JP3459954B2 - 削孔内部の部分拡径工法、削岩ヘッドならびに削岩機 - Google Patents

削孔内部の部分拡径工法、削岩ヘッドならびに削岩機

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JP3459954B2
JP3459954B2 JP2002090915A JP2002090915A JP3459954B2 JP 3459954 B2 JP3459954 B2 JP 3459954B2 JP 2002090915 A JP2002090915 A JP 2002090915A JP 2002090915 A JP2002090915 A JP 2002090915A JP 3459954 B2 JP3459954 B2 JP 3459954B2
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昭男 神島
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株式会社神島組
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、岩盤表面から所
定の削孔形成方向に形成された削孔の内壁面の一部を拡
径予定位置として径方向に拡大削岩して拡径する削孔内
部の部分拡径工法、この工法に適した削岩ヘッドならび
に削岩機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】岩盤掘削作業を効率的に行うためには、
できるだけ自由面を多くすることが望ましい。そこで、
従来より心抜き発破を行い、心抜き部分を順次切り広げ
る工法が採用されている。なお、この明細書では、岩盤
に心抜き部分を形成する作業を「心抜き作業」と称して
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、市街地近辺
での岩盤掘削作業では、基本的に発破を使用することが
極めて困難であることから、上記心抜き作業を次のよう
にして行っている。すなわち、削岩機によって複数の削
孔を形成し、その周囲を油圧ブレーカや割岩装置などを
用いて削孔を広げることで心抜き部分を形成している。
【0004】しかしながら、大きな心抜き部分を形成す
るためには、長時間を要してしまうという問題がある。
例えば、油圧ブレーカを用いると、その作業時に発生す
る粉塵や被削物などが心抜き部分に入り込んで心抜き作
業を遅延させてしまう。
【0005】また、割岩装置を用いて心抜き作業を行う
場合、割岩装置によって岩盤に与える亀裂を岩盤の表面
(自由面)に伝播させることができれば、効率良く心抜
き作業を行うことができるのであるが、従来の割岩装置
では、これが困難であった。というのも、従来の割岩装
置は、例えば特開平8−105288号公報に記載され
ているように、油圧ジャッキによって楔部材を進退させ
ることで進退方向とほぼ直交する方向に開拡片を広げ、
岩盤に亀裂を発生させるものであるため、割岩装置を岩
盤表面に対して大きく傾けた状態にセットでもしない限
り、通常の使用態様では岩盤表面側に亀裂が伝播され
ず、効果的に心抜き部分を形成することが困難であるか
らである。
【0006】そこで、本願発明者は、後述する割岩装置
を用いて岩盤に亀裂を形成する前に予め削孔の一部を径
方向に拡大削岩して段差部を形成しておき、この段差部
に割岩装置の可動部材の先端部を係合させた後、可動部
材の先端部を削孔形成方向と鋭角をなす方向で、かつ岩
盤表面に向けて移動して削孔の内壁面に圧力を与えるこ
とによって、削孔の側部から岩盤表面に向けて亀裂を与
えて岩盤を割岩する心抜き工法を創作した。
【0007】ところで、心抜き工法を実施するために
は、削孔の一部に段差部を形成するための工法が必要と
なる。また、その段差部を形成するのに適した装置や部
品も必要となる。
【0008】この発明は上記課題に鑑みなされたもので
あり、岩盤表面から所定の削孔形成方向に形成された削
孔の一部を径方向に拡大削岩して削孔内に段差部を形成
することができる削孔内部の部分拡径工法、これらの工
法に適した削岩ヘッドならびに削岩機を提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、岩盤表面か
ら所定の削孔形成方向に形成された削孔の内壁面の一部
を拡径予定位置として径方向に拡大削岩して拡径する削
孔内部の部分拡径工法であって、上記目的を達成するた
め、前記削孔内壁面を向いた側面に削岩ビットが取り付
けられたヘッド可動部材を、前記削孔に挿入し、前記拡
径予定位置で前記削岩ビットを前記削孔内壁面に対向配
置する第1工程と、前記ヘッド可動部材を、前記削孔の
中心軸を中心として回転移動させながら前記削孔形成方
向に対してほぼ直交する前記径方向に移動させて前記拡
径予定位置の岩盤を前記削岩ビットで削岩して前記削孔
を拡径することによって前記拡径予定位置に段差部を形
成する第2工程とを備えている。
【0010】この発明では、前記削孔内壁面を向いた側
面に削岩ビットが取り付けられたヘッド可動部材を、
孔に挿入し、拡径予定位置で前記削岩ビットを前記削孔
内壁面に対向するように配置した後、ヘッド可動部材を
削孔の中心軸を中心として回転移動させながら前記削孔
形成方向に対してほぼ直交する前記径方向に移動させて
前記拡径予定位置の岩盤を前記削岩ビットで削岩して前
記削孔を拡径する。このような部分拡径工法を採用する
ことで、削孔内部の任意の位置を削孔の径方向に拡径し
て削孔内に段差部を形成することができ、汎用性に優れ
た部分拡径作業を行うことができる。
【0011】また、上記のように削孔の一部を径方向に
拡大削岩するためには、以下のような削岩ヘッドを装着
した削岩機を用いることができる。すなわち、この発明
にかかる削岩ヘッドは、回転駆動力を受けるヘッド本体
と、削孔形成方向と鋭角をなす方向においてヘッド本体
に対してスライド自在に設けられ、削孔形成方向におけ
るヘッド本体の移動にともなって削孔の中心軸を中心と
