JP3460790B2 - 低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒 - Google Patents

低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒

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JP3460790B2
JP3460790B2 JP06180498A JP6180498A JP3460790B2 JP 3460790 B2 JP3460790 B2 JP 3460790B2 JP 06180498 A JP06180498 A JP 06180498A JP 6180498 A JP6180498 A JP 6180498A JP 3460790 B2 JP3460790 B2 JP 3460790B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、低合金耐熱鋼の溶
接に使用される被覆アーク溶接棒に関し、特に、低温割
れ及び再熱割れ(SR割れ)の発生を抑制することがで
きると共に、優れた高温強度を有する溶接金属を得るこ
とができる低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒に関する。 【0002】 【従来の技術】近時、地球の温暖化傾向の対策として、
炭酸ガスの発生量を低減することが要求されている。そ
こで、発電用ボイラの高効率化、即ち、単位発電量あた
りの燃料消費量の低減を図るために、蒸気条件がより高
温になると共により高圧になる傾向がある。また、この
ような条件下で使用される鋼材が開発されており、これ
に伴って、高温及び高圧の操業条件で使用されるボイラ
及び圧力容器等を溶接するための種々の溶接材料が提案
されている。 【0003】これらの溶接材料のうち、特に、高温の温
度領域における溶接金属の特性を向上させるために、9
%Cr乃至12%Cr系の組成を有し、W、V及びNb
等が添加された溶接材料が提案されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高温の
温度領域における溶接金属の特性を向上させた溶接材料
は、Crの含有量が多く、自硬性が高いので、低温割れ
感受性が高くなり、溶接施工時に厳密に工程管理するこ
とが必要である。また、この溶接材料により得られた溶
接金属は、低Cr鋼と比較してじん性が低いという問題
点もある。 【0005】また、高温・高圧のボイラ及び圧力容器等
において、中温領域で使用される鋼材の高強度化が進ん
でおり、その鋼材を溶接するための溶接材料の開発も要
求されている。しかし、上述の溶接材料は、溶接施工性
及び材料コストの面から、中温領域に使用される鋼材に
好適であるとはいえない。 【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、耐低温割れ性及び耐高温割れ性が良好であ
ると共に、SR割れ感受性を高めることなく、溶接金属
の機械的特性を向上させることができる低合金耐熱鋼用
被覆アーク溶接棒を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明に係る低合金耐熱
鋼用被覆アーク溶接棒は、鋼心線の表面にフラックスが
被着された低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒において、
溶接棒全重量あたり、C:0.04乃至0.20重量
%、Si:0.50乃至2.50重量%、Mn:0.5
0乃至2.50重量%、Cr:0.10乃至0.60重
量%、Mo:0.20乃至0.80重量%及びV:0.
01乃至0.06重量%を含有し、前記Crの含有量を
重量%で[Cr]、前記Vの含有量を重量%で[V]と
したとき、[Cr]/[V]が3以上であると共に、N
iが0.80重量%以下、Nbが0.06重量%以下、
Alが0.05重量%以下、Tiが0.05重量%以
