JPH08216979A - バラストタンクの防食方法 - Google Patents

バラストタンクの防食方法

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JPH08216979A
JPH08216979A JP2634895A JP2634895A JPH08216979A JP H08216979 A JPH08216979 A JP H08216979A JP 2634895 A JP2634895 A JP 2634895A JP 2634895 A JP2634895 A JP 2634895A JP H08216979 A JPH08216979 A JP H08216979A
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JP
Japan
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ballast tank
seawater
ballast
space part
corrosion
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Application number
JP2634895A
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English (en)
Inventor
Hideaki Yuki
英昭 幸
Takashi Amaya
尚 天谷
Hiroshi Kishikawa
浩史 岸川
Takayuki Kamimura
隆之 上村
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】経済的で防食性能に優れた船舶あるいは海洋構
造物のバラストタンクの防食方法の提供。 【構成】バラストタンク内空間部の湿潤空気を乾燥空気
と置換、または/およびバラストタンク内空間部の湿潤
空気中の水分を除去し、バラストタンク空間部の相対湿
度を60%以下に保持するバラストタンクの防食方法。
この時、バラスト海水面上に浮遊液体または/および浮
遊固体を浮遊させて海水の蒸発量を抑制するのが好まし
い。 【効果】バラストタンク空間部に接する鋼材表面を、優
れた防食性能が発揮される乾燥状態に常時維持すること
が、効率的かつ経済的に行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、船舶あるいは海洋構造
物におけるバラストタンクの経済的かつ効率的な防食方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】タンカーや鉱石運搬船等の船舶にあって
は、空荷の場合にも船体の安定性を保つために、船体内
に設けられたバラストタンク内に海水を注入積載して安
定航行を図っている。また、浮体空港島や浮体橋等の固
定浮遊海洋構造物にあってもその適宜部位に設けられた
バラストタンク内に海水を注入積載して安定浮遊を図っ
ている。
【0003】しかし、バラストタンク内に注入積載され
る海水は、鋼材に対して著しい腐食性を有しているの
で、上記バラストタンクを構成する鋼材には腐食を防止
するための対策が必要となる。
【0004】バラストタンク内の鋼材の腐食状況として
は、海水で満たされている没海水部分に接する鋼材部分
の腐食はそれほど激しいものではなく、海水面上の空間
部分に接するバラストタンク内壁等の鋼材部分の腐食の
著しいことが知られている。
【0005】これは、空間部分に接する鋼材部分にあっ
ては、飛沫海水および蒸発した海水の凝縮薄膜水によっ
て湿潤状態あるいは乾湿繰り返し状態にあり、腐食を促
進する海水や酸素が豊富に存在し、腐食のカソード反応
を担う酸素が空気中から十分に供給され続けられること
による。
【0006】また、一般に、海水のような中性環境で
は、鋼材表面への酸素補給量によって鋼材の腐食量が決
まるので、上記のような湿潤状態あるいは乾湿繰り返し
状態にあるバラストタンク内の空間部分においては腐食
が著しくなる。
【0007】なお、没海水部分に接する鋼材に対して
は、犠牲陽極あるいは外部電源を用いた電気防食によっ
て腐食を抑制することが可能であるが、空間部分に接す
る鋼材に対して犠牲陽極あるいは外部電源を用いた電気
防食を施すことはできない。
【0008】上記のバラストタンク内の空間部分に接す
