JP2002263883A - 低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒 - Google Patents

低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒

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JP2002263883A
JP2002263883A JP2001070278A JP2001070278A JP2002263883A JP 2002263883 A JP2002263883 A JP 2002263883A JP 2001070278 A JP2001070278 A JP 2001070278A JP 2001070278 A JP2001070278 A JP 2001070278A JP 2002263883 A JP2002263883 A JP 2002263883A
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welding
welding rod
temperature
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JP2001070278A
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Akira Toyama
晃 遠山
Yusuke Minami
雄介 南
Akinobu Goto
明信 後藤
Masaru Yamashita
賢 山下
Takeshi Nakagawa
武 中川
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Kobe Steel Ltd
JFE Engineering Corp
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 550℃前後の中温域でのクリープ強度を向
上させた低合金耐熱鋼の溶接に使用できて、溶接作業性
が良好で、室温引張強さ、高温クリープ強度、靭性及び
耐低温割れ性に優れた溶接金属を得ること。 【解決手段】 鋼心線の表面に被覆剤を被覆率t:20〜
40%となるように被覆した被覆アーク溶接棒において、
下記式1で求められる値にて、C:0.02〜0.30重量%、
Si:0.06〜3.00重量%、Mn:0.50〜2.50重量%、C
r:1.00〜3.50重量%、Mo:0.10〜1.20重量%、V:
0.1 〜1.0 重量%、Nb:0.02〜0.50重量%、W:0.10
〜0.50重量%及びN:0.003 〜0.050 重量%をそれぞれ
含有し、さらに、Ni、Co、Al、Ti及びBより選
ばれた1種又は2種以上を所定量含有することを特徴と
する低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒。溶接棒中の化学
成分 M=[M]w +(t/(100−t))×[M]f …式1

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、550℃前後の中
温域でのクリープ強度を向上させた低合金耐熱鋼の溶接
に使用される被覆アーク溶接棒に関し、溶接作業性が良
好であるとともに、機械的性能及び耐低温割れ性に優れ
た溶接金属を得ることができる低合金耐熱鋼用被覆アー
ク溶接棒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、地球温暖化に対する対策として、
炭酸ガスの発生量を減らすことが求められている。そこ
で、火力発電用ボイラの高効率化、すなわち、単位発電
量当たりの燃料消費量の低減を図るため、蒸気条件がよ
り高温及び高圧になる傾向がある。そして、このような
条件下で使用される鋼板が開発されており、これに対応
する種々の溶接材料が提案されている。さて、火力発電
用ボイラ、石油化学プラント、原子力圧力容器用の構造
部材としては、2・1/4Cr−1Mo鋼等の低合金耐
熱鋼、9〜12Cr鋼等のフェライト系耐熱鋼、18C
r−8Ni鋼等のオーステナイト系ステンレス鋼が使用
されている。従来は、一般に、600℃以上の高温下で
使用される構造部材には、9〜12Cr鋼や、オーステ
ナイト系ステンレス鋼が用いられ、それより低温の条件
では低合金耐熱鋼が用いられている。
【0003】ところで、近年、550℃前後の中温域で
のクリープ強度を向上させた低合金耐熱鋼が開発されて
いる。例えば、特開平2−217438号公報に開示さ
れる耐熱鋼は、Crが3.5%以下の低合金鋼をベース
にMoとWを複合添加してマトリックスを固溶強化する
ことにより、550℃前後の中温域で9〜12Cr鋼な
みのクリープ強度が得られている。
【0004】そして、このような550℃前後の中温域
でのクリープ強度を向上させた低合金耐熱鋼に用いられ
る溶接材料として、特開平5−269590号公報に
は、TIG溶接に使用される溶接ワイヤが提案されてい
る。また、特開平7−303988号公報には、高温で
のクリープ強度を向上させた2・1/4Cr−1Mo−
W−1/4V鋼を適用対象とし、そのMIG溶接に使用
される溶接ワイヤが提案されている。しかしながら、従
来、溶接施工に必須である被覆アーク溶接棒については
適切なものが開発されていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、550℃前後の中温域でのクリープ強度を向上させ
た低合金耐熱鋼の溶接に使用することができて、溶接作
業性が良好であるとともに、室温引張強さ、高温クリー
プ強度、靭性及び耐低温割れ性に優れた溶接金属を得る
ことができる低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明による低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒
は、鋼心線の表面に、金属炭酸塩、金属ふっ化物、アー
ク安定剤、スラグ生成剤、脱酸剤、合金粉及び結合剤を
含む被覆剤を、被覆率(溶接棒全重量に対する被覆剤重
量の割合)が20〜40%となるように被覆した被覆ア
ーク溶接棒において、下記式1で求められる値にて、
C:0.02〜0.30重量%、Si:0.06〜3.
