JP3464671B2 - ガラスとプラスチックの成形プレラミネート及び二層ガラスの形成 - Google Patents

ガラスとプラスチックの成形プレラミネート及び二層ガラスの形成

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明は、二層安全ガラスに関し、より詳細には二層
安全パネルの形成に使用されるプレラミネートの形成方
法に関する。車両の風防、側灯、尾灯、サンルーフ、天
窓を含む構造用ガラス、安全ガラスなどで用いられる積
層ガラスは周知である。二層形は、透明なガラスと、ガ
ラスの片面上のみに積層した複数のプラスチック層との
積層体である。また非平面形の二層ガラス・パネルも周
知であり、1枚または複数のプラスチック層における不
快な筋、線、しわその他の光学的欠陥の問題も知られて
いる。このような問題は、以下の先方技術の特許で扱わ
れている。これらの特許に示すシステムは、適度の成功
を収めてはいるものの、欠陥がないわけではない。
米国特許第4944822号では、ガラスとプラスチック層
が、室温で接着可能な接着剤で接合される。別々に塗布
される接着剤は、二層の他の諸成分と光学的適合性がな
ければならない。
米国特許第5069734号では、ガラスなしで予形成され
た成形プラスチック・プレラミネートが後で曲率の一致
するガラスにはめ込まれ接着される。湾曲ガラスの表面
曲率が、成形プレラミネートと厳密に一致していなけれ
ばならず、そうでないと完成した二層の光学的特性が悪
影響を受ける。
米国特許第5082515号では、プラスチック層がオート
クレーブ(autoclave)積層アセンブリ内でガラスと突
き合わされて成形され次いでガラスに接着される。従来
のオートクレーブ接着システムをプラスチックの成形に
対応するように改造し、サイクルを拡張しなければなら
ない。
発明の要約 今回、二層ガラスの形成技術をさらに発展させる、方
法の改善が達成された。
本発明の主目的は、非平面状のしわのない二層ガラス
・パネルの形成に使用できる、層状のガラスとプラスチ
ックの半完成プレラミネートを形成するための、複雑さ
を減少させた改善された方法である。
本発明の他の目的は、複合曲率の二層ガラス・パネル
を形成する際にプラスチックの成形をオートクレーブ接
着から分離することである。
本発明の他の目的は、従来のオートクレーブ接着シス
テムで使用できるプレラミネートを形成するための、改
善された工業的に価値ある方法を提供することである。
本発明のその他の目的は、一部は自明であり、一部は
以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになる
であろう。
上記その他の目的は、a)プラスチック層のアセンブ
リを、高温の、輪郭をもつ、たとえば複合曲率の金型表
面に対して引き抜いて、高温で成形プラスチック・プレ
フォームを形成するステップと、b)成形プレフォーム
を冷却せずに、表面輪郭がほぼ一致する隣接の未加熱の
ガラス層に転移させて、成形プラスチック・プレフォー
ムをガラス層に熱接着するステップと、c)ガラス層へ
の熱伝導によって成形プラスチック・プレフォームから
熱を除去して、ガラスとプラスチックの成形プレラミネ
ートを形成するステップとを含む、ガラスとプラスチッ
クの成形プレラミネートを形成する方法によって達成さ
れる。
プレラミネートのガラス層は、成形に伴うプラスチッ
ク層中の熱をかなり迅速に除去するためのヒート・シン
クとして働く。成形層は熱いうちに相補形の成形ガラス
に転移され、冷却前のプラスチックの変形によって、ガ
ラスと成形プレフォームの輪郭の小さな違いを補償する
ことができる。次に下流側にある未修正の従来型のオー
トクレーブ接着システムで通常のサイクルを用いて、成
形プラスチック・ガラス・プレラミネートから二層ガラ
ス・パネルを形成する。
また、任意選択で軽く接着したプラスチック層のアセ
ンブリを非平面状の金型表面に対して引き抜くステップ
を含む諸ステップによって層状のガラスとプラスチック
のプレラミネートを形成する方法において、上記ステッ
プと共に、引抜きの前に、プラスチック層のアセンブリ
を、非平面状クランプの対向する部材間でクランプ固定
して、金型表面に近い構成のプラスチック層を形成する
ステップが提供される。
