JP3590412B2 - 複層摺動部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、複層摺動部材に関し、詳しくは、摺動面にポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE樹脂と略称す。)を主成分とする潤滑組成物を備えた複層摺動部材に関する。本発明の複層摺動部材は、ショックアブソーバのガイドブッシュや油圧ポンプの軸受など、油中または油潤滑下で使用される用途において優れた摺動特性を発揮する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、PTFE樹脂は自己潤滑性に優れ、摩擦係数が低く、更には優れた耐薬品性および耐熱性を具備することから、軸受などの摺動部材として広く使用されている。しかしながら、PTFE樹脂のみからなる摺動部材は、耐摩耗性や耐クリープ性に劣るため、摺動部材の用途に応じて、例えば、次の様な方法でその欠点を解決している。
【0003】
(1)黒鉛、二硫化モリブデン、ガラス繊維などの充填材をPTFE樹脂に添加する。(2)薄鋼板上に一体に被着形成された多孔質焼結金属層に溶媒を使用してPTFE樹脂を含浸させて被覆する。
【0004】
上記(2)の態様からなる摺動部材としては、例えば、特公昭39−16950号公報などに開示されている摺動部材が挙げられる。すなわち、特公昭39−16950号公報には、鋼の裏打材を有することを可とする多孔質の銅または銅合金の層を有し、少くともその露出面においてポリテトラフルオルエチレンが含浸されたマトリックスを備え、前記ポリテトラフルオルエチレンは、鉛または鉛の酸化物またはこれら両者と混合され、この混合物は、前記マトリックスの容積において少くとも28%より少なく、また、鉛またはこれと鉛酸化物との量は、容積において少くとも16%である軸受材料が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の摺動部材は、摩擦係数が低く、優れた摩擦特性を示すものの、耐摩耗性は必ずしも満足するものではない。また、従来の摺動部材は、油中において、特に、高速で摺動する条件下での使用において、キャビテーションが発生して摺動面が損傷し、摩耗が促進されるという問題がある。本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、その目的は、優れた摩擦特性、特に、優れた耐摩耗特性を発揮すると共に、高速摺動条件下での使用においても優れた耐キャビテーション性を発揮する複層摺動部材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等の鋭意研究の結果、ポリテトラフルオロエチレンに特定のマグネシウムオキシサルフェートを添加してなる潤滑組成物を、鋼裏金上に形成された多孔質焼結金属層に含浸被覆して成る複層摺動部材が、高速摺動条件下においてもキャビテーションの影響を受けることなく、摩耗量の極めて少ない安定した摺動特性を発揮することが見出された。
【0007】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、鋼裏金上に形成された多孔質焼結金属層に潤滑組成物を含浸被覆して成る複層摺動部材であって、潤滑組成物が、充填剤として、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、扇状マグネシウムオキシサルフェート又はそれらの混合物を1〜25重量%含有するポリテトラフルオロエチレンから成ることを特徴とする複層摺動部材に存する。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の複層摺動部材において、裏金は金属薄板からなり、一般には、構造用圧延鋼薄板が使用されるが、摺動部材の用途によっては、他の鋼薄板または鋼以外の金属薄板でもよく、更には、これらの金属薄板に銅メッキ等を施して耐蝕性を向上させたものであってもよい。
【0009】
