JP3463532B2 - 鋼の連続鋳造用モールドパウダ - Google Patents
鋼の連続鋳造用モールドパウダInfo
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Description
モールドパウダに関し、特に表面に発生する気泡性欠陥
の少ない高品質な鋳片を得ることを可能とする連続鋳造
用モールドパウダに関する。
鋳型内へ供給された溶鋼表面にモールドパウダを投入す
る。通常、このモールドパウダは複数種類の酸化物や炭
素剤等の粉体を混合したものが使用される。
下に挙げる役割を担う。 (1) 溶鋼の保温および酸化防止、(2) 溶鋼中の気泡およ
び介在物の吸収、(3)鋳型内壁と凝固殻との潤滑性の確
保、(4) 鋳型内壁と凝固殻との間隙の熱伝導度の調整。
応じてモールドパウダの成分組成が検討され、融点、溶
融時の粘度および熱伝導度、等の特性が適正に調整され
る。
2 、およびCaF2 を基材とし、その他にNa2 O等を
若干含有し、SiO2 濃度が20〜40重量%で、塩基
度が0.8〜1.3の範囲に調整されたものが一般的で
ある。 ここで、塩基度は、下記の(1) 式で定義される
T.CaOのSiO2 に対する重量濃度比、すなわち
T.CaO/SiO2 で表される。
iO2 濃度を低下したまたは含まないモールドパウダが
提案されている。
報には、アルミキルド鋼を鋳造する際において、溶鋼中
のAlの酸化の抑制、また、溶鋼中のAl2 O3 系非金
属介在物を吸収して、浸漬ノズル詰まりを防止すること
を目的に、Al2 O3 −CaOを主体とし、SiO2 濃
度を7.0重量%以下に低下させたモールドパウダが提
示されている。
は、浸漬ノズル詰まりの防止を目的に、Al2 O3 、C
aOおよびMgOを基材としSiO2 を含有しないモー
ルドパウダが提示されている。
重量%含有する従来のモールドパウダを使用して、Mn
を0.5重量%程度以上含有する鋼(以下、高Mn鋼と
いう)を連続鋳造する場合、鋳型内のメニスカス近傍に
おいて発生したCO気泡が凝固殻に捕捉され、鋳片表層
の欠陥となることがある。特に、モールドパウダが溶融
スラグとなって鋳型内壁と凝固殻との間隙に流入する
際、未溶融のモールドパウダが巻き込まれた場合に発生
することが多い。
も生成しやすくなることがある。例えば、円形断面の鋳
型を用いて溶鋼を電磁攪拌しながら鋳造する場合、溶鋼
が鋳型内を回転して湯面がすり鉢状になるため、湯面上
に添加されたモールドパウダおよび溶融スラグは鋳型の
中央部に集まり、鋳型内壁付近は溶融スラグ厚さが薄く
なる。このとき、鋳型内壁と凝固殻との間隙に、溶融ス
ラグとともに未溶融のモールドパウダが巻き込まれやす
くなる。
化学反応によって起こると考えられる。すなわち、溶鋼
中のMnと、巻き込まれたモールドパウダまたは溶融ス
ラグ中のSiO2 とが下記の(2) 式で表される酸化還元
反応を起こし、MnOが生じる。
のCとが下記の(3) 式で表される酸化還元反応を起こ
し、COが発生し気泡を形成する。
気泡の発生を抑制することが重要である。
中のSiO2 濃度を低下させることができれば、CO気
泡の発生の抑制が可能であると考えられる。しかし、従
来のSiO2 濃度を低下させたモールドパウダでは、問
題があることが判った。すなわち、特開昭60−133
956号公報および特開昭57−184563号公報に
記載されたモールドパウダは、融点が1200℃以上と
