り付ける。
この方法によれば、被溶接部材が水にぬれていても、水
カーテン及びシールドガスにより被溶接部材上から水を
排除して、シールドガスに満たされた局部的空洞を形成
することができ、溶接すべき箇所を乾燥した状態にする
事ができるので、安定した溶接が行える。また陸上用裏
当て材として用いる場合、溶接法は通常のガスメタルア
ーク溶接法である。
【0030】以下、本発明の溶接用裏当て材について具
体的に説明する。 (実施の形態1)本発明の実施の形態1となる水中溶接
用裏当て材及び吸湿しない陸上用裏当て材を説明する。
本実施の形態の裏当て材は、次のような基材、疎水化処
理剤及び塗布方法を用いて製作した。 *基材;陸上溶接用で、サイズが32mm長×28mm
幅×9mm厚で、表面には長手方向に浅い略円弧状の溝
を有する溶接用裏当て材FBB−3T(神戸製鋼製) *疎水化処理剤;疎水性粒子としてトリメチルメトキシ
シランで表面を疎水化処理したシリカ粒子(SiO2
99%、粒径2μm)50重量部と、樹脂として(室温
硬化型シリコーンレジン、固形分20%)50重量部
と、溶媒としてイソプロピルアルコール200重量部を
混合したスラリ、 *塗布方法;疎水化処理剤中に基材を約1分浸漬した
後、室温で乾燥した。なお、基材のFBB−3Tはあら
かじめアセトン溶液で表面中央のインク線(FBB−3
Tを被溶接部材に取り付けるための基準線)を除去し、
乾燥させたものを用いた。 本実施の形態の裏当て材の表面の水の接触角は、160
度であった。また水中に入れると表面に空気の膜を形成
した。
【0031】次に、図2に示すように、実施の形態1の
撥水性裏当て材10を用い、水中溶接を実施した。ここ
で用いた水中溶接法は、基本的には、図1で説明した水
カーテン式湿式水中自動溶接法と同じであるので、溶接
装置の構成要素等には図1で用いた符号と同じ符号を付
している。ただし裏当て材10は、32mm長×28m
m幅×9mm厚の小片裏当て材10aを複数長手方向に
並べて用いている。溶接施工要領は次のとおりである。 *水中溶接;水槽中、水深30cm、 *溶接機;CO2アーク自動溶接機、 *シールドガス;CO2、流量 120〜140 L/m
in *溶接ワイヤ;1.2φソリッドワイヤ(神戸製鋼製の
MG−50) *溶接条件;溶接電流 200〜300(A)、アーク電
圧 28〜32(V)、溶接速度 12〜15(cm/mi
n) *被溶接試験材;板厚13mmの軟鋼板(2枚)で、開先
形状は45°V開先、ルートギャップを5〜10mm、
目違い量を0〜2mmに設定したもの。
【0032】*裏当て材の取付け;被溶接試験材の裏面
に可撓性のあるゴムを介して鉄板で押さえて固定。
【0033】上記のように実施の形態1の裏当て材を用
い、CO2アーク自動溶接による水中溶接の結果は、溶
接ビードの表側及び裏側の外観は共に良好であり、裏ビ
ードと母材の境界部も滑らかであった。またエックス線
による非破壊検査の結果でも内部欠陥は認められず、疎
水化処理による悪影響はなかった。また図3にこの水中
溶接において測定した溶接電流Iとアーク電圧Vそれぞ
れの波形を示す。これらの波形は、陸上溶接における波
形と同等であり、安定した溶接であることを示してい
る。
【0034】また、CO2アーク溶接機の代わりに、M
AGパルスアーク溶接機を用い、フラックスワイヤ(神
戸製鋼製DW−100)及びシールドガスとして80%
Ar+20%CO2の混合ガスを用いて、上記同様の溶
接施工条件で溶接した。MAGパルスアーク溶接の結果
は、CO2アーク溶接と同様に良好であった。
【0035】比較のため、陸上用裏当て材FBB−3T
を用いた水中溶接における溶接電流I及びアーク電圧V
の波形を図4に示す。図示のように、溶接電流電流I及
びアーク電圧はそれぞれ極めて不安定で、かつ溶接アー
クが断続していることを示している。実際、溶接ビード
は非常に荒れたビードになっていた。これは裏当て材が
吸湿し、この内部の水分が溶接アークを乱すためであ
る。
【0036】(実施の形態2)本発明の実施の形態2の
水中溶接用裏当て材及び吸湿しない陸上用裏当て材につ
いて説明する。 *基材;重量でSiO2 80%、Al23 20%でな
るセラミック粉末成形体で、サイズが32mm長×28
mm幅×9mm厚、 *疎水化処理剤及び処理方法;セラミック焼結体である
基材を、n−オクタデシルトリメトキシシラン 20重
量部とn−ヘキサン 80重量部との混合溶液中に1分
間浸漬後、乾燥機中で50℃×24時間保持して疎水化
処理剤を硬化させて、疎水化処理を行った。このように
疎水化処理した裏当て材に対する水の表面接触角は14
0度であった。
【0037】次に、上記のように製作した実施の形態2
の撥水性裏当て材を用いて、実施の形態1と同様の施工
要領で、CO2アーク溶接法及びMAGパルスアーク溶
接法それぞれにより水中溶接を実施した。その結果、い
ずれの溶接法でも溶接アークは安定し、溶接ビードの表
及び裏の外観は共に良好であり、エックス線による非破
壊検査でも内部欠陥は認められなかった。
【0038】(実施の形態3)本発明の実施の形態3と
なる水中溶接用裏当て材及び吸湿しない陸上用裏当て材
について説明する。 *基材;実施の形態1と同じく、セラミック裏当て材F
BB−3T(32mm長×28mm幅×9mm厚)、 *疎水化処理剤;疎水性粒子としてテトラフルオロエチ