図面の簡単な説明 本発明について記述する際に、添付の図面を参照す
る。
第1図ないし第5図は、本発明の方法の逐次ステップ
を実施するシステムの概略上面図である。
第6図は、第1図ないし第5図の工程で使用可能なク
ランプの形状の三次元図である。
第7図は、第1図ないし第5図の工程で使用可能なプ
ラスチック層のアセンブリの一部分の拡大詳細断面図で
ある。
第8図は、第1図ないし第5図の方法を使って形成さ
れるプレラミネートの第7図と同様の図である。
好ましい実施例の詳細な説明 ここで図面を参照すると、プレス10の形の装置が示さ
れている(図1)。これは連続ステップによってガラス
層とプラスチック層の成形プレラミネートを形成するこ
とができる。プレス10は上部12と下部14を含み、それら
はそれぞれ上部金属プラテン16と下部金属プラテン18を
含む。上部12と下部14の間のクランプ20は、以下で述べ
るようにして間に挟んだプラスチック層のアセンブリ上
で閉鎖可能な、上部クランプ・フレーム部材22と下部ク
ランプ・フレーム部材24とを備える。プレス10の上部12
及び下部14とクランプ20の上部クランプ・フレーム部材
22及び下部クランプ・フレーム部材24とに連動する従来
型の液体動作式ピストン・シリンダ・アセンブリ(図示
せず)が、後述するようにこれらの構成要素を垂直方向
に変位させて、相互に調整された形で近づけたり離れさ
せたりする。
上部12のプラテン16上に固定された金型26は、研摩し
たアルミニウムまたは同等品からなる下向きの金型表面
28を含む。表面28は、任意にその上に接着防止用の剥離
コーティングを備えることができる。表面輪郭をもつ金
型表面28は、ある曲率を有する限りで非平面状である。
これから述べる方法は、第1図ないし第5図に表面とし
て示した表面28のような複合曲率の形状に使用するのに
特に適している。すなわち、このような層を、複合曲率
の表面としわを生じずに表面接触するように整合させる
際に、平面状プラスチック層を伸ばすことが必要であ
る。金型26中の中央通路30は、プラテン16内の通路32と
ノズル34とを経て、図示しない圧力源(正または負)に
通じている。この圧力源は、場合に応じて真空または圧
力をもたらすように、従来通り適切な自動弁を備えてい
る。中央通路30は、第1図に36として示した、金型表面
28中の直径約0.006〜0.020インチ(0.015〜0.051cm)の
小さな円孔と通じている。孔36の数と位置は、形成され
るプレラミネートの寸法と形状に応じて、図に示したも
のとは異なる数と位置にすることができ、表面28のどこ
にあってもよい。上部プラテン16は、金型26及び金型表
面28を予め選定した温度に加熱するための、従来型の電
気抵抗ヒータ(図示せず)などの加熱手段と動作自在に
連結されている。
プレス10の下部14は、金型26の下で垂直方向に位置合
わせされ下部プラテン18上に固定された上向きの支持体
38を含む。支持体38の支持表面40は、後述するように、
もろいガラス層の破裂防止用支持部として働く。支持表
面40は、この機能を果たす限り、図とは異なる形状でも
よく、金型表面28とほぼ相補形であることが好ましい。
支持表面40はたとえばシリコーン・ゴムなどのエラスト
マー材料から柔軟に形成することが好ましい。別法とし
て、支持体38は、成形ラミネート用金型に関する米国特
許第5227176号に開示されている球形ガラス・ビーズで
部分的に充填した布袋など、手作業で変形可能な形状維
持部材とすることもできる。下部プラテン18の両側にあ
るノズル39、42は、プラテン18中の通路に通じている。
ノズル42は、弁付き真空源(図示せず)と開放連通して
いる。第1図に示すように、クランプ20のフレーム部材
22、24は、金型26及び支持体38を取り囲んでおり、これ
らの外側にある。
第6図に、あるプレラミネート構成に工程上の利益を
与えるクランプ20の好ましい非平面状の形状を詳しく示
す。第6図の実施例の上部クランプ・フレーム部材22と
下部クランプ・フレーム部材24が相互に閉じていると
き、係合面の周囲輪郭(第1図)は非平面状であり、金
型表面28及び剛性(ガラス)パネル60の周囲輪郭に近く
なる。プラスチック層の縁部をこの非平面状のクランプ
の協働する対向部材の間でクランプ固定すると、この組