して前記削孔形成方向に対してほぼ直交する径方向にお
いて互いに接近・離間移動する複数のヘッド可動部材と
を備え、各ヘッド可動部材には削孔内壁面を向いた側面
に拡径用削岩ビットが取り付けられている。そして、こ
の削岩ヘッドを回転駆動部とを備えた削岩機に装着し、
ヘッド本体を削孔形成方向に移動させることによって複
数のヘッド可動部材を互いに離間移動させながら、前記
回転駆動力によって前記中心軸を中心として回転させて
前記拡径用削岩ビットにより削孔内壁面を削岩すること
で削孔の一部を径方向に拡大させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本願発明者が創作した心抜き工法
は、大きく分けて次の工程、(1)岩盤表面から所定の削
孔形成方向に削孔を形成する削孔形成工程と、(2)その
削孔の一部を径方向に拡大させて削孔の内壁面に段差部
を形成する段差部形成工程と、(3)段差部から削孔の内
壁面に圧力を与え、岩盤に亀裂を形成する亀裂導入工程
と、(4)亀裂が形成された岩盤表面部を破砕する破砕工
程とで構成されている。以下、各工程について順番に説
明する。
【0013】A.削孔形成工程について ここで、削孔形成工程を実行するにあたっては、従来よ
り周知の削岩機が用いられている。すなわち、この削岩
機は、ドリルロッドやシャンクロッド等と称されるロッ
ドの先端部に削岩ヘッドを取り付け、さらにロッドに対
して打撃駆動部によりロッドの長手方向に打撃振動を与
えるとともに、回転駆動部によりロッドを回転させるよ
うに構成されている。そして、ロッドを介して削岩ヘッ
ドに対して回転打撃力を与えながら、その削岩ヘッドを
岩盤内部に送り込んで岩盤に削孔を形成する。
【0014】B.段差部形成工程(削孔内部の部分拡径
工程)について 次に、削孔を形成する際に使用した削岩ヘッドの代わり
に、図1に示す削岩ヘッドをロッドに装着して削孔の一
部を径方向に拡大削岩する、つまり削孔内部を部分的に
拡径する。
【0015】図1はこの発明にかかる削岩ヘッドの一実
施形態を示す斜視図であり、また図2は図1のA−A線
断面図であり、さらに図3ないし図5は図1の削岩ヘッ
ドを用いた段差部形成動作を示す図である。
【0016】この削岩ヘッド2は、図1に示すように、
削岩機のロッド4に着脱可能なヘッド本体6を備えてお
り、ロッド4の先端部に装着された状態で削岩機の打撃
駆動部(図示省略)および回転駆動部(図示省略)から
回転打撃力を受けるように構成されている。また、この
実施形態では、ヘッド本体6は削孔8に挿入可能なサイ
ズの厚肉プレートで構成されており、その両面の一方側
端部には削孔形成方向Xに対して鋭角(+α)をなすよ
うにガイド溝10が設けられるとともに、その両面の他
方側端部には削孔形成方向Xに対して鋭角(−α)をな
すようにガイド溝12が設けられている。
【0017】そして、ヘッド本体6の一方側端側でガイ
ド溝10に沿ってヘッド可動部材14が(+α)方向に
沿ってスライド自在に設けられるとともに、他方側端側
でガイド溝12に沿ってヘッド可動部材16が(−α)
方向に沿ってスライド自在に設けられている。このた
め、これらのヘッド可動部材14,16はヘッド本体6
を削孔形成方向Xに移動させることによって削孔8の中
心軸を中心として径方向において互いに接近・離間移動
可能となっている。また、各ヘッド可動部材14,16
には、削孔内壁面を向いた側面に削岩ビット18が取り
付けられている。なお、これらの削岩ビット18は後述
するように削孔8の内壁面を部分的に削岩して削孔径を
拡大する、つまり削孔内部を部分的に拡径する拡径用ビ
ットとして機能する。この削岩ビット18の形状、大き
さや数などについては任意であり、図1に示す削岩ビッ
ト16の代わりに後で説明する図15の削岩ビット(ボ
タンビット)を設けてもよく、このことは後で説明する
削岩ビットについても全く同様である。
【0018】また、このヘッド本体6の(+X)方向端
部には、円柱部材20の側面に部分的に突起部22を設
けた先端部材24が取り付けられており、その突起部2
2で中空部材26を係止し、この中空部材26に対して
ヘッド本体6および先端部材24が一体的に削孔形成方
向Xに移動自在となっている。
【0019】なお、この実施形態では、ロッド4、ヘッ
ド本体6および先端部材24には、それぞれ貫通孔4
a,6a,24aが設けられており、これら一直線状に
繋がる貫通孔4a,6a,24aを介して削孔8の内底
面に向けて圧縮空気を供給して後述する段差部を形成す
る際に発生する粉塵や被削物などを削孔8から排出可能
としている。
【0020】次に、上記のように構成された削岩ヘッド
2を用いて削孔8の一部を径方向に拡大させて削孔8の
内壁面に段差部を形成する動作(削孔内部の部分拡径動
作)について図3ないし図5を参照しつつ説明する。ま
ず、上記削孔形成工程の実行によって岩盤表面28から
岩盤内部に向けて下方向(+X)に形成された削孔8に
対し、ロッド4に削岩ヘッド2を装着した削岩機をセッ
トする。すなわち、図3に示すように、削岩ヘッド2を
削孔8内に挿入し、中空部材26を削孔底部に載置して
削孔径を拡大する拡径予定位置、つまり段差部形成位置
にヘッド可動部材14,16を配置する。このとき、ヘ
ッド可動部材14,16は自重によって中空部材26の
上端部で係止されている。なお、この実施形態では、中
空部材26が削孔底部に達するまで削岩ヘッド2を削孔
8内に挿入しているが、段差部形成位置を図3の位置よ
りも上方位置とする場合には、中空部材26が削孔底部
から浮いた状態で削岩ヘッド2を位置決めするようにし
てもよい。
【0021】次に、削岩機の打撃駆動部および回転駆動
部の作動を開始して削岩ヘッド2に回転打撃力を与えな
がら、打撃駆動部、回転駆動部、ロッド4、ヘッド本体
6および先端部材24を一体的に削孔形成方向(+X)
に送り込んでいく。このとき、圧縮空気の送給も同時に
開始して貫通孔4a,6a,24aを介して削孔8の内
底面に向けて圧縮空気を送り込んでいる。