裏金上に一体的に形成される多孔質焼結金属層は、青銅、鉛青銅、リン青銅など摩擦摩耗特性に優れた銅合金から形成されるが、目的、用途に応じ、銅合金以外、例えば、アルミニウム合金、鉄などから形成してもよい。これら焼結金属粉末の粒形は、球状または粒状などの不規則形状のものがよい。多孔質焼結金属層の多孔率は、25%以上、好ましくは28〜35%である。斯かる多孔率を有する焼結金属層は、80メッシュの篩を通過するが、350メッシュの篩を通過しない粒度の金属粉末を焼結することによって得られる。
【0010】
本発明の複層摺動部材において、潤滑組成物の主成分をなすPTFE樹脂としては、主として、ファインパウダー、例えば、三井デュポンフロロケミカル社製の「テフロン6CJ(商品名)」、ダイキン工業社製の「ポリフロンF201(商品名)」、旭硝子社製の「フルオンCD−076」、「フルオンCD−126」、「フルオンCD−4(商品名)」が使用される。
【0011】
また、上記のファインパウダーにモールディングパウダー、例えば、三井デュポンフロロケミカル社製の「テフロン7AJ(商品名)」)を潤滑組成物に対して20重量%以下の範囲で添加したものも使用できる。潤滑組成物中のPTFE樹脂の量は、潤滑組成物量から充填剤の量を差引いた残りの量であり、好ましくは50〜99重量%、更に好ましくは65〜85重量%である。
【0012】
潤滑組成物の主成分をなすPTFE樹脂に対し第1の充填材として使用されるマグネシウムオキシサルフェートは、「MgSO・5MgO・8HO」又は「MgSO・5Mg(OH)・3HO」の化学式で表わされる塩基性硫酸マグネシウム水和物である。マグネシウムオキシサルフェートは、PTFE樹脂の耐摩耗性に劣る欠点を補う役割、油中または油潤滑下での使用において油膜保持性を高めると共に高速摺動条件において耐キャビテーション性を高める役割および他の充填材の分散性を向上させる作用を有する。
【0013】
本発明の複層摺動部材において、マグネシウムオキシサルフェートとしては、繊維状のものと、針状結晶を束ねた扇状に結晶を成長させてなる扇状のものとが使用される。これらのマグネシウムオキシサルフェートについては、例えば、「機能紙研究会誌」(No.27,11月(1988)pp.26−31)において、“繊維状マグネシウム化合物「モスハイジ」(登録商標)の特性・機能とその用途”の題名で掲載された報文に記載されている。特に、写真1及び3を参照することが出来る。
【0014】
上記の各マグネシウムオキシサルフェートの中では、PTFE樹脂への分散性、潤滑組成物を多孔質焼結金属層へ含浸被覆する際の成形性などを考慮すると、扇状マグネシウムオキシサルフェートが推奨される。
【0015】
マグネシウムオキシサルフェートは、上記の化学式から判るように結晶水を含んでいるため、そのままPTFE樹脂に配合して潤滑組成物とした場合には、配合割合の多寡により、潤滑組成物の焼成時において、結晶水の脱離が起こり、結晶水の脱離によるピンホールを摺動面に発生させる場合がある。このピンホールの発生は、摺動特性に悪影響を及ぼすものではないが、潤滑組成物の焼結層への被着性の低下を来す恐れがあるため、PTFE樹脂への配合前に予め、マグネシウムオキシサルフェートを300〜500℃の温度で熱処理して結晶水を脱離させることが好ましい。
【0016】
本発明において、マグネシウムオキシサルフェートとしては、長軸径(長さ)が1〜1000μm、好ましくは10〜200μm、短軸径(直径)が0.1〜10μm、好ましくは0.1〜1μm、アスペクト比(長軸径/短軸径)が10〜200、好ましくは10〜100である繊維状マグネシウムオキシサルフェート、および、長さが10〜200μm、好ましくは50〜200μmの扇状マグネシウムオキシサルフェートを使用することが好ましい。斯かる繊維状マグネシウムオキシサルフェート及び扇状マグネシウムオキシサルフェートの具体例として、宇部興産社製「モスハイジ(商品名)」を挙げることが出来る。
【0017】
本発明において、潤滑組成物中のマグネシウムオキシサルフェートの含有量は、1〜25重量%、好ましくは10〜15重量%である。含有量が1重量%未満の場合は、耐摩耗特性、耐キャビテーション性および油膜保持性が悪化し、また含有量が25重量%を超える場合、成形性が悪化するので好ましくない。
