JP3464275B2 - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

Info

Publication number
JP3464275B2
JP3464275B2 JP13256194A JP13256194A JP3464275B2 JP 3464275 B2 JP3464275 B2 JP 3464275B2 JP 13256194 A JP13256194 A JP 13256194A JP 13256194 A JP13256194 A JP 13256194A JP 3464275 B2 JP3464275 B2 JP 3464275B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
sliding member
metal
weight
mesh
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP13256194A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07316574A (ja
Inventor
隆 中丸
澄英 柳瀬
明彦 沖村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oiles Corp
Original Assignee
Oiles Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oiles Corp filed Critical Oiles Corp
Priority to JP13256194A priority Critical patent/JP3464275B2/ja
Publication of JPH07316574A publication Critical patent/JPH07316574A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3464275B2 publication Critical patent/JP3464275B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、摩擦摩耗特性に優れた
摺動部材に関するものである。 【0002】 【従来技術】従来より、ポリテトラフルオロエチレン
(以下「PTFE樹脂」と略称する)は、自己潤滑性に
優れ、摩擦係数が低く、更には、耐薬品性および耐熱性
を具有することから、軸受などの摺動部材に広く使用さ
れている。 【0003】しかしながら、PTFE樹脂単独から成る
摺動部材は、耐摩耗性および耐クリープ性に劣るため、
摺動部材の使用用途に応じ、黒鉛、二硫化モリブデン
等の固体潤滑剤および/またはガラス繊維、炭素繊維な
どの補強材をPTFE樹脂に添加したり、鋼裏金に裏
打ちされた多孔質金属焼結層の孔隙および表面にPTF
E樹脂を含浸被覆したり、金属網状体の網目および表
面にPTFE樹脂を充填被覆したりして上記の欠点を補
っている。 【0004】上記の態様から成る摺動部材は、所謂複
層摺動部材と称されるものであり、例えば、特公昭31
−2452号公報、特公昭39−16950号公報、特
公昭41−1868号公報などにおいて公知である。こ
れら公報には、鋼裏金に裏打ちされた多孔質金属焼結層
の孔隙および表面にPTFE樹脂または鉛もしくは鉛化
合物から成る充填材が添加されたPTFE樹脂を含浸被
覆した複層摺動部材が開示されている。 【0005】また、上記の態様から成る摺動部材は、
例えば、特公昭55−23740号公報などにおいて公
知である。この公報には、金属織物、フルオロプラスチ
ック及び無機繊維の強化材を含む材料の組合せから成
り、自己潤滑性を有するライニングフォイルが開示され
ている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】上述した各種の摺動部
材は、多くの異なった使用条件、例えば、乾燥摩擦条件
または油中ないし油潤滑条件下においては、摩擦係数が
低く、満足する性能を発揮するが、何れも、摺動面を形
成する樹脂層が薄膜であることに起因し、摺動部材の耐
久性が十分とは言い難い。 【0007】また、摺動部材用PTFE樹脂組成物にお
いては、多くのエンジニアリングプラスチック用充填
材、特に、黒鉛や二硫化モリブデン若しくは他の金属硫
化物、金属酸化物、または、ガラス繊維や炭素繊維など
の無機繊維が使用されている。しかしながら、これらの
充填剤は、樹脂層の耐摩耗性の向上に寄与することもあ
るが、往々にしてPTFE樹脂固有の低摩擦性を阻害す
るという問題を惹起する。本発明は、上記実情に鑑みな
されたものであり、その目的は、摩擦摩耗特性および耐
久性に優れた摺動部材を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目
的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、鋼裏金上に形成
