JP2001300768A - 低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒 - Google Patents

低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒

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JP2001300768A
JP2001300768A JP2000128246A JP2000128246A JP2001300768A JP 2001300768 A JP2001300768 A JP 2001300768A JP 2000128246 A JP2000128246 A JP 2000128246A JP 2000128246 A JP2000128246 A JP 2000128246A JP 2001300768 A JP2001300768 A JP 2001300768A
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toughness
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Akinobu Goto
明信 後藤
Masaru Yamashita
賢 山下
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接部において、強度、じん性、高温での強
度特性及び耐低温割れ性が優れた溶接金属を形成するこ
とができ、かつ、良好な作業性を兼ね備えた低合金耐熱
鋼用被覆アーク溶接材料を提供する。 【解決手段】 鋼心線と、鋼心線の周囲に被覆されたフ
ラックスとからなる被覆アーク溶接棒において、C:
0.005乃至0.08質量%、Si:0.60乃至
3.00質量%、Mn:0.50乃至2.50質量%、
Cr:1.00乃至3.50質量%、Mo:0.05乃
至1.20質量%、V:0.01乃至0.60質量%、
Nb及びTa:合計量で0.01乃至0.20質量%、
W:0.6乃至2.5質量%、N:0.003乃至0.
050質量%を含有させ、前記フラックスの被覆率を2
0乃至40質量%とし、前記フラックス中の水分濃度を
150乃至1200ppmとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低合金耐熱鋼の溶接
に好適な被覆アーク溶接棒に関し、特に、溶接部におい
て、強度、靭性、高温での強度及び耐低温割れ性が優れ
た溶接金属を形成し、かつ、溶接作業性が良好な低合金
耐熱鋼用被覆アーク溶接棒に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、地球の温暖化対策の1つとして、
炭酸ガスの発生量の低減が求められている。そのため、
化石燃料を使用する発電用ボイラーの高効率化、即ち単
位発電量当たりの燃料消費量の低減が求められており、
前記発電用ボイラーで扱う蒸気が高温・高圧になる傾向
がある。これに対し、従来から前記ボイラーの構成材料
として使用する高温での強度特性が優れた鋼材の開発が
行われており、また、前記発電用ボイラーの実用化のた
めに、前記鋼材に適した溶接材料の開発が求められてい
る。
【0003】前記耐熱鋼として、例えば、高温域での特
性を考慮した部材として9〜12質量%のCrを含有す
るCr鋼にW、V及びNb等を添加したものがあり、ま
た、従来中温域で使用されていた部材に対しても、N
b、V及びWを添加して高温域での強度特性を改善した
鋼材が開発され、実用化されている。そして、これらの
高温・高圧の操業条件下で使用されるボイラー及び圧力
容器等を構成する鋼材に適した溶接材料が、既にいくつ
か提案されている。
【0004】例えば、特開平5−269590号公報に
は、3.5質量%以下のCrを添加した鋼をベースにM
o及びWを複合添加した耐熱鋼に好適な溶接材料(ワイ
ヤ)が提案されている。また、特開平7−303988
号公報では、2 1/4Cr−1Mo−W−1/4V鋼
用の溶接用ワイヤが提案されている。
【0005】一方、従来、溶接作業時の作業性を改善す
るために、心線の周囲にフラックスを被覆した被覆アー
ク溶接棒が広く使用されている。特に、前述の発電用ボ
イラーの配管溶接作業等においては、全姿勢溶接及び狭
隘な場所における溶接作業が頻繁に発生するため、被覆
アーク溶接棒の使用が必須である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような耐熱鋼材に適した溶接材料で、かつ心線の周囲に
フラックスが被覆された低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接
材料は従来提案されておらず、その開発が要望されてい
る。
【0007】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、溶接部において、強度、靭性、高温での強
度特性及び耐低温割れ性が優れた溶接金属を形成するこ
とができ、かつ、良好な作業性を兼ね備えた低合金耐熱
鋼用被覆アーク溶接材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る低合金耐熱
鋼用被覆アーク溶接棒は、鋼心線と、鋼心線の周囲に被
覆されたフラックスとからなる低合金耐熱鋼用被覆アー
ク溶接棒において、前記フラックスが、アーク安定剤、
スラグ生成剤、脱酸剤、金属炭酸塩、金属フッ化物及び
金属粉を含有し、結合剤により固着されており、被覆ア
ーク溶接棒中にその全質量に対し、C:0.005乃至
0.08質量%、Si:0.60乃至3.00質量%、
Mn:0.50乃至2.50質量%、Cr:1.00乃
至3.50質量%、Mo:0.05乃至1.20質量
%、V:0.01乃至0.60質量%、Nb及びTa:
合計量で0.01乃至0.20質量%、W:0.6乃至
2.5質量%、N:0.003乃至0.050質量%を
含有し、前記フラックスの被覆率が20乃至40質量%
であり、前記フラックス中の水分濃度が150乃至12
00ppmであることを特徴とする。
【0009】また、前記低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接
棒は、更にNi:0.1乃至1.5質量%、Co:0.
