JP3377429B2 - 溶接用柔軟裏当て材 - Google Patents

溶接用柔軟裏当て材

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JP3377429B2
JP3377429B2 JP01708598A JP1708598A JP3377429B2 JP 3377429 B2 JP3377429 B2 JP 3377429B2 JP 01708598 A JP01708598 A JP 01708598A JP 1708598 A JP1708598 A JP 1708598A JP 3377429 B2 JP3377429 B2 JP 3377429B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油生産施設、荷
役施設、貯蔵施設、洋上空港、海上備蓄基地、橋梁、沈
埋トンネル、波力・潮流・温度差発電施設、海洋牧場等
の海洋構造物の洋上接合、水中補修・メンテナンス等に
用いる、あるいは陸上で雨中ないし湿度の高い環境中で
船舶、橋梁など鋼構造物の溶接に用いるのに好適な柔軟
性及び撥水性を有する裏当て材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、湿式水中溶接では裏当て材は、被
溶接部材と同じ材料(共金)を用いて、被溶接部材と一
緒に溶接される。取り外し可能な湿式水中溶接用裏当て
材としては、これまで銅製の裏当て金を用いる方法が研
究されているのみである。一方、陸上溶接用裏当て材と
してはセラミック製のものがある。これは、通常は短尺
もので、溶接線に沿って複数配列して使用する。この裏
当て材は、通常、炉中で乾燥させた後に使用する。その
他、陸上で船舶、橋梁など大型鋼構造物に用いられる片
面溶接(下向き溶接)において、粒状フラックスを開先
裏面に直接に押し当てるバッキング法やガラス繊維帯を
開先裏面に直接に押し当てるバッキング法など、開先の
目違いに対応させるものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】湿式水中溶接用裏当て
材として共金裏当てを用いた場合は、溶接後に裏当て材
が残るため、この裏当て材と重なる被溶接部材の面の塗
装などができず、特に海中構造物などの場合は、被溶接
部材と裏当て材との隙間で生じる隙間腐食が問題とな
り、その対策として犠牲陽極などの施工が必要となる。
すなわち犠牲陽極を裏当て材近傍に設けてそこで腐食を
促進させることにより、隙間腐食の防止を図る。また、
共金裏当て材付き溶接継ぎ手は、セラミック裏当て材な
ど溶接後取りはずし可能な裏当て材による完全溶け込み
裏波溶接継ぎ手に比べ80%程度の疲労強度であるた
め、疲労強度部材に適用することは、材料費や製作コス
トの点で不利である。
【0004】銅製の裏当て材は、完全溶け込み裏波溶接
後取りはずしできるが、水中溶接で形成される裏ビート
表面はやや荒れた形状となるため、溶接部の疲労強度が
低下するという問題がある。また、銅製の裏当て材は、
内部に冷却水路を設ける等のため、通常は長尺でフレキ
シビリティーがないため、突き合わせ溶接される被溶接
部材同士の目違いや変形に対応できず、裏ビート形状が
不良になりやすい。従って開先合わせの精度が厳しく、
施工準備に時間とコストがかかる。
【0005】陸上溶接用のセラミック裏当て材は、市販
品として正方形の板に近い短尺ものを複数配列して使用
するものがある。裏当て全体には、ある程度フレキシビ
リティーがあり、また溶融金属とのなじみがよく、裏ビ
ードの形状も良好であり陸上では多用される。しかし、
この種の裏当て材は多孔質であるため、水中で使用する
と吸湿し、内部の吸湿水分が溶接アーク熱により分解し
て多量の水素ガスを発生し、アークが乱れ溶接ができな
い。また、このセラミック裏当て材は、溶接開先での目
違いが大きい場合には、適用できない。
【0006】陸上での片面溶接で用いられる、粒状フラ
ックスによるバッキング法やガラス繊維帯によるバッキ
ング法などは、開先の目違いに対応できるが、これらの
方法は、水中又は湿気の多い環境では、粒状フラック
ス、ガラス繊維帯が吸湿するため、適用できない。溶接
用裏当て材は、吸湿したり水に濡れて水分を含むと、溶
接時に多量の水素ガスが発生し、ブローホールや割れ等
の溶接欠陥の原因となる。
【0007】本発明の目的は、溶接開先の目違いに対応
する柔軟性があり、かつ水中または高湿度の作業環境で