【0022】すると、上記送り込み動作に応じて、ヘッ
ド可動部材14,16が削孔8の中心軸を中心として径
方向において互いに離間移動し、図4に示すように削岩
ビット18が削孔内壁面と接触して段差部形成位置での
岩盤の削岩が開始される。さらに、打撃駆動部、回転駆
動部、ロッド4、ヘッド本体6および先端部材24を一
体的に削孔形成方向(+X)に送り込み、この送り込み
動作に応じてヘッド可動部材14,16が削孔内壁面を
削岩しながら、削孔8の中心軸を中心として径方向にお
いて互いにさらに離間移動していく(図5)。これによ
って、削孔径が拡大されて段差部(後で説明する例えば
図8中の符号30)が形成される。
【0023】こうして、所望深さ、例えば15mm〜2
0mm程度だけ削孔8の一部を削岩して段差部が形成さ
れると、打撃駆動部および回転駆動部の作動を停止する
とともに、圧縮空気の供給も停止して削岩動作を停止さ
せる。そして、それに続いて、打撃駆動部、回転駆動
部、ロッド4、ヘッド本体6および先端部材24を一体
的に(−X)方向に引上げてヘッド可動部材14,16
を削孔8の中心軸を中心として径方向において互いに近
接移動させて削孔8内に戻した後、さらに、打撃駆動
部、回転駆動部、ロッド4、ヘッド本体6および先端部
材24を一体的に(−X)方向に引上げて削孔機を削孔
8から取り除く。こうして、削孔8の一部を径方向に拡
大削孔して削孔8内に段差部が形成される。
【0024】なお、この実施形態では、図1に示すよう
にガイド溝10,12が逆ハ字状に形成されており、回
転打撃力をヘッド本体6に与えながら打撃駆動部、回転
駆動部、ロッド4、ヘッド本体6および先端部材24を
一体的に削孔形成方向Xに送り込むことでヘッド可動部
材14,16を削孔8の中心軸を中心として径方向にお
いて互いに離間させて削孔8の一部を拡大削孔している
が、ガイド溝10,12をハ字状にヘッド本体6に設
け、上記実施形態とは全く逆に、回転打撃力をヘッド本
体6に与えながら打撃駆動部、回転駆動部、ロッド4、
ヘッド本体6および先端部材24を一体的に方向(−
X)に引上げることでヘッド可動部材14,16を削孔
8の中心軸を中心として径方向において互いに離間させ
て削孔8の一部を拡大削孔するように構成してもよい。
【0025】また、この実施形態ではヘッド本体6に対
して回転駆動力と打撃振動力とを与えて削岩ビット18
により削孔内壁面を削岩しているが、回転駆動力のみを
与えて削孔内壁面を削岩して段差部を形成するようにし
てもよい。
【0026】さらに、削岩ヘッドおよび削岩機の構成に
ついては、上記実施形態に記載のものに限定されるもの
ではなく、例えば後で説明するものを用いてもよい。
【0027】C.亀裂導入工程について 次に、上記のようにして段差部が形成された削孔8の周
囲に亀裂を導入する工程について、まず亀裂を導入する
ための割岩装置の構成を説明した上で、この割岩装置を
用いて削孔8の周囲に亀裂を導入する手順について詳述
する。
【0028】図6は、心抜き工程で使用される割岩装置
の一例を示す図である。また、図7は図6の割岩装置の
部分構成を示す分解組立斜視図である。この割岩装置
は、岩盤表面28から岩盤内部に向けて下方向(+X)
に形成された削孔8の内壁面32から岩盤表面28に向
けて亀裂CRを与えて岩盤Rを割岩する装置である。こ
のように、この実施形態では下方向(+X)が削孔形成
方向となっている。
【0029】この割岩装置は、削孔8の内径よりも小さ
な外径を有し、その外周面にネジが螺刻された鋼棒34
を有している。この鋼棒34としては、一般的なPC鋼
棒の他、住友電工製の「総ネジPC鋼棒・ゲビンデスタ
ーブ」・「細径異形PC鋼棒・スミツイスト」や、神戸
製鋼所製の「高強度異形棒鋼・ネジコン」などを使用す
ることができる。
【0030】この鋼棒34の先端部には、削孔8の内径
よりも若干小さな外径を有する鋼球よりなる第1楔部材
36が取り付けられている。より詳しくは、第1楔部材
36に貫通孔が形成されており、この貫通孔に鋼棒34
の先端部が挿通されている。そして、鋼棒34の最先端
部にナット70が螺合されており、ワッシャー72を介
して第1楔部材36を支持し、第1楔部材36が鋼棒3
4の先端部から落下しないように取り付けている。もち
ろん、第1楔部材36の貫通孔に雌ネジを螺刻して鋼棒
34と螺合させたり、第1楔部材36を溶接などにより
鋼棒34に固着するようにしてもよい。
【0031】この第1楔部材36の表面のうち削孔8の
開口を向いた上半分は、鋼棒34の先端側から後端側に
向かう方向(−X)に進むにしたがって径方向寸法(こ
こでは外径)が減少する半球面38となっている。そし
て、この半球面38上に、鋼棒34を中心に放射状に配
置された3つの可動部材40,40,40よりなる可動
ユニット42が設けられている。また、各可動部材40
の一方端面41は上半球面38の曲率と同一曲率に仕上
げられており、上半球面38上をその傾斜面に沿って摺
動可能となっている。一方、各可動部材40の他方端側
では、その他方端部の一部が先端部44として削孔8の
内壁面32と当接するとともに、その他方端部の他の部
位が切欠部位46となっており、次に説明する第2楔部
材と係合可能となっている。
【0032】また、鋼棒34には、円錐台形状に仕上げ
られた第2楔部材48が遊嵌されている。この第2楔部
材48は、鋼棒34の先端側から後端側に向かう方向
(−X)に進むにしたがって径方向寸法(ここでは外
径)が増大するテーパ面50を有し、そのテーパ面50
を第1楔部材36に向けた状態で鋼棒34に沿って移動
自在となっている。そして、この実施形態では、削孔形
成方向が下方向(+X)であるため、その自重により第
1楔部材36に向いて移動し、テーパ面50が各可動部
材40の切欠部位46に係合して下方移動が規制されて
いる。したがって、後で説明するようにして各可動部材
40が削孔8の内壁面32側に移動して各切欠部位50
同士が相互に離間すると、その自重によって該離間動作
に連動してテーパ面50が各可動部材40の切欠部位4
