JPH11239891A - 溶接ワイヤ - Google Patents

溶接ワイヤ

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JPH11239891A
JPH11239891A JP4396798A JP4396798A JPH11239891A JP H11239891 A JPH11239891 A JP H11239891A JP 4396798 A JP4396798 A JP 4396798A JP 4396798 A JP4396798 A JP 4396798A JP H11239891 A JPH11239891 A JP H11239891A
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JP
Japan
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welding
flux
water
air film
welding wire
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Withdrawn
Application number
JP4396798A
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English (en)
Inventor
Yoshiaki Matsumoto
義昭 松本
Mitsuru Komori
充 小森
Toru Iwasaki
徹 岩崎
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Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フラックス入り溶接ワイヤや溶接棒に対し、
水中で空気膜保持可能なコーティング技術を適用して、
保存性能を向上させ溶接の健全性を向上させる。 【解決手段】 シース20の内部に封入するフラックス
21に、水中に没したときに水との接触面に空気膜を保
持可能なコーティング剤で表層処理し、溶接心線となる
金属あるいは非金属のシース20で包蔵する塑性加工を
行って、ドラム巻き溶接ワイヤや、適当な長さに切断し
た真直溶接棒を製造する。最後に、シース全面をフラッ
クスと同様な方法により本コーティング処理を行う。本
構成によれば、水分をはじく空気膜保持性能により、吸
湿による品質低下を防止でき、保存管理が容易である。
また、水中での本付けまたは仮付け溶接を簡単にでき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油生産施設、荷
役施設、貯蔵施設、洋上空港、海上備蓄基地、橋梁、沈
埋トンネル、波力・潮流・温度差発電施設、海洋牧場等
の海洋構造物の洋上接合、水中補修・メンテナンス等に
用いる、あるいは陸上で雨中ないし湿度の高い環境下で
船舶、橋梁など鋼構造物の溶接に用いるのに好適な溶接
ワイヤに関する。
【0002】
【従来技術】構造物、機械部品等の金属工作物、非鉄金
属物の製作には、溶接加工が必要不可欠である。溶接部
の健全性を確保し、製品の品質向上を図るため、溶接ワ
イヤや溶接棒、あるいはフラックスなどの品質管理がき
わめて重要である。例えば、溶接ワイヤ、溶接棒、フラ
ックスなどは、恒温湿箱や不活性ガス雰囲気の保管箱に
保管されてきた。特に、原子力関係機器、高圧ガス機器
のように、溶接欠陥に起因する破壊事故の被害が甚大で
あればあるほど、溶接ワイヤなど、溶接作業に係わる品
質管理ランクもそれ相応に厳しくなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、最近の大型水
中固定構造物、大型水中浮体構造物等の出現により、最
悪な環境の水中溶接の高品質化技術が脚光を浴びてい
る。このようなウェットな環境下で、溶接の高品質性を
確保するために、保存による品質低下のない溶接ワイヤ
あるいは溶接棒が望まれていた。そのため、溶接ワイ
ヤ、溶接棒、フラックス等の乾燥保存管理や洗浄保存管
理には、多大の神経が使われ、コストアップの要因にな
っていた。しかも、水中溶接や雨中などでは、現場使用
時に、溶接ワイヤや溶接棒が濡れたり湿気を帯びること
になり、溶接の健全性が損なわれる恐れがある。そのた
め、溶接部の周囲に理想的な局所環境を人工的に作る特
殊設備が必要になるなど、実用化の障害となっていた。
【0004】なお、特開昭48−49号公報に示され
た、片面溶接における裏当て用フラックスおよびその製
造方法には、溶接金属とフラックスとの密着性向上を目
的として、フラックス成分中に、コールタールを0.5
〜8%添加することが開示されているが、雨天時や水の
飛散する場所では、水分に触れると吸湿し、乾燥処理を
