JP3468907B2 - リン酸塩含有廃水の連続式処理方法 - Google Patents

リン酸塩含有廃水の連続式処理方法

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JP3468907B2 JP05797995A JP5797995A JP3468907B2 JP 3468907 B2 JP3468907 B2 JP 3468907B2 JP 05797995 A JP05797995 A JP 05797995A JP 5797995 A JP5797995 A JP 5797995A JP 3468907 B2 JP3468907 B2 JP 3468907B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リン酸塩含有廃水の処
理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、リン酸塩
を難溶性のカルシウム塩として固液分離するリン酸塩含
有廃水の処理方法において、中性に近いpHでの処理が可
能であり、汚泥濃度が高く汚泥発生量が減少し、汚泥の
脱水性が良好で脱水ケーキの発生量を低減することがで
きるリン酸塩含有廃水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】リン酸塩含有廃水は、一般に生物学的方
法あるいは難溶性の塩を形成する方法によって処理され
る。難溶性の塩としては、鉄塩、アルミニウム塩及びカ
ルシウム塩が一般的であるが、これらの塩の形成により
得られる沈殿汚泥はいずれもゲル状であり、濃縮しにく
く汚泥濃度が薄く、その結果、汚泥の脱水性が悪いとい
う問題がある。リン酸塩含有廃水より、難溶性のリン酸
第二鉄又はリン酸アルミニウムを形成させる反応は、pH
6〜7の中性ないし弱酸性で行うことができる。しか
し、鉄化合物及びアルミニウム化合物はカルシウム化合
物に比べて高価なため、カルシウム塩の形成による処理
が広く行われている。リン酸塩含有廃水に塩化カルシウ
ムや消石灰のようなカルシウム化合物を添加すると、リ
ン酸とカルシウムは塩を形成してCa5(PO4)3OHの
形で沈殿するが、この反応ではpH10以上のアルカリ性
にしなければリン酸塩を効率的に除去することができ
ず、処理水を再中和しなければならないという欠点があ
る。リン酸塩含有廃水にカルシウム化合物として塩化カ
ルシウムを添加する場合は、通常水酸化ナトリウムを添
加することによってpHの調整が行われる。カルシウム化
合物として消石灰を添加する場合は、系のpHを測定する
ことによってその添加量を制御する。しかし、原水が中
性ないしアルカリ性であると、下記の反応により生成す
る水酸化ナトリウムにより、反応当量の消石灰が添加さ
れる前に制御値であるpH10〜12になり、リン酸塩の
処理が不十分になる場合がある。 3NaH2PO4+5Ca(OH)2→Ca5(PO4)3OH+
6H2O+3NaOH 3Na2HPO4+5Ca(OH)2→Ca5(PO4)3OH+
3H2O+6NaOH 3Na3PO4+5Ca(OH)2→Ca5(PO4)3OH+9
NaOH このような場合は原水に硫酸のような酸を添加し、例え
ば、リン酸一水素ナトリウムの形で含まれる場合は下式
の反応によりリン酸の形にして処理する事が望ましい。 Na2HPO4+H2SO4→H3PO4+Na2SO4 3H3PO4+5Ca(OH)2→Ca5(PO4)3OH+9H
2O この場合も、リン酸カルシウムを効果的に沈殿させるた
めには、pH10〜12にする必要がある。このため、よ
り低い、中性に近いpHで処理することができ、しかも濃
度が高く、脱水性の良好な汚泥を得ることができるリン
酸塩含有廃水の処理方法が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、カルシウム
化合物による処理を中性に近いpHで行うことができ、脱
水性の良好な高濃度の汚泥を得ることができるリン酸塩
含有廃水の処理方法を提供することを目的としてなされ
たものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カルシウム塩の
生成によるリン酸塩含有廃水の処理方法において、生成
汚泥の一部を返送してカルシウム化合物と混合したのち
原水と混合することにより、低いpHでの処理が可能にな
り、かつ脱水性の良好な汚泥が得られることを見いだ
し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。す
なわち、本発明は、 (1)リン酸塩含有廃水とカルシウム化合物を反応槽で
反応させてリン酸塩を難溶性のリン酸カルシウム塩とし
て固液分離するリン酸塩含有廃水の処理方法において、
生成汚泥から原水量に対して0.03〜0.2容量倍の生
成汚泥を分離して、これを混合槽に返送して、同時にカ
ルシウム化合物を混合槽に仕込み、前記分離汚泥と混合
したのち、反応槽中で原水と混合して、反応槽液のpH
6.8〜11に調整された反応槽においてリン酸塩をリ
ン酸カルシウム塩として沈殿せしめたのち、高分子凝集
剤を凝集槽で更に添加することを特徴とするリン酸塩含
有廃水の連続式処理方法、及び (2)pH6.8〜8.5に調整された反応槽においてリン
酸塩をカルシウム塩として沈殿せしめることを特徴とす
る第1項記載のリン酸塩含有廃水の連続式処理方法、を
提供するものである。
【0005】本発明方法は、リン酸又はリン酸塩を含有
する廃水に適用することができる。このような廃水の発
生源としては、リン酸製造工場をはじめとして、肥料工
場、食品添加剤工場、金属表面処理工場、半導体部品製
造工場など広い分野にわたる工場が含まれるほか、一般
家庭排水や農業排水などがある。本発明方法を適用する
ことができる排水中のリン酸又はリン酸塩の濃度には特
に制限はなく、数ppmから数%までのリン酸又はリン酸
塩を含有する廃水(以下「リン酸塩含有廃水」とい
う。)を本発明方法により処理することができる。図1
は、本発明方法の一態様の工程図である。本発明方法
は、反応槽1、凝集槽2、沈殿槽3及び混合槽4よりな
る設備を用いて実施することができる。反応槽に送った
廃水は、さらに凝集槽から沈殿槽へ導き、沈殿槽におい
て沈殿した汚泥の一部を混合槽へ返送し、混合槽でカル
シウム化合物を添加混合したのち反応槽へ送る。本発明
方法において、混合槽で添加するカルシウム化合物は、
水溶性のカルシウム化合物であれば特に制限なく使用す
ることができる。このようなカルシウム化合物として
は、塩化カルシウム、消石灰、生石灰、硝酸カルシウ
ム、カーバイト滓などを挙げることができるが、安価で
取り扱いの容易な塩化カルシウム又は消石灰を特に好適
に使用することができる。カルシウム化合物は、1種を
単独で使用することができ、あるいは2種以上を混合し
て使用することができる。本発明方法においては、廃水
中に存在するリン酸塩と当量以上のカルシウム化合物を
添加する。リン酸塩とカルシウム化合物の反応生成物
は、主としてCa5(PO4)3OHであり、リン酸塩に対
してカルシウム化合物を理論当量(5Ca/3P)の1
〜10倍、好ましくは1.2〜3倍、より好ましくは1.
5〜2倍添加する。
【0006】本発明方法において、反応槽にアルカリを
添加して、反応槽中の処理水のpHを7.5〜11とす
る。反応槽中の処理水のpHが7.5未満であると、処理
を終わった沈殿槽の上澄み水のリンの含有量が十分に低
下しないおそれがある。反応槽中の処理水のpHが11を
超えても、沈殿槽の上澄み水のリンの含有量はpHの上昇
に見合って低下しない上に、上澄み水の中和に多量の酸
が必要となる。反応槽に添加するアルカリには特に制限
はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどを挙げることができ
る。混合槽において添加するカルシウム化合物として消
石灰又はカーバイト滓を用いる場合には、混合槽より送
られる消石灰又はカーバイト滓により反応槽中の処理水
のpHを7.5以上とし、反応槽へ直接アルカリを添加す
ることを省くことができる。本発明方法において、カル
シウム化合物として消石灰を使用するときは、廃水中の
リン酸塩が遊離のリン酸になるように、廃水にあらかじ
