JP3473291B2 - 電解コンデンサ駆動用電解液及びそれを用いた電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ駆動用電解液及びそれを用いた電解コンデンサ

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JP3473291B2
JP3473291B2 JP25807696A JP25807696A JP3473291B2 JP 3473291 B2 JP3473291 B2 JP 3473291B2 JP 25807696 A JP25807696 A JP 25807696A JP 25807696 A JP25807696 A JP 25807696A JP 3473291 B2 JP3473291 B2 JP 3473291B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電解コンデンサ駆動
用電解液及びそれを用いた電解コンデンサに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】アルミ電解コンデンサに用いられる駆動
用電解液は、通常γ−ブチロラクトンやエチレングリコ
ール等の有機化合物を主溶媒とし、これに硼酸等の無機
酸やアジピン酸、アゼライン酸、ブチルオクタン二酸
(特公昭60−13293号公報)、5,6−デカンジ
カルボン酸(特公昭63−15738号公報)、側鎖を
有する二塩基酸(特開平2−224217号公報)等の
二塩基酸及びそれらの塩を溶質とした駆動用電解液が知
られている。
【0003】これらの駆動用電解液では、火花発生電圧
及び化成性が十分でないため、電解コンデンサに使用し
た際、エージングによるショートパンク等の不具合が発
生する。そこでこれらを補うために、ポリエチレングリ
コール(特公平3−76776号公報)、ポリグリセリ
ン(特公平7−70443号公報)、アルキレンブロッ
クポリマー(特開平3−257810号公報,特公平8
−17147号公報)等の化合物を添加することにより
火花発生電圧を向上させて上記欠点を補う施策が施され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の化合物は、添加量及び分子量が大きくなるにつれて火
花発生電圧を上昇させる効果が大きくなるという長所を
有するが、逆に有機溶媒中への溶解性が特に低温時に低
くなったり、電導度が低下するために添加量もしくは分
子量の選択に制限が発生する。したがって、これらの化
合物の分子量は、約2000以下で用いる方が低温時の
溶解性に対して良好である。しかしながら、この分子量
の範囲では火花発生電圧を十分に向上させることができ
ず、製品のエージングまたは高温負荷においてショート
パンクを引き起こす可能性がある。逆に、これらの化合
物の添加量及び分子量を増大させた場合には、水分を十
分に添加することにより、駆動用電解液における化合物
の析出を防ぐことができる。しかし、その場合、駆動用
電解液では水の影響によりアルミ電解コンデンサ内の蒸
気圧が高くなるために100℃以上での使用が困難であ
るという問題点を有していた。
【0005】さらにこれらの化合物は、分子量が高くな
るにしたがって結晶化するが、蝋状固体化した場合には
量産時の作業性に著しい支障が生じていた。
【0006】また、アルキレンブロックポリマー等を添
加した駆動用電解液では、コンデンサ素子にこの駆動用
電解液を含浸させるために減圧する際、駆動用電解液が
発泡してその作業性に著しい支障を引き起こすという問
題点を有していた。
【0007】さらに、アルミ電解コンデンサの特質とし
て、高温無負荷状態では、アルミの酸化皮膜が溶解し、
漏れ電流(LC)が大きくなるという欠点を有してい
る。
【0008】本発明は上記した従来の問題点を解決する
ためになされたもので、火花発生電圧及び化成皮膜の化
成性を十分高めることができ、かつ低温時でも化合物の
析出が発生することはなく、また電解コンデンサのコン
デンサ素子への含浸時においても発泡性を抑えることが
でき、さらには高温でも安定した特性を有する信頼性の
高い電解コンデンサ駆動用電解液及びそれを用いた電解
コンデンサを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の電解コンデンサ駆動用電解液は、有機化合物
を主体とした溶媒に無機酸,有機酸,無機酸塩,有機酸
塩の1種以上を溶質として溶解し、さらに(化5)(化
6)で示されるA:Bの重量比が3:7〜8:2の範囲