る鋼材の腐食防止対策としては、通常、飛沫海水および
蒸発した海水の凝縮薄膜水に曝される鋼材表面にタール
エポキシ樹脂等を200μm程度と比較的厚く被覆する
塗装防食が行われている。しかし、この方法は塗装に長
時間かかり工期が長くなること、塗装費が嵩むわりには
塗膜寿命が約10年と短く、補修塗装が長期的には避け
られないという欠点を有している。
【0009】また、近年、タンカー等の船舶の座礁事故
等によるオイル流出が引き起こした海洋汚染事故を教訓
に、オイル流出を防止する観点から、船体の二重殻(ダ
ブルハル)化が義務付けられるようになってきた。この
二重殻構造を採用する場合には、二重殻部分がバラスト
タンクとして設計されるため、バラストタンクの防食対
策としての塗装面積が著しく増大するとともに、非常に
狭い空間での塗装作業を強いられるため、作業性の著し
い低下をもたらし、塗装期間が著しく長くなるのに加え
て塗装工事費が大幅に増加する。また、塗膜劣化後の補
修塗装も非常に狭い空間での塗装作業となるので、実際
上困難である。
【0010】このような問題を解消するため、バラスト
タンク内の空間部にイナートガス(低酸素のガス)を充
満させ、空気をパージしてバラストタンク内の鋼構造部
を防食する方法が提案されている(特開平4−5518
8号公報参照)。
【0011】すなわち、バラストタンク内の空間部にイ
ナートガスを充満させて空気をパージすると、空間部の
酸素濃度を低くすることができるため、鋼材表面の腐食
の一因である酸素と水とによる電気化学的な腐食反応を
起こすことを防止することができ、これによってバラス
トタンク内の鋼構造部の腐食の発生、進行を抑えること
ができるという。
【0012】しかし、上記提案の方法は、実際に適用す
るのが難しい。すなわち、イナートガスとして船舶駆動
機関の燃焼排ガスを使用すると、燃焼排ガス中に残存す
る酸素ガスによって、バラストタンク内の酸素濃度を防
食に実効ある程度の濃度にまで低減できないか、または
酸素濃度の低減に多大な時間を要することになる。ま
た、燃焼排ガス中の酸素を低減して利用する場合にも、
排ガス中に含まれるSO2 やCO2 ガスが逆に腐食を加
速するため、実効ある効果が得られない。
【0013】一方、迅速な酸素濃度の低減のために、例
えば窒素ガス、アルゴンガス等の純粋なイナートガスを
用いると、防食に必要な酸素濃度への低減は可能になる
が、コストが嵩むことになる。さらに、バラストタンク
内にイナートガスを充満させると、バラストタンク内は
常に酸欠状態となるため、バラストタンク内での点検等
の作業は危険作業として安全上の制約を受けることにな
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した実状に鑑みなされたもので、バラストタンク内の空
間部にイナートガス等を注入することなく、実効ある防
食抑制効果の得られる経済的なバラストタンクの防食方
法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の
(1)〜(2)のバラストタンクの防食方法にある。
【0016】(1)バラストタンク内空間部の湿潤空気
を乾燥空気と置換するか、または/およびバラストタン
ク内空間部の湿潤空気中の水分を除去することにより、
バラストタンク内空間部の相対湿度を60%以下に保持
することを特徴とするバラストタンクの防食方法。
【0017】(2)バラストタンク内のバラスト海水面
上に、海水よりも比重が小さく、かつ海水と相溶せず、
さらに海水面で液体である物質または/および海水より
も比重が小さく、かつ海水面で固体である物体を浮遊さ
せることを特徴とする上記(1)に記載のバラストタン
クの防食方法。
【0018】なお、上記(2)に記載する「海水と相溶
せず」とは、海水と混合しても互いに溶解することがな
く、相分離を起こす状態を言い、通常、海水と相溶しな
い液体である物質は、海水100gに対する溶解量が
0.1g以下のものである。また、「海水よりも比重が
小さく、かつ海水面で固体である物体」とは、物体それ
自体を構成する材質の比重ではなく、物体全体の[(重
量/(容積)]で求められる比重(以下、単に見掛け比
重と言う)を有するものをいう。
【0019】
【作用】船体あるいは固定浮遊海洋構造物を構成する鋼
材は、次に示す電気化学的反応によって腐食溶解する。
【0020】アノード反応:Fe→Fe2++2e- カソード反応:1/2・O2 +H2 O+2e- →2OH 上記反応式から、アノード反応によって生成したFe2+
