JP3470515B2 - 分散剤の製造方法及び分散剤 - Google Patents

分散剤の製造方法及び分散剤

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JP3470515B2
JP3470515B2 JP25698396A JP25698396A JP3470515B2 JP 3470515 B2 JP3470515 B2 JP 3470515B2 JP 25698396 A JP25698396 A JP 25698396A JP 25698396 A JP25698396 A JP 25698396A JP 3470515 B2 JP3470515 B2 JP 3470515B2
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
    • C08F8/34Introducing sulfur atoms or sulfur-containing groups
    • C08F8/36Sulfonation; Sulfation

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリスチレン系樹
脂を改質して分散剤として用いる水溶性高分子電解質の
製造方法、及びこの方法により得られる分散剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリスチレン系樹脂は、電気的特性や剛
性、耐水性等の特性に優れており、しかも安価である。
このため、ポリスチレン系樹脂は、単独体や共重合体の
形で、緩衝材(発泡スチロール)や包装材、各種工業製
品の筐体及び各種部品等の樹脂材料として多用され、そ
の需要は年々増加傾向を示している。しかし、その一方
で、使用済みの廃材としての発生量も増加している。こ
のような状況のなか、近年の地球環境保全に対する関心
の高まりから、ポリスチレン廃材の有効利用についての
ニーズも高まっている。
【0003】これまでのポリスチレン系廃材の有効利用
法としては、加熱溶融し再成形する(但し、熱可塑性樹
脂のみ)、焼却し熱回収する、熱分解して油化及び原料
(モノマー)に還元するといった、一般のプラスチック
廃材に対して行われるものと同様な方法が挙げられる。
しかしながら、これら方法では、いずれも元のポリスチ
レン系樹脂より付加価値の低いものしか得ることができ
なかった。
【0004】そこで、ポリスチレン廃材を化学的に修飾
してより付加価値の高いものに改質する技術が提案され
ている。例えば、ポリスチレン系廃材をスルホン化する
ことで、水溶性のスルホン化ポリスチレンに改質し、廃
水処理用の高分子凝集剤として利用するものが挙げられ
る。この技術により、元のバージン材の10倍近くまで
付加価値を高めることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た技術により得られる水溶性のスルホン化ポリスチレン
の分子量は、15万〜60万と高いため、凝集剤以外の
用途に用いることが出来ないという問題があった。凝集
剤以外の用途としては、各種分散剤、セメント用添加
剤、導電剤、及び糊等を含む接着剤等が挙げられ、一般
にこれらには、2千〜10万の低い分子量の水溶性高分
子電解質が利用されている。
【0006】本発明は、上述のような問題点を解決する
ために提案されたものであり、ポリスチレン系樹脂をス
ルホン化して分散剤としての水溶性高分子電解質の製造
方法、及びポリスチレン系樹脂を改質してできる分散剤
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る分散剤の製
造方法は、重量平均分子量が10万以上40万以下であ
るポリスチレン系樹脂をスルホン化して水溶性スルホン
化ポリスチレンを得る工程を有し、この工程において反
応系に過酸化物を添加することを特徴としている。
【0008】また、本発明に係る分散剤は、重量平均分
子量が10万以上40万以下であるポリスチレン系樹脂
を出発物質とし、該ポリスチレン系樹脂をスルホン化す
る際に過酸化物を添加することにより該ポリスチレン系
樹脂より改質されてなることを特徴としている。
【0009】このように、ポリスチレン系樹脂をスルホ
ン化する際に過酸化物を添加すると、ポリスチレンの主
鎖が酸化されて切断される。このため、過酸化物を添加
すると、低分子量の水溶性のスルホン化ポリスチレンを
得ることができる。
【0010】ところで、上記過酸化物は、ポリスチレン
系樹脂の全モノマーユニットに対して0.01〜100
モル%添加されることが望ましい。濃度がこの範囲より
少ない場合には、添加効果が現れず、この範囲より多い
場合には、狙いとなる分子量よりも低くなり、コスト的
にも不利となる。
【0011】上記ポリスチレン系樹脂としては、スチレ
ンユニットをポリスチレン系樹脂の全モノマーユニット
に対して20〜100モル%含有するものが望ましい。
スチレンユニットの含有量がこれより低い場合には、ス
ルホン基の導入が難しくなり水溶性のポリマーが得られ
なくなったり、スルホン化ポリスチレン本来の特性が損
なわれる。
【0012】また、ポリスチレン系樹脂としては、重量
平均分子量が、10万〜40万であるものが望ましい。
分子量がこれより高いのものや低いものを使用した場合
には、各種分散剤としてスルホン化ポリスチレンを利用
する際に狙いとなる分子量に改質出来なくなる。
【0013】また、スルホン化により、スルホン基がポ