6と係合しながら、第2楔部材48が下方移動してい
く。つまり、可動部材40は第2楔部材48により押え
付けられながら第1楔部材36の上半球面38上を摺動
移動する。なお、この実施形態では、可動部材40が摺
動する摺動面は球面であるため、鋼棒34の引上に伴い
これらの切欠部位46は、まるで花びらが開花する如く
ラッパ状に広がっていくため、この動作を考慮してテー
パ面50を設計するのが望ましい。
【0033】第2楔部材48に続いて鋼棒34には、鋼
管52が遊嵌されており、その鋼管52の先端部が第2
楔部材48の(−X)方向側端面に当接している。ま
た、鋼管52の後端近傍に位置すようにナット54が鋼
棒34に螺合されている。このため、ナット54を(+
X)方向に送り込んでいくと、このナット54は鋼管5
2を第2楔部材48に向けて押し付けた状態で鋼管52
の後端部と係合する。
【0034】さらに、この実施形態では、鋼棒34を削
孔形成方向Xに沿って駆動するための駆動ユニット56
が設けられている。この駆動ユニット56は、図6に示
すように、油圧式の中空ジャッキ(例えば、株式会社大
阪ジャッキ製作所製のO.J.パワージャッキEC10
0H15)58と、この中空ジャッキ58を支持する支
持機構60とで構成されている。この支持機構60で
は、水平支持部材62が複数本の油圧ジャッキ64によ
って岩盤表面28とほぼ平行な状態で支持されており、
各油圧ジャッキ64のピストンの伸縮量を調整すること
で岩盤表面28の凹凸にかかわらず水平支持部材62の
水平姿勢を容易に確保することができるようになってい
る。ここで、油圧ジャッキ64の配設位置については、
後で説明するようにして岩盤に亀裂を形成する際、岩盤
表面部分のうち削孔8を中心とする倒立状で、しかも略
円錐状の部分が岩盤Rから浮き上がった状態となるた
め、予め亀裂位置を予想しておき、浮き上がる部分より
も外側に油圧ジャッキ64を配置するのが望ましい。こ
のように油圧ジャッキ64を配置することで亀裂発生に
要する力を低減することができ、中空ジャッキ58の小
型化を図ることができ、より好適である。
【0035】そして、この水平支持部材62に中空ジャ
ッキ58が取り付けられている。この中空ジャッキ58
は鋼棒34の後端部に外挿されており、鋼棒34の後端
側からナット66を螺合させて中空ジャッキ58の可動
部68上面を締め付けている。このため、中空ジャッキ
58を駆動して鋼棒34を削孔8からの引抜方向(−
X)に移動させると、鋼棒34の先端部に取り付けられ
た第1楔部材36が一体的に引抜方向(−X)に移動し
て削孔8の内壁面32から岩盤表面28に向けて亀裂C
Rが形成される。
【0036】次に、上記のように構成された割岩装置の
動作、ならびに同割岩装置を用いた亀裂導入工程につい
て図面を参照しつつ説明する。
【0037】上記のようにして、その一部に段差部30
が形成された削孔8内に、図7に示すように、第1楔部
材36が取り付けられた鋼棒34を挿入した後、第1楔
部材36の上半球面38上に3つの可動部材40を鋼棒
34を中心に放射状に配置する。そして、第2楔部材4
8を鋼棒34に沿って下方向(+X)に移動させてテー
パ面50を各可動部材40の切欠部位46に係合させ
る。これによって、各可動部材40の先端部44を削孔
8の内壁面32に当接させた状態で各可動部材40を削
孔8内で第2楔部材48および第1楔部材36により姿
勢制御している。そして、図8に示すように、この姿勢
状態のまま鋼棒34を下方向(+X)に降下させてい
き、段差部30に先端部44が嵌り込んで係合した時点
で深さ方向への移動を停止される。つまり、先端部44
が係合された段差部30の(−X)側段差位置が、亀裂
の起点予定位置となる。なお、図8では、同図(b)に
段差部30を拡大して図示しているが、図8以外の図面
に示された段差部30も図8(b)と同様に岩盤Rに形
成されている。
【0038】それに続いて、図9に示すように、鋼棒3
4に対して鋼管52を遊嵌し、その鋼管先端部を第2楔
部材48の上方端面に当接させた後、ナット54を(+
X)方向に送り込むことによって鋼管52で第2楔部材
48を(+X)方向に押し遣り、各可動部材40をテー
パ面50に沿って削孔8の内壁面32に向けて移動させ
る。これにより、先端部44が段差部30における削孔
8の内壁面32に密接することとなり、しかもナット5
4は鋼棒34に螺合固定されているため、鋼棒34を外
部から支えることなく装置各部を削孔8に対してセット
することができる。
【0039】次に、図10に示すように、岩盤表面28
上に支持機構60を組み立てた後、支持機構60の水平
支持部材62に中空ジャッキ58を取り付ける。このと
き、中空ジャッキ58を鋼棒34の後端部に外挿し、鋼
棒34の後端側からナット66を螺合させて中空ジャッ
キ58の可動部68上面を締め付けている。
【0040】このようにして割岩作業の準備が完了する
と、図6に示すように、中空ジャッキ58を駆動して鋼
棒34を引抜方向(−X)へ移動させて、鋼棒34の先
端部に取り付けられた第1楔部材36を一体的に引抜方
向(−X)に移動させる。すると、第1楔部材36の移
動とともに各可動部材40が引抜方向(−X)に移動し
ながら、第1楔部材36の上半球面38上を傾斜方向に
摺動することとなり、各可動部材40の先端部44は鋼
棒34の引抜方向(−X)と鋭角θ、例えば30゜をな
す方向で、かつ段差部30から岩盤表面28に向けて移
動して削孔8の内壁面32に圧力を与えて亀裂CRを形
成して岩盤Rを割岩する。特に、この実施形態では、3
本の可動部材40を鋼棒34を中心として放射状に配置
しており、可動部材40が放射状に突出して亀裂CRも
放射状に形成されるため、岩盤表面部分のうち削孔8を
中心とする倒立状で、しかも略円錐状の部分rが岩盤R
から浮き上がった状態となる。つまり、亀裂CRが相互
につながり自由面が形成されることとなる。なお、以下
の説明の便宜から、当該部分rを「表面分離部分」と称
する。
【0041】上記のようにして岩盤表面部に自由面を形
