JP3473288B2 - 電解コンデンサ駆動用電解液及びそれを用いた電解コンデンサ - Google Patents
電解コンデンサ駆動用電解液及びそれを用いた電解コンデンサInfo
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Description
用電解液及びそれを用いた電解コンデンサに関するもの
である。
用電解液は、通常γ−ブチロラクトンやエチレングリコ
ール等の有機化合物を主溶媒とし、これに硼酸等の無機
酸やアジピン酸、アゼライン酸、ブチルオクタン二酸
(特公昭60−13293号公報)、5,6−デカンジ
カルボン酸(特公昭63−15738号公報)、側鎖を
有する二塩基酸(特開平2−224217号公報)等の
二塩基酸及びそれらの塩を溶質とした駆動用電解液が知
られている。
及び化成性が十分でないため、電解コンデンサに使用し
た際、エージングによるショートパンク等の不具合が発
生する。そこでポリエチレングリコール(特公平3−7
6776号公報)、ポリグリセリン(特公平7−704
43号公報)、アルキレンブロックポリマー(特開平3
−257810号公報)、特公平8−17147号公
報)等の化合物を添加することにより火花発生電圧を向
上させて上記欠点を補う施策が施されている。
の化合物は、添加量及び分子量が大きくなるにつれて火
花発生電圧を上昇させる効果が大きくなるという長所を
有するが、逆に有機溶媒中への溶解性が特に低温時に低
くなったり、電導度が低下するために添加量もしくは分
子量の選択に制限が発生する。したがって、これらの化
合物の分子量は、約2000以下で用いる方が低温時の
溶解性に対して良好である。
発生電圧を十分に向上させることができないため、製品
のエージングまたは高温負荷においてショートパンクを
引き起こす可能性がある。一方、これらの化合物の添加
量及び分子量を増大させた場合には、水分を十分に添加
した駆動用電解液にすることによって溶出するのを防ぐ
必要があり、そのため、この駆動用電解液では水の影響
によりアルミ電解コンデンサ内の蒸気圧が高くなるため
に100℃以上での使用が困難であるという問題点を有
していた。
るにしたがって結晶化するが、蝋状固体化した場合には
量産時の作業性に著しい支障が生じるものであった。
加した駆動用電解液を用いた場合は、コンデンサ素子に
この駆動用電解液を含浸させるために減圧する際、駆動
用電解液が発泡してその作業性に著しい支障を引き起こ
すという問題点を有していた。
めになされたもので、火花発生電圧及び化成皮膜の化成
性を十分に高めることができ、かつ低温時でも溶出を発
生させず、また電解コンデンサのコンデンサ素子への含
浸時においても発泡性を抑えることができ、さらに高温
でも特性が安定している信頼性の高い電解コンデンサ駆
動用電解液およびそれを用いた電解コンデンサを提供す
ることを目的とするものである。
に本発明の電解コンデンサ駆動用電解液は、有機化合物
を主体とした溶媒に無機酸、有機酸、無機酸塩、有機酸
塩の1種以上を溶質として溶解し、さらに(化3)で示
される末端が水素原子およびアルキル基を有し、かつ
A:Bが重量比で3:7〜8:2の範囲とするランダム
共重合体を添加して溶解したもので、この構成によれ
ば、火花発生電圧及び化成皮膜の化成性を十分に高める
ことができ、かつ低温時でも溶出を発生させず、また電
解コンデンサのコンデンサ素子への含浸時においても発
泡性を抑えることができ、さらに高温でも特性が安定し
ている信頼性の高いものが得られるものである。
は、有機化合物を主体とした溶媒に無機酸、有機酸、無
機酸塩、有機酸塩の1種以上を溶質として溶解し、さら
に(化4)で示される末端が水素原子およびアルキル基
を有し、かつA:Bが重量比で3:7〜8:2の範囲と
するランダム共重合体を添加して溶解したもので、前記
共重合体はアルキノールを起点に結晶性の高いC2H4O
モノマーと、有機溶媒への溶解性は低いが結晶化度が低
いC3H6O,C4H9 Oのいずれかを共重合させることに
よって互いの欠点を補完しあうため、低温時における溶
解性の課題を解決できるものである。
すると、その配列は均一になって気液界面において分子
の配向が密となりうるため物性上表面張力を下げること
ができる。一方、モノマーの配列をランダムにすると、
気液界面において分子の配向がブロック共重合体より相
対的に疎となって表面張力を上昇させることになるもの
で、したがって、共重合体をランダム共重合体にするこ
とにより、コンデンサ素子への含浸時の発泡性を抑える