1乃至1.5質量%、Al:0.10質量%以下、T
i:0.05質量%以下及びB:0.01乃至0.1質
量%からなる群から選択された少なくとも1種を含有す
ることができる。
【0010】本発明においては、フラックスの被覆率を
適性範囲に規定すると共に、従来のソリッドワイヤでは
考慮が不要であったフラックス中の水分量を適切に管理
することにより優れた耐低温割れ性と良好な作業性を両
立させ、更に、溶接棒に各合金成分を適性量添加するこ
とにより良好な強度特性、靭性及びクリープ特性を実現
している。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明における溶接棒の合
金成分、フラックス中の水分濃度及びフラックスの被覆
率の限定理由について説明する。最初に、溶接棒の合金
成分の限定理由について説明する。
【0012】C:0.005乃至0.08質量% CはNb、Ta及びV等と炭化物を形成し、室温での強
度及び高温でのクリープ特性を改善する。しかしなが
ら、Cが0.005質量%未満では、十分な強度が得ら
れない。また逆に、0.08質量%を超えると強度が高
くなりすぎ、低温割れ感受性が高くなる。従って、C添
加量の範囲は0.005乃至0.08質量%とする。
【0013】Si:0.60乃至3.00質量% Siは脱酸元素として有効であり、また、溶接金属の母
材に対するなじみを良くする働きがある。Siが0.6
0質量%未満では、溶接金属のなじみが悪くなり、スラ
グ巻き込みの欠陥を作りやすくなる。また、3.00質
量%を超えると、脱酸作用が強くなりすぎ、他の元素の
歩留まりを高め、強度が高くなりすぎ、結果として、靭
性の低下を招くことになる。従って、Si添加量は0.
60乃至3.00質量%の範囲とする。
【0014】Mn:0.50乃至2.50質量% Mnも脱酸元素として働き、また、適度な添加によって
溶接金属の焼入れ性を高め、靭性を改善する効果があ
る。Mnが0.50質量%未満では溶接金属の焼入れ性
が低下し、良好な靭性が得られない。また、2.50質
量%を超えると、溶接金属の強度が高くなりすぎて、や
はり靭性が低下する。従って、Mn添加量は0.50乃
至2.50質量%とする。
【0015】Cr:1.00乃至3.50質量% Crは高温での耐酸化性を確保すると共に、クリープ強
度を高める効果がある。Crが1.00質量%未満で
は、十分なクリープ強度が得られない。また、3.50
質量%を超えると、やはりクリープ強度が低下する。従
って、Crの添加範囲は1.00乃至3.50質量%と
する。
【0016】Mo:0.05乃至1.20質量% MoはWと複合的に添加することにより、クリープ強度
を向上させる効果がある。Moが0.05質量%未満で
は十分なクリープ強度が得られない。また、1.20質
量%を超えると室温の強度が高くなりすぎ、靭性が低下
するので好ましくない。従って、Moの添加範囲は0.
05乃至1.20質量%とする。
【0017】W:0.6乃至2.5質量% WはMoと同様、固溶強化により溶接金属のクリープ強
度を著しく改善する効果がある。しかしながら、0.6
質量%未満ではその効果が不十分であり、必要なクリー
プ強度が得られない。また、2.5質量%を超えると室
温強度が過大となり、靭性が低下する。従って、Wの最
適範囲は0.6乃至2.5質量%とする。
【0018】Nb及びTaの合計量:0.01乃至0.
