JPH11239872A - 水中上向き溶接方法 - Google Patents

水中上向き溶接方法

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JPH11239872A
JPH11239872A JP4397098A JP4397098A JPH11239872A JP H11239872 A JPH11239872 A JP H11239872A JP 4397098 A JP4397098 A JP 4397098A JP 4397098 A JP4397098 A JP 4397098A JP H11239872 A JPH11239872 A JP H11239872A
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JP
Japan
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welding
water
underwater
air
coating layer
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JP4397098A
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Inventor
Toru Iwasaki
徹 岩崎
Tatsuo Nakatani
龍男 中谷
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Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスメタルアーク溶接法により良好な溶接部
が得られる水中上向き溶接方法を提供する。 【解決手段】 水中上向き溶接方法は、被溶接部材1,
1間に形成された突合せ溶接開先2及びその近傍に、水
中に没したとき空気膜を保持可能なコーティング層3を
設ける処理を施し、溶接開先2を下方に向けて被溶接部
材1,1を水中に配置し、溶接開先3に対して溶接用ノ
ズル5を向け、溶接用ノズル5を通じて溶接ワイヤ7及
びシールドガス6を供給するガスメタルアーク溶接法に
より、溶接する方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油生産施設、荷
役施設、貯蔵施設、洋上空港、海上備蓄基地、橋梁、沈
埋トンネル、波力・潮流・温度差発電施設、海洋牧場等
の海洋構造物の洋上接合、水中補修・メンテナンス等に
用いる水中上向き溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水中溶接方法としては、ガスメタ
ルアーク溶接法を用いる水カーテン式湿式水中溶接法
や、被覆溶接棒を用いて行う水中手アーク溶接法があ
る。水カーテン式湿式水中溶接法は、原理的には図4に
示すように、被溶接部材31、31間に形成された溶接
開先32に対してその長手方向に移動させる溶接用ノズ
ル33を二重筒構造とし、二重筒の間隙から溶接開先3
2を含む被溶接部材31、31上に水を噴射させてラッ
パ状の水カーテン34を作り、ノズル33内からシール
ドガス35を流して水カーテン34内に空洞36を形成
し、ノズル33内の軸心に配置されたコンタクトチップ
39を通じて溶接ワイヤ37を供給して溶接ワイヤ37
と溶接開先32との間にアーク38を発生させて溶接す
る方法である。この方法によれば、アーク38及び溶接
開先32中の溶融池を、周辺の水から保護することがで
きる。なお、図中で符号40は裏当て材である。この水
カーテン式湿式水中溶接法は、溶接ワイヤからの溶滴が
重力方向に移行する下向き姿勢、溶滴が重力と反対方向
に移行する上向き姿勢、溶滴が重力に対して横方向に移
行する横向き姿勢等の溶接姿勢で、行うことができる。
また、水中手アーク溶接法は、水中で被覆溶接棒と溶接
開先との間にアークを発生させ、このアーク領域の水を
パージすると共に、水がパージされた、被溶接部材の部
分を局部的に溶融するものである。この水中手アーク溶
接は、手で溶接棒を操作するために、溶接姿勢を容易に