行わなければ溶接を実施できなかった。
【0005】本発明の目的は、上記問題を解決するため
になされたもので、従来のフラックス入り溶接ワイヤに
対して、水中に没したときに、水との接触面に空気膜を
保持可能なコーティング技術を適用することによって、
保管管理が容易で長期間の保存でも品質劣化がなく、ま
た、大気中はもちろん、水中や高湿度環境下において
も、健全性の向上した高品質な溶接を可能にする溶接ワ
イヤを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下のよう
に達成される。請求項1記載発明は、シース内にフラッ
クスが充填されている溶接ワイヤにおいて、前記フラッ
クスは、水中に没したときに、水との接触面に空気膜を
保持可能なコーティング層を有することを特徴とする。
本構成によれば、フラックスは空気膜により水分がはじ
かれるので、吸湿による品質劣化がなく、また、水分に
よる溶接精度の低下が防止され、健全性が確保される。
また、請求項2記載発明は、前記シースの表面に、前記
コーティング層が施されていることを特徴とするので、
シース表面が水と接触しても、該接触面には空気膜が保
持されており、大気中での溶接と同様の健全性が確保さ
れるとともに、保存管理が容易となる。以下、水中に没
したときに、水との接触面に空気膜を保持可能なコーテ
ィング層を形成する方法およびその作用について説明す
る。本発明者らは、空気膜を保持させるために、2つの
条件が必要であることを見いだした。1つは材料の撥水
性であり、もう1つは空気膜を保持させるための表面の
微細な凹凸構造である。前者の撥水性は水との接触角で
言うと90度以上が好ましい。90度以下では空気膜を
長期間保持することができない。後者の表面の微細な凹
凸は水中で空気を保持するために必要な空間である。こ
の凹凸があるため、水中に没したときこの部分に空気を
保持し、表面に空気膜を保持することが可能になり、材
料と水が直接接することを防止する働きがある。
【0007】表面の微細な凹凸の形状は、断面が三角形
や半球状あるいは不定形の凸部、または凹部を連続的に
または不規則に配置したものでよい。凹凸の寸法は、凹
部と凹部の間隔または凸部と凸部の間隔(以下、単に凹
凸の間隔という)は、2nm〜200μが好ましい。さ
らに好ましく20nm〜50μが好ましい。20nm以
下では空気の保持できる空間の大きさが小さく、水中で
の空気膜の容積が小さくなってしまうこと、200μ以
上では、凹凸の間隔が広くなり、水中での空気の保持が
悪くなるからである。凹凸の高さは、20nm以上が好
ましい。これ以下だと空気膜の保持性能が悪い問題があ
る。上限は空気膜の形成に関しては特に制限はないが、
作業上は1mm以下が好ましい。
【0008】具体的なコーティング方法としては、硬化
後に上記の撥水性と、空気層を保持させるための凹凸構
造が構成されるように、あらかじめ調製されたコーティ
ング液を塗布する方法が利用できる。コーティング液
は、疎水性粒子および樹脂を溶媒に混合・分散したスラ
リーからなる。
【0009】疎水性粒子は、無機酸化物の粒子表面を疎
水基を有する表面処理剤で処理したもの、有機材料のポ
リテトラフルオロエチレン粒子を用いることができる。
粒子は空気膜を保持するための凹凸構造を構成するもの
であるので、粒径は、平均粒径で2nm〜200μが好
ましい。さらに好ましくは20nm〜50μが好まし
い。20nm以下では空気の保持できる空間の大きさが
小さく、水中での空気膜の容積が小さくなってしまうこ
と、200μ以上では、凹凸の間隔が広くなり、水中で
の空気の保持が悪くなりからである。処理をおこなう無
機酸化物粒子の種類は、シリカ、アルミナ、酸化チタ
ン、酸化鉄などを挙げることができる。
【0010】疎水基を有する表面処理剤としては、アル
キル基やフッ素置換疎水性基を有するシラン、クロロシ
ラン、シラザンのいわゆるシラン化合物や、ジメチルポ
リシロキサン、アルキル基を有するチタネートカップリ
ング剤、アルミニウム系カップリング剤を使用する。た
だし、無機酸化物粒子を疎水化処理できる方法であれ
ば、前記の方法に限定されるわけではない。
【0011】アルキル基を有するシラン化合物として、
メチル基を有するもので、例えばメチルメトキシシラン
CH3Si(OCH3)3、ジメチルジメトキシシラン(CH
3)2Si(OCH3)2、トリメチルメトキシシラン(CH3)
3Si(OCH3)、メチルトリエトキシシランCH3Si
(OC25)3、ジメチルジエトキシシラン(CH3)2Si
(OC25)2、トリメチルエトキシシラン(CH3)3Si
(OC25)、ヘキサメチルジシラザンなどがある。
【0012】アルキル基を有するシラン化合物として、
エチル基を有するものでは、エチルトリメトキシシラン