された多孔質金属焼結層に樹脂組成物を含浸被覆して成
るか、または、金属網状体の網目および表面に樹脂組成
物を充填被覆して成る摺動部材において、樹脂組成物と
して、PTFE樹脂に特定の珪酸マグネシウム及び金属
充填剤を添加したものを使用して成る摺動部材は、高荷
重摺動条件下においても安定した低い摩擦係数と優れた
摺動特性を発揮し得るとの知見を得た。 【0009】本発明は、上記の知見に基づき完成された
ものであり、その要旨は、鋼裏金上に形成された多孔質
金属焼結層に樹脂組成物を含浸被覆して成る摺動部材、
または、金属網状体の網目および表面に樹脂組成物を充
填被覆して成る摺動部材であって、樹脂組成物が、珪酸
マグネシウム(A)を1〜25重量%と、鉛、錫、錫鉛
合金およびそれらの混合物から選択される金属充填材
(B)を5〜50重量%含有し、残部がポリテトラフル
オロエチレン(C)から成る樹脂組成物であり、珪酸マ
グネシウム(A)が、二酸化珪素を40.0重量%以
上、酸化マグネシウムを10.0重量%以上含有し、且
つ、酸化マグネシウムに対する二酸化珪素の重量比が
2.1〜5.0の範囲にあることを特徴とする摺動部材
に存する。 【0010】以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本
発明の摺動部材に使用される樹脂組成物について説明す
る。本発明において、樹脂組成物の主成分をなすPTF
E樹脂としては、主として、ファインパウダー、例え
ば、三井デュポンフロロケミカル社製の「テフロン6C
J(商品名)」、ダイキン工業社製の「ポリフロンF2
01(商品名)」、旭硝子社製の「フルオンCD−07
6(商品名)」、「フルオンCD−123(商品
名)」、「フルオンCD−4(商品名)」が使用され
る。 【0011】また、上記のファインパウダーにモールデ
ィグパウダー、例えば、三井デュポンフロロケミカル社
製の「テフロン7AJ(商品名)」を充填被覆用樹脂組
成物に対して20重量%以下の範囲で添加したものも使
用できる。充填被覆用樹脂組成物中のPTFE樹脂の量
は、充填被覆用樹脂組成物量から充填材の量を差引いた
残りの量であり、好ましくは30〜80重量%、更に好
ましくは45〜65重量%である。 【0012】珪酸マグネシウムは、その層状構造に基づ
き剪断され易いため、PTFE樹脂に配合されてPTF
E樹脂固有の低摩擦性を十分に発揮させると共に耐摩耗
性を向上させる作用を有する。本発明において、珪酸マ
グネシウムとしては、酸化マグネシウム(MgO)を1
0.0重量%以上、二酸化珪素(SiO2 )を40.0
重量%以上含有し、且つ、MgOに対するSiO2 の重
量比が2.1〜5.0の範囲のものが使用される。具体
的には、2MgO・3SiO2 ・nH2 O、2MgO・
6SiO2 ・nH2 Oなどが例示される。MgOに対す
るSiO2 の重量比が2.1未満または5.0を超える
珪酸マグネシウムは、PTFE樹脂の摩擦特性および耐
摩耗性を悪化する。 【0013】珪酸マグネシウムの配合割合は、1〜25
重量%、好ましくは5〜20重量%、更に好ましくは1
0〜15重量%である。配合割合が1重量%未満の場合
は珪酸マグネシウムの前記の効果が十分発揮されず、ま
た、25重量%を超える場合は却って耐摩耗性を損なう
ことになる。 【0014】PTFE樹脂に対して配合される鉛、錫、
錫鉛合金およびそれらの混合物から選択される金属充填
材は、特に、耐摩耗性を向上させる効果を発揮する。錫
鉛合金としては、錫を5〜30重量%含有する錫鉛合金
が好適に使用される。金属充填材の配合割合は、5〜5
0重量%、好ましくは20〜40重量%、更に好ましく
は25〜30重量%である。配合割合が5重量%未満の
場合は耐摩耗性向上効果が認められず、また、50重量
%を超える場合は却って耐摩耗性を低下させることにな
る。 【0015】次に、鋼裏金とこれに裏打ちされた多孔質
金属焼結層とから成る基材を使用した本発明の摺動部材
(I)及びその製造方法について説明する。基材をなす
鋼裏金としては、一般構造用圧延鋼薄板が使用される
が、摺動部材の用途によっては他の圧延鋼薄板も使用す
ることが出来る。鋼薄板は、特に、コイル状に巻いてフ
ープ材として提供される連続条片を使用することが好ま
しいが、必ずしも連続条片に限られず、適当な長さに切
断した条片を使用することも出来る。これらの条片は、
必要に応じて銅メッキ等を施して耐蝕性を向上させたも
のであってもよい。 【0016】多孔質金属焼結層は、青銅、鉛青銅、リン
青銅などの摩擦摩耗特性に優れた銅合金から形成される
が、目的、用途に応じ、銅合金以外、例えば、アルミニ
ウム合金、鉄などから形成してもよい。多孔質金属焼結
層を形成する金属粉末は、球状の他、粒状などの不規則
形状のものでもよく、その粒度は、80メッシュの篩を
通過するが、350メッシュの篩を通過しない程度が好
ましい。 【0017】本発明の摺動部材(I)において、上記の
多孔質金属焼結層は、合金粉末同志および合金粉末と鋼
裏金とが強固に結合されている。そして、多孔質金属焼
結層の厚さは、約0.15〜0.40mm、特には0.