も良好な溶接ビート裏面を形成できる溶接用柔軟裏当て
材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による溶接用柔軟
裏当て材は、被溶接部材間に形成される溶接開先の裏側
に配置する溶接用柔軟裏当て材であって、粒状フラック
スとこの粒状フラックスを内部に充填する柔軟梱包袋と
から構成される。水中または雨天において使用するとき
は、柔軟梱包袋の表面に、あるいは粒状フラックス表面
及び柔軟梱包袋の表面に撥水性被膜を形成し、この撥水
性被膜は、撥水性材料を含んでなるものとする。撥水性
材料は、疎水性の無機酸化物粒子、疎水性の有機物質粒
子および疎水基を有する化合物の少なくとも1つを含ん
でなるものであるとよい。なお、撥水性被膜は、水との
接触角が90度以上となるもの、または水中に没したと
き表面に空気膜を形成するものを使用する。
【0009】この裏当て材は、柔軟な柔軟梱包袋と、該
柔軟梱包袋中にあって流動性のある粒状フラックスとか
ら構成されているので、裏当て材を溶接開先の裏面に押
しつけておけば、裏当て材は溶接開先の目違い、または
溶接中に生じる変形に対して、容易になじんで形状を変
える。したがって、柔軟裏当て材により、溶接ビード裏
側の形状をスムーズにすることができる。また、柔軟梱
包袋は、水との接触角が90度以上の撥水性被膜、また
は水中に没したとき表面に空気膜形成する超撥水性の被
膜を有するので、この裏当て材の表面に水が接しても、
水ははじかれて、内部に侵入することはない。また、柔
軟梱包袋内の粒状フラックスが、柔軟梱包袋と同様に撥
水性被膜を有するものとすれば、柔軟梱包袋が局部的に
破損して水が浸入た場合でも、水は、コーティング層を
有する粒状フラックスでなる充填体の撥水性によりはじ
かれて、内部に浸透することはない。
【0010】溶接用柔軟裏当て材を被溶接部材裏側に配
置するためには、柔軟梱包袋表面で溶接部材裏側と接す
る部位に接着テープ又は磁石を設けておくとよい。ある
いは、溶接用柔軟裏当て材を溶接開先の裏側に当接する
ように、各部材にまたがる支持部材により支持してもよ
く、この場合、この支持部材の、溶接部材裏側と接する
部位に接着テープを取り付けておくとよい。そして柔軟
梱包袋はガラス繊維から構成するのが好ましい。
【0011】以下、水中に没したときに空気膜を形成す
る被膜(以下、この被膜を超撥水コーティング層とい
う)を形成する方法およびその作用について説明する。
空気膜を保持させるために、2つの条件が必要であるこ
とを見いだした。1つは材料の撥水性であり、もう一つ
は空気膜を保持させるための表面の微細な凹凸構造であ
る。前者の撥水性は水との接触角で言うと90度以上が
望ましい。90度以下では空気膜を長期間保持すること
ができない。後者の表面の微細な凹凸は水中で空気を保
持するために必要な空間である。この凹凸があるため、
水中に没したときこの部分に空気を保持し、表面に空気
膜を保持することが可能になる。材料と水が直接接する
ことを防止する働きがある。
【0012】表面の微細な凹凸の形状は、断面が三角形
や半球状あるいは不定形の突起、または凹みを連続的に
または不規則に配置したものでよい。凹凸の寸法は、凹
部と凹部の間隔または凸部と凸部の間隔(以下、単に凹
凸の間隔という)は、2nm〜200μmが好ましい。
さらに好ましく20nm〜50μmが好ましい。20n
m以下では空気の保持できる空間の大きさが小さく、水
中での空気膜の容積が小さくなってしまうこと、200
μm以上では、凹凸の間隔が広くなり、水中での空気の
保持が悪くなるからである。
【0013】凹凸の高さは、20nm以上が好ましい。
これ以下だと空気膜の保持性能が悪い問題がある。上限
は空気膜の形成に関しては特に制限はないが、溶接時に
作業がやりにくくならない、寸法精度悪くならない範囲
である。1mm以下が好ましい。
【0014】超撥水コーティング方法としては、例え
ば、疎水性の無機質酸化物粒子及び/または疎水性の有
機物質であるポリテトラフルオロエチレン粒子と樹脂と
を溶媒に混合・分散したスラリ状の疎水化処理剤を、柔
軟梱包袋の表裏面及びフラックス粒子表面にコーティン
グする方法を用いる。
【0015】あるいは、柔軟梱包袋の表面及びフラック
ス粒子の表面を、疎水性基を有するアルコキシシラン、
クロロシラン、シラザンのいわゆるシラン化合物や、ジ
メチルポリシロキサン、疎水基を有するチタネートカッ
プリング剤、アルミニウム系カップリング剤の液で処理
して、基材表面に疎水基を結合させる方法を用いる。
