JP3461134B2 - 混合廃プラスチックの熱分解装置 - Google Patents

混合廃プラスチックの熱分解装置

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    • C08J11/00Recovery or working-up of waste materials
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PETを含む混合
廃プラスチックを原料として燃料油を回収するケミカル
リサイクルの分野で用いられる混合廃プラスチックの熱
分解装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PE(ポリエチレン)等の一般廃プラス
チックを熱分解して燃料油を回収する試みは従来からな
されているが、近年におけるPETボトルの普及に伴
い、市場から回収される廃プラスチック中には多量のP
ET(ポリエチレンテレフタレート)が含まれている場
合が多い。ところがPETを含む混合廃プラスチックを
熱分解すると、PET樹脂由来の昇華性物質による配管
閉塞などの問題が生ずるため、長期的に連続運転可能な
ケミカルリサイクルプロセスは未だ確立されていない。
そこで本発明者等は、これらの昇華性物質を水蒸気と接
触させながら熱分解する工程と、熱分解油を軽質燃料油
へ変換する接触分解工程とを組み合わせた2段階プロセ
スを先に開発した。
【0003】この熱分解工程では、水蒸気との接触効率
を高めるために、図3に示したような攪拌型反応器1を
熱分解装置として用いた。この攪拌型反応器1は、直径
が10〜50mm程度のボール状の充填物2が充填され
た充填槽3の内部にらせん状の攪拌翼4を設けたもの
で、上端から混合廃プラスチックと過熱水蒸気とを供給
し、400〜500℃の温度で充填物2とともに攪拌し
ながら、徐々に溶融・予備分解・加水分解等を行わせる
ものである。そして熱分解ガスは下部の熱分解ガス取り
出し口5から取り出され、後段の接触分解工程へ送られ
る。
【0004】ところが上記の反応条件においては、混合
廃プラスチック中のPETは5〜10分程度で熱分解が
完了するものの、PEは30〜60分程度の熱分解時間
を要する。このため、PETに合わせて攪拌型反応器1
を設計するとPEは分解不十分な液状のまま排出される
こととなる。一方、PEに合わせて攪拌型反応器1を設
計すると攪拌型反応器1の高さHを非常に長尺化しなけ
ればならないという実設備設計上の問題があった。
【0005】またこれとは別に、図4に示したようなタ
ンク型反応器6も検討された。これは炉体7の内部に混
合廃プラスチックと水蒸気とを供給し、攪拌翼8により
溶融プラスチックを攪拌しつつ加熱し、熱分解する装置
である。しかしこのタンク型反応器6は、混合廃プラス
チックと水蒸気との接触面積が小さいため、長時間にわ
たり溶融プラスチックを加熱していると、図示のように
炉体7の底部にPET由来の成分が炭化物9となって付
着してくるため、メンテナンスに手数を要するという実
設備設計上の問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
の問題点を解決し、PETを含む混合廃プラスチックを
効率よく熱分解することができる、小型で取り扱いの簡
単な熱分解装置を提供するためになされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明は、PE等の一般プラスチックに
ETを含む混合廃プラスチックの熱分解装置であって、
攪拌翼により充填物とともに混合廃プラスチックを攪拌
しながら水蒸気と接触させ、PETを加水分解し熱分解
ガスを生成するとともに、PE等の一般プラスチックを
溶融・予備分解する攪拌型反応器の下方に、その攪拌型
反応器から滴下したPE等の一般プラスチックの溶融プ
ラスチックを熱分解し熱分解ガスを生成するタンク型反
応器を設置したことを特徴とするものである。攪拌型反
応器とタンク型反応器との間に、その攪拌型反応器とタ
ンク型反応器のそれぞれで生成した熱分解ガス取り出し
口が設けられる。
【0008】本発明によれば、攪拌型反応器において混
合廃プラスチックを充填物とともに攪拌し、水蒸気と接
触させる。この構造により水蒸気との接触効率を高くで
き、混合廃プラスチック中のPE等の一般プラスチック
の溶融・予備分解と、PETの加水分解を行う。PET
の加水分解により得られた熱分解ガスは攪拌型反応器の
下方の熱分解ガス取り出し口から取り出される。またP
E等の一般プラスチックは、分解不十分なまま溶融プラ
スチックとなって下方のタンク型反応器に滴下し、熱分
解されて熱分解ガス取り出し口から取り出される。
【0009】このため、攪拌型反応器はPETの加水分
解に適した高さとすればよく、装置を大型化させる必要
はない。またPET由来の成分はタンク型反応器には入
らないため、タンク型反応器はPE等の一般プラスチッ
クの熱分解のみを考慮して設計すればよく、この部分も
小型化することができるうえ、PET由来の成分による
炭化物の付着がないために、メンテナンスも容易であ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好ましい実施形態
を示す。図1において、破線で囲んだ10は外部加熱装
置であり、その内部に400〜500℃に加熱された攪
拌型反応器11とタンク型反応器12とが設置されてい
る。攪拌型反応器11には直径が10〜50mm程度の
ガラスビーズやアルミナ、SiC等のボール状の充填物
13が充填され、その内部に攪拌翼14、15を設けた
ものである。この実施形態では上部の攪拌翼14をプロ
ペラ翼、下部の攪拌翼15をアンカー翼としたが、全部
を図3に示すようならせん状の羽根としてもよい。
【0011】この攪拌型反応器11の上端から、PET
を含む混合廃プラスチックが供給される。市場から回収
される廃プラスチック中には、質量比で5〜10%程度