リスチレン系樹脂の全モノマーユニットに対して40〜
200モル%導入されることが好ましい。導入量がこれ
より少ない場合には、スルホン化度が低くなり水溶性の
ポリマーは得られなくなる。また、多い場合には、スル
ホン架橋し易くなり非水溶性ポリマーとなったり、反応
系中に硫酸塩の副生成物が多量に残留してしまう事にな
る。
【0014】このように、本発明では、ポリスチレン系
樹脂のスルホン化を行うに際して、過酸化物を添加する
ことにより、重量平均分子量が100〜50万となるよ
うな水溶性高分子電解質に改質することができ、この水
溶性高分子電解質を分散剤として用いることができる。
【0015】また、特に、セメント用混和剤として利用
する場合には、上記条件に加えて、ポリスチレン系樹脂
として、スチレンユニットをポリスチレン系樹脂の全モ
ノマーユニットに対して80モル%以上含有するものを
使用し、スルホン化剤として、スルホン基をポリスチレ
ン系樹脂の全モノマーユニットに対して60モル%以上
含有するものを使用するのが望ましい。これにより、重
量平均分子量が200〜10万となるように改質するこ
とができるようになる。
【0016】上述したように、本発明によれば、ポリス
チレン系樹脂を低分子量の水溶性のスルホン化ポリスチ
レンに改質することができる。すなわち、ポリスチレン
系樹脂をより付加価値の高い水溶性高分子電解質に改質
することができ、利用用途を拡大することができる。
【0017】また、本発明において原料となるポリスチ
レン系樹脂は、バージン材のみならず、廃材であっても
よい。このため、本発明は、汎用性樹脂として大量に生
産されたポリスチレン系樹脂製品の再利用法としても非
常に有効である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した具体的な
実施の形態について詳細に説明する。
【0019】本発明を適用した分散剤としての水溶性高
分子電解質の製造方法は、ポリスチレン系樹脂を溶媒中
でスルホン化剤と反応させ、次に塩基性化合物で中和す
る反応過程において、いずれかの反応過程において過酸
化物を添加し、低分子量の水溶性のスルホン化ポリスチ
レンを得ることを特徴とする。
【0020】先ず、ここで使用されるポリスチレン系樹
脂としては、全モノマーユニットに対してスチレンユニ
ットを20〜100モル%、好ましくは50〜100モ
ル%含有していることが望ましい。スチレンユニットの
含有量がこれより低い場合には、スルホン基の導入が難
しくなり水溶性のポリマーが得られなくなったり、スル
ホン化ポリスチレン本来の特性が損なわれる。
【0021】また、ポリスチレン系樹脂の重量平均分子
量(Mw)は、10万〜40万、好ましくは15〜30
万である。分子量がこれより高いのものや低いものを使
用した場合には、各種分散剤としてスルホン化ポリスチ
レンを利用する際に狙いとなる分子量に改質出来なくな
る。
【0022】上記ポリスチレン系樹脂は、スチレンユニ
ットのみのポリマーでも良く、又はスチレンユニットと
スチレン以外のユニットとの共重合体であっても良い。
具体的に、スチレン以外のユニットとしては、ブタジエ
ン、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)
アクリル酸エステル(炭素数が1〜4の脂肪族炭化水
素)、無水マレイン酸、無水イタコン酸が挙げられる。
この中で好ましくは、ブタジエン、アクリロニトリル、
無水マレイン酸である。これらスチレン以外のユニット
は、1種類もしくは2種類以上含まれていても良いが、
好ましくは2種類以内である。
【0023】なお、上記ポリスチレン樹脂は、使用済み
の廃材でも良く、他の樹脂とのアロイ物であっても良
く、顔染料や安定剤、難燃剤、可塑剤、充填剤、その他
補助剤等の添加剤を含んでいても良い。
【0024】また、同使用済み廃材とバージン材料との
混合物であっても良い。ポリスチレン系樹脂と混合可能
な他の樹脂としては、本発明の改質反応を阻害しないポ
リマーである事が望ましく、同ポリマーとしてポリフェ
ニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリフェニレンス
ルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレートが挙げられる。これらの中で好ましく
は、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネートであ
る。なお、これらの樹脂はポリスチレン系樹脂に対して
60重量%以下に混合される事が望ましい。これらの樹
脂の含有量が60重量%以上となると、本発明による改
質反応が阻害される事になる。
【0025】なお、本発明の手法により、ポリスチレン
樹脂と共にこれら他のポリマーも同様に改質される事に
なるが、種々の高分子薬剤としての性能には特に影響し
ない。ただし、これら他のポリマーの含有量が増加する
と、同薬剤としての有効成分が低下する事になる。
【0026】以上、上述したポリスチレン系樹脂を、溶
媒中でスルホン化剤と反応させ、スルホン化を行う。
【0027】このスルホン化の際には、スルホン基が上
記ポリスチレン系樹脂の全モノマーユニットに対して、
40〜200モル%、好ましくは、50〜100モル%
導入されることが好ましい。導入量がこれより少ない場
合には、スルホン化度が低くなり水溶性のポリマーは得
られなくなる。また、多い場合には、スルホン架橋し易