【0016】上記のコーティングに用いる疎水性無機質
酸化物粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、
酸化鉄などの粒子を用い、該粒子に疎水基を有する表面
処理剤で処理した粒子の少なくとも1種を使用する。
【0017】無機質酸化物粒子の大きさは0.001〜
100μmがよい。粒子の大きさが0.001μm未満
では、疎水化処理剤を作る際に取扱い難くなり、100
μmを超えると基材内への含浸が不十分となる。
【0018】疎水基を有する表面処理剤は、アルキル基
やフッ素置換疎水性基を有するシラン、クロロシラン、
シラザンのいわゆるシラン化合物や、ジメチルポリシロ
キサン、アルキル基を有するチタネートカップリング
剤、アルミニウム系カップリング剤を使用する。
【0019】但し、無機酸化物粒子を疎水化処理できる
方法であれば、前記の方法に限定されるわけではない。
【0020】アルキル基を有するシラン化合物として、
メチル基を有するもので、例えばメチルメトキシシラン
CH3Si(OCH3)3、ジメチルジメトキシシラン(CH
3)2Si(OCH3)2、トリメチルメトキシシラン(CH3)
3Si(OCH3)、メチルトリエトキシシランCH3Si
(OC25)3、ジメチルジエトキシシラン(CH3)2Si
(OC25)2、トリメチルエトキシシラン(CH3)3Si
(OC25)、ヘキサメチルジシラザンなどがある。アル
キル基をもつシラン化合物として、エチル基を有するも
のでは、エチルトリメトキシシランC25Si(OC
3)3、ジエチルジメトキシシラン(C25)2Si(OC
3)2、トリエチルメトキシシラン(C25)3Si(OC
3)、エチルトリエトキシシランC25Si(OC25)
3、ジメチルジエトキシシラン(C25)2Si(OC25)
2、トリエチルエトキシシラン(C25)3Si(OC25)
などがある。アルキル基をもつシラン化合物として、プ
ロピル基を有するものでは、プロピルトリメトキシシラ
ンC37Si(OCH3)3、ジプロピルジメトキシシラン
(C37)2Si(OCH3)2、トリプロピルメトキシシラ
ン(C37)3Si(OCH3)、プロピルトリエトキシシラ
ンC37Si(OC25)3、ジプロピルジエトキシシラ
ン(C37)2Si(OC25)2、トリプロピルエトキシ
シラン(C37)3Si(OC25)などがある。
【0021】また、長鎖アルキルシランとしてn−オク
タデシルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリエトキ
シシラン等がある。
【0022】上記のような炭素数1〜20のアルキル基
を1〜3個有するアルコキシシランに、クロルシランま
たはシラザンの、単独又は複数種を混合して使用するこ
とができる。但し、本発明の金属アルコキシドは以上の
例示化合物に限定されない(以下同様)。
【0023】フッ素置換疎水性基を有するシラン化合物
は、例えばパーフルオロオクチルエチルトリエトキシシ
ランCF3(CF2)7(CH2)2Si(OC25)3、パーフル
オロイソプロピルエチルトリエトキシシラン(CF3)2
F(CH2)2Si(OC25)3などのほかに、パーフルオ
ロメチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロブチ
ルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエ
チルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチル
メチルジメトキシシランなどの炭素数1〜20の、好ま
しくは1〜10のパーフルオロアルキル基を有するアル
コキシシランなどが挙げられる。
【0024】チタネートカップリング剤としては、イソ
プロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピ
ルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、
テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタ
ネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイ
ト)チタネートなどが挙げられる。
【0025】アルミニウム系カップリング剤としてはア
セトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートを挙げ
られる。疎水性粒子としてはテトラフルオロエチレン粒
子も適している。
【0026】上記の疎水性無機酸化粒子やテトラフルオ
ロエチレン粒子は、単独でも混合しても利用することが
できる。
【0027】疎水性粒子、樹脂、溶媒の混合したスラリ
状疎水化処理剤を、セラミック粉末の固化成形体である
基材表面にコーティングする方法としては、吹き付け、
刷毛塗り、ディッピング等通常の方法が利用できる。
【0028】疎水性粒子と樹脂との混合比は、重量比で
100:0〜10:90が適するが、疎水化処理後の裏
当て材の接触角が90°以上であれば良く、必ずしもこ
の範囲に限定されない。
【0029】上記処理をした柔軟裏当て材は、水にまっ
たくあるいは殆ど濡れない性質となる。水中に没した場
合は、柔軟梱包袋表面に薄い空気膜を生じる性質とな
る。この空気の膜は、光を当てると、銀色に反射するこ
とで確認できる。また、内部のフラックスも本コーティ
ング処理がなされているため、水中に没しても内部への
水の浸入もなく全く水にぬれることがないため、2重ノ
ズルの外側かららっぱ状に水を噴出させ、内側からシー
ルドガスを流すことにより、ノズル直下に局部的に空洞
を形成する水カーテン式湿式水中溶接法を用いて、この
裏当て材を当てた開先部を溶接する際、溶接ノズル直下
の局部空洞中ではシールドガスにより完全に水が排除さ
れ、水のない状態で溶接可能となり安定な溶接と良好な
裏波ビードを得ることができる。
【0030】ここで、上記の各表面処理剤により形成さ
れた本超撥水コーティング層が、水中に没したときに空
気膜を保持可能となるような性質について、図6、7、
8を参照して説明する。図6に示すように、表面の一部
に本超撥水コーティング層21を形成した平板20(金
属、セラミックまたは合成樹脂等の板)を空気中から水
23中に入れた際、超撥水コーティング層21表面に接
していた空気が保持された状態で水中に持ち込まれ、層
表面部に空気膜22が形成される。そして、例えば、こ
の空気膜22に細管24を通じて少量の空気を送りこむ
と、空気はこの空気膜22内に取り込まれて、膜22は
点線で示すように膨らむ。このように超撥水コーティン
グ層21は、水中で表面上に薄い空気膜22を保持し、
外部から供給された空気を空気膜22中に取り込むとい
う特有の性質がある。
【0031】この空気を取り込む性質について、さら
に、図7(A)、(B)を用いて説明する。まず、図7(A)
に示すように、表面全体に超撥水コーティング層21を
形成した平板20を水中で傾斜させて、細管24を通じ
て板表面に空気を連続的に供給した時は、空気が超撥水
コーティング層21表面に保持された空気膜22に取り
込まれ、板20の傾斜面にそって上昇し、そして空気膜
22端から気泡27となって浮上する。図7(B)は、図
7(A)での平板20を上り斜面の正面寄りからみた図で
あり、図示のように、空気25が上り斜面にそって広が
りながら流れ、上端で空気溜り26となり、そこから気
泡27となって浮上する。これと比べて、本超撥水コー
ティング層がない、たとえば生地表面を露出した平板2
0を若干傾斜させて水中に浸漬し、金属板表面に細管を
通じて空気を送りこんだ時、図8に示すように、空気は
板表面に接すると、直ちに板表面から離れ、気泡となっ
て浮上する。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面により具体的
に説明する。図1は本発明の実施の形態となる溶接用柔
軟裏当て材の構成を示す部分断面図、図2は該柔軟裏当
て材を被溶接部材に取り付けた状態を示す断面図であ
る。
【0033】図1に示すように、柔軟裏当て材1は、本
コーティング処理した粒状フラックス2と、この本コー
ティング処理した粒状フラックス2が充填され生地が本
コーティング処理されたガラス繊維製柔軟梱包袋3と、
ガラス繊維製柔軟梱包袋3の表面に該袋3の長手方向に
取り付けた2つの両面接着テープ4とから構成する。そ
れぞれ本コーティング処理された粒状フラックス2及び
ガラス繊維製柔軟梱包袋3の表面には、水中に没したと
きに空気膜保持可能な超撥水コーティング層が形成され
ている。ガラス繊維製柔軟梱包袋3はその両端が閉じら
れた袋となっている。この柔軟裏当て材1は、図2に示
すように、被溶接部材5、5の突合せ部に形成された突
合せ開先6の裏側に当接するように、被溶接部材5、5
それぞれの裏面に両面接着テープ4、4により取り付け