00重量%、Mn:0.50〜2.50重量%、Cr:
1.00〜3.50重量%、Mo:0.10〜1.20
重量%、V:0.1〜1.0重量%、Nb:0.02〜
0.50重量%、W:0.10〜0.50重量%及び
N:0.003〜0.050重量%をそれぞれ含有し、
さらに、Ni:0.1〜1.5重量%、Co:0.1〜
1.5重量%、Al:0.10重量%以下、Ti:0.
05重量%以下及びB:0.01〜0.1重量%より選
ばれた1種又は2種以上を含有することを特徴とする低
合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒である。
【0007】ここで、前記式1は、M=[M]w +(t
/(100−t))×[M]f である。そして、Mは
右辺で規定される計算で求められた溶接棒中の化学成分
Mの含有量(重量%)、[M]w は鋼心線中の化学成分
Mの含有量を鋼心線全重量に対する重量%で表した値、
[M]f は被覆剤中の化学成分Mの含有量を被覆剤全重
量に対する重量%で表した値、tは被覆率(%)、であ
る。K=t/(100−t)とすると、例えば炭素Cに
ついては、[C]w +K×[C]f の値が0.02〜
0.30重量%である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明による低合金耐熱鋼
用被覆アーク溶接棒について説明する。本発明の被覆ア
ーク溶接棒において、鋼心線及び被覆剤のいずれか一
方、又は両方に含有される化学成分とその値の限定理由
は以下のとおりである。なお、各化学成分値は、本発明
において化学成分値を規定するために用いる前記式1で
求められるものである。
【0009】被覆率:20〜40% 被覆率が20%未
満であると、溶接ビードを十分に覆うスラグ量が得られ
ないことで溶接ビード外観が悪化し、また、被覆剤に含
まれるアーク安定剤の効果が十分に得られないことでス
パッタ発生量が増加し、そのため溶接作業性が悪化す
る。一方、被覆率が40%を超えると、スラグ量が過多
となり、溶接欠陥であるスラグ巻き込みが発生しやすく
なる。また、被覆径の増加により、溶接すべき開先内で
の運棒が溶接棒が太すぎて十分に行えず、溶接作業がや
りにくくなる。したがって、被覆率は20〜40%とし
た。より好ましくは、23〜33%とする。
【0010】C:0.02〜0.30重量% Cは、溶
接金属の強度を確保する上で重要な元素であり、本発明
においてはV,Nbと結合して炭化物をつくり、高温で
のクリープ強度を高めるのに有効である。式1による溶
接棒中のC含有量が0.02重量%未満であると、強度
を確保できない。一方、C含有量が0.30重量%を超
えると、強度が高くなりすぎて、耐低温割れ性の低下を
招く。したがって、式1による溶接棒中のC含有量は
0.02〜0.30重量%とした。
【0011】Si:0.60〜3.00重量% Si
は、脱酸元素として有効であり、また、母材に対する溶
接金属のなじみを良好にする効果を持つ元素である。式
1による溶接棒中のSi含有量が0.06重量%未満で
あると、溶接金属の母材とのなじみが悪くなって、融合
不良などの溶接欠陥が発生しやすくなる。一方、Si含
有量が3.00重量%を超えると、脱酸作用が強くなり
すぎて他の元素の歩留まりを高めることで結果として強
度が高くなりすぎて、靭性の低下を招く。したがって、
式1による溶接棒中のSi含有量は0.60〜3.00
重量%とした。
【0012】Mn:0.50〜2.50重量% Mn
は、脱酸元素として作用するとともに、溶接金属の焼き