くなり非水溶性ポリマーとなったり、反応系中に硫酸塩
の副生成物が多量に残留してしまう事になる。
【0028】また、上記スルホン化反応系における上記
ポリスチレン系樹脂の濃度は、0.1〜30重量%で、
好ましくは、0.5〜20重量%である。濃度がこの範
囲より低い場合には、生産効率やポリマーへのスルホン
基の導入率が低下する。濃度がこの範囲より高い場合に
は、ゲル化物や未反応物が多く発生する事になる。
【0029】さらに、スルホン化反応の温度は、0〜1
00℃、好ましくは、15〜80℃である。温度がこの
範囲より低いとスルホン化反応が進行しにくくなり収率
が低下する。
【0030】スルホン化反応の時間(但し、スルホン化
剤の滴下時間は含まない)は、10分〜10時間、好ま
しくは、30分〜5時間である。
【0031】なお、上記スルホン化剤としては、無水硫
酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸、濃硫酸が挙げられ
る。これらスルホン化剤は、それぞれ単独で使用しても
良いし、複数種併用しても良い。
【0032】さらに、上記スルホン化剤は、ルイス塩基
とを併用しても良い。ルイス塩基としては、アルキルフ
ォスフェート(トリエチルフォスフェート、トリメチル
フォスフェート)、ジオキサン、無水酢酸、酢酸エチ
ル、パルチミン酸エチル、ジエチルエーテル、チオキサ
ン等が挙げられる。
【0033】これらルイス塩基の添加量は、ポリスチレ
ン系樹脂廃材中のスチレンユニットに対して、1〜20
0モル%、好ましくは、2〜100モル%である。な
お、このルイス塩基の添加量が少ないとスルホン化反応
中にゲル化物が発生し易くなり、多いとスルホン化反応
自体が進行し難くくなり収率が低下する。
【0034】また、本発明で使用される反応溶媒として
は、炭素数が1〜2の脂肪族ハロゲン化炭化水素(好ま
しくは1,2-ジクロロエタン 、クロロホルム、ジクロ
ロメタン、1,1-ジクロロエタン)、脂肪族環状炭化水素
(好ましくは、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサ
ン、シクロペンタン)、ニトロメタン、ニトロベンゼン
等が挙げれる。
【0035】なお、これら溶媒は、そのもの単体で用い
ても良いし複数混合して用いても良い。上記溶媒内での
混合においては、その混合比率は特に制限は無い。
【0036】または、他の溶媒と複数混合しても良い。
混合して用いる事が可能な溶媒としては、パラフィン系
炭化水素(炭素数:1〜7)、アセトニトリル、二硫化
炭素、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,
2-ジメトキシエタン、アセトン、メチルエチルケト
ン、チオフェン 等が挙げられる。これらのものの中で
好ましくは、パラフィン系炭化水素(炭素数:1〜
7)、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル
である。これら他の溶媒との混合比率は、特に限定しな
いが、好ましくは、体積当り1〜100%の範囲であ
る。
【0037】なお、スルホン化反応に一度使用した溶媒
は、反応終了後、抜き取りや蒸留等の方法により回収し
て再度スルホン化反応に使用しても良い。
【0038】以上、上述したようにポリスチレン系樹脂
をスルホン化した後は、塩基性化合物で中和し、スルホ
ン化ポリスチレンとする。
【0039】この塩基性化合物としては、アルカリ金属
(ナトリウム、リチウム、カリウム等)やアルカリ土類
金属(マグネシウム、カルシウム等)の酸化物、水酸化
物、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の化合物や、
アンモニアや各種(1〜3級アルキル)アミン化合物等
が挙げられる。
【0040】この中和処理は、塩基性化合物をそのま
ま、もしくは水溶液の状態で反応系中に徐々に添加して
行い、中和反応を完結させる。この塩基性化合物の添加
量は、分子量により異なるが、ポリスチレン系樹脂1重
量部に対して、0.5〜100重量部で、好ましくは1
〜50重量部である。なお、上記中和反応時の反応温度
は、0〜80℃である。
【0041】そして、上述したような中和処理の後、分
液及び/又は蒸留等で除去することにより、所定の水溶
性のスルホン化ポリスチレンが得られる。なお、溶媒の
残留量を少なくするには、分液後に蒸留する事が好まし
い。
【0042】以上、上述した内容でポリスチレン系樹脂
を水溶性のスルホン化ポリスチレンへと改質することが
できるが、さらに、本発明では、この反応系に過酸化物
を添加することを特徴とする。これにより、ポリスチレ
ンの主鎖が酸化されて切断され、低分子量のスルホン化
ポリスチレンが生成される。
【0043】なお、過酸化物は、スルホン化剤添加の前
・後又は同時に添加してもよいし、塩基性化合物の添加
後又は同時に添加してもよい。より好ましくは、スルホ
ン化剤添加後 、もしくは塩基性化合物の添加後であ
る。これは、スルホン化剤添加前にポリスチレン系樹脂
に過酸化物を添加すると、架橋もしくは重合反応を生じ
る場合があり(例えば、ブタジエンユニットを含むHI
PS系廃材等)、これにより改質物の分子量が増加して
しまう為である。また、過酸化物を添加する際には、各
種還元剤(金属イオン等)と併用しても良く、上記スル
ホン化剤や塩基性化合物と混合した状態で反応系に添加
しても良い。