る。柔軟裏当て材1は、その柔軟性の故に、開先裏面が
曲面であっても使用できる。柔軟裏当て材一つあたりの
長さ、接着テープによる貼付間隔は対象の溶接構造物の
大きさ形状にしたがい適宜決められるものである。な
お、柔軟裏当て材は、本コーティング処理されたガラス
繊維製柔軟梱包袋に本コーティング処理しない普通の粒
状フラックスを充填したものでもよい。しかし、この柔
軟裏当て材の場合は、ガラス繊維製柔軟梱包袋が破れな
いように取扱いに注意する必要がある。
【0034】このように柔軟裏当て材を用いる水中溶接
方法の例として、水カーテン式湿式水中溶接法を図5に
より説明する。水カーテン式湿式水中溶接法は、ガスメ
タルアーク溶接方法を用いて行うもので、原理的には、
水9の中に配置された被溶接部材5、5間に形成された
溶接開先6に対向しこの溶接開先6の長手方向に移動さ
せる溶接用ノズル13先端部を二重筒構造とし、水中で
内外両筒13a、13bの間隙から溶接開先6を含む被
溶接部材5上に水を噴射させてラッパ状の水カーテン1
4を作り、内筒13aからシールドガス15をながして
水カーテン14内部に空洞16を形成することにより、
内筒13aの軸中心に配置されたコンタクトチップ13
cを通じて供給される溶接ワイヤ17と被溶接部材5と
の間に発生するアーク18、及びこのアーク18により
溶接開先6中に形成される溶融池を、周辺の水から保護
して溶接する方法である。ここでは突合せ開先6の裏当
て材として本発明の柔軟裏当て材1を取り付けている。
【0035】この方法によれば、被溶接部材5が水にぬ
れていても、水カーテン14及びシールドガス15によ
り被溶接部材5上から水を排除して、シールドガスに満
たされた局部的空洞16を形成することができ、溶接す
べき箇所を乾燥した状態にする事ができるので、安定し
た溶接が行える。
【0036】とくに、柔軟裏当て材表面が、水中におい
て薄い空気膜を形成するために、この空気膜にシールド
ガスが取り込まれ、柔軟裏当て材の表面近くから水分を
完全に取り除くことができる。
【0037】図3に、柔軟裏当て材を溶接開先の裏側に
取り付ける固定治具を示す。この固定治具7Aは、角溝
を形成する部材とその上部からそれぞれ外側に張り出す
フランジと、各フランジ上面に取り付けられた両面接着
テープ4とから構成される。固定治具7Aは、柔軟裏当
て材1を溝の中に入れ、柔軟裏当て材1の上面を溶接開
先の裏側に押しつけるように、両面接着テープ4により
被溶接部材5に取り付けられる。柔軟裏当て材1は目違
いなどの開先部の精度不良に追随しやすいので、被溶接
部材から溶接金属にわたって溶接ビードの裏面を形状を
滑らかにすることができる。さらに、柔軟裏当て材1
は、本コーティング処理したフラックス2を本コーティ
ング処理したガラス繊維布3でくるんだものであるの
で、柔軟裏当て材1と被溶接部材5との間に多少の隙間
があっても開先上面からシールドガスを流すことにより
ガス層8を形成する。これは、柔軟裏当て材1を空気中
から水中に持ち込む時、ガラス繊維製柔軟梱包袋3表面
に空気層が形成されたまま持ち込まれるので、シールド
性が高くなり、ガス層8をより一層容易に形成すること
ができるのである。
【0038】図4に示す固定治具7Bは、固定治具7A
の角型と異なり、半円ないし浅い皿状の横断面を有する
ものである。この種の固定治具7Bとして、ゴムまたは
ステンレス鋼製の蛇腹などフレキシブルなものを用いて
もよい。そして固定治具7B内に柔軟裏当て材1を接着
剤により取り付けることにより取扱が容易になり、柔軟
裏当て材1を溶接開先に配置する作業性を向上させるこ
とができる。
【0039】なお、粒状フラックスを包み込む柔軟梱包
袋は、本コーティング処理をしたガラス繊維製に限ら
ず、普通の木綿の布に本コーティング処理したものでも
よく、又シリコーンゴムなども使用できる。また、カー
ボン繊維製のものやカーボン繊維をある程度柔軟性を持
たせて固めたものでもよい。また、柔軟裏当て材を被溶
接部材にとりつけるために、被溶接部材の材質がどんな
ものでも適用できる両面接着テープ4に限らず、鋼構造
物等にはマグネットを用いてもよい。マグネットは水中
や雨中での裏当て材の付着をよくするのに有効である。
【0040】本発明の溶接用柔軟裏当て材を用いる溶接
法としては、ガスメタルアーク溶接方法にかぎらず、被
覆アーク溶接を用いることができる。また本溶接用裏当
て材は、耐吸湿性があるので、水中だけでなく、陸上で
も使用することができる。陸上の溶接においても、裏当