が空気中の酸素により酸化されてFe3+となり、その水
酸化物あるいはオキシ水酸化鉄等のいわゆる赤錆とな
る。また、鋼材表面の腐食溶解には、酸素と水の存在が
不可欠であり、鋼材の腐食を抑制するためには、腐食要
因である水分吸着を低減させれば、カソード反応が抑制
され、全体として腐食反応が抑制されることがわかる。
【0021】ところで、大気中の湿度と鋼材表面に吸着
される水分量との間には強い相関があり、大気中の湿度
の上昇とともに鋼材表面に吸着される水分量が増加し、
腐食速度が大きくなる。しかし、大気中の相対湿度が6
0%以下になると、鋼材表面の腐食速度は、実質上無視
できるレベルにまで低下することが知られている。
【0022】一般に、船体あるいは固定浮遊海洋構造物
に設けられるバラストタンクは、密閉系であるので、バ
ラストタンク内にバラスト海水が注水されると、バラス
トタンク内の湿度が100%に近い状態となり、バラス
トタンクを構成する鋼材内表面が腐食し易い環境にな
る。
【0023】さらに、腐食を促進する条件として、昼間
と夜間との温度に著しい温度差がある場合には、この温
度差に起因して結露生成した水膜あるいは水滴によって
バラストタンク内の鋼材表面が覆われて湿潤状態になる
ことがある。また、荒天時には、海上船舶あるいは固定
浮遊海洋構造物の揺動にともなって、バラストタンク内
の海水飛沫によってバラストタンク内壁が濡れるととも
に、海水に含有される塩素イオンの影響で腐食が非常に
促進される環境となる。
【0024】本発明者らは、バラストタンクの防食方法
に関して鋭意検討を加えた結果、バラストタンク内空間
部の湿潤空気を乾燥空気と置換するか、または/および
バラストタンク内空間部の湿潤空気中の水分を除去し、
バラストタンク内空間部の相対湿度を60%以下に保持
すると、バラストタンク内の上部鋼板等が結露に伴う水
膜あるいは水滴で覆われることが少なくなってほぼ乾燥
状態にすることができることを見出した。
【0025】この結果、塗装を施していない鋼板あるい
はプライマー処理しただけの鋼板をバラストタンク内に
使用しても、大幅に腐食速度を低減することが可能とな
る。
【0026】この時、バラストタンク内に注入したバラ
スト海水面上に、海水よりも比重が小さく、かつ海水と
相溶せず、さらに海水面で液体である物質、または/お
よび海水よりも比重が小さく、かつ海水面で固体である
物体を浮遊させることができる。
【0027】第一の発明(前記(1)に記載した発明)
において、バラストタンク内空間部の湿潤空気を乾燥空
気と置換するか、または/および湿潤空気中の水分を除
去してバラストタンク内の相対湿度を60%以下に保持
することとしたのは、バラストタンク内空間部の一部の
湿潤空気を単に乾燥空気と置換するか、または/および
湿潤空気中の一部の水分を単に除去するのみでは効果が
なく、前述したように、バラストタンク空間部の相対湿
度が60%以下でないと腐食速度の低下がなく、防食効
果が得られないためである。
【0028】この第一の発明において、バラストタンク
内空間部の湿潤空気を乾燥空気と置換するには、バラス
トタンクの適宜な位置に排気口と吸気口を設け、吸気口
から送風機を用いて乾燥空気をバラストタンク空間部に
供給すると同時に排気口からバラストタンク空間部内の
湿潤空気を排出すればよく、またバラストタンク内空間
部の湿潤空気中の水分を除去するには、バラストタンク
空間部に連通する除湿器によって水分を除去すればよ
い。
【0029】さらに、上記いずれの場合も、バラストタ
ンク空間部内の相対湿度を60%以下にするには、バラ
ストタンク空間部の湿度を測定する湿度センサーを設
け、この湿度センサーの測定結果に基づいて乾燥空気の
供給量(湿潤空気の排気量)または湿潤空気中の水分除
去量を制御すればよい。またさらに、乾燥空気は船舶の
駆動機関の燃焼排ガスを熱源とする熱交換器を用いて容
易かつ経済的に得ることができる。
【0030】ただし、この第一の発明方法は、海水の蒸
発等が常時あることから、乾燥空気との置換または/お
よび水分除去を連続的に行う必要があり、効率的でない
というきらいがあるが、第二の発明によればこのような
ことはない。
【0031】第二の発明(前記(2)に記載した発明)
において、バラストタンク内のバラスト海水面上に、海
水よりも比重が小さく、かつ海水と相溶せず、さらに海