切り替えて、行うことができる利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】水カーテン式湿式水中
溶接法では、水カーテン及びシールドガスにより水を排
除して、溶接すべき箇所を乾燥した状態にする事ができ
るので、安定した溶接が行えるが、カーテン水とシール
ドガスから発生する大量気泡によりアーク及びアーク直
下の溶融プールを目視できないこと、及び溶接用ノズル
を移動する時、周囲の水に対する水カーテンの抵抗が大
きいために、溶接用ノズルをモータ駆動の台車に搭載し
て移動させる自動溶接しかできず、溶接用ノズルの操作
性に欠けるという問題がある。また水カーテンをつくる
ために溶接装置が複雑になる。そこで水カーテンなしに
ガスメタルアーク溶接を行う方法が模索されていた。
【0004】また、水中手アーク溶接法では、アーク自
身が水に囲まれているために、アークが乱れた時に溶接
すべき箇所には周囲から水が侵入しやすく、アークによ
り溶接すべき箇所を十分ドライな状態にすることができ
ず、品質の良い溶接部を得ることが難しいという問題が
ある。
【0005】本発明の目的は、通常のガスメタルアーク
溶接法により良好な溶接部が得られる水中上向き溶接方
法を提供することにある。また本発明の別の目的は、被
覆溶接棒で手溶接により、良好な溶接部を得ることがで
きる水中上向き溶接方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、研究の中
で、溶接開先に空気膜を保持可能なコーティング層を形
成し、上向き姿勢溶接に限定することにより、水中での
溶接性が改善されることを見出し、本発明に至った。
【0007】上記目的を達成するために、本発明の第1
の水中上向き溶接方法は、被溶接部材間に形成される突
合せ溶接開先及び近傍に、水中に没したとき空気膜を保
持可能なコーティング層を設ける処理を空気中又は水中
で施し、溶接開先を下方に向けて被溶接部材を水中に配
置し、この溶接開先に対して溶接用ノズルを向け溶接開
先の長手方向に移動させながら、溶接用ノズルを通じて
溶接ワイヤ及びシールドガスを供給するガスメタルアー
ク溶接法により、溶接することを特徴とする。
【0008】本発明の第2の水中上向き溶接方法は、被
溶接部材間に形成される突合せ溶接開先及びその近傍
に、水中に没したとき空気膜を保持可能なコーティング
層を設ける処理を空気中又は水中で施し、溶接開先を下
方に向けて被溶接部材を水中に配置し、この溶接開先を
被覆溶接棒を用いて手動でアーク溶接することを特徴と
する。
【0009】以下、水中に没したとき空気膜を保持可能
なコーティング層を形成する方法及びその作用について
説明する。空気膜を保持させるために、2つの条件が必
要であることを見いだした。1つは材料の撥水性であ
り、もう一つは空気膜を保持させるための表面の微細な
凹凸構造である。前者の撥水性は水との接触角で言うと
90度以上が望ましい。90度以下では空気膜を長期間
保持することができない。後者の表面の微細な凹凸は水
中で空気を保持するために必要な空間である。この凹凸
があるため、水中に没したときこの部分に空気を保持
し、表面に空気膜を保持することが可能になる。材料と
水が直接接することを防止する働きがある。
【0010】表面の微細な凹凸の形状は、断面が三角形
や半球状あるいは不定形の突起、または凹みを連続的に
または不規則に配置したものでよい。凹凸の寸法は、凹
部と凹部の間隔または凸部と凸部の間隔(以下、単に凹
凸の間隔という)は、2nm〜200μmが好ましい。
さらに好ましく20nm〜50μmが好ましい。20n
m以下では空気の保持できる空間の大きさが小さく、水
中での空気膜の容積が小さくなってしまうこと、200
μm以上では、凹凸の間隔が広くなり、水中での空気の
保持が悪くなるからである。凹凸の高さは、20nm以
上が好ましい。これ以下だと空気膜の保持性能が悪い問
題がある。上限は空気膜の形成に関しては特に制限はな
いが、溶接時に作業がやりにくくならない、寸法精度悪
くならない範囲である。1mm以下が好ましい。
【0011】具体的なコーティング方法としては、硬化
後に上記の撥水性と、空気層を保持させるための凹凸構
造が構成されるようにあらかじめ調整されたコーティン
グ液を、開先加工部等の溶接部表面に塗布する方法が利