下、Bが0.05重量%以下、Nが0.02重量%以
下、Cuが0.50重量%以下、Coが0.50重量%
以下、Wが0.50重量%以下に規制されたことを特徴
とする。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明においては、高温割れ感受
性及び低温割れ感受性を低くするために、溶接棒全体
(鋼心線及びフラックス)中のCrの含有量を低減し、
所望の高温特性を得るために微量のVを溶接棒中に添加
する。また、溶接金属中のCr含有量が所定量未満であ
ると、耐SR割れ性が低下するので、この耐SR割れ性
を高めるために、溶接棒中のCr含有量とV含有量との
比を調整する。以下、本発明に係る低合金耐熱鋼用被覆
アーク溶接棒の組成限定理由について説明する。 【0009】C:0.04乃至0.20重量% Cは溶接金属の強度を確保する上で重要な元素であり、
本発明においては、Vと結合して炭化物を形成して、高
温短時間強度及びクリープ強度を高める効果を有する。
溶接棒中のC含有量が溶接棒全重量あたり0.04重量
%未満であると、炭化物を十分に形成することができ
ず、所望の強度を得ることができない。一方、溶接棒中
のC含有量が溶接棒全重量あたり0.20重量%を超え
ると、強度が高くなりすぎて、耐割れ性の低下及び靱性
の低下を招く。従って、溶接棒中のC含有量は溶接棒全
重量あたり、0.04乃至0.20重量%とする。 【0010】Si含有量:0.50乃至2.50重量% Siは脱酸剤として作用すると共に、溶接金属のビード
形状を良好にする効果を有する元素である。溶接棒中の
Si含有量が溶接棒全重量あたり0.50重量%未満で
あると、溶接金属を十分に脱酸することができないと共
に、ビードのなじみが悪くなって、溶接金属中に欠陥が
発生する。一方、溶接棒中のSi含有量が溶接棒全重量
あたり2.50重量%を超えると、Siの溶接金属中へ
の歩留まりが高くなり、強度が高くなりすぎて靱性低下
の原因となる。従って、溶接棒中のSi含有量は、溶接
棒全重量あたり0.50乃至2.50重量%とする。 【0011】Mn含有量:0.50乃至2.50重量% MnはSiと同様に、脱酸剤として作用すると共に、溶
接金属の焼き入れ性を高めて靭性を向上させる効果を有
する元素である。溶接棒中のMn含有量が溶接棒全重量
あたり0.50重量%未満であると、溶接金属の結晶粒
が粗大化して、所望の靭性を得ることができない。一
方、溶接棒中のMn含有量が溶接棒全重量あたり2.5
0重量%を超えると、Mnの溶接金属中への歩留まりが
高くなり、強度が高くなりすぎて靱性低下の原因とな
る。従って、溶接棒中のMn含有量は溶接棒全重量あた
り0.50乃至2.50重量%とする。 【0012】Cr含有量:0.10乃至0.60重量% Crは溶接金属中のCと結合してCの凝集を防止し、高
温特性を安定化する効果を有する元素である。溶接棒中
のCr含有量が溶接棒全重量あたり0.10重量%未満
であると、前記効果を十分に得ることができず、高温下
で使用した場合に溶接金属の強度が低下する。一方、溶
接棒中のCr含有量が溶接棒全重量あたり0.60重量
%を超えると、固相と液相の共存温度幅が広がり、高温
割れ感受性が高くなると共に、強度が必要以上に高くな
りすぎて、低温割れ感受性も高くなる。従って、溶接棒
中のCr含有量は、溶接棒全重量あたり0.10乃至
0.60重量%とする。 【0013】Mo含有量:0.20乃至0.80重量% Moは、Crと同様に、高温における溶接金属の強度特
性を確保する上で、重要な元素である。溶接棒中のMo
含有量が溶接棒全重量あたり0.20重量%未満である
と、溶接金属の強度特性を確保する効果を得ることがで
きない。一方、溶接棒中のMo含有量が溶接棒全重量あ
たり0.80重量%を超えると、強度が必要以上に高く
なりすぎて、溶接金属の靭性が低下する。従って、溶接
棒中のMo含有量は、溶接棒全重量あたり0.20乃至
0.80重量%とする。 【0014】V含有量:0.01乃至0.06重量% VはCと結合して炭化物を形成し、高温での短時間強度