入れ性を高めて靭性を向上させる効果を持つ元素であ
る。式1による溶接棒中のMn含有量が0.50重量%
未満であると、溶接金属の焼き入れ性が十分でなく溶接
金属の結晶粒が粗大化して、良好な靭性が得られない。
一方、2.50重量%を超えると、溶接金属の強度が高
くなりすぎて、逆に靭性の低下を招く。したがって、式
1による溶接棒中のMn含有量は0.50〜2.50重
量%とした。
【0013】Cr:1.00〜3.50重量% Cr
は、高温での耐酸化性を確保するとともに、高温でのク
リープ強度を向上させる効果を持つ元素である。式1に
よる溶接棒中のCr含有量が1.00重量%未満である
と、前記効果が得られず高温クリープ強度を向上させる
ことができない。一方、3.50重量%を超えると、逆
にクリープ強度が低下する。したがって、式1による溶
接棒中のCr含有量は1.00〜3.50重量%とし
た。
【0014】Mo:0.10〜1.20重量% Mo
は、マトリックスを固溶強化することにより高温クリー
プ強度を向上させる効果を持つ元素である。その効果は
Wとの複合添加により大きくなる。式1による溶接棒中
のMo含有量が0.10重量%未満であると、前記効果
が十分に発揮されず高温クリープ強度を向上させるのが
困難になる。一方、1.20重量%を超えると、室温の
強度が高くなりすぎて、溶接金属の靭性が低下する。し
たがって、式1による溶接棒中のMo含有量は0.10
〜1.20重量%とした。
【0015】V:0.1〜1.0重量% Vは、溶接金
属中に微細炭化物として析出して、高温クリープ強度を
向上させる効果を持つ元素である。式1による溶接棒中
のV含有量が0.1重量%未満であると、十分な微細炭
化物量が得られず高温クリープ強度を向上させるのが困
難になる。一方、1.0重量%を超えると、室温の強度
が高くなりすぎて、溶接金属の靭性の低下を招く。した
がって、式1による溶接棒中のV含有量は0.1〜1.
0重量%とした。
【0016】W:0.10〜0.55重量% Wは、M
oと同様にマトリックスを固溶強化することにより高温
クリープ強度を向上させる効果を持つ元素である。式1
による溶接棒中のW含有量が0.10重量%未満である
と、前記効果が小さく高温クリープ強度を向上させるの
が困難になる。一方、0.55重量%を超えると、室温
の強度が高くなりすぎて、溶接金属の靭性を低下させ
る。したがって、式1による溶接棒中のW含有量は0.
10〜0.55重量%とした。
【0017】Nb:0.02〜0.50重量% Nb
は、Vと同様に溶接金属中に微細炭化物として析出し
て、高温クリープ強度を向上させる効果を持つ元素であ
る。式1による溶接棒中のNb含有量が0.02重量%
未満であると、十分な微細炭化物量が得られず高温クリ
ープ強度を向上させるのが困難になる。一方、0.50
重量%を超えると、室温の強度が高くなりすぎて、溶接
金属の靭性の低下を招く。したがって、式1による溶接
棒中のNb含有量は0.02〜0.50重量%とした。
【0018】N:0.003〜0.050重量% N
は、溶接金属中に固溶し、あるいはNb,Vと結合して
窒化物を析出して、高温クリープ強度を向上させる効果
を持つ元素である。式1による溶接棒中のN含有量が
0.003重量%未満であると、前記効果が得られな
い。一方、0.050重量%を超えると、溶接金属中に
固溶しきれなくなって球状欠陥が発生したり、析出物を
粗大化させて逆にクリープ強度を損なったりすることに
なる。したがって、式1による溶接棒中のN含有量は
0.003〜0.050%重量%とした。