を有し、かつ前記(化5)で示される末端が水素原子お
よび水酸基を有するランダム共重合体および(化6)で
示される末端が水素原子およびアルキル基を有するラン
ダム共重合体のいずれか一方を1種以上、もしくは前記
(化5)(化6)で示されるランダム共重合体の両方を
同時に1種以上添加するとともに、多価アルコール、リ
ン系化合物のいずれか一方、もしくは両方を添加して溶
解したもので、この構成によれば、火花発生電圧及び化
成皮膜の化成性を十分に高めることができ、かつ低温時
でも化合物の析出が発生することはなく、また電解コン
デンサのコンデンサ素子への含浸時においても発泡性を
抑えることができ、さらには高温でも安定した特性を有
する信頼性の高いものが得られるものである。
【0010】
【化5】
【0011】
【化6】
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、有機化合物を主体とした溶媒に無機酸,有機酸,無
機酸塩,有機酸塩の1種以上を溶質として溶解し、さら
に(化7)(化8)で示されるA:Bの重量比が3:7
〜8:2の範囲を有し、かつ前記(化7)で示される末
端が水素原子および水酸基を有するランダム共重合体お
よび(化8)で示される末端が水素原子およびアルキル
基を有するランダム共重合体のいずれか一方を1種以
上、もしくは前記(化7)(化8)で示されるランダム
共重合体の両方を同時に1種以上添加するとともに、多
価アルコール、リン系化合物のいずれか一方、もしくは
両方を添加して溶解したもので、(化7)のランダム
重合体は、結晶性が高いという欠点を有するポリエチレ
ングリコールと有機溶媒への溶解性は低いが結晶性が低
いポリプロピレングリコールとを共重合させており、ま
た、(化8)のランダム共重合体はアルキノールを起点
に結晶性の高いC24Oモノマーと、有機溶媒への溶解
性は低いが結晶化度が低いC36O、C49O、C24
(CH3Oのいずれかを共重合させているため、両共
重合体とも互いの欠点を補完しあうことになり、これに
より、低温時における溶解性の課題を解決できるととも
に、化成皮膜の安定性を高めて火花発生電圧を高めるこ
とができるものである。
【0013】また、共重合体はブロック共重合体にする
と、その配列は、規則性を持ち気液界面において分子の
配向が密となるため、物性上表面張力は低下することに
なり、これにより、コンデンサ素子への含浸時に発泡を
引き起こすものである。これに対し、モノマーの配列を
ランダムにすると、気液界面においてブロック共重合体
より分子の配向が相対的に疎となるため、表面張力の低
下を抑えることができ、この要因によりコンデンサ素子
への含浸時の発泡性を抑えることができるものである。
【0014】さらに、前記したランダム共重合体は、蒸
気圧が溶媒であるエチレングリコールやγ−ブチロラク
トン等に比べて非常に低いため、このランダム共重合体
を添加することにより駆動用電解液が高温環境下でもド
ライアップし難くなり、これにより、長期の信頼性を高
めることができるものである。
【0015】さらにまた、多価アルコールを添加すれ
ば、電解コンデンサ駆動用電解液の電導度を極端に下げ
ることなく化成性を十分に高めることができるものであ
る。
【0016】そしてまた、リン系化合物を添加すれば、
アルミ箔の化成皮膜の耐水性を向上させることができる
ため、無負荷高温時でも漏れ電流(LC)を低減させる
ことができるものである。
【0017】
【化7】
【0018】
【化8】
【0019】請求項2に記載の発明は、多価アルコール
の添加量を、0.5〜50wt%の範囲に設定したもの
で、多価アルコールの添加量が0.5wt%より少ない
と、火花発生電圧及び化成性の向上の効果に乏しく、一
方、50wt%より多いと、今度は電導度を低下させる
結果となるもので、したがって、多価アルコールの添加
量は0.5〜50wt%の範囲に設定することにより、
安定した化成皮膜を形成することができるため、さらな
る高温安定性を有する電解コンデンサ駆動用電解液を得
ることができるものである。
【0020】請求項3に記載の発明は、リン系化合物の
添加量を0.01〜10wt%の範囲に設定したもの
で、この範囲外では、少なくても多くても化成皮膜の安
定性に寄与しないものであり、したがって、リン系化合
物の添加量は0.01〜10wt%の範囲に設定するこ
とにより、アルミ箔の化成皮膜の耐水性を向上させるこ
とができるとともに、無負荷高温時でも漏れ電流(L
C)を低減させることができるものである。
【0021】請求項4に記載の発明は、有機化合物を主
体とした溶媒に無機酸,有機酸,無機酸塩,有機酸塩の