及びクリープ強度を向上させる効果を有する元素であ
る。溶接棒中のV含有量が溶接棒全重量あたり0.01
重量%未満であると、これらの効果を十分に得ることが
できない。一方、溶接棒中のV含有量が溶接棒全重量あ
たり0.06重量%を超えると、強度が高くなりすぎ
て、低温割れ感受性が高くなると共に、靭性が低下す
る。従って、溶接棒中のV含有量は溶接棒全重量あたり
0.01乃至0.06重量%とする。 【0015】[Cr]/[V]:3以上 低Cr系溶接金属にVを添加すると、SR割れ感受性が
高くなることは公知である。これは、溶接後の熱処理
(PWHT)を施す低合金耐熱鋼の溶接に使用される溶
接材料の組成を考慮する場合に、重要な問題となる。V
の添加によるSR割れ感受性の上昇を防止するために
は、溶接金属中のCr含有量の増加により、旧オーステ
ナイト粒界にセメンタイトを主体とするM3C系の炭化
物の析出を抑制する方法、又は溶接金属中のV含有量を
低減することにより、粒内の析出硬化を抑制する方法が
有効である。しかし、前述の如く、本発明に規定する範
囲を超えて溶接棒中のCr含有量を増加させると、高温
割れ及び低温割れ感受性が高くなる。また、溶接棒中の
V含有量を規定の範囲未満に低減すると、本発明が目的
とする高温強度を確保する効果を十分に得られなくな
る。 【0016】そこで、本願発明者等が種々実験研究を行
った結果、Cr含有量とV含有量との比を適切に規制す
ることにより、SR割れ感受性の上昇を防止することが
できることを見い出した。即ち、溶接棒中のCrの含有
量を重量%で[Cr]、溶接棒中のVの含有量を重量%
で[V]としたとき、[Cr]/[V]が3未満である
と、SR割れ感受性が高くなってしまう。従って、Cr
及びV含有量を、夫々、上記範囲に規制すると共に、
[Cr]/[V]を3以上とすることにより、SR割れ
感受性が高くなることを防止することができる。 【0017】Ni含有量:0.80重量%以下 溶接棒中のNiが0.80重量%を超えると、高温割れ
感受性が高くなると共に、クリープ強度が低下する。従
って、溶接棒中のNi含有量は溶接棒全重量あたり0.
80重量%以下に規制する。 【0018】Nb含有量:0.06重量%以下 溶接棒中のNbは、溶接金属の靭性を低下させる元素で
ある。溶接棒中のNb含有量が溶接棒全重量あたり0.
06重量%を超えると、靭性が著しく低下する。従っ
て、溶接棒中のNb含有量は、溶接棒全重量あたり0.
06重量%以下に規制する。なお、Nbは酸化物から還
元されるものも含むので、本発明においては、酸化物中
のNb含有量も合わせた量として規定する。 【0019】Al含有量:0.05重量%以下、Ti含
有量:0.05重量%以下 溶接棒中のAlが0.05重量%を超えるか、又は溶接
棒中のTiが0.05重量%を超えると、溶接金属の強
度の上昇に伴って、低温割れ感受性が高くなると共に、
靱性が低下する原因となる。従って、溶接棒中のAl含
有量は溶接棒全重量あたり0.05重量%以下に規制
し、溶接棒中のTi含有量は溶接棒全重量あたり0.0
5重量%以下に規制する。なお、本発明においては、単
体の金属又は合金として溶接棒中に含有されるAl又は
Tiの含有量のみを規定しており、Al23又はTiO
2等の酸化物中のAl又はTiの含有量は含まれない。 【0020】B含有量:0.05重量%以下 溶接棒中のBが溶接棒全重量あたり0.05重量%を超
えると、高温割れ感受性が高くなる。従って、溶接棒中
のB含有量は溶接棒全重量あたり0.05重量%以下に
規制する。 【0021】N含有量:0.02重量%以下 溶接棒中のNが溶接棒全重量あたり0.02重量%を超
えて含有されていると、溶接金属の靭性が低下する。従
って、溶接棒中のN含有量は溶接棒全重量あたり0.0
2重量%以下に規制する。 【0022】Cu含有量:0.50重量%以下 溶接棒中のCuが溶接棒全重量あたり0.50重量%を
超えると、高温割れ感受性が高くなる。従って、溶接棒
中のCu含有量は溶接棒全重量あたり0.50重量%以