【0044】上記過酸化物の添加量としては、ポリスチ
レン系樹脂中のモノマーユニット全体に対して、0.0
1〜100モル%、好ましくは0.1〜50モル%であ
る。
【0045】上記過酸化物添加時の反応系の温度として
は、0〜100℃、好ましくは5〜80℃である。
【0046】上記過酸化物としては、無機系として、過
酸化水素水、ペルオキソ硫酸及びその塩化合物、ペロオ
キソ炭酸塩、ペルオキソ燐酸及びその塩化合物、ペルオ
キソ硝酸及びその塩化合物、オゾン、過塩素酸、過マン
ガン酸及びその塩が挙げられる。これらの中で、好まし
くは過酸化水素水、ペルオキソ硫酸及びその塩化合物、
オゾンである。
【0047】また、有機系としては、次のようなものが
挙げられる。
【0048】ヒドロペルオキシド系:t・ブチルヒドロ
ペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロ
ピルベンゼンヒドロペルオキシド、P−メンタンヒドロ
ペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジヒドロペ
ルオキシ ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジヒ
ドロペルオキシ ヘキシン−3、ピネンヒドロペルオキ
シド等。
【0049】ジアルキルペルオキシド系:ジ−t−ブチ
ルペルオキシド、ジ−t−アミルペルオキシド、t−ブ
チルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘ
キサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペ
ルオキシ)ヘキシン−3、α,α’−ビス(t−ブチル
ペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス
(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t-ブチルペ
ルオキシ)ヴァレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−
t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-
ビス(t-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ−(t
−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等。
【0050】ジアシルペルオキシド系:カプリライドペ
ルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ステアロイルペ
ルオキシド、スクシン酸ペルオキシド、ベンゾイルペル
オキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4
−ジクロロベンゾイルペルオキシド等。
【0051】ペルオキシエステル系:t−ブチルペルオ
キシ酢酸、t−ブチルペルオキシ−2エチルヘキサノエ
ート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペ
ルオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルジペルオキシフ
タレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイル
ペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(ベンゾイルペルオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルペ
ルオキシマレイン酸、t−ブチルペルオキシイソプロピ
ルカルボネート等。
【0052】ケトンペルオキシド系:メチルエチルケト
ンペルオキシド、メチル イソブチルケトンペルオキシ
ド、シクロヘキサノンペルオキシド等。
【0053】以上、説明したように、本発明において
は、ポリスチレン系樹脂をスルホン化する際に、過酸化
物を添加することにより、ポリスチレン系樹脂を低分子
量の水溶性スルホン化ポリスチレンに改質することが可
能となる。
【0054】このように、本発明に係る水溶性の高分子
電解質は、従来の方法によって製造されたものと比較し
て分子量が低いため、セメント用添加剤、無機顔料分散
剤、紙力増強剤、紙用表面サイズ剤、電子複写用導電
剤、帯電防止剤、スケール防止剤、乳化重合用分散剤、
接着剤(水溶性糊を含む)に適用することが可能とな
り、優れた特性を発揮する。
【0055】この水溶性高分子電解質の被分散剤として
は、特に限定されるものではなく、例えば、以下のよう
なものが挙げられる。
【0056】無機顔料:炭酸カルシウム、クレー、酸化
チタン、カオリン、サテンホワイト、タルク、アルミ
ナ、カーボンブラック 有機顔料:ナフトールイエローS、ナフトールグリーン
B、リソールレッド、ファストエロー、フタロシアング
リーン、ローダミンレーキ、ペリレンレッド、キナクリ
ドンレッド 磁性粉末:γ−Fe23粉末、Fe34粉末、Co含有
γ−Fe23粉末、Co含有Fe34粉末、Fe粉末、
Co粉末、Fe−Ni粉末 ここで、本発明に係る水溶性高分子電解質をセメント用
混和剤に適用した場合について説明する。
【0057】本発明を適用したセメント用混和剤は、従
来の混和剤と同一の配合比にして比較した場合、極めて