成物の層が、平面と金型表面及びガラス・パネルの曲率
との中間の構成に形成または予成形される。この中間構
成は、非平面状クランプの形状によって規定され、クラ
ンプ部材の相互閉鎖動作中に伸びによる歪みは発生しな
い。この中間構成のその後の成形では、複合曲率の金型
表面の絞りが最も深い部分の近くの局所領域での過度の
伸びが避けられる。このような非平面状のクランプ動作
は、成形中のプラスチック組成物の個々の層におけるし
わを避ける助けにもなる。非平面状クランプ20の形状
は、形成中のラミネートの形状に応じて図とは異なる形
にすることもできる。図の場合ほど湾曲していない構成
の場合、クランプ・フレーム部材22、24を、相互に閉鎖
したとき平面状の水平接合を形成する、簡単な共平面状
の形状にしてもよい。非平面状のクランプ20は、層状の
ガラスとプラスチックのプレラミネートを形成するため
に、図面に示したものは異なる代替成形システムで一般
に使用可能である。たとえば、このようなクランプ及び
プラスチック層におけるその所望の予成形は、米国特許
第5069734号に開示されているような、プラスチック層
を成形後に金型表面上で冷却する、ある表面曲率の金型
と共に使用することができる。また、米国特許第494482
2号及び第5082515号に開示されているような、未加熱の
金型と共に使用することもできる。
図を簡単にするため、第2図から第5図に示した装置
構成要素のうちで、第1図と同じものには改めて番号を
付けないことにする。
次に第1図から第6図の装置10を利用して成形プレラ
ミネート50(第8図)を形成する方法について説明す
る。第7図のプレラミネート50のプラスチック層のアセ
ンブリ52は、これから述べるものとは異なる組成及び数
にすることができ、また配列の順序を変えることもでき
る。アセンブリ52の外側層は、同じものでも異なるもの
でもよく、また任意に性能を高めるため任意の層を機能
層で被覆したり、表面処理したりしてもよい。積層可能
なプラスチック層の任意選択ではあるが好ましい形のア
センブリ52は、片面に交差結合した自己回復性ポリウレ
タン(PU)層56が接着され、他面に可塑化部分PVB層58
(すなわち、ポリビニル−アルコールとして15〜25重量
%の水酸基を含むポリビニルブチラール)を含む、高弾
性の両軸で伸長させたポリエステル膜54(たとえば、ポ
リエチレンテレフタレート(PET))を備える。
もう1つの好ましい形は、熱可型性のPET層とPVB層の
代わりに、熱可塑性ポリウレタンまたは熱可塑性ポリウ
レタンの諸特性を有する他の素材の単層を使用するもの
である。取扱いを簡単にするため、まず米国特許第5082
515号明細書の第5欄59行目から第7欄6行目に記載さ
れた方法でPU層56をPET層54に接着した後、積層可能な
アセンブリ52の層54と58を、協働するロール・アセンブ
リの積層ニップに入れて、加熱せずにまたは緩やかに加
熱してから弱い圧力をかけることにより、相互に軽く仮
付けしまたは弱く接着させることが好ましい。3個のロ
ールを使用したこうしたアセンブリの代表的な形が第2
図に示され、米国特許第5069734号に記載されている。
あるいは、複数のプラスチック層を必ずしも予め接着す
る必要はなく、まず対向する面を接着せずに表面接触さ
せて組み立てることもできる。クランプ20の対向するク
ランプ・フレーム部材22、24を積層可能なプラスチック
層のアセンブリ52(第1図)の未加熱の未成形部分上で
閉じて、クランプ固定された縁部61内で成形可能領域62
を分離する。プラスチック層はその中で相互に移動が制
限される。第6図の好ましいクランプ構造を使用する場
合、成形可能領域62の諸構成要素が、対向する複合曲率
表面の形状に近い中間構成に予成形される。クランプ
後、未加熱の積層可能なプラスチック層のアセンブリを
プレス10の上部12と下部14の間、より詳しくは金型26の
金型表面28と、支持体38の支持表面40上に柔軟に支持さ
れた、下にある未加熱の透明ガラス層60との間に挿入す
る。ガラス層60の表面輪郭は、ほぼ金型表面28の相補形
である。ガラスに接合するプラスチックの種類に応じ
て、任意選択でプラスチックに対する接着力を強化する
ためにガラス層60の表面を表面処理または被覆してもよ