20質量% Nb及びTaは共に炭化物の形成傾向が強く、この炭化
物は溶接金属中に微細に分散析出し、クリープ強度を大
きく改善する。Nb及びTaの合計量が0.01質量%
未満では、十分な炭化物の析出量が得られず、従ってク
リープ強度も不十分となる。一方、前記合計量が0.2
0質量%を超えると逆に室温強度が高くなりすぎ、靭性
の低下を招くことになる。従って、Nb及びTaの合計
量の範囲は0.01乃至0.20質量%とする。
【0019】V:0.01乃至0.60質量% VもNb及びTaと同様に微細な炭化物を形成するた
め、高温でのクリープ強度の改善に極めて有効である。
Vが0.01質量%未満では十分なクリープ強度が得ら
れない。また逆に、0.60質量%を超えると室温強度
が高くなりすぎ、靭性が低下するという問題が生じる。
従って、Vの添加範囲は0.01乃至0.60質量%と
する。
【0020】N:0.003乃至0.050質量% Nは固溶状態及び窒化物の状態で鋼中に存在し、高温で
の強度の改善に有効である。前記効果を得るためには
0.003質量%以上の添加が必要である。しかし、
0.050質量%を超えて添加すると、固溶しきれなく
なり球状欠陥の発生及び強度の過剰な増加を招く。従っ
て、0.003乃至0.050質量%の範囲に制限する
必要がある。
【0021】以下の成分は必要に応じて添加することが
できる。
【0022】Ni:0.1乃至1.5質量% Niの添加は溶接金属の靭性を改善する効果があり、必
要に応じて添加することができる。しかし、Niが0.
1質量%未満では靭性の改善効果が認められない。ま
た、1.5質量%を超えて添加すると、クリープ強度が
低下して好ましくない。従って、Niの添加範囲は0.
1乃至1.5質量%とする。
【0023】Co:0.1乃至1.5質量% Coは高温強度を改善する効果があり、この効果は0.
1質量%以上添加すると有効になる。しかし、1.5質
量%を超えて添加すると、靭性を低下させる。従って、
添加する場合は0.1乃至1.5質量%の範囲で添加す
ることが好ましい。
【0024】Al:0.10質量%以下 Alは強脱酸元素であるため、Alの添加は溶接金属の
低酸素化に有効であり、靭性の改善効果がある。しか
し、0.10質量%を超えて添加すると脱酸作用が強く
なりすぎ、他の元素の歩留まりが高くなるため、溶接金
属の室温強度も高くなりすぎる。そのため、耐低温割れ
感受性が劣化すると共に靭性も低下する。従って、Al
の添加範囲は0.10質量%以下とする。
【0025】Ti:0.05質量%以下 Tiは微細な炭窒化物として鋼中に析出するため、Ti
の添加はクリープ強度の改善に有効である。しかし、
0.05質量%を超えて添加すると室温強度を異常に高
め、靭性を低下させる原因となるため、添加量は0.0
5質量%以下とする。
【0026】B:0.01乃至0.1質量% Bは微量の添加で溶接金属の組織を微細にし、靭性を改
善する効果がある。しかし、Bが0.01質量%未満で
はその効果が十分ではなく、0.1質量%を超えて添加
された場合には溶接金属の結晶粒界に過剰に析出し、結
晶粒界面の強度を低下させ靭性の低下を招く。従って、
Bの添加量は0.01乃至0.1質量%とする。
【0027】また、本発明においては、前述の成分以外
にもP、S、Sn、Sb、As及びPb等を不純物とし
て含有することは許容されるが、この場合にこれらの成
分の含有量は可及的に低く制限することが好ましい。
【0028】次に、本発明におけるフラックスの成分に
ついて説明する。
【0029】フラックス中の水分濃度:150乃至12
00ppm フラックス中の水分は溶接時に分解し、その結果発生し
た水素がアーク雰囲気中に入り、次いで溶接部の溶接金
属中に浸入し、溶接金属中の拡散性水素が増加する原因
となる。拡散性水素の増加は、水素に起因する低温割れ
の原因となる。350℃の温度に1時間保持して乾燥さ
せた後のフラックスにおいて、このフラックス中の水分
量が1200ppmを超えた場合には、低温割れを発生
しやすくなるため、水分濃度は1200ppm以下に制
限する必要がある。しかし、逆に、水分量が低すぎて1
50ppm未満であると、アークが不安定となり溶接作
業性が劣るため、ボイラー等の配管の全姿勢溶接には不
適当となる。従って、フラックス中の水分濃度は150
乃至1200ppmの範囲に調整する必要がある。な
お、水分は、被覆アーク溶接棒製造時における乾燥温度
の調節及びフラックス中に含まれる含水鉱物の量の調整
によって制御が可能である。なお、水分量の測定は、カ
ールフィッシャー電量適定法(JIS K0113)に
より行う。即ち、フラックスを不活性ガス雰囲気(A
r)中で750℃に加熱し、そのときに放出された水分
を測定する。
【0030】被覆率:20乃至40質量% ここで、被覆率とは被覆アーク溶接棒全体の質量に対す
るフラックスの質量百分率である。この被覆率が20質
量%未満の場合、スラグによる被覆が不十分になり溶接
ビード外観が悪くなると共に、アーク安定剤の働きが不
十分となり、スパッタが増加し溶接作業性が低下する。
また40質量%を超えると、逆にスラグの発生が過多と