水面で液体である物質、または/および海水よりも比重
が小さく、かつ海水面で固体である物体を浮遊させるこ
ととしたのは、この浮遊液体または/および浮遊固体で
海水面を完全に覆うことによって海水の蒸発量および飛
沫量を直接的に抑制し、乾燥空気との置換または/およ
び水分除去を迅速かつ断続的に実施できるようにし、よ
り効率的にバラストタンク空間部の相対湿度を60%以
下に保持できるようにするためである。
【0032】上記の浮遊液体は、これを単独で使用する
場合においても海水の表面上を浮遊して海水を完全に覆
うものであるから、海水よりも比重を軽くする必要があ
る。
【0033】このため、浮遊液体の比重は、好ましくは
1.0g/cm3 以下、より好ましくは0.96g/c
3 以下にするのが望ましい。海水の表面を覆う浮遊液
体の比重が、1.0g/cm3 を超えて海水の比重
(1.03g/cm3 )に接近すると、船体あるいは固
定浮遊海洋構造物の揺動にともなって、海水とこれを覆
う浮遊液体が混合して海水の蒸発量や飛沫量を十分に抑
制できないからである。浮遊液体の比重を0.96g/
cm3 以下にすると、荒天時でも、このような事態を避
けることができる。
【0034】海水の表面を覆う浮遊液体は、海水と相溶
しない液体でなければならない。前述したように、「海
水と相溶しない液体」とは、海水と混合した場合に相分
離を起こす液体のことであり、通常、海水に対する溶解
度が0.1g/海水100g以下のものである。この
時、海水のこの浮遊液体に対する溶解度も0.1g/液
体100g以下であることが望ましい。浮遊液体の海水
に対する溶解度が0.1g/液体100gを超える場合
には、海水の表面上を浮遊する表面被覆層を形成する浮
遊液体を通して、海水の蒸発が起こり得るからである。
【0035】海水の表面を覆う浮遊液体は、これを単独
で使用する場合には、バラスト海水の水面上に1cm以
上、より好ましくは10cm以上の厚さで浮遊させるの
が望ましい。浮遊させる厚さが1cm未満の場合には、
表面を覆う浮遊液体が薄すぎるため、浮遊液体を通して
の海水の蒸発が起こるので好ましくない。さらに船舶あ
るいは海洋構造物の揺動時に海水の蒸発量が多くなる。
また、厚さを10cm以上とするのがより好ましいの
は、荒天時でもバラストタンクの下部内壁にかかる飛沫
海水量を抑制防止するためである。
【0036】この浮遊液体は、上記の比重、海水と相溶
しない性質等を満足していれば、特にその種類に制限を
受けるものではないが、海水の表面を浮遊する常温の状
態で蒸発し易いもの、換言すれば蒸気圧の高いものは避
けるできである。これはバラスト海水を覆う浮遊液体の
蒸発によって、海水の蒸発防止性能が低下するのを防ぐ
ためである。
【0037】この浮遊液体としては、炭素数5〜30程
度のアルカンやアルコール、油脂類等が使用できる。た
だし、アルコールを用いる場合は、その構造に水酸基を
もつことによって水との相溶性が増すため、炭素数が1
0以上の比較的長鎖のものを用いることが好ましい。ま
た、引火等の危険回避の意味でハロゲン化して難燃性に
したものやシリコーンオイル等を用いることが好まし
い。
【0038】また、上記の浮遊固体は、上記浮遊液体と
同様に、単独で使用する場合において海水の表面上を浮
遊して海水表面を覆うものであるから、前述したよう
に、浮遊固体全体の[(重量)/(容積)]で求められ
る見掛け比重を海水の比重よりも軽くする必要がある。
このため、浮遊固体の上記見掛け比重は、1.0g/c
3 以下である必要がある。海水の表面を覆う浮遊固体
の上記見掛け比重が、1.0g/cm3 を超えて海水の
比重(1.03g/cm3 )に接近すると、船体あるい
は海洋構造物の揺動にともなって、海水表面を覆う浮遊
固体が海水面下に沈み、海水の蒸発量やバラストタンク
の下部内壁にかかる飛沫海水量が多くなり易くなるため
である。
【0039】海水の表面を覆う浮遊固体の材質は、特に
限定されず、FRPや樹脂および木材等を用いることが
でき、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、ポリプ
ロピレン等のポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、塩化ビ
ニル、スチロール樹脂等のポリスチレン、ABS樹脂、
ポリウレタン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ
樹脂、メタクリル樹脂、シリコン樹脂等の海水に侵され
ないものを用いるのが好ましく、特に光分解性ポリマー
を用いるのがより好ましい。すなわち、光分解性ポリマ
ーを用いる場合には、万一、船舶事故等が起こって浮遊
固体が海洋に流出しても分解消滅するので、海洋汚染を
招くことがないからである。また、これら浮遊固体は、
その表面の濡れ性を公知の技術を用いて撥水性を付与し
てその浮遊特性を高めることが海水の露出面積を低減す
る点から好ましい。
【0040】なお、水溶性樹脂や木材等の吸水性を有す
る材質のものは、この浮遊固体を通して海水の蒸発が生
じるので、これ等の材質を用いる場合には、その表面を
例えばタール系樹脂、フッ素樹脂塗料等の撥水性物質で
コーティングして用いる必要がある。
【0041】この浮遊固体の形状としては、立方体形
状、直方体形状、円錐形状、三角錐形状、鱗片形状、シ
ート状、楕円球状、球状(ボール状)等のいずれの形状
でもよい。しかし、バラストタンク内での浮遊流動性等
を考慮すると、楕円球状あるいは球状のものが好まし
い。また、浮遊固体の浮遊密度を制御する観点からは、
中空体(中空ボール)あるいは樹脂を発泡させた多数の
気泡を有する多孔質体とするのが、経済性の面からより
好ましい。
【0042】また、楕円球状あるいは球状のものを単独
で用いる場合、その見掛け比重を0.05〜0.8g/
cm3 の範囲とするのが好ましい。すなわち、見掛け比
重が0.05g/cm3 未満では海水面上に浮き上がり
過ぎて海水露出表面の低減効果が小さく、逆に0.8g
/cm3 を超えると海水面下に沈み過ぎて船舶等の揺
動、特に荒天時における揺動によって海水が著しく波浪
する場合に浮遊固体上を海水が覆って海水露出表面積が
増大し易くなるためである。
【0043】この浮遊固体の大きさは、バラストタンク
内に配管を介して供給する等、適宜な手段で装入できれ
ばよく、特にその大きさは制限されない。しかし、その
形状が球状では直径が5mm〜100cmのものが使用
でき、さらに大きさの異なるものを混合して使用する場
合には、海水露出表面積をより一層効率よく低減させる
ことができる。
【0044】上記のように、浮遊液体および浮遊固体は
それぞれ単独で使用して効果が得られるが、両者を混合
使用することもでき、この場合にはその効果はより一層
顕著になるのに加え、浮遊固体に比べて高価な浮遊液体
の使用量を少なくすることができるので、経済的であ
る。
【0045】なお、本発明の方法によれば、上述したよ
うに、普通鋼鋼材を裸使用することが可能であるが、没
海水部の鋼材表面はカソード防食を施す必要がある。ま
た、バラストタンク内全表面を、例えばタールエポキシ
塗料等で塗装しておけば、カソード防食を施す必要はな
く、この場合には没海水部を除く空間部に接する鋼材表
面に塗装された塗膜の長寿命化が図られることはいうま
でもない。さらに、バラストタンク用材料として、バラ
ストタンク組立施工時あるいは鋼材運搬時に発生する赤
錆の発生防止を図るためにプライマー処理した鋼板を用
いた場合にも同様の効果が得られる。またさらに、バラ
ストタンク用材料として、普通鋼鋼材に変えて耐海水低
合金鋼鋼材を使用する場合にはより効果的であることも
いうまでもない。
【0046】
【実施例】本発明の防食方法を、以下の実施例に基づい
て具体的に説明する。
【0047】図1は、実施例で使用した防食性試験装置
の構成の概要を示す断面図である。
【0048】同図から明らかなように、バラストタンク
1として厚さ10mmの鋼(JIS−G3101−SS
400)板を用いた高さ1m×長さ1m×幅1mの溶接
構造からなるバラストタンクを複数製作し、各バラスト
タンクに底面から50cmの深さまでバラスト海水11
を注入した。この状態で、バラストタンク内空間部12
の相対湿度を湿度センサー8で測定しつつ空間部12内
の湿潤空気を排気口弁7から排気すると同時に、例えば
船舶の駆動機関の排ガスを熱源とする熱交換器によって
水分を除去して製造される乾燥空気供給源(図示せず)
に接続された送風機5を用いて送風口弁6から空間部1
2内に乾燥空気を送り込むか、または/および除湿器4
を用い、空間部12内の相対湿度を所定の値(40〜9
5%)に調整した。
【0049】一部のバラストタンクについては、バラス
ト海水11面上に浮遊液体14としてシリコーンオイル
(比重0.97g/cm3 )または流動パラフィン(比
重0.87g/cm3 )を所定の厚み(1.5〜20.