【0018】
PTFE樹脂とマグネシウムオキシサルフェートからなる潤滑組成物の耐摩耗性および油膜保持性を一層高めるため、上記の第1の充填材(マグネシウムオキシサルフェート)に加え、更に、第2の充填材として、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウム、フッ素雲母および硫酸バリウムのうちの少なくとも1種を添加するのが好ましい。これらの中では、酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、フッ素雲母または酸化亜鉛が、潤滑組成物の油膜保持性をより一層高めることが出来るため特に好ましい。
【0019】
第2の充填材は、油を吸着する性質を有し、特に、油中または油潤滑下での使用において、摺動面に油を吸着することにより、摺動面での油膜の形成能を高め且つ摺動面での油膜保持性を高める作用を有する。従って、第2の充填材の配合により、油潤滑下において、摺動面に常に安定した潤滑油膜が形成され、優れた摺動特性が発揮される。
【0020】
第2の充填材の平均粒径は、通常20μm以下、好ましくは1〜10μmとされる。第2の充填材の作用効果は、1重量%の配合で現れ始め、20重量%の配合まで維持される。しかし、20重量%を超えて配合した場合、油膜形成能および油膜保持性は維持されるものの、成形性に悪影響を及ぼす結果となる。従って、第2の充填材の配合割合は、通常20重量%以下、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは5〜10重量%とされるが、第2の充填材の配合割合は、第1の充填材であるマグネシウムオキシサルフェートの配合割合との兼ね合いで決定する必要がある。
【0021】
すなわち、第1の充填材と第2の充填材との含有量の合計が30重量%を超える場合は、潤滑組成物の展延性、多孔質焼結金属層への含浸被着性などの成形性に悪影響を及ぼす傾向があるため、第1の充填材と第2の充填材の含有量の合計は、通常30重量%以下、好ましくは15〜25重量%とされる。
【0022】
本発明においては、PTFE樹脂および第1の充填材からなる潤滑組成物、または、PTFE樹脂、第1の充填材および第2の充填材からなる潤滑組成物に対し、耐摩耗性や耐キャビテーション性を向上させるため、更に、PTFE樹脂以外のフッ素樹脂を配合することが出来る。
【0023】
上記のフッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)及びポリビニルフルオライド(PVF)等が挙げられる。
【0024】
潤滑組成物中のフッ素樹脂の配合割合は、通常30重量%以下、好ましくは0.1〜20重量%とされる。フッ素樹脂の配合割合が30重量%を超える場合は、却って摺動特性、特に、摩擦係数が上昇する傾向があり、摺動安定性を低下させることがあるので好ましくない。
【0025】
また、本発明においては、PTFE樹脂および第1の充填材からなる潤滑組成物、PTFE樹脂、第1の充填材および第2の充填材からなる潤滑組成物またはこれらの各潤滑組成物にフッ素樹脂を配合して成る潤滑組成物に対し、摺動安定性、耐摩耗性を向上させるため、更に、金属充填材として、鉛、亜鉛、錫、銅およびそれらの合金のうち少なくとも1種を配合することが出来る。金属充填材は、平均粒径40〜80μmの粉末として使用され、その配合割合は、20重量%以下、好ましくは0.1〜15重量%とされる。
【0026】
本発明においては、上記の潤滑組成物に対し、PTFE樹脂の耐摩耗性を向上させるため、充填材として一般に使用されている他の充填材、例えば、グラファイト、二硫モリブデン、窒化ホウ素などの固体潤滑剤を10重量%以下の割合で配合してもよく、また、補強を目的として一般に使用されている他の充填材、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの繊維補強材を10重量%以下の割合で配合してもよい。