高くなるため、鋳造条件が制約される。例えば2.0m
/分以上の高速連続鋳造には、鋳型内壁と凝固シェルと
の間の潤滑性が悪化し、使用できなかった。
の間の高い潤滑性を維持しながら、気泡性欠陥の発生を
抑制することができるモールドパウダを提供することに
ある。
成のモールドパウダについて調査検討を重ね、以下の知
見を得た。
て、モールドパウダ中のSiO2 濃度を15重量%以下
に低減し、Na 2 OおよびK 2 Oの濃度が総量で1.0
重量%未満とすることにより、CO気泡性欠陥の発生を
効果的に抑制することができる。
ルドパウダの融点上昇を抑制しつつ、モールドパウダ中
のSiO2 濃度を低減することができる。
要旨は下記(1) および(2) のとおりである。 (1) CaO、Al2 O3 およびFを含有し、SiO2 の
濃度が15重量%以下で、Na 2 OおよびK 2 Oの濃度
が総量で1.0重量%未満で、下記に示すT.CaOの
SiO2 に対する重量濃度比が4.0以上であることを
特徴とする鋼の連続鋳造用モールドパウダ。
78) (2) 前記Fの濃度が5重量%以上、30重量%以下であ
ることを特徴とする(1) 項に記載の鋼の連続鋳造用モー
ルドパウダ。
材とした従来のモールドパウダにおいてSiO2 濃度を
低減した場合には、モールドパウダの融点が上昇し、鋳
型内壁と凝固シェルとの間の潤滑が不良になる。したが
って、上記組成の従来のモールドパウダでは、SiO2
の濃度を20重量%程度以下に低減することは困難であ
る。そこで、Al2 O3 を配合するとともにF濃度を増
加することにより、SiO2 濃度の低減に伴う融点上昇
の抑制の可能性を追求した。
純三元系における等液相線図(出典:Schackenatlas 、
1981、57頁、図59)である。同図より、CaO/S
iO2 =4.0の線1、SiO2 =0重量%の線2、C
aO/Al2 O3 =2.0の線3およびCaO/Al2
O3 =0.7の線4で囲まれた図中に斜線部で示す領域
で融点が低いことが判る。
では、上記の領域で融点が低くなるが、この組成にCa
F2 等の他の成分を添加することにより融点を低くする
ことができる。したがって、図1に示す領域において、
Al2 O3 濃度を下げCaO/Al2 O3 =を2.0よ
り大きくしてもよい。
させて融点に及ぼす影響を検討した。後述する実施例に
示すように、F濃度が5重量%以上、30重量%以下で
融点が低下することが判った。
とするモールドパウダで、モールドパウダ中のSiO2
濃度を変化させて、溶融スラグ中のMn濃度の増加量を
調査した。
と溶融スラグ中のMnO濃度増加量との関係を示すグラ
フである。ここで、溶融スラグ中のMnO濃度増加量
は、鋳型直下で排出されるスラグフィルムを回収してM
nO濃度を測定し、添加前のモールドパウダ中のMnO
濃度からの増加分として算出した。
ともにMnO濃度増加量は減少し、その傾向はSiO2
濃度が15重量%以下の範囲で特に顕著になった。すな
わち、モールドパウダ中のSiO2 濃度を15重量%以
下とすると、CO気泡の発生の原因であるMnの酸化を
効果的に抑制できることが判った。本発明は、以上の基
礎検討に基づきなされた。
よびFを含有し、SiO2 の濃度が15重量%以下で、
T.CaOのSiO2 に対する重量濃度比が4.0以上
であることを特徴とするモールドパウダである。好まし
くは、SiO2 の濃度が5重量%以下である。また、前
記T.CaOのAl2 O3 に対する重量濃度比は、0.