い。金型表面28は、熱プラテン16との熱交換伝導接触に
よって高温に予加熱しておく。次にプラスチック層のク
ランプされた歪んだアセンブリを上方に高温の金型表面
28に向かって移動させそれに接触させる。金型26の周辺
に隣接するプラテン16中の連通ノズル35、37中で発生し
た真空によって表面28にかかる負圧が、金型表面28と成
形可能領域62の表面から空気を排出する。この空気排出
を促すため、任意選択で金型表面28に軽くテキスチャを
つけることができる。一般に知られているように、最適
の光学特性を得るため、ガラス・プラスチック層状構造
の全ての界面から空気を排除すべきである。これは、接
合前に層の界面に圧力または真空を選択的に加えること
によって達成される。ここに開示した方法とは異なる方
法を使ってこれを達成してもよい。
領域62を表面28と最初に接触させた後、引き続き上方
に移動すると、成形可能領域62が高温の金型表面に徐々
に押し付けられて、その接触面積が次第に増加し、金型
表面が第2図に示した複合表面構成をとるようになる。
クランプ20は、クランプ固定されて移動を制限された縁
部61と共に、すべての領域62が伸びて金型表面28と接触
するまで上方に移動し続け、それによって領域62からプ
ラスチック層の成形プレフォーム64が形成される。クラ
ンプ20は、プレフォームの各層が金型表面28の高温度に
ほぼ達するのに十分な時間の間、成形済みのプレフォー
ム64(第2図)を金型表面28に接して保持する上部位置
に留まる。成形プレフォームが好ましいポリエステル膜
の層を含むときは、金型表面上の成形プレフォームが到
達する温度は、後述する下流側のオートクレーブ接着中
に成形済みの最終プラスチック・ガラス・プレラミネー
トがさらされる温度よりも高い。この温度によって、ポ
リエステル層は米国特許第5069734号に記載のように硬
化し、寸法が安定する。一般に今考えているプラスチッ
ク層の組成範囲では、第2図の位置が保たれる時間間隔
は、層の組成と付与される曲率の範囲に応じて約10秒か
ら約5分間の範囲となる。破砕防止のため柔軟な表面40
上に支持されたガラス層60は、金型表面28(第3図)上
の成形プレフォーム64に向かって上方に移動するがプレ
フォーム64には接触せず、下部プレート18が下部クラン
プ・フレーム部材24(第3図)と接したとき停止し、プ
レフォーム64とガラス層60の間に約0.25インチ(0.64c
m)の隙間が残る。装置構成要素がこの位置にあると
き、金型表面上の成形プレフォーム64と隣接するガラス
層60の間に穴付き区画66が形成される。次いで、穴付き
区画66内に、そこから、したがってガラス層60の上面と
プレフォーム64の下向きの表面との界面から空気を除去
するための負圧が生成される(第3図)。次いで圧縮空
気が金型表面(第1図)中の複数の中心孔36を介して成
形プレフォーム64に送られて、成形プレフォーム64を迅
速に金型表面28から剥離して、隣接する柔軟に支持され
たガラス層60(第4図)と表面接触させる。前もって与
えられているプラスチック層の温度は、プレフォームと
ガラス層の形状の僅かな違いを補償するためのプラスチ
ック変形が発生し得るのに十分な高さであることが好ま
しい。ガラス層60に対する成形プレフォーム64のシーリ
ング・エッジを促進するため、この転移ステップの間、
区画66内の負圧を維持することが好ましい。この熱プレ
フォーム転移ステップにより、金型表面上でのプラスチ
ック層の冷却が避けられる。したがって金型表面は、次
の成形サイクルに備えて連続して高温に維持でき、各成
形サイクル中に温度の上げ下げのサイクルをかける必要
はない。
好ましくは(i)区画66内の負圧と、今は未加熱のガ
ラス層60の表面全体と直接接触している成形プレフォー
ムの上面上の(金型表面28中の孔36を介した)正圧を同
時に維持し、かつ(ii)クランプされた成形プレフォー
ム(第4図)の外側にプラスチック層の縁部61を維持し
ながら、成形プレフォームをこの位置に保持することに
より、金型表面28との接触からプレフォーム中で以前に
発生した熱を、プレフォームからガラスに伝導転移させ
る。ガラス層の塊(厚さ約0.060〜0.200インチ(0.15〜
0.51cm))が、プレフォーム冷却用のヒート・シンクに
