JP3377424B2 - 溶接部のコーティング溶接方法 - Google Patents

溶接部のコーティング溶接方法

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JP3377424B2
JP3377424B2 JP33548197A JP33548197A JP3377424B2 JP 3377424 B2 JP3377424 B2 JP 3377424B2 JP 33548197 A JP33548197 A JP 33548197A JP 33548197 A JP33548197 A JP 33548197A JP 3377424 B2 JP3377424 B2 JP 3377424B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油生産施設、荷
役施設、貯蔵施設、洋上空港、海上備蓄基地、橋梁、沈
埋トンネル、波力・潮流・温度差発電施設、海洋牧場等
の海洋構造物の洋上接合、水中補修・メンテナンス等に
用いる、あるいは陸上で雨中ないし湿度の高い環境中で
船舶、橋梁など鋼構造物の溶接に用いるのに好適な溶接
部のコーティング及び溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】構造物機械部品等の金属工作物、非鉄金
属工作物の製作には、溶接加工が必要不可欠である。一
般に、溶接する材料は、予め工場で開先部の加工を行
う。多くの場合、鉄鋼材料などでは特に処理を行わない
ため、開先部に錆が発生し、現場作業時に錆落としの必
要が生じる。材質によっては、開先保護のためにテープ
状のものが貼られることがあるが、溶接前にはがすため
の工程が必要であった。
【0003】近年、溶接部の健全性を確保し、製品の品
質向上を図るため、従来は溶接部の水分等の不純物を除
去して、その正常性確保が不可欠となってきた。例え
ば、被覆溶接棒やフラックスは、恒温湿箱や不活性ガス
雰囲気に保管されてきた。また、溶接部の不純物は、物
理的方法、化学的方法の併用により清浄化処理がされて
きた。特に、原子力関係機器、高圧ガス機器のように、
溶接欠陥に起因する破壊事故の被害が甚大であればある
程、溶接作業に係わる品質管理ランクもそれ相応に厳し
くなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、最近の大型水
中固定構造物、大型水中浮体構造物等の出現により、最
悪な環境の水中溶接の高品質化技術が脚光を浴びてい
る。水中溶接のようなウェットな環境下で、溶接の高品
質性を確保するには、溶接部の周囲に理想的な局所環境
を人工的に作る特殊設備が必要になり、コストアップが
実用化の障害であった。
【0005】また、溶接材料は結露による水分や湿度に
よって錆が発生するので、例えば開先部の錆落としや発
錆防止に神経を使ってきた。さらに、水中や雨中などで
は、溶接部材が吸湿したり水に濡れて水分を含むと、吸
湿水分が溶接アーク熱により分解して多量の水素ガスが
発生し、ブローホールや割れ等の溶接欠陥の原因となる
恐れがあった。
【0006】本発明の目的は、上記課題を解決するため
になされたもので、水中で空気膜形成可能なコーティン
グ技術の適用によって、水中や高湿度環境下での水分や
不純物の付着防止を図り、溶接部の健全性を向上させる
溶接部のコーティング溶接方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下のよう
に達成される。請求項1記載発明は、溶接に係る母材ま
たは裏当金もしくは裏当材のいずれか一方もしくは双方
の溶接部表面に、水中に没したときに空気膜を保持可能
なコーティング層を設けたことを特徴とする。本方法に
よれば、溶接部は空気膜によって水分が直接接触せず、
濡れることが防止されるため、高品質な溶接が確保され
る。また、請求項2記載発明は、溶接に係る開先加工部
に、水中に没したときに空気膜を保持可能なコーティン
グ層を設けて溶接することを特徴とするので、開先加工
部に水分の吸湿が防止され、水素ガス発生によるブロー
ホールや割れが防止される。また、請求項3記載発明
は、溶接部材の開先加工部およびその周辺に形成した水