成することで次に説明するようにして削孔8を拡張する
ことができる。もちろん、心抜き作業を行う上で完全な
自由面を形成することが必須というわけではなく、岩盤
表面部において削孔8の内壁面32から岩盤表面28に
向かって亀裂CRが発生しているだけでも、次に説明す
る作業を行うことで削孔8の拡張が可能となる。
【0042】次に、図11に示すように、第2楔部材4
8および鋼管52がナット54に対して下方向(+X)
に相対的に移動した分だけナット54を下方向(+X)
に送り込む。これによって、ナット54が鋼管52の後
端部と当接し、再び鋼管52で第2楔部材48を(+
X)方向に押し付けた状態に戻り、鋼棒34および第1
楔部材36の降下を防止することができる。そして、こ
れに続いて、鋼棒34からナット66および中空ジャッ
キ58を取り外すとともに、支持機構60も撤収する。
こうして表面分離部分rの表面が露出される。
【0043】なお、この実施形態では、3つの可動部材
40を鋼棒34を中心に放射状に配置しているが、可動
部材40の個数および配置形態はこれに限定されるもの
ではなく、任意である。特に、上記実施形態では可動部
材40を鋼棒34を取り囲むように配置しているため、
上記心抜き作業を実行することによって削孔8を同心円
状に拡張しているが、例えば図12に示すように2つの
可動部材40,40を鋼棒34を挟んで対向配置した割
岩装置を用い、上記実施形態と同様にして心抜き作業を
実行することにより削孔8を可動部材40の配列方向Y
に選択的に拡張することができる。
【0044】また、上記実施形態では、第1楔部材36
を鋼球で構成しているが、例えば半球面体で構成し、そ
の球面を削孔8の開口に向けた状態で鋼棒34の先端部
に取り付けるようにしてもよい。また、第1傾斜面を球
面とすることは必須構成要件ではなく、鋼棒34の先端
側から後端側に向かう方向(−X)に進むにしたがって
径方向寸法が減少する傾斜面であればよく、例えば円錐
状や円錐台状の金属部材によって第1楔部材36を構成
するようにしてもよい。
【0045】また、図13に示すように、鋼棒74を部
分的に切り出し、この太鼓状切出部材76を第1楔部材
とし、その切出部材76に鋼棒34を取り付けるように
してもよい。特に、このように鋼棒74から第1楔部材
を作り出すようにすれば、鋼球や半球体などにより第1
楔部材を構成する場合に比べて、割岩装置のコストを抑
制することができる。
【0046】また、上記実施形態では、可動部材40の
先端部44が鋼棒34の引抜方向(−X)と30゜をな
す方向に移動させているが、この角度θはこれに限定さ
れるものではなく、例えば、この角度θを変化させるこ
とにより、亀裂の形成方向を変化させることができる。
こうすることで、心抜き作業により形成される大径部の
径を変化させることができる。
【0047】また、上記実施形態では、鋼棒34を方向
Xに駆動するための駆動源として油圧式の中空ジャッキ
58を用いているが、これ以外の駆動源や駆動機構など
を用いてもよいことはいうまでもない。
【0048】また、上記実施形態では、鋼棒34を引抜
方向(−X)へ移動させて岩盤Rに亀裂CRを形成した
後にナット54を下方向(+X)に送り込みナット54
を鋼管52の後端部と当接させて再び鋼管52で第2楔
部材6を(+X)方向に押し付けているが、このように
第2楔部材48を(+X)方向に押し付ける機構、つま
り鋼管52およびナット54は岩盤Rに亀裂CRを形成
する上での必須構成要件ではなく、任意の構成要件であ
る。ただし、鋼管52およびナット54を設けることに
よって上述したように先端部44を亀裂の起点予定位置
(段差部30)に位置決めた状態で鋼棒34を外部から
支えることなく装置各部を削孔8に対してセットするこ
とができ、作業性の向上を図ることができる。
【0049】また、ナット54を送りこんで鋼管52で
第2楔部材48を(+X)方向に押し付ける工程につい
ては、鋼棒34を引抜方向(−X)へ移動させながら同
時にナット54を下方向(+X)に送り込み、常時鋼管
52によって第2楔部材48を(+X)方向に押し付け
るようにしてもよい。こうすることで、第2楔部材48
のテーパ面50を可動部材40の切欠部位46に確実に
係合させることができる。また、削孔形成方向Xが下向
き以外に形成されている場合には、上記実施形態と異な
り自重によって第2楔部材48を第1楔部材36側に移
動させることが難しくなるが、引抜方向(−X)への鋼
棒34の移動と、削孔形成方向(+X)へのナット54
の送り込みとを同時に行うことによって上記実施形態と
同様の作用効果を得ることができる。つまり、削孔形成
方向Xが下向きに限定されず、岩盤表面28から任意の
削孔形成方向Xに削孔8が形成された岩盤Rに対し、そ
の削孔8の内壁面32から岩盤表面28に向けて亀裂を
与えて岩盤Rを割岩することができる。
【0050】D.破砕工程について 次に、表面分離部分rを例えば特開平8−105288
号公報に記載されているような従来より周知の割岩装置
によって破砕除去する。こうして、図14に示すよう
に、表面分離部分rがそっくり除去されて心抜き部分が
拡張されて自由面が広がる。もちろん、これをもって心
抜き作業を完了してもよいのであるが、この実施形態で
は、周知の割岩装置によって心抜き部分の表面側をさら
に広げた後、上記した段差部形成工程、亀裂導入工程お
よび破砕工程を繰り返して心抜き部分を拡張していく。
こうすることで、より大きな心抜き部分を形成すること
ができる。
【0051】以上のように、この実施形態によれば、各
可動部材40の先端部44を引抜方向(−X)と鋭角を
なす方向で、かつ岩盤表面28に向けて移動させること
によって削孔8の内壁面32に圧力を与え、亀裂CRを
岩盤Rに形成している。このように予め削孔8の周囲に
岩盤表面28に向かう亀裂CRを形成しておくことで、
削孔8の周囲の岩盤表面部分の破砕を容易に行うことが
可能となる。特に、この実施形態のように、割岩作業に
よって自由面を形成し、岩盤Rから表面分離部分rが浮