1種以上を溶質として溶解し、さらに(化9)(化1
0)で示されるA:Bの重量比が3:7〜8:2の範囲
を有し、かつ前記(化9)で示される末端が水素原子お
よび水酸基を有するランダム共重合体および(化10)
で示される末端が水素原子およびアルキル基を有するラ
ンダム共重合体のいずれか一方を1種以上、もしくは
(化9)(化10)で示されるランダム共重合体の両
方を同時に1種以上添加するとともに、多価アルコー
ル、リン系化合物のいずれか一方もしくは両方を添加し
て溶解した電解コンデンサ駆動用電解液を用いたもの
で、この電解コンデンサ駆動用電解液を用いた電解コン
デンサは、エージング中及び寿命試験中でもショート発
生がなく、寿命特性の安定したものが得られるものであ
る。
【0022】
【化9】
【0023】
【化10】
【0024】以下、本発明の具体的な実施の形態につい
て説明する。 (表1)は本発明の実施の形態1における電解コンデン
サ駆動用電解液と、従来例1における電解コンデンサ駆
動用電解液について、低温時(−10℃3時間後)の溶
解性の測定結果を示したものである。
【0025】
【表1】
【0026】(表1)から明らかなように、従来例1に
おける電解コンデンサ駆動用電解液では、低温時の化合
物の析出が認められたが、本発明の実施の形態1におけ
る電解コンデンサ駆動用電解液では−10℃で放置して
も全く化合物の析出は認められなかった。なお、本発明
の実施の形態1では、溶質として安息香酸アンモニウム
のみを用いているが、これ以外の他の無機酸,有機酸,
無機酸塩,有機酸塩の1種以上を用いても同様の結果が
得られるもので、したがって本発明の低温時の溶解性
は、選択した溶質の種類に関係なく良好なものが得られ
るものである。
【0027】(表2)(表3)(表4)は従来例2〜9
における電解コンデンサ駆動用電解液と、本発明の実施
の形態2〜20における電解コンデンサ駆動用電解液の
組成と特性(電導度,火花発生電圧)を示したものであ
る。
【0028】(表5)は(表2)(表3)(表4)の本
発明の実施の形態2〜20における電解コンデンサ駆動
用電解液に使用した共重合体の材料リストを掲載したも
のである。
【0029】(表6)は(表2)(表3)(表4)の本
発明の実施の形態2〜20における電解コンデンサ駆動
用電解液に使用した多価アルコールの材料リストを掲載
したものである。
【0030】図1は(表2)に示した従来例7,8にお
ける電解コンデンサ駆動用電解液と、(表4)に示した
本発明の実施の形態18における電解コンデンサ駆動用
電解液の化成性を示したものである。
【0031】上記した電解コンデンサ駆動用電解液の水
分は、(表2)(表3)(表4)に示した本発明の実施
の形態2〜20と、従来例3〜9はいずれも2%に調整
し、そして従来例2は硼酸アンモニウムを使用している
ため、15%に調整した。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】(表2)(表3)(表4)から明らかなよ
うに、本発明の実施の形態は、従来例に比べて同じ溶質
を用いた場合は、火花発生電圧を飛躍的に向上させるこ
とができ、これにより、工程のエージング時のショート
パンク発生率及び寿命試験時のショートパンクを低減で
きるものである。さらに本発明の共重合体を用いた本発
明の実施の形態18における電解コンデンサ駆動用電解
液は、図1からも明らかなように、従来例7,8におけ
る電解コンデンサ駆動用電解液に比べて火花発生電圧だ
けでなく、短時間で火花発生電圧を上昇させることがで
きるため、化成効率も飛躍的に向上させることができる
ものである。
【0038】また、(表4)に示した本発明の実施の形
態15〜17のように溶質の配合比率や本発明の共重合
体、多価アルコール、リン系化合物の添加量を調整すれ
ば、電導度と、火花発生電圧を自由にコントロールする
ことができるため、電解コンデンサの抵抗を上げること
なく耐圧の安定化を図ることができるものである。
【0039】次に(表2)に示した従来例9と本発明の
実施の形態4の駆動用電解液を用い、そしてこれらの駆
動用電解液をアルミ電解コンデンサのコンデンサ素子に
含浸させた時の発泡性を確認した。この場合、前記アル
ミ電解コンデンサのコンデンサ素子は、450WV27
0μFであり、各20個ずつ同じ容器に入れ、そしてこ
の容器内に従来例9の駆動用電解液と本発明の実施の形
態4の駆動用電解液を別個に定量だけ入れ、その後、減
圧してコンデンサ素子に含浸させた時のそれぞれの発泡
の高さを測定した。今回の検討では、最終7mmHgまで