カーテン内で、前記溶接部材に、水中に没したときに空
気膜を保持可能なコーティング層を設けた部材を用い
て、水中溶接を実施することを特徴とする。本方法によ
れば、水中においても、溶接部材には空気膜が形成され
保持されているので、溶接部の濡れが防止され、健全性
が確保される。また、請求項4記載発明は、予め加工し
た溶接部材の開先加工部に、水中に没したときに空気膜
を保持可能なコーティング層を設けたことを特徴とする
溶接部材なので、開先加工部に水分の付着が防止され、
錆の発生が抑制される。
【0008】以下、水中に没したときに空気膜を保持可
能なコーティング層を形成する方法およびその作用につ
いて説明する。空気膜を保持させるために、2つの条件
が必要であることを見いだした。1つは材料の撥水性で
あり、もう1つは空気膜を保持させるための表面の微細
な凹凸構造である。前者の撥水性は水との接触角で言う
と90度以上が好ましい。90度以下では空気膜を長期
間保持することができない。後者の表面の微細な凹凸は
水中で空気を保持するために必要な空間である。この凹
凸があるため、水中に没したときこの部分に空気を保持
し、表面に空気膜を保持することが可能になり、材料と
水が直接接することを防止する働きがある。
【0009】表面の微細な凹凸の形状は、断面が三角形
や半球状あるいは不定形の凸部、または凹部を連続的に
または不規則に配置したものでよい。凹凸の寸法は、凹
部と凹部の間隔または凸部と凸部の間隔(以下、単に凹
凸の間隔という)は、2nm〜200μが好ましい。さ
らに好ましく20nm〜50μが好ましい。20nm以
下では空気の保持できる空間の大きさが小さく、水中で
の空気膜の容積が小さくなってしまうこと、200μ以
上では、凹凸の間隔が広くなり、水中での空気の保持が
悪くなるからである。凹凸の高さは、20nm以上が好
ましい。これ以下だと空気膜の保持性能が悪い問題があ
る。上限は空気膜の形成に関しては特に制限はないが、
溶接時に作業がやりにくくならない、寸法精度の悪くな
らない範囲である。1mm以下が好ましい。
【0010】具体的なコーティング方法としては、硬化
後に上記の撥水性と、空気層を保持させるための凹凸構
造が構成されるように、あらかじめ調製されたコーティ
ング液を、開先加工部等の溶接部表面に塗布する方法が
利用できる。コーティング液は、疎水性粒子および樹脂
を溶媒に混合・分散したスラリーからなる。
【0011】疎水性粒子は、無機酸化物の粒子表面を疎
水基を有する表面処理剤で処理したもの、有機材料のポ
リテトラフルオロエチレン粒子を用いることができる。
粒子は空気膜を保持するための凹凸構造を構成するもの
であるので、粒径は、平均粒径で2nm〜200μが好
ましい。さらに好ましくは20nm〜50μが好まし
い。20nm以下では空気の保持できる空間の大きさが
小さく、水中での空気膜の容積が小さくなってしまうこ
と、200μ以上では、凹凸の間隔が広くなり、水中で
の空気の保持が悪くなりからである。処理をおこなう無
機酸化物粒子の種類は、シリカ、アルミナ、酸化チタ
ン、酸化鉄などを挙げることができる。
【0012】疎水基を有する表面処理剤は、アルキル基
やフッ素置換疎水性基を有するシラン、クロロシラン、
シラザンのいわゆるシラン化合物や、ジメチルポリシロ
キサン、アルキル基を有するチタネートカップリング
剤、アルミニウム系カップリング剤を使用する。アルキ
ル基を有するシラン化合物として、メチル基を有するも
ので、例えばメチルメトキシシランCH3Si(OCH3)
3、ジメチルジメトキシシラン(CH3)2Si(OC
3)2、トリメチルメトキシシラン(CH3)3Si(OCH
3)、メチルトリエトキシシランCH3Si(OC
25)3、ジメチルジエトキシシラン(CH3)2Si(OC2
5)2、トリメチルエトキシシラン(CH3)3Si(OC2
5)、ヘキサメチルジシラザンなどがある。アルキル基
をもつシラン化合物として、エチル基を有するもので
は、エチルトリメトキシシランC25Si(OCH3)3
ジエチルジメトキシシラン(C25)2Si(OCH3)2
トリエチルメトキシシラン(C25)3Si(OCH3)、エ
チルトリエトキシシランC25Si(OC25)3、ジエ