め酸を添加することが好ましい。添加する酸はリン酸よ
り強い酸であれば特に制限なく使用することができ、例
えば、塩酸、硫酸などを好適に使用することができる。
酸の添加量は、処理すべき廃水のpHが3以下となるよう
添加すれば通常は十分であり、過剰の酸の添加は後工程
でアルカリの損失を招く。リン酸と消石灰の反応により
Ca5(PO4)3OHが生成するが、消石灰が過剰になる
と反応槽中の処理水のpHが上昇するので、反応槽中の処
理水のpHによって混合槽における消石灰の添加量を制御
することができる。
【0007】本発明方法においては、凝集槽において、
高分子凝集剤を添加することが好ましい。本発明方法に
おいては、返送された汚泥表面に吸着されたカルシウム
と水中のリン酸塩が反応し、リン酸は汚泥表面で難溶性
のカルシウム塩を形成するので、凝集性及び沈降性の良
好な汚泥が形成されるが、高分子凝集剤を添加すること
により、さらに凝集性及び沈降性を改良することができ
る。使用する高分子凝集剤には特に制限はなく、例え
ば、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、尿素
−ホルマリン樹脂などのノニオン性高分子凝集剤、ポリ
アミノアルキルメタクリレート、ポリエチレンイミン、
ハロゲン化ポリジアリルアンモニウム、キトサンなどの
カチオン性高分子凝集剤、ポリアクリル酸ナトリウム、
ポリアクリルアミド部分加水分解物、部分スルホメチル
化ポリアクリルアミド、ポリ(2−アクリルアミド)−
2−メチルプロパン硫酸塩などのアニオン性高分子凝集
剤を使用することができる。これらの高分子凝集剤の中
で、ノニオン性高分子凝集剤及びアニオン性高分子凝集
剤は凝集効果にすぐれているので、特に好適に使用する
ことができる。本発明方法において、凝集槽で凝集剤を
添加した処理水は沈殿槽に導き凝集した汚泥を沈殿させ
る。沈殿槽の形状には特に制限はなく、例えば、中央駆
動型シックナー、周辺駆動型クラリファイヤー、水平流
型沈殿装置などを使用することができる。沈殿槽におい
て沈降した汚泥は、その一部を返送汚泥として混合槽に
送ってカルシウム化合物と混合し、残余の汚泥は廃棄物
として処理する。混合槽へ送る返送汚泥の量は、原水量
に対し0.01〜0.4容量倍であることが好ましく、
0.02〜0.3容量倍であることがより好ましく、0.
03〜0.2容量倍であることがさらに好ましい。返送
汚泥の量が原水量に対して0.01容量倍未満である
と、本発明の効果が十分に発揮されないおそれがある。
返送汚泥の量が原水量に対して0.4容量倍を超える
と、返送ポンプが大きくなり設備の利用効率が低下す
る。なお、上記の説明において、生成した沈殿物の分離
に沈殿槽を利用した場合について説明してきたが、沈殿
物の分離は、膜分離、遠心分離など他の固液分離手段を
使用してもよい。
【0008】本発明方法においては、混合槽に返送され
た汚泥にカルシウム化合物を添加し混合する。返送汚泥
を原水と接触する前に、あらかじめカルシウム化合物を
添加し、汚泥表面にカルシウムを吸着させることによ
り、原水中のリン酸塩も汚泥表面でカルシウムと反応
し、生成したカルシウム塩は汚泥表面に強く吸着するの
で、処理水のpHが低い場合であってもリン酸塩の除去効
果がよく、生成する汚泥は従来の方法によるものとは全
く異なる特性を有し、凝集性と沈降性にすぐれたものと
なる。本発明方法において、沈殿槽において分離した汚
泥は、そのまま処分することができるが、さらに容量を
減少するために脱水処理を行うことができる。汚泥の脱
水に用いる脱水機には特に制限はなく、通常の汚泥処理
に使用される機器を使用することができる。このような
脱水機としては、例えば、ベルトプレス脱水機、遠心脱
水機、フィルタープレス脱水機、スクリュープレス脱水
機、真空脱水機などを挙げることができる。本発明方法
において、沈殿槽で生成する上澄み水は、リンの含有量
が少なく、pHは通常7.5〜8.5であり、かつSSの量
も少ないので、中和によるpHの再調整や膜分離によるS
Sの除去のような二次処理を施すことなく、そのまま排
水として放流することができる。