【0027】
次に、本発明の複層摺動部材の製造方法について説明する。初めに、潤滑組成物の調製法について説明する。潤滑組成物は、PTFE樹脂粉末と前述の必要な各充填材とを粉砕しながら混合した後、得られた混合物に石油系溶剤を加えて撹拌混合する方法により、湿潤潤滑組成物として得ることが出来る。PTFE樹脂粉末と充填材との粉砕混合は、PTFE樹脂の室温転移点(19℃)以下、好ましくは10〜18℃の温度で行われ、また、得られた混合物と石油系溶剤との撹拌混合も上記と同様の温度で行われる。斯かる温度条件の採用により、PTFE樹脂の繊維化が妨げられ、均一な混合物を得ることが出来る。
【0028】
石油系溶剤としては、ナフサ、トルエン、キシレンの他、脂肪族系溶剤または脂肪族系溶剤とナフテン系溶剤との混合溶剤が使用される。石油系溶剤の使用割合は、PTFE樹脂粉末と充填材との混合物100重量部に対し15〜30重量部とされる。石油系溶剤の使用割合が15重量部未満の場合は、後述する多孔質焼結金属層への含浸被覆行程において、湿潤潤滑組成物の展延性が悪く、その結果、焼結層への含浸被覆にムラを生じ易くなる。一方、石油系溶剤の使用割合が30重量部を超える場合は、含浸被覆作業が困難となるばかりでなく、潤滑組成物の被覆厚さの均一性が損なわれたり、潤滑組成物と焼結層との密着強度が悪くなる。
【0029】
次に、複層摺動部材の製造方法について説明する。本発明の複層摺動部材は、以下の(a)〜(d)工程を経て製造される。
【0030】
(a)裏金上に形成された多孔質焼結金属層上に湿潤潤滑組成物を散布し、ローラで圧延して焼結層に湿潤潤滑組成物を含浸させると共に該焼結層の表面に一様な湿潤潤滑組成物の被覆層を形成する。この工程において、湿潤潤滑組成物が最終製品に必要とされる被覆厚さの2〜2.5倍の厚さに被覆される。多孔質焼結金属層の空隙中への湿潤潤滑組成物の充填はこの工程でその大部分が進行する。
【0031】
(b)(a)工程で処理された裏金を200〜250℃の温度に加熱された乾燥炉内に数分間保持することにより、石油系溶剤を飛散除去し、その後、乾燥した潤滑組成物層をローラによって所定の厚さになるように300〜600kg/cmの加圧下で加圧ローラ処理する。
【0032】
(c)(b)工程で処理された裏金を加熱炉に導入して360〜380℃の温度で数分ないし10数分間加熱して焼成を行なった後、炉から取り出し、再びローラ処理によって寸法のバラツキを調整する。
【0033】
(d)(c)工程で寸法調整調整された裏金を冷却し、その後、必要に応じて裏金のうねりなどを矯正するための矯正ローラ処理を行い、所望の複層摺動部材とする。
【0034】
本発明の複層摺動部材において、多孔質焼結金属層の厚さは0.1〜0.35mm、潤滑組成物から形成された摺動面層の厚さは0.02〜0.15mmとされる。上記の様にして得られた複層摺動部材は、適宜の大きさに切断されて平板状態ですべり板として使用され、また、丸曲げされて円筒状の巻きブッシュとして使用される。
【0035】
本発明の複層摺動部材は、滑り速度10m/min、荷重40kgf/cm、試験時間8時間のスラスト試験において、摩擦係数が0.01〜0.09、好ましくは0.01〜0.06、摩耗量が40μm以下、好ましくは30μm、より好ましくは20μm以下であり、優れた摺動特性を示す。
【0036】
また、本発明の複層摺動部材は、滑り速度8.05m/min、荷重363.6kgf/cm、高温(100℃)油(ATF−DII出光石油)中、試験時間5時間のラジアル・ジャーナル試験において、摩擦係数が0.010〜0.020、好ましくは0.010〜0.015、摩耗量が40μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下であり、高荷重下でも優れた摺動特性を示す。
【0037】
更に、本発明の複層摺動部材は、滑り速度40m/min、荷重10kgf/cm、試験時間8時間のスラスト試験において、摩耗量が35μm以下であり、高速摺動下でも優れた摺動特性を有し、且つ、軸受け表面の剥離がない優れた耐キャビテーション性を示す。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において、摺動特性は次の(1)〜(4)の試験方法により、耐キャビテーション性は次の(5)試験方法により評価した。