高い流動性を持つため作業性が著しく改善され、しかも
スランプロスが少ない。一方、このセメント用混和剤
は、従来の混和剤と流動性を同一にした場合、水/セメ
ント比を低減することができるため、高強度でひび割れ
の少ないセメント組成物を製造することができる。
【0058】したがって、本発明を適用したセメント用
混和剤は、セメント組成物の減水性、流動性、スランプ
ロスを顕著に改善することが可能となる。
【0059】これまでコンクリート製品の製造工程にお
いては、セメントに添加する水の量を出来るだけ少なく
し、かつ流動性を保つため、ナフタレンスルホン酸ホル
マリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、
リグニンスルホン酸等の発ガン性のあるホルムアルデヒ
ドを原料として減水剤を使用しており、安全性の面で問
題があり、時間の経過と共に、急激に流動性が低下する
という問題があったが、本発明により得られたセメント
用混和剤は、これら問題点を解決する。
【0060】なお、このように、本発明を適用して製造
される水溶性高分子電解質をセメント用混和剤とする場
合には、上述した製造条件に加えて、ポリスチレン系樹
脂として、スチレンユニットを全モノマーに対して80
モル%以上、好ましくは90モル%以上とすることを望
ましい。さらに、スルホン化剤として、ポリスチレン系
樹脂の全モノマーユニットに対して60モル%のスルホ
ン基を含有するものを用いることが望ましい。
【0061】このように、本発明を適用したセメント用
混和剤を用いたセメント組成物は、高い作業性、高品質
が要求される多くの用途に使用でき、人工軽量コンクリ
ート、膨張コンクリート、水蜜コンクリート、遮断用コ
ンクリート、暑中コンクリート、寒中コンクリート、プ
レスコンクリート、プレキャストコンクリート、舗装コ
ンクリート、ダムコンクリート、海水用コンクリート、
スライディングフォーム工法を用いるコンクリート流動
化コンクリート等に用いることが出来る。
【0062】なお、本発明を適用したセメント用混和剤
の添加量は、セメント重量に対して、0.02〜20重
量%で、好ましくは0.1〜2重量%である。
【0063】添加量が上記範囲より少ない場合には、セ
メント組成物の作業性保持効果が乏しく、多いと経済的
に不利であったり強度が低下したりして好ましくない。
【0064】また、上記セメント用混和剤が添加された
セメント組成物は、通常の養生により硬化させる事が出
来る。さらに、蒸気養生、遠心成形して高強度のセメン
ト二次製品を製造する事も出来る。
【0065】上述したようなセメント組成物を得るに
は、更に作業性を向上させるために、必要に応じて他の
減水剤と併用してもよい。
【0066】併用可能な減水剤としては、ナフタレンス
ルホン酸(塩)ホルムアルデヒド縮合物、リグニンスル
ホン酸(塩)、メラミンスルホン酸(塩)ホルムアルデ
ヒド縮合物、ポリカルボン酸(塩)系高分子、スチレン
―マレイン酸(塩)ポリマー、オキシカルボン酸塩(グ
ルコヘプトン酸、グルコン酸等)、ポリオール誘導体
(ポリビニルアルコール等)、アミノアリールスルホン
酸塩―フェノールホルマリン縮合物、ジエンスルホン酸
(塩)等が挙げられる。
【0067】本発明を適用したセメント用混和剤のセメ
ント組成物への添加方法は、水溶液又は粉末、粒状いず
れでも可能であり、その添加時期は、セメントとのドラ
イブレンド時、混和水への溶解時、又はセメント組成物
の混和開始時、即ちセメントへの注水と同時もしくは注
水直後からセメント組成物の混練終了までの間に添加す
る事も可能であり、一旦練り上がったセメント組成物へ
の添加も可能である。また、本発明を適用したセメント
用混和剤は、一時に全量添加する方法、あるいは数回に
分割して添加する方法も可能である。
【0068】また、上記他の減水剤を併用する場合に
は、上記本発明を適用したセメント用混和剤とあらかじ
め混合しておいても良く、或いは一方をセメント又はセ
メント組成物に配合して練っておいてから他方を配合し
ても良い。
【0069】さらに、他のセメント用混和剤(材)例え
ば、AE減水剤、流動化剤、高性能減水剤、(超)遅延
剤、早強剤、促進剤、起泡剤、発泡剤、消泡剤、防水
剤、防錆剤、着色剤、防かび剤、ひび割れ低減剤、高分
子エマルジョン、その他界面活性剤、水溶性高分子、膨
張剤(材)、グラスファイバー、フライアッシュ、シン
ダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、
高炉スラグ、シリカヒューム、シリカ粉末等との併用も
可能である。これらの例としては、以下のようなものが
挙げられる。
【0070】AE減水剤、流動化剤、高性能減水剤:ナ
フタレンスルホン酸(塩)ホルムアルデヒド縮合物、リ
グニンスルホン酸(塩)、メラミンスルホン酸(塩)ホ
ルムアルデヒド縮合物、ポリカルボン酸(塩)系高分
子、ポリオキシカルボン酸塩、ポリオール誘導体(ポリ
ビニルアルコール等)、ポリオキシエチレンアルキルア
リールエーテル、クレオソート油スルホン酸(塩)ホル
ムアルデヒド縮合物等。
【0071】(超)遅延剤:リグニンスルホン酸塩、ケ
ト酸(塩)、オキシカルボン酸塩、アミノカルボン酸
(塩)、ポリアクリル酸(塩)、燐酸(塩又はエステ
ル)、ケイフッ化物、ホウ酸類、亜鉛化合物等。
【0072】早強剤、促進剤:金属塩化物(塩化カルシ
ウム、塩化鉄、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム
等)、金属硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、
硫酸カリウム等)、チオシアン酸塩、アルカリ(水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム等)、炭酸塩(炭酸カルシ
ウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、水ガラス、
アルミナ系等。
【0073】起泡剤、発泡剤:アルミニウム粉末、樹脂
石鹸、合成界面活性剤等。
【0074】消泡剤:鉱油系、油脂系、脂肪酸系、脂肪
酸エステル系、アルコール系、アミド系、リン酸エステ
ル系、金属石鹸系、シリコーン系等。
【0075】防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、
油脂、シリコン、パラフィン、アスファルト、ワックス
等。
【0076】防錆剤:亜硝酸塩、燐酸塩、酸化亜鉛等。 ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル等。
【0077】水溶性高分子:セルロース誘導体(カルボ
キシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース等)、ポリビニルアルコール、デンプ
ン、ゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリ
ルアミド、ポリオキシエチレン等。
【0078】膨張剤(材):エトリンガイト系、石灰系
等。
【0079】なお、上記セメント用混和剤(材)と本発
明を適用したセメント用混和剤との添加順序は、特に限
定されるものではなく、例えば本発を適用した混和剤を
添加した後に上記混和剤(材)を添加するか、或いは上
記混和剤(材)を添加した後に本発明を適用した混和剤
添加する事も可能であり、また、上記混和剤(材)と本
発明を適用した混和剤を同時に添加する等の添加方法が
ある。
【0080】これらセメント組成物に使用し得る水硬性
セメント組成物の使用材料の例としては、以下のような
ものが挙げられる。
【0081】セメント:普通ポルトランドセメント、特
殊(早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩、白色鉄)ポルト
ランドセメント、アルミナセメント、フライアッシュセ
メント、シリカセメント、シリカヒューム配合セメン
ト、高炉セメント、膨張セメント、コロイドセメント、
ソリジット、ケイ酸カルシウム等を、単独もしくは2種
以上組み合わせてなる混合セメント。
【0082】骨材:川砂(利)、陸砂(利)、海砂
(利)、砕砂(利)、スラグ砂(利)、人工(軽量)砂
(利)、天然軽量骨材等。
【0083】
【実施例】以下、本発明を適用して水溶性高分子電解質
を製造し、分散剤及びセメント用混和剤としての特性の
評価を行った。なお、本発明が適用される水溶性高分子
電解質の用途は、これに限定されるものでないことは言
うまでもない。
【0084】先ず、始めにポリスチレン系樹脂として、
以下の廃材を原料として用意し、 (a) 発泡スチロール ・・・分子量Mw:20万 (b) ハイインパクトポリスチレン(VHSカセットケース廃材) ・・・分子量Mw:18万 (c) ハイインパクトポリスチレン(TV用ハウジング廃材) ・・・分子量Mw:22万 これらをシュレーダーにより粉砕したものを使用した。
【0085】なお、得られた改質物の分子量Mwは、ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析に
より測定した。GPC分析では、カラムにウルトラヒド
ロゲルリニィアー(Ultrahydrogelinear)を用い、溶媒
にH2O/アセトニトリル=80/20の混合溶媒を用
いた。
【0086】また、スルホン化率は、核磁気共鳴スペク
トル(NMR)法により測定した。
【0087】実施例1 先ず始めに、1,2−ジクロロエタン;70gに燐酸ト
リエチル;2.44gを添加した反応溶媒を用意した。
この反応溶媒に、1,2−ジクロロエタン;63gに
(a)発泡スチロールの粉砕物;6.93gを溶解した
ものと、発煙硫酸(60重量%);9.33gと濃硫酸
(96重量%)/過酸化水素水(30重量%)=5/1
(体積比)との混合溶媒;2.5gとを60分かけて同
時に滴下した。滴下中の反応系の温度は、20〜25℃
の範囲に調節した。
【0088】滴下終了後、30分間熟成し、この反応系
に酸成分と等モル量の水酸化ナトリウムを加えて中和を
行った。その後、この中和混合物を常圧下で加熱し、反
応系から1,2−ジクロロエタンを留出除去した。
【0089】これにより、最終的に得られたポリスチレ
ンスルホンソーダ水溶液の分子量Mwは、1.8万、ス
ルホン化率は、93モル%であった。以下、これを実施
例1のサンプルとする。
【0090】実施例2 先ず始めに、1,2−ジクロロエタン;70gに燐酸ト
リエチル;0.6gを添加し、さらに、20〜25℃に
保った状態で無水硫酸;0.27gを添加し、反応溶媒
を用意した。この反応溶媒に、1,2−ジクロロエタ
ン;63gに(b)VHSカセットケース廃材;7.0
gを溶解したものと、無水硫酸;5.4gとを同温度に
保ち60分かけて同時に滴下した。
【0091】滴下終了後、30分間熟成し、20〜25
℃に保った状態で、過酸化水素水(30重量%);1.