用できる。コーティング液は、疎水性粒子および樹脂を
溶媒に混合・分散したスラリーを用いる。疎水性粒子
は、無機酸化物の粒子表面を疎水基を有する表面処理剤
で処理したもの、有機材料のポリテトラフルオロエチレ
ン粒子を用いることが出来る。粒子は空気膜を保持する
ための凹凸構造を構成するものであるので、粒径は、平
均粒径で2nm〜200μmが好ましい。さらに好まし
くは20nm〜50μmが好ましい。20nm以下では
空気の保持できる空間の大きさが小さく、水中での空気
膜の容積が小さくなってしまうこと、200μm以上で
は、凹凸の間隔が広くなり、水中での空気の保持が悪く
なるからである。
【0012】無機質酸化物粒子としては、シリカ、アル
ミナ、酸化チタン、酸化鉄などの粒子を用い、該粒子に
疎水基を有する表面処理剤で処理した粒子の少なくとも
1種を使用する。特に、無機質酸化物粒子の中では多孔
性の粒子が好ましい。本出願人が、特開平7−1747
6号公報で、構造物の没水表面に空気膜を形成する方法
および没水表面の膜体構造として開示したように、粒子
表面がポーラスであることによって、水中での優れた空
気保持機能を発揮する。
【0013】疎水基を有する表面処理剤は、アルキル基
やフッ素置換疎水性基を有するシラン、クロロシラン、
シラザンのいわゆるシラン化合物や、ジメチルポリシロ
キサン、アルキル基を有するチタネートカップリング
剤、アルミニウム系カップリング剤を使用する。
【0014】アルキル基を有するシラン化合物として、
メチル基を有するもので、例えばメチルメトキシシラン
CH3Si(OCH3)3、ジメチルジメトキシシラン(CH
3)2Si(OCH3)2、トリメチルメトキシシラン(CH3)
3Si(OCH3)、メチルトリエトキシシランCH3Si
(OC25)3、ジメチルジエトキシシラン(CH3)2Si
(OC25)2、トリメチルエトキシシラン(CH3)3Si
(OC25)、ヘキサメチルジシラザンなどがあり、エチ
ル基を有するものでは、エチルトリメトキシシランC2
5Si(OCH3)3、ジエチルジメトキシシラン(C
25)2Si(OCH3)2、トリエチルメトキシシラン(C2
5)3Si(OCH3)、エチルトリエトキシシランC25
Si(OC25)3、ジエチルジエトキシシラン(C25)2
Si(OC25)2、トリエチルエトキシシラン(C25)3
Si(OC25)などがあり、プロピル基を有するもの
で、プロピルトリメトキシシランC37Si(OC
3)3、ジプロピルジメトキシシラン(C37)2Si(O
CH3)2、トリプロピルメトキシシラン(C37)3Si
(OCH3)、プロピルトリエトキシシランC37Si(O
25)3、ジプロピルジエトキシシラン(C37)2Si
(OC25)2、トリプロピルエトキシシラン(C37)3
Si(OC25)などがあり、長鎖アルキルシランとして
n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−ドデシルト
リエトキシシラン等がある。
【0015】上記のような炭素数1〜20のアルキル基
を1〜3個有するアルコキシシランに、クロルシラン又
はシラザンの単独又は複数種を混合して使用することが
できる。但し、本発明の金属アルコキシドは以上の例示
化合物に限定されない(以下同様)。
【0016】フッ素置換疎水性基を有するシラン化合物
は、例えばパーフルオロオクチルエチルトリエトキシシ
ランCF3(CF2)7(CH2)2Si(OC25)3、パーフル
オロイソプロピルエチルトリエトキシシラン(CF3)2
F(CH2)2Si(OC25)3などのほかに、パーフルオ
ロメチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロブチ
ルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエ
チルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチル
メチルジメトキシシランなどの炭素数1〜20の、好ま
しくは1〜10のパーフルオロアルキル基を有するアル
コキシシランなどが挙げられる。
【0017】チタネートカップリング剤としては、イソ
プロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピ
ルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、
テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタ
ネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイ
ト)チタネートなどが挙げられる。
【0018】アルミニウム系カップリング剤としてはア
セトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートを挙げ
られる。
【0019】上記処理をした溶接開先及びその近傍は、
水にまったくあるいは殆ど濡れない性質となる。水中に
没した場合は、表面に薄い空気の膜を生じる性質とな
る。この空気膜は溶接開先が下向き、上向きにかかわら
ず生じ、光を当てると、銀色に反射することで確認でき
る。
【0020】ここで、上記の各表面処理剤により形成さ
れたコーティング層が、水中に没したとき空気膜を保持
可能となるような性質について、図5、6、7を参照し
て説明する。図5に示すように、本処理により表面の一
部に、水中に没したとき空気膜を保持可能なコーティン
グ層21を形成した平板20(金属、セラミック又は合
成樹脂等の板)を空気中から水23中に入れた際、コー
ティング層21表面に接していた空気が保持された状態
で水中に持ち込まれ、層表面部に空気膜22が形成され
る。そして例えば、空気膜22に細管24を通じて少量
の空気を送りこむと、空気はこの空気膜22内に取り込
まれて、膜22は点線で示すように膨らむ。このように
コーティング層21は、水中で表面上に薄い空気膜22
を保持し、外部から供給された空気を空気膜22中に取
り込むという特有の性質がある。
【0021】この空気を取り込む性質について、さら
に、図6(A)、(B)を用いて説明する。まず、図6(A)
に示すように、表面全体にコーティング層21を形成し
た平板20を水中で傾斜させて、細管24を通じて板表
面に空気を連続的に供給した時は、空気がコーティング
層21表面に保持された空気膜22に取り込まれ、板2
0の傾斜面にそって上昇し、そして空気膜22端から気
泡27となって浮上する。図6(B)は、図6(A)での平
板20を上り斜面の正面寄りからみた図であり、図示の
ように、空気25が上り斜面にそって広がりながら流
れ、上端で空気溜り26となり、そこから気泡27とな
って浮上する。これと比べて、本コーティング層がな
い、例えば生地表面を露出した平板20を若干傾斜させ
て水中に浸漬し、金属板表面に細管を通じて空気を送り
こんだ時、図7に示すように空気は板表面に接すると、
直ちに板表面から離れ、気泡となって浮上する。なお、
本コーティング層上では、溶接用シールドガス、例え
ば、CO2、O2、Ar、He等の各ガスも空気と同じ挙
動を示し、これらのガスと空気またはそれらの混合ガス
は同等である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の水中上向き溶接方
法を具体的に図面により説明する。 (実施の形態1)図1は本発明の実施の形態1となるガ
スメタルアーク溶接法を用いる水中上向き溶接方法を示
す図、図2は図1のII−II断面図である。上向き溶接は
水中で被溶接部材1、1間に形成された溶接開先2を下
に向け、この溶接開先2に対して溶接用ノズル4を上に
向けて溶接を行う。この水中上向き溶接方法では溶接開
先2表面及びその近傍に、水中に没したとき空気膜保持
可能なコーティング層3が形成されている。
【0023】本処理によりコーティング層3を形成した
被溶接部材1,1を空気中から水中に入れた際、コーテ
ィング層3表面に接していた空気が保持された状態で水
中に持ち込まれ、コーティング層3の表面に空気膜4が
形成される。この空気膜4は溶接開先が上向き、下向き
等向きに関係なく、形成されるものである。
【0024】この水中上向き溶接方法によれば、溶接用
ノズル5から供給されたシールドガス6は、コーティン
グ層3表面の空気膜4を通過して流れ、さら空気と置換
して空気膜の代わりにガス膜4’が形成され、ガス膜を