25Si(OCH3)3、ジエチルジメトキシシラン(C2
5)2Si(OCH3)2、トリエチルメトキシシラン(C2
5)3Si(OCH3)、エチルトリエトキシシランC25
Si(OC25)3、ジエチルジエトキシシラン(C25)2
Si(OC25)2、トリエチルエトキシシラン(C25)3
Si(OC25)などがある。
【0013】アルキル基を有するシラン化合物として、
プロピル基を有するものでは、プロピルトリメトキシシ
ランC37Si(OCH3)3、ジプロピルジメトキシシラ
ン(C37)2Si(OCH3)2、トリプロピルメトキシシ
ラン(C37)3Si(OCH3)、プロピルトリエトキシシ
ランC37Si(OC25)3、ジプロピルジエトキシシ
ラン(C37)2Si(OC25)2、トリプロピルエトキ
シシラン(C37)3Si(OC25)などがある。
【0014】また、長鎖アルキルシランとしてn−オク
タデシルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリエトキ
シシラン等がある。上記のような炭素数1〜20のアル
キル基を1〜3個有するアルコキシシランに、クロルシ
ランまたはシラザンの単独または複数種を混合して使用
することができる。ただし、本発明に係わる金属アルコ
キシドは以上の例示化合物に限定されない(以下同
様)。
【0015】フッ素置換疎水性基を有するシラン化合物
は、例えばパーフルオロオクチルエチルトリエトキシシ
ランCF3(CF2)7(CH2)2Si(OC25)3、パーフル
オロイソプロピルエチルトリエトキシシラン(CF3)2
F(CH2)2Si(OC25)3などのほかに、パーフルオ
ロメチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロブチ
ルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエ
チルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチル
メチルジメトキシシランなどの炭素数1〜20の、好ま
しくは1〜10のパーフルオロアルキル基を有するアル
コキシシランなどが挙げられる。
【0016】チタネートカップリング剤としては、イソ
プロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピ
ルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、
テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタ
ネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイ
ト)チタネートなどが挙げられる。アルミニウム系カッ
プリング剤としてはアセトアルコキシアルミニウムジイ
ソプロピレートを挙げられる。
【0017】疎水性粒子としてはテトラフルオロエチレ
ン粒子も適している。上記の疎水性無機酸化粒子やテト
ラフルオロエチレン粒子は、単独でも混合しても利用す
ることができる。疎水性粒子と樹脂との混合比は、重量
比で100:0〜10:90が適するが、疎水化処理後
の接触角の条件により、必ずしもこの範囲に限定されな
い。なお、溶接ワイヤに空気膜保持機能を付与できるコ
ーティング処理剤であれば、前記の表面処理剤に限定さ
れるわけではない。また、本コーティング方法として
は、ディッピング、吹き付け、刷毛塗り等の通常の方法
が利用できる。
【0018】上記処理を行うことにより、溶接ワイヤ
は、水にまったくあるいは殆ど濡れない性質となる。水
中に没した場合は、材料表面に薄い空気膜を生じる性質
となる。この空気の膜は、光を当てると、銀色に反射す
ることで確認できる。また、水中に没しても、この空気
膜により水がはじかれて、材料内部への水の浸入もなく
なる。そのため、長期間の保存でも品質の劣化を抑制で
き、水中や雨中の現場使用時でも、乾燥状態で使用でき
るので、溶接の健全性を確保できる。
【0019】ここで、上記の各表面処理剤により形成さ
れた本発明によるコーティング層において、水中でも空
気膜保持可能となる性質について、図5〜図7を参照し
て説明する。図5に示すように、表面の一部に本コーテ
ィング層51を形成した平板50(金属、セラミックま
たは合成樹脂等の板)を空気中から水53中に入れた
際、本コーティング層51表面に接していた空気が保持
された状態で水中に持ち込まれ、層表面部に空気膜52
が形成される。そして、例えば、この空気膜52に細管
54を通じて少量の空気を送りこむと、空気はこの空気
膜52内に取り込まれて、膜52は点線で示すように膨
らむ。このように本コーティング層51は、水中で表面
上に薄い空気膜52を保持し、外部から供給された空気