【0009】本発明方法は、従来のリン酸塩含有排水の
処理工程に対して、生成する汚泥の一部を返送し、カル
シウム化合物を混合したのち反応槽に添加するという単
純な工程からなるので、従来の処理設備に少しの変更を
加えることにより、容易に実施することができる。本発
明方法において、汚泥を返送することで従来より低いpH
でリン酸塩含有廃水を処理することができるのは、リン
酸カルシウム汚泥にカルシウムイオンが吸着されるため
である。汚泥表面では、カルシウムイオン濃度が高いた
めカルシウムイオンとリン酸イオンの反応が促進され、
通常より低いpHでリン酸のカルシウム塩が生成すると考
えられる。さらにこのカルシウム塩は汚泥表面に析出す
るため、従来の三次元ゲル状物と異なり、立体的に含ま
れる自由含水が低減する。その結果、生成する汚泥濃度
は従来法の場合の2〜3重量%に対し、本発明方法にお
いては20〜30重量%となり、汚泥発生量が大幅に減
少するとともに、脱水処理した場合、ケーキ含水率が従
来法に比して15〜30重量%低いケーキを得ることが
できる。
【0010】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 実施例1 リン酸塩を含有する半導体製造工場の廃水を用いて、リ
ン酸塩の除去処理を行った。用いた廃水は、pH8.0、
COD50ppm、SS15ppm、リン酸塩をリンとして4
5ppm含有するものであった。図1に示したものと同じ
工程の机上試験機を用いた。机上試験機は、直径100
mm、容量1,000mlの円筒型反応槽1、直径100m
m、容量1,000mlの円筒型凝集槽2、直径150mm、
容量2,500mlの沈殿槽3及び直径50mm、容量20
0mlの円筒型混合槽4よりなり、原水は順次反応槽、凝
集槽を経由して沈殿槽へ送り、沈殿槽において沈殿した
汚泥の一部は混合槽へ返送し、混合槽でカルシウム化合
物と混合したのち反応槽へ送る。半導体製造工場廃水
を、試験機に3リットル/hrで送り込んだ。反応槽中の
処理水のpHが6.8になるように、反応槽において5重
量%水酸化ナトリウム水溶液を添加した。凝集槽におい
て、ポリアクリルアミド系のポリマー[栗田工業(株)、
クリフロックPA331]を濃度1ppmになるよう添加
した。沈殿槽において発生する汚泥を100ml/hrで混
合槽へ送り、原水に対してカルシウム濃度が120ppm
となるよう塩化カルシウムを添加して混合したのち、反
応槽へ導いた。試験機の運転が定常状態に達したとき、
沈殿槽の上澄み水のリンの含有量は1.3ppmであった。 実施例2〜6 反応槽中の処理水のpHが、それぞれ7.8、8.7、9.
2、10.2及び10.8になるよう、水酸化ナトリウム
水溶液の添加量を変えた以外は、実施例1と全く同じ操
作を繰り返した。沈殿槽の上澄み水のリンの含有量は、
それぞれ0.34、0.19、0.15、0.096及び
0.060ppmであった。 比較例1 図2は、本比較例に用いた従来法の机上試験機の工程図
である。試験機は、直径100mm、容量1,000mlの
円筒型反応槽5、直径100mm、容量1,000mlの円
筒型凝集槽6、直径150mm、容量2,500mlの沈殿
槽7及び直径50mm、容量500mlの円筒型中和槽8よ
りなり、反応槽に送られた原水は凝集槽から沈殿槽へ導
かれる。実施例1で用いた半導体製造工場廃水を、試験
機に3リットル/hrで送り込んだ。反応槽中の処理水の
pHが8.5になるように、反応槽において5重量%水酸
化ナトリウム水溶液を添加し、また、原水に対してカル
シウム濃度が120ppmとなるよう反応槽において塩化
カルシウムを添加した。凝集槽において、ポリアクリル
アミド系のポリマー[栗田工業(株)、クリフロックPA
331]を濃度1ppmになるよう添加した。試験機の運
転が定常状態に達したとき、沈殿槽の上澄み水のリンの
含有量は10.2ppmであった。 比較例2〜4 反応槽中の処理水のpHが、それぞれ9.2、10.2及び
11.1になるよう、水酸化ナトリウム水溶液の添加量
を変えた以外は、比較例1と全く同じ操作を繰り返し
た。沈殿槽の上澄み水のリンの含有量は、それぞれ3.