のPETが含まれているのが普通である。また攪拌型反
応器11の上端からは、過熱水蒸気が供給される。過熱
水蒸気は図示のように、外部のスチーム発生部16によ
り発生させた水蒸気を外部加熱装置10内のスチーム予
熱部17で加熱することにより供給される。攪拌型反応
器11の高さは、PETの加水分解に適した高さに設定
される。なお充填物13を攪拌しない場合には、充填物
13の上部に溶融プラスチックが堆積したが、充填物1
3を攪拌翼14、15により攪拌することにより溶融プ
ラスチックが均一に分散され、効率よく伝熱することが
でき処理量を増大させることができる。
【0012】タンク型反応器12はこの攪拌型反応器1
1の下方に設置されている。混合廃プラスチック中のP
ETは攪拌型反応器11を通過する間に加水分解され、
攪拌型反応器11とタンク型反応器12との間の熱分解
ガス取り出し口18から取り出される。しかし混合廃プ
ラスチック中のPE等の一般プラスチックは、攪拌型反
応器11内で溶融及び予備分解されるのみで、分解不十
分なまま溶融プラスチックとなって下方のタンク型反応
器12に滴下する。
【0013】この溶融プラスチックはタンク型反応器1
2の内部で加熱されることにより熱分解され、熱分解ガ
スとなって熱分解ガス取り出し口18から取り出され
る。このタンク型反応器12の内部にはPET由来の成
分は入らず、しかもPE等も攪拌型反応器11内で溶融
及び予備分解された状態でタンク型反応器12の内部に
入るため、小型化することができる。このため溶融プラ
スチックの滞留時間は短くて済むうえ、PET由来の成
分が入らないために、図4に示したような炭化物の付着
がなく、メンテナンスも容易である。
【0014】なお、熱分解ガス取り出し口18から取り
出された熱分解ガスは、接触分解反応器19に導かれて
接触分解される。この接触分解反応器19では鉄系触媒
を用いて配管閉塞の原因となる昇華性物質を分解し、得
られた重質成分をさらにゼオライト系(Ni/REY)
触媒により軽質燃料油に接触分解する。接触分解生成物
は生成物回収部20で回収される。
【0015】図2は得られた接触分解生成物の炭素数分
布を示すグラフである。このグラフに示されるように、
接触分解生成物はガソリン成分から重質成分まで幅広い
分布を持つが、炭素数が7〜10にピークを持ち、市販
の灯油に類似していることから、燃料油として利用でき
ることが分かった。
【0016】以上に説明した実施形態では、外部加熱装
置10の内部に攪拌型反応器11とタンク型反応器12
とを収納したが、攪拌型反応器11とタンク型反応器1
2とにそれぞれ加熱手段を設けてもよい。また、熱分解
ガス取り出し口18から取り出された熱分解ガスの処理
方法は本発明の必須要件ではなく、一例を示したものに
過ぎない。
【0017】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の混合廃
プラスチックの熱分解装置によれば、装置を大型化する
ことなくPETを含む混合廃プラスチックを熱分解する
ことができる。また炭化物の付着がないので装置のメン
テナンスも容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す概略的な断面図であ
る。
【図2】接触分解生成物の炭素数分布を示すグラフであ
る。
【図3】従来の攪拌型反応器の断面図である。
【図4】従来のタンク型反応器の断面図である。
【符号の説明】
1 攪拌型反応器、2 充填物、3 充填槽、4 攪拌
翼、5 熱分解ガス取り出し口、6 タンク型反応器、
7 炉体、8 攪拌翼、9 炭化物、10 外部加熱装
置、11 攪拌型反応器、12 タンク型反応器、13
充填物、14上部の攪拌翼、15 下部の攪拌翼、1
6 スチーム発生部、17 スチーム予熱部、18 熱
分解ガス取り出し口、19 接触分解反応器、20 生
成物回収部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 収一 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日本碍子株式会社内 (72)発明者 橋本 健治 京都府京田辺市田辺蕪木22の17 (72)発明者 増田 隆夫 京都府京都市北区紫竹東栗栖町49番地 ルミエール北山401号 (72)発明者 串野 達彦 岡山県倉敷市広江3−1−62−5452 (56)参考文献 特開 平10−95984(JP,A) 特開 平9−78072(JP,A) 特開 平10−130659(JP,A) 特開 平10−195451(JP,A) 特開 平7−286185(JP,A) 特開 平7−268354(JP,A) 国際公開96/040839(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10C 1/10 B09B 3/00 C08J 11/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 PE等の一般プラスチックにPETを含
    む混合廃プラスチックの熱分解装置であって、攪拌翼に
    より充填物とともに混合廃プラスチックを攪拌しながら
    水蒸気と接触させ、PETを加水分解し熱分解ガスを生
    成するとともに、PE等の一般プラスチックを溶融・予
    備分解する攪拌型反応器の下方に、その攪拌型反応器か
    滴下したPE等の一般プラスチックの溶融プラスチッ
    クを熱分解し熱分解ガスを生成するタンク型反応器を設
    置したことを特徴とする混合廃プラスチックの熱分解装
    置。
  2. 【請求項2】 攪拌型反応器とタンク型反応器との間
    に、その攪拌型反応器とタンク型反応器のそれぞれで生
    成した熱分解ガス取り出し口を設けた請求項1に記載
    の混合廃プラスチックの熱分解装置。
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