20〜0.30mmであることが好ましく、多孔度は、
約10容量%以上、特には15〜40容量%であること
が好ましい。 【0018】樹脂組成物は、PTFE樹脂粉末と前述の
必要な各充填材とを混合した後、得られた混合物に石油
系溶剤を加えて攪拌混合する方法により、湿潤性が付与
された樹脂組成物として得ることが出来る。PTFE樹
脂と充填材との混合は、PTFE樹脂の室温転移点(1
9℃)以下、好ましくは10〜18℃の温度で行われ、
また、得られた混合物と石油系溶剤との攪拌混合も上記
と同様の温度で行われる。斯かる温度条件の採用によ
り、PTFE樹脂の繊維状化が妨げられ、均一な混合物
を得ることが出来る。 【0019】石油系溶剤としては、ナフサ、トルエン、
キシレンの他、脂肪族系溶剤または脂肪族系溶剤とナフ
テン系溶剤との混合溶剤が使用される。石油系溶剤の使
用割合は、PTFE樹脂粉末と充填材との混合物100
重量部に対し15〜30重量部とされる。石油系溶剤の
使用割合が15重量部未満の場合は、後述する多孔質金
属焼結層への含浸被覆工程において、湿潤性が付与され
た樹脂組成物の展延性が悪く、その結果、焼結層への含
浸被覆にムラを生じ易くなる。一方、石油系溶剤の使用
割合が30重量部を超える場合は、含浸被覆作業が困難
となるばかりでなく、樹脂組成物の被覆厚さの均一性が
損なわれたり、樹脂組成物と焼結層との密着強度が悪く
なる。本発明の摺動部材(I)は、以下の(a)〜
(d)の工程を経て製造される。 【0020】(a)鋼薄板から成る裏金上に形成された
多孔質焼結層上に湿潤性が付与された樹脂組成物を散布
し、ローラで圧延して焼結層に樹脂組成物を含浸させる
と共に焼結層の表面に一様な厚さの樹脂組成物から成る
被覆層を形成する。この工程において、被覆層の厚さ
は、樹脂組成物が最終製品に必要とされる被覆厚さの2
〜2.5倍の厚さとされる。多孔質焼結層の孔隙中への
樹脂組成物の含浸は、当該工程でその大部分が進行す
る。 【0021】(b)上記(a)工程で処理された裏金を
200〜250℃の温度に加熱された乾燥炉内に数分間
保持することにより、石油系溶剤を除去し、その後、乾
燥した樹脂組成物をローラによって所定の厚さになる様
に300〜600kgf/cm2 の加圧下で加圧ローラ
処理する。 【0022】(c)上記(b)工程で処理された裏金を
加熱炉に導入して360〜380℃の温度で数分ないし
10数分間加熱して焼成を行なった後、炉から取り出
し、再度、ローラ処理によって寸法のバラツキを調整す
る。 【0023】(d)上記(c)工程で寸法調整された裏
金を冷却し(空冷ないし自然冷却)、その後、必要に応
じて裏金のうねりなどを矯正するため矯正ローラ処理を
行い、所望の摺動部材とする。 【0024】上記(a)〜(d)の工程を経て得られた
摺動部材において、多孔質金属焼結層の厚さは0.1〜
0.35mm、樹脂組成物から形成された被覆層の厚さ
は0.02〜0.15mmとされる。この様にして得ら
れた摺動部材は、適宜の大きさに切断されて平板状態で
すべり板として使用され、また、丸曲げされて円筒状の
巻きブッシュとして使用される。 【0025】次に、金属網状体から成る基材を使用した
本発明の摺動部材(II)及びその製造方法について説明