通過して流れる。このガス膜4’がシールドガス6を取
り込む性質があるので、溶接開先2表面にシールドガス
6の満ちた空間を形成しやすく、さらにシールドガス6
の流れる方向に溶接開先2の天井があるので、シールド
ガス6の空間を作りやすい。そしてシールドガス6雰囲
気中で溶接ワイヤ7と溶接開先4との間にアークを発生
し、溶接を行う。このように、水中に没したとき空気膜
保持可能なコーティング層と上向き姿勢とを併用するこ
とにより、従来の水カーテン式湿式水中溶接法における
水カーテンなしに、シールドガスに満ちた空間をつくる
ことができ、ガスメタルアーク溶接法による上向き溶接
が可能になる。
【0025】また、既に水中に設置されている被溶接部
材開先部へは、別出願の水中での撥水材塗布方法を用い
ることにより、容易に撥水処理が可能であり、この場合
は塗布時に用いたシールドガスを保持したガス膜が開先
内に形成されるため、上記と同様にガスメタルアーク溶
接法による上向き溶接が可能となる。
【0026】また、このように、水中で移動する時に周
囲の水に対して抵抗の大きな水カーテンなしに、ガスメ
タルアーク溶接法による上向き溶接ができることから、
溶接用ノズルをモータ駆動の台車に搭載して移動させる
自動溶接に限らず、溶接用ノズルを手で操作する半自動
溶接による上向き溶接が可能になる。自動溶接と半自動
溶接について簡単に触れておくと、自動溶接では溶接用
ノズルをモータ駆動の台車に搭載して移動させるのに対
して、半自動溶接では溶接用ノズルを手で操作する点が
相違するのみであり、溶接ワイヤの自動送給や溶接アー
クの制御等の点では同じである。
【0027】次に、この水中上向き溶接で用いるコーテ
ィング処理剤の例を上げる。コーティング処理材Aは、
疎水性粒子としてトリメチルメトキシシランで表面を撥
水処理した無機酸化物であるシリカ粒子(SiO2:9
9%、粒径2μm)50重量部と、樹脂として(室温硬
化型シリコーンレジン、固形分20%)50重量部と、
溶媒としてイソプロピルアルコール200重量部を混合
したスラリである。このスラリを被溶接部材表面に刷毛
塗りし、乾燥させて得たコーティング層と水との接触角
は160度であった。
【0028】コーティング処理剤Bは、n−オクタデシ
ルトリメトキシシラン 20重量部とn−ヘキサン 80
重量部との混合溶液である。この混合溶液を被溶接部材
表面に刷毛塗りし、乾燥させて得たコーティング層と水
との接触角は、160度であった。
【0029】コーティング処理剤Cは、疎水性粒子とし
てテトラフルオロエチレン微粒子(粒径5μm)60重
量部と、樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂
(スリーボンド社)40重量部と、溶剤としてトルエン
200重量部を混合したスラリである。このスラリを被
溶接部材表面に刷毛塗りし、乾燥させて得たコーティン
グ層と水との接触角は、160度であった。
【0030】シールドガスの種類は被溶接部材に材質に
より異なる。主として、鋼に対してCO2、CO2−Ar
が、ステンレス鋼に対してはAr、Ar−CO2が用い
られる。またアルミニウム合金に対してはAr、He、
Ar−Heが用いられる。
【0031】(実施の形態2)図3は本発明の実施の形
態2となる被覆アーク溶接棒を用いる手溶接による水中
上向き溶接方法を示す図である。この上向き溶接は水中
で被溶接部材1、1間に形成された溶接開先2を下に向
け、この溶接開先2に対して被覆アーク溶接棒7により
手溶接を行う。この水中上向き溶接方法では、図2で示
すのと同じく、溶接開先2表面及びその近傍に、水中に
没したときに空気膜保持可能なコーティング層3が形成
されている。溶接アークが被覆溶接棒7と溶接開先2と
の間に発生した時、被覆溶接棒7の被覆に含まれるガス
発生剤が分解して生成されたガスとコーティング層3表
面の空気膜4とがつながり、かつ溶接開先2の天井の故
にガスが滞留しやすくなるので、このガス空間にあるア
ークの安定化を図ることができ、ガス膜のない状態で溶
接する場合に比べて健全な溶接が可能となる。コーティ
ング処理材A、B、Cの適用については、実施の形態1
におけると同様である。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、第1の水中上向き溶接
方法は、溶接開先及びその近傍に、水中に没したとき空
気膜を保持可能なコーティング層を設ける処理を空気中
又は水中で施し、溶接開先を下方に向けて被溶接部材を
水中に配置し、溶接用ノズルを通じて溶接ワイヤ及びシ
ールドガスを供給するガスメタルアーク溶接法により、
溶接するものとしたので、コーティング層の空気膜によ
りシールドガスの満ちた空間を形成しやすく、さらに溶
接開先の天井によりシールドガスの空間を作りやすく、
この雰囲気中でアークを安定して発生させることがで
き、従来用いた水カーテンなしに、良好な溶接が可能に
なる。
【0033】本発明によれば、第2の水中上向き溶接方
法は、上記第1の水中上向き溶接方法におけるガスメタ
ルアーク溶接法の代わりに被覆溶接棒を用いる手アーク
溶接法を用いるものとしたので、被覆溶接棒の被覆に含
まれるガス発生剤から出るガスとコーティング層の空気
膜とつながり、さらに溶接開先の天井によりガスが滞留
しやすくなり、このガス空間にあるアーク安定化でき、
ガス膜のない状態で溶接する場合に比べて良好な溶接が
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態となるガスメタルア
ーク溶接法による水中上向き溶接方法を説明する図であ
る。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態となる被覆溶接棒を
用いる手アーク溶接による水中上向き溶接方法を説明す
る図である。
【図4】水カーテン式湿式水中溶接法を原理的に説明す
る図である。
【図5】水中で空気膜を表面に保持するコーティング層
を説明する図である。
【図6】板面に形成されたコーティング層が空気膜を保
持し、該空気膜に取り込まれた空気がコーティング層の
面にそって移行することを説明する図である。
【図7】撥水処理されてない板を水中に浸漬し、板表面
に空気を送りこんだ時、空気は直ちに気泡となって浮上
する様子を示す図である。
【符号の説明】
1 被溶接部材 2 溶接開先 3 コーティング層 4 空気膜 4’ ガス膜 5 溶接用ノズル 6 シールドガス 7 溶接ワイヤ 8 被覆溶接棒
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B23K 35/36 B23K 35/36 Z C09K 3/18 101 C09K 3/18 101

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被溶接部材間に形成された突合せ溶接開
    先及びその近傍に、水中に没したとき空気膜を保持可能
    なコーティング層を設ける処理を空気中又は水中で施
    し、溶接開先を下方に向けて被溶接部材を水中に配置
    し、該溶接開先に対して溶接用ノズルを向け溶接開先の
    長手方向に移動させながら、該溶接用ノズルを通じて溶
    接ワイヤ及びシールドガスを供給するガスメタルアーク
    溶接法により、溶接することを特徴とする水中上向き溶
    接方法。
  2. 【請求項2】 被溶接部材間に形成される突合せ溶接開
    先及びその近傍に、水中に没したとき空気膜を保持可能
    なコーティング層を設ける処理を空気中または水中で施
    し、溶接開先を下方に向けて被溶接部材を水中に配置
    し、該溶接開先を被覆溶接棒を用いて手動でアーク溶接
    することを特徴とする水中上向き溶接方法。
  3. 【請求項3】 空気膜を保持可能なコーティング層を設
    ける処理は、疎水性粒子及び樹脂を溶媒に混合・分散し
    たスラリをコーティングして行う請求項1または2に記
    載の水中上向き溶接方法。
  4. 【請求項4】 疎水性粒子は、無機酸化物の粒子表面を
    疎水基を有する表面処理剤で処理してなる請求項3記載
    の水中上向き溶接方法。
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Cited By (6)

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