レン微粒子(粒径5μm)60重量部と、樹脂としてビ
スフェノールA型エポキシ樹脂(スリーボンド社)40
重量部と、溶剤としてトルエン200重量部を混合した
スラリ、 *塗布方法;疎水化処理剤中に基材を約1分浸漬した
後、乾燥する。なお、基材のFBB−3Tはあらかじめ
アセトン溶液で表面中央のインク線(取り付けのため基
準線)を除去し、乾燥させたものを用いた。 本実施の形態の裏当て材の表面の水の接触角は、160
度であった。
【0039】次に、上記のように製作した実施の形態3
の撥水性裏当て材を用いて、実施の形態1と同様の施工
要領で、CO2アーク溶接法及びMAGパルスアーク溶
接法それぞれにより水中溶接を実施した。その結果、い
ずれの溶接法でも溶接アークは安定し、溶接ビードの表
及び裏の外観は共に良好であり、エックス線による非破
壊検査でも内部欠陥は認められなかった。
【0040】さらに、屋外での溶接作業中に雨が降って
裏当て材が濡れた場合を想定し、本発明の裏当て材を取
り付けた後に、開先部を水で濡らしその後圧縮空気を吹
きつけて水分を除去して、大気中で通常のCO2溶接法
で溶接した。その結果、圧縮空気の吹きつけだけで裏当
て材上の水分は完全に除去され、安定な溶接が行え、溶
接部はエックス線検査の結果も欠陥が認められず、健全
な溶接が行えた。従って、本溶接用裏当て材は、耐吸湿
性があるので、水中だけでなく、陸上でも使用すること
ができる。
【0041】陸上の溶接においても、裏当て材の吸湿
は、ブローホール、水素割れなど溶接欠陥の原因になる
ため、裏当て材の管理は厳しく、一般的には乾燥炉の中
で管理される。特に高張力鋼など高級材料の溶接の場合
は、裏当て材に対して厳重な管理が要求される。したが
って、本発明のような撥水性の裏当て材を用いれば、管
理が簡単で特に湿度の高い場所での溶接(例えば、船の
バラストタンクの中や、海上での溶接施工など)でも使
用可能である。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、水中溶接用裏当て材
は、疎水化処理を施して水との接触角が90度以上の撥
水性をもたせたものとしたので、水中でも吸湿せず、水
カーテン式湿式水中溶接法による水中溶接では良好なビ
ードを得ることができる。陸上でも、湿度の高い場所で
の使用や雨で濡れた場合にでも健全な溶接部を得ること
ができる。
【0043】また、本発明の水中溶接用裏当て材は、市
販の陸上溶接用裏当て材に疎水性粒子及び樹脂を溶媒に
混合・分散したスラリをコーティングする、あるいは陸
上溶接用裏当て材を疎水基を有する表面処理剤で処理し
て表面に疎水基を結合させるというような簡単な処理に
より、入手することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】水カーテン式湿式水中溶接法を原理的に説明す
る図である。
【図2】本発明の溶接用裏当て材を用いる水カーテン式
湿式水中溶接方法を示す図である。
【図3】本発明の溶接用裏当て材を用いた水中溶接で実
測した溶接電流波形及びアーク電圧波形を示す図であ
る。
【図4】比較のため陸上溶接用の溶接用裏当て材を用い
た水中溶接で実測した溶接電流波形及びアーク電圧波形
を示す図である。
【符号の説明】
1 被溶接部材 2 溶接開先 3 溶接用ノズル 3a ノズル内筒 3b ノズル外筒 3c コンタクトチップ 4 水カーテン 5 シールドガス 6 空洞 7 溶接ワイヤ 8 アーク 9 裏当て材 10 撥水性裏当て材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 37/06

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被溶接部材間に形成される溶接開先の裏
    側に取り付けられる溶接用裏当て材において、セラミッ
    ク粉体の固化成形体である基材の表面部に、疎水性粒子
    と樹脂とを含む撥水性の被膜が形成されてなることを特
    徴とする溶接用裏当て材。
  2. 【請求項2】 前記疎水性粒子は、無機酸化物の粒子表
    面に疎水基が結合されてなる請求項1に記載の溶接用裏
    当て材。
  3. 【請求項3】 前記疎水性粒子は、前記無機酸化物がシ
    リカであり、該シリカの粒子表面に疎水基を有するシラ
    ン化合物が結合されてなる請求項2に記載の溶接用裏当
    て材。
  4. 【請求項4】 前記疎水性粒子は、有機材料のポリテト
    ラフルオロエチレン(PTFE)からなる請求項1に記
    載の溶接用裏当て材。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至のいずれかに記載の溶接
    用裏当て材を用いて、溶接を水中で行なう溶接方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至のいずれかに記載の溶接
    用裏当て材を用いて、溶接を雨中または水のかかる場所
    で行なう溶接方法。
JP14898697A 1997-06-06 1997-06-06 溶接用裏当て材及び溶接方法 Expired - Fee Related JP3474081B2 (ja)

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