を空気膜52中に取り込むという特有の性質がある。
【0020】この空気を取り込む性質について、さら
に、図6(A)、(B)を用いて説明する。まず、図6(A)
に示すように、表面全体に本コーティング層51を形成
した平板50を水中で傾斜させて、細管54を通じて板
表面に空気を連続的に供給したときは、空気が本コーテ
ィング層51表面に保持された空気膜52に取り込ま
れ、板50の傾斜面にそって上昇し、そして空気膜52
端から気泡57となって浮上する。図6(B)は、図6
(A)での平板50を上り斜面の正面寄りからみた図であ
り、図示のように、空気55が上り斜面にそって広がり
ながら流れ、上端で空気溜り56となり、そこから気泡
57となって浮上する。これと比べて、本コーティング
層がない、例えば生地表面を露出した平板50を若干傾
斜させて水中に浸漬し、金属板表面に細管を通じて空気
を送りこんだとき、図7に示すように空気は板表面に接
すると、直ちに板表面から離れ、気泡となって浮上す
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、フラックス入りの溶接ワイ
ヤを使用する従来のセルフシールドアーク溶接法の原理
を説明後、本発明の実施形態を説明する。この溶接法
は、フラックス入り溶接ワイヤを用いて、外部からシー
ルドガスを供給しないで行う溶接法である。電極溶接ワ
イヤに包蔵されているフラックス中には、ガス発生剤、
脱酸剤、脱窒剤、スラグ形成剤等が含有されている。ガ
ス発生剤から発生するガスはアークを保護し、溶融池に
入り込んだ酸素や窒素は、脱酸剤および脱窒剤の作用に
よりスラグ化したり、固定化したりする。
【0022】炭酸ガスアーク溶接は能率的であるが、炭
酸ガスでシールドする機器が必要である。大気中の強風
下や、水中の速い流速下等での現地溶接ではシールド不
良が心配される。これに対して、セルフシールドアーク
溶接は、これらの欠点をある程度カバーした溶接法であ
る。本溶接法は、ガスボンベやホースが不要であり、風
や水流に鈍感で、秒速15m程度までなら溶接部に欠陥
が出ないと言われている。母材の汚れに鈍感で被覆アー
ク溶接用交流電源が使用可能等の、現地溶接向きの特徴
を有している。ビードはスラグに覆われるので美しい波
を呈する。ただし、溶接ワイヤ中に含まれているフラッ
クスの特性により、溶接時に多量の溶接ヒュームを発生
するので、特殊な吸引トーチの使用が必要であり、密閉
空間の溶接には向かない。なお、シールドガスを用いる
フラックス入りワイヤにおいても、フラックスに本発明
におけるコーティング層を施すことにより、フラックス
の吸湿を防ぎ、保管管理が容易となり、品質劣化を防止
することができる。
【0023】図1はフラックス入り溶接ワイヤの姿図、
図2はフラックス入り溶接棒の姿図、図3はフラックス
入り溶接ワイヤの断面図である。本発明の実施形態は、
フラックス21や、溶接ワイヤ10または溶接棒11
に、水中に没したときに、水との接触面に空気膜を保持
可能な本発明におけるコーティング層を施したものであ
る。すなわち、図3の溶接ワイヤを例にして説明する
と、図中、(a)〜(d)は、それぞれ、シース20の
内部にフラックス21の封入されたフラックス入り溶接
ワイヤの4つの例を示している。
【0024】図1、2、3に示すフラックス入り溶接ワ
イヤ、あるいは溶接棒の製造法は、以下の通りである。
従来のフラックスに、本コーティング剤をブラッシン
グ、吹き付け、蒸着および浸漬法等により表層コーティ
ングして、目的のフラックスを製造する。このフラック
スを溶接心線となる金属あるいは非金属のシースで包蔵
する塑性加工を行って、ドラム巻き溶接ワイヤあるいは
適当な長さに切断した真直溶接棒を製造する。最後に、
シース全面をフラックスと同様な方法によって本コーテ
ィングを行う。なお、本発明では、これらの実施形態に
おいて、フラックス21の粒子のみの表面に本コーティ
ング処理をしてもよいし、シース表面のみに処理しても
よい。また、フラックスとシース内面との間のみに、本
コーティング層を形成してもよいし、これらを任意に組
み合わせてもよい。
【0025】本発明になるコーティング処理を施したフ
ラックス入り溶接ワイヤ、または溶接棒は、コーティン
グ表面に空気膜を形成して水分をはじくため、長期間の
保存でも、吸湿して品質が低下するなどの問題がない。
また、水中溶接を行う場合の、裏金や開先部の仮付けあ
るいは本付けに好適に使用できる。水中での本溶接に使
用しても何ら差し支えない。上記の溶接ヒューム発生の
欠点があっても、仮付け溶接なら、その発生量は少なく
問題にならないし、ガスシールド機器が不要なので、身
動きの大きい仮付け作業にも適している。
【0026】そのため、以下のような優れた作用効果が
ある。 (1)本発明におけるコーティング層表面に空気膜を形