【0019】Ni:0.15〜1.5重量% Niは、
溶接金属の靭性の改善に効果があるため添加してもよ
い。過剰の添加はクリープ強度を損なうので、添加する
場合、式1による溶接棒中のNi含有量は0.15〜
1.5%とした。
【0020】Co:0.1〜1.5重量% Coは、溶
接金属の短時間高温強度及びクリープ強度を向上させる
効果があるため添加してもよい。過剰の添加は靭性を低
下させるので、添加する場合、式1による溶接棒中のC
o含有量は0.15〜1.5重量%とした。
【0021】Al:0.10重量%以下 Alは、強脱
酸元素として溶接金属の低酸素化に有効であり、靭性の
改善に効果があるため添加してもよい。過剰の添加は脱
酸作用が強くなりすぎて耐低温割れ性及び靭性の低下を
招くので、添加する場合、式1による溶接棒中のAl含
有量は0.10重量%以下とした。
【0022】Ti:0.05重量%以下 Tiは、溶接
金属中に微細炭化物として析出して、高温クリープ強度
を向上させる効果があるため、添加してもよい。過剰の
添加は溶接金属の室温強度が高くなりすぎ、靭性を低下
させるので、添加する場合、式1による溶接棒中のTi
含有量は0.05重量%以下とした。
【0023】B:0.01〜0.1重量% Bは、微量
添加により溶接金属組織を微細にして溶接金属の靭性を
向上させる効果があるため、添加してもよい。過剰の添
加は溶接金属の結晶粒界に過剰に析出し結晶界面の強度
低下によって靭性を低下させるので、添加する場合、式
1による溶接棒中のB含有量は0.01〜0.1重量%
とした。
【0024】なお、本発明においては、不可避的不純物
として、例えば、P、S、Sn、Sb、As及びPb等
があるが、これらの不可避的不純物については、勿論、
溶接棒中の含有量をできるだけ減らすことが好ましい。
【0025】本発明による低合金耐熱鋼用被覆アーク溶
接棒は、鋼心線の表面に、金属炭酸塩、金属ふっ化物、
アーク安定剤、スラグ生成剤、脱酸剤、合金粉及び結合
剤を含む被覆剤を、前記結合剤により被覆して製造され
る。
【0026】被覆剤において金属炭酸塩には、例えば石
灰石,ドロマイト,マグネサイト,炭酸バリウム,炭酸
ストロンチウム,炭酸リチウム,炭酸マンガンなどがあ
る。金属ふっ化物には、例えば蛍石,氷晶石,ふっ化ソ
ーダ,珪ふっ化カリ,珪ふっ化ソーダなどがある。アー
ク安定剤には、例えばルチール,アルカリ金属の化合物
などがある。スラグ生成剤には、例えば珪酸化合物,酸
化物などがある。
【0027】脱酸剤には、金属単体としては、例えばA
l,Ti,Si,Mn,Mgなどがあり、鉄合金として
は、例えばFe−Mn,Fe−Si,Fe−Si−M
n,Fe−Al,Fe−Tiなどがある。合金粉には、
例えばNi,Cr,Mo,W,Co,Fe−Mo,Fe
−Cr,Fe−Nb,Fe−V,Fe−W,Fe−Bな
どがある。鋼心線に前記合金粉のこれらの元素の大部分
を含有させている。被覆剤中に合金粉を含有させる目的
は、溶接時に酸化消耗する成分を補うこと、及び溶接金
属の目標成分を満足しない場合に、被覆剤中に含有させ
て溶接金属の機械的性能の向上及び耐割れ性の改善を図
ることにある。結合剤(粘結剤)は、珪酸カリウム水溶
液と珪酸ソーダ水溶液とよりなる水ガラスである。そし
て、被覆剤を鋼心線のまわりに被覆するときには、結合
剤が乾燥する前に結合剤を含む被覆剤(フラックス)を
塗布して乾燥を行う。
【0028】
【実施例】以下、本発明による低合金耐熱鋼用被覆アー
ク溶接棒を用いて低合金耐熱鋼を溶接した実施例につい