する。基材をなす金属網状体としては、直線状の刃を
有する固定下型と、波形状、台形状、三角形状等の刃を
有する可動上型との間に金属薄板を固定型に対し直角方
向にまたは固定下型の刃に対し斜方向に送入し、可動上
型を上下方向に往復させて金属薄板に切り込みを入れる
と同時に切り込みを拡開して規則正しい網目列を形成し
たエキスパンドメタル、縦糸および横糸として金属細
線を織ることにより形成される織組ワイヤメッシュ、
金属細線を編むことによって形成される編組ワイヤメッ
シュ等が使用される。 【0026】エキスパンドメタルとしては、厚さ0.3
〜2mmの金属薄板にエキスパンド加工を施し、各辺
(ストランド)の長さが0.1〜1.5mm、厚さが
0.1〜1.0mmに形成されたものが好適である。織
組ワイヤメッシュ又は編組ワイヤメッシュとしては、線
径が0.1〜0.5mmの金属細線を10〜200メッ
シュの網目に織ったり、編んだりして形成されたものが
好適である。 【0027】エキスパンドメタル、織組または編組ワイ
ヤメッシュを形成する金属材料としては、ステンレス
鋼、銅、リン青銅合金、青銅合金、鉄などの薄板または
細線が好適である。 【0028】本発明の摺動部材(II)は、以下の(a)
〜(d)の工程を経て製造され、樹脂組成物としては、
前述の摺動部材(I)の製造方法において記載したと同
様の方法により調製した樹脂組成物が使用される。 【0029】(a)エキスパンドメタル、織組または編
組ワイヤメッシュから成る金属網状体上に樹脂組成物を
散布し、ローラで圧延して金属網状体の網目を樹脂組成
物で充填すると共に金属網状体の表面に一様な厚さの樹
脂組成物から成る被覆層を形成する。この工程におい
て、被覆層の厚さは、樹脂組成物が最終製品に必要とさ
れる被覆厚さの2〜2.5倍とされる。 【0030】(b)上記(a)工程で処理された金属網
状体を200〜250℃の温度に加熱させた乾燥炉内に
数分間保持することにより、石油系溶剤を除去し、その
後、乾燥した樹脂組成物をローラによって所定の厚さに
なる様に300〜360kf/cm2 の加圧下で加圧ロ
ーラ処理する。 【0031】(c)上記(b)工程で処理された金属網
状体を加熱炉に導入して360〜380℃の温度で数分
ないし10数分間加熱して樹脂組成物の焼成を行なった
後、炉から取り出し、再度、ローラ処理によって寸法の
バラツキを調整し、所望の摺動部材とする。 【0032】上記(a)〜(c)の工程を経て得られた
摺動部材において、金属網状体の表面に形成された樹脂
組成物から成る被覆層の厚さは、通常、0.05〜1.
0mmとされる。この様にして得られた摺動部材は、適
宜の大きさに切断されて平板状態で滑り材として使用さ
れ、また、丸曲げされて円筒状の巻きブッシュとして使
用される。 【0033】本発明の摺動部材(I)は、滑り速度10
m/min、荷重120kgf/cm2 、試験時間8時
間の無潤滑スラスト試験において、摩擦係数が0.06
〜0.13、摩耗量が50μm以下であり、高荷重下で
優れた摺動特性を示す。 【0034】一方、本発明の摺動部材(II)は、滑り速
度5m/min、荷重100kgf/cm2 、試験時間
8時間の無潤滑スラスト試験において、摩擦係数が0.