減圧したが、その結果によると従来例9では発泡が激し
く容器から駆動用電解液が20cm以上溢れたため、7mm
Hgまで減圧を達成できなかったが、本発明の実施の形
態4では、発泡の高さは液面より3cm程度であり、容易
に含浸作業を施すことができた。
【0040】図2はアルミ電解コンデンサのコンデンサ
素子部分の構成を示したもので、この図2に示すよう
に、アルミニウムよりなる陽極電極としての陽極箔1と
同じくアルミニウムよりなる陰極電極としての陰極箔2
とを、その間にセパレータ3を介在させて対向するよう
に巻き取ることによりコンデンサ素子を構成している。
またこのコンデンサ素子の陽極箔1及び陰極箔2のそれ
ぞれには、引き出しリード4が接続されている。
【0041】このような構成のコンデンサ素子に駆動用
電解液を含浸させ、アルミニウムケースなどの金属ケー
ス内にコンデンサ素子を封入することにより、アルミ電
解コンデンサが構成される。
【0042】(表7)は(表2)に示した従来例3の電
解コンデンサ駆動用電解液を用いたアルミ電解コンデン
サと、(表2)(表3)に示した本発明の実施の形態
2,3,4,11の電解コンデンサ駆動用電解液を用い
たアルミ電解コンデンサをそれぞれ20個ずつ用意し、
これらのアルミ電解コンデンサについて寿命試験を行っ
た結果を示したものである。ここで使用したアルミ電解
コンデンサの定格は、いずれも250WV470μFで
あり、無負荷試験温度は110℃で行った。
【0043】
【表7】
【0044】(表7)における従来例3,4,5の電解
コンデンサ駆動用電解液を用いたアルミ電解コンデンサ
は、エージング中に20個のうち3個のショートパンク
が発生した。また、(表7)から明らかなように、従来
例3,4,5の電解コンデンサ駆動用電解液を用いたア
ルミ電解コンデンサは、110℃無負荷2000時間後
の漏れ電流(LC)値が大きな値を示した。これに対
し、本発明の実施の形態2,3,4,11の電解コンデ
ンサ駆動用電解液を用いたアルミ電解コンデンサは、エ
ージング中でもショートパンクの発生がなく、110℃
無負荷2000時間後における特性も初期特性に対し
て、静電容量変化率(ΔC)も小さく、かつ損失角の正
接(tanδ)の増加も小さく、また漏れ電流(LC)
も大幅に低減した数値を示している。これは、本発明の
ランダム共重合体が酸化皮膜に吸着し、皮膜保護の働き
をすることに加え、多価アルコール、リン系化合物の添
加により、さらなる化成性の向上と皮膜の安定性が得ら
れたためであると考えられる。
【0045】これにより、寿命特性の安定したアルミ電
解コンデンサを得ることができるものである。
【0046】さらに450WV級で評価した結果を(表
8)に示す。この(表8)は(表2)に示した従来例
6,7の電解コンデンサ駆動用電解液を用いたアルミ電
解コンデンサと、(表4)に示した本発明の実施の形態
17の電解コンデンサ駆動用電解液を用いたアルミ電解
コンデンサをそれぞれ20個ずつ用意し、これらのアル
ミ電解コンデンサについて寿命試験を行った結果を示し
たものである。ここで使用したアルミ電解コンデンサの
定格は、いずれも450WV150μFであり、その試
験温度は110℃で行った。
【0047】
【表8】
【0048】(表8)から明らかなように、従来例6,
7の電解コンデンサ駆動用電解液を用いたアルミ電解コ
ンデンサは、エージング中及び寿命試験中にショートパ
ンクが発生して試験を継続できなかった。これに対し、
本発明の実施の形態17の電解コンデンサ駆動用電解液
を用いたアルミ電解コンデンサは、エージング中及び寿
命試験中でもショート発生がなく、寿命試験110℃で
2000時間後における特性も初期特性に対して、静電
容量変化率(ΔC)も小さく、かつ損失角の正接(ta
nδ)の増加も小さく、また漏れ電流(LC)も安定し
た数値を示しているもので、これにより、寿命特性の安
定したアルミ電解コンデンサを得ることができるもので
ある。
【0049】以上述べてきた本発明の実施の形態の溶媒
は、すべてエチレングリコールとなっているが、これ以
外の溶媒としては、アミド類,ラクトン類,グリコール
類,硫黄化合物類,炭酸塩類を単独、または混合しても
使用できる。この中でも、好ましい溶媒例としては、炭
酸プロピル,ジメチルホルムアミド,N−メチルホルム
アミド,γ−ブチロラクトン,N−メチルピロリドン,
ジメチルスルホキシド,エチレンシアノヒドリン,エチ
レングリコール,エチレングリコールモノまたはジアル
キルエーテル等が挙げられる。
【0050】そしてこれらのうち少なくとも1種以上を
選択すれば、上記した本発明の実施の形態と同様の効果