ことができるものである。
あるエチレングリコールやγ−ブチロラクトン等に比べ
て非常に低いため、この共重合体を添加することによ
り、駆動用電解液が高温環境下でもドライアップし難く
なり、これにより、長期の信頼性を高めることができる
ものである。
とにより、使用可能な添加量及び分子量の制限が広範囲
となるため、火花発生電圧の向上と化成皮膜の化成性の
向上が期待でき、低圧から高圧までの電解コンデンサの
信頼性を向上させることができるものである。
体とした溶媒に無機酸、有機酸、無機酸塩、有機酸塩の
1種以上を溶質として溶解し、さらに(化5)で示され
る末端が水素原子およびアルキル基を有し、かつA:B
が重量比で3:7〜8:2の範囲とするランダム共重合
体を添加して溶解した電解コンデンサ駆動用電解液を用
いたもので、この電解コンデンサ駆動用電解液を用いた
電解コンデンサは、エージング中及び寿命試験中でもシ
ョート発生がなく、寿命特性の安定したものが得られる
ものである。
て説明する。(表1)は本発明の実施の形態1における
電解コンデンサ駆動用電解液と、従来例1における電解
コンデンサ駆動用電解液について、低温時(−10℃3
時間後)の溶解性の測定結果を示したものである。
おける電解コンデンサ駆動用電解液では、低温時の溶出
が認められたが、本発明の実施の形態1における電解コ
ンデンサ駆動用電解液では−10℃で放置しても全く溶
出が認められなかった。なお、本発明の実施の形態1で
は、溶質として安息香酸アンモニウムのみを用いている
が、これ以外の他の無機酸、有機酸、無機酸塩、有機酸
塩の1種以上を用いても同様の結果が得られるもので、
したがって本発明の低温時の溶解性は、選択した溶質の
種類に関係なく良好なものが得られるものである。
解コンデンサ駆動用電解液と、本発明の実施の形態2〜
20における電解コンデンサ駆動用電解液の組成と特性
(電導度、火花発生電圧)を示したものである。
の形態2〜20における電解コンデンサ駆動用電解液に
使用した共重合体の材料リストを掲載したものである。
8における電解コンデンサ駆動用電解液と、本発明の実
施の形態18における電解コンデンサ駆動用電解液の化
成性を示したものである。
分は、(表2〜表4)に示した本発明の実施の形態2〜
20と、従来例3〜9はいずれも2%に調整し、そして
従来例2は硼酸アンモニウムを使用しているため、15
%に調整した。
明の実施の形態は、従来例に比べて同じ溶質を用いた場
合は、火花発生電圧を飛躍的に向上させることができ、
これにより、工程のエージング時のショートパンク発生
率および寿命試験時のショートパンクを低減できるもの
である。さらに本発明の共重合体を用いた本発明の実施
の形態18における電解コンデンサ駆動用電解液は、図
1からも明らかなように、従来例7,8における電解コ
ンデンサ駆動用電解液に比べて火花発生電圧だけでな
く、短時間で火花発生電圧を上昇させることができるた
め、化成効率も飛躍的に向上させることができるもので
ある。
態15〜17のように溶質の配合比率や本発明の共重合
体の添加量を調整すれば、電導度と火花発生電圧を自由
にコントロールすることができるため、電解コンデンサ
の抵抗を上げることなく耐圧の安定化を図ることができ
るものである。
実施の形態4の駆動用電解液を用い、そしてこれらの駆
動用電解液をアルミ電解コンデンサのコンデンサ素子に
含浸させた時の発泡性を確認した。この場合、前記アル
ミ電解コンデンサのコンデンサ素子は、200WV68
0μFであり、そして各20個ずつ同じ容器に入れ、そ
してこの容器内に従来例9の駆動用電解液と本発明の実
施の形態4の駆動用電解液を別個に定量入れ、その後、
減圧してコンデンサ素子に含浸させたときのそれぞれの
発泡の高さを測定した。今回の検討では、最終5mmHg
まで減圧したが、その結果によると従来例9では発泡が
激しく容器から駆動用電解液が20cm以上溢れたため、
5mmHgまで減圧を達成できなかったが、本発明の実施
の形態4では、発泡の高さは液面より3cm程度であっ
て、容易に含浸作業を施すことができた。
素子部分の構成を示したもので、この図2に示すよう
に、アルミニウムよりなる陽極電極としての陽極箔1と
同じくアルミニウムよりなる陰極電極としての陰極箔2
とを、その間にセパレータ3を介在させて対向するよう
に巻き取ることによりコンデンサ素子を構成している。
またこのコンデンサ素子の陽極箔1及び陰極箔2のそれ
ぞれには引き出しリード4が接続されている。
電解液を含浸させ、アルミニウムケースなどの金属ケー