て、比較例とともに説明する。まず、表1及び表2に示
すように、No.1〜No.7の実施例の被覆アーク溶
接棒を作製するとともに、No.8〜No.32の比較
例の被覆アーク溶接棒を作製した。表1及び表2には、
これら溶接棒No.1〜No.32の前記式1で求めら
れる各化学成分値を示している。各実施例及び各比較例
とも鋼心線の直径が4.0mmの被覆アーク溶接棒であ
る。
【0029】次に、得られた各被覆アーク溶接棒を用い
て、JIS Z 3223「モリブデン鋼及びクロムモ
リブデン鋼被覆アーク溶接棒」に準拠して、開先部を溶
接してなる試験板を作製した。母材にはJISに準拠し
て、軟鋼の開先面に供試溶接棒にてバタリングを施して
なるものを使用した。前記試験板の溶接においては、溶
接電流を交流の170A、予熱・パス間温度を100〜
150℃とした。なお、溶接中の観察によって溶接作業
性についても評価した。次いで、溶接後の試験板に対し
て、740℃で1時間のPWHT(溶接後熱処理)を施
した。このPWHT時には、昇温速度及び降温速度が毎
時50℃以下となるようにして昇温及び降温を行った。
【0030】しかる後、得られた試験板に対して機械試
験として、JIS Z 3111「溶着金属の引張及び
衝撃試験方法」に準拠して、室温引張試験及びシャルピ
ー衝撃試験を実施した。また、JIS Z 2273
「金属材料の引張クリープ破断試験方法」に基づいて、
試験板中央部から、試験片平行部の直径が6.0mmの
クリープ破断試験片を採取して、クリープ破断試験を実
施した。そして、これらの室温引張試験、シャルピー衝
撃試験及びクリープ破断試験により、溶接金属の機械的
性能を評価した。
【0031】また、JIS Z 3157「U形溶接割
れ試験方法」に準拠して、低温割れ試験を実施した。こ
の低温割れ試験に使用した試験板の溶接においては、試
験板ルートギャツプ寸法を2mmとし、溶接電流を交流
の170A、溶接入熱を20kJ/cm、予熱温度を5
0℃とした。そして、温度30℃で相対湿度80%に管
理された恒温・恒湿の試験室内において溶接を行って低
温割れ試験に使用した試験板を作製した。
【0032】機械試験の評価基準は、室温引張試験につ
いては、600MPa以上のものを合格とし、衝撃試験
については、シャルピー吸収エネルギーが0℃において
100J以上のものを合格とし、クリープ破断試験につ
いては、試験温度600℃×負荷応力140MPaでの
破断時間が1000時間以上のものを合格とした。低温
割れ試験は、割れが発生しなかったものを○(良好)と
し、割れが発生したものを×(不良)とした。溶接作業
性は、アーク安定性、スパッタ発生量、ビード外観及び
溶接のやりやすさについて判定し、全体的に良好なもの
を○とし、悪いものを×(不良)とした。そして、総合
評価は、機械的性能、耐低温割れ性及び溶接作業性の三
者が良好なものを○(合格)とし、これ以外のものを×
(不合格)とした。これらの評価結果を表3に示す。
【0033】なお、比較例のNo.8、No.9及びN
o.12は溶接作業性が不良であったために、比較例N
o.27は溶接金属中に球状欠陥が多発したために、機
械試験及び低温割れ試験を実施しなかった。また、比較
例No.11及びNo.30は、低温割れが発生したた
め、これ以外の機械試験を実施しなかった。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】表3に示すように、比較例No.8〜N
o.32では、本発明で規定する要件の何れかを欠くた
め、次のような問題があった。すなわち、比較例No.