【0039】
(1)スラスト試験(A):表1に記載の条件下で摩擦係数および摩耗量を測定した。そして、摩擦係数については試験を開始してから1時間経過以降試験終了までの摩擦係数の変動値を示し、また摩耗量については試験時間8時間後の摺動面の寸法変化量で示した。
【0040】
【表1】
滑り速度 10m/min
荷重 40kgf/cm
試験時間 8時間
潤滑 ATF−DII(出光石油社製)油を初期塗布
相手材 機械構造用炭素鋼(S45C)
【0041】
(2)スラスト試験(B):表2に記載の条件下で摩耗量を測定した。そして、摩耗量を試験時間8時間後の摺動面の寸法変化量で示した。
【0042】
【表2】
滑り速度 40m/min
荷重 10kgf/cm
試験時間 8時間
潤滑 ATF−DII(出光石油社製)油中
相手材 機械構造用炭素鋼(S45C)
【0043】
(3)スラスト試験(C):表3に記載の条件下で摩擦係数および摩耗量を測定した。そして、摩擦係数については試験を開始してから1時間経過以降試験終了までの摩擦係数の変動値を示し、また摩耗量については試験時間8時間後の摺動面の寸法変化量で示した。
【0044】
【表3】
滑り速度 10m/min
荷重 80kgf/cm
試験時間 8時間
潤滑 ATF−DII(出光石油社製)油を初期塗布
相手材 ステンレス鋼(SUS304)
【0045】
(4)高温油中ラジアル・ジャーナル試験:表4に記載の条件下で摩擦係数および摩耗量を測定した。そして、摩擦係数については試験を開始してから1時間経過後の摩擦係数の変動値を示し、また摩耗量については試験時間5時間後の摺動面の寸法変化量で示した。
【0046】
【表4】
滑り速度 8.05m/min
荷重 363.6kgf/cm
試験時間 5時間
潤滑 高温(100℃)のATF−DII(出光石油社製)油中
相手材 クロムモリブデン鋼(SCM415H)
【0047】
(5)耐キャビテーション性:上述のスラスト試験(B)において試験時間8時間経過後の試験片表面の剥離状態を目視にて観察した。評価方法は表5に示す通りである。評価が○であることが望ましい。
【0048】
【表5】
Figure 0003590412
【0049】
実施例1〜23及び比較例1〜3
以下の諸例においては、PTFE樹脂として、平均粒径80μm以下の「テフロン6CJ」(三井デュポンフロロケミカル社製)、石油系溶剤として、脂肪族溶剤とナフテン系溶剤との混合溶剤(エクソン化学社製の商品「エクソール」)を使用した。
【0050】
先ず、PTFE樹脂と表6に示される充填剤とをヘンシェルミキサー内に供給して粉砕混合し、得られた混合粉末100重量部に対して石油系溶剤20重量部を配合し、当該PTFE樹脂の室温転移点以下の温度(15℃)で混合し、湿潤潤滑滑組成物を得た。
【0051】
得られた湿潤潤滑組成物を金属薄板から成る鋼裏金(厚さ:0.70mm)上に形成された多孔質焼結金属層(厚さ:0.25mm)上に供給し、湿潤潤滑組成物層の厚さが0.25mmとなる様にローラで圧延して複層板を得た。得られた複層板を200℃の温度に加温した熱風乾燥炉中に5分間保持して溶剤を飛散除去した後、乾燥した潤滑組成物層をローラによって加圧力400kg/cmにて処理し、潤滑組成物層の厚さを0.10mmとした。
【0052】
次に、加圧処理した複層板を加熱炉で370℃、10分間加熱焼成した後、再びローラで加圧処理して、寸法調整およびうねり等の矯正を行なった。縦30mm×横30mmに切断して厚さ1.05mmの板状摺動部材試験片を得た。各摺動部材のスラスト試験(A)の結果を表6〜10に示す。なお、表6〜10中、「MGO」はマグネシウムオキシサルフェート、「繊維」は、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、「扇状」は扇状マグネシウムオキシサルフェートを示す。
【0053】
【表6】