5gを徐々に滴下した。
【0092】さらに、30分間熟成した後、この反応系
に酸成分と等モル量の水酸化ナトリウムを加えて中和を
行った。その後、この中和混合物を常圧下で加熱し、反
応系から1,2−ジクロロエタンを留出除去した。
【0093】これにより、最終的に得られたポリスチレ
ンスルホンソーダ水溶液の分子量Mwは、3.8万、ス
ルホン化率は、88モル%であった。以下、これを実施
例2のサンプルとする。
【0094】実施例3 先ず始めに、シクロヘキサン;50gに燐酸トリエチ
ル;0.92gを添加し、50℃に保った状態で発煙硫
酸(SO3;60重量%);0.17gを添加し、反応
溶媒を用意した。この反応溶媒に、シクロヘキサン;1
20gに(c)TV用ハウジング廃材;2.4gを溶解
したものと、発煙硫酸;3.3gとを同温度に保ち60
分かけて同時に滴下した。滴下終了後、50±2℃の温
度に保ち、1時間熟成した。
【0095】次に、水酸化ナトリウムを含む水溶液を攪
拌しながら反応系中に加えて中和を行った。その後、こ
の中和混合物を常圧下で加熱し、反応系から1,2−ジ
クロロエタンを留出除去し、残留物を得た。
【0096】そして、この残留物に過硫酸アンモニウ
ム;0.25gを添加した。
【0097】これにより、最終的に得られたポリスチレ
ンスルホンソーダ水溶液の分子量Mwは、1.2万、ス
ルホン化率は、86モル%であった。以下、これを実施
例3のサンプルとする。
【0098】比較例1 先ず始めに、1,2−ジクロロエタン;70gに燐酸ト
リエチル;2.44gを添加した反応溶媒を用意した。
この反応溶媒に、1,2−ジクロロエタン;63gに
(a)発泡スチロールの粉砕物;6.93gを溶解した
ものと、発煙硫酸(60重量%);9.33gとを60
分かけて同時に滴下した。このように、過酸化水素水を
添加しなかった以外は、実施例1と同様に、水酸化ナト
リウムで中和し、溶媒を留出除去した。
【0099】これにより、最終的に得られたポリスチレ
ンスルホンソーダ水溶液の分子量Mwは、38万、スル
ホン化率は、90モル%であった。以下、これを比較例
1のサンプルとする。
【0100】比較例2 (b)VHSカセットケース廃材のスルホン化の後に、
過酸化水素水(30重量%)を添加しなかった。これ以
外は、実施例2と同様にして、スルホン化、中和を行っ
て、溶媒を留出除去した。
【0101】これにより、最終的に得られたポリスチレ
ンスルホンソーダ水溶液の分子量Mwは、32万、スル
ホン化率は、85モル%であった。以下、これを比較例
2のサンプルとする。
【0102】比較例3 実施例3と同様に、(c)TV用ハウジング廃材のスル
ホン化、中和を行い、溶媒を留出除去し、残留物を得
た。ただし、これに、過硫酸アンモニウムを添加しなか
った。
【0103】これにより、最終的に得られたポリスチレ
ンスルホンソーダ水溶液の分子量Mwは、41万、スル
ホン化率は、82モル%であった。以下、これを比較例
3のサンプルとする。
【0104】分散剤としての特性評価 試験1:上記実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例
3のサンプル0.06g(被分散物に対して0.01重
量%)を固形分としてそれぞれ水40gに添加して均一
溶解した。これら水溶液に、酸化チタン60gをそれぞ
れ添加して、ホモミキサーを用いて10分間攪拌分散さ
せた。そして、得られたスラリー液の粘度を、攪拌直
後、及び24時間経過後に、BL粘度計(25℃、60
rpm)により測定した。この結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】試験2:始めに、容積200mlの沈降管
に5重量%のカオリン懸濁水溶液160mlを入れた。
これに、それぞれ上記実施例1〜実施例3及び比較例1
〜比較例3のサンプル10ppm(対懸濁水溶液体積)
を添加し、直ちに上下10回攪拌を行った。そして、静
置直後及び2時間経過後に懸濁粒子の観察を行った。
【0107】その結果、比較例1〜比較例3のサンプル
を添加したものは、静置直後から凝集が生じ、2時間経
過後にはカオリン粒子(下層)と水(上層)とに分離し
た。それに対し、実施例1〜実施例3のサンプルを添加
したものは、2時間経過後も安定な懸濁液を維持してい
た。
【0108】これら試験1と試験2の結果から、実施例
1〜実施例3のサンプルは、比較例1〜比較例3のサン
プルに比べて、分子量が小さく、分散剤として優れた特
性を有していることがわかる。実施例1〜実施例3のサ
ンプルは、上述したように、ポリスチレン系樹脂の廃材
をスルホン化する際に、過酸化物が添加されているた
め、低分子量の水溶性高分子電解質ができているためで
ある。
【0109】このように、本発明を適用して製造された
水溶性高分子電解質は、従来の方法により得られるもの
に比べ、分子量が低いものとなり、分散剤として優れた
特性を発揮することがわかる。
【0110】また、原料として利用するポリスチレン系
樹脂には、使用済みとなった廃材を利用することがで
き、廃材の低減、及び資源の有効利用を図ることができ
る。
【0111】セメント用混和剤としての特性評価 始めに、普通ポルトランドセメント520gと川砂10
40gとよりなるモルタル(JIS R5210の規定
に準じる)を用意した。次いで、このモルタルに、混和
剤として上記実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例
3のサンプルを0.5重量%添加し、モルタルフローが
180cmになるように水を添加した。
【0112】そして、このモルタルの減水率を測定し
た。モルタルの減水率は、{(混和剤添加前の水量−混
和剤添加後の水量)/混和剤添加前の水量}×100よ
り求められる。
【0113】また、上記混和剤が添加されたモルタルを
混合ボール中に回収し、各所定時間経過後に、同混合ボ
ール中のモルタルをスプーン中で再混合してモルタルフ
ローを測定し、モルタルフローの経時変化を測定した。
この測定は、JIS K5201の試験法に準じた。