なる。希望する場合は、冷却を促進するため、工程中に
ガラス表面に揮発物が凝縮しない温度にまでガラスを予
冷却してもよい。こうして、成形プレフォーム64がその
対向面の全体でガラス層60に永続的に熱接合され、プレ
フォームのプラスチック層も同様に互いに熱接着され
る。ガラスに対する接着のレベルは、下流側でのオート
クレーブ接着の間にプレラミネートが高圧にさらされた
とき、ガラスとプラスチックの間に空気が侵入するのを
妨げるのに十分なレベルである。成形プレフォームのプ
ラスチックの温度が約100〜150゜F(38〜66℃)に下が
った後(これには通常第4図の位置で約10〜30秒かか
る)、真空/圧力状態を終了し、プレスを開く(第5
図)。ガラス層60の周囲より外側のプラスチック層の望
ましくない部分68をトリミングすると、第8図に50とし
て示すような、ガラス層とプラスチック層の完成した成
形プレラミネートが残る。前述のプラスチック層の好ま
しい実施例では、プレラミネートの成形済みの透明な自
己矯正性硬化PU層56が、成形可能領域62の上側層であっ
た。
二層ガラス・パネルを形成するには、成形済みプレラ
ミネート50を通常のオートクレーブ・アセンブリ(図示
せず)のチャンバ内に入れる。このオートクレーブ・ア
センブリ内では、通常の高温・高圧接着条件が発生す
る。その中にある間、プレラミネート50のプラスチック
層の未接着の外側表面(第7図の56)を覆う必要はな
い。すなわちこの表面は、従来使われていた任意のカバ
ー部材または成形部材と自由に接触できる。このチャン
バ内でプレラミネートを高温・高圧にさらして、先に確
立された層58(たとえば可塑化ポリビニルブチラール)
とプレラミネートのガラス層60との界面における結合の
強度を増加させ、それによって、透明なガラス層60の片
側だけに強く接着したほぼしわのないプラスチック・ラ
ミネートを備える、複合曲率の二層ガラス・パネルを形
成する。上述のシステムでは、2枚のガラス層をPVBの
中間層に接合して三層の安全ガラスを形成するのに通常
使用されるオートクレーブ・アセンブリを、修正なしで
使用することができる。オートクレーブ処理の上流側で
ガラスを含むプレラミネートを完全に形成することによ
り、オートクレーブ中での成形に伴う商業的に望ましく
ない長いサイクルが避けられる。プラスチックがガラス
の表面全体に接着された、成形済みの層状のガラスとプ
ラスチックのこの永続的プレラミネートは、平面状の三
層ガラスの場合に通常使用されてきたのと同じオートク
レーブ工程サイクルに耐え、プラスチック層のしわを生
じない。
次に例によって本発明をさらに詳しく説明する。これ
らの例は例示のためのものにすぎず、本発明を限定する
ものではない。
例 厚さ15ミル(0.38mm)の表面テキスチャ付きシートの
形のアジピン酸ジヘキシル可塑剤32phrを含む部分(PV
B)を、厚さ20ミル(0.5mm)の硬化した透明ポリウレタ
ン(PU)層を付着した厚さ2ミル(0.05mm)のポリエチ
レンテレフタレート(PET)膜と組み合わせた。PVBへの
接着を促進させるため、PET膜の表面を酸素プラズマで
グロー処理しておいた。部分PVB層は表面の波むらが少
なく、米国特許第5091258号で定義されるウェーブ・イ
ンデックス(wave index)の値が9000平方ミクロン(m
icrometer)であった。PVB層のテキスチャ付き表面は、
空気排出用の従来型のものであり、積層ガラスの製造中
に周知の方式で溶融によって滑らかな表面に変換され
る。PVB層と被膜付きPET層をお互いに接触させて(PU層
の覆いなし)組み付け、1組の円筒形ゴム張りニップ・
ロールの間を2回通る間、保護のため2枚の剛性プラス
チック・カバー・ボード(厚さ約1/8インチ(0.32c
m))の間に挟み、PVB/PET界面から空気を排出した。1
回通過後に頂部カバー・ボードを取り外し、プラスチッ
ク層のアセンブリを70℃に約5分間さらして、PVBの温
度を、ニップ・ロールの間を通る2回目の通過中にPVB
をPETに熱接合させるのに十分な温度にまで上げた。2
回目の通過後にPVBとPETを軽く接着し、両者の界面は目
に見える空気の気泡がないことから空気を含んでいない
と判定した。この初期空気排出及び熱接合は、積層ガラ
スの製造においては周知である。