き上がるように破砕しておくことで、その表面分離部分
rの破砕を容易に、しかも効率良く行うことができ、心
抜きの作業時間を大幅に短縮するとともに、騒音も低減
することができる。
【0052】また、この実施形態では、図6の割岩装置
によって亀裂CRを形成する亀裂導入工程前に、削岩ヘ
ッド2を用いて予め削孔8の一部を径方向に拡大削岩し
て段差部30を形成している。そして、亀裂導入工程に
おいては、この段差部30に可動部材40の先端部44
を係合させた後、第1楔部材36を移動させることで可
動部材40の先端部44を岩盤表面28に向けて移動さ
せているので、可動部材40の先端部44は削孔8の内
壁面32を滑ることなく、確実に移動して段差部30を
起点として岩盤表面28に向けて圧力を与え、亀裂を確
実に形成することができる。
【0053】なお、本発明は上記した実施形態に限定さ
れるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて
上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能であ
る。例えば、上記実施形態では、図6の割岩装置を用い
て岩盤Rに亀裂CRを形成しているが、この亀裂導入工
程については、例えば本願発明者がすでに発明した割岩
装置(特許第3117969号)を用いて実行するよう
にしてもよい。
【0054】この割岩装置においては、特許第3117
969号の特許掲載公報に記載されているように、その
先端側を削孔に挿入可能な中空状の本体が設けられてい
る。この本体の側部に開口部が形成されるとともに、各
開口部に対応して本体の内部に可動部材が配設されてい
る。また、各可動部材の後端面は楔部材のテーパ部に摺
接可能な形状に仕上げられており、本体の長手方向に楔
部材が移動するのに応じて開口部に対して可動部材が進
退移動可能となっている。
【0055】そこで、この割岩装置を用いて亀裂導入工
程を実行する場合には、まず楔部材を駆動して可動部材
の先端部が本体の開口部から突出させて段差部30に係
合させる。そして、さらに楔部材を駆動して可動部材の
先端部を岩盤表面に向けて移動させることによって、削
孔8の内壁面32に圧力を与えて岩盤Rに亀裂CRを形
成する。このように、同割岩装置を用いた場合において
も、可動部材の先端部が削孔8の内壁面32を滑ること
なく、確実に移動して段差部30を起点として岩盤表面
28に向けて圧力を与え、亀裂を確実に形成することが
できる。
【0056】ところで、心抜き作業を実行するために、
図6、図12や図13の割岩装置を用いる場合と、上記
特許第3117969号の特許発明にかかる割岩装置を
用いる場合とを比較すると、作用効果において次のよう
な相違点が存在する。すなわち、特許発明にかかる割岩
装置を用いて心抜き作業を行う場合、比較的大口径の削
孔を予め形成する必要がある。というのも、特許発明に
かかる割岩装置においては、可動部材の進退経路が本体
の長手方向、つまり削孔形成方向と鋭角を形成するよう
に、可動部材の進退経路を形成するために本体を用意
し、さらにその本体内部に可動部材、楔部材、ならびに
該楔部材を駆動するための駆動手段(油圧ジャッキ)を
配設しているので、割岩装置の小型化、特に削孔形成方
向と直交する面内における装置サイズの小型化には限界
があるからである。
【0057】したがって、上記割岩装置を用いて心抜き
作業を行うためには、割岩装置の本体を挿入可能な比較
的大口径の削孔を形成する必要があり、大型の削岩機を
準備する必要があった。その結果、大型の削岩機を導入
可能な作業現場でしか上記割岩装置および該装置を用い
た心抜き工程を実施することができない。
【0058】これに対し、図6の割岩装置によれば、亀
裂形成のために可動部材40を移動させるのにあたっ
て、可動部材40の移動を第1楔部材36と第2楔部材
48とで制御しているため、削孔8の内壁面32近傍に
て可動部材40の移動経路を制御するための特別の構成
(例えば特許第3117969号の発明では、中空状の
本体が相当する)を設ける必要がなくなり、装置の小型
化、特に削孔形成方向に対して直交する面内における装
置サイズの小型化が可能となる。
【0059】さらに、上記実施形態では、削孔内部を拡
径して段差部を形成するために図1に示す削岩ヘッド2
を用いているが、図15に示す削岩ヘッド100を用い
て段差部を形成するようにしてもよい。以下、図15お
よび図16を参照しながら、削岩ヘッド100の構成お
よび動作について詳述する。
【0060】図15はこの発明にかかる削岩ヘッドの他
の実施形態を示す図であり、同図(a)は正面から見た
ときの部分断面図であり、同図(b)は側面から見たと
きの部分断面図であり、同図(c)は同図(a)のB−
B線断面図であり、いずれも拡径状態を示している。ま
た図16は図15の削岩ヘッドを用いた段差部形成動作
(削孔内部の部分拡径動作)を示す図である。
【0061】この削岩ヘッド100は、図15に示すよ
うに、削岩機に着脱可能なヘッド本体102を備えてお
り、削岩機の先端部に装着された状態で削岩機の回転駆
動部(図示省略)から回転駆動力のみ、あるいは回転駆
動力とともに打撃駆動部(図示省略)から打撃振動力を
受けるように構成されている。また、この実施形態で
は、ヘッド本体102はフランジロッド104にテーパ
ジャック106を装着して形成されているが、これらを
一体的に形成してもよいことは言うまでもない。このテ
ーパジャック106は図1のヘッド本体6と同様に削孔
8に挿入可能なサイズの厚肉プレートで構成されてお
り、その両面の一方側端部には削孔形成方向Xに対して
鋭角(+α)をなすようにガイド溝108が設けられる
とともに、その両面の他方側端部には削孔形成方向Xに
対して鋭角(−α)をなすようにガイド溝110が設け
られている。
【0062】そして、ヘッド本体102の一方側端側で
ガイド溝108に沿ってヘッド可動部材112が(+
α)方向に沿ってスライド自在に設けられるとともに、
他方側端側でガイド溝110に沿ってヘッド可動部材1