0、0.48及び0.058ppmであった。実施例1〜6
及び比較例1〜4の結果を、第1表及び図3に示す。
【0011】
【表1】
【0012】実施例から、本発明方法によれば、処理水
のpHを排水放流基準内である8.5としたとき、沈殿槽
の上澄み水のリンの含有量は0.2ppmとなり、また、処
理水のpHを7.5とすれば、沈殿槽の上澄み水のリンの
含有量は安定して1ppm以下となることが分かる。これ
に対して、従来法である比較例によれば、処理水のpHを
8.5としたとき、沈殿槽の上澄み水のリンの含有量は
10ppmと多く、また、沈殿槽の上澄み水のリンの含有
量を1ppm以下とするためには、処理水のpHを9.7以上
にする必要があることが分かる。すなわち、本発明方法
によれば、沈殿槽の上澄み水を中和することなく最終処
理水として排出することができるのに対して、従来法で
は、沈殿槽の上澄み水はpHが高いため中和しなければ最
終処理水として排出することができず、処理水のpHを高
めるために必要なアルカリの量が多く、さらに沈殿槽の
上澄み水を中和するための酸も必要となる。 実施例7 反応槽中の処理水のpHが8.2になるように、反応槽に
おいて5重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加したこと
以外は、実施例1と全く同じ操作を繰り返した。沈殿槽
より抜き出した汚泥の濃度は、240g/リットルであ
った。この汚泥をフィルタープレスを用い、ろ過圧力4
kg/cm2、ろ過時間5分でろ過し、さらに、圧搾圧力7k
g/cm2、圧搾時間5分で圧搾したところ、ろ過速度は1
3.8kg/m2・hr、ケーキの含水率は44.4重量%であ
った。ろ過圧力4kg/cm2、ろ過時間5分のろ過と、圧
搾圧力7kg/cm2、圧搾時間10分の圧搾をもう一度繰
り返したところ、今回はろ過速度は13.1kg/m2・h
r、ケーキの含水率は44.0重量%であった。 比較例5 反応槽中の処理水のpHが10.5になるように、反応槽
において5重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加したこ
と以外は、比較例1と全く同じ操作を繰り返した。沈殿
槽より抜き出した汚泥の濃度は、25g/リットルであ
った。この汚泥をフィルタープレスを用い、ろ過圧力4
kg/cm2、ろ過時間5分でろ過し、さらに、圧搾圧力7k
g/cm2、圧搾時間10分で圧搾したところ、ろ過速度は
2.5kg/m2・hr、ケーキの含水率は70.8重量%であ
った。また、ろ過圧力4kg/cm2、ろ過時間10分でろ
過し、さらに、圧搾圧力7kg/cm2、圧搾時間12分で
圧搾したところ、今回はろ過速度は2.8kg/m2・hr、
ケーキの含水率は70.6重量%であった。実施例7及
び比較例5の結果を、第2表に示す。
【0013】
【表2】
【0014】実施例7の本発明方法では、処理水のpHが
8.2と中性に近いにもかかわらず、処理水のpHを10.