8及びNo.9は、被覆率が本発明範囲から外れている
ので、溶接作業性が悪かった。比較例No.10はC含
有量が本発明範囲の下限未満であるので、室温引張強さ
及びクリープ破断強度が低下し、比較例No.11はC
含有量が本発明範囲の上限を超えているので、低温割れ
が発生した。比較例No.12は、Si含有量が本発明
範囲の下限未満であるので、溶接作業性が不良であっ
た。比較例No.13は、Si含有量が本発明範囲の上
限を超えているので、溶接金属の靭性が低下した。比較
例No.14及び比較例No.15は、Mn含有量が本
発明範囲から外れているので、溶接金属の靭性が低下し
た。
【0038】比較例No.16及び比較例No.17
は、Cr含有量が本発明範囲から外れているので、クリ
ープ破断強度が低下した。比較例No.18は、Mo含
有量が本発明範囲の下限未満であるので、室温引張強
さ、高温クリープ強度及び室温引張強さが低下した。比
較例No.19は、Mo含有量が本発明範囲の上限を超
えているので、溶接金属の靭性が低下した。比較例N
o.20は、V含有量が本発明範囲の下限未満であるの
で、クリープ破断強度が低下した。比較例No.21
は、V含有量が本発明範囲の上限を超えているので、溶
接金属の靭性が低下した。
【0039】比較例No.22は、Nb含有量が本発明
範囲の下限未満であるので、クリープ破断強度が低下し
た。比較例No.23は、Nb含有量が本発明範囲の上
限を超えているので、溶接金属の靭性が低下した。比較
例No.24は、W含有量が本発明範囲の下限未満であ
るので、クリープ破断強度が低下した。比較例No.2
5は、W含有量が本発明範囲の上限を超えているので、
溶接金属の靭性が低下した。比較例No.26は、N含
有量が本発明範囲の下限未満であるので、クリープ破断
強度が低下した。比較例No.27は、N含有量が本発
明範囲の上限を超えているので、溶接金属中に球状欠陥
が多発した。
【0040】比較例No.28は、Ni含有量が本発明
範囲の上限を超えているので、クリープ破断強度が低下
した。比較例No.29は、Co含有量が本発明範囲の
上限を超えているので、溶接金属の靭性が低下した。比
較例No.30は、Al含有量が本発明範囲の上限を超
えているので、低温割れが発生した。比較例No.31
は、Ti含有量が本発明範囲の上限を超えているので、
溶接金属の靭性が低下した。比較例No.32は、B含
有量が本発明範囲の上限を超えているので、溶接金属の
靭性が低下した。
【0041】これに対して、表3に示すように、実施例
No.1〜No.7は、本発明において化学成分を規定
するための前記式1による化学成分値が全て本発明の範
囲内であり、溶接作業性が良好であるとともに、室温引
張強さ、600℃での高温クリープ強度、靭性及び耐低
温割れ性に優れた溶接金属を得ることができた。
【0042】
【発明の効果】以上述べたように、本発明による低合金
耐熱鋼用被覆アーク溶接棒によると、550℃前後の中
温域でのクリープ強度を向上させた低合金耐熱鋼の溶接
に使用することができ、溶接作業性が良好であるととも
に、室温引張強さ、高温クリープ強度、靭性及び耐低温
割れ性に優れた溶接金属を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 南 雄介 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 後藤 明信 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内 (72)発明者 山下 賢 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内 (72)発明者 中川 武 大阪府茨木市東宇野辺町2番19号 株式会 社神戸製鋼所茨木工場内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼心線の表面に、金属炭酸塩、金属ふっ
    化物、アーク安定剤、スラグ生成剤、脱酸剤、合金粉及
    び結合剤を含む被覆剤を、被覆率(溶接棒全重量に対す
    る被覆剤重量の割合)が20〜40%となるように被覆
    した被覆アーク溶接棒において、下記式1で求められる
    値にて、C:0.02〜0.30重量%、Si:0.0
    6〜3.00重量%、Mn:0.50〜2.50重量
    %、Cr:1.00〜3.50重量%、Mo:0.10
    〜1.20重量%、V:0.1〜1.0重量%、Nb:
    0.02〜0.50重量%、W:0.10〜0.50重
    量%及びN:0.003〜0.050重量%をそれぞれ
    含有し、さらに、Ni:0.1〜1.5重量%、Co:
    0.1〜1.5重量%、Al:0.10重量%以下、T
    i:0.05重量%以下及びB:0.01〜0.1重量
    %より選ばれた1種又は2種以上を含有することを特徴
    とする低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒。 M=[M]w +(t/(100−t))×[M]f …式1 ただし、M:右辺で規定される計算で求められた溶接棒
    中の化学成分Mの含有量(重量%)、[M]w :鋼心線
    中の化学成分Mの含有量を鋼心線全重量に対する重量%
    で表した値、[M]f :被覆剤中の化学成分Mの含有量
    を被覆剤全重量に対する重量%で表した値、t:被覆率
    (%)、である。
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