Figure 0003590412
【0054】
【表7】
Figure 0003590412
【0055】
【表8】
Figure 0003590412
【0056】
【表9】
Figure 0003590412
【0057】
【表10】
Figure 0003590412
【0058】
上述のテスト結果から、本発明の実施例の摺動部材試験片は、低い摩擦係数で安定した性能を有し、且つ、摩耗量の極めて少ない優れた摺動特性を有しているものであった。一方、比較例の摺動部材は、摩擦係数があまり安定せず、また、摩耗量も多く、摺動特性の劣ったものであった。
【0059】
実施例8及び20の摺動部材試験片のスラスト試験(B)及び耐キャビテーション性テストの結果を表11に示す。
【0060】
【表11】
Figure 0003590412
【0061】
上述のテスト結果から、本発明の摺動部材試験片は、高速摺動条件下においても剥離が起らず、耐キャビテーション性が高く且つ摩耗量の極めて少ない安定した摺動特性を有していた。
【0062】
実施例7、8、11、17及び18、比較例3の摺動部材試験片のスラスト試験(C)及び高温油中ラジアル・ジャーナル試験の結果を表12及び13に示す。
【0063】
【表12】
Figure 0003590412
【0064】
【表13】
Figure 0003590412
【0065】
上述の試験結果から、本発明の摺動部材試験片は、試験時間を通して低い摩擦係数で安定した性能を示し、試験後の摺動部材の摩耗量も極めて少ないものであった。
【0066】
【発明の効果】
上述の実施例から明らかな様に、本発明の複層摺動部材は、PTFE樹脂に特定のマグネシウムオキシサルフェートを添加した潤滑組成物を鋼裏金上に形成された多孔質焼結金属層に含浸被覆したことにより、油潤滑下、特に、高温油中において、低く安定した摩擦係数を示すと共に、極めて少ない摩耗量と高速摺動下においても優れた耐キャビテーション性を発揮する。

Claims (8)

  1. 鋼裏金上に形成された多孔質焼結金属層に潤滑組成物を含浸被覆して成る複層摺動部材であって、潤滑組成物が、充填剤として、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、扇状マグネシウムオキシサルフェート又はそれらの混合物を1〜25重量%含有するポリテトラフルオロエチレンから成ることを特徴とする複層摺動部材。
  2. 潤滑組成物が、第1の充填剤として、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、扇状マグネシウムオキシサルフェート又はそれらの混合物、第2の充填剤として、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウム、フッ素雲母および硫酸バリウムの群から選択された少なくとも1種を含有するポリテトラフルオロエチレンから成り、第1の充填剤の含有量が1〜25重量%、第2の充填剤の含有量が1〜20重量%であり、両者の合計量が30重量%未満である請求項1に記載の複層摺動部材。
  3. 潤滑組成物が、ポリテトラフルオロエチレン以外のフッ素樹脂を30重量%以下含有する請求項1又は2に記載の複層摺動部材。
  4. 潤滑組成物が、金属充填剤として、鉛、亜鉛、スズ、銅およびそれらの合金から成る群から選択された少なくとも1種を20重量%以下含有する請求項1乃至3の何れかに記載の複層摺動部材。
  5. 繊維状マグネシウムオキシサルフェートの平均長軸径が1〜1000μm、平均短軸径が0.1〜10μm、アスペクト比が10〜200である請求項1又は2の何れかに記載の複層摺動部材。
  6. 扇状マグネシウムオキシサルフェートの平均長さが10〜200μmである請求項1又は2の何れかに記載の複層摺動部材。
  7. 第2の充填剤の平均粒径が20μm以下である請求項2に記載の複層摺動部材。
  8. 金属充填剤の平均粒径が40〜80μmである請求項4に記載の複層摺動部材。
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