5とした比較例5の従来法と比較すると、汚泥濃度は高
く約10倍であり、ろ過速度が速く約5倍であり、さら
にケーキ含水率は従来法の約71重量%から約44重量
%まで減少し、汚泥及びケーキともに取り扱いやすいも
のとなっている。 実施例8 本発明方法の機構解明のために、処理水中におけるカル
シウムの挙動を調べた。実施例7において、混合槽より
塩化カルシウムを添加した返送汚泥を採取し、軽く水洗
をしたのち、遠心脱水を行った。この汚泥を0.28〜
14g/リットルの6水準の濃度で水に分散し、溶出し
たカルシウム及びリンの量を測定した。汚泥濃度及び汚
泥1g当たりのカルシウム溶出量を第2表に示す。
【0015】
【表3】
【0016】汚泥濃度とカルシウム溶出量を両対数グラ
フにプロットしたところ、図4のごとく直線が得られ
た。このことから、カルシウムは汚泥表面に平衡吸着し
ていることが明らかとなった。なお、溶出したリンの濃
度はすべて0.1ppm以下であった。本発明方法において
は、汚泥表面で吸着したカルシウムとリン酸イオンが反
応するので、低いpHでの処理が可能となり、高濃度の汚
泥が得られるものと考えられる。 実施例9 実施例1と同じ廃水及び同じ机上試験機を用い、混合槽
において塩化カルシウムの代わりに消石灰を添加し、反
応槽において水酸化ナトリウム水溶液を添加することな
く処理を行った。本実施例では、硫酸200ppmを添加
してpH2.5としたものを原水とした。原水を試験機に
3リットル/hrで送り込んだ。沈殿槽において発生する
汚泥を100ml/hrで混合槽へ送り、反応槽の処理水の
pHを測定し、処理水のpHが8.2以下のときは混合槽に
2.5重量%消石灰水溶液が平均40ml/hrで注入さ
れ、処理水のpHが8.2を超えると消石灰水溶液の注入
が停止されるよう制御した。凝集槽においては、ポリア
クリルアミド系のポリマー[栗田工業(株)、クリフロッ
クPA331]を濃度1ppmになるよう添加した。試験
機の運転が実質的に定常状態に達したのち、沈殿槽の上
澄み水のpHは8.0〜8.5であり、リンの含有量は0.
1〜0.3ppmであり、汚泥濃度は210〜280g/リ
ットルであった。
【0017】
【発明の効果】本発明方法によれば、生成する汚泥の濃
度が20〜30重量%となるため従来法に比べ汚泥発生
量が1/10程度に減少し、従来法より低いpHである
7.5〜8.5でリン酸塩の処理が可能となるので必要な
アルカリ及び酸の量が低減し、汚泥の脱水速度が5倍以
上となるので脱水機の小型化が可能であり、脱水性が良
好であるので発生する脱水ケーキの量が3〜4割低減す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明方法の一態様の工程図である。
【図2】図2は、比較例に用いた従来法の机上試験機の
工程図である。
【図3】図3は、処理水のpHと、沈殿槽の上澄み水のリ
ンの含有量の関係を示すグラフである。
【図4】図4は、汚泥濃度とカルシウム溶出量の関係を
示すグラフである。
【符号の説明】
1 反応槽 2 凝集槽 3 沈殿槽 4 混合槽 5 円筒型反応槽 6 円筒型凝集槽 7 沈殿槽 8 円筒型中和槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−187092(JP,A) 特開 平6−91281(JP,A) 特開 昭62−250990(JP,A) 特開 平5−293474(JP,A) 特公 昭49−17709(JP,B2) 特公 平3−15512(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23F 1/58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リン酸塩含有廃水とカルシウム化合物を反
    応槽で反応させてリン酸塩を難溶性のリン酸カルシウム
    塩として固液分離するリン酸塩含有廃水の処理方法にお
    いて、生成汚泥から原水量に対して0.03〜0.2容量
    倍の生成汚泥を分離して、これを混合槽に返送して、同
    時にカルシウム化合物を混合槽に仕込み、前記分離汚泥
    と混合したのち、反応槽中で原水と混合して、反応槽液
    のpH6.8〜11に調整された反応槽においてリン酸塩
    をリン酸カルシウム塩として沈殿せしめたのち、高分子
    凝集剤を凝集槽で更に添加することを特徴とするリン酸
    塩含有廃水の連続式処理方法。
  2. 【請求項2】pH6.8〜8.5に調整された反応槽におい
    てリン酸塩をカルシウム塩として沈殿せしめることを特
    徴とする請求項1記載のリン酸塩含有廃水の連続式処理
    方法。
JP05797995A 1995-02-22 1995-02-22 リン酸塩含有廃水の連続式処理方法 Expired - Lifetime JP3468907B2 (ja)

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