ス内にコンデンサ素子を封入することにより、アルミ電
解コンデンサが構成される。
3の電解コンデンサ駆動用電解液を用いたアルミ電解コ
ンデンサと、本発明の実施の形態2,3,4,11の電
解コンデンサ駆動用電解液を用いたアルミ電解コンデン
サをそれぞれ20個ずつ用意し、これらのアルミ電解コ
ンデンサについて寿命試験を行った結果を示したもので
ある。ここで使用したアルミ電解コンデンサの定格は、
いずれも250WV470μFであり、その試験温度は
110℃で行った。
電解コンデンサ駆動用電解液を用いたアルミ電解コンデ
ンサは、寿命試験中に20個のうち、3個の開弁が発生
した。また従来例3の電解コンデンサ駆動用電解液を用
いたアルミ電解コンデンサは、エージング中に20個の
うち、15個のショートパンクが発生して寿命試験を行
うことができなかった。これに対し、本発明の実施の形
態2,3,4,11の電解コンデンサ駆動用電解液を用
いたアルミ電解コンデンサは、エージング中及び寿命試
験中でもショート発生がなく、寿命試験110℃200
0時間後における特性も初期特性に対して、静電容量変
化率(ΔC)も小さく、かつ損失角の正接(tanδ)
の増加も小さく、また漏れ電流(LC)も安定した数値
を示しているもので、これにより、寿命特性の安定した
アルミ電解コンデンサを得ることができるものである。
7)に示す。この(表7)は(表2)に示した従来例
6,7の電解コンデンサ駆動用電解液を用いたアルミ電
解コンデンサと、(表4)に示した本発明の実施の形態
17の電解コンデンサ駆動用電解液を用いたアルミ電解
コンデンサをそれぞれ20個ずつ用意し、これらのアル
ミ電解コンデンサについて寿命試験を行った結果を示し
たものである。ここで使用したアルミ電解コンデンサの
定格は、いずれも450WV150μFであり、その試
験温度は110℃で行った。
7の電解コンデンサ駆動用電解液を用いたアルミ電解コ
ンデンサは、エージング中および寿命試験中にショート
パンクが発生して試験を継続できなかった。これに対
し、本発明の実施の形態17の電解コンデンサ駆動用電
解液を用いたアルミ電解コンデンサは、エージング中及
び寿命試験中でもショート発生がなく、寿命試験110
℃2000時間後における特性も初期特性に対して、静
電容量変化率(ΔC)も小さく、かつ損失角の正接(t
anδ)の増加も小さく、また漏れ電流(LC)も安定
した数値を示しているもので、これにより、寿命特性の
安定したアルミ電解コンデンサを得ることができるもの
である。
は、すべてエチレングリコールとなっているが、これ以
外の溶媒としては、アミド類、クラトン類、グリコール
類、硫黄化合物類、炭酸塩類を単独、または混合しても
使用できる。この中でも、好ましい溶媒例としては、炭
酸プロピル、ジメチルホルムアミド、N−メチルホルム
アミド、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、
ジメチルスルホキシド、エチレンシアノヒドリン、エチ
レングリコール、エチレングリコールモノまたはジアル
キルエーテル等が挙げられる。
を選択すれば、上記した本発明の実施の形態と同様の効
果が得られることを確認できた。(表8)はその一例と
してγ−ブチロラクトンを溶媒として用いた従来例10
と本発明の実施の形態21を示す。
明らかなように、γ−ブチロラクトンを溶媒として用い
た場合でも、エチレングリコールを溶媒として用いたも
のと同様に火花発生電圧を十分高めることができるもの
である。
ける溶質は、無機酸、有機酸、無機酸塩、有機酸塩の1
種以上であるが、その中で好ましいものとしては、硼
酸、アゼライン酸、アジピン酸、グルタル酸、フタル
酸、マレイン酸、安息香酸、5,6−デカンジカルボン
酸、1,7−オクタンジカルボン酸、1,6−デカンジ
カルボン酸等の二塩基酸またはその塩が挙げられる。そ
して上記の塩としては、アンモニウム塩、アミン塩、四
級アンモニウム塩、アミジン系塩等が使用できる。
ん、使用用途に応じて2種類以上の混合でも問題なく使
用できるものである。
体は、本発明の実施の形態12に記載しているように、
用途に応じて2種以上添加して溶解しても良好な特性を
示すものである。
ランダム共重合体であり、従来例で示すブロック共重合
体とは異なる配列としたため、電解コンデンサのコンデ
ンサ素子に駆動用電解液を減圧して含浸する際、発泡性
の抑制も良好となって量産作業にも十分対応できるもの
である。
子量は、200〜20000が望ましく、またその添加
量は、0.1〜20wt%が望ましい。