【0114】これらの結果を表2に示す。なお、比較の
対象として、混和剤を添加しないもの、及び混和剤とし
てナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物を用いている
現状品についての評価も行った。
【0115】
【表2】
【0116】表2の結果からわかるように、実施例1〜
実施例3のサンプルは、混和剤を添加しなかったもの比
べ減水率の面で優れた特性を発揮しており、従来の混和
剤を用いたものに比べ減水率及びスランプロスの2つの
面で優れた特性を発揮している。また、比較例1〜比較
例3のサンプルは、分子量が高く、混練時に凝集物が発
生するため、スランプロスの結果が著しく悪化してい
る。
【0117】このように、本発明を適用した水溶性高分
子電解質をセメント用混和剤として利用した場合には、
従来の混和剤を利用する場合に比べて、流動性、減水
性、スランプロスの面で優れた特性を発揮する。
【0118】また、原料として利用するポリスチレン系
樹脂には、上述したように、使用済みとなった廃材を利
用することができ、廃材の低減及び資源の有効利用を図
ることができる。
【0119】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
おいては、ポリスチレン系樹脂をスルホン化して水溶性
のスルホン化ポリスチレンを得る際に、過酸化物を添加
することから、ポリスチレン樹脂を低分子量の水溶性高
分子電解質に改質することができる。これにより、この
水溶性高分子電解質は、セメント用添加剤、無機顔料分
散剤、紙力増強剤、紙用表面サイズ剤、電子複写用導電
剤、帯電防止剤、スケール防止剤、乳化重合用分散剤、
接着剤(水溶性糊を含む)等に利用することが可能とな
り、利用用途を拡大することができる。
【0120】また、本発明において原料となるポリスチ
レン系樹脂は、バージン材のみならず、廃材であっても
よい。このため、本発明は、汎用性樹脂として大量に生
産されたポリスチレン系樹脂製品の再利用法としても非
常に有効であり、地球環境保全に貢献することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−104335(JP,A) 特開 昭59−184205(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 8/00 - 8/50

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量が10万以上40万以下
    であるポリスチレン系樹脂をスルホン化して水溶性スル
    ホン化ポリスチレンを得る工程を有し、 上記工程において反応系に過酸化物を添加することを特
    徴とする分散剤の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記過酸化物を上記ポリスチレン系樹脂
    の全モノマーユニットに対して、0.01〜100モル
    %の割合で添加することを特徴とする請求項1記載の分
    散剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記ポリスチレン系樹脂は、スチレンユ
    ニットを上記ポリスチレン系樹脂の全モノマーユニット
    に対して20〜100モル%含有することを特徴とする
    請求項1記載の分散剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記スルホン化により、スルホン基を上
    記ポリスチレン系樹脂の全モノマーユニットに対して4
    0〜200モル%導入することを特徴とする請求項1記
    載の分散剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記水溶性スルホン化ポリスチレンは、
    重量平均分子量が100〜50万であることを特徴とす
    る請求項1記載の分散剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記水溶性スルホン化ポリスチレンは、
    重量平均分子量が200〜10万であることを特徴とす
    る請求項1記載の分散剤の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記スルホン化に際して、上記ポリスチ
    レン系樹脂にスルホン化剤を添加した後に、上記過酸化
    物を添加することを特徴とする請求項1記載の分散剤の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 重量平均分子量が10万以上40万以下
    であるポリスチレン系樹脂を出発物質とし、該ポリスチ
    レン系樹脂をスルホン化する際に過酸化物を添加するこ
    とにより該ポリスチレン系樹脂より改質されてなる分散
    剤。
  9. 【請求項9】 上記過酸化物が上記ポリスチレン系樹脂
    の全モノマーユニットに対して、0.01〜50モル%
    の割合で添加されていることを特徴とする請求項8記載
    の分散剤。
  10. 【請求項10】 上記ポリスチレン系樹脂は、スチレン
    ユニットを上記ポリスチレン系樹脂の全モノマーユニッ
    トに対して20〜100モル%含有することを特徴とす
    る請求項8記載の分散剤。
  11. 【請求項11】 上記スルホン化により、スルホン基を
    上記ポリスチレン系樹脂の全モノマーユニットに対して
    40モル%以上導入することを特徴とする請求項8記載
    の分散剤。
  12. 【請求項12】 重量平均分子量が100〜50万であ
    ることを特徴とする請求項8記載の分散剤。
  13. 【請求項13】 重量平均分子量が200〜10万であ
    ることを特徴とする請求項1記載の分散剤の製造方法。
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