なり、スラグ巻き込みの欠陥が発生しやすくなる。また
被覆径の増加により、開先内部での運棒が不十分になり
やすく、溶接作業がやりにくくなる。従って、被覆率は
20乃至40質量%の範囲に保つことが必要であり、よ
り好ましくは23乃至33質量%の範囲に管理する。
【0031】本発明におけるフラックスは、前記化学成
分を添加するための金属粉及び合金粉以外にアーク安定
剤、スラグ生成剤、脱酸剤、金属炭酸塩、金属フッ化物
及び金属粉を含有する。このうち、アーク安定剤として
は、必要に応じて、鉄粉、アルカリ成分及びTiO2
の酸化物が添加される。また、スラグ生成剤としては、
金属炭酸塩、金属フッ化物及びZrO2等の酸化物が添
加される。更に、脱酸剤としては、Si、Mn及びAl
が前述の添加量範囲で、単体又は合金(フェロシリコン
及びフェロマンガン等)の状態で添加される。更に、M
gも必要に応じて添加可能である。
【0032】金属炭酸塩とは、例えば石灰岩(炭酸カル
シウム)のように金属(石灰岩の場合はカルシウム)に
炭酸基の結合したものである。また、金属フッ化物と
は、例えば螢石(フッ化カルシウム)のように金属(螢
石の場合はカルシウム)にフッ素が結合したものを指し
ている。
【0033】
【実施例】以下、本発明の実施例を、本発明範囲から外
れる比較例と比較して具体的に説明する。表1は本発明
の実施例及び比較例における溶接棒の成分を示す。表1
に示す成分を有し、心線径が4.0φの被覆アーク溶接
棒を作製し、下記の試験に供した。溶接は、JIS Z
3223「モリブデン鋼及びクロムモリブデン鋼被覆
アーク溶接棒」に準拠して行い、試験板を作製した。母
材にはJIS G3120 SQV1Bを使用し、溶接
電流は170Aの交流電流とした。予熱温度及びパス間
温度は100乃至150℃とした。また、溶接後の試験
板を690℃の温度に1時間保持してPWHT(溶接後
熱処理)を施した。このとき、昇温速度及び降温速度は
毎時50℃以下とした。また、この溶接に際して、溶接
作業性を評価した。
【0034】
【表1】
【0035】以下、前述の方法で得られた試験板の評価
方法について説明する。本実施例においては、前記試験
板の強度、靭性、高温における強度特性及び耐低温割れ
性を評価した。強度及び靭性の評価は、JISZ311
1「溶着金属の引張及び衝撃試験方法」に準拠する機械
試験により実施した。具体的には、強度の評価として室
温における引張試験を行い、また、靭性の評価として0
℃におけるシャルピー衝撃試験を行いシャルピー吸収エ
ネルギを測定した。また、高温における強度特性はクリ
ープ試験により評価した。クリープ試験は、JISZ2
271「金属材料のクリープ及びクリープ破断試験方
法」に基づき、試験板中央より試験片の平行部が6.0
φのクリープ破断試験片を採取し、試験温度600℃、
負荷応力140MPaの条件下でクリープ試験を行い、
破断に至るまでの時間を測定した。
【0036】溶接金属の耐低温割れ性の評価は、JIS
Z3157「U形溶接割れ試験方法」に基づく低温割れ
試験により実施した。溶接の予熱温度は50℃とし、ル
ートギャップは2mmとした。溶接電流は170Aと
し、溶接入力は20kJ/cmとした。溶接は室温を3
0℃、相対湿度を80%に管理した恒温・恒湿室内で行
い、溶接後の割れの有無を観察した。
【0037】なお、評価基準として、室温強度は600
MPa以上、シャルピー吸収エネルギは0℃において1
00J以上、クリープ破断時間は1000時間以上、低
温割れ試験は割れが発生しないこと、溶接作業性は良好
である場合を合格とした。表2は、被覆アーク溶接棒の
フラックスの被覆率、水分濃度及び前述の評価結果を示
す。
【0038】
【表2】
【0039】前記表1及び2において、実施例No.1
乃至10は本発明の実施例である。これらの実施例は、
溶接棒の合金成分、フラックスの被覆率及びフラックス
中の水分濃度が、本発明で規定した範囲に制限されてい
るため、良好な強度、靭性、クリープ特性、耐低温割れ
性及び溶接作業性を示した。
【0040】前記表1及び2におけるNo.11乃至2
9は比較例である。比較例No.11はフラックス中の
水分濃度が低すぎ、アークが不安定となり溶接作業性が
劣った。このため、引張試験、シャルピー衝撃試験、ク
リープ試験及び低温割れ試験は実施できなかった。比較
例No.12はCが少なすぎ、室温強度及びクリープ特
性が劣った。比較例No.13はCが多すぎ、またフラ
ックス中の水分量が多すぎたため、耐低温割れ性が劣っ
た。比較例No.14はSiが少なすぎ、溶接金属のな
じみが悪く溶接作業性が劣った。このため、引張試験、
シャルピー衝撃試験、クリープ試験及び低温割れ試験は
実施できなかった。比較例No.15はSiが多すぎ、
シャルピー衝撃値が劣った。即ち、靭性が劣っていた。
比較例No.16はMnが少なすぎ、靭性が劣った。比
較例No.17はMnが多すぎ、室温強度が高くなりす
ぎたため靭性が劣った。また、クリープ特性も劣ってい
た。比較例No.18はCrが少なすぎ、クリープ特性
が劣った。比較例No.19はCrが多すぎ、クリープ
特性が劣った。また、靭性も劣っていた。比較例No.