チルジエトキシシラン(C25)2Si(OC25)2、トリ
エチルエトキシシラン(C25)3Si(OC25)などが
ある。アルキル基をもつシラン化合物として、プロピル
基を有するものでは、プロピルトリメトキシシランC3
7Si(OCH3)3、ジプロピルジメトキシシラン(C3
7)2Si(OCH3)2、トリプロピルメトキシシラン(C
37)3Si(OCH3)、プロピルトリエトキシシランC3
7Si(OC25)3、ジプロピルジエトキシシラン(C
37)2Si(OC25)2、トリプロピルエトキシシラン
(C37)3Si(OC25)などがある。
【0013】また、長鎖アルキルシランとしてn−オク
タデシルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリエトキ
シシラン等がある。上記のような炭素数1〜20のアル
キル基を1〜3個有するアルコキシシランに、クロルシ
ランまたはシラザンの単独または複数種を混合して使用
することができる。
【0014】フッ素置換疎水性基を有するシラン化合物
は、例えばパーフルオロオクチルエチルトリエトキシシ
ランCF3(CF2)7(CH2)2Si(OC25)3、パーフル
オロイソプロピルエチルトリエトキシシラン(CF3)2
F(CH2)2Si(OC25)3などのほかに、パーフルオ
ロメチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロブチ
ルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエ
チルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチル
メチルジメトキシシランなどの炭素数1〜20の、好ま
しくは1〜10のパーフルオロアルキル基を有するアル
コキシシランなどが挙げられる。
【0015】チタネートカップリング剤としては、イソ
プロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピ
ルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、
テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタ
ネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイ
ト)チタネートなどが挙げられる。アルミニウム系カッ
プリング剤としてはアセトアルコキシアルミニウムジイ
ソプロピレートを挙げられる。
【0016】但し、無機酸化物粒子を疎水化処理できる
方法であれば、前記の方法に限定されるわけではない。
疎水性粒子、樹脂、溶媒の混合した、本コーティング液
を開先加工部等の溶接部表面に塗布する方法としては、
吹き付け、刷毛塗り、ディップング等通常の方法が利用
できる。
【0017】上記処理を行うことにより、溶接部は水に
まったくあるいは殆ど濡れない性質となる。水中に没し
た場合は、溶接部表面に薄い空気膜を生じる性質とな
る。この空気の膜は、光を当てると、銀色に反射するこ
とで確認できる。また、水中に没しても、この空気膜に
より水が、部材と直接接触することなく、部材内部への
水の浸入もなく完全に水にぬれることがないため、例え
ば、2重ノズルの最外側からカーテン状に水を噴出さ
せ、内側からシールドガスを流すことにより、ノズル直
下に局部的に空洞を形成して行う水中溶接法で、裏当金
を当てた開先部の溶接において、溶接ノズル直下の局部
空洞中ではシールドガスにより完全に水が排除され、水
のない状態で溶接可能となり、安定な溶接と良好な裏波
ビードを得ることができる。
【0018】ここで、上記の各表面処理剤により形成さ
れた本コーティング層が、水中に没したときに空気膜を
保持可能となるような性質について、図9、10、11
を参照して説明する。図9に示すように、表面の一部に
本コーティング層51を形成した平板50(金属、セラ
ミックまたは合成樹脂等の板)を空気中から水53中に
入れた際、本コーティング層51表面に接していた空気
が保持された状態で水中に持ち込まれ、層表面部に空気
膜52が形成される。そして、例えば、この空気膜52