14が(−α)方向に沿ってスライド自在に設けられて
いる。このため、これらのヘッド可動部材112,11
4はヘッド本体102を削孔形成方向Xに移動させるこ
とによって削孔8の中心軸を中心として径方向において
互いに接近・離間移動可能となっている。また、各ヘッ
ド可動部材112,114には、削孔内壁面を向いた側
面に削岩ビット116が取り付けられている。なお、こ
れらの削岩ビット116は後述するように削孔8の内壁
面を部分的に削岩して削孔径を拡大する、つまり削孔内
部を部分的に拡径する拡径用ビットとして機能する。
【0063】また、このヘッド本体102の(+X)方
向端部には、スリット118とビット支持体120を相
互に螺合して一体化した先端部材122がX方向に移動
自在に取り付けられるとともに、その先端部材122の
(−X)方向端部が、例えば図16(a)に示すよう
に、テーパジャック106の(+X)方向端部、つまり
先端部124により係止可能となっている。また、先端
部材122の内部空間では、テーパジャック106の面
法線方向に内部空間の内径と同一、あるいは若干短いブ
ロック126がスプリングピン128によってテーパジ
ャック106に取り付けられている。したがって、その
内部空間からテーパジャック106側を見ると、先端部
124とブロック126とで十字形が形成され、その十
字形状の各端部がビット支持体120の内壁面を摺動自
在となっている。このため、ヘッド本体102がビット
支持体120の内壁面によりX方向に案内されながら、
X方向に移動自在となっている。
【0064】この先端部材122の先端には、複数の深
堀用ビット128が削孔内底面を向けた状態で固着され
ており、後述するようにしてヘッド本体102に回転打
撃力が与えられると、削孔内底面をさらに削岩可能とな
っている。
【0065】また、先端部材122の(−X)方向端部
には、図15(b)に示すように、ヘッド可動部材11
2,114を挟み込むように、2つの突起部130が設
けられている。各突起部130はX方向においてヘッド
可動部材112,114よりも若干長くなっており、拡
径状態において、ヘッド可動部材112,114がヘッ
ド本体102と先端部材122とで挟み込まれるのを防
止し、拡径状態から縮径状態(図16(a))に戻すの
を容易としている。
【0066】なお、この実施形態では、ヘッド本体10
2およびビット支持体120には、それぞれ貫通孔13
2,134がそれぞれ設けられており、貫通孔132,
134を介して削孔8内部に向けて圧縮空気を供給して
後述する段差部を形成する際に発生する粉塵や被削物な
どを削孔8から排出可能としている。
【0067】次に、上記のように構成された削岩ヘッド
100を用いて削孔8の一部を径方向に拡大させて削孔
8の内壁面に段差部を形成する動作(削孔内部の部分拡
径動作)について図16を参照しつつ説明する。まず、
上記削孔形成工程の実行によって岩盤表面28から岩盤
内部に向けて下方向(+X)に形成された削孔8に対
し、削岩ヘッド100を装着した削岩機をセットする。
すなわち、同図(a)に示すように、削岩ヘッド100
を削孔8内に挿入し、先端部材122を削孔底部に載置
して削孔径を拡大する拡径予定位置、つまり段差部形成
位置にヘッド可動部材112,114を配置する。この
とき、ヘッド可動部材112,114は自重によって下
方に移動し、ビット支持体120の上端部で係止されて
いる。
【0068】次に、削岩機の回転駆動部の作動を開始し
て削岩ヘッド100に回転力を与えながら、ヘッド本体
102および先端部材122を一体的に削孔形成方向
(+X)に送り込んでいく。このとき、圧縮空気の送給
も同時に開始して貫通孔132,134を介して削孔8
内部に向けて圧縮空気を送り込んでいる。
【0069】すると、上記送り込み動作に応じて、ヘッ
ド可動部材112,114が削孔8の中心軸を中心とし
て径方向において互いに離間移動し、同図(b)に示す
ように削岩ビット116が削孔内壁面と接触して段差部
形成位置での岩盤の削岩が開始される。さらに、ヘッド
本体102および先端部材122を一体的に削孔形成方
向(+X)に送り込み、この送り込み動作に応じてヘッ
ド可動部材112,114が削孔内壁面を削岩しなが
ら、削孔8の中心軸を中心として径方向において互いに
さらに離間移動していく。これによって、削孔径が拡大
されて段差部(すでに説明した図10の符号30)が形
成される。
【0070】こうして、所望深さ、例えば15mm〜2
0mm程度だけ削孔8の一部を削岩して段差部が形成さ
れると、先に説明した実施形態と同様に、回転駆動部の
作動を停止させ、削岩ヘッド100を削孔8から取り除
くようにしてもよいが、同図(c)に示すように、回転
駆動部とともに打撃駆動部をさらに作動させて回転打撃
力をヘッド本体102に与えると、段差部30をさらに
(+X)方向に拡張することができる。すなわち、回転
打撃力が加えられることで先端部材122に取り付けれ
た深堀用ビット128が削孔8の内底面をさらに削岩し
て削孔8をさらに掘り下げる。また、これと並行して、
拡径状態のヘッド可動部材112,114に取り付けら
れた削岩ビット116が段差部30の(+X)方向端部
をさらに削岩していき、その結果、段差部30が(+
X)方向に拡張される。
【0071】そして、段差部30が所望のサイズに達す
ると、打撃駆動部および回転駆動部を停止するととも
に、圧縮空気の供給も停止して削岩動作を停止させる。
そして、それに続いて、ヘッド本体102および先端部
材122を一体的に(−X)方向に引上げてヘッド可動
部材112,114を削孔8の中心軸を中心として径方
向において互いに近接移動させて削孔8内に戻した後、
さらに、ヘッド本体102および先端部材122を一体
的に(−X)方向に引上げて削孔機を削孔8から取り除
く。
【0072】このように、この実施形態によれば、ヘッ
ド可動部材112,114のサイズに限定されることな
く、所望サイズの段差部30を形成することが可能とな
っている。