7以上、2.0以下であることが望ましい。
ために配合し、同時に配合するAl2 O3 との重量濃度
比を調整することにより溶融スラグの融点および粘度を
調整する。CaOおよびAl2 O3 は、純粋な状態では
融点が2000℃以上と非常に高いが、両者を配合し、
CaOのAl2 O3 に対する重量濃度比を1.0程度と
すると融点は極小となる。また、CaO濃度が高くなる
と粘度は低下し、Al2 O3 濃度が高くなると粘度は増
大する。SiO2 は、可及的小とし、性質上ゼロとして
もよい。SiO2 の濃度が15重量%より高く、T.C
aOのSiO2 に対する重量濃度比が4.0未満では、
Mnの酸化抑制効果が不充分となる。
の濃度が5重量%以上、30重量%以下である。前述し
たように、F濃度の増加は融点の低下に有効であるが、
5重量%未満では、融点の低下が少なく、30重量%を
越すと、融点の増加や浸漬ノズルが溶損し易くなる、等
の問題がある。
のNa2 OおよびK2 Oの濃度が総量で1.0重量%未
満とした理由を説明する。Na2 OおよびK2 Oがモー
ルドパウダ中に存在すると、SiO2 の作用と同様に、
それらが溶鋼中のMnの酸化剤となり、CO気泡が発生
する。したがって、Na2 OおよびK2 Oの濃度を下げ
ることがCO気泡の発生の抑制に効果的である。後述す
る実施例に示すように、Na2 OおよびK2 Oの濃度が
総量で1.0重量%以上では、CO気泡の発生の抑制効
果が減少する。
4.0以上で、SiO2 の濃度が15重量%以下で、F
の濃度が5重量%以上、30重量%以下で、Na2 Oお
よびK2 Oの濃度が総量で1.0重量%未満であること
が本発明にかかるモールドパウダの特徴であるが、その
他の成分は従来のままでよく、その配合割合は鋳造条件
によって決定される。例えば、下記の組成例が例示され
る。
2 (重量%):0〜15、Al2 O3 (重量%):20
〜35、F(重量%):5〜30、MgO(重量%):
0.1〜10.0、Na2 O(重量%):0.1〜1.
0、C(重量%):0.5〜5.0。
際に使用する原料は、一般に使用されているもので構わ
ない。すなわち、CaOの原料としては生石灰や石灰
石、Al2 O3 の原料としてはアルミナ、Fの原料とし
ては蛍石、SiO2 の原料としては珪砂や珪藻土が一般
的であり、これらを用いるのが良い。
成分の炭素鋼を2.0m/minの鋳造速度で連続鋳造
し、断面直径が225mmの丸棒鋳片を製造した。
ルドパウダを作成して鋳造をおこない、鋳片表面に発生
する気泡性欠陥を調査した。なお、モールドパウダの組
成は、T.CaO/Al2 O3 が1.1〜1.7、Si
O2 濃度が1.2〜37.6重量%、T.CaO/Si
O2 が0.9〜34.8の範囲で調整し、さらに、F濃
度、Na2 O濃度を変化させた。
パウダ消費量(以下、パウダ消費量という)および鋳片
表面の気泡性欠陥発生指数を示す。ここで、パウダ消費
量は、鋳型出口端で鋳片に付着した残存パウダ量を測定
し、鋳片単位面積当たりのパウダ消費量を求めた。ま
た、鋳片表面の気泡性欠陥発生指数は、鋳片単位表面積
当たりの気泡性欠陥個数で表した。
は、気泡性欠陥の発生が少なく鋳片表面品質は良好で、
融点も1162〜1252℃の間にあり、鋳型内壁と鋳
片間の潤滑性も良好であり、また、パウダ消費量も通常
と変わらず問題はなかった。特に、T.CaO/SiO
2 が高くNa2 Oの濃度を1.0重量%未満に低減した
本発明例1と2は、気泡性欠陥の発生が極めて少なく良
好であった。
の発生が多く、鋳片表面品質が不良であり、比較例
(B)4と5は、融点が1300℃以上と高温で、潤滑
性の点から鋳造不可となった。
され、表面品質の良好な鋳片が得られる。さらに、高速
連続鋳造において、鋳型内壁と凝固シェルとの間の高潤
滑性が維持される。
る等液相線図である。
中のMnO濃度増加量との関係を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 CaO、Al2 O3 およびFを含有し、
SiO2 の濃度が15重量%以下で、Na 2 OおよびK
2 Oの濃度が総量で1.0重量%未満で、下記に示す
T.CaOのSiO2 に対する重量濃度比が4.0以上
であることを特徴とする鋼の連続鋳造用モールドパウ
ダ。 T.CaO=CaO+CaF2 ×(56/78) - 【請求項2】 前記Fの濃度が5重量%以上、30重量
%以下であることを特徴とする請求項1に記載の鋼の連
続鋳造用モールドパウダ。
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