て材の吸湿は、ブローホール、水素割れなど溶接欠陥の
原因になるため、裏当て材の管理は厳しく、一般的には
乾燥炉の中で管理される。特に高張力鋼など高級材料の
溶接の場合は、裏当て材に対して厳重な管理が要求され
る。したがって、本発明のような裏当て材を用いれば、
管理が簡単で特に湿度の高い場所での溶接(例えば、船
のバラストタンクの中や、海上での溶接施工など)でも
使用可能である。屋外での溶接作業中に雨が降って本発
明の裏当て材上に水玉がたまっても、裏当て材に圧縮空
気を吹きつけて水分を除去して、それから溶接すればよ
い。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、水中溶接用裏当て材
は、柔軟性があるため溶接開先部の目違いに対応できる
とともに、撥水材または特殊コーティング処理を施すこ
とにより、水中に没したときに空気膜を保持可能な超撥
水コーティング層を有するものとしたので、その空気膜
により水中でも吸湿せず、水カーテン式湿式水中溶接法
による水中溶接では良好なビードを得ることができる。
陸上でも、湿度の高い場所での使用や雨で濡れた場合に
でも健全な溶接部を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態となる溶接用柔軟裏当て材
の構成を示す図である。
【図2】柔軟裏当て材を被溶接部材に取り付けた状態を
示す断面図である。
【図3】水中溶接のために溶接開先裏側に配置した柔軟
裏当て材及びそれを取り付ける固定治具を示す図であ
る。
【図4】水中溶接のために溶接開先裏側に配置した柔軟
裏当て材及びそれを取り付ける別の固定治具を示す図で
ある。
【図5】水カーテン式水中溶接法の原理図である。
【図6】水中で空気膜を表面に保持する超撥水コーティ
ング層を説明する図である。
【図7】板面に形成された超撥水コーティング層が空気
膜を保持し、該空気膜に取り込まれた空気が超撥水コー
ティング層の面にそって移行することを説明する図であ
る。
【図8】撥水処理されてない板を水中に浸漬し、板表面
に空気を送りこんだ時、空気は直ちに気泡となって浮上
する様子を示す図である。
【符号の説明】 1 柔軟裏当て材 2 粒状フラックス 3 ガラス繊維製柔軟梱包袋 4 両面接着テープ 5 被溶接部材 6 溶接開先 7A、7B 固定治具 8 固定治具 13 溶接用ノズル 13a ノズル内筒 13b ノズル外筒 13c コンタクトチップ 14 水カーテン 15 シールドガス 16 空洞 17 溶接ワイヤ 18 アーク 21 コーティング層 22 空気層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 義昭 千葉県市原市八幡海岸通1番地 三井造 船株式会社 千葉事業所内 (72)発明者 福田 和廣 東京都中央区築地5丁目6番4号 三井 造船株式会社内 (72)発明者 稲葉 俊和 千葉県市原市八幡海岸通1番地 三井造 船株式会社 千葉事業所内 (56)参考文献 実開 昭51−48128(JP,U) 特公 昭45−40768(JP,B1) 特公 昭45−25974(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 37/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被溶接部材間に形成される溶接開先の裏
    側に配置する溶接用柔軟裏当て材において、粒状フラッ
    クスと該粒状フラックスを内部に充填する柔軟梱包袋と
    を有して構成され、前記柔軟梱包袋の表面に撥水性材料
    を含んでなる撥水性皮膜が形成された溶接用柔軟裏当て
    材。
  2. 【請求項2】 前記撥水性材料は、疎水性の無機質酸化
    物粒子、疎水性の有機物質粒子および疎水基を有する化
    合物の少なくとも1つを含んでなることを特徴とする請
    求項1に記載の溶接用柔軟裏当て材。
  3. 【請求項3】 前記粒状フラックスの表面に前記撥水性
    材料を含んでなる撥水性被膜が形成されなることを特徴
    とする請求項1又は2に記載の溶接用柔軟裏当て材。
  4. 【請求項4】 前記柔軟梱包袋の、前記被溶接部材裏側
    と接する部位に接着テープ又は磁石が取り付けられたこ
    とを特徴とする請求項1、2又は3に記載の溶接用柔軟
    裏当て材。
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