下に規制する。 【0023】Co含有量:0.50重量%以下、W:
0.50重量%以下 溶接棒中のCoが0.50重量%を超えるか、又は溶接
棒中のWが0.50重量%を超えると、溶接金属の強度
が高くなりすぎて、低温割れ感受性が高くなると共に、
靱性が低下する。従って、溶接棒中のCo含有量は溶接
棒全重量あたり0.50重量%以下に規制し、溶接棒中
のW含有量は溶接棒全重量あたり0.50重量%以下に
規制する。 【0024】なお、本発明においては、上述のNi、N
b、Al、Ti、B、N、Cu、Co及びWの他に、不
可避的不純物として、例えば、P、S、Sn、Sb、A
s及びPb等があるが、これらの不可避的不純物につい
ては、鋼心線及びフラックス中の含有量をできるだけ低
減することが好ましい。 【0025】また、本発明に係る低合金耐熱鋼用被覆ア
ーク溶接棒は、鋼心線の表面に、金属炭酸塩、金属フッ
化物、アーク安定剤、スラグ生成剤、脱酸剤及び合金粉
等の金属粉を含むフラックスを結合剤により被着させる
ことにより得ることができる。 【0026】 【実施例】以下、本発明に係る低合金耐熱鋼用被覆アー
ク溶接棒を使用して、低合金耐熱鋼を溶接した実施例に
ついて、その比較例と比較して具体的に説明する。先
ず、鋼心線の表面にフラックスを被着させることによ
り、下記表1乃至4に示す組成を有する被覆アーク溶接
棒を形成した。次に、得られた被覆アーク溶接棒を使用
して、JIS Z3223「モリブデン鋼及びクロムモ
リブデン鋼被覆アーク溶接棒」に準拠して、JIS G
3120のSQV1B鋼板を溶接することにより、試験
板素材を作製した。なお、溶接時においては、溶接電流
を交流の170A、予熱・パス間温度を100乃至15
0℃として、溶接作業性を評価した。次いで、溶接後の
試験板に対して、650℃で5時間のPWHTを施し
た。このPWHT時には、昇温速度及び降温速度が毎時
55℃以下となるように昇温及び降温した。 【0027】その後、得られた試験板に対して、JIS
Z3111「溶着金属の引張及び衝撃試験方法」に準
拠して引張試験及び衝撃試験を実施した。また、JIS
Z2273「金属材料の引張クリープ破断試験方法」
に基づいて、試験板の中央部から、平行部の直径が6.
0mmであるクリープ破断試験片を採取して、クリープ
破断試験を実施した。そして、これらの室温引張試験、
シャルピー衝撃試験及びクリープ破断試験により、溶接
金属の機械的性能を評価した。 【0028】また、JIS Z3155「C形ジグ拘束
突合せ溶接割れ試験方法」に準拠して、高温割れ試験を
実施すると共に、JIS Z3157「U形溶接割れ試
験方法」に準拠して、低温割れ試験を実施した。なお、
高温割れ試験に使用した試験板は、溶接電流を交流の1
70A、運棒比を0.8とし、ルートギャップを3mm
として作製した。また、低温割れ試験に使用した試験板
は、予熱温度を50℃とし、ルートギャップを2mmと
して、30℃の温度で80%の相対湿度に管理された恒
温・恒湿室内において溶接することにより作製した。 【0029】更に、「応力除去焼鈍割れに関する研究
(第2報)」(内木等、溶接学会誌:Vol.33、No.9 、1
964、p.718)を参考にして、円筒型の割れ試験(SR割
れ試験)を実施することにより、溶接金属のSR割れ感
受性を評価した。図1(a)は円筒型割れ試験用の試験
片の溶接金属からの採取位置及び方向を示す断面図であ
り、1(b)は試験片の形状を示す側面図、1(c)は
同じくその断面図、1(d)は断面図におけるノッチ部
Aを拡大して示す断面図、1(e)は試験片を使用した
円筒型割れ試験方法を示す模式図である。 【0030】図1(a)に示すように、溶接母材1は、
V形状の開先を有し、このV形状の開先部の下部には、
溶接母材1と同一の化学組成を有する裏当金2が配置さ
れている。そして、この溶接母材1と裏当金2とからな
る開先部を溶接することにより、溶接金属3が形成され
ていて、溶接金属3の最終ビードの上方から、ノッチ及
びスリットを有する試験片4を採取した。このとき、図
1(c)に示すノッチ5が溶接金属3の原質部上方に位