が得られることを確認できた。(表9)はその一例とし
てγ−ブチロラクトンを溶媒として用いた従来例10と
本発明の実施の形態21を示したものである。
【0051】
【表9】
【0052】(表9)の本発明の実施の形態21からも
明らかなように、γ−ブチロラクトンを溶媒として用い
た場合でも、エチレングリコールを溶媒として用いたも
のと同様に火花発生電圧を十分高めることができるもの
である。
【0053】本発明の電解コンデンサ駆動用電解液にお
ける溶質は、無機酸,有機酸,無機酸塩,有機酸塩の1
種以上であるが、その中で好ましいものとしては、硼
酸,アゼライン酸,アジピン酸,グルタル酸,フタル
酸,マレイン酸,安息香酸,5,6−デカンジカルボン
酸,1,7−オクタンジカルボン酸,1,6−デカンジ
カルボン酸等の二塩基酸またはその塩が挙げられる。ま
た、上記の塩としては、アンモニウム塩,アミン塩,四
級アンモニウム塩,アミジン系塩等が使用できる。
【0054】上記した溶媒及び溶質は、単独はもちろ
ん、使用用途に応じて有機酸及び/または無機酸、ある
いはそれらの塩の2種類以上の混合でも問題なく使用で
きるものである。
【0055】また、本発明の(化11)(化12)で示
されたランダム共重合体は、本発明の実施の形態12に
記載しているように、用途に応じて2種以上添加して溶
解しても良好な特性を示すものである。
【0056】本発明の(化11)(化12)で示された
ランダム共重合体は、従来例で示すブロック共重合体と
は異なる配列としたため、アルミ電解コンデンサのコン
デンサ素子に駆動用電解液を減圧して含浸する際、発泡
性の抑制も良好となって量産作業にも十分対応できるも
のである。
【0057】本発明の(化11)(化12)の分子量
は、200〜20000が望ましく、かつその添加量
は、0.1〜20wt%が望ましい。
【0058】また多価アルコール類、リン系化合物を添
加した場合は、(表2)の本発明の実施の形態に記載さ
れているように、全般的に火花発生電圧を向上させるこ
とができ、そして安定した皮膜形成がなされるため、さ
らなる高温安定性を有する電解コンデンサ駆動用電解液
及び電解コンデンサを得ることができるものである。
【0059】多価アルコールの種類としては、グリセリ
ン,ポリグリセリン,マンニット,ソルビット,イディ
ット,タリット,ダルシット,アリット,D,L−アラ
ビット,アドニット,キシリット,D,L−エリスリッ
ト,メゾエリスリット,ポリエチレングリコール,ポリ
プロピレングリコール等が挙げられるもので、本発明の
実施の形態に挙げた多価アルコールだけでなく、他の多
価アルコールを用いても同様の効果が期待できるもので
ある。また、その添加量は、0.5〜50wt%の範囲
に設定した。この設定理由としては、多価アルコールの
添加量が0.5wt%より少ないと、火花発生電圧及び
化成性の向上の効果に乏しく、一方、50wt%より多
いと、今度は電導度を低下させる結果となるからであ
る。
【0060】また、本発明の実施の形態2〜20に示し
たリン系化合物の種類としては、リン酸,次亜リン酸,
ポリリン酸,リン酸の縮重合体,リン酸エステル類が挙
げられ、この場合、いずれのリン系化合物を用いても同
様の効果が期待できるものである。また、その添加量は
0.01〜10wt%の範囲に設定しているもので、こ
の設定理由としては、この範囲外では、少なくても多く
ても化成皮膜の安定性に寄与しないと考えられるからで
ある。
【0061】
【化11】
【0062】
【化12】
【0063】
【発明の効果】以上のように本発明の電解コンデンサ駆
動用電解液は、有機化合物を主体とした溶媒に無機酸,
有機酸,無機酸塩,有機酸塩の1種以上を溶質として溶
解し、さらに(化13)(化14)で示されるA:Bの
重量比が3:7〜8:2の範囲を有し、かつ前記(化1
3)で示される末端が水素原子および水酸基を有するラ
ンダム共重合体および(化14)で示される末端が水素
原子およびアルキル基を有するランダム共重合体のいず
れか一方を1種以上、もしくは(化13)(化14)で
示されるランダム共重合体の両方を同時に1種以上添加
するとともに、多価アルコール、リン系化合物のいずれ
か一方、もしくは両方を添加して溶解したもので、(化
13)のランダム共重合体は、結晶性が高いという欠点
を有するポリエチレングリコールと有機溶媒への溶解性
は低いが結晶性が低いポリプロピレングリコールとを共
重合させており、また、(化14)のランダム共重合体
はアルキノールを起点に結晶性の高いC24Oモノマー
と、有機溶媒への溶解性は低いが結晶化度が低いC36