次に軽く接着したプラスチック層を第1図から第5図
の工程にかけた。金型表面28及び隣接するアニール済み
のフロート・ガラス層60(厚さ0.090インチ(0.23c
m))は複合曲率のものであった。層60のプラスチック
に接合すべき表面は特にコーティングや処理を施してな
く、層60は室温であった。表面28と層60は、周辺形状が
ほぼ方形(9×11.25インチ(23×29cm)で中心の深さ
0.625インチ(1.6cm)であった。この表面は、曲率半径
が21.5インチ(55cm)の球の切片の切欠きを近似したも
のである。前述のタイプの非平面状クランプ・フレーム
を使用して、プラスチック層を周辺でクランプ固定し
て、金型表面とガラスの曲面形状に整合させる際の伸び
を最小限に抑えた。この使用した特定のクランプ・フレ
ームは、その輪郭が前述のガラス層の形状を近似した円
筒形形状に曲がっていた。金型表面28は300゜F(149
℃)であった。ガラス層は、予めガラスの表面輪郭から
鋳造した軟質性シリコーン・ゴム製の支持ベッド上に安
置しておいた。クランプ・フレームの上方への移動によ
って、プラスチック層が第2図のように金型表面と成形
のために係合した。プラスチックが金型表面に接触した
とき、ポート37を介した真空が金型26を取り囲む領域に
かかって、プラスチック(PU)と金型の界面から空気を
排出した。支持されているガラス層を上方に移動し(第
3図)、ポート40、42を介して下部区画66に真空をかけ
た。成形済みプラスチックを約60秒間金型表面28と接触
させて、周辺でクランプされた層中に約149℃の温度を
発生させた。金型表面28中の金型26の中心線上にある直
径1インチ(2.54cm)の通路30の端部にある8個の小さ
な穴36を通して、約15psi(103kPa)の空気を加えた。
穴の直径は、0.015インチ(0.04cm)であった。穴を通
った圧縮空気が、成形済みプラスチック層を、金型の中
心から始まる金型表面から離し、それによってガラスと
それに対向する熱PVBプラスチックの間での空気のトラ
ップを最小にした。成形プレフォームとそれに合致する
成形ガラスの適正なはめ合い接触を得るために、このプ
レフォーム転移ステップ中では、プラスチック(すなわ
ちPVB)とガラスの縁部との早すぎる接触を避けるべき
である。熱PVB(または他のプラスチック)は、未加熱
のガラスと接触すると直ちに接着し、最終的に光学的欠
陥を生じることなしにそれをさらに動かすことは難しく
なる。したがって、転移するプラスチック層を最初にガ
ラス上のあるべき場所に厳密に配置することが重要であ
る。ギャップの存在と、ガラスとプラスチックの間での
そのギャップの垂直距離が重要である。というのは、そ
れが大きすぎるとプラスチックの転移は不完全になり、
小さすぎると、トラップされた空気が発生し得るからで
ある。この例では、この調節可能な垂直距離は約0.165
インチ(0.42cm)であった。プラスチックに対する上方
からの空気圧力と下方からの真空とがあいまって、ガラ
スに対するプラスチックの良好なエッジ・シーリングが
促進され、それにより下流側でのオートクレーブ処理ス
テップでのガラスとプラスチックの間への空気の侵入が
防止される。転移後に、金型上部を引っ込め(下部区間
には依然として真空がかかっている)、第5図の位置を
約30秒間保って、成形ガラスとの熱転移接触によりプラ
スチック層から熱を伝導除去した。この時間は、真空を
解除し成形済みプレラミネートをプレスから取り出した
とき、層剥離やプラスチック層の間での気泡形成が起こ
らないように、プラスチックの温度を十分に下げるのに
十分なものであるはずである。望ましくない廃棄物をト
リミングした後、プレラミネートを通常の空気オートク
レーブ内の棚に載せて、露出したPUの外表面がどの構造
工程構成要素とも接触しないようにした。圧力と温度を
185psi(1275kPa)、250゜F(121℃)に上げ(後者は、
成形中にプラスチック層が加熱される温度である149℃
より低い)、20分間その条件に保った後、約120゜F(49
℃)、常圧に下げた。形成された二層ガラス・パネルは
しわがなく、肉眼で見ると光学的欠陥が実質上なかっ
た。金型表面の空気穴の小さな痕跡が他には欠陥のない
PUで認められたが、これは穴の寸法を約0.01インチ(0.