05〜0.13、摩耗量が40μm以下であり、高荷重
下で優れた摺動特性を示す。 【0035】 【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、以下の例におい
て、摺動部材(I)の摺動特性は、次の(1)の試験方
法により、また、摺動部材(II)の摺動特性は、次の
(2)の試験方法により評価した。 【0036】(1)スラスト試験:表1に記載の条件下
で摩擦係数および摩耗量を測定した。そして、摩擦係数
については、試験を開始してから1時間経過以降試験終
了までの摩擦係数の変動値を示し、また、摩耗量につい
ては、試験時間8時間後の摺動面の寸法変化量で示し
た。 【0037】 【表1】 滑り速度 10m/min 荷重 120kgf/cm2 試験時間 8時間 潤滑 無潤滑 相手材 機械構造用炭素鋼(S45C) 【0038】(2)スラスト試験:表2に記載の条件で
摩擦係数および摩耗量を測定した。そして、摩擦係数に
ついては、試験を開始してから1時間経過以降試験終了
までの摩擦係数の変動値を示し、また、摩耗量について
は、試験時間8時間後の摺動面の寸法変化量で示した。 【0039】 【表2】 滑り速度 5m/min 荷重 100kgf/cm2 試験時間 8時間 潤滑 無潤滑 相手材 機械構造用炭素鋼(S45C) 【0040】実施例1〜32及び比較例1〜2 以下の諸例において、PTFE樹脂として、平均粒径8
0μm以下の「テフロン6CJ」(三井デュポンフロロ
ケミカル社製)、石油系溶剤として、脂肪族溶剤とナフ
テン系溶剤との混合溶剤(エクソン化学社製の商品名
「エクソール」)を使用した。 【0041】先ず、PTFE樹脂と表3〜表7に示され
る充填材とをヘンシェルミキサー内に供給して攪拌混合
し、得られた混合物100重量部に対して石油系溶剤2
0重量部を配合し、PTFE樹脂の室温転移点以下の温
度(15℃)で混合し、含浸被覆用樹脂組成物を得た。 【0042】得られた含浸被覆用樹脂組成物を金属薄板
から成る鋼裏金(厚さ0.70mm)上に形成された多
孔質金属焼結層(厚さ0.25mm)上に散布し、含浸
被覆用樹脂組成物の厚さが0.25mmとなる様にロー
ラで圧延して焼結層の孔隙および表面に樹脂組成物が含
浸被覆された複層板を得た。得られた複層板を200℃
の温度に加熱した熱風乾燥炉中に5分間保持して溶剤を
除去した後、乾燥した樹脂組成物層をローラによって加
圧力400kgf/cm2 にて圧延し、焼結層上に被覆
された樹脂組成物層の厚さを0.10mmとした。 【0043】次に、加圧処理した複層板を加熱炉で37
0℃、10分間加熱焼成した後、再度、ローラで加圧処
理し、寸法調整およびうねり等の矯正を行なった。矯正
の終了した複層板を切断し、一辺が30mmの複層摺動
部材試験片を得た。図1は、この様にして得られた複層
摺動部材の断面図であり、図中、符号(1)は鋼裏金、
(2)は鋼裏金上に裏打ちされた多孔質金属焼結層、
(3)は金属焼結層の孔隙および表面に充填被覆された
樹脂組成物から成る被覆層である。 【0044】各複層摺動部材のスラスト試験(1)の結
果を表3〜表7に示す。なお、表中の「SiO2 /Mg
O」はMgOに対するSiO2 の重量比を示し、配合割
合は重量%で示す。 【0045】 【表3】 ──────────────────────────────────── 実 施 例 1 2 3 4 5 6 7 PTFE 85 80 75 80 80 75 75 珪酸マグネシウム 10 15 20 10 10 15 15 SiO2 /MgO 2.2 2.2 2.2 2.2 2.2 2.2 2.2 錫 5 5 5 10 − − 10 鉛 − − − − 10 − −錫鉛合金 − − − − − 10 − 摩擦係数(×10-2) 9〜13 7〜13 8〜10 8〜12 8〜12 7〜12 7〜10 摩耗量(μm) 45 44 38 39 42 42 32 ──────────────────────────────────── 【0046】 【表4】 ──────────────────────────────────── 実 施 例 8 9 10 11 12 13 14 PTFE 79 75 70 65 65 55 65 珪酸マグネシウム 1 5 10 15 20 25 10 SiO2 /MgO 2.2 2.2 2.2 2.2 2.2 2.2 2.2 錫 20 20 20 20 20 20 25 鉛 − − − − − − −錫鉛合金 − − − − − − − 摩擦係数(×10-2) 8〜11 7〜9 7〜9 8〜9 7〜9 8〜9 6〜8 摩耗量(μm) 46 30 28 24 22 28 19 ──────────────────────────────────── 【0047】 【表5】 ──────────────────────────────────── 実 施 例 15 16 17 18 19 20 21 PTFE 65 65 60 60 50 60 60 珪酸マグネシウム 10 10 15 15 25 10 10 SiO2 /MgO 4.5 4.5 2.2 4.5 4.5 2.2 2.2 錫 25 − 25 − 25 30 − 鉛 − 25 − − − − 30錫鉛合金 − − − 25 − − − 摩擦係数(×10-2) 6〜8 7〜9 6〜8 7〜8 7〜9 6〜8 6〜9 摩耗量(μm) 17 24 18 20 15 16 24 ──────────────────────────────────── 【0048】 【表6】 ──────────────────────────────────── 実 施 例 22 23 24 25 26 27 28 PTFE 60 55 45 50 50 50 50 珪酸マグネシウム 10 15 25 10 10 10 10 SiO2 /MgO 4.5 2.2 4.5 2.2 4.5 2.2 2.2 錫 30 30 30 40 40 − − 鉛 − − − − 40 −錫鉛合金 − − − − − − 40 摩擦係数(×10-2) 7〜8 6〜8 6〜9 6〜9 7〜8 7〜10 7〜9 摩耗量(μm) 18 17 23 22 20 24 24 ──────────────────────────────────── 【0049】 【表7】 ──────────────────────────────────── 実 施 例 比 較 例 29 30 31 32 1 2 PTFE 45 40 35 30 80 50 珪酸マグネシウム 15 10 15 20 − − SiO2 /MgO 4.5 2.2 2.2 2.2 − − 錫 40 50 50 50 20 50 鉛 − − − − −錫鉛合金 − − − − − − 摩擦係数(×10-2) 7〜8 8〜10 7〜11 7〜13 12〜17 * 摩耗量(μm) 26 33 34 45 70 86 ──────────────────────────────────── (*)比較例2の摺動部材は、試験開始後30分で摩擦
係数が急激に上昇したため試験を中止した。摩耗量は、
試験を中止した時点の値を示す。 【0050】上述の試験結果から、本発明の実施例の複
層摺動部材は、低い摩擦係数で試験時間を通して安定し
た性能を発揮し、摩耗量も50μm以下と極めて少な
く、優れた摺動特性を有しているものであった。一方、
比較例の複層摺動部材は摩擦係数は比較的安定している
ものの摩耗量が多く、摺動特性の劣ったものであった。 【0051】実施例33〜52及び比較例3〜4 以下の諸例において、PTFE樹脂として、平均粒径8
0μm以下の「テフロン6CJ」(三井デュポンフロロ
ケミカル社製)、石油系溶剤として、脂肪族溶剤とナフ
テン系溶剤との混合溶剤(エクソン化学社製の商品名
「エクソール」)を使用した。 【0052】先ず、PTFE樹脂と表8〜表11に示され
る充填材とをヘンシェルミキサー内に供給して攪拌混合
し、得られた混合物100重量部に対して石油系溶剤2
0重量部を配合し、PTFE樹脂の室温転移点以下の温
度(15℃)で混合し、充填被覆用樹脂組成物を得た。 【0053】板厚0.30mmのリン青銅合金板にエキ
スパンド加工を施し、各辺(ストランド)が0.60m
mの方形状の規則正しい網目を備えた厚さ0.43mm
のエキスパンドメタルを形成した。これを基材Aとし
た。横糸および縦糸に線径0.3mmのリン青銅合金細
線を使用して50メッシュの網目を有する織組ワイヤメ
ッシュを形成した。これを基材Bとした。 【0054】上記樹脂組成物をエキスパンドメタルから
成る基材および織組ワイヤメッシュから成る基材上にそ
れぞれ散布供給し、ローラで圧延して基材の網目を樹脂
組成物で充填すると共に基材の表面に樹脂組成物の被覆
層を形成した後、220℃の温度に加熱した熱風乾燥炉
中に5分間保持し、樹脂組成物中の溶剤を除去した。次
いで、網目および表面が樹脂組成物で充填被覆された基
材を加熱炉で360℃、10分間加熱焼成した後、ロー
ラで加圧処理し、寸法調整およびうねり等の矯正を行な
い、表面に0.13mmの厚さの被覆層が形成された基
材を得た。矯正の終了した基材を切断し、一辺が30m
mの摺動板試験片を得た。 【0055】図2は、エキスパンドメタルを示す断面
図、図3は、図2に示すエキスパンドメタルを基材とし
た摺動部材を示す断面図であり、図中、符号(4)はエ
キスパンドメタル、(5)は辺(ストランド)、(6)
は網目、(7)はエキスパンドメタルの網目および表面
に充填被覆された樹脂組成物から成る被覆層である。ま
た、図4は、織組ワイヤメッシュを基材とした摺動部材
を示す断面図であり、図中、符号(8)は織組ワイヤメ
ッシュ、(9)は織組メッシュの網目および表面に充填
被覆された樹脂組成物から成る被覆層である。 【0056】各摺動部材のスラスト試験(2)の結果を
表8〜表11に示す。なお、表中の「SiO2 /MgO」
は、MgOに対するSiO2 の重量比を示し、配合割合
は重量%で示す。 【0057】 【表8】 ──────────────────────────────────── 実 施 例 33 34 35 36 37 38 39 PTFE 85 80 85 80 80 80 80 珪酸マグネシウム 10 15 10 15 10 10 10 SiO2 /MgO 2.2 2.2 2.2 2.2 2.2 2.2 2.2 錫 5 5 5 5 10 − − 鉛 − − − − 10 − 錫鉛合金 − − − − − − 10基材種類 A A B B A A B 摩擦係数(×10-2) 8〜12 7〜13 8〜13 7〜13 7〜12 8〜12 8〜12 摩耗量(μm) 39 35 39 38 30 32 30 ──────────────────────────────────── 【0058】 【表9】 ──────────────────────────────────── 