O、C49 Oのいずれかを共重合させているため、両共
重合体とも互いの欠点を補完しあうことになり、これに
より、低温時における溶解性の課題を解決できるととも
に、化成皮膜の安定性を高めて火花発生電圧を高めるこ
とができるものである。
【0064】また、共重合体はブロック共重合体にする
と、その配列は、規則性を持ち気液界面において分子の
配向が密となるため、物性上表面張力は低下することに
なり、これにより、コンデンサ素子への含浸時に発泡を
引き起こすものである。これに対し、モノマーの配列を
ランダムにすると、気液界面においてブロック共重合体
より分子の配向が相対的に疎となるため、表面張力の低
下を抑えることができ、この要因によりコンデンサ素子
への含浸時の発泡性を抑えることができるものである。
【0065】さらに、前記した共重合体は、蒸気圧が溶
媒であるエチレングリコールやγ−ブチロラクトン等に
比べて非常に低いため、この共重合体を添加することに
より駆動用電解液が高温環境下でもドライアップし難く
なり、これにより、長期の信頼性を高めることができる
ものである。
【0066】さらにまた、多価アルコールを添加すれ
ば、電解コンデンサ駆動用電解液の電導度を極端に下げ
ることなく化成性を十分に高めることができるものであ
る。
【0067】そしてまた、リン系化合物を添加すれば、
アルミ箔の化成皮膜の耐水性を向上させることができる
ため、無負荷高温時でも漏れ電流(LC)を低減させる
ことができるものである。
【0068】
【化13】
【0069】
【化14】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態18における電解コンデン
サ駆動用電解液と、従来例7,8における電解コンデン
サ駆動用電解液の化成性を示す特性図
【図2】アルミ電解コンデンサのコンデンサ素子部分の
構成図
【符号の説明】
1 陽極箔 2 陰極箔 3 セパレータ 4 引き出しリード
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−312218(JP,A) 特開 平6−208934(JP,A) 特開 平5−13276(JP,A) 特開 平2−194611(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 9/035

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機化合物を主体とした溶媒に無機酸,
    有機酸,無機酸塩,有機酸塩の1種以上を溶質として溶
    解し、さらに(化1)(化2)で示されるA:Bの重量
    比が3:7〜8:2の範囲を有し、かつ前記(化1)で
    示される末端が水素原子および水酸基を有するランダム
    共重合体および(化2)で示される末端が水素原子およ
    びアルキル基を有するランダム共重合体のいずれか一方
    を1種以上、もしくは前記(化1)(化2)で示される
    ランダム共重合体の両方を同時に1種以上添加するとと
    もに、多価アルコール、リン系化合物のいずれか一方、
    もしくは両方を添加して溶解した電解コンデンサ駆動用
    電解液。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 多価アルコールの添加量は0.5〜50
    wt%の範囲に設定した請求項1記載の電解コンデンサ
    駆動用電解液。
  3. 【請求項3】 リン系化合物の添加量は0.01〜10
    wt%の範囲に設定した請求項1記載の電解コンデンサ
    駆動用電解液。
  4. 【請求項4】 有機化合物を主体とした溶媒に無機酸,
    有機酸,無機酸塩,有機酸塩の1種以上を溶質として溶
    解し、さらに(化3)(化4)で示されるA:Bの重量
    比が3:7〜8:2の範囲を有し、かつ前記(化3)で
    示される末端が水素原子および水酸基を有するランダム
    共重合体および(化4)で示される末端が水素原子およ
    びアルキル基を有するランダム共重合体のいずれか一方
    を1種以上、もしくは前記(化3)(化4)で示される
    ランダム共重合体の両方を同時に1種以上添加するとと
    もに、多価アルコール、リン系化合物のいずれか一方、
    もしくは両方を添加して溶解した電解コンデンサ駆動用
    電解液を用いてなる電解コンデンサ。 【化3】 【化4】
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