の実施の形態20に記載しているように、本発明の実施
の形態18のように添加しないものよりさらに火花発生
電圧を向上させることができ、そして安定した皮膜形成
ができるため、さらなる高温安定性を有する電解コンデ
ンサ駆動用電解液および電解コンデンサを得ることがで
きるものである。リン酸化合物の種類としては、本発明
の実施の形態20に掲げたリン酸だけでなく、次亜リン
酸、ポリリン酸、リン酸の縮重合体、リン酸エステル類
が挙げられ、いずれのリン酸化合物を用いても同様の効
果が期待できるものである。
動用電解液は、有機化合物を主体とした溶媒に無機酸、
有機酸、無機酸塩、有機酸塩の1種以上を溶質として溶
解し、さらに(化4)で示される末端が水素原子および
アルキル基を有し、かつA:Bが重量比で3:7〜8:
2の範囲とするランダム共重合体を添加して溶解したも
ので、前記共重合体はアルキノールを起点に結晶性の高
いC2H4Oモノマーと、有機溶媒への溶解性は低いが結
晶化度が低いC3H6O,C4H9 Oのいずれかを共重合さ
せることによって互いの欠点を補完しあうため、低温時
における溶解性の課題を解決できるものである。
すると、その配列は均一になって気液界面において分子
の配向が密となりうるため物性上表面張力を下げること
ができる。一方、モノマーの配列をランダムにすると、
気液界面において分子の配向がブロック共重合体より相
対的に疎となって表面張力を上昇させることになるもの
で、したがって、共重合体を直鎖のランダム共重合体に
することにより、コンデンサ素子への含浸時の発泡性を
抑えることができるものである。
あるエチレングリコールやγ−ブチロラクトン等に比べ
て非常に低いため、この共重合体を添加することによ
り、駆動用電解液が高温環境下でもドライアップし難く
なり、これにより、長期の信頼性を高めることができる
ものである。
とにより、使用可能な添加量及び分子量の制限が広範囲
となるため、火花発生電圧の向上と化成皮膜の化成性の
向上が期待でき、低圧から高圧までの電解コンデンサの
信頼性を向上させることができるものである。
サ駆動用電解液と、従来例7,8における電解コンデン
サ駆動用電解液の化成性を示す特性図
構成図
Claims (2)
- 【請求項1】 有機化合物を主体とした溶媒に無機酸、
有機酸、無機酸塩、有機酸塩の1種以上を溶質として溶
解し、さらに(化1)で示される末端が水素原子および
アルキル基を有し、かつA:Bが重量比で3:7〜8:
2の範囲とするランダム共重合体を添加して溶解した電
解コンデンサ駆動用電解液。 【化1】 - 【請求項2】 有機化合物を主体とした溶媒に無機酸、
有機酸、無機酸塩、有機酸塩の1種以上を溶質として溶
解し、さらに(化2)で示される末端が水素原子および
アルキル基を有し、かつA:Bが重量比で3:7〜8:
2の範囲とするランダム共重合体を添加して溶解した電
解コンデンサ駆動用電解液を用いた電解コンデンサ。 【化2】
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JP22486296A JP3473288B2 (ja) | 1996-08-27 | 1996-08-27 | 電解コンデンサ駆動用電解液及びそれを用いた電解コンデンサ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22486296A JP3473288B2 (ja) | 1996-08-27 | 1996-08-27 | 電解コンデンサ駆動用電解液及びそれを用いた電解コンデンサ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1070044A JPH1070044A (ja) | 1998-03-10 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|---|
JP3070813B2 (ja) * | 1992-09-29 | 2000-07-31 | 松下電器産業株式会社 | 電解コンデンサ駆動用電解質 |
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1996
- 1996-08-27 JP JP22486296A patent/JP3473288B2/ja not_active Expired - Fee Related
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