025cm)未満に減少させることにより容易に避け得るは
ずである。このような痕跡を除けば、プレラミネートの
形成中高温の金型表面と密に接触した状態に保たれてい
たものの、完成した二層ラミネート中の透明な交差結合
したPU表面は、成形前と同じ光学的品質をもっていた。
以上、プレラミネートをオートクレーブ中で高温・高
圧にさらして完成二層ガラス・パネルを形成する方法を
開示したが、ガラスと接触させるプラスチックに何を選
ぶかに応じて、プレラミネート中でガラスに対する適切
な接着強度が発生できるならば、このようなオートクレ
ーブ処理は必ずしも必要ではない。そうするときは、プ
レラミネートが完成二層ガラス・パネルとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B29K 105:20 B29K 105:20 709:08 709:08 B29L 9:00 B29L 9:00 (72)発明者 モラン,ジエームズ・ロバート アメリカ合衆国、マサチユーセツツ・ 01106、ロングミードウ、アバンデイ ル・ロード・48 (72)発明者 ワーダツク,マーシン・トーマス アメリカ合衆国、マサチユーセツツ・ 01001、アガワム、シユーメイカー・レ イン・501 (56)参考文献 特開 平3−221451(JP,A) 国際公開92/007715(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 63/00 - 63/48 B29C 65/00 - 65/82 B32B 1/00 - 35/00 C03C 27/00 - 29/00

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラスとプラスチックの成形プレラミネー
    トを形成する方法であって、 a)プラスチック層のアセンブリを高温の輪郭付き金型
    表面に対して押し付けて、高められた温度で成形プラス
    チック・プレフォームを形成するステップと、 b)成形プレフォームを冷却せずに、ほぼ表面輪郭の一
    致する隣接の未加熱のガラス層に転移させて、成形プラ
    スチック・プレフォームをガラス層に熱接着するステッ
    プと、 c)ガラス層への伝導熱転移によって成形プラスチック
    ・プレフォームから熱を除去して、ガラスとプラスチッ
    クの成型プレラミネートを形成するステップとを含む方
    法。
  2. 【請求項2】プラスチック層のアセンブリが、架橋ポリ
    ウレタンの1つの外側層と、可塑化した部分ポリビニル
    ブチラールを含む別の外側層との間に挟んだポリエステ
    ル層を備えることを特徴とする、請求の範囲第1項に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】ガラス層とプラスチック層の成形プレラミ
    ネートを形成する方法であって、 a)積層可能なプラスチック層のアセンブリを、複合曲
    率を有する高温の金型表面に対して押し付けて、高めら
    れた温度で成形プラスチック・プレフォームを形成する
    ステップと、 b)成形プラスチック・プレフォームに隣接する位置
    に、成形プラスチック・プレフォームとほぼ表面形状が
    一致する支持された未加熱のガラス層を位置決めするス
    テップと、 c)成形プラスチック・プレフォームと隣接のガラス層
    との間の空間から空気を排出するステップと、 d)成形プラスチック・プレフォームを冷却せずに空気
    を排出したガラス表面に転移させて、成形プレフォーム
    を空気を排出したガラス層に熱接着するステップと、 e)ガラス層への伝導熱転移によって成形プラスチック
    ・プレフォームから熱を除去して、ガラス層とプラスチ
    ック層の成形プレラミネートを形成するステップとを含
    む方法。
  4. 【請求項4】成形プレフォーム中でプラスチック層が互
    いに熱積層され、成形プレフォームがガラスとプラスチ
    ックの対向する表面のほぼ全体でガラス層に熱接着され
    ることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の方法。
  5. 【請求項5】ガラス層とプラスチック層の成形プレラミ
    ネートを形成する方法であって、 a)積層可能なプラスチック層の未加熱のほぼ平面状の
    アセンブリの縁部を固定して、プラスチック層相互の移
    動が制限される固定された縁部内に、成形可能領域を規
    定するステップと、 b)未加熱の積層可能なプラスチック層の固定されたア
    センブリを、高められた温度の複合曲率の金型表面と、
    金型表面とほぼ表面輪郭が一致する柔軟に支持された未
    加熱のガラス層との間で位置決めするステップと、 c)プラスチック層の固定されたアセンブリを金型表面
    に向かって移動させて、成形可能領域を金型表面に接触
    させ、それによって成形可能領域に複合曲率を付与し、
    その領域からプラスチック層の成形プレフォームを形成
    するステップと、 d)プレフォームの各層の温度がほぼ金型表面の温度に