20はMoが少なすぎ、室温強度及びクリープ特性が劣
った。比較例No.21はMoが多すぎ、室温強度が高
くなりすぎたため靭性が劣った。比較例No.22はV
が少なすぎ、クリープ特性が劣った。比較例No.23
はVが多すぎ、靭性が劣った。比較例No.24はNb
とTaの合計量が少なすぎ、クリープ特性が劣った。比
較例No.25はNbとTaの合計量が多すぎ、靭性が
劣った。比較例No.26はWが少なすぎ、クリープ特
性が劣った。比較例No.27はWが多すぎ、室温強度
が高くなりすぎたため靭性が劣った。比較例No.28
はNが少なすぎ、クリープ特性が劣った。比較例No.
29はNが多すぎ、溶接作業性が不良であったため、引
張試験、シャルピー衝撃試験、クリープ試験及び低温割
れ試験は実施できなかった。比較例No.30はフラッ
クス被覆率が低すぎ、溶接作業性が不良であったため、
引張試験、シャルピー衝撃試験、クリープ試験及び低温
割れ試験は実施できなかった。また、比較例No.31
はフラックス被覆率が高すぎ、溶接作業性が不良であっ
たため、引張試験、シャルピー衝撃試験、クリープ試験
及び低温割れ試験は実施できなかった。
【0041】
【発明の効果】前述の如く、本発明によれば、溶接部に
おいて強度、靭性、高温での強度特性及び耐低温割れ性
が優れた溶接金属を形成することができ、更に、溶接作
業性にも優れた低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒を得る
ことができる。本発明の低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接
棒は、発電用ボイラー及び圧力容器等を構成する耐熱鋼
材の溶接に好適であるため、これらの産業分野の発展に
大きく寄与することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4E084 AA01 AA02 AA23 AA26 AA39 AA40 AA41 AA42 BA03 BA04 BA10 BA18 BA23 CA02 CA03 CA14 GA05 HA03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼心線と、鋼心線の周囲に被覆されたフ
    ラックスとからなる低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒に
    おいて、前記フラックスが、アーク安定剤、スラグ生成
    剤、脱酸剤、金属炭酸塩、金属フッ化物及び金属粉を含
    有し、結合剤により固着されており、被覆アーク溶接棒
    中にその全質量に対し、C:0.005乃至0.08質
    量%、Si:0.60乃至3.00質量%、Mn:0.
    50乃至2.50質量%、Cr:1.00乃至3.50
    質量%、Mo:0.05乃至1.20質量%、V:0.
    01乃至0.60質量%、Nb及びTa:合計量で0.
    01乃至0.20質量%、W:0.6乃至2.5質量
    %、N:0.003乃至0.050質量%を含有し、前
    記フラックスの被覆率が20乃至40質量%であり、前
    記フラックス中の水分濃度が150乃至1200ppm
    であることを特徴とする低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接
    棒。
  2. 【請求項2】 更に、Ni:0.1乃至1.5質量%、
    Co:0.1乃至1.5質量%、Al:0.10質量%
    以下、Ti:0.05質量%以下及びB:0.01乃至
    0.1質量%からなる群から選択された少なくとも1種
    を含有することを特徴とする請求項1に記載の低合金耐
    熱鋼用被覆アーク溶接棒。
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