0cm)になるように注入浮遊させるか、または/およ
び浮遊固体13としてポリエチレン製の中空ボール(外
径3cm、見掛け比重0.5g/cm3 )をバラスト海
水11または浮遊液体14面上にその露出表面積がゼロ
になるように注入浮遊させた。
【0050】なお、バラストタンク1の鋼製内壁面は無
塗装のままである。また、バラスト海水11の温度を調
整するためのヒーター2を具備する一方、揺動時の防食
性を調べるための振動台3を準備した。
【0051】バラスト海水11さらには浮遊液体14等
を注入する一方、空間部12内の相対湿度を所定の値に
調整したバラストタンク1は、振動台3に積載してバラ
スト海水11の温度を温度センサー10の測定結果に基
づいてヒーター2を制御することによって40℃の一定
温度に保持し、振動を付与しない状態で3ケ月間放置し
た後、バラストタンク1の鋼製内壁面の減肉量を測定し
た。また、これとは別に、一部のバラストタンクについ
ては、揺動時の防食性を調べるため、振動台3を毎5秒
に1回の周期で、振幅12cmで振動させてバラストタ
ンク内に人工的な波浪を起こさせた状態を3ケ月間維持
した後の減肉量を測定した。その結果を表1に示す。
【0052】なお、腐食量は、減肉が最大の箇所で測定
し、3ケ月間のデーターを4倍することによって年率で
表した。
【0053】さらに、上記の試験期間中、バラストタン
ク内空間部12の酸素濃度は、大気中の酸素濃度とほぼ
同じ18〜20%の濃度となるように、酸素濃度センサ
ー9の測定結果に基づいて図示しないガス供給手段を用
いて酸素ガス等の適宜なガスを空間部12内に供給して
制御した。
【0054】
【表1】
【0055】比較例としてバラストタンク内空間部の相
対湿度を60%以上にした場合(No. 17〜20)も測
定したが、その腐食速度は、荒天時を模擬した振動有り
の場合で0.35mm/年、荒天時を模擬ない振動無し
の場合で0.18mm/年と大きく、船体の一般的な寿
命と見られている20年後には、片側最大7mmに及ぶ
腐食減肉が起こることが推定される。これに対し、本発
明の方法によれば、その腐食速度を荒天時を模擬した振
動有りの場合で0.01mm/年、荒天時を模擬ない振
動無しの場合で0.01mm/年以下に抑制することが
可能である。
【0056】腐食速度を0.01mm/年以下に抑制す
ることが可能であれば、船体の一般的な寿命を20年と
しても、20年後に推定される腐食減肉厚さは0.2m
m以下となり、防食塗装等の特別な手法を採用すること
なく、普通鋼鋼材をバラストタンク用として裸使用する
ことができる。従って、本発明は経済的なバラストタン
クの防食方法であるといえる。
【0057】さらに、バラスト海水面上に、浮遊液体ま
たは/および浮遊固体を浮遊させる場合には、海水の蒸
発を抑制できるので、バラストタンク空間部への乾燥空
気供給または/および除湿器による水分除去を短時間に
完了でき、かつ断続的に実施すればよいので、送風機ま
たは除湿器を駆動させるのに必要な電力等のエネルギー
の消費量の節減が図れる他、送風機または除湿器を小型
化できるから、より経済的である。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、バラストタンク内の空
間部の湿潤空気を乾燥空気と置換するか、または/およ
び湿潤空気中の水分を除湿器を用いて除去し、バラスト
タンク内空間部を相対湿度60%以下の乾燥状態に保持
することでバラストタンク内壁面での蒸発海水の凝縮を
抑制して、腐食環境が厳しい普通鋼材で構成されたバラ
ストタンクであっても、その鋼材の防食性に優れ、無塗
装で防食することができ、本発明は経済的な船舶あるい
は海洋構造物のバラストタンクの防食方法である。さら
に、バラスト海水面上に浮遊液体または/および浮遊固
体を浮遊させる場合には、海水の蒸発量が抑制されるの
で、より効率的に乾燥状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用した防食性試験装置の構成の概要
を示す断面図である。
【符号の説明】
1 :バラストタンク、 2 :ヒーター、
3 :振動台、 4 :除湿器、5
:送風機、 6 :送風口弁、7
:排気口弁、 8 :湿度センサ
ー、9 :酸素濃度センサー、 10:温度セ
ンサー、11:バラスト海水、 12:空
間部、13:浮遊固体、 14:浮遊
液体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上村 隆之 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バラストタンク内空間部の湿潤空気を乾燥
    空気と置換するか、または/およびバラストタンク内空
    間部の湿潤空気中の水分を除去することにより、バラス
    トタンク内空間部の相対湿度を60%以下に保持するこ
    とを特徴とするバラストタンクの防食方法。
  2. 【請求項2】バラストタンク内のバラスト海水面上に、
    海水よりも比重が小さく、かつ海水と相溶せず、さらに
    海水面で液体である物質または/および海水よりも比重
    が小さく、かつ海水面で固体である物体を浮遊させるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のバラストタンクの防食
    方法。
JP2634895A 1995-02-15 1995-02-15 バラストタンクの防食方法 Pending JPH08216979A (ja)

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