に細管54を通じて少量の空気を送りこむと、空気はこ
の空気膜52内に取り込まれて、膜52は点線で示すよ
うに膨らむ。このように本コーティング層51は、水中
で表面上に薄い空気膜52を保持し、外部から供給され
た空気を空気膜52中に取り込むという特有の性質があ
る。
【0019】この空気を取り込む性質について、さら
に、図10(A)、(B)を用いて説明する。まず、図10
(A)に示すように、表面全体に本コーティング層51を
形成した平板50を水中で傾斜させて、細管54を通じ
て板表面に空気を連続的に供給したときは、空気が本コ
ーティング層51表面に保持された空気膜52に取り込
まれ、板50の傾斜面にそって上昇し、そして空気膜5
2端から気泡57となって浮上する。図10(B)は、図
10(A)での平板50を上り斜面の正面寄りからみた図
であり、図示のように、空気55が上り斜面にそって広
がりながら流れ、上端で空気溜り56となり、そこから
気泡57となって浮上する。これと比べて、本コーティ
ング層がない、例えば、生地表面を露出した平板50
を、若干傾斜させて水中に浸漬し、金属板表面に細管を
通じて空気を送りこんだとき、図11に示すように空気
は板表面に接すると、直ちに板表面から離れ、気泡とな
って浮上する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を参照して説明する。図1に、本発明の適用される大
気中および水中で施工可能な、ガスシールドアーク溶接
の基本図を示す。ここで、ガスシールド溶接を取り上げ
た理由は、大気中および水中の両環境に適用可能である
からである。ガスシールド溶接は、アルゴン、ヘリウム
等の不活性ガス、または、これらに少量の活性ガス(炭
酸がガス、酸素等)を加えたガス雰囲気中で行うイナー
トガスアーク溶接と、主として炭酸ガス雰囲気中で行う
炭酸ガスアーク溶接とがある。そして、溶接中に電極が
溶けて溶接金属になる消耗電極式とその反対の非消耗電
極式(タングステン電極式)とがある。どちらも本発明
の適用対象である。
【0021】まず、図1を用いて、ガスシールド溶接に
ついての基本を説明する。アルゴンや炭酸ガス等のシー
ルドガス10中で、電極ワイヤ11と母材12との間に
アーク13を発生させ、電極ワイヤ11が溶融するにつ
れて、この電極ワイヤ11を送給し溶接を行う。シール
ドガス10として、アルゴンガス等の不活性ガス(数%
のCO2、O2を含む)を用いる場合がMIG溶接、炭酸
ガスを用いるのが炭酸ガスアーク溶接である。両方のガ
スを適当な割合で混合したガスを、シールドガス10と
するのがMAG溶接である。なお、送給ローラ14は電
極ワイヤ11を溶融するにつれて送り出し、ガスノズル
15内では、電極チップ16によりアーク発生用の電力
を与えられるようになっている。符号の17は溶融ワイ
ヤ、18は溶融池、19は溶接金属である。
【0022】次に、ガスシールド溶接の溶接部に、本コ
ーティング技術を導入した発明の実施形態を以下に説明
する。図2および図3に、本発明の一実施形態を示す。
図2は、ガスシールド水中溶接(大気中でのガスシール
ド溶接にも当然適用できる)を示す図である。図3は、
通常の大気中での被覆溶接棒を用いたアーク溶接を示す
図である。それぞれ、V形開先加工を施工した母材の突
き合わせ溶接を例示している。
【0023】図2の場合は、母材20、裏当金21およ
び電極ワイヤ11に、水中に没したときに空気膜を保持
可能なコーティング22を施した例である。母材20お
よび裏当金21は、図4に示す通り、両面にコーティン
グ22を施す。このコーティング22の実施方法として
は、ブラッシング塗装、吹き付け塗装および浸漬塗装の
どれでも適用できる。母材20のコーティング範囲26
は、母材の板厚、開先形状等を考慮して任意に決めるこ
とができる。裏当金21は母材20の溶接部の裏側に、
仮付け溶接23を水中部で行い固着する。なお、符号の
27は溶接線を示す。
【0024】この後、溶接部の開先面側にガスシールド
溶接をセッティングして、水圧に打ち勝つ圧力のシール
ドガス10を、ガスノズル15から流しながら、母材2
0と電極ワイヤ11に通電し水中溶接を行う。溶接部は
コーティングの作用により、空気膜が形成されているの