成して水分をはじくため、長期間保存しても品質の劣化
がない。また、保管施設コストを低減できる。 (3)水分をはじく空気膜保持性能により、水中や雨中
での溶接の健全性が向上し、高品質な溶接を実施でき
る。 (2)本コーティングによって、溶接機能が向上し、水
中や高湿度下における本付けおよび仮付け溶接を簡単に
できる。
【0027】次に、裏当てなどに用いられる本コーティ
ング処理を施したフラックス粉末およびその作成方法に
ついて説明する。例えば、水中における板継ぎ溶接等の
片面溶接は、裏ビートを形成しながら施工される。この
場合、開先裏面に均一な厚さの裏当てフラックスおよび
治具が必要である。この場合のフラックス粉末は、吸水
性では溶接に用いることができない。そこで、フラック
ス粉末表面に本コーティング処理を施すことができれ
ば、溶接前に高圧ガスの吹き付けによって、水分は完全
に開先裏面およびフラックス中から除去できる。
【0028】図4は、粉末用の本コーティング剤塗布装
置の概略図である。図に示すように、フラックス粉末の
表面への本コーティング処理は、ドラム容器30にフラ
ックス粉末31を充填し、このドラム容器30を回転さ
せながら、ドラム上方に設置したノズル32から本コー
ティング剤33を塗布してコーティングする。これによ
り、次のような作用効果がある。 回転ドラム等で施工するため、欠陥のない均一なコ
ーティング膜が形成できる。 市販の溶接用フラックスに施工できる。 溶接以外の水分を嫌う粉末等にも応用できる。 メタルパウダーの防錆方法としても応用できる。 また、上記以外の方法として、本コーティング液中に粉
末を浸漬・撹拌することによって、粉末表面に均一に空
気膜保持層を形成できる。撹拌方法としては、容器の回
転、ガス吹き込みによるバブリング、機械的な撹拌等が
ある。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、フラックス入り溶接ワ
イヤに対して、水中に没したときに、水との表面に空気
膜を保持可能なコーティング技術を適用することによっ
て、保管管理が容易で長期間の保存でも品質劣化がな
く、また、大気中はもちろん、水中や高湿度環境下にお
いても、健全性の向上した高精度な溶接を可能にする溶
接ワイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるフラックス入り溶接ワイヤの姿
図である。
【図2】本発明におけるフラックス入り溶接棒の姿図で
ある。
【図3】本発明におけるフラックス入り溶接ワイヤの4
つの断面形状例を示す断面図である。
【図4】本発明におけるコーティング剤塗布装置の概略
図である。
【図5】本発明における水中で空気膜を表面に保持する
コーティング層を説明する図である。
【図6】板面に形成された本コーティング層が空気膜を
保持し、該空気膜に取り込まれた空気が本コーティング
層の面にそって移行することを説明する図である。
【図7】本コーティング処理されてない板を水中に浸漬
し、板表面に空気を送りこんだとき、空気は直ちに気泡
となって浮上する様子を示す図である。
【符号の説明】
10 フラックス入り溶接ワイヤ 11 フラックス入り溶接棒 20 シース 21 フラックス 30 ドラム容器 31 フラックス粉末 32 ノズル 33 本発明におけるコーティング剤 50 平板(金属、セラミックまたは合成樹脂等の板) 51 本発明におけるコーティング層 52 空気膜 53 水 54 細管 55 空気 56 空気溜り 57 気泡

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シース内にフラックスが充填されている
    溶接ワイヤにおいて、前記フラックスは、水中に没した
    ときに、水との接触面に空気膜を保持可能なコーティン
    グ層を有することを特徴とする溶接ワイヤ。
  2. 【請求項2】 前記シースの表面に、前記コーティング
    層が施されていることを特徴とする請求項1に記載の溶
    接ワイヤ。
JP4396798A 1998-02-25 1998-02-25 溶接ワイヤ Withdrawn JPH11239891A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100987346B1 (ko) 2008-05-20 2010-10-12 황선출 이음매 틈새 밀봉층을 갖는 플럭스 코어드 와이어의제조방법 및 그를 위한 이음매 틈새 밀봉장치
CN107030413A (zh) * 2017-04-12 2017-08-11 广东省焊接技术研究所(广东省中乌研究院) 一种适用于厚板高强钢窄间隙埋弧焊的药芯焊丝

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