実 施 例 40 41 42 43 44 45 46 PTFE 65 65 50 50 60 60 45 珪酸マグネシウム 10 10 25 25 10 10 25 SiO2 /MgO 2.2 4.5 2.2 4.5 2.2 2.2 4.5 錫 25 25 25 25 30 30 30 鉛 − − − − − − − 錫鉛合金 − − − − − − −基材種類 A B A B A B A 摩擦係数(×10-2) 5〜8 6〜9 5〜8 6〜8 5〜7 5〜8 5〜7 摩耗量(μm) 19 20 18 18 14 14 16 ──────────────────────────────────── 【0059】 【表10】 ──────────────────────────────────── 実 施 例 47 48 49 50 51 52 PTFE 45 60 50 45 40 35 珪酸マグネシウム 25 10 10 15 10 15 SiO2 /MgO 2.2 2.2 2.2 2.2 2.2 2.2 錫 − − 40 40 50 50 鉛 30 − − − − − 錫鉛合金 − 30 − − − −基材種類 A A A A B A 摩擦係数(×10-2) 6〜8 6〜8 6〜8 6〜8 8〜10 7〜12 摩耗量(μm) 20 19 22 18 30 34 ──────────────────────────────────── 【0060】 【表11】(*)比較例4の摺動部材は、試験開始後60分で摩擦
係数が急激に上昇したため試験を中止した。摩耗量は、
試験を中止した時点の値を示す。 【0061】上述の試験結果から、本発明の実施例の摺
動部材は、低い摩擦係数で試験時間を通して安定した性
能を発揮し、摩耗量も50μm以下と少なく、優れた摺
動特性を有するものであった。一方、比較例の摺動部材
は、摩擦係数が高く、摩耗量も多く、摺動特性の劣った
ものであった。 【0062】 【発明の効果】以上説明した本発明によれば、安定した
低い摩擦係数を示すと共に摩耗量の少ない優れた摺動特
性を発揮する摺動部材が提供される。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の摺動部材の一例を示す断面図である。 【図2】基材としてのエキスパンドメタルの一例を示す
平面図である。 【図3】基材にエキスパンドメタルを使用した本発明の
摺動部材の一例を示す断面図である。 【図4】基材に金網を使用した本発明の摺動部材の一例
を示す断面図である。 【符号の説明】 1:鋼裏金 2:多孔質金属焼結層 3:樹脂被覆層 4:エキスパンドメタル 6:網目 7:樹脂被覆層 8:織組ワイヤメッシュ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C10M 125:04 C10M 125:26 125:26) C10N 10:04 C10N 10:04 10:08 10:08 30:06 30:06 40:02 40:02 50:08 50:08 (56)参考文献 特開 平6−93283(JP,A) 特開 昭60−258297(JP,A) 特開 平3−250096(JP,A) 特開 平5−180230(JP,A) 特公 昭39−16950(JP,B1) 特公 昭55−23740(JP,B2) 化学大辞典編集委員会,化学大辞典 3,共立出版株式会社,1989年 8月15 日,縮刷版第32刷,第310−311頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10M 169/04 C10M 103/04 - 103/06 C10M 107/38 C10M 111/04 C10M 125/04 C10M 125/10 C10M 125/26 C10N 10:04 C10N 10:08 C10N 30:06 C10N 40:02 C10N 50:08 F16C 33/10 F16C 33/20 F16C 33/24 F16C 33/28

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 鋼裏金上に形成された多孔質金属焼結層
    に樹脂組成物を含浸被覆して成る摺動部材、または、金
    属網状体の網目および表面に樹脂組成物を充填被覆して
    成る摺動部材であって、樹脂組成物が、珪酸マグネシウ
    ム(A)を1〜25重量%と、鉛、錫、錫鉛合金および
    それらの混合物から選択される金属充填材(B)を5〜
    50重量%含有し、残部がポリテトラフルオロエチレン
    (C)から成る樹脂組成物であり、珪酸マグネシウム
    (A)が、二酸化珪素を40.0重量%以上、酸化マグ
    ネシウムを10.0重量%以上含有し、且つ、酸化マグ
    ネシウムに対する二酸化珪素の重量比が2.1〜5.0
    の範囲にあることを特徴とする摺動部材。
JP13256194A 1994-05-23 1994-05-23 摺動部材 Expired - Fee Related JP3464275B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13256194A JP3464275B2 (ja) 1994-05-23 1994-05-23 摺動部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13256194A JP3464275B2 (ja) 1994-05-23 1994-05-23 摺動部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07316574A JPH07316574A (ja) 1995-12-05