で、水に濡れないため、水分や不純物の付着が防止さ
れ、また、水中の溶存酸素による酸化防止が図られる。
さらに、溶接部周辺から、水のガス圧による排除が容易
となる。この場合、本コーティング表面の空気を取り込
む特徴により、シールドガスも容易に取り込み、アーク
周辺を完全に水密にすることができ、水中で安定な溶接
が可能となる。
【0025】また、裏当金21の水中仮付け溶接23を
行う際は、図7に示すように、フラックス24入りのワ
イヤ(コーティング有り、無しの両方可能)、または外
面に防水テープ等を巻いた被覆溶接棒を用いれば、容易
に水中アーク溶接ができる。図中、(a)〜(d)は、
それぞれフラックス入りワイヤの断面を示し、シース2
5の内部にフラックス24が封入されている。又、ここ
には図示していないが、裏当金の替わりに本コーテイン
グしたセラミック等の裏当材を開先部裏面に固定して水
中溶接した後裏当材を取り去って水中で裏波溶接する事
も可能である。
【0026】このようにして、裏当金もしくは裏当材を
用いたワンパスの水中溶接が可能となる。このような水
中溶接が、ある区画単位で完了すれば、この溶接区画は
ドライ環境(タンク)を形成できるので、大気中の通常
の溶接技術を使って溶接構造物を能率良く多層溶接しな
がら製作できる。
【0027】一方、図3の場合も、溶接環境と溶接法の
違いを除けば、本コーティングの効能は、本質的には、
図2の水中溶接と同様である。すなわち、大気中のアー
ク溶接において、図3に示すように、母材20、裏当金
21および被覆溶接棒31などに本コーティング22を
施している。母材20および裏当金21は、図5に示す
通り、両面に本コーティング22を施す。本コーティン
グ22の実施方法としては、ブラッシング塗装、吹き付
け塗装および浸漬塗装のどれでも適用できる。母材20
のコーティング範囲は、母材の板厚、開先形状等を考慮
して任意に決めることができる。裏当金21は母材20
の溶接部の裏側に仮付け溶接23を行い固着する。
【0028】図6に、溶接部の開先形状の一例を示す。
(a)のI型溶接、(b)のU型溶接、(c)のX型溶
接、(d)のH型溶接、(e)のK型溶接、(f)のT
型溶接等、基本的には付き合わせ溶接、隅肉溶接および
重ね溶接のどの種類の溶接にも本発明は適用可能であ
る。
【0029】次に、上述した本コーティングによって、
開先加工部の防錆処理を行う方法を説明する。溶接母材
の開先加工部の加工後、上述したコーティング剤を塗布
することによって、溶接前の錆落としなどの前処理工程
省くことができる。従来、溶接する材料は、あらかじめ
工場で開先部の加工を行う。鉄綱材料では多くの場合、
とくに処理を行わないための開先部に錆が発生し、現場
作業時に錆落としの必要が生じる。材質によっては開先
保護のためにテープ状のものが貼られることがある。し
かし、溶接前に、はがすための工程が必要である。錆は
結露による水分や湿度によって発生する。本コーティン
グ剤を表面に塗布することによって、水分の付着を防止
し開先の酸化を防止する。また、この材料は溶接時に何
の影響も与えないために、シール材のように溶接前には
がす必要もなくそのまま使用することが可能である。
【0030】次に、水中溶接時に水カーテン内の空洞形
成を容易にする方法について言及する。図8は、水カー
テンを用いた溶接方法の一例を示す斜視図である。図に
示すように、溶接トーチ水カーテンノズル28によっ
て、溶接母材20の開先部29とその周辺の水カーテン
30のかかる範囲に、上述のようなコーティングを施す
ことによって、本コーティング表面の空気を取り込む性
質により、その内部に空洞を形成することが容易にな
る。また同時に、使用するガスの流量を減らすことがで
きる。
【0031】以上説明したように、本発明の実施形態に
よれば、本コーティング技術を導入したことにより、以
下のような顕著な作用効果が得られる。 (1)水分を完全に除去可能であり、溶接の健全性が高
精度に維持される。 (2)溶接部が保護されているので、作業現場での溶接
が簡単になり、溶接速度も早くなる。 (3)水中でも、あるいは雨中などの高湿度環境下で
も、本コーティング表面に空気膜を形成するため、高品
質な溶接が容易にできるので、溶接精度を高めるととも