置し、スリット6が下方に位置するように採取した。な
お、試験片4は、図1(b)に示すように、その長手方
向の長さを20mmとし、外径を10mm、内径を5m
mとした。 【0031】また、図1(c)に示すように、試験片4
には、その長手方向に、円筒の内部の空洞部に至るスリ
ット6が0.5mmの幅で形成されており、このスリッ
トに対向する位置の外周面には、試験片4の長手方向に
延びるノッチ5が形成されている。ノッチ5は、図1
(c)のノッチ部Aにおける拡大図である図1(d)に
示すように、深さが0.5mm、幅が0.4mmであ
り、底部の曲率半径が0.2mmであるU字形の溝とな
っている。 【0032】なお、円筒形割れ試験は、図1(e)に示
すように、試験片4に対して矢印で示す方向に曲げ応力
を印加して、試験片4のスリット6を溶加材を使用せず
にTIG溶接し、U字形の溝の底部に引張残留応力を生
じさせたまま625℃の温度で10時間の熱処理を行う
試験であり、溝の底部における割れの発生の有無を観察
することにより、耐SR割れ性を評価することができ
る。これらの評価結果を下記表5及び6に示す。但し、
下記表1乃至4に示す化学組成において、−は検出され
ないことを示す。また、下記表5及び6に示す評価結果
において、室温引張強さについては620MPa以上の
ものを合格とし、シャルピー吸収エネルギーについては
100J以上、クリープ破断時間については1000時
間以上を合格とした。また、耐割れ性試験については、
割れが発生しないものを合格(○)とした。 【0033】 【表1】【0034】 【表2】 【0035】 【表3】【0036】 【表4】 【0037】 【表5】【0038】 【表6】 【0039】上記表1乃至6に示すように、実施例N
o.1乃至4は、溶接棒の化学組成及び溶接棒中のCr
含有量とV含有量との比が適切に調整されているので、
溶接作業性が良好であると共に、機械的性能及び耐割れ
性が優れた溶接金属を得ることができた。 【0040】一方、比較例No.5は溶接棒中のC含有
量が本発明範囲の下限未満であるので、室温引張強さ及
びクリープ破断強度が低下した。また、[Cr]/
[V]が本発明範囲の下限未満であるので、SR割れが
発生した。比較例No.6は溶接棒中のC含有量が本発
明範囲の上限を超えているので、溶接金属の靭性が低下
すると共に、低温割れが発生した。比較例No.7は溶
接棒中のSi含有量が本発明範囲の下限未満であるの
で、溶接作業性が不良となった。従って、機械的性能試
験及び耐割れ性試験を実施しなかった。比較例No.8
は溶接棒中のSi含有量が本発明範囲の下限未満である
ので、溶接金属の靭性が低下した。 【0041】比較例No.9は溶接棒中のMn含有量が
本発明範囲の下限未満であるので、溶接金属の靭性が低
下した。比較例No.10は溶接棒中のMn含有量が本
発明範囲の上限を超えているので、溶接金属の靭性及び
クリープ破断強度が低下して、低温割れが発生した。比
較例No.11は溶接棒中のCr含有量が本発明範囲の
下限未満であるので、高温強度が低下した。また、[C
r]/[V]が本発明範囲の下限未満であるので、SR
割れが発生した。比較例No.12は溶接棒中のCr含
有量が本発明範囲の上限を超えているので、溶接金属の
靭性が低下すると共に、高温割れ及び低温割れが発生し
た。比較例No.13は溶接棒中のMo含有量が本発明
範囲の下限未満であるので、溶接金属の靭性及び高温強
度が低下した。比較例No.14は溶接棒中のMo含有
量が本発明範囲の上限を超えているので、溶接金属の靭
性が低下すると共に、低温割れが発生した。 【0042】比較例No.15は溶接棒中のV含有量が
本発明範囲の下限未満であるので、室温引張強さ及び高
温強度が低下した。比較例No.16は溶接棒中のV含
有量が本発明範囲の上限を超えているので、靭性が低下
すると共に、低温割れが発生した。比較例No.17は
溶接棒中のNi含有量が本発明範囲の上限を超えている
ので、クリープ強度が低下すると共に、高温割れが発生
した。比較例No.18は溶接棒中のNb含有量が本発