    達するまで、成形プレフォームを金型表面に接して保持
    するステップと、 e)柔軟に支持されたガラス層を金型表面上の成形プレ
    フォームに向かってただしそれと接しないように移動さ
    せて、成形プレフォームと隣接のガラス層との内に穴付
    きの区画を形成するステップと、 f)穴付き区画内で負圧を発生させて、そこから空気を
    除去するステップと、 g)成形プレフォームを金型表面から離してガラス層と
    表面接触させるステップと、 h)プラスチック層の固定された縁部を維持しながら成
    形プレフォームを加圧下で未加熱のガラス層に接して保
    持することにより、プレフォームからガラスに熱を伝導
    転移させ、成形プレフォームをガラス層に接着するステ
    ップと、 i)ガラス層の周囲の外側にあるプラスチック層の望ま
    しくない部分を成形プレフォームからトリミングして、
    前記プレラミネートを形成するステップとを含む方法。
  6. 【請求項6】ステップgの間、ガラス層に対する成形プ
    レフォームの端部の密閉性を促進するため、前記区画内
    を負圧に保つことを特徴とする請求の範囲第5項に記載
    の方法。
  7. 【請求項7】金型表面と成形可能領域の界面から空気を
    排出するために、成形可能領域を金型表面に対して適用
    する前に、金型表面上に負圧を発生させることを特徴と
    する請求の範囲第6項に記載の方法。
  8. 【請求項8】柔軟に支持されたガラス層が積層可能なプ
    ラスチック層の固定されたアセンブリに隣接し、かつス
    テップeにおける移動の方向が上向きであることを特徴
    とする、請求の範囲第6項に記載の方法。
  9. 【請求項9】ステップaにおける固定操作が、前記縁部
    上の非平面状のクランプの対向する部材を閉じて、成形
    可能領域のほぼ平面状の層を歪ませて金型表面の構成に
    近い構成にすることによって達成されることを特徴とす
    る請求の範囲第5項から第8項のいずれか一項に記載の
    方法。
  10. 【請求項10】二層ガラス・パネルを形成する方法であ
    って、 a)可塑化部分ポリビニルブチラールの層を含む透明な
    プラスチック層の固定された軽く接着された組成物を、
    高温の非平面状の輪郭付き金型表面に対して押し付け
    て、プレフォームの外側層として可塑化部分ポリビニル
    ブチラール層を有するプラスチック層の成形プレフォー
    ムを高温で形成するステップと、 b)成形プレフォームを冷却せずにほぼ表面輪郭の一致
    する隣接の未加熱の透明なガラス層に転移させて、成形
    プラスチック・プレフォームの可塑化ポリビニルブチラ
    ール層をガラス層に接着するステップと、 c)ガラス層への伝導熱転移によって成形プラスチック
    ・プレフォームから熱を除去して、ガラス層とプラスチ
    ック層の成形プレラミネートを成形するステップと、 d)プレラミネートをオートクレーブ積層アセンブリに
    転移させるステップと、 e)前記アセンブリ中のプレラミネートを高められた温
    度・高圧にさらして、可塑化ポリビニルブチラール層と
    ガラス層の間の接着強度を増大させ、ガラス層の片面の
    みに透明ガラス層とプラスチック・ラミネートの二層ガ
    ラス・パネルを形成するステップとを含む方法。
  11. 【請求項11】ステップeの間、プレラミネートのガラ
    ス・シートと接していない外側プラスチック層が覆われ
    ていないことを特徴とする請求の範囲第10項に記載の方
    法。
  12. 【請求項12】プラスチック層の組成物が、架橋ポリウ
    レタンの1つの外側層と可塑化部分ポリビニルブチラー
    ルの別の外側層との間に挟んだポリエステルの層を備え
    ることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の方法。
  13. 【請求項13】金型表面上の成形プレフォームがステッ
    プaの間に到達する温度が、ステップeの間にプレラミ
    ネートがさらされる温度よりも高いことを特徴とする請
    求の範囲第12項に記載の方法。
  14. 【請求項14】固定された組成物が、金型表面の表面輪
    郭に近い非平面状の表面輪郭を有することを特徴とする
    請求の範囲第10項から第13項のいずれか一項に記載の方
    法。
  15. 【請求項15】任意に軽く接着したプラスチック層のア
    センブリを非平面状の金型表面に対して押し付けるステ
    ップを含むステップによって層状のガラスとプラスチッ
    クのプレラミネートを形成する方法において、前記ステ
    ップと共に、押し付け前に、プラスチック層の前記アセ
    ンブリを非平面状クランプの対向する部材の間で固定し
    て、金型表面の構成に近いプラスチック層の構成を形成
    するステップをも含む方法。
  16. 【請求項16】金型表面が複合曲率を有することを特徴
    とする請求の範囲第15項に記載の方法。
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