【0073】なお、上記実施形態にかかる削孔内部の部
分拡径工法を心抜き工法に利用しているが、この部分拡
径工程の適用対象はこれに限定されるものではなく、削
孔内部を部分的に拡径することが望まれる作業現場に対
して適宜適当可能となっている。例えば、拡径式のロッ
クボルトやロックアンカーなどを施工する場合に、削孔
内部のうち拡径部分に対応する位置を拡径することで拡
径部分がしっかりと拡径部分、つまり段差部に入り込ん
で引抜抵抗を高めることができ、この点を考慮すると、
本発明にかかる削孔内部の部分拡径工法はロックボルト
施工やロックアンカー施工などに有利な技術といえる。
【0074】
【発明の効果】以上のように、この発明にかかる削孔内
部の部分拡径工法によれば、可動部材に取り付けられた
削岩ビットを前記削孔内壁面を向いた状態で前記可動部
材を拡径予定位置に配置した後、可動部材を前記削孔の
中心軸を中心として回転移動させるとともに、前記削孔
内壁面に移動させて前記拡径予定位置の岩盤を削岩して
前記削孔を拡径しているので、削孔内壁面の任意位置に
径方向に削岩して削孔に段差部を形成することができ、
汎用性に優れた拡径作業を行うことができる。
【0075】また、この発明にかかる削岩ヘッドおよび
該削岩ヘッドを備えた削岩機によれば、ヘッド本体を削
孔形成方向に移動させることによって複数のヘッド可動
部材を互いに離間移動させながら、各ヘッド可動部材に
取り付けられた削岩ビットにより削孔内壁面を削岩可能
となっているので、削孔の一部を径方向に拡大削岩する
ことができ、上記心抜き工法などに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる削岩ヘッドの一実施形態を示
す斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1の削岩ヘッドを用いた段差部形成動作を示
す図である。
【図4】図1の削岩ヘッドを用いた段差部形成動作を示
す図である。
【図5】図1の削岩ヘッドを用いた段差部形成動作を示
す図である。
【図6】心抜き工程で使用される割岩装置の一例を示す
図である。
【図7】図6の割岩装置の部分構成を示す分解組立斜視
図である。
【図8】図6の割岩装置の動作および該装置を用いた心
抜き作業を説明するための図である。
【図9】図6の割岩装置の動作および該装置を用いた心
抜き作業を説明するための図である。
【図10】図6の割岩装置の動作および該装置を用いた
心抜き作業を説明するための図である。
【図11】図6の割岩装置の動作および該装置を用いた
心抜き作業を説明するための図である。
【図12】心抜き工程で使用される割岩装置の他の例を
示す図である。
【図13】心抜き工程で使用される割岩装置の別の例を
示す図である。
【図14】図6の割岩装置の動作および該装置を用いた
心抜き作業を説明するための図である。
【図15】この発明にかかる削岩ヘッドの他の実施形態
を示す斜視図である。
【図16】図15の削岩ヘッドを用いた段差部形成動作
を示す図である。
【符号の説明】
2,100…削岩ヘッド 4…ロッド 6,102…ヘッド本体 8…削孔 14,16,112,114…ヘッド可動部材 18,116…(拡径用)削岩ビット 28…岩盤表面 30…段差部 32…(削孔の)内壁面 104…フランジロッド 106…テーパジャック 118…スリット 120…ビット支持体 R…岩盤 X…削孔形成方向

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 岩盤表面から所定の削孔形成方向に形成
    された削孔の内壁面の一部を拡径予定位置として径方向
    に拡大削岩して拡径する削孔内部の部分拡径工法であっ
    て、前記削孔内壁面を向いた側面に削岩ビットが取り付けら
    れたヘッド可動部材を、 前記削孔に挿入し、前記拡径予
    定位置で前記削岩ビットを前記削孔内壁面に対向配置す
    る第1工程と、 前記ヘッド可動部材を、前記削孔の中心軸を中心として
    回転移動させながら前記削孔形成方向に対してほぼ直交
    する前記径方向に移動させて前記拡径予定位置の岩盤を
    前記削岩ビットで削岩して前記削孔を拡径することによ
    って前記拡径予定位置に段差部を形成する第2工程と を備えたことを特徴とする削孔内部の部分拡径工法。
  2. 【請求項2】 岩盤表面から所定の削孔形成方向に形成
    された削孔内に挿入された状態で、前記削孔の中心軸を
    回転中心とする回転駆動力を受けて前記岩盤を削岩する
    削岩ヘッドであって、 回転駆動力を受けるヘッド本体と、 前記削孔形成方向と鋭角をなす方向において前記ヘッド
    本体に対してスライド自在に設けられ、前記削孔形成方
    向における前記ヘッド本体の移動にともなって前記削孔
    の中心軸を中心として前記削孔形成方向に対してほぼ直
    交する径方向において互いに接近・離間移動する複数の
    ヘッド可動部材とを備え、 各ヘッド可動部材には前記削孔内壁面を向いた側面に拡
    径用削岩ビットが取り付けられており、前記ヘッド本体
    を前記削孔形成方向に移動させることによって前記複数
    のヘッド可動部材を互いに離間移動させながら、前記回
    転駆動力によって前記中心軸を中心として回転させて前
    記拡径用削岩ビットにより前記削孔内壁面を削岩して前
    記削孔の一部を径方向に拡大させることによって前記拡
    径予定位置に段差部を形成することを特徴とする削岩ヘ
    ッド。
  3. 【請求項3】 岩盤表面から所定の削孔形成方向に形成
    された削孔の一部を径方向に削岩して削孔径を部分的に
    拡大させる削岩機であって、 請求項2記載の削岩ヘッドと、 前記削孔の中心軸を回転中心とする回転駆動力を前記削
    岩ヘッドに与える回転駆動部とを備えたことを特徴とす
    る削岩機。
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