明範囲の上限を超えているので、溶接金属の靭性が低下
した。比較例No.19及び20は溶接棒中のAl含有
量又はTi含有量が本発明範囲の上限を超えているの
で、溶接金属の靭性が低下すると共に、低温割れが発生
した。 【0043】比較例No.21及び23は溶接棒中のB
含有量又はCu含有量が本発明範囲の上限を超えている
ので、高温割れが発生した。比較例No.22は溶接棒
中のN含有量が本発明範囲の上限を超えているので、溶
接金属の靭性が低下した。比較例No.24及び25は
溶接棒中のCo含有量又はW含有量が本発明範囲の上限
を超えているので、溶接金属の靭性が低下すると共に、
低温割れが発生した。比較例No.26は溶接棒中の組
成は本発明の範囲内であるが、[Cr]/[V]が本発
明範囲の下限未満であるので、SR割れが発生した。 【0044】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
溶接棒の化学組成及び溶接棒中のCr含有量とV含有量
との比を適切に規定しているので、本発明に係る低合金
耐熱鋼用溶接棒を使用して溶接した場合に、靭性及びク
リープ強度が良好であると共に、優れた耐高温割れ性、
耐低温割れ性及び耐SR割れ性を有する溶接金属を得る
ことができ、この分野における産業の発展に大きく寄与
する。
【図面の簡単な説明】 【図1】(a)は円筒型割れ試験用の試験片の溶接金属
からの採取位置及び方向を示す断面図であり、(b)は
試験片の形状を示す側面図、(c)は同じくその断面
図、(d)は断面図におけるノッチ部Aを拡大して示す
断面図、(e)は試験片を使用した円筒型割れ試験方法
を示す模式図である。 【符号の説明】 1;溶接母材 2;裏当金 3;溶接金属 4;試験片 5;ノッチ 6;スリット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 明信 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株式会社神戸製鋼所藤沢事業所内 (56)参考文献 特開 平9−168891(JP,A) 特開 昭60−261690(JP,A) 特開 平5−339674(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/365 B23K 35/30

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 鋼心線の表面にフラックスが被着された
    低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒において、溶接棒全重
    量あたり、C:0.04乃至0.20重量%、Si:
    0.50乃至2.50重量%、Mn:0.50乃至2.
    50重量%、Cr:0.10乃至0.60重量%、M
    o:0.20乃至0.80重量%及びV:0.01乃至
    0.06重量%を含有し、前記Crの含有量を重量%で
    [Cr]、前記Vの含有量を重量%で[V]としたと
    き、[Cr]/[V]が3以上であると共に、Niが
    0.80重量%以下、Nbが0.06重量%以下、Al
    が0.05重量%以下、Tiが0.05重量%以下、B
    が0.05重量%以下、Nが0.02重量%以下、Cu
    が0.50重量%以下、Coが0.50重量%以下、W
    が0.50重量%以下に規制されたことを特徴とする低
    合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒。
JP06180498A 1998-03-12 1998-03-12 低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒 Expired - Lifetime JP3460790B2 (ja)

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