に、溶接コストも低くなる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、水
中に没したときに空気膜を保持するコーティング技術の
適用によって、水中や高湿度環境下でも、溶接部に水分
の濡れが生じないので、溶接の健全性を高精度に維持で
き、作業も容易でコストも低くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるガスシールド消耗電極式ア
ーク溶接方法の基本図である。
【図2】本発明の一実施形態のガスシールド水中溶接方
法を示す図である。
【図3】本発明の他の実施形態の大気中のアーク溶接方
法を示す図である。
【図4】図2における水中溶接の開先部および裏当金の
コーティングを示す図である。
【図5】図3における大気中溶接の開先部および裏当金
のコーティングを示す図である。
【図6】本発明の適用される溶接部の開先加工例の一部
を示す図である。
【図7】本発明におけるフラックス入りワイヤのいくつ
かの例を示す断面図である。
【図8】本発明における水カーテンを用いた溶接方法の
一例を示す斜視図である。
【図9】本発明における水中で空気膜を表面に保持する
コーティング層を説明する図である。
【図10】板面に形成されたコーティング層が空気膜を
保持し、該空気膜に取り込まれた空気がコーティング層
の面にそって移行することを説明する図である。
【図11】コーティング処理されてない板を水中に浸漬
し、板表面に空気を送りこんだとき、空気は直ちに気泡
となって浮上する様子を示す図である。
【符号の説明】
10 シールドガス 11 電極ワイヤ 12 母材 13 アーク 14 送給ローラ 15 ガスノズル 16 電極チップ 17 溶融ワイヤ 18 溶融池 19 溶接金属 20 母材 21 裏当金もしくは裏当材 22 コーティング 23 裏当金水中仮付け溶接 24 フラックス 25 シース 26 コーティング範囲 27 溶接線 28 溶接トーチ水カーテンノズル 29 開先部 30 水カーテン 31 被覆溶接棒 50 平板(金属、セラミックまたは合成樹脂等の板) 51 コーティング層 52 空気膜 53 水 54 細管 55 空気 56 空気溜り 57 気泡 θ 水の接触角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B23K 37/06 B23K 37/06 A (72)発明者 稲葉 俊和 千葉県市原市八幡海岸通1番地 三井造 船株式会社 千葉事業所内 (72)発明者 福田 和廣 東京都中央区築地5丁目6番4号 三井 造船株式会社内 (56)参考文献 特開 昭50−133939(JP,A) 特開 昭55−30395(JP,A) 特開 昭58−47591(JP,A) 特開 昭49−79939(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 9/00 B23K 31/00 B23K 33/00 B23K 37/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接に係る母材または裏当金もしくは裏
    当材のいずれか一方もしくは双方の溶接部表面に、水中
    に没したときに空気膜を保持可能なコーティング層を設
    けたことを特徴とする溶接部のコーティング溶接方法。
  2. 【請求項2】 溶接に係る開先加工部に、水中に没した
    ときに空気膜を保持可能なコーティング層を設けて溶接
    することを特徴とする溶接部のコーティング溶接方法。
  3. 【請求項3】 溶接部材の開先加工部およびその周辺に
    形成した水カーテン内で、前記溶接部材に、水中に没し
    たときに空気膜を保持可能なコーティング層を設けた部
    材を用いて、水中溶接を実施することを特徴とする溶接
    部のコーティング溶接方法。
  4. 【請求項4】 予め加工した溶接部材の開先加工部に、
    水中に没したときに空気膜を保持可能なコーティング層
    を設けたことを特徴とする溶接部材。
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