JP3464275B2 true JP3464275B2 (ja) 2003-11-05

Family

ID=15084182

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13256194A Expired - Fee Related JP3464275B2 (ja) 1994-05-23 1994-05-23 摺動部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3464275B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100432250B1 (ko) * 2002-03-25 2004-05-20 주식회사 뉴멘나노텍 접촉 마찰면에 내마찰 코팅층을 형성하는 방법
DE10252157B4 (de) * 2002-11-09 2012-11-22 Haver & Boecker Flächiges Verbundmaterial sowie Verfahren zur Herstellung
JP4845039B2 (ja) * 2007-03-07 2011-12-28 三井造船株式会社 Rc床版少数主桁橋
JP2009024541A (ja) * 2007-07-18 2009-02-05 Sanden Corp 軸シール
DE102009036774A1 (de) * 2009-08-08 2011-02-17 Bizerba Gmbh & Co Kg Schneidemaschine für Lebensmittel

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
化学大辞典編集委員会,化学大辞典3,共立出版株式会社,1989年 8月15日,縮刷版第32刷,第310−311頁

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07316574A (ja) 1995-12-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5732322A (en) Resin composition for sliding member and sliding member
EP1132634B1 (en) Resin composition for sliding member, and sliding member produced therefrom
JP3467328B2 (ja) 摺動部材
KR101171366B1 (ko) 복층 슬라이딩 부재
US5433870A (en) Multilayered sliding member
JP5342883B2 (ja) 複層軸受
JP4774990B2 (ja) 摺動部材用樹脂組成物および摺動部材
JPH058219B2 (ja)
JP3949183B2 (ja) 摺動部材用樹脂組成物およびこれを使用した摺動部材
US5354622A (en) Multilayered sliding member
EP3287651B1 (en) Multilayer sliding member and car rack-and-pinion-type steering device using same
JP3464275B2 (ja) 摺動部材
JPH11257356A (ja) 摺動部材用樹脂組成物およびこれを使用した摺動部材
JP3965244B2 (ja) 摺動部材用樹脂組成物及びこれを使用した摺動部材
JP2000055054A (ja) 複層軸受
JP3446810B2 (ja) 複層焼結摺動部材とその製造方法
JP2002061653A (ja) 湿式潤滑用摺動材料
JP3590415B2 (ja) 摺動部材用樹脂組成物および複層摺動部材
JP2000319472A (ja) 摺動部材用樹脂組成物及びこれを使用した摺動部材
JP2001132756A (ja) 樹脂被覆摺動材およびその製造方法
JP3590412B2 (ja) 複層摺動部材
JP5034937B2 (ja) 摺動部材用樹脂組成物及びこれを使用した摺動部材
JPH0415228A (ja) 摺動材料
JPS5911642B2 (ja) ドライベアリングならびにその製造方法
JP6821790B2 (ja) 複層摺動部材及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030805

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070822

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080822

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090822

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees