JP3462334B2 - 投写型表示装置 - Google Patents

投写型表示装置

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JP3462334B2
JP3462334B2 JP03844696A JP3844696A JP3462334B2 JP 3462334 B2 JP3462334 B2 JP 3462334B2 JP 03844696 A JP03844696 A JP 03844696A JP 3844696 A JP3844696 A JP 3844696A JP 3462334 B2 JP3462334 B2 JP 3462334B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶パネルをライ
トバルブとして用いて、ここを通過する光束を映像信号
に対応させて変調し、その光束を投写レンズを介してス
クリーン上に拡大投写するように構成した投写型表示装
置に関するものである。さらに詳しくは、液晶パネルを
通過した光が、投写レンズ又は光合成プリズム等により
反射して再び液晶パネルに入射することを防止するため
の投写型表示装置の機構に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、光源からの光束を液晶パネルを通
して映像情報に対応させて変調し、そして投写光学系を
介して変調した光束をスクリーン上に拡大投写する投写
型表示装置の開発実用化がすすめられている。ところ
が、図8に示すように、偏光板6と空気との界面で反射
した光束が液晶パネルに戻ってくることに起因する素子
の誤動作等の問題点が残されており、この問題点を解決
することが早急に求められている。特開平5−2100
97号公報にはこの問題を解決するために、λ/4板を
液晶パネルと投写光学系との間に配置した投写型表示装
置が開示されている。図9(a)には、従来の1枚の液
晶パネルを用いた投写型表示装置の光学系の構成を示し
てある。図9においては、光源ランプ1から出射した光
束は、入射側偏光板4、液晶パネル5及び出射側偏光板
6を有する変調光学系3に向けて出射する。変調光学系
3では、映像信号に基づいて入射した光束を液晶パネル
5で変調し、出射側偏光板6を通過することによって直
線偏光となった光束を、その遅軸の方向が出射側偏光板
の透過軸の方向と45°ずれたλ/4板7に向けて出射
する。そしてλ/4板7を通過した光束は投写光学系2
によって、スクリーン9に拡大投写される。一方、λ/
4板7と空気との界面によって反射した光束は再びλ/
4板7を逆方向から通過することにより、その偏光方向
が出射側偏光板6の透過軸方向と90°ずれた直線偏光
となる。そのため、投写光学系2によって反射した光束
は、出射側偏光板6に吸収されるので液晶パネルには戻
らない。
【0003】図9(b)には、従来の3枚の液晶パネル
を用いた投写型表示装置の光学系の構成を示してある。
図9(b)においては、光源ランプ1から出射した光束
は、ダイクロイックミラー101、102を含む色分離
光学系10を介して、赤、緑及び青の各色光束に分離さ
れる。そして、色分離光学系10によって分離された各
色光束は、ミラー111、112及び113に導かれ
て、赤、緑及び青の各色に対応する3枚の液晶パネル5
R、5G、5Bを備えた変調光学系3R、3G及び3B
に入射する。各変調光学系3R、3G及び3Bでは、映
像信号に基づいて入射した各色光束を各液晶パネル5
R、5G及び5Bによって変調し、出射側偏光板4R、
4G及び4Bを通過することによって直線偏光となった
光束を、その遅軸の方向が出射側偏光板の透過軸の方向
と45°ずれたλ/4板7R、7G及び7Bに向けて出
射する。そしてλ/4板7R、7G及び7Bを通過した
光束を、光合成系11によって合成し、その後投写光学
系8によって、スクリーン9に拡大投写される。一方、
λ/4板7と空気との界面によって反射した光束は再び
λ/4板7R、7G及び7Bを逆方向から通過すること
により、その偏光方向が出射側偏光板6R、6G及び6
Bの透過軸方向と90°ずれた直線偏光となる。そのた
め、投写光学系8によって反射した光束は、出射側偏光
板6R、6G及び6Bに吸収されるので液晶パネルには
戻らない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の投写型
表示装置においては、変調光学系3又は3R、3G及び
3Bを通過する光束、つまりはスクリーン9に拡大投写
する光束はλ/4板7又は7R、7G及び7Bを通過す
るため円偏光となる。しかしながら、スクリーンに投写
する光束又は、光合成系に入射する光は直線偏光である
ことが望ましい。
【0005】その理由を以下に述べる。
【0006】まず、第1に光合成系に入射する光束が円
偏光である場合を考える。光合成系には一般的に波長選
択性のあるダイクロイックプリズムが用いられるが、こ
のダイクロイックプリズムをS偏光成分又はP偏光成分
のどちらにも同等の波長選択性をもたせるように作るこ
とは困難であるため、通常どちらか一方の偏光成分に最
適化してある。そのため、例えば上記した従来例におい
て光合成系をS偏光成分に対して最適化している場合、
変調光学系3Rから出射した光束のうちS偏光成分につ
いては光束は光合成系11の赤反射膜によって反射して
投写光学系に導かれるが、P偏光成分についてはその一
部が赤反射膜を透過してしまう。その結果、変調光学系
3Rと光合成系11を介して相対向する位置に配置され
た変調光学系3Bに赤の光束が入射してしまう。もちろ
ん、他の変調光学系3G及び3Rについても同様のこと
がいえる。
【0007】第2に投写光学系に入射する光束すなわち
スクリーンに投写する光束が円偏光である場合を考え
る。投写画像の質の低下の原因の一つとして、スクリー
ンによって反射した照明等の光が使用者の目に入るとい
ったことがある。一般的に言って、部屋の照明は天井に
ついていることが多いため、スクリーンによって反射す
る光は、P偏光方向の反射光とS偏光方向の反射光とを
比較するとP偏光方向の反射光の方が目立つという傾向
がある。そのため、スクリーンには、P偏光方向の光を
吸収する機能を有する偏光スクリーンを用いることが多
い。ところが投写画像が円偏光であると、照明等の光の
P偏光成分ばかりでなく投写画像のP偏光成分をも吸収
してしまうため投写画像の光量が半減し、明るい表示が
得られなくなってしまうという問題を残すこととなる。
したがって、スクリーンに投写する光束又は光合成系に
入射する光は直線偏光、好ましくはS偏光の直線偏光で
あることが望ましいのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した問題点
つまり偏光板又はλ/4板と空気との界面による反射光
束の液晶パネルへの入射を防ぐとともに、スクリーンに
投写する光束又は光合成系に入射する光を直線偏光とし
て、表示特性の良好な投写型表示装置を実現することを
目的とする。
【0009】本発明の投写型表示装置は、光源と、前記
光源から出射した光束をP偏光光束およびS偏光光束に
分離する偏光分離光学系と、前記P偏光光束および前記
S偏光光束のうちどちらか一方の光束を3原色の各色光
束に分離する色分離光学系と、出射面に偏光板及び位相
差板を光学的に密着させ、前記P偏光光束および前記S
偏光光束のうち他方の光束を輝度信号に基づいて変調
し、前記位相差板を通して直線偏光を円偏光の光束で出
射する輝度用液晶パネルと、出射面に偏光板及び位相差
板を光学的に密着させ、前記色分離光学系によって分離
した各光束のそれぞれを各色信号に基づいて変調し、前
記位相差板を通して直線偏光を円偏光の光束で出射する
たカラー用液晶パネルと、前記カラー用液晶パネルの各
色の光束を合成するための色合成光学系と、前記輝度用
液晶パネルからの光束と前記色合成光学系からの光束を
合成する偏光合成系と、前記輝度用液晶パネルと前記偏
光合成系との間に、円偏光の光束を再び直線偏光とする
位相差板と、前記カラー用液晶パネルと前記偏光合成系
との間に、円偏光の光束を再び直線偏光とする位相差板
と、前記偏光合成系により合成した変調光束をスクリー
ンに拡大投写する投写光学系とを有することを特徴とす
る。
【0010】この構成によれば、偏光分離光学系によ
り、光源から出射した光束をP偏光光束とS偏光光束に
分離され、一方の偏光光束は色分離光学系を介してカラ
ー用液晶パネルに入射し、他方の偏光光束は輝度用液晶
パネルに入射する。そして、偏光合成系とカラー用液晶
パネル、偏光合成系と輝度用液晶パネルにおいて、各々
の液晶パネルの位相差板と他の位相差板で、直線偏光を
円偏光に変換し、再び直線偏光に戻して、スクリーンに
投写するものである。
【0011】また、前記カラー用液晶パネルにS偏向の
光束が入射されるとよい。
【0012】また、前記輝度用液晶パネルにP偏光の光
束が入射されるとよい。
【0013】また、前記カラー液晶用パネルの青色の液
晶用パネル系の位相差板は、青色光束に対して最適化さ
れた位相差板であるとよい。
【0014】
【0015】
【0016】
【発明の実施の形態】(基本構成) まず、基本構成について説明する。
【0017】投写型表示装置の基本構成は、光源と、出
射面に偏光板を有する液晶パネルを用いて、光源から出
射した光束を映像信号に基づいて変調するための変調光
学系と、変調光学系を通過した直線偏光の光束を円偏光
にするために偏光板の出射側に設けた第1の位相差板
と、第1の位相差板を通過した円偏光の光束を再び直線
偏光とするために第1の位相差板の出射側に設けた第2
の位相差板と、第2の位相差板を通過した直線偏光の光
束をスクリーンに拡大投写するための投写光学系とから
なる。
【0018】また、第1及び第2の位相差板はλ/4板
であり、第1の位相差板の遅軸の方向が偏光板の透過軸
の方向と45°ずれた状態となるように配置されている
ことが好ましい。
【0019】また、第2の位相差板はその遅軸の方向が
第1の位相差板の遅軸の方向と90°ずれた状態となる
ように配置されている。
【0020】さらには、変調光学系、第1の位相差板、
第2の位相差板はスクリーンに投射する光束の偏光がS
偏光となるように配置されていることが好ましい。
【0021】次に、図1及び図2(a)及び(b)を用
いて上記基本構成の作用を詳しく説明する。光源1から
出射してその後液晶パネルによって変調し、透過軸の方
向が垂直方向である偏光板6を通過した光束181は直
線偏光となり、その偏光方向131は垂直方向となって
いる。この直線偏光の光束は、その遅軸141が偏光板
の透過軸の方向と45°ずれた状態となるように配置さ
れているλ/4板である第1の位相差板7を通過するこ
とにより、直線偏光の光束の成分のうち第1の位相差板
7の遅軸141方向の成分が、第1の位相差板7の速軸
142方向の成分に比べ1/4波長分位相が遅れる。そ
のため、第1の位相差板7を出射した光束132は円偏
光となる。
【0022】図2(a)にこの期間における各成分の位
相の変化を示す。図中縦軸は光束の振幅を示し、横軸は
時間変化を示す。実線で示した13aは光束の第1の位
相差板7の遅軸141方向成分の位相、波線で示した1
3bは光束の第1の位相差板7の速軸142方向成分の
位相、150は光束が偏光板6と第1の位相差板7との
間を偏光板6の側から通過する期間、151は光束が第
1の位相差板を偏光板6の側から通過するまでの期間、
152は光束が第1の位相差板7と第2の位相差板8と
の間を第1の位相差板7の側から通過する期間を示す。
尚、遅軸とは、位相差板において高い屈折率をもってい
る方向であり、速軸とは遅軸と直交する方向であって低
い屈折率を持っている方向のことである。
【0023】次に、第1の位相差板7を通過し円偏光と
なった光束132は、その遅軸143と第1の位相差板
7との遅軸141とが90°ずれるような状態となるよ
うに配置しているλ/4板である第2の位相差板7を通
過することにより、円偏光の光束132の成分のうち第
2の位相差板8の遅軸143方向の成分すなわち第1の
位相差板の速軸142方向の成分13bが、第2の位相
差板8の速軸144方向の成分すなわち第1の位相差板
の遅軸141方向の成分13aに比べ1/4波長分位相
が遅れる。そのため、第2の位相差板7を出射した光束
133は偏光板を通過した直線偏光の光束131と同方
向の直線偏光となる。
【0024】図2(b)にこの期間における各成分の位
相の変化を示す。図中縦軸は光束の振幅を示し、横軸は
時間変化を示す。実線で示した13aは光束の第2の位
相差板7の速軸144方向成分の位相、波線で示した1
3bは光束の第2の位相差板8の遅軸143方向成分の
位相、152は光束が第1の位相差板7と第2の位相差
板8との間を第1の位相差板7の側から通過する期間、
153は光束が第2の位相差板8を第1の位相差板7の
側から通過するまでの期間、154は光束が第2の位相
差板8と投写光学系2との間を第2の位相差板の側から
通過する期間を示す。
【0025】次に、第1の位相差板7の出射面及び第2
の位相差板8の入射面によって反射した光について考え
る。第1の位相差板7の出射面及び第2の位相差板8の
入射面で反射した光束は第1の位相差板7を反対方向か
ら通過することによって、偏光板の透過軸と直交する直
線偏光となって、偏光板6に吸収されるので液晶パネル
5にはもどらない。
【0026】第1及び第2の位相差板はλ/4板に限っ
たものではなく、光束の成分のうちどちらか一方を相対
的にずらすものであれば反射光の液晶パネルへの入射を
減じることができる。また、偏光板6と第1の位相差板
を光学的に密着した構成とすれば偏光板6と空気との界
面がなくなるので、液晶パネルへの反射光をなくすこと
ができる。
【0027】上記基本構成によれば投写光学系等により
反射した光束が液晶パネルに入射することを防止できる
とともに、投写光学系からスクリーンに向けて投写する
光束が直線偏光の光束となるので、スクリーンを偏光ス
クリーンとすれば、スクリーンによって反射する照明等
の光を半減し、且つ投写画像を効率よく反射することが
可能となる。さらには投写光学系からスクリーンに向け
て投写する光束をS偏光の光束とすれば、P偏光の光を
吸収する偏光スクリーンを用いることにより、天井等ス
クリーンの上部に設けた照明の光の偏光成分のうちP偏
光成分の光を吸収することができるので最も効率よく照
明等の反射光を削減できる。したがって、素子の誤動作
を防止するとともに高いコントラストを有する色再現性
の優れた液晶表示素子を実現することができる。
【0028】また、投写型表示装置の他の基本構成とし
ては、赤、緑及び青の3原色の光を含む光束を出射する
光源と、光源から出射した光束を3原色の各色の光束に
分離する色分離光学系と、出射面に偏光板を有する液晶
パネルを用いて、分離した各光束のそれぞれを映像信号
に基づいて変調するための変調光学系と、変調光学系を
通過した直線偏光の光束を円偏光にするために偏光板の
出射側に設けた第1の位相差板と、第1の位相差板を通
過した円偏光の光束を再び直線偏光とするために第1の
位相差板の出射側に設けた第2の位相差板と、第2の位
相差板を通過した各色の光束を合成するための合成光学
系と、色合成光学系により合成した光束をスクリーンに
拡大投写するための投写光学系とからなる。
【0029】第1の位相差板は、3原色の色光を変調す
るためのそれぞれの変調光学系が有するそれぞれの偏光
板の出射側に配置されており、第2の位相差板は、3原
色の色光を変調するためのそれぞれの変調光学系が有す
るそれぞれの偏光板の出射側に配置されている第1の位
相差板の出射側に配置されていることが好ましい。
【0030】また、第1の位相差板は、青の光束を変調
するための変調光学系が有する偏光板の出射側のみに配
置されており、第2の位相差板は、青の光束を変調する
ための変調光学系が有する偏光板の出射側に配置されて
いる第1の位相差板の出射側のみに配置されていてもよ
い。
【0031】また、第1および第2の位相差板は、それ
ぞれの変調光学系に入射する色光毎に最適化されている
ことが好ましい。
【0032】また、第1および第2の位相差板は、青色
の光束に対して最適化されていてもよい。
【0033】また、合成光学系はダイクロイックプリズ
ムでもよい。
【0034】図4を用いて上記基本構成による作用を説
明する。
【0035】光源1から出射した光束は、色分離光学系
10によって3原色の赤、緑及び青の各色の色光に分離
される。そして分離した各光束は各々の色光に対応して
いる各変調光学系3R、3G、及び3Bに入射し液晶パ
ネル5R、5G及び5Bで映像信号に基づいて変調され
る。そして偏光板6R、6G及び6Bを通過した光束は
直線偏光となって出射する。第1の位相差板7R、7G
及び7Bに入射しそこを通過した光束は第1の位相差板
7R、7G及び7Bの作用によって円偏光となって第2
の位相差板8R、8G及び8Bに向かって出射する。第
2の位相差板8R、8G及び8Gに入射しそこを通過し
た光は第2の位相差板8R、8G及び8Gの作用によっ
て再び直線偏光となって光合成系11に向かって出射す
る。そして光合成系11に入射する。光合成系11には
ダイクロイックプリズムが用いられることが多いが、一
般的にダイクロイックプリズムをS偏光及びP偏光の両
方の波長成分にたいして波長選択性を持たせように作る
ことは難しい。そのため、通常は、ダイクロイックプリ
ズムはS偏光又はP偏光のどちらか一方の光束に対して
適切な波長選択性を持つように作成されている。そのた
め、例えば青色反射膜11Bで青の色光が透過してしま
うのを防止するためには、光合成系11に入射する光束
を直線偏光とし、そしてその直線偏光と同方向の光束に
対して適切な波長選択性を持つようなダイクロイックプ
リズム11とする。
【0036】一方、第1の位相差板7R、7G及び7B
の出射面並びに第2の位相差板8R、8G及び8Bの出
射面と空気との界面で反射した反射光束は、第1の位相
差板7R、7G及び7Bの出射方向と反対の向きから通
過し、偏光板の偏光軸と直交する直線偏光になる。した
がって、この光束は偏光板において吸収されるので液晶
パネルには至らない。ここで、第1及び第2の位相差板
はλ/4板とし、第1の位相差板7R、7G及び7Bの
遅軸の方向が前記偏光板の透過軸の方向と45°ずれた
状態となるように配置していれば、先に図1及び図2を
用いて説明したものと同様の作用により、光合成系11
に入射する光及び光合成系11の光入射面で反射して偏
光板6R、6G及び6Bに戻ってきた光束は、完全な直
線偏光となる。したがって、素子の誤動作を防止すると
ともに高いコントラストを有する色再現性の優れた液晶
表示素子を実現することができる。
【0037】また、前記第1及び第2の位相差板の遅軸
の方向は90度ずれた状態となるように配置すれば、光
合成手段11に入射する光束の偏光方向と偏光板6R、
6G及び6Bの透過軸とが同じ方向となる。
【0038】また、変調光学系、第1の位相差板および
第2の位相差板を合成光学系に入射する各色の光束の偏
光方向がそれぞれ等しくなるよう配置すると好ましい。
なぜならばこのようし、その偏光方向に対して適切な波
長選択性を持つようなダイクロイックプリズムを用いる
ことにより、光束の偏光方向に起因するダイクロイック
プリズムの波長選択性の低下を防止することができる。
そして、その偏光方向はS偏光方向であることが好まし
い。その理由は、一般的にダイクロイックプリズムは、
S偏光方向の光束に対して波長選択性を適切にするほう
が、P偏光方向の光束に対して波長選択性を適切にする
よりもたやすく且つ安価にできるからである。
【0039】また、第1の位相差板及び第2の位相差板
はそれぞれの変調光学系に対応して配置されていること
が好ましく、さらには第1および第2の位相差板はそれ
ぞれの変調光学系に入射する色光の光束毎に最適化され
ていることが好ましい。赤、緑及び青の色光はそれぞれ
波長が異なるためそれぞれの波長に応じて、使用する第
1及び第2の位相差板も異なってくる。第1及び第2の
位相差板をそれぞれの色光に応じて最適なものを選択す
ることによって、液晶パネルに入射する反射光を最小と
することができる。
【0040】また、第1および第2の位相差板は、青色
の光束に対して最適化されていてもよい。それは、反射
光束のうち最も光量が多いのはその波長が短波長側にあ
る青色の光束であり、また、薄膜トランジスタを形成す
るポリシリコンは青の光を最も吸収しやすい。そのた
め、青の光束に対して最適化した第1及び第2の位相差
板を用いれば、液晶パネルに入射する反射光を効果的に
防止でき、且つトランジスタの誤動作を効果的に防止す
ることができる。さらには、この場合においては1種類
の位相差板を用意すれば足りるのでより安価な装置が実
現する。
【0041】また、第1及び第2の位相差板は、青の光
束を変調するための前記変調光学系が有する前記偏光板
の出射側のみに配置されていてもよい。その理由は上述
したように、反射光束のうち最も光量が多いのはその波
長が短波長側にある青色の光束であるからである。
【0042】また、第1の位相差板は偏光板に、第2の
位相差板は光合成手段に光学的に密着して配置するのが
好ましい。なぜならば、こうすることにより光合成手段
と空気との界面及び偏光板と空気との界面をなくすこと
ができるため、液晶パネル5への反射光をなくすことが
できるからである。
【0043】また、本発明の他の基本構成は、光源と、
光源から出射した白色光束をP偏光光束およびS偏光光
束に分離する偏光分離光学系と、P偏光光束およびS偏
光光束のうちどちらか一方の光束を3原色の各色光束に
分離する色分離光学系と、出射面に偏光板を有する輝度
用液晶パネルを用いて、P偏光光束およびS偏光光束の
うち他方の光束を輝度信号に基づいて変調する輝度変調
光学系と、出射面に偏光板を有するカラー用液晶パネル
を用いて、色分離光学系によって分離した各光束のそれ
ぞれを各色信号に基づいて変調する色変調光学系と、偏
光板を通過した直線偏光の光束を円偏光にするために偏
光板の出射側に設けた第1の位相差板と、第1の位相差
板を通過した円偏光の光束を再び直線偏光とするために
第1の位相差板の出射側に設けた第2の位相差板と、第
2の位相差板を通過した各色の光束を合成するための色
合成光学系と、色合成光学系により合成した変調光束を
スクリーンに拡大投写する投写光学系とからなる。
【0044】図5を用いて上記基本構成による作用を説
明する。
【0045】光源1から出射した光束は偏光ビームスプ
リッタである偏光分離光学系161によってS偏光成分
とP偏光成分とに分離する。そのうちP偏光成分の光束
については、ミラー174に導かれて輝度変調光学系3
1に入射し、輝度用液晶パネル51で輝度信号に基づい
て変調される。そして偏光板61、第1の位相差板71
及び第2の位相差板81を順次通過し、図1を用いて上
記した作用によって直線偏光となって偏光ビームスプリ
ッタである偏光分離光学系162に向かって出射する。
【0046】一方、S偏光成分の光束は色分離光学系1
0によって各色の光束に分離し、反射ミラー171、1
72及び173によって各々の色光に対応している各変
調光学系3R、3G、及び3Bに入射しカラー用液晶パ
ネル5R、5G及び5Bで映像信号に基づいて変調され
る。そして偏光板6R、6G及び6Bを、第1の位相差
板7R、7G及び7B及び第2の位相差板8R、8G及
び8Bを順次通過し、図1を用いて述べた作用と同様の
作用によって直線偏光となって偏光ビームスプリッタ1
62に向かって出射する。
【0047】偏光ビームスプリッタ162に入射した光
束のP偏光成分及びS偏光成分を合成して投写光学系2
向かって出射する。第1の位相差板7R、7G、7B及
び71の出射面並びに第2の位相差板8R、8G、8B
及び81と空気との界面によって反射した光束は第1の
位相差板7R、7G、7B及び71並びに第2の位相差
板8R、8G、8B及び81によって、偏光板6R、6
G、6B及び61の透過軸と直交した偏光方向の直線偏
光となって偏光板6R、6G、6B及び61に吸収さ
れ、カラー用液晶パネル5R、5G及び5B又は輝度用
液晶パネル31には入射しない。
【0048】以下、各実施例について述べる。
【0049】(実施例1) 図3は単板式の投写型表示装置の光学系を示す図であ
る。
【0050】メタルハライドランプである光源1から出
射する光の光路上には変調光学系3が配置してある。変
調光学系3は偏光板4と偏光板6との間にポリシリコン
TFT素子が形成された液晶パネル5を配置した構成と
なっており、偏光板6はその透過軸の方向がS偏光方向
となるように配置している。偏光板6の出射側には第1
の位相差板7を偏光板6と光学的に密着するように配置
しており、第1の位相差板の出射側には第2の位相差板
8を配置している。第1の位相差7及び第2の位相差板
8にはλ/4板である一軸延伸フィルムを用いている。
そして第1の位相差板7の遅軸の方向は偏光板6の透過
軸の方向と45°ずれた状態となるように配置してお
り、第2の位相差板8の遅軸の方向は、第1の位相差板
7の遅軸の方向と90°ずれた状態となるように配置し
ている。第2の位相差板8の出射側には投写光学系を配
置している。
【0051】(実施例2) 図4は3板式の投写型表示装置の光学系を示す図であ
る。
【0052】光源1から出射する光の光路上には赤の光
を反射し緑及び青の光を透過するダイクロイックミラー
である色分離光学系101を配置している。色分離緑及
び青の光の光路上には緑の光を反射し青の光を透過する
ダイクロイックミラーである色分離光学系102を配置
している。青の光路上及び赤の光路上にはミラー17
1、172及び173を、色分離光学系10によって分
離される3原色の赤、緑及び青の各色の色光を変調光学
系3R、3G、及び3Bに導くように配置している。各
変調光学系3R、3G及び3Bはそれぞれ偏光板4R、
4G及び4GとポリシリコンTFT素子が形成された液
晶パネル5R、5G及び5Bと偏光板6R、6G及び6
Gを有している。偏光板6R、6G及び6Bはその透過
軸の方向がS偏光方向となるように配置している。各変
調光学系3R、3G及び3Bのそれぞれの光が出射する
側には、偏光板6R、6G及び6Bに光学的に密着する
ように第1の位相差板7R、7G及び7Bを配置してい
る。第1の位相差板はλ/4板である一軸延伸フィルム
であり、第1の位相差板の遅軸の方向が前記偏光板の透
過軸の方向と45°ずれた状態となるように配置してい
る。第1の位相差板7R、7G及び7Bの出射側にそれ
ぞれ第2の位相差板8R、8G及び8Bを配置してい
る。第2の位相差板8R、8G、8Bの第一の位相差板
と同様にλ/4板である一軸延伸フィルムであり、その
遅軸の方向は、第1の位相差板遅軸の方向と90度ずれ
た状態となるように配置している。第2の位相差板8
R、8G、8Gの出射側にはダイクロイックプリズムで
ある光合成系11を配置しており、その出射側には投写
光学系2を配置してある。
【0053】(実施例3) 図5及び図6は4板式の投写型表示装置の光学系を示す
図である。
【0054】図5を用いて本実施例の構成を説明する。
光源1から出射する光束の光路上には、光束をS偏光成
分とP偏光成分とに分離すために設けた偏光ビームスプ
リッタである偏光分離光学系161を配置している。P
偏光成分の光束の光路上には、P偏光成分の光束を変調
光学系3Aに導くためのミラー174を配置している。
変調光学系31は、偏光板41、輝度用ポリシリコンT
FT素子が形成された液晶パネル51及び偏光板61を
有している。輝度変調光学系31の光が出射する側に
は、偏光板61に光学的に密着するように第1の位相差
板71を配置している。第1の位相差板はλ/4板であ
る一軸延伸フィルムであり、第1の位相差板71の遅軸
の方向が前記偏光板の透過軸の方向と45°ずれた状態
となるように配置している。第1の位相差板71の出射
側には第2の位相差板81を配置している。第2の位相
差板71も第一の位相差板71と同様にλ/4板である
一軸延伸フィルムであり、その遅軸の方向は、第1の位
相差板71の遅軸の方向と90度ずれた状態となるよう
に配置している。第2の位相差板81の出射側には偏光
ビームスプリッタである偏光合成系162を配置してあ
る。一方、S偏光成分の光路上には赤の光を反射し緑及
び青の光を透過するダイクロイックミラーである色分離
光学系101を配置している。色分離緑及び青の光の光
路上には緑の光を反射し青の光を透過するダイクロイッ
クミラーである色分離光学系102を配置している。青
の光路上及び赤の光路上にはミラー171、172及び
173を、色分離光学系10によって分離される3原色
の赤、緑及び青の各色の色光を色変調光学系3R、3
G、及び3Bに導くように配置している。各色変調光学
系3R、3G及び3Bはそれぞれ偏光板4R、4G及び
4GとポリシリコンTFT素子が形成された液晶パネル
5R、5G及び5Bと偏光板6R、6G及び6Gを有し
ている。偏光板6R、6G及び6Bはその透過軸の方向
がS偏光方向となるように配置している。各色変調光学
系3R、3G及び3Bのそれぞれの光が出射する側に
は、偏光板6R、6G及び6Bに光学的に密着するよう
に第1の位相差板7R、7G及び7Bを配置している。
第1の位相差板はλ/4板である一軸延伸フィルムであ
り、第1の位相差板の遅軸の方向が前記偏光板の透過軸
の方向と45°ずれた状態となるように配置している。
第1の位相差板7R、7G及び7Bの出射側にそれぞれ
第2の位相差板7R、7G及び7Bを配置している。第
2の位相差板7R、7G、7Bの第一の位相差板71と
同様にλ/4板である一軸延伸フィルムであり、その遅
軸の方向は、第1の位相差板7R、7G及び7Bの遅軸
の方向と90度ずれた状態となるように配置している。
第2の位相差板7R、7G、7Bの出射側には偏光ビー
ムスプリッタである偏光合成系162を配置している。
そして、偏光合成系162の出射側には投写光学系2を
配置している。
【0055】(実施例4) 図7は2板式の投写型表示装置を示す図である。
【0056】光源1から出射する光束の光路上には、光
束をS偏光成分とP偏光成分とに分離するために設けた
偏光ビームスプリッタである偏光分離光学系161を配
置している。P偏光成分の光束の光路上には、P偏光成
分の光束を変調光学系31に導くためのミラー176を
配置している。変調光学系31は、偏光板41、ポリシ
リコンTFT素子が形成された輝度用液晶パネル51及
び偏光板61を有している。輝度変調光学系31の光が
出射する側には、偏光板61に光学的に密着するように
第1の位相差板71を配置している。第1の位相差板は
λ/4板である一軸延伸フィルムであり、第1の位相差
板の遅軸の方向が前記偏光板の透過軸の方向と45°ず
れた状態となるように配置している。第1の位相差板7
1の出射側には第2の位相差板81を配置している。第
2の位相差板81も第一の位相差板71と同様にλ/4
板である一軸延伸フィルムであり、その遅軸の方向は、
第1の位相差板71の遅軸の方向と90度ずれた状態と
なるように配置している。第2の位相差板81の出射側
には偏光ビームスプリッタである偏光合成系162を配
置してある。一方、S偏光成分の光路上にはミラー17
5を、色変調光学系3に導くように配置している。色変
調光学系32は偏光板42とポリシリコンTFT素子が
形成されたカラー用液晶パネル52と偏光板62を有し
ている。そして偏光板62の透過軸の方向がS偏光方向
となるように配置している。色変調光学系32の光が出
射する側には、偏光板62に光学的に密着するように第
1の位相差板72を配置している。第1の位相差板はλ
/4板である一軸延伸フィルムであり、第1の位相差板
の遅軸の方向が前記偏光板の透過軸の方向と45°ずれ
た状態となるように配置している。第1の位相差板72
の出射側に第2の位相差板82を配置している。第2の
位相差板82の第一も位相差板72と同様にλ/4板で
ある一軸延伸フィルムであり、その遅軸の方向は、第1
の位相差板72の遅軸の方向と90度ずれた状態となる
ように配置している。第2の位相差板82の出射側には
偏光ビームスプリッタである偏光合成系162が配置し
ている。そして、偏光合成系162の出射側には投写光
学系2を配置している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の投写型表示装置による偏光の
変化を示す図。
【図2】 (a)及び(b)は、光束の各成分の位相の
変化を示す図。
【図3】 本発明を単板式の投写型表示装置に用いた例
を示す図。
【図4】 本発明を3板式の投写型表示装置に用いた例
を示す図。
【図5】 本発明を4板式の投写型表示装置に用いた例
を示す図。
【図6】 本発明を4板式の投写型表示装置に用いた例
を示す図。
【図7】 本発明を2板式の投写型表示装置に用いた例
を示す図。
【図8】 従来の投写型表示装置における反射光を説明
する図。
【図9】 (a)は従来の単板式の投写型表示装置の構
成を示す図であり、(b)λは従来の3板式の投写型表
示装置の構成を示す図。
【符号の説明】
1・・・光源 2・・・投写光学系 3、3R、3G、3B・・・変調光学系 4、4R、4G、4B・・・入射側偏光板 5、5R、5G、5B・・・液晶パネル 6、6R、6G、6B・・・出射側偏光板 7、7R、7G、7B、71、72・・・λ/4板(第
1の位相差板) 8、8R、8G、8B、81、82・・・λ/4板(第
2の位相差板) 9・・・スクリーン 10・・・色分離光学系 101、102・・・ダイクロイックミラー 111、112、113・・・ミラー
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−110055(JP,A) 特開 平6−331983(JP,A) 特開 平3−188420(JP,A) 特開 平3−296030(JP,A) 特開 平4−44490(JP,A) 特開 平6−194620(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/13 G02F 1/1335

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源と、 前記光源から出射した光束をP偏光光束およびS偏光光
    束に分離する偏光分離光学系と、 前記P偏光光束および前記S偏光光束のうちどちらか一
    方の光束を3原色の各色光束に分離する色分離光学系
    と、 出射面に偏光板及び位相差板を光学的に密着させ、前記
    P偏光光束および前記S偏光光束のうち他方の光束を輝
    度信号に基づいて変調し、前記位相差板を通して直線偏
    光を円偏光の光束で出射する輝度用液晶パネルと、 出射面に偏光板及び位相差板を光学的に密着させ、前記
    色分離光学系によって分離した各光束のそれぞれを各色
    信号に基づいて変調し、前記位相差板を通して直線偏光
    を円偏光の光束で出射するたカラー用液晶パネルと、 前記カラー用液晶パネルの各色の光束を合成するための
    色合成光学系と、 前記輝度用液晶パネルからの光束と前記色合成光学系か
    らの光束を合成する偏光合成系と、 前記輝度用液晶パネルと前記偏光合成系との間に、円偏
    光の光束を再び直線偏光とする位相差板と、 前記カラー用液晶パネルと前記偏光合成系との間に、円
    偏光の光束を再び直線偏光とする位相差板と、 前記偏光合成系により合成した変調光束をスクリーンに
    拡大投写する投写光学系とを有することを特徴とする投
    写型表示装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の投写型表示装置であっ
    て、 前記カラー用液晶パネルにS偏向の光束が入射されるこ
    とを特徴とする投写型表示装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の投写型表示装置であっ
    て、 前記輝度用液晶パネルにP偏光の光束が入射されること
    を特徴とする投写型表示装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の投写
    型表示装置であって、 前記カラー液晶用パネルの青色の液晶用パネル系の位相
    差板は、青色光束に対して最適化された位相差板である
